(1)市場環境の変化と全体像
雇用の流動化やはたらき方・はたらく価値観の多様化など、個人のパワーシフトを背景に、個人が自らのキャリアを主体的に描き、仕事だけでなく人生もキャリアの一部と捉えた上で、はたらくことを通じてその人自身が感じる幸せや満足感“はたらくWell-being”を求める時代へと変化しています。また、業務のリモート化、自動化・省人化、データによる分析・最適化などの急速なテクノロジーの進化により、人とテクノロジーの共創による経営進化が求められる時代となっています。
当社は、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を掲げ、多様なはたらき方や学びの機会の提供を通じて、一人ひとりの選択肢を広げ、はたらく自由を広げることで、個人と社会の幸せを広げる「“はたらくWell-being”創造カンパニー」となることを目指します。さらに、これらの社会変化や多様化する個人のニーズに応えるため、当社は「人」による介在価値を重視しつつ、プロダクトとデジタル化で非連続な成長を実現する「テクノロジードリブンの人材サービス企業」へ進化することを、経営の方向性として定めました。
「はたらく」に関するさまざまな事業・サービス、多様な人的資本を強みとし、未来に向けた価値創出に取り組みます。
(2)価値創造ゴール
当社は、「人の可能性を広げることで、2030年に100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを価値創造ゴールとして設定しています。「多様なはたらき方の提供」や「学びの機会の提供」等を通じて、「グループ中期経営計画2026(2024年3月期~2026年3月期)」では50万人以上、2030年には100万人以上のより良い“はたらく機会”の創出を目指します。
(3)当社グループのサステナビリティに関する重要課題(以下、マテリアリティ)
当社は、2030年に向けた「グループ中期経営計画2026」において、「事業を通じた社会課題の解決」「持続的成長を実現するための基盤」の2つの領域で、以下8つのマテリアリティを特定し、それぞれ目標を設定しました。
<事業を通じた社会課題の解決>
①はたらく機会の創出 :「人を集めるチカラ」「人と組織を結ぶチカラ」「業務をデザインするチカラ」を通じて、2030年に100万人のはたらく人の可能性を広げ、より良い“はたらく機会”を創出する
②多様なはたらき方の提供:フレキシブルなはたらき方や雇用のあり方を提案・提供することで、個人のニーズに見合うはたらき方の実現に貢献する
③学びの機会の提供 :就業、リスキリングやアップスキリングにつながる学びの機会を提供することで、はたらく人の選択肢を広げ、個人のキャリアの可能性を最大化する
④企業の生産性向上 :生産性向上に資するサービスを提供することで、企業活動の効率化、労働力不足の解消に貢献する
<持続的成長を実現するための基盤>
⑤多様な人材の活躍 :多様性を活かす企業文化の醸成、環境の整備を通じて、グループビジョンを実現する
⑥データガバナンスの強化:パーソナルデータの利活用における当社グループにおける共通の方針・ルールの策定や管理・保護体制の整備を行い、さらなる強化を図ることで、ユーザーの利用環境を整えるとともに、信頼を確保する
⑦人権の尊重 :責任ある企業として国際規範に沿った取り組みを推進することで、人権への負の影響を軽減するとともに、社員を含むすべてのステークホルダーの信頼を獲得する
⑧気候変動への対応 :カーボンニュートラルに取り組むとともに、環境関連(GX: Green Transformation)人材サービス等を通じて脱炭素社会の実現に貢献する
グループ中期経営計画に沿った2030年のマテリアリティに関する目標は以下のとおりです。
<マテリアリティのKPIおよび2030年目標>(注)
マテリアリティ |
マテリアリティの取り組みに向けたKPI |
2030年目標 |
|
事業を通じた社会課題の解決
|
①はたらく機会の創出 |
より良い“はたらく機会”を創出(提供・支援)する人数 |
100万人 |
②多様なはたらき方の提供 |
多様なはたらき方が可能になった人の数 |
10万人 |
|
③学びの機会の提供 |
各教育サービスの受講者数 (1)派遣社員向け学びの機会の提供 (2)アップスキリングやキャリア自律を目的とした企業研修、アップスキリング後の人材紹介サービスの提供 (3)学生・社会人向けの学びの機会の提供 |
(1)24万人 (2)23万人 (3) ― |
|
④企業の生産性向上 |
「企業の生産性向上」に関わるサービスの売上高 |
― |
|
持続的成長を実現するための基盤
|
⑤多様な人材の活躍 |
(1) はたらいて、笑おう。指標(社員エンゲージメント指標) (2) 女性管理職比率(注1) (3) 障害者雇用数(注2) (4) 男性育児休業取得率(1日以上の取得)(注1) |
(1) ― (2) 37.0% (3) ― (4) 100% |
⑥データガバナンスの強化 (注1) |
(1) 不適切なデータの取扱いの件数、および対象の人数(注3) (2) 全従業員に占める研修を受けた人の割合 |
(1)0件/0人 (2)100% |
|
⑦人権の尊重(注1) |
全従業員に占める研修を受けた人の割合 |
100% |
|
⑧気候変動への対応 |
(1)Scope1+Scope2の排出量 削減率 (2)Scope3の排出量 削減率 |
(1)83.0%(注4) (2)設定中 |
(注)2030年目標は今後の経営状況、経営計画の見直し・変更等に伴い、変更となる可能性があります。戦略の方向性・到達水準を明確にするために、2030年目標を設定しておりますが、一部項目は不確実性が高いため検討中であり、「―」としています。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
1.対象範囲は国内のみ
2.特例子会社制度の手続きに従い、グループの障害者雇用状況報告に含めている人数
3.当社が定める重大かつ深刻なインシデントの件数
4.残余排出量について国際的に認められる方法で各種オフセット手法を活用しカーボンニュートラル化を目指します。
(4)グループ中期経営計画2026について
①全体方針
これまでのグループ中期経営計画2023では、事業の磨き込みと経営基盤の整備による成長に向けた基礎作りを行う3ヶ年と位置付け、「社会的価値の向上」「経済的価値の向上」「SBU体制への移行」「成長領域の特定」「テクノロジーによる事業強化」の5つの全体方針を策定いたしました。統合報告書発刊によるESG関連情報開示の充実化、コロナ状況下で策定した数値目標を1年前倒しで達成、SBU体制で迅速に意思決定しつつ、コーポレートガバナンス委員会を新設し、経営監督機能を強化するなど、「社会的価値の向上」「経済的価値の向上」「SBU体制への移行」について、一定の成果を達成できました。「成長領域の特定」については、引き続き、新規事業の創造を積極的に推進してまいります。「テクノロジーによる事業強化」については、DX (Digital Transformation)投資による業務効率化や顧客体験の改善は進展しました。引き続き、生産性向上や顧客満足度の向上につながるようテクノロジーを一層強化してまいります。
グループ中期経営計画2026(2024年3月期~2026年3月期)では、下記の通り全体方針を策定いたしました。
・グループ中期経営計画2026
事業の位置づけ |
・Staffing SBU/BPO SBU/Technology SBU/Career SBU/Asia Pacific SBUの5つのSBU体制へ ・Staffingを「グループの屋台骨(グループの成長基盤)」と位置付けつつ、Career/BPO/Technologyを「利益成長の柱」とする ・Asia Pacific SBUは、将来の飛躍へ向けた基盤強化(収益性改善)を行う ・将来に向け事業の探索・創造を行う、R&D Function Unitを設立 |
強化すべき競争優位性 |
・「人を集めるチカラ」「人と組織を結ぶチカラ」「業務をデザインするチカラ」を継続強化する強みとする |
事業成長のエンジン |
・事業成長を加速させるグループ共通の下記3つの取り組みを「事業成長のエンジン」とする 人的資本 :「“はたらくWell-being”の体現/テクノロジー人材の拡充/多様な人材が活躍する基盤構築」に取り組む
テクノロジー:「テクノロジー人材と組織の進化/はたらく環境のデジタル化推進/コア事業の価値向上/新たな価値創造」に取り組む
ラーニング :より良い“はたらく”に繋がる“学び”を各事業に実装することで個人とともに、各事業の成長を加速させる |
②財務戦略
当社は、「グループ中期経営計画2026」において、各SBUの事業戦略と財務戦略の両輪でグループの企業価値向上を力強く推進するため、財務戦略を新たに策定いたしました。
新たな財務戦略では、成長と資本効率を経営の基本方針とし、最適資本構成の追求や投資意思決定の高度化、株主の多様化・株式流動性の向上を重視した運営を推し進めるため、財務戦略指標を設定いたしました。
・グループ中期経営計画2026(財務戦略)
主な財務KPIとして、調整後EBITDAの成長目標、資本効率性の基準(ROIC及びROE)、健全性を担保する数値基準(Net D/E及びNet Debt/EBITDA)を設定し、事業、投資、配当のバランスのとれたキャッシュ・アロケーションを行います。
成長性については、前中期経営計画で指標としていた営業利益から、IFRS移行を踏まえ調整後EBITDAを採用し、よりキャッシュ・フローに着目した業績管理を行います。
効率性については、各SBUによって事業の成熟度が異なるものの、グループ全体として前中期経営計画を上回る水準を目標として掲げます。投資による一時的な低下を想定しつつも、最終的にROIC15%以上、ROE18%以上を目指します。
健全性については、資本コスト管理の観点からも大型投資などには負債を有効活用した資金調達を行っていく一方で、格付けの維持・向上のためストック及びフローの両面からモニタリングを行い、堅固な財務基盤は維持する予定です。
また、当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しており、今中期経営計画においては配当性向を調整後EPSの約50%とする方針といたします。
前中期経営計画期間より大幅な配当性向の引上げとしつつも、2026年3月期で調整後EBITDA 1,000億円以上のキャッシュポジション及び健全性基準の範囲内での資金調達により、今後の成長投資に必要な資金は十分に確保が可能です。また、より魅力的な株主還元とすることで、当社の株主数増加や株式流動性の向上につなげたいと考えております。
(1)サステナビリティ全般
パーソルグループ(以下、当社グループ)では、経営理念である「雇用の創造」、「人々の成長」、「社会貢献」に基づき、持続可能な社会を目指して、多様なステークホルダーと連携し、社会・環境課題解決に積極的に取り組んでおります。適切なガバナンスの下、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を実現する事業活動を推進し、すべてのはたらくが笑顔につながる社会を創造していきます。
①ガバナンス
当社グループは経営によるサステナビリティ推進およびサステナビリティ関連のリスク・機会の適切なマネジメントを目的に「サステナビリティ委員会」をHeadquarters Management Committee(HMC)傘下に設置しています。サステナビリティ委員会では、議長である代表取締役社長CEOのもと、サステナビリティに係る経営アジェンダについて審議し、HMCへ付議または報告します。HMCはサステナビリティ委員会の報告を受け、グループ横断的なサステナビリティ経営に係る施策に関し審議し、CEOの意思決定を補佐します。取締役会は審議内容、及びこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて承認、対応の指示、助言を行います。
サステナビリティ委員会の他、リスクマネジメント委員会、人事委員会、ジェンダーダイバーシティ委員会、スタッフウェルビーイング委員会が、サステナビリティに関連する個別課題への対応にあたっています。
パーソルグループのサステナビリティ推進体制
②戦略
経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク・機会に対処するため、持続的成長に不可欠なマテリアリティ(重要課題)を特定し、経営戦略および経営計画にそれらを組み込み、実行していかなければならないと考えています。
グループビジョンを実現する過程で、2030年に向けた中期経営計画2026の3ヵ年で取り組むべきマテリアリティを検討した結果、“事業を通じた社会課題の解決”を実現する4つのマテリアリティと“持続的成長を実現するための基盤”を構築する4つのマテリアリティを設定しました。当社グループは、新たな8つのマテリアリティについて、2030年に向けた目標、及びKPIを設定し、目指す姿を明確にしつつ、これらの達成に向けてグループ一丸となって取り組んでまいります。8つのマテリアリティの詳細は、「
パーソルグループのマテリアリティ
③リスク管理
サステナビリティ関連のリスク・機会について、当社グループの中長期的な企業価値に影響を与える事項、及び社会や地球環境に及ぼす影響度が大きい重要事項の双方を認識し、管理を行っています。当社グループでは、それら2つの側面より重要度を分析し、より優先度の高いものをマテリアリティとして特定しています。マテリアリティに関するモニタリングは、半期に一度、サステナビリティ委員会にて実施し、委員会の内容はHMC、取締役会に報告します。HMC傘下の各委員会においても、サステナビリティに関連する個別のリスクを検討・モニタリングを実施しています。
一方、「
④指標及び目標
当社グループのサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)のKPIおよび目標は当社の中期経営計画に含まれています。詳細は、「
(2)マテリアリティに関する事項
①はたらく機会の創出、多様なはたらき方の提供、学びの機会の提供、企業の生産性向上
(<事業を通じた社会課題の解決>を実現するマテリアリティ①~④)
ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標については、(1)サステナビリティ全般に記載しています。
②人的資本(多様な人材の活躍)
(<持続的成長を実現するための基盤>を構築するマテリアリティ⑤)
a.ガバナンス
当社グループでは人的資本の価値の最大化に向けて、HMC傘下の委員会として「人事委員会」、「ジェンダーダイバーシティ委員会」および「スタッフウェルビーイング委員会」を設置しています。
人事委員会ではグループの人事戦略及び重要人材の後継者計画等に関する審議を、ジェンダーダイバーシティ委員会ではグループの女性活躍推進戦略及び関連する重要事項の審議を、スタッフウェルビーイング委員会ではグループの派遣スタッフの人的資本の価値の最大化に向けた重要事項の審議を、それぞれ行います。
b. 戦略
当社グループでは、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現するため、派遣スタッフを含む多様な人材が、“はたらくWell-being”を体現し、価値創造を推進する組織を目指しています。中期経営計画においては、事業成長のエンジンの一つとして人的資本を位置づけ、3つの構成要素(“はたらくWell-being”の体現、テクノロジー人材の拡充、多様な人材が活躍する基盤の構築)を定めて取り組みを加速していきます。
人的資本の方針
(a)人材育成方針
当社グループでは、はたらくすべての個人を企業価値の源泉と捉えています。そして、すべての社員が自律的に成長し続け、不確実性の高いビジネス環境下でも活躍できるよう、社員それぞれの役割や能力等に応じた多彩な学びのプログラムを展開しています。
また当社グループが持続的に社会に貢献し続けるためには、次世代経営人材の育成が必要です。そのために、当社グループでは経営幹部に求められる要件を明文化した「パーソルリーダーシップコンピテンシー」を策定しています。これに基づき、現経営層のサクセッションプランと、全ての管理職が「最高のリーダー」として活躍するためのタレントマネジメント施策を推進していきます。
テクノロジー人材の拡充施策については、テクノロジードリブンの人材サービス企業として、「テクノロジー人材の採用」「テクノロジー人材の育成」の2つを柱として、「人」による介在価値を重視しつつ、デジタルプラットフォーム型のビジネスモデルを拡充し、新たな価値を創出できる人材サービス企業を目指します。
ⅰ.テクノロジー人材の採用
テクノロジー人材は、企業の競争優位性を生み出すために不可欠な存在となっております。そのため多くの企業においてもDX人材の不足により獲得競争が激化しています。当社グループの採用においては、求めるテクノロジースキルの明確化、テクノロジー人材のはたらきやすい環境整備、適切な報酬の提示等において既存の枠組みにとらわれないアプローチも視野に入れ、テクノロジー人材の確保を進めていきます。
ⅱ.テクノロジー人材の育成(リスキリング・アップスキリング)
テクノロジー人材を数多く採用することは困難を伴うと推測されます。そのため、育成(リスキリング)をテクノロジー人材の拡充の重要なポートフォリオの1つとして据えていきます。また、テクノロジー活用人材(当社で定義する“最新テクノロジーを理解しテクノロジー人材と密に連携してデジタル化を加速させる人材”を指す)のスキル向上(アップスキリング)も同時に推進していきます。会社として重視する育成スキル分野を定義し、社員のキャリアデザインと動機づけを継続的に行うことで短期間での習熟を可能とするための取り組みや育成プログラムとそれに関する投資を計画しています。
(b)社内環境整備方針
当社グループでは社員と派遣スタッフの、“はたらくWell-being”の最大化に向けて、社員のエンゲージメントと派遣スタッフのWell-beingを重要指標に位置づけ、多様な人材が活躍できる環境の整備を推進しています。
社員に対しては、エンゲージメント向上のための重要な要素として、「健康」「自律性」「関係性」「自己効力感」「ビジョンへの共感」の5つのエンゲージメントドライバーを設定し、当社独自のエンゲージメントサーベイで経年の状態を把握した上で、効果的な施策を実施しています。
また社員のエンゲージメントを継続的に高めていくためには、社員の属性の理解、価値観の受容、そして能力を生かす多様性の推進が不可欠です。パーソルグループでは「Diversity, Inclusion & Equality」に関するグループ共通ポリシーを定め、女性管理職比率と障害者雇用数、男性育児休業取得率の向上に取り組んでいきます。
社員一人ひとりが自律的にはたらく場所やはたらき方を選択できる環境の整備も進めています。社員の自己実現、社会貢献につながる「複業制度」、ドレスコード原則自由化やフレックスタイム制・リモートワークの導入など、多様なはたらき方の選択肢を増やし、社員のエンゲージメント向上に取り組んでいます。
派遣スタッフに対しては、個々の価値観や将来ビジョンを尊重しながら、“はたらき方を選び、自分らしく生きること”を支援することが、派遣スタッフのWell-beingに繋がると考えています。そのため当社グループでは、様々な価値観を持つ派遣スタッフの多様な就業ニーズに応えることができるよう、多種多様な雇用創出に注力し、クライアントと良い関係性ではたらき続けられるように支援を行っています。また、パーソルグループに対する信頼・愛着を深めてもらえるよう、信頼関係を構築していきます。
c.リスク管理
人的資本(多様な人材の活用)に関しては、当社グループのマテリアリティの1つとして、リスク管理を行っています(「
HMC傘下の各委員会においては、人的資本戦略の遂行にあたり、人的資本の3つの構成要素におけるリスク及び機会を以下のとおり特定し、b. 戦略に記載の対応策を推進しています。
|
リスク |
機会 |
“はたらく Well-being” の体現 |
・社員のエンゲージメント低下による労働生産性及び社員の退職率悪化のリスク ・派遣スタッフのWell-being低下による派遣スタッフの継続率・終了率の悪化のリスク
|
・社員のエンゲージメント向上による労働生産性及び社員の定着率の改善 ・派遣スタッフのWell-being向上による派遣スタッフの継続率・終了率の改善 |
テクノロジー人材の拡充 |
・プロダクトデザイン・データ分析など、特に獲得の競争が激しい人材について、想定通りに採用が進められないリスク ・スキルを身につけた派遣・請負事業の人材が高待遇の企業に転職する人材流出のリスク |
・テクノロジー人材の獲得・育成を計画通りに遂行することにより、「テクノロジードリブン人材企業」のブランディングを後押しし、テクノロジー人材「採用力」を高めることにつながる ・顧客企業の満足度獲得により、派遣・請負社員の継続率、請求単価が向上する |
多様な人材が活躍する基盤の構築 |
・多様な人材が活躍する基盤構築の遅延による採用競争力及び企業競争力低下のリスク ・タレントマネジメント施策の遅延による次期経営人材の不足や全管理職の成長鈍化のリスク
|
・多様な人材が活躍する基盤構築による更なる人材の獲得や新たな価値の創出 ・タレントマネジメント施策による次期経営幹部の計画的育成及び全管理職の組織運営能力向上の実現 |
人的資本リスクに関する当社グループ全体の総合的なリスク管理への統合についての詳細は、「
d. 指標及び目標
当社グループでは、中期経営計画沿った人的資本の取り組みの効果を評価するため、2025年及び2030年に向けた定量目標を設定しています。設定した目標は外部環境の変化や人的資本施策の進捗に応じて柔軟に見直しを行い、取り組みを進めていきます。
「人材育成に関する指標」として、マテリアリティのKPIとは別に、2025年に「リーダー育成人数7,000人(注1)」及び「テクノロジー人材2,000人(注2)」を目標として掲げています。
「社内環境整備に関する指標」において、「はたらいて、笑おう。指標(社員エンゲージメント指標)」はグループ全体で70.4%(2022年実績)となっており、2025年に75.0%を目指します。女性管理職比率(注3)はグループ全体で約24.4%(2023年4月1日時点)となっており、2025年に約30.8%を目指します。障害者雇用数は約2,417人(2022年6月時点)から2025年に4,000人(注4)を目指します。男性育児休業取得率(1日以上の取得)(注5)はグループ全体で64.8%(2023年3月時点)となっており、2025年に1日以上の取得100%を目指します。
その他の人的資本の指標及び目標(2030年)については、「
(注)1. リーダー育成人数は国内グループ会社横断で実施している管理職向け研修の延べ受講者数を指します。各SBU/各社でも固有の管理職向け研修を実施していますがその受講者数は含んでおりません。
2. テクノロジー人材はデータやデジタル技術、ITに関する専門的な知見を活用しプロダクトや業務、インフラの変革を担う人材を指します(採用及び社内育成含む)。
3.女性管理職比率は国内グループ会社の社員を対象に目標を設定し、実績を集計しています。ただし、国内グループ会社共通の人事管理システムの導入が完了していない一部会社は集計対象から除いています。
4. 特例子会社制度の手続きに従い、グループの障害者雇用状況報告に含めている人数です。障害者雇用数の対象社数の異動(2023年5月時点で22社)、グループ全体の社員数の増減及び法定雇用率の変動の影響を加味し、将来的に目標を修正する可能性があります。
5.男性育児休業比率は国内グループ会社の社員を対象に目標を設定し、実績を集計しています。
③データガバナンスの強化
(<持続的成長を実現するための基盤>を構築するマテリアリティ⑥)
a. ガバナンス/リスク管理
当社グループにおいてデータガバナンスを考える際の最重要リスクは、パーソナルデータの利活用に伴うプライバシーリスクであると捉え、当該リスクをグループ横断で適切に管理するため、「グループプライバシーガバナンス審議会」を設置しています。当該審議会は、グループのプライバシー保護最高責任者をはじめとした当社グループのプライバシー保護に関わる責任者により構成され、グループを通じたプライバシー保護に関する方針・ルールの策定や重要なプライバシーリスクへの対応方針の決定を行うなど、グループのプライバシーガバナンス強化に努めています。また、プライバシー侵害リスクを当社グループの重要リスクとして位置づけ、リスク対策状況や対応の有効性についてリスクマネジメント委員会でモニタリングを行っています。「データガバナンスの強化」について、サステナビリティ関連の個別課題への対応として、サステナビリティ委員会と連携しています。
リスク管理については、
b. 戦略/指標及び目標
パーソナルデータの取り扱いにおけるプライバシー保護の重要性の高まりを受けて、2023年3月に当社グループにおけるプライバシーに関する基本的な考え方を示した「パーソナルデータ指針」を制定し、当社グループにおけるプライバシー保護に関する取り組みを紹介する「プライバシーセンター」を開設しました。人材ビジネスは、膨大なパーソナルデータを扱うため、その取扱いには厳重な管理が求められます。特にプライバシーガバナンスについて、情報セキュリティ、プライバシー保護に係る法令遵守はもとより、体制・取り組みのさらなる強化を図ることで、ユーザーに安心してサービスをご利用いただける環境を整える必要があります。パーソナルデータの取扱いに関する厳格な社内基準の設定、プライバシー侵害防止等の観点からの専門部署によるレビュー、従業員に向けた教育・研修等の取り組みを通じて、競争力強化を目指していきます。
指標及び目標については「
④人権の尊重
(<持続的成長を実現するための基盤>を構築するマテリアリティ⑦)
a. ガバナンス/リスク管理
人権の尊重は、コンプライアンス統括部署が中心となってグループ各社の関係部署と連携し、人権方針の策定、人権デューディリジェンスの実施、救済メカニズムの構築等、体制整備等に向けて取り組みを推進します。また、「人権の尊重」について、サステナビリティ関連の個別課題への対応として、サステナビリティ委員会と連携するとともに、人権侵害リスクを当社グループの重要リスクとして位置づけ、リスク対策状況や対応の有効性についてリスクマネジメント委員会でモニタリングを行っています。
HMCはサステナビリティ委員会およびリスクマネジメント委員会の報告を受け、人権の尊重に係る取り組みに関し審議し、CEOの意思決定を補佐します。取締役会は、審議内容及びこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて承認、対応の指示、助言を行います。
リスク管理については
b. 戦略/指標及び目標
当社グループは2022年12月に「パーソルグループ人権方針」を策定しました。人権デューディリジェンスの実施、人権に関する従業員研修などの取り組みを通じて、責任ある企業として国際規範に沿った取り組みを推進することで、人権への負の影響を軽減するとともに、社員を含むすべてのステークホルダーの信頼を獲得し、より良い社会の実現に貢献していきます。
指標及び目標については「
⑤気候変動への対応
(<持続的成長を実現するための基盤>を構築するマテリアリティ⑧)
気候変動は、世界中の人々の生活や当社グループの事業に影響を及ぼす、今日の社会において避けることができない課題です。そのために、気候変動問題を当社グループの経営課題のひとつであると捉え、温室効果ガスの排出を削減するとともに、エネルギー使用の削減・抑制および効率的で持続可能な使用を促進していきます。地球規模で発生している気候変動問題に対して、当社グループは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終提言に賛同し、気候変動への対応を当社グループのマテリアリティの一つとして設定し、気候変動への対応を含むサステナビリティ推進を強化しています。
a. ガバナンス
気候変動対応を含むサステナビリティ推進体制の詳細は、「
b. 戦略
気候変動による事業へのリスクと機会を特定するシナリオ分析に基づいた開示を2022年5月より実施しております。
気候変動が当社グループ事業に及ぼす影響、及び気候関連の機会とリスクを具体化して把握するために、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの外部機関が公表している4℃シナリオ(気候変動による自然災害の甚大さ・頻度が増加する世界)と1.5~2℃シナリオ(急速に脱炭素社会が実現する世界)をベンチマークとして参照し、分析しています。
シナリオ分析による気候変動リスクと機会
c. リスク管理
サステナビリティ委員会にて、気候変動関連リスクが事業に与える影響の把握および対応を行っています。サステナビリティ委員会にて特定した事業における気候変動関連リスクをリスクマネジメント委員会に共有しています。
気候変動関連リスクに関する当社グループ全体の総合的なリスク管理への統合についての詳細は、「
d. 指標及び目標
(a)温室効果ガス削減目標
当社グループは、温室効果ガス排出量に関する目標として、2030年度までに、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量(注)を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」目標を策定しました。また、中間目標として2025年度までに2021年度比17%以上の削減を目指します。車両のHV/EV切り替えやオフィスにおける省エネ活動の推進、再生可能エネルギーの活用などの取り組みを通じて、地球規模の共通課題であるカーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組んでいきます。
(注)事業活動に伴う温室効果ガスの排出量は、Scope1、Scope2の合計を示しています。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
(b)温室効果ガス排出量実績(2022年度)
事業活動に伴う温室効果ガスの排出量(Scope1及びScope2): 約30千 t-CO2(注)
(注)1.当社および国内連結子会社の主要拠点、また主要な海外連結子会社の主要拠点を対象に算出しております。なお、第三者認証取得後、統合報告書もしくは当社ウェブサイトで確定数値を開示する予定です。
2.豪州を中心に事業展開するProgrammed Maintenance Services Limitedおよびその傘下の連結子会社についてScope1として算定した一部(約3千 t-CO2)を国内のGHGプロトコル上の定義に統一した結果、Scope3排出量として除外しております。
当社グループは、リスクマネジメント活動を、リスク発現時の損失や被害を最小限に留め、また、グループの企業価値の維持・向上のために必要な活動と位置付けております。この考えのもと、「グループリスク管理規程」を定め、事業戦略の遂行を妨げるリスクを特定し、適切な対策を講じることでリスクコントロールを行っております。また、「グループクライシスマネジメント規程」を定め、リスクが発現した場合に迅速かつ適切な対応を行えるよう備えています。
(1)リスクマネジメントの体制とプロセス
①リスクマネジメント委員会
当社グループは、パーソルホールディングスのHMC(Headquarters Management Committee)の機能補完・強化を行うグループ横断組織としてリスクマネジメント委員会を設置しています。本委員会は四半期ごとに開催され、委員には代表取締役社長CEOをはじめとした経営層、各SBU(Strategic Business Unit)長、各FU(Function Unit)長および各内部統制推進責任者が就いております。本委員会では、後述する「グループ重要リスク」を議題として取り扱うほか、パーソルホールディングスの機能本部やSBUおよびFUにおけるリスクマネジメントの状況についてモニタリングなどを行っています。また、本委員会の活動状況については取締役会に報告を行っています。
②リスクマネジメント体制
当社グループでは、3線モデルによるリスクマネジメント体制を構築しており、第2線によるリスク管理状況については、パーソルホールディングス内のグループリスク統括部署や、リスクマネジメント委員会に報告を行っております。
・第1線(グループ各社):リスクが発生する現場であり、事業活動および日常活動と一体になってリスクマネジメント活動を推進する。
・第2線(管理部門) :グループ各社のリスクマネジメント活動に対し、モニタリングと支援を行う。
・第3線(内部監査部門):第1線および第2線から独立した立場で、リスクマネジメントの有効性について合理的な保証を与える。
※PHD=パーソルホールディングス(株)、HMC=Headquarters Management Committee、
CFO=Chief Financial Officer、CIO=Chief Information Officer、CDO=Chief Digital Officer、
CHRO=Chief Human Resources Officer、GRC=ガバナンス・リスク・コンプライアンス
また、リスクの性質により、パーソルホールディングスとSBUで次の役割分担を行っています。
・グループ共通リスク:グループ共通のリスク対策が効果的なもの(主に、オペレーショナルリスク)については、パーソルホールディングスの各機能本部が、グループ横断的にリスク管理を行う
・SBU個別のリスク:事業特性や地域特性といったSBU固有のリスクについては、各SBUにリスク管理責任者(=SBU内部統制推進責任者)を設置し、各SBU内で自律的にリスク管理を行う
③ グループ重要リスクの管理プロセス
当社グループでは、当社グループにおけるリスクのうち、グループの経営状況や経営戦略に照らし、特に重要性の高いリスクを「グループ重要リスク」として選定しております。グループ重要リスク選定の目的は、これらのリスクへの対応を経営課題として優先的に経営資源を割り当てるためであり、選定された各グループ重要リスクには、パーソルホールディングスの役員をリスクオーナー(リスクの最終的な説明責任を負う者)として設定することでリスク対応への実効性を高めています。グループ重要リスクの選定時には、主に「影響度」と「発生可能性」の観点での評価に加え、リスク対策の脆弱性や、社会からの期待・関心といった点も加味したうえで決定しています。
<リスク評価基準>
影響度
レベル |
定義 |
判断基準(例) |
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経済的損失 |
事業継続 |
レピュテーション |
||
大 |
甚大な影響 |
・グループ全体に及ぶ大きな損失 |
・事業許可の取り消し、事業廃止命令、事業停止命令 |
・長期にわたる致命的な信頼の失墜(数年単位) |
中 |
中程度の影響 |
・単年度実績への影響 |
・監督官庁からの改善命令、一時的な事業停止処分 |
・短期/一時的な信頼の失墜(1年以内) |
小 |
限定的な影響 |
・影響が限定的で、年度内に回復可能 |
・監督省庁からの行政指導・勧告・注意 |
・信頼の失墜にまでは至らない |
発生可能性
レベル |
定義 |
高 |
頻繁に発生する(1年に1回以上) |
中 |
時々発生する(2~3年に1回程度発生) |
低 |
発生頻度が低い(3~5年に1回程度より少ない) |
また、リスクマネジメント委員会においてこれらのリスクを議案として取り扱い、リスク対応の進捗や効果を確認し、年次で改善及び見直しを検討するPDCAサイクルを回すことで、継続的に改善できる仕組みとしています。
<グループ重要リスク管理のPDCAサイクル>
(2)当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク
当社グループは、2023年2月のグループ重要リスクの見直しにより、「IT関連リスク(個人情報漏えい、システム障害等)」「企業買収投資に伴うリスク」「プライバシー侵害リスク」「自然災害等の有事に関する事業継続リスク」「気候変動に伴うリスク」「人権侵害リスク」「景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク」の7項目をグループ重要リスクとして選定しました。2024年3月期以降はこれらの重要リスクを中心に定期的なモニタリングを実施する予定です。
また上記のグループ重要リスク7項目を含め、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす主要なリスクは以下の表に記載のとおりであります。当社経営者が認識する当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与えるリスクに関し、発生の蓋然性及び事業への影響の度合いに鑑み、重要と考えられる順に記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。
当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク一覧
重要度 順位 |
リスク名称 |
グループ |
1 |
IT関連リスク(個人情報漏えい、システム障害等) |
● 継続 |
2 |
企業買収投資に伴うリスク |
● 継続 |
3 |
プライバシー侵害リスク |
● 継続 |
4 |
自然災害等の有事に関する事業継続リスク |
● 継続 |
5 |
気候変動に伴うリスク |
● 継続 |
6 |
人権侵害に関するリスク |
● 継続 |
7 |
景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク |
● 追加 |
8 |
法令遵守等コンプライアンスに関するリスク |
|
9 |
パンデミックに関するリスク |
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10 |
人材の育成・確保におけるリスク |
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11 |
海外事業展開に伴うリスク |
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12 |
技術革新によるリスク |
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13 |
競合によるリスク |
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14 |
人口構造の変化に対応できないリスク |
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①グループ重要リスクと主な対応策
グループ 重要リスク |
1 IT関連リスク(個人情報漏えい・システム障害等) |
リスクオーナー |
CIO/CDO |
残存リスク |
a. 個人情報漏えい 影響度:大、 発生可能性:高 b. システム障害 影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
a. 個人情報漏えい 当社グループでは、登録スタッフ、派遣スタッフ、求職者、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報を大量に保有し取り扱っており、当社グループにおいてサイバー攻撃をはじめとした、第三者によるセキュリティ侵害、不適切なシステムの設定・管理、従業員の不正・過失等によりこれらの個人情報が漏えいする事態が生じた場合、当社グループのブランドの棄損、企業イメージの悪化等の社会的信用の低下に伴う顧客・サービス利用者の減少、さらに損害賠償請求等の発生により、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
b. システム障害 当社グループの事業は、国内外を問わずよりITへの依存が高まり、よりコンピュータシステム及び通信ネットワークに多くを依存しています。近年のリモートワーク拡大等により、当該リスクへの対応の重要性は一段と高いものとして認識しております。またシステムのメンテナンス等の一部はクラウドシステム業者を含む外部業者に委託しております。人為的過誤、サイバー攻撃、広範な自然災害や外部業者のトラブル等により、コンピュータシステムや通信ネットワークに何らかの問題が生じ、適切に利用ができなくなることにより、当社グループの業務や提供するサービスに遅延・停止の可能性があり、当社グループに対する信頼性の低下を招き事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
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リスク対策の状況 |
いずれのリスクにおいても、ITの技術的な側面、人的な側面など多面的に適時・適切な管理体制の構築・維持に努めております。具体的な対策例としては次のものが挙げられます。
a. 個人情報漏えい ・パーソルグループのネットワークやシステムに対するセキュリティ対策の実装 ・パーソルグループのCSIRT (PERSOL-SIRT)設置による、グループ内でのセキュリティインシデント対応力の強化 ・従業員向けセキュリティ教育や標的型メール訓練の実施 ・グループ共通の情報セキュリティや個人情報取り扱いに関する規程・ルールの制定 ・新規サービスの立ち上げや新規の個人データ利活用に際して、専門部署によるプライバシーレビュープロセスを経る体制を構築 ・グループのセキュリティ統括部門を中心としたIT環境やグループ各社のセキュリティ状況の点検 ・外部サービスや委託先に対するセキュリティ水準の確認(契約時と定期点検)
b. システム障害 ・障害発生時の体制・報告フローの整備 ・システムセキュリティの強化 ・耐障害性を向上させるIT環境の検討・改修・構築
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グループ 重要リスク |
2 企業買収投資に伴うリスク |
リスクオーナー |
CFO |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:高 |
リスク認識 |
当社グループまた当社グループを取巻く業界においては、これまでオーガニックな成長に加え、企業買収や事業提携を行い事業の拡大を行ってまいりました。いまだ成長を続ける当該事業においては、引き続き企業買収等を通じて事業規模を拡大していくとともに、ITなどの新しいテクノロジーの取込みを目的とする企業買収を行うことによって、さらなる企業価値の向上と競争優位性の確保を行ってまいります。 企業買収や事業提携に際しては、対象となる企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューディリジェンスを行い、リスク回避に努めておりますが、案件の性質や時間的な制約等から十分なデューディリジェンスが実施できず、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合、また当該事業が、当初想定した収益計画と大きく乖離した場合、多額の資金投入が発生する可能性のほか、関係会社株式の評価替えやのれんの減損等により、当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、買収を通じて取得した企業ののれんは、当連結会計年度末において52,344百万円であり、そのうち、Asia Pacific SBU及びCareer SBUが大きな割合を占めております。 なお、当社グループは2024年3月期第1四半期より国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)に基づき開示を行います。IFRSにおいては、当社グループが現在採用している日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以下「J-GAAP」という。)と異なり、のれんの償却が行われない一方で、減損の判定方法が異なるため、J-GAAPと比較 し、減損損失が早期に計上され、また、一度に計上される金額が多額となる可能性があります。 また、買収した企業は、それぞれのブランド力やグループ内の相互協力により極めて有益なビジネスシナジーの創出が可能になるものと判断しておりますが、今後、経営環境や事業の状況の著しい変化、技術革新、また何らかの事由によりそれぞれの経営成績が想定通り進捗しない場合、これらの資産について減損会計の適用に伴う追加の損失処理が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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リスク対策の状況 |
海外事業については、減損損失の計上が発生しており、詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結損益計算書関係)※6減損損失」をご参照ください。 なお事業投資案件に関しては、資本効率を重視し、その決裁プロセスにおけるガバナンス体制の強化に取り組んでいます。 新たなガバナンス体制の強化策として、多額の事業投資案件に関しては専門的見地から審議した上で経営陣に対して助言する「投資委員会」を2020年4月に設置いたしました。投資委員会は、グループの投資全般に関する重要事項の審議を行うとともに、投資推進に関連した一連の知識、知見をグループの組織知として高めていくことを目的としており、審議結果をHMC(Headquarters Management Committee)に上程し、HMCの適切な判断を補完する組織となります。
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グループ 重要リスク |
3 プライバシー侵害リスク |
リスクオーナー |
CSO |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
当社グループ各社では、事業運営に際し、登録スタッフ、派遣スタッフ、求職者、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報を大量に保有し取扱っております。サービスの利便性向上やパーソルグループの成長戦略の観点から、個人データの活用の推進が期待される一方、世の中ではArtificial Intelligence(AI)を含むITの発達によりデータ提供者本人に対しても何らかの不利益が発生するリスクがあります。 当社グループで保有する個人情報の取扱いについては、当該国の個人情報に関する法律が適用されます。特に主力事業を展開している日本国内においては「個人情報の保護に関する法律」、「職業安定法」、「労働者派遣法」等に準拠した取扱いが求められます。これらの法令は、近年の個人情報保護及びプライバシーの権利に対する意識の高まりや、グローバル基準への適合に向けた動きにより内容が高度化しており、当社グループでは、法務と情報セキュリティの両面からこれらの解釈や運用について慎重な検討と判断を重ねております。しかしながら、これらの法令での実務面に対する要求事項は解釈の余地も多いことから、当社グループにおける解釈によっては、意図せず当社グループの個人情報取扱いが不適切と評価され、当局からの業務停止命令、個人データの提供者若しくは法人からの訴訟につながる可能性があります。 さらに法令を遵守して活用した場合でも、データ提供者の不利益又は不信感を招いたときは、当社グループのブランド及び企業イメージの低下や信用が毀損し、これらに伴い、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
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リスク対策の状況 |
2021年3月期にパーソナルデータ利活用審議会(2023年4月よりグループプライバシーガバナンス審議会に改称)を設置し、グループ全体のパーソナルデータ利活用に伴うプライバシーリスクについて議論することで、グループ全体で整合性のとれたパーソナルデータの利活用を支えるプライバシーガバナンスを構築しております。新規サービスの立ち上げや新規の個人データ利活用に際しては、専門部署によるプライバシーレビュープロセスを経る体制を構築し、本人への影響を予め十分に検討し、適切な対応策を講じることで、ユーザー等の信頼を確保することに努めております。 また、2023年3月には、当社グループにおけるプライバシーに関する基本的な考え方を示した「パーソナルデータ指針」を制定いたしました。当該指針は、プライバシー保護の体制・取り組み等と併せて当社グループにおける取り組みを紹介する「プライバシーセンター」上で公開しており、当社グループのサービスを安心してご利用いただけるよう情報開示についても強化しております。 なお、当該リスクに関する当社グループ全体の対応方針・施策全般は、サステナビリティのマテリアリティに含めて管理しています。「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)マテリアリティに関する事項 ③データガバナンスの強化」も合わせてご参照ください。
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グループ 重要リスク |
4 自然災害等の有事に関する事業継続リスク |
リスクオーナー |
GRC管掌役員 |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
当社グループは、日本国内およびAPAC地域で事業活動を展開しております。地震、台風、洪水等の自然災害、火災、停電、戦争、テロ行為等が起こり、当社グループの従業員の安全が脅かされ、または会社資産が毀損した場合、若しくはパンデミックが起こり、多数の従業員が感染、または行動制限措置により業務が制限された場合、当社グループの事業が一時的に中断され、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人材サービスという事業性質上、有事には派遣スタッフの安否確認や顧客企業との契約内容の調整等、多大な顧客対応による業務負荷が予想されることから、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 また、自然災害のリスクは年々被害規模が甚大化しており、さらに同時多発も想定する必要が生じております。
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リスク対策の状況 |
かかるリスクに対し、当社グループでは当社にクライシスマネジメントの統括部署を設置し、①従業員と派遣スタッフの安全確保、②顧客・会社資産保護、③事業継続、④ステークホルダーコミュニケーションを基本方針として、有事に適切な対応をとる体制を構築しております。また、人材サービスの根幹である従業員・派遣スタッフへの給与支払い業務をグループの最重要業務と位置づけ、大規模自然災害やパンデミックが発生した場合でも給与支払い業務を継続し、従業員・派遣スタッフが生活基盤を維持するための事業継続計画を策定するとともに、計画の実行性向上にむけ定期的な訓練の実施に努めています。なお、初動対応の迅速化・効率化を実現するため、日本国内ではITを活用した被災時の情報収集システムの整備を進めており、安否確認システムや大規模災害発生時に被災している可能性が高い拠点を自動的に特定するシステムを導入しています。 加えて、当社グループにはAPAC地域に海外駐在員がおりますが、戦争、テロ等を想定し、安全対策・教育、医療支援を実施するとともに、有事の際の安否確認ルールを策定するなど、海外駐在員の安全と健康を守るための取り組みを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が軽減し、海外出張数が増加することを見据え、今後は海外出張者の安全対策の強化に努める予定です。
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グループ 重要リスク |
5 気候変動に伴うリスク |
リスクオーナー |
CHRO |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
当社グループは、地球規模で発生している気候変動問題に対して、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終提言に賛同し、気候変動による事業へのリスクと機会を特定するシナリオ分析に基づいた開示を2022年5月より実施しております。 気候変動が当事業に及ぼす影響、及び気候関連の機会とリスクを具体化して把握するために、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの外部機関が公表している4℃シナリオ(気候変動により自然災害の甚大さ・頻度が増加する世界)と1.5~2℃シナリオ(急速に脱炭素社会が実現する世界)をベンチマークとして参照し、分析しています。 当社グループでは、2030年度までに、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」目標を設定しました。気候変動への取り組み遅延や法規制違反等があった場合、当社グループの信頼性の低下を招き事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
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リスク対策の状況 |
当該リスクに関する当社グループ全体の対応方針・施策全般は、サステナビリティのマテリアリティに含めて管理しています。「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)マテリアリティに関する事項 ⑤気候変動への対応」を参照ください。
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グループ 重要リスク |
6 人権侵害に関するリスク |
リスクオーナー |
GRC管掌役員 |
残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
リスク認識 |
当社グループは、日本国内とAPAC地域で事業拠点を持ち、取引する顧客企業や個人の求職者等の方々も多国にわたっています。近年、先進国を中心として「ビジネスと人権」に関する関心は高まっており、またステークホルダーによる人権への高度な対応要求は、当社グループの事業活動にも大きく影響します。 人権尊重の取り組みはグループビジョンである「はたらいて、笑おう。」実現のために必要不可欠であり、人権侵害に該当する事案が生じた場合には、各国における行政罰や当社グループの社会的信用・ブランドイメージ毀損等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
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リスク対策の状況 |
これまで当社グループにおいても、パーソルグループ行動規範の制定など取り組みを進めてまいりましたが、2022年12月に取締役会の承認のもと新たに「パーソルグループ人権方針」を制定いたしました。また、2024年4月より選定した事業において、人権デューディリジェンスの運用を開始するとともに、今後は人権に関するグループ従業員向けの研修を実施していく予定です。これらの取り組みに加え、引き続き人権デューディリジェンスの実施・高度化、救済メカニズムの構築等、体制整備に向けて取り組みを推進してまいります。 なお、当該リスクに関する当社グループ全体の対応方針・施策全般は、サステナビリティのマテリアリティに含めて管理しています。「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)マテリアリティに関する事項 ④人権の尊重」も合わせてご参照ください。
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グループ 重要リスク |
7 景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク |
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リスクオーナー |
CFO |
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残存リスク |
影響度:大、 発生可能性:中 |
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リスク認識 |
当社グループが提供している人材サービスは、日本国内における構造的な要因(少子化・労働人口の減少・労働市場の構造変化など)が追い風となってきました。同時に景気変動による影響を受けやすく、こうしたマクロ経済の変化にうまく対応できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。グローバル化の進展に伴い、他国の経済状況、国際政治情勢、地政学的要因、国際金融市場等の影響により、事業を展開する各国の経済が大きく左右される傾向が強まっております。また、2008年の世界金融危機、2020年初頭からのCOVID-19感染拡大や地政学的要因による世界的な経済活動の急激な収縮といった予見が難しい事象が発生しております。2008年の世界金融危機のような深刻な経済危機が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。また、不況時における当社グループの収益に与える影響度の順に記載すると以下の表のとおりです。
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リスク対策の状況 |
通常の景気循環による山谷に対しては、当社グループでは、コスト管理を行う等の経営努力により、当社業績に与える影響を抑制するよう努めております。こうしたマクロの影響に対して、新しいサービスの展開、ITを利用した付加価値の提供に努めるなど、成長分野への投資を継続的に行い、新たな事業領域への展開と成長に努めております。
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②その他、当社グループの経営成績等に影響を与える主要なリスク
<8 法令遵守等コンプライアンスに関するリスク>
当社グループは、事業活動を行う上で自らが事業を展開する国又は地域の様々な法令の適用を受けております。人材サービスを行う当社グループは、労働関連法令の遵守を求められております。当社グループでは、コンプライアンスを、法令遵守に留まらず、「社会からの要請や期待に応え、誠実に事業活動を行っていくこと」とより広範囲で捉え、2019年度に「パーソルグループ行動規範」を制定し、当社グループの役職員には、公正、正直、敬意及び誠実さをもって行動することを定めております。
また当社グループでは、事業の拡大に合わせ、コンプライアンス統括部署を設置し、コンプライアンス関連規程の整備や継続的な教育・研修の実施、グループ内部通報制度の整備等、コンプライアンス体制を構築しております。しかしながら、当社グループに適用される法令等に違反する事態が生じた場合や社会からの要請や期待に応えられなかった場合は、次のa、b、cに記載するリスクが具現化し、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損し、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
a.人材派遣事業
当社グループの主要な事業である人材派遣事業は、国内においては「労働者派遣法」に基づき、労働者派遣事業の許可を受け事業運営を行っております。現時点で、当社グループにおいては、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社及びその役職員が労働者派遣法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、労働者派遣法及び関係諸法令については、これまでにも労働環境の変化に応じ改正が適宜実施されており、当社グループではその都度、当該法改正に対応するための諸施策を講じております。今後、更なる改正が実施され、大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。
b.人材紹介事業・求人広告事業
当社グループが行う人材紹介事業及び求人広告事業は、国内においては「職業安定法」に基づき、有料職業紹介事業の許可又は募集情報等提供事業の届出の下に行っている事業であります。現時点で、当社グループにおいては、職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社及びその役職員が職業安定法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、職業安定法及び関係諸法令については、これまでにも労働環境の変化に応じた改正が適宜実施されており、直近では、2022年3月に、求人広告事業の一部である募集情報等提供事業の届出制を創設する内容の法改正が行われました。当社グループでは法改正の都度、当該法改正に対応するための諸施策を講じております。今後、更なる改正が実施され大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。
c.受託請負事業
当社グループが行う受託請負事業は、事務業務などの業務コンサルティングや業務運営・管理、IT・エンジニアリング領域の製造・開発など多岐にわたります。また、官公庁・地方公共団体・民間企業等の様々な顧客からの業務を受託しております。これら事業の遂行に当たり、顧客の要件を満たすことが第一ですが、特に官公庁・地方公共団体から受託している事業に関しては、その成否が日本社会全体又は地域社会に強く影響する場合もあります。当社グループでは、事前にアセスメントを行ったうえで受託判断を行うとともに、事業開始後も適切に遂行・運営されるように努めております。しかしながら、特に公共性の高い業務を適切に遂行・運営できなかった場合は、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損し、経営成績に影響を与える可能性があります。
<9 パンデミックに関するリスク>
2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大では、世界規模での社会活動・経済活動の急激な収縮といった予見が難しい影響を及ぼし、当社グループの事業運営及び経営成績にも大きな影響を及ぼしました。2022年後半からは流行株の主体が病原性の一定程度低いものとなり、また多くの人が自然感染あるいはワクチンによる免疫を獲得したことにより、発生初期と比較して感染症重症度が低下していることから、各国政府による行動制限の方針なども概ね緩和されている状況です。しかしながら、病原性が大きく上がるような変異の可能性や新たなパンデミックが今後発生する懸念は引き続き残っており、かかる事態に陥った場合には、再び各国政府によるロックダウンや移動制限などが発令され、当社グループの事業運営や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<10 人材の育成・確保におけるリスク>
当社グループの中長期戦略の実行及び持続的な成長において、様々な分野での多様な人材の確保・育成が必要となります。当社グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現するため、当社グループのすべての従業員が仕事へのやりがいと組織への貢献意欲を持てるよう良好な職場づくりに努めております。しかしながら、今後の当社グループの成長をけん引するためのIT技術者、デジタルトランスフォーメーション推進人材及びグローバル人材等、一部の領域において、要件を満たす人材は希少性が極めて高く、これら人材の確保が想定通り進められない可能性があります。また、当社グループの目指す職場環境づくりが困難な場合には、優秀な人材の育成が想定通りに進まず、また競合他社等への流出が発生し、当社グループの事業運営が計画通りに進まない可能性があります。
当該リスクに関する当社グループ全体の対応方針・施策全般は、サステナビリティのマテリアリティに含めて管理しています。「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)マテリアリティに関する事項 ②人的資本(多様な人材の活躍)」を参照ください。
<11 海外事業展開に伴うリスク>
当社グループは、日本国内に加えAPAC地域においても人材派遣事業、人材紹介事業、受託請負事業等を行っております。海外事業展開に際しては、支援体制及び経営管理機能の強化を進めておりますが、APAC地域各国の政治・社会情勢の急激な変化、法令改正、想定外の為替変動等、著しい事業環境変化等により同地域における明確な競争優位を確立できなかった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
<12 技術革新によるリスク>
当社グループの営む人材関連サービスは、特にITの活用が不可欠な事業であります。当社グループでは、ITを用い、新規サービス開発やオペレーションシステムの改善に努めておりますが、新規事業開発で高度な専門性を持つ技術者や企画者の確保や育成ができなかった場合、当社グループが技術革新のトレンドを正確に予測することができず新技術適用の判断が遅れること等により、競争力の低下につながる及び従前のビジネスモデルそのものが陳腐化する可能性があります。また、IT環境の改良や新技術導入に際し多額の費用が発生する場合、何らかの事由により期待した導入効果が得られない場合、ディスラプティブテクノロジー(disruptive technology)と言われるこれまでにない発想に基づく新たなプロダクトやサービスが急速にグローバルに普及し、既存のマーケットが破壊された場合等に、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
更に、企業における業務効率化や生産性向上を実現するテクノロジーとして、AIやRobotic Process Automation(RPA)等の導入が急速に拡大しております。例えば、RPAの導入には一定のスキルが必要であることから、当社グループでもRPAスキル保有人材の派遣や、RPA導入支援から運用定着における研修等のサービスを提供し、新たな企業ニーズに適合すべくサービス展開を実施しております。しかしながら、技術革新における高度な専門性を持つ技術者や企画者の確保や育成ができない場合には、当社グループが技術革新のトレンドを正確に予測することができない、又は新技術適用の判断が遅れることで、競争力の低下につながる及び従前のビジネスモデルそのものが陳腐化する可能性があります。また、AIやRPAなどの新技術導入や改良に際し、多額の費用が発生する場合、何らかの事由により当初想定したサービスの質の確保が難しい場合、期待した導入効果が得られない場合等において、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
<13 競合によるリスク>
当社グループが展開している人材ビジネス市場では、各国の各分野において多数の競合他社が存在しております。これらの競合他社が当社グループと同水準のサービスを低価格で提供した場合や、当社グループのサービスを必要としないプロセスや仕組みを顧客企業に提供、若しくは社会的に浸透・普及に成功した場合、求職者等の個人や法人顧客にとってより魅力的なサービスを提供する又は当社グループがニーズに対応したサービスや機能の改善を図れない場合には、当社グループの競争力が低下し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループにおける派遣スタッフ及び求職者等の個人の集客においては、他社の運営する検索エンジン等を利用して求人広告を掲載しているものがあります。かかるプラットフォームを提供する企業が求人広告業界における集客力を強め、独占的なポジションを確立した場合には、当社グループの集客力や経営成績に影響を与える可能性があります。
<14 人口構造の変化に対応できないリスク>
当社グループの提供するサービスは、事業を展開する国の人口動態の変化の影響を受けます。現在、日本国内において少子高齢化が急速に進んでおり、今後、生産年齢人口の減少が更に進む可能性があります。当社グループでは、生産年齢人口の減少が進むなか、女性・高齢者・外国人の労働参加率の向上に注目し、社会やユーザーのニーズに敏感に対応できるサービスの開発や新規事業展開に取り組む等、労働市場の変化に対応した事業戦略を実行し、多様なはたらき方の提供と労働市場の拡大に努めております。しかしながら、当社グループがかかる変化を適時適切に把握できない、意思決定の遅れから適切なタイミングでサービスを提供できない、若しくはかかるサービス開発に想定以上のコストを要する場合、又は企業側の対応が積極的ではない場合には、労働市場の縮小が更に進むとともに、当社グループのユーザーが減少し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)業績等の概要
①業績
当社グループは、日本国内及びアジア・パシフィック(APAC)地域で、人材派遣及び人材紹介を主力として幅広く人材関連サービスを提供しております。
当連結会計年度の国内の事業環境につきましては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再拡大の波がみられたものの年度末にかけて感染防止における行動制限が徐々に緩和され、経済活動の正常化に向けた動きが続きました。日本国内の有効求人倍率(季節調整値)は2023年3月には1.32倍となり、人材需要は継続して堅調な回復を見せております。APAC地域におきましても、一部の地域でCOVID-19の影響は残ったものの、総じて経済は回復基調にあります。
このような事業環境の下、全SBUで増収となった結果、当連結会計年度の連結売上高は1,223,967百万円(前連結会計年度比15.4%増)となりました。利益面では、主に企業の旺盛な採用需要に伴うCareer SBUの増収等により、全体の営業利益は53,061百万円(同10.2%増)となりました。また、経常利益は、53,693百万円(同8.5%増)となったものの国内外の子会社の減損等により、親会社株主に帰属する当期純利益は20,578百万円(同35.5%減)となりました。
セグメントの業績(セグメント間内部取引消去前)は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|
|
|
百万円 |
百万円 |
百万円 |
% |
Staffing |
売上高 営業利益 |
575,743 39,359 |
618,481 36,180 |
42,738 △3,179 |
7.4 △8.1 |
Career |
売上高 営業利益 |
75,279 7,264 |
104,467 15,532 |
29,187 8,268 |
38.8 113.8 |
Professional Outsourcing |
売上高 営業利益 |
121,109 6,934 |
134,085 7,518 |
12,976 583 |
10.7 8.4 |
Solution |
売上高 営業利益 |
11,169 △3,058 |
15,434 △3,837 |
4,265 △779 |
38.2 - |
Asia Pacific |
売上高 営業利益 |
290,138 1,042 |
367,779 2,517 |
77,641 1,474 |
26.8 141.5 |
その他 |
売上高 営業利益 |
13,755 △801 |
16,904 △708 |
3,148 93 |
22.9 - |
調整額 |
売上高 営業利益 |
△26,302 △2,598 |
△33,186 △4,140 |
△6,883 △1,542 |
- - |
連結損益計算書 計上額 |
売上高 営業利益 |
1,060,893 48,143 |
1,223,967 53,061 |
163,073 4,918 |
15.4 10.2 |
(注)上記の売上高のうち、調整額及び連結損益計算書計上額に記載の売上高以外の売上高については、セグメント間内部取引消去前の金額であります。
a. Staffing SBU
本セグメントは、国内で事務領域を中心に幅広い業種に対応した人材派遣事業に加え、受託請負のBPO事業、事務職を中心とした人材紹介事業等を展開しています。
当連結会計年度における売上高は、618,481百万円(前連結会計年度比7.4%増)、営業利益は、36,180百万円(同8.1%減)となりました。
売上高は、派遣稼働者数が前連結会計年度比で増加し事務派遣領域が増収したことに加え、BPO領域において需要が堅調に推移した結果、増収となりました。営業利益は、増収効果があったものの、派遣スタッフの有給休暇取得の増加や社会保険料の増加に加え、公共保健にかかる一時的な案件の減少による影響等により減益となりました。
b. Career SBU
本セグメントは、顧客企業の正社員の中途採用活動を支援する人材紹介事業、求人広告事業等を展開しています。
当連結会計年度における売上高は、104,467百万円(前連結会計年度比38.8%増)、営業利益は、15,532百万円(同113.8%増)となりました。
売上高は、人材紹介事業及び求人広告事業において、法人需要の順調な推移の結果増収となりました。営業利益は、広告費、採用費用の増加はみられるものの大幅な増益となりました。
c. Professional Outsourcing SBU
本セグメントは、IT領域やエンジニアリング領域の製造・開発受託請負事業や技術者を専門とした人材派遣事業を展開しています。
当連結会計年度における売上高は、134,085百万円(前連結会計年度比10.7%増)となり、営業利益は、7,518百万円(同8.4%増)となりました。
売上高は、エンジニアリング領域において、製造業で開発等の需要が伸長し、さらにIT領域の堅調な成長
の結果、増収となりました。営業利益は、エンジニアの採用強化によるコストの増加はあるものの、増収効
果により増益となりました。
d. Solution SBU
本セグメントは、人材採用、人材管理等のデジタルソリューションサービスの提供やインキュベーションプログラムを通じた新規事業の創出を行っております。
当連結会計年度における売上高は、15,434百万円(前連結会計年度比38.2%増)、営業損失は、3,837百万円(前連結会計年度は営業損失3,058百万円)となりました。
売上高は、企業の採用に対する需要の伸長や販売促進の取り組みが奏功したこと等により、転職アプリ事業及びクラウドPOS事業が継続して成長した結果、増収となりました。利益面は、将来の成長に向けた投資拡充によるコストの増加の結果、営業損失となりました。
e. Asia Pacific SBU
本セグメントは、アジア地域で人材派遣事業及び人材紹介事業、豪州においてはStaffing事業及びMaintenance事業を展開しております。(アジア地域では主にPERSOLKELLY、豪州では主にProgrammedのブランドで事業を運営しております。)
当連結会計年度における売上高は、367,779百万円(前連結会計年度比26.8%増)、営業利益は、2,517百万円(同141.5%増)となりました。
売上高は、多くの事業展開地域でCOVID-19の感染拡大による影響からの回復や成長が進んだことに加え、為替影響により増収となりました。営業利益は、増収効果により増益となりました。
なお、当社及び国内連結子会社において、当連結会計年度より、資産除去債務の会計処理等会計方針の変更を行っており、遡及処理の内容を反映させた数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)及び(会計上の見積りの変更)」をご参照ください。
②生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、Staffing、Career、Professional Outsourcing、Solution、Asia Pacific等のセグメント区分にて国内及びAPAC地域において人材関連事業を行っており、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、省略しております。
b.受注実績
生産実績の記載と同様に、受注状況の記載に馴染まないため省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
売上高 (百万円) |
構成比 (%) |
前年同期比増減 (%) |
|
Staffing |
613,943 |
50.2 |
7.3 |
Career |
102,210 |
8.4 |
38.5 |
Professional Outsourcing |
118,405 |
9.7 |
9.7 |
Solution |
14,719 |
1.2 |
40.2 |
Asia Pacific |
367,779 |
30.0 |
26.8 |
全社及びその他の事業 |
6,907 |
0.6 |
11.8 |
合 計 |
1,223,967 |
100.0 |
15.4 |
(注)セグメント間の取引は、相殺消去しております。
(2)財政状態の分析
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ17,048百万円増加し、442,159百万円となりました。流動資産は17,384百万円増加し、304,281百万円となりました。これは主に、現金及び預金が7,788百万円減少した一方、売掛金が10,806百万円及び契約資産が7,292百万円増加したことによるものであります。固定資産は336百万円減少し、137,877百万円となりました。これは主に、繰延税金資産が3,416百万円及び投資有価証券が3,393百万円増加した一方、のれんが9,329百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ20,683百万円増加し、241,426百万円となりました。流動負債は27,527百万円増加し、195,421百万円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が11,243百万円減少した一方、短期借入金が11,199百万円、未払金が10,121百万円及び1年内償還予定の社債が10,000百万円増加したことによるものであります。固定負債は6,844百万円減少し、46,005百万円となりました。これは主に社債が10,000百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,634百万円減少し、200,732百万円となりました。これは主に、剰余金の配当9,971百万円の支払、親会社株主に帰属する当期純利益20,578百万円の計上等により、利益剰余金が10,607百万円増加、為替換算調整勘定が6,669百万円増加した一方、PERSOL Asia Pacific Pte. Ltd.がPERSOLKELLY PTE. LTD.の株式を追加取得したこと等により、非支配株主持分が6,103百万円及び資本剰余金が5,712百万円減少したことによるものであります。
以上の結果、財務指標としては、流動比率が前連結会計年度末の170.9%から155.7%に下降し、自己資本比率が前連結会計年度末の43.1%から42.0%に下降いたしました。
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
総資産当期純利益率(ROA) |
8.6% |
5.3% |
自己資本当期純利益率(ROE) |
18.9% |
11.2% |
売上高営業利益率 |
4.5% |
4.3% |
売上高経常利益率 |
4.7% |
4.4% |
流動比率 |
170.9% |
155.7% |
固定比率 |
75.5% |
74.3% |
自己資本比率 |
43.1% |
42.0% |
ROIC |
14.2% |
15.3% |
D/Eレシオ(有利子負債/自己資本) |
0.28 |
0.28 |
Net cash/EBITDA倍率 |
0.82 |
0.62 |
総資産 |
425,110百万円 |
442,159百万円 |
自己資本 |
183,048百万円 |
185,517百万円 |
投下資本 |
269,376百万円 |
273,110百万円 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
106,558百万円 |
99,658百万円 |
※当社及び国内連結子会社において、当連結会計年度より、資産除去債務の会計処理を変更しました。これに伴い、前連結会計年度については、当該会計方針を遡って適用した後の指標等となっております。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、1,223,967百万円と前連結会計年度に比べ163,073百万円の増収となりました。利益面では、売上総利益において、282,643百万円と前連結会計年度に比べ41,806百万円の増益、営業利益において、53,061百万円と前連結会計年度に比べ4,918百万円の増益、経常利益において、53,693百万円と前連結会計年度に比べ4,208百万円の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益においては、国内外の子会社の減損損失計上等により、20,578百万円と前連結会計年度に比べ11,327百万円の減益となりました。
① 売上高
売上高は、主力のStaffing SBUが堅調に推移したことに加え、全てのSBUで売上成長を実現した結果、全体として15.4%の増収となりました。
② 売上総利益
売上総利益は、企業からの強い採用需要を受け主にCareer SBUが大きく伸長し、全体として17.4%の増益となりました。
③ 営業利益
将来の競争力強化に向けた広告宣伝費や人件費が前連結会計年度に比べ大きく増加しましたが、売上総利益が順調に推移した結果、全体の営業利益は10.2%の増益となりました。
④ 経常利益
経常利益は、営業利益の増加により8.5%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増益であったものの、国内外の子会社の減損損失を計上したこと等により、△35.5%の減益となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ6,899百万円減少し、99,658百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度より2,103百万円増加し、52,796百万円となりました。これは主に、法人税等の支払額が24,640百万円、売上債権の増加額が12,611百万円となった一方、税金等調整前当期純利益が40,716百万円、減価償却費が16,059百万円、減損損失が12,239百万円なったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度より15,446百万円増加し、22,504百万円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が10,108百万円、有形固定資産の取得による支出が3,331百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が3,321百万円となったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度より17,123百万円増加し、38,268百万円となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が13,764百万円、自己株式の取得による支出が9,999百万円、配当金の支払額が9,969百万円となったことによるものであります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の主な運転資金需要は、派遣スタッフ及び従業員に対する給与支払いであります。事業構造上、現金及び現金同等物が資産の中で占める割合が高くなっております。短期運転資金は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保する基本方針を踏まえて、事業収益から得られる自己資金を基本としており、特に多額の資金が必要となる企業買収等については、安定した財務基盤を活かし、銀行借入、社債発行など最適な資金調達手段を通じて行うことを基本としております。
なお、当連結会計年度における現金及び預金の残高は99,757百万円、有利子負債の残高は、51,539百万円となっております。また、有利子負債の残高のうち、シンジケートローンを含む協調融資による借入額は、総額30,000百万円となっております。
(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、2024年3月期を初年度とする3カ年の「中期経営計画2026」を2023年5月に発表しました。“はたらくWell-being”創造カンパニーとして、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現を目指してまいります。
詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(参考)資本効率性を重視する経営に向けた取り組み
当社グループは、資本効率性の指標として、主にROICとROEをモニタリングしております。各事業領域において、それぞれのROIC(資本効率性)を考慮し、事業の運営にあたっております。
2023年3月期のROICは、15.3%となり、前年度と比較し上昇しました。要因はCareer SBUで大幅な営業利益の増益を実現したことに加えてAsia pacific SBUにおいて収益性の改善が進んだことによるものです。
2023年3月期のROEにつきましては、国内外の子会社で減損損失を計上したことから11.2%と前年度比較で低下しました。しかし、当該影響を除けば17.2%と高い水準を維持しております。
■ ROIC、ROEの推移(日本基準)
ROIC = のれん等償却前税引後営業利益 ÷ 投下資本(事業資産-事業負債)
(2023年3月期)
のれん等償却前税引後営業利益 418億円
投下資本 2,731億円(事業資産4,629億円 事業負債1,898億円)
(2022年3月期)
のれん等償却前税引後営業利益 381億円
投下資本 2,693億円(事業資産4,386億円 事業負債1,692億円)
ROE = 親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 自己資本
(2023年3月期)
親会社株主に帰属する当期純利益 205億円(国内外子会社の減損損失約120億円含む)
自己資本 1,855億円
(2022年3月期)
親会社株主に帰属する当期純利益 319億円
自己資本 1,830億円
なお、中期経営計画2026(2024年3月期~2026年3月期)では、グループ全体でROICおよびROEの目標値を設定しております。詳細は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
該当事項はありません。
該当事項はありません。