第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第22期

第23期

第24期

第25期

第26期

決算年月

2020年7月

2021年7月

2022年7月

2023年7月

  2024年7月

売上高

(千円)

3,531,535

5,095,654

4,522,656

5,659,947

6,475,089

経常利益

(千円)

277,085

603,831

471,929

511,716

601,122

当期純利益

(千円)

68,353

415,251

312,915

365,879

405,173

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

33,000

33,000

33,000

33,000

119,043

発行済株式総数

(株)

3,160

3,160

3,160

3,160

1,012,500

純資産額

(千円)

1,969,817

2,391,498

2,704,413

3,045,293

4,100,816

総資産額

(千円)

6,080,864

6,049,626

6,389,813

7,667,228

8,403,562

1株当たり純資産額

(円)

787,926.81

956,599.55

3,605.89

4,060.39

4,050.19

1株当たり配当額

(1株当たり中間配当額)

(円)

10,000.00

20,000.00

85.00

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

27,341.35

166,100.48

417.22

487.84

533.72

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

476.22

自己資本比率

(%)

32.4

39.5

42.3

39.7

48.8

自己資本利益率

(%)

3.7

19.0

12.3

12.7

11.3

株価収益率

(倍)

4.8

配当性向

(%)

8.0

13.7

15.9

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

222,165

737,339

296,362

136,674

876,591

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

283,268

235,175

789,756

266,574

64,940

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

283,632

463,739

265,950

142,114

466,855

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,342,270

1,380,694

1,153,250

1,165,464

2,443,971

従業員数
〔外、平均臨時雇用者数〕

(名)

63

69

79

88

99

-〕

-〕

-〕

-〕

-〕

株主総利回り

(%)

(比較指標: - )

(%)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

最高株価

(円)

3,355

最低株価

(円)

2,562

 

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.第22期から第25期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。また、第26期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、当社株式は2024年7月18日付で東京証券取引所スタンダード市場に上場したため、新規上場日から第26期の末日までの平均株価を期中平均株価とみなして算定しております。

3.第22期から第25期の当社株式は非上場であるため株価収益率を記載しておりません。

4.主要な経営指標等のうち、第22期及び第23期については会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。

5.第24期から第26期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。

6.当社は、2024年3月13日開催の取締役会決議により、2024年5月1日付で普通株式1株につき300株の割合で株式分割を行っております。第24期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算出しております。なお、1株当たり配当額は株式分割前の金額を記載しております。

7.当社は、第22期の期首(2019年8月1日付)において、有限会社アドレ・エステートを吸収合併しております。当社は同社の100%子会社であったため、当社株式2,500株を新たに発行し、同社株式と1:1の割合で交換しております。

8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第24期の期首から適用しており、第24期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。

9.2024年7月18日付をもって東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場しましたので、第22期から第26期までの株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。

10.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。なお、2024年7月18日付をもって同取引所に株式を上場しましたので、それ以前の株価については記載しておりません。

 

 

2 【沿革】

 当社は、1998年山口県山口市において、建築設計・施工業務を目的として、現代表取締役会長である杉田茂樹が個人開業した「カドス・コーポレーション」が前身であります。

 翌年の1999年同所において、流通店舗(コンビニエンスストア、ドラッグストア、飲食店等)の建築設計・施工に特化した「有限会社カドス・コーポレーション」を設立し、その後2004年に株式会社に組織変更しております。

 開業以後の当社に係る経緯は、次のとおりであります。

 

年月

概要

 1998年11月

杉田茂樹が「カドス・コーポレーション」を屋号とする建設業を個人開業し、設計施工業務を開始

 1999年 2月

山口県吉敷郡小郡町黄金町(現 山口県山口市小郡黄金町)に流通店舗の設計施工を主とする建築設計事務所である有限会社カドス・コーポレーションを資本金5,000千円で設立

 1999年 2月

一級建築士事務所登録

 1999年 3月

一般建設業許可を取得し、流通店舗の設計施工請負を開始

 2000年 6月

自社建築物件の賃貸を開始

 2002年11月

宅地建物取引業許可を取得、土地活用から建築までのトータルプロデュースを開始

 2004年 2月

業容拡大に伴い、資本金10,000千円に増資し株式会社カドス・コーポレーションに組織変更

 2004年 7月

資本金33,000千円に増資

2004年 8月

特定建設業許可を取得

 2004年12月

不動産事業を受け持つ会社として、子会社有限会社アドレ・エステートを設立

 2011年 9月

広島県広島市に広島出張所を開設

 2013年 5月

長崎県諫早市に諫早出張所を開設

 2014年 8月

広島県福山市に福山営業所を開設

 2015年10月

諫早出張所を諫早営業所に昇格

 2016年 2月

有限会社アドレ・エステートが小野田太陽光発電所の売電を開始

 2017年12月

広島出張所を広島営業所に昇格

 2019年 8月

株式会社カドス・コーポレーションを存続会社として、有限会社アドレ・エステートを吸収合併

 2021年 1月

経営資源の選択と集中を図るため、諫早営業所を閉鎖

  2022年 8月

代表取締役社長杉田茂樹が代表取締役会長、常務取締役工藤博丈が代表取締役社長に就任

 2024年 7月

東京証券取引所スタンダード市場に上場

 2024年 7月

資本金119,043千円に増資

 

 

 

3 【事業の内容】

当社は、「お客様の発展を願うことが我社の発展の鏡と心得、共生と共栄を目指します」の企業理念のもと、「この街にこんなお店があれば便利だな」「この街にあのお店ができれば嬉しいな」という地域の声を形にし、地域の街づくりに貢献する企業のひとつとして、地域の価値向上を目指した事業を行っております。具体的には建設事業と不動産事業の2つを柱とする事業展開を行っております。両事業の区分は「第2 事業の状況」や「第5 経理の状況」において示すセグメントの区分と同一であります。各事業の具体的内容は次のとおりであります。

 

(1)建設事業

当社は、建設事業として、山口県・広島県を中心に主として流通店舗の設計施工を行っております。なお、当社は元請を主としており、実際の施工は当社の協力会社(下請会社)が行っております。

創業以来、土地の有効活用を希望する土地オーナーの情報、事業に適した用地の情報、新しい事業展開のために拠点を求めるテナント企業の情報を収集してまいりました。これらの情報をもとに、土地オーナーとその土地に適したテナント企業を引き合わせ、双方のニーズをつなげることで建築工事の受注に結び付けるビジネスモデルを「カドスLANシステム」と呼び、当社にとって強みと言えるビジネスモデルであると考えております。これにより、土地の特性に合わせた最適な事業プランの提案から店舗の設計施工、テナント企業の出店までをトータルプロデュースしております。なお、社名の「CADOS」は、「onstruct=建設」「rchitecture=建物」「esign=設計」「f」「urvey=測量」の頭文字を組み合わせて命名したものであり、「カドスLANシステム」の「LAN」は、「and=土地」「pplication=活用」「etwork=情報網」の頭文字を組み合わせて当社が作った造語です。いずれも、土地活用の提案から設計・施工までをトータルプロデュースするという、当社の事業スタンスを意図して表現しております。

競合企業の多くが、テナント企業の出店が決定した案件の施工を請負うことに集中しているのに対し、当社は創業当初から土地を活用したい土地オーナーへのアプローチを進め、活用することについて、土地オーナーから承諾を得た土地の情報を店舗設計図案とともにテナント企業に紹介し、土地の賃貸借契約につなげるマッチングを進めてまいりました。その結果、出店用地を探したいテナント企業の評価や土地を活用したいと考える土地オーナーの認知度も高めることができました。土地オーナーとテナント企業のマッチングは、テナント企業からの特命受注につながり、競合他社との価格競争も回避できております。また、当社は、店舗施工後においても物件の修繕対応や物件の土地オーナーとの関係性構築を行っております。土地オーナーとの関係性構築の一環として、土地オーナーそれぞれに管理番号を設定のうえ賃貸借契約管理書(管理カード)の発行を行っており、管理番号により物件名や担当者を即時に把握し、適切な対応を行えるようにしております。当社では、賃貸借契約締結後においても、土地オーナーに直接テナント企業から連絡があった場合には内容を確認し、テナント企業との面談に同席を行うなど、必要なアドバイスも行っており、また土地オーナーが所有する他の土地の相談等に応じるなど、土地オーナーのアフターケアを行うことで、賃貸借契約満了時には当社で新たな土地活用方法を提案し、永続的なトータルコーディネートを行うべく事業を推進しております。上記の賃貸借契約管理書(管理カード)を発行したオーナーを施工物件土地オーナーとして管理しており、2024年7月期末現在の管理数は252人(社)となりました。また、当社が土地オーナーから土地活用の依頼を受け、テナント企業に土地の紹介と出店の提案を行い、出店の合意をもとに土地オーナーとテナント企業が土地賃貸借契約を締結するまでのマッチング期間の中間値(2021年7月期~2024年7月期)は約4か月(120日)であります。契約締結までに2か月を要しないケースもあり、早期の契約締結が実現できておりますが、地域環境の変化や競合企業の参入などにより、ビジネス機会を逃すことのないよう、今後もマッチング期間の短縮は重要であると認識しております。

2024年7月期の完成工事高(売上高)は4,868百万円、新築工事件数(売上計上分)は31件、新築完工件数(施主引渡分)は22件(ドラッグストア11件(50.0%)、飲食店4件(18.2%)、その他店舗3件(13.6%)、事務所2件(9.1%)、コンビニエンスストア2件(9.1%))であり、売上高のうち、当社のメインターゲットであるナショナルチェーン(山口県隣県以外にも出店しているチェーン店)店舗関連は4,299百万円(88.3%)、ナショナルチェーン以外のローカル店舗(地場企業、オフィス・事業拠点など)関連が568百万円(11.7%)でありました。

当社設立から2024年7月期までの新築完工件数の累計は533件(コンビニエンスストア165件(31.0%)、飲食店131件(24.6%)、ドラッグストア97件(18.2%)、その他店舗80件(15.0%)、オフィス・事業拠点60件(11.3%))と実績を積み上げております。ナショナルチェーンの件数は423件(79.4%)、ナショナルチェーン以外のローカル店舗は110件(20.6%)であります。ブランド数は171件であり、ナショナルチェーン80件(46.8%)、ローカル店舗91件(53.2%)であります。1ブランド当たり平均店舗数は3.1店舗であり、ローカル店舗1.2店舗に対し、ナショナルチェーンは5.3店舗と4倍超となっております。

ナショナルチェーン423件のうち、同一ブランド10店舗以上のブランドは9ブランド295件(69.7%)、同一ブランド3店舗以上(~9店舗)は16ブランド59件(13.9%)、同一ブランド3店舗未満のブランドは55ブランド69件(16.3%)であります。

交通要地という好立地の提供・紹介により、ナショナルチェーンの割合は着実に上昇しております。また、ナショナルチェーンの割合を増やすことで、当社が営業エリアを拡大する際には一からテナント企業を開拓することなく、新たな営業エリアでも既存エリアのテナント企業に営業活動が可能となることから、営業エリア拡大にも寄与するものと考えております。

 

(2)不動産事業

当社の不動産事業は、建設事業の営業活動の中で土地オーナーとテナント企業とのニーズがマッチングしないケースがあることから、当社が両社の間に入り双方のニーズをつなぎ合わせることで案件を成立させております。例えば、土地オーナーの希望は土地の賃貸、テナント企業の希望は建物の賃借の場合では案件は成り立ちませんが、当社が土地オーナーより土地を賃借し、当社費用で建物を建築のうえテナント企業に土地・建物を賃貸(建貸)することで双方のニーズがマッチングします。また、土地オーナーの中には、テナント企業と直接賃貸借契約を結ぶことに不安を持たれる方もおられますので、当社が土地オーナーから土地を賃借してテナント企業に転貸することで、テナント企業から店舗施工の受注につながるとともに不動産賃貸収入を得られる場合もあります。これらのビジネスモデルにより、土地オーナーとテナント企業のマッチングを促進させ、店舗施工の受注成約率を高めるとともに、当社にとって長期安定収入となる不動産賃貸収入を得ております。また、中古の店舗・事務所・ビル等を取得し、必要な改装等を施したうえでの賃貸、出店を予定している企業と土地オーナー間の不動産売買の仲介、保有設備である太陽光発電システムによる売電も不動産事業として展開しており、建設事業と不動産事業の両輪でビジネス機会を最大化する構造を構築しております。さらに、収益規模の拡大を目的とし、採算性を十分に検討したうえでの不動産売買にも着手しております。

なお、当社の不動産事業における不動産賃貸借パターンは以下のとおりであります。

1.土地オーナーから当社が土地を賃借し、当社費用で建物を建設のうえ当社が土地建物をテナント企業に賃貸するケース

2.土地オーナーから当社が土地を賃借し、当社がテナント企業に土地を賃貸するケース

3.土地オーナーから当社が土地を購入し、当社がテナント企業に土地を賃貸するケース

4.土地建物オーナーから当社が土地建物を購入し、当社がテナント企業に土地建物を賃貸するケース

5.土地オーナーから当社が土地を購入し、当社費用で建物を建設のうえ当社が土地建物をテナント企業に賃貸するケース

6.土地オーナーから当社が土地を賃借し、自社で運用するケース:駐車場など

7.土地建物オーナーから当社が土地建物を賃借し、当社がテナント企業に土地建物を賃貸するケース

8.建物オーナーから当社が借地上の建物(敷地の借地権含む)を購入したうえで、土地オーナーから当社が土地を賃借し、当社がテナント企業に土地建物を賃貸するケース

9.土地オーナーから当社が土地を購入し、自社で運用するケース:太陽光発電所など

同事業は、山口県及び広島県を中心に事業展開しており、2024年7月期の不動産事業売上高は1,606百万円(対象物件数は93件)であり、内訳は、建物賃貸収入1,056百万円(65.8%)、土地賃貸収入257百万円(16.1%)、不動産販売収入250百万円(15.6%)、その他収入41百万円(2.6%)でありました。

 

当社は、建設受注と不動産賃貸の両面からアプローチすることにより、例えば当社が不動産を賃借することで建設受注にもつながるなど、建設事業と不動産事業の複合案件を生み出し、不動産賃貸による不動産収入の獲得、さらには期間満了後には新たな建設受注の獲得も期待できることから、将来にわたって長期間安定した不動産収入と建設受注を獲得しうる事業構造(プラットフォーム)を確立しております。事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 


 

4 【関係会社の状況】

  該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

 2024年 7月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

99

45.3

6.3

6,042

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

建設事業

76

不動産事業

4

全社(共通)

19

合計

99

 

(注) 1.従業員数は他社から当社への出向者1名を含む就業人員数であります。

   2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

     3.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

  4.従業員数は、前事業年度末に比べ11名増加しております。これは主に事業の拡大と管理体制強化を目的とした新規採用であります。

 

(2) 労働組合の状況

当社には労働組合はありませんが、労使関係については、円滑な関係にあり特記すべき事項はありません。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。