第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「いのちの力になりたい」を理念に掲げ、メディカルウェアの企画・生産・販売を通じて、人の生命と健康に貢献する企業を目指しております。

 生命と健康との関わりが最も深い医療・介護従事者と患者・高齢者の間にあって、医療とは何か、看護とは何か、介護とは何かを奥深く理解することを原動力とし、より優れた製品を世に送り出す喜びを共感することを基本理念としております。加えて、より多くの投資家へ向けたIR活動を積極的に行い、株主への利益還元の充実を経営の重要課題のひとつと認識し、成長機会へのキャッシュの再投資、自社株買い及び配当によるキャッシュの還元の充実により、企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としております。

(2)目標とする経営指標

 当社グループとしては、売上高営業利益率及び株主資本利益率(ROE)の長期的な向上を重要な経営指標と考えております。

(3)中長期的な会社の経営戦略

① コア市場の深耕

 当社のコア市場であるヘルスケアウェア、ドクターウェアにおいて、高感覚のハイエンド商品群、高機能の高付加価値商品群を商品企画開発の柱として商品ラインナップの充実を図るとともに、販促活動及びプロモーション活動を強化し、市場での買い替え需要を喚起いたします。

 また、時代の流れに即した新しい販売チャネルの構築に向けても経営資源を投入してまいります。

② 周辺市場のシェア拡大

 手術ウェアにおいては、医療廃棄物削減が医療機関の大きな環境課題と捉え、米国スタンダードテキスタイル社との技術提携による再利用可能な環境対策医療資材商品「コンペルパック」の市場浸透に注力し、手術ウェアにおけるシェア拡大を図ります。

 患者ウェアにおいては、利用者の視点に立った高感度、高機能商品の開発、市場投入を行い、市場の成長を享受すべく努力を引き続き行ってまいります。

③ 海外ビジネスの開拓

 海外市場においては、東アジアを中心として販売活動を行っておりますが、着実に市場での当社認知度は高まってきており、国内で培ったノウハウを活かしたビジネスモデルの海外展開により、業容拡大を目指してまいります。

④ 感染対策商品の開発

 メディカルウェアの専門メーカーとして、当社が培ってきたノウハウを活かした感染対策商品の開発に積極的に取り組み、医療現場支援に向け努力してまいります。

⑤ 国内・海外での生産施策

 国内生産においては、少子高齢化の流れを見据え、連結子会社のナガイ白衣工業㈱との連携を強化し、グループ全体の経営効率化を図り、多品種小ロット生産に対応する効率的な生産体制と、高品質・高付加価値・短納期の商品供給体制を強化します。

 国外生産においては、為替の変動や東南アジア諸国の発展に伴う人件費の上昇やカントリーリスクを見据え機動的な為替先物予約や適地生産を柔軟に行うことで安定供給を強固にし、原価の維持、低減を図ってまいります。

⑥ 企画・生産・販売の一貫体制による高利益率の持続的な向上

 当社グループといたしましては、企画・生産・販売の連携をより一層強化し、高利益率な経営体質の継続的な向上に取り組んでまいります。

 

(4)経営環境

 2025年8月期の医療、介護を取り巻く環境といたしましては、インフレ影響の長期化により物価上昇の影響を受け、厳しい経営環境が続くものと考えられます。

 売上高に関しましては、前年同期比6.6%増の17,500百万円を目指します。コア市場では、前期からズレ込んだ更新案件と大口案件の見通しが立っていること、前期更新が厳しかった低価格市場に海外一貫の戦略新商品を投入し更新遅れを防ぐこと、及び前期からの新ブランド「マッキントッシュ フィロソフィー」の市場浸透により増収を図って参ります。周辺市場では、取組みの拡大している患者ウェア新商品の拡販に加え既存品の補充需要も期待されます。また手術ウェアではコンペルパックとリース化の推進に注力いたします。海外市場では、前期に引続き洗濯アウトソーシングの普及とEC直販によるビジネスモデルの確立を目指してまいります。

 生産に関しまして、インフレによる原材料価格の高止まり、国内最低賃金の見直しの継続による人件費の上昇も見込まれる中、海外素材の活用と海外生産へのシフトを進めることで、原価低減に努めてまいります。また国内外の物流費の高騰が予想されるものの物流体制の見直しを進めコスト低減に努めます。一方、価格改定の浸透が進むことで利益の改善が予想されるものの、為替相場での円安急進などの外部環境の急変によっては、原価への影響が大きく現れる可能性もあります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループでは、厳しい経済環境のなか、遵法精神に基づいた顧客サービスの向上を経営上の課題ととらえ、以下の諸施策を推進することにより市場での競争優位性の確保と更なるシェアアップを目指しております。

① 営業  コア市場の深耕によるシェアアップ、周辺市場での業容拡大、海外市場の開拓及び時代に即した新販売チャネルの構築、広告宣伝活動の強化

② 企画  高機能性、高感性、高品質、環境保護を追求した高付加価値商品の企画開発

③ 物流  QR体制促進のための物流効率の見直し、コスト低減及び出荷精度の向上

④ 生産  製品の品質向上並びに短納期体制の確立及びコスト削減を重視した生産効率の見直し

⑤ 管理  企業価値の向上のための経営環境の変化に対応した意思決定のスピードアップ、事務効率の向上及び情報の有効活用と情報管理の徹底のための環境整備

 また、当社グループは、ISOマネジメントシステムを利用し、品質についてはISO9001の運用を徹底し、継続的な顧客サービスと顧客ニーズを把握した商品提供を進めており、環境面においては、ISO14001の運用に取り組んでまいります。また、情報の有効活用と情報管理の徹底のために、社内ルールの作成・更新に取り組んでおります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

 当社は、「いのちの力になりたい。」を理念に掲げ、人の「和」を社是としております。

 人と、企業利益(企業成長)と、社会貢献、それぞれがバランス良く熟成してこそ、社会に求められる企業集団になると考えております。さらに、「ナガイズム」ともいえる4つの行動指針があります。人を信じること、原理原則を探求し、ぶれないこと、永続する成長ビジネスモデルをつくりあげること、そして、周囲への感謝を忘れないこと。「ナガイズム」とは、これらの人材を作り続ける集団力。当社はこれらの理念・指針に基づき、もっと人に、深く、広く、健康一般へ、人と健康のあらゆる分野へ、活動の場を広げていくことで当社の持続的成長につながるものと考えております。

 当社の商品の多くは枯渇性資源に由来する素材を使用しており、繰り返し・永く使用できる商品として企画・製造・販売することで、限りある資源の有効活用、環境負荷の低減につながるものと考えております。たとえば、当社の商品の一つ「COMPELPAK」では、使い捨て材料の多く使われる手術現場に、繰り返し洗濯・滅菌して使用できるウェアを提供することで、医療廃棄物の削減にもつながるものとなります。

 また、本社を対象にISO14001を2005年に取得し、環境マネジメントシステムの構築・推進を通じて、社内での環境意識の浸透に努めております。

 なお、当社のサステナビリティに関する具体的な取り組みについては当社ホームページ SDGs, CSR 説明資料(https://www.nagaileben.co.jp/ir/csresg/)に記載の通りであります。

 

(2)サステナビリティに関する取組の状況

① ガバナンス

 当社グループのサステナビリティに関する経営課題への取り組みについては、年1回開催される中長期経営会議において、中長期的な企業価値向上の視点で協議を行っております。

 気候変動に関する課題については、環境推進室を設置し、グループ全体の環境問題対策に係る新規事業の調査・検討及び企画立案を推進しております。

 各取り組みの対応状況は、原則毎週開催される経営会議で確認を行い、必要に応じて取締役会に報告しております。

 当社グループは、企業の持続的成長におけるコーポレート・ガバナンスの重要性を認識しており、取引の公正・適正の確保に努めるとともに、経営の透明性、健全性を高めつつ、事業環境の変化に対応できる体制の構築に努めております。

 

② リスク管理

 当社グループは、事業全般の各リスクについて、各取締役がリスク管理責任者となり、業務上発生しうるリスクの予防措置、発生したリスクの初動対応について管理・執行をし、経営会議等にて報告する体制をとっております。また、新たに生じたリスクについては取締役会において速やかに対応責任者となる取締役を定めております。取締役及び従業員は、具体的リスクを積極的に予見し、リスクの種類、想定されるシナリオ、発生頻度及び損害の程度を適切に評価するとともに、当社グループにとって最小のコストで最良の結果が得られるよう、その回避、低減及び移転その他必要な措置を事前に講じることとしております。なお、組織横断的リスク状況の監視及び全社的対応は当社総務部が行うものとしております。

 

③ 戦略

 当社はグループの気候変動に関するリスクと機会の分析の結果としまして、現時点では事業活動に対して気候変動問題が重大な影響を及ぼす可能性は低いと判断をしております。当社の商品のほとんどは使い捨てではなく何回も利用できるリユース商品であり、おおよそ3年から4年のサイクルで買替が発生するユニフォームであることから、さらなる長寿命化や環境配慮設計(快適機能性繊維製品による冷暖房使用抑制や汚れの落ち易さによる節水・洗濯時間短縮、リサイクルのしやすい製品設計等)に成功すれば、気候変動課題解決に貢献できるものと考えております。また、現在手術室で多用されている使い捨てのガウン等が、当社の商品である50~80回程度繰り返し洗濯・滅菌し使用できるリユースのガウン等に置き換わることで、気候変動課題解決に貢献するとともに、収益拡大にも寄与するものと考えております。

 また、急性の物理リスクである異常気象の激甚化に対しては、ハザードマップにて各拠点の洪水想定浸水を確認し、必要に応じた対策を進めております。

 

④ 指標と目標

 当社はグループの気候変動に係る指標として、現時点では事業運営における電力消費を中心としたCO2排出量を想定し、各事業活動におけるデータの収集などを進め、基本方針の策定に向けた取り組みを進めております。

 

(3)人的資本

① 戦略(人材育成方針・社内環境整備方針)

 当社グループは、会社にとって最大の資産は「人」と考え、全社会議等の様々な機会を通じ、社員一人ひとりに企業理念の浸透、経営への参画意識を高める取組みを推進しております。また、性別、年齢、国籍で差別せず、経験・技能・属性に応じた階層別(新入社員、管理職等)研修及び職能別研修を定期的に実施し、OJTと合わせ人材育成強化に努めるとともに、管理本部総務部総務課が主体となり、従業員エンゲージメント向上のための継続的な昇給(継続的ベースアップ、賞与アップ)や永年勤続表彰制度、若年層生活支援など、社内体制整備にも継続的に取り組む方針であります。

 

② 指標と目標

 当社は、性別、年齢別、国籍別で差別せず、経験・技能・属性を反映した多様な人財を確保し、会社の持続的な成長が図れるよう努めております。また障害者雇用も積極的に行っております。具体的には、生産現場において、多くの女性が縫製作業に携わっており、女性の割合はグループ全体で66%を占めております。女性の管理職は現在2名であります。

 また、当社単体での新卒採用においても女性採用を積極的に行っており、過去10年の新卒採用においても44%以上が女性であります。引き続き女性の採用を継続していくことで、女性比率の向上と管理職登用も将来的に見込まれるものと考えております。

 中途採用者につきましては、全体の61%を占めており、管理職における中途採用者の割合は50%を超えております。現状、外国人管理職の登用は1名でありますが、外国籍を保有している従業員も複数在籍しております。引き続き優秀な人材については性別、国籍等の属性に依ることなく積極的に採用していく方針です。

 なお、当社は、女性の管理職への登用につきましては、現状以上とすることを目標とし、社員の育成に努めております。また、中途採用者及び外国人の管理職への登用につきましては、基本的に国籍、年齢に関係なく必要とされる経験や能力に基づく登用を行っているため、目標を設定しておりません。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

① カントリーリスク

 当社グループでは、一部の商品については海外で縫製しております。海外の生産拠点において、政治・経済情勢の悪化、政変、治安の悪化、テロ・戦争の発生により生産活動に問題が生じた場合には、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 為替リスク

 当社グループでは、輸入決済を外貨建てとしております。先物予約により為替リスクを軽減するための手段を講じておりますが、急激な為替レートの変動は財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 天災リスク

 当社グループでは、生産・販売・物流のネットワークシステム及び生産ラインの中断による潜在的なリスクを回避するため、データのバックアップ及び災害防止検査と設備点検を実施しておりますが、天災等により売上の低下、コストの増加を招き、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 有事リスク

 火災、停電、戦争、感染症の伝染等が発生した場合、当社グループの事業運営及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらリスクに備え、事業継続のための対策チームの設置など、従業員の安全の確保を行うとともに、医療現場で必要とされる当社グループ製品の安全供給のための体制を整備し、リスクの低減に努めております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や、インバウンド需要の増加などにより緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢での地政学上のリスクの深刻化、原材料及びエネルギー価格の高騰や円安による物価高など、先行き不透明な状態が続いております。

 医療・介護を取り巻く環境としましては、インフレによる資材購入費や光熱費などの支出増に加え、患者数の減少、新型コロナウイルス感染症対策補助金の終了に伴う収入減により、医療施設等の経営環境は大変厳しい状況となりました。今回の診療報酬本体及び介護報酬改定は各々+0.88%、+1.59%とプラス改定となったものの、従事者の待遇改善への分配分が大きく、経営改善に活用できる実質的な財源は限定的と見られております。また、諸物価高騰や人件費のコストアップは、医療・介護機関のみならず業界のサプライヤーへの影響も大きく、全体として厳しい状況で推移しております。

 このような状況のもと、当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の売上高は、前年同期比4.5%の減収と厳しい結果となりました。第2四半期累計の△6.8%に対し、第3四半期及び第4四半期の合計は△2.5%と減収率は減少し回復基調ではあったものの、増収までには至りませんでした。主力のコア市場においては、更新案件の値上げ交渉に時間を要し、特に価格競争の厳しい低価格市場における期ズレ案件が顕著に発生し、△6.4%と大幅な減収となりました。また周辺市場では、患者ウェアが業界の厳しい経営環境を受け補充需要が減少したものの、期中での新規取組みの開始により売上は回復し、ほぼ前年並みの売上高となりました。一方、海外市場は日本におけるビジネスモデルの着実な浸透により、規模は小さいものの+12.5%と大幅な増収となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高につきましては16,412百万円(前年同期比4.5%減)、営業利益は4,004百万円(同13.0%減)、経常利益は4,074百万円(同12.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,822百万円(同12.5%減)を計上いたしました。

 

 なお、当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

(財政状態)

a. 資産

 当連結会計年度末の総資産は46,727百万円となり、前期比650百万円の減少となりました。

 流動資産は38,285百万円となり、前期比709百万円の減少となりました。これは主に、現金及び預金の減少809百万円、受取手形及び売掛金の減少223百万円、棚卸資産の増加531百万円、電子記録債権の増加249百万円等によるものであります。

 固定資産は8,441百万円となり、前期比59百万円の増加となりました。

 有形固定資産は7,313百万円となり、前期比1百万円の増加となりました。

 無形固定資産は72百万円となり、前期比12百万円の増加となりました。

 投資その他の資産は1,055百万円となり、前期比45百万円の増加となりました。

b. 負債

 負債の合計額は4,029百万円となり、前期比133百万円の減少となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の減少308百万円、未払法人税等の減少117百万円、その他流動負債の増加307百万円等によるものであります。

c. 純資産

 純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を2,822百万円計上した一方、株主還元としての配当金1,926百万円の実施等により42,697百万円となり、前期比516百万円の減少となりました。

 以上により、自己資本比率は、前連結会計年度末の91.2%から91.4%になりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は5,349百万円となり、前連結会計年度末より2,409百万円減少(前連結会計年度は2,298百万円の増加)いたしました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は2,286百万円(前連結会計年度は1,812百万円)となりました。

 主な増加要因は、税金等調整前当期純利益4,074百万円(同4,671百万円)、減価償却費266百万円(同272百万円)、売上債権の減少36百万円(同67百万円)、減少要因は、棚卸資産の増加531百万円(同1,173百万円)、法人税等の支払1,345百万円(同1,620百万円)等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,769百万円(前連結会計年度は3,417百万円の獲得)となりました。

 主な減少要因は、定期預金の払戻に対する預入の超過支出1,600百万円(前連結会計年度は預入に対する払戻の超過収入3,700百万円)、有形固定資産の取得による支出142百万円(同258百万円)等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は2,929百万円(同2,935百万円)となりました。

 主な要因は、配当金の支払額1,925百万円(同1,935百万円)、自己株式の取得による支出額1,453百万円(同373百万円)であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであります。

セグメントの名称(千円)

当連結会計年度

(自 2023年9月1日

 至 2024年8月31日)

前年同期比(%)

メディカルウェア等の製造・販売事業(千円)

7,895,903

98.9

(注)生産金額は、製品製造原価によっております。

 

b. 商品仕入実績

 当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであります。

セグメントの名称(千円)

当連結会計年度

(自 2023年9月1日

 至 2024年8月31日)

前年同期比(%)

メディカルウェア等の製造・販売事業(千円)

2,258,411

90.2

(注)商品仕入金額は、実際仕入価格によっております。

 

c. 受注実績

 当社グループは、見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。

 

d. 販売実績

 当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであるため、市場別情報を記載しております。

市場別(千円)

当連結会計年度

(自 2023年9月1日

 至 2024年8月31日)

 

 前年同期比(%)

 

コア市場

11,640,601

93.6

周辺市場

4,508,346

100.0

海外市場

263,713

112.5

合計(千円)

16,412,661

95.5

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年9月1日

 至 2023年8月31日)

当連結会計年度

(自 2023年9月1日

 至 2024年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ワタキューセイモア㈱

3,533,832

20.6

3,410,208

20.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

a. 売上高

 売上高につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績)」に記載のとおりであります。

b. 売上総利益

 売上総利益につきましては、7,028百万円(前年同期比6.9%減)となりました。生産面におきまして、前年同様、度重なる資材類の価格改定を受けて、原材料価格の高騰の影響を大きく受けました。また国内生産においては、最低賃金の引き上げに伴い人件費の上昇の影響を受けました。一方、海外生産においては、急激な円安の進行がありましたが、為替先物予約により原価上昇の影響の低減を図りました。売上高総利益率は、海外生産シフトおよび価格改定等の利益率改善施策の結果、前年同期比1.1ポイントダウンの42.8%となりました。

c. 販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費につきましては、賃金引き上げ等による人件費の増加等により、3,024百万円(前年同期比2.8%増)となりました。

 以上の結果、営業利益につきましては、4,004百万円(前年同期比13.0%減)となりました。

d. 営業外損益

 営業外収益は122百万円(前年同期は118百万円)、営業外費用は52百万円(前年同期は50百万円)となりました。

 以上の結果、経常利益につきましては、4,074百万円(前年同期比12.8%減)となりました。

e. 特別損益

 特別損失は0百万円(前年同期は1百万円)となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2,822百万円(前年同期比12.5%減)となりました。

 

(財政状態)

 財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(財政状態)」に記載のとおりであります。

 

(経営成績に重要な影響を与える要因)

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループは、企業体質の強化を図りながら持続的な企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。

 当社グループの資本の財源は、主に営業活動によるキャッシュ・フローで生み出した資金を源泉とし、運転資金及び設備資金は自己資金で賄っており、当連結会計年度の設備投資につきましては、主に物流設備や建物関連への投資を行いました。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 なお、重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの2025年8月期は売上高175億円、営業利益40億82百万円、中期経営計画として2027年8月期は売上高188億円、営業利益48億円を目標としております。

 その達成のため、市場戦略としてコア市場の深耕、周辺市場のシェア拡大、海外市場の開拓、商品戦略としてハイエンド/高付加価値商品の展開、海外素材/海外工場を活用した低価格戦略商品の開発、生産戦略として生産の海外シフト化による原価低減、また顧客満足度を高めるため国内生産QR/多品種小ロット追求といった取り組みを進めてまいります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術援助契約

 当社グループ(契約の締結者は当社)が締結している主な技術援助契約は次のとおりであります。

相手先

契約品目及び内容

契約発効日

契約期間

東レ株式会社

アツロウタヤマ・デザインの使用にかかわる医療従事者・患者・福祉従事者・要介護者等が使用する商品各種の製造・販売に関する権利の許諾に関する契約

1999年11月1日

自 1999年11月1日

至 2002年8月31日

(注)2

STANDARD TEXTILE

CO.,INC. (米国)

サージカルテキスタイル製品の製造・販売の技術と知識供与並びに許諾商標の使用権利に関する契約

2020年9月1日

自 2020年9月1日

至 2025年8月31日

(注)3

株式会社ディック・ブルーナ・ジャパン

「ミッフィー他 ディック・ブルーナ創作のイラストレーションを使用したヘルスケアユニフォーム」を商品化する権利に関するライセンス契約

2022年1月1日

自 2022年1月1日

至 2024年12月31日

(注)4

八木通商株式会社

株式会社マッキントッシュジャパン

「MACKINTOSH PHILOSOPHY」ブランド商品の医療・介護用ユニフォーム等の製造及び販売に関する権利の承諾に関する契約

2023年6月1日

自 2023年6月1日

至 2027年12月31日

(注)5

 

(注)1.上記についてはロイヤリティとして売上高の一定率を支払っております。

2.2015年9月1日以降1年毎の契約を自動更新しております。

3.5年毎に更新し、現在は2020年9月1日から2025年8月31日までの契約を締結しております。

4.3年毎に更新し、現在は2022年1月1日から2024年12月31日までの契約を締結しております。

5.5年毎に更新し、現在は2023年6月1日から2027年12月31日までの契約を締結しております。

 

(2)契約の終了

 当連結会計年度において、終了した契約は以下のとおりであります。

相手先

契約品目及び内容

契約発効日

契約期間

ユニチカトレーディング株式会社

花井幸子のデザイン及び情報により医療用ユニフォームの製造・販売または許諾商標を付した製品販売の独占実施権の許諾に関する契約

1982年12月1日

自 1982年12月1日

至 1984年8月31日

(注)1

株式会社資生堂

資生堂ビューティークリエーションセンターの監修による医療従事者・介護従事者・その他医療関連従事者および患者向けユニフォーム「ブライトデイズ」ブランド商品の共同開発ならびに販売促進のためのプロモーション活動および企画提案に関する契約

2018年6月1日

自 2018年6月1日

至 2021年8月31日

(注)2

(注)1.1994年8月31日以降1年毎の契約を自動更新しておりました。

 2.2021年9月1日以降3年毎の契約を自動更新しておりました。

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動の方針は、ユーザー第一主義に基づき、ユーザーを良く知り、ユーザーに喜んでいただける商品を提供することであります。医療・介護供給体制の変化、ファッションの多様化、医療の高度化等、市場の変化に応じて要求される高感覚、高機能、高品質商品の開発を目的に、商品企画室において①営業本部、マーケティング室と連動したマーケティング活動、②素材の共同開発、③新商品企画を実施しております。

 

①マーケティング活動

 マーケティングリサーチにより、医療・介護行政、業界の動向、施策を把握し、現場を中心としたユーザーニーズを融合させることで、市場開発、商品開発テーマの絞り込みが行われます。

 当連結会計年度におきましては、医療・介護市場に対し、新型コロナウイルスの5類移行後の影響、インフレによる物価上昇の影響、診療報酬・介護報酬改定の影響の調査を行ってまいりました。また機能分化が進む医療、介護業界においてはそのニーズも多様化してきており、今後さらにきめ細かい市場調査を推進していく予定です。

 

②素材開発

 マーケティング活動により策定されたテーマを具現化するため、素材メーカー及び仕入先メーカーと素材の共同開発を行っております。

 当連結会計年度におきましては、EPA,FTAの優遇税制を活用した海外素材開発を行い、なお次年度には海外素材と海外縫製を組み合わせた、ボリュームゾーンへの戦略新商品の投入を予定しております。

 

③新商品企画

 開発素材をベースに商品試作が行われます。素材特長を活かし、ファッショントレンドを反映したデザイン作成、人間工学に基づいた機能性を追求したパターン作成を行い、商品サンプルが作られます。サンプルは、使用状況を考慮した幾度もの厳しい物性試験、モニター活動によるユーザー評価による改良を繰り返し、最終的な新商品となります。

 新商品は、ナガイレーベン㈱のCADシステム(コンピューターによるデザインシステム)とナガイ白衣工業㈱のアパレルCAD・CAM(コンピューターによるデザイン及び自動裁断システム)をオンライン化することで、迅速かつ正確に商品仕様を生産部門に伝達することが可能となっております。

 当連結会計年度の新商品実績としては、コア市場に新たなブランドとして「MACKINTOSH PHILOSOPHY」を導入致しました。医療・介護機関は患者・利用者が緊張感を和らげリラックスして過ごせる環境、高い安心感を得られる環境を作ることが求められており、そのために上質で落ち着いたホテルライクな空間によって満足度を高める施設が増加してきています。そのような空間に相応しいメディカルウェアのニーズに対応したハイエンドブランドとして、英国を代表するMACKINTOSHのモノづくり精神とクラシックで時代性のあるスタイルを受け継いだ「MACKINTOSH PHILOSOPHY」ブランドを導入することと致しました。アイテムはスクラブ・パンツ・コート&ジャケットと医療従事者のメインアイテムの構成となっています。素材はワープニット 制菌・制電・吸水・防汚等のメディカル分野で求められる機能や医療従事者の動きに順応したストレッチ性能にて医服内環境に適応している快適素材であり、販売当初から予想を大きく上回る販売実績を上げております。

 また売上が引続き好調に推移しています「EARTH SONG」(アースソング)にラインナップの充実を図るべく引き続き新商品の開発を行いました。当シリーズは、SDGsが叫ばれ自然回帰への流れが高まる中、自然の力を敬い、自然環境に寄り添い、医療従事者の心と体を癒す“ヒューマンサスティナブル”をコンセプトとした商品群です。自然を彷彿させるナチュラルなカラーリングと、医療従事者が必要とするハイスペックな機能が、高機能素材と高度なパターン設計により提供される快適な着心地とマッチし、市場では大いに評価を受けております。

 機能の中でも高齢者社会に向けて、リハビリ環境における医療従事者の役割が年々高い専門性が求められている今、医療従事者の衣服内の快適環境を医服内環境と捉え、医服内環境がより快適であるために開発された「プロファンクション」トップスは医療現場の声を広くリサーチを行い、人工気象室等にて機能性実証試験を行って、モニタリングを繰り返すことにより、「エアーアームカット」は腕上げ動作において肩周りのストレスフリーな着心地を実現させました。商品バリエーションが広がった「プロファンクション」パンツは衣服圧を軽減するパターン設計・仕様にすることによって太ももから膝にかけてのツッパリ感が解消され、動作時のストレスを解消させてくれます。かがんでもずり下がりにくい機能を生み出すウェストの高伸縮素材の採用とともにリハビリ職だけでなくナースやヘルパーの方々にも着用いただいて引続き好調な販売を推移しています。これらの機能商品は特許取得済みであります。

クリニック分野において発売初年度から好調な販売を続けてきた「Beads Berry」はクリニックのみならず、新たに病院の医療事務職への採用が拡大することで人気商品シリーズに成長してまいりました。当ブランドの持つ高級感、落ち着きのあるデザイン、快適な着心地が得られる高機能素材等が評価されたものと考えております。世界中の子供から大人まで幅広く愛され続けている「Miffy」Seriesは可愛いミッフィーのモチーフをデザインした接触冷感・高通気新素材採用のスクラブがクリニックや小児病棟の医療従事者を中心に好評をいただき好調な売れ行きとなっております。

 

 高品位のドクターコートの信頼高級ブランド「4D+」。そのエントリーモデルとして誕生した「4DBlueBlanc」、高級感あるデザインであり、かつ着心地はそのままに洗濯の仕上がりの美しさも兼ね備え着実に売り上げを伸長させております。

 周辺市場である患者衣・検診衣については拡大基調にあります。入院時や検診時に患者さんに安心感を与え、かつ高級感があるデザインテイストに、心地よい着心地との相乗効果により市場で高い評価を得ております。特に最近では、動きやすさと快適さにより評判が高く売上が好調なニット素材の商品群において、従来のサーキュラーニット素材に加え、新たにワープニット素材を投入することで、さらに売上の拡大を見込んでおります。

 

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、193,193千円となっております。

 なお、当社グループは、メディカルウェア等の製造・販売の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載はしておりません。