文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは下記の経営理念に基づいて企業運営を行っております。
経営理念
① 進和の企業使命
金属接合を事業の核とし製造部門を持つエンジニアリング商社として、産業界のニーズを的確にとらえ、高度なソリューション提供により人、モノ、社会をつなぎ、未来へ続く付加価値創造を実践することで、世界中のお客様から期待される企業となることを目指す。
② 社訓・・・三拓の精神
新商品の開拓、新規需要家の開拓、新規需要の開拓
③ 企業行動指針
・現地・現物・現実主義の信条とフロンティアスピリッツをモットーに、常に取引先の安心と信頼、満 足を追求するため積極果敢なチャレンジをする。
・企業活動にあたり国際的なルールおよび各国各地の諸法令を遵守するとともに、社会規範、社内規定に則った真摯な姿勢のもと責任ある行動をする。
・「安全はすべてに優先する」との意識を常に全社員で共有する。
・自由闊達な社風のなかで社員に対し、個々を尊重し夢と誇りをもって仕事ができる環境を整え、健康で安定した生活の実現に努力する。
・ステークホルダーならびに社会一般へ、適切に管理された企業情報を公正に開示する。
・自然環境の保護・保全に努め、人と地球に優しい社会の創生に参画する。
・企業市民として社会貢献活動を推進し、あたたかな地域社会と共生する。
④ コーポレート・メッセージ
〝Joining the World Joining the Future〟
「世界をつなぐ、未来へつなぐ」
(2) 経営環境
今後の見通しにつきましては、雇用・所得環境が改善するなか、緩やかな景気回復が続くことが期待されますが、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや物価上昇、中東情勢など懸念材料もあり、先行きは不透明な状況が続くものと予想されます。
当社グループの主要ユーザーの自動車業界におきましては、EVシフトの動きが鈍化傾向にありますが、EV市場の設備投資は着実に実施され、今後の拡大が見込まれます。なかでも日本の自動車メーカーは、欧米の自動車メーカーがEV投資にブレーキをかける中、中長期的なEV市場の拡大に備え、完成車工場や電池工場の生産体制の整備を加速させています。とりわけEV性能とコストを大きく左右する車載電池においては、自社生産する取組みを強化しており、国内外で電池工場の新設と生産能力増強を計画しています。また、成長ドライバーとして期待する超精密塗布装置事業の半導体業界におきましては、生成AIの急成長や車載向け半導体の需要拡大により、市場の急拡大が見込まれています。
当社グループでは、2023年9月より開始した第4次中期経営計画にもとづき、グローバルな視点で今後の成長が期待される地域・市場に注力し、お客様の半歩先を行く付加価値の高い商品や製品を提供することで、収益力の強化を図ってまいります。また、資本収益性の向上と株主還元の拡充、サステナビリティ経営の推進により、企業価値の向上(PBRの改善)と持続的な成長を目指してまいります。
第4次中期経営計画の概要は次のとおりであります。なお、2025年8月期の連結業績予想は、現時点で想定しうる範囲内において次のとおり見込んでおります。
<第4次中期経営計画の概要>
1.スローガン
Change! Shinwa moving forward 2026
-変革への挑戦と持続的な成長-
2.計画期間
2023年9月~2026年8月(3年間)
3.経営ビジョン
かつてない時代の変化を機敏にとらえ、社員一人ひとりが変化を恐れず果敢にチャレンジし、お取引
先様に新しい価値の提供を通じて、信頼される企業を目指します。
4.基本方針
① 成長市場におけるビジネスの拡大
② 生産・開発体制(メーカー機能)の拡充
③ グローバルビジネスの拡大と体制整備
④ 経営基盤の強化
⑤ 資本効率の向上と株主還元の拡充
5.重点戦略
上記、経営ビジョンの実現に向けて、部門ごとに以下の項目を重点戦略として取組んでまいります。
① 国内営業部門
・エンジニアリング機能強化とコアコンピタンスを生かした営業推進
・電動化・自動運転対応
・グリーンビジネスの拡大
② 海外営業部門
・地域統括会社(RHQ:Regional Headquarters)を中核としたグループ管理体制の構築
・選定した重点地域・市場・顧客の開拓と営業推進
・海外人材・グローバル人材の育成とSDGsへの取組み推進
③ 製造部門
・成長市場におけるものづくり技術開発強化
・生産・開発体制の拡充
・製造基盤の整備と強化
④ 管理部門
・成長するグローバルビジネスに向けた経営基盤の整備
・サステナビリティ経営の推進による企業価値の向上
・コンプライアンスの徹底とガバナンスの深化
6.財務戦略
① PBR改善に向けた取組み
資本コスト・資本収益性を十分意識しながら、成長の原資となる収益・キャッシュを事業活動により継続的に創出し、適切なキャッシュアロケーションにより、企業価値の向上(PBRの改善)を実現いたします。
② 資本効率の向上
資本コストを上回るROE10%以上を安定的に創出し、企業価値の向上を図り、PBR1倍超 の早期実現につなげます。直近では、自己資本の増加と収益性の低下によりROEは低下傾向にあり、収益力の強化と適正な自己資本の維持を図ります。
③ キャッシュアロケーション
営業活動により創出するキャッシュ・フローのなかで、財務健全性を確保しつつ投資と株主還元に適切に配分いたします。投資においては、基盤事業の強化、新市場・新領域に向けた投資に加え、人財投資やカーボンニュートラルに関わる投資を積極的に行ってまいります。
7.株主還元方針(株主還元の拡充)
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付け、業績の進展を勘案しながら、継続的かつ安定的な利益還元に努めることを基本方針としています。具体的には、1株当たり年間配当額100円を下限として、連結配当性向50%以上を目途に持続的な業績向上を通じた利益配分の増加に努めてまいります。また、自己株式の取得は、中長期的な投資計画、市場環境および資本の状況などを総合的に勘案し、検討してまいります。第4次中期経営計画では、最終年度の2026年8月期までは、上記の株主還元方針を適用します。
8.経営目標
9.サステナビリティ経営
4つのマテリアリティ(①気候変動への取組み、②豊かな社会の実現、③働きやすい環境の整備、④
経営基盤の強化)をサステナビリティ経営の軸として、成長市場におけるビジネスの拡大やエンジニ
アリング力の拡充、ダイバーシティ推進のほか、ガバナンス体制の強化により、ウェルビーイング(幸
福感)の実感できる会社を目指して更なる企業価値向上に取組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を両立していくことが重要な経営課題であると認識に立ち、中長期的な企業価値向上につなげていくことを目的として2022年4月に取締役会の決議を経てサステナビリティ委員会を設置いたしました。サステナビリティ委員会は活動に関連する方針・目標・取組みなどを審議、決定するとともに、取締役会へ定期的に報告および提言を行っています。サステナビリティ委員会で決議された目標をもとに関係部門で構成するサステナビリティ推進事務局が全社横断的に各部門・委員会などと連携し、目標の達成に向けて具体的な活動を推進します。また、当社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、特定した4つのマテリアリティ(優先的に取組みべき重要課題)として、①気候変動への取組み、②豊かな社会への実現、③働きやすい環境の整備、④経営基盤の強化への取組みを特定し、各マテリアリティとESGを関連付けながら各主要部門メンバーで構成されるワーキンググループにおいて活動を推進しています。
① 気候変動に対する取組
当社グループでは、TCFD 提言に基づき、気候変動が事業に与える中長期的な影響について把握し事業戦略に組み込むため、売上規模が大きい「商社事業に関わる分野」、またメーカー機能を有する商社として売上規模は大きくないものの気候変動が大きく影響する「製造事業に関わる分野」を想定し、定性的なシナリオ分析を行いました。事業リスクの分析においては、主に2℃シナリオの途上に起こる「低炭素経済への移行に関連したリスク」と、世界のCO2排出量削減未達により4℃に至った場合に影響が大きくなる「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」について、TCFD分類に沿って検討いたしました。また、事業の機会についても検討しリスクに備え、機会につなげるための戦略的取組みをまとめました。
2℃シナリオ:IEA SDS(持続可能な開発シナリオ)、IPCC RCP2.6
4℃シナリオ:IEA STEPS(公表政策シナリオ)、IPCC RCP8.5
<期間の定義> 短期:2025 年頃まで、中期:2030 年頃まで、長期:2050 年頃まで
② 人的資本
当社における多様性確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針は次の通りであります。
当社は、経営理念にある「三拓の精神」のもと、人、モノ、社会をつなぎ新たな付加価値創造に積極果敢に挑戦し続けるために、社員の人格・個性・多様性を尊重し、それぞれが主体性と創造力をもって、明るく伸び伸びと活躍できる制度や仕組み、そして環境が重要と考えております。多様性を認め、包摂的に取組むことができる、新しい未来への橋渡しとなる社内環境の整備に努めてまいります。
イ.キャリア支援
社員一人ひとりが個々の能力を最大限発揮し、進和グループの持続的な成長を支えるために、夢と誇りを持って自らのキャリアを描き、自身の能力を磨くための公平かつ平等な機会を提供することで、イノベーションに挑戦する人材づくりに取組みます。
ロ.人格と個性の尊重(女性活躍推進)
ダイバーシティ&インクルージョンの理解を深め、女性活躍をはじめとする誰もがチャレンジできる健全で働きがいのある職場環境の維持に努めます。
ハ.教育研修の提供
事業環境の変化に柔軟に対応し持続的に成長し続けるために、階層別研修、海外実習制度など教育研修にも積極的に取組み、一人ひとりの能力や適性に応じた配置や育成の機会を提供します。
ニ.チャレンジ精神の重視と評価
社員が持つ多様性を尊重しながら、チャレンジ精神を大切にし、組織とともに成長していく人材育成を目指します。また、自己実現と成長の機会を提供し、成果・業績主義に基づく客観的で公正な人事評価を行うことで、社員がさらに挑戦できるような環境を整えます。
ホ.安全・健康の確保
事業活動において社員の安全、健康の確保を最優先します。職場における良好なコミュニケーションを重視し、安心できる職場づくりを通して、社員の健康保持・増進および心理的安全性の向上に取組みます。
当社グループは、サステナビリティ推進に関するリスクの管理は、サステナビリティ委員会において行っております。同委員会は、リスクの特定・評価・対応策の進捗管理を実施し、当社グループのリスク全般について管理を行う内部統制委員会と連携して活動を実施しております。また、今後は特定したリスクが財務に及ぼす影響を定量的に把握し、リスクの低減に努めてまいります。
① 気候変動
当社グループは、目標として国内外におけるグループ会社Scope1およびScope2を合せた総排出量について、 「2030年度までに 2020年度比 42%の削減」を目指してまいります。さらに、長期目標として 2050年度におけるカーボンニュートラルの実現を目指してまいります。温室効果ガス排出削減に向けて、社有車の計画的なハイブリッド車両への入れ替え、生産設備機器等の高効率化、自社所有物件における太陽光発電システムの導入、CO2フリー電力の導入、自社製造拠点における電力使用状況の可視化など事業活動における温室効果ガス排出削減の取組みを積極的に推進していきます。
排出量実績
② 人的資本
当社グループは、特に女性活躍推進に関する取組みについては、多様な働き方を提供できる環境整備を目的としてワーキンググループによる提案型改善活動を通じたフレックスタイムの導入拡大を目指した取組みを進めています。
また、女性が活躍できる制度整備のKPIとして女性管理職比率向上を目指しています。定期人事異動などによる積極的な役職者登用を通して、将来にわたる女性管理職者比率維持向上のための取組みを行ってまいります。
以下において、当社グループの経営成績、財政状態に影響を与えうるリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社グループに関するすべてのリスク要因を網羅したものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、モノづくりを主体とする取引先企業の生産設備に係る金属接合、産業機械、FAシステム関連商品の販売、肉盛溶接・溶射加工、ろう付加工およびメンテナンス工事の施工を主たる事業としております。なかでも、これら商・製品等の販売においては、自動車関連産業への依存度が高く、当連結会計年度においても当社グループの連結売上高に占める割合は70.8%と高くなっております。また、自動車関連産業のなかでも特にトヨタ自動車グループへの依存度が高く、その重要性は高いものとなっております。従いまして、当社グループの経営成績は、国内・海外の自動車関連産業、なかでもトヨタ自動車グループの設備投資動向に影響を受ける可能性があります。
当社グループとしては、今後も自動車関連産業に対する販売を強化してまいりますが、併せて他業種への販路拡大を図ってまいります。
なお、当社グループの自動車関連産業への売上高および連結売上高に対する比率は下表のとおりであります。
当社グループは、取引先企業の海外生産シフトに対応するため、米州、東南アジア、中国、欧州等に販売拠点および製造拠点を設置し、海外事業の強化を図ってまいりました。こうした当社グループにおける海外事業強化の一方で、為替相場の変動等が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとして、外貨建て取引は原則為替予約を行うことにより為替リスクをヘッジしております。また、当社の海外得意先の大半が日系自動車メーカーの現地法人であり、受注から検収まで長期間を要する金額の大きな設備物件については、為替変動のリスク分を極力輸出価格に転嫁することで影響を軽減しております。
なお、海外への売上高および連結売上高に対する比率は下表のとおりであります。
(3) 大型プロジェクト受注のリスクについて
当社グループは、自動車関連メーカー向けの新工場や生産ラインの増設に係る生産設備を一括で受注する場合があります。これらのプロジェクトは、受注金額が10億円超の大規模プロジェクトになることがあるほか、得意先の設備投資計画に基づいて実施されるため、受注から引渡しまでの期間が1年超の長期間にわたることがあり、棚卸資産が長期にわたって資産計上されることもあります。また、プロジェクトが当初の計画通り進まない場合は、売上計上の遅延や採算悪化等により、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、大型プロジェクトを受注する場合は、受注する段階で想定されるリスクを洗い出し、実施段階ではプロジェクトの進捗、採算状況等をモニタリングするなどのリスクの低減に努めております。
(4) 海外進出に潜在するリスクについて
当社グループは、現在9カ国に12海外現地法人を有しておりますが、当社グループが事業展開している国や地域において、以下に掲げるようなリスクが内在しており、経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・予期しない法律または関税などの貿易取引規制の変更
・不利な政治的、経済的変動
・人材確保の困難性
・企業活動にとって不利な税制度への変更
・テロ、戦争、治安悪化等の要因による社会的混乱
当社グループとしては、現地での動向について海外拠点における情報網に加え、日本国内からの支援および必要に応じて外部コンサルタントを活用して情報収集を図り、適切な対応をとるように努めております。
当社グループは、事業上の機密情報や事業の過程で入手した顧客情報や個人情報を保有しております。当社グループは、これら情報の取扱いに関する管理を強化するとともに、ウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っておりますが、当社グループの想定を超える攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、情報セキュリティポリシーを定めた規程を整備するほか、役員、従業員に対する教育を通じた情報管理の重要性の周知徹底を行うなど、適切なセキュリティ対策に努めております。
(6) 自然災害に関するリスクについて
当社グループは、大規模地震などの自然災害が発生した場合、建屋・機械などの損壊により、営業活動や生産活動に支障が生じ、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、事業継続計画(BCP)の策定、通信サーバーの社外への移転および本社ビル・工場建屋の定期的なメンテナンスなどの対策に努めております。
(7) コンプライアンスに関するリスクについて
当社グループは、企業行動指針に「企業活動にあたり国際的なルールおよび各国各地の諸法令を遵守するとともに、社会規範、社内規定に則った真摯な姿勢のもと責任ある行動をとる」を掲げ、事業を遂行していくうえで、従業員各自がコンプライアンスを理解し、各種関係法令を遵守していくことを社内外に約束しております。しかしながら、法令違反となる問題が発生する可能性はゼロではなく、違反した場合は、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、関連規程を制定し、内部監査による遵守状況の確認等を行うとともに、法令遵守のための定期的な社内教育に努めております。
(8) 人材の確保に関するリスクについて
当社グループは、企業行動指針に「現地・現物・現実主義の信条とフロンティアスピリッツをモットーに、常に取引先の安心と信頼、満足を追求するため積極果敢なチャレンジをする」を掲げ、取引先に満足いただけるサービスの提供を心掛けております。そのサービスの実現のためには、各方面において優秀な人材の確保、育成が重要な課題となります。しかしながら、人材の確保、育成ができなかった場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、優秀な人材を確保するために計画的な新卒および中途採用を継続するとともに、従業員が働きやすい職場環境の構築に努めております。
(9) 経済状況に関するリスクについて
当社グループは、主に自動車を中心とした工業製品を生産するための機械設備や材料の販売を主な事業としており、取引先は自動車、石油化学、機械、電機、航空宇宙など多岐にわたります。景気変動により各取引先の需要が低迷したり、設備投資が減少した場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、市場動向を注視し、得意先からの情報収集と分析に努めております。
(10) 株価変動等による保有株式に関するリスクについて
当社グループは、良好な取引関係の維持、強化をはかるために取引先や金融機関の株式を保有しており、急激な株価の変動や取引先や金融機関の業績不振により価値が下落し、減損処理が必要となった場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、取締役会において、年1回、保有する全銘柄について保有目的、取引状況、含み損益、配当金額、保有リスクなどを具体的に精査し、保有の継続または売却等による縮減を判断しております。
(11) 気候変動に関するリスクについて
国際社会では、温室効果ガスの削減に向けた脱炭素社会の実現の動きが加速しています。当社グループでは、サステナビリティ委員会を2022年4月に立ち上げ、気候変動への取組みをマテリアリティ(優先的に取組む重要課題)の一つに特定しました。事業活動を通じて排出される温室効果ガスへの対応について検討を始めておりますが、温室効果ガス排出量に関する法規制の強化や新たな税負担などが生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、気候変動が中長期の経営成績や財政状態に影響が及ぼすことを踏まえ、課題解決に向けた取組みを実施してまいります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍の影響が緩和され経済活動の正常化が進むなか、緩やかな回復が見られましたが、ウクライナ・中東情勢の地政学的リスクの高まりや中国経済の減速に加え、物価上昇や人手不足の深刻化が懸念されるなど、景気の先行きは不透明な状況が継続しました。
当社グループの主要ユーザーである自動車業界におきましては、自動車生産台数は半導体不足の解消や円安による輸出向けの増加等により回復しましたが、年後半は認証不正問題による生産・出荷停止の影響があり厳しい状況となりました。一方、設備投資におきましては電気自動車・車載電池関連の投資を中心に堅調に推移しました。
このような事業環境のなか、当社グループでは、第4次中期経営計画「Change!Shinwa moving forward 2026」をスタートさせ、重点戦略を着実に実施してまいりました。昨年10月には工場DXやロボットによる自動化ソリューションに特化した実証施設「小牧SFiC(エスフィック)ラボ※」を本格稼働させ、同12月には「デジタルドライブ推進室」を新設し、需要の拡大が見込まれる工場自動化分野の営業力を強化しました。
その結果、当連結会計年度における売上高は778億45百万円(前連結会計年度比2.3%増)経常利益は39億1百万円(前連結会計年度比24.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は27億29百万円(前連結会計年度比23.9%減)となりました。
前年同期に計上した大型プロジェクトの反動減が影響し、利益は前年実績を下回る結果となりましたが、売上高は過去最高を記録し、予算対比では計画を達成することができました。
※SFiCはSmart Factory Innovation Centerの略称です。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
日系自動車メーカー・同部品メーカー向け生産設備・材料の売上や子会社である株式会社ダイシンの売上が堅調に推移しましたが、前年同期に計上した好採算の中国の半導体・エレクトロニクスデバイスメーカー向け超精密塗布装置の売上が減少したことなどにより、売上高は631億45百万円(前連結会計年度比9.5%増)、セグメント利益は16億10百万円(前連結会計年度比21.4%減)となりました。
米国およびメキシコの日系空調機器メーカー向けの複数プロジェクトの売上を計上したこと、日系自動車メーカー・同部品メーカー向け生産設備・材料の売上が堅調に推移したことなどにより、売上高は118億17百万円(前連結会計年度比42.3%増)、セグメント利益は13億7百万円(前連結会計年度比87.2%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、非連結子会社であったSHINWA ENGINEERING S.A. de C.V.(メキシコ)について重要性が増したことに伴い、連結の範囲に含めております。SHINWA ENGINEERING S.A. de C.V.(メキシコ)を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントの区分方法を見直しております。
従来のSHINWA U.S.A. CORPORATION(アメリカ)の区分を「米国」から「米州」へ名称変更し、SHINWA ENGINEERING S.A. de C.V.(メキシコ)を今期分より「米州」に含めております。また、「その他」に区分していたSHINWA REPRESENTAÇÃO COMERCIAL DO BRASIL LTDA.(ブラジル)を「米州」へ移管しております。
タイの日系空調機器メーカー向け生産設備の売上を伸ばしましたが、日系自動車メーカー向け生産設備・材料の売上が前年同期に比べ減少したことなどにより、売上高は46億69百万円(前連結会計年度比17.3%減)、セグメント利益は5億16百万円(前連結会計年度比25.8%減)となりました。
日系自動車メーカー向け新工場溶接ライン売上の反動減による影響や中国経済の減速による設備投資の抑制などにより、売上高は56億5百万円(前連結会計年度比55.6%減)、セグメント利益は1億7百万円(前連結会計年度比91.6%減)となりました。
イギリスの日系空調機器メーカー向け生産設備や材料の売上を計上したことなどにより、売上高は11億50百万円(前連結会計年度比47.3%増)、セグメント利益は66百万円(前連結会計年度比70.2%増)となりました。
なお、前期まで本セグメントに含めていたSHINWA REPRESENTAÇÃO COMERCIAL DO BRASIL LTDA.(ブラジル)を当連結会計年度より米州セグメントに移管しております。
なお、セグメント別の売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
当連結会計年度末の資産合計は656億円となり、前連結会計年度末に比べ66億75百万円増加いたしました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ60億5百万円増加し、530億8百万円となりました。これは主に受取手形が8億46百万円、原材料及び貯蔵品が1億37百万円減少しましたが、現金及び預金が20億66百万円、電子記録債権が12億24百万円、売掛金が19億40百万円、商品及び製品が12億19百万円、仕掛品が2億33百万円、前渡金の増加等により流動資産のその他が3億3百万円増加したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ6億69百万円増加し、125億91百万円となりました。これは主に有形固定資産の建物及び構築物が1億29百万円、投資その他の資産の投資有価証券が3億23百万円増加したことによるものであります。
流動負債は前連結会計年度末に比べ39億97百万円増加し、220億14百万円となりました。これは主に未払消費税等の減少等により流動負債のその他が30百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が16億57百万円、電子記録債務が15億15百万円、契約負債が8億26百万円増加したことによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ2億95百万円増加し、19億56百万円となりました。
純資産合計は前連結会計年度末に比べ23億82百万円増加し、416億28百万円となりました。
以上により、自己資本比率は、前連結会計年度末の66.4%から3.2ポイント減少し63.2%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて23億53百万円増加し、 196億23百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、39億66百万円(前連結会計年度は12億19百万円の収入)となりました。これは主に売上債権の増加額19億91百万円、棚卸資産の増加額12億7百万円、法人税等の支払額11億21百万円、未払消費税等の減少額1億70百万円等により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益38億67百万円、減価償却費11億円、仕入債務の増加額29億85百万円、契約負債の増加額6億53百万円により資金が増加したことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、7億2百万円(前連結会計年度は18億69百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入38億83百万円により資金が増加しましたが、定期預金の預入による支出39億14百万円、有形固定資産の取得による支出6億43百万円、無形固定資産の取得による支出1億8百万円により資金が減少したことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、13億66百万円(前連結会計年度は11億38百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額13億16百万円により資金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度より、非連結子会社であったSHINWA ENGINEERING S.A. de C.V.(メキシコ)について重要性が増したことに伴い、連結の範囲に含めております。SHINWA ENGINEERING S.A. de C.V.(メキシコ)を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントの区分方法を見直しております。従来のSHINWA U.S.A. CORPORATION(アメリカ)の区分を「米国」から「米州」へ名称変更し、SHINWA ENGINEERING S.A. de C.V.(メキシコ)を今期分より「米州」に含めております。また、「その他」に区分していたSHINWA REPRESENTAÇÃO COMERCIAL DO BRASIL LTDA.(ブラジル)を「米州」へ移管しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.米州、東南アジアおよびその他は製造部門を設けていないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における製造部門の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.米州、東南アジアおよびその他は製造部門を設けていないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2024年11月22日)現在において判断したものであります。
売上高につきましては、前連結会計年度に比べ17億31百万円増加し、778億45百万円(前連結会計年度比2.3%増)、営業利益は前連結会計年度に比べ14億36百万円減少し、35億59百万円(前連結会計年度比28.8%減)、経常利益は前連結会計年度に比べ12億43百万円減少し、39億1百万円(前連結会計年度比24.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ8億55百万円減少し、27億29百万円(前連結会計年度比23.9%減)となりました。
主要顧客である自動車業界の設備投資が底堅く、日本国内、米州(米国・メキシコ・ブラジル)の主に生産設備の売上が好調に推移したことにより増収となりました。また、為替が円安に推移したことも増収に寄与しました。
一方、前期に計上した採算性の高い自社開発品(超精密塗布装置)の大口受注の反動減を挽回できず、また、国内の競争激化による粗利益率の低下に加え、人件費、減価償却費等の経費の増加により減益となりました。
財政政策について当社グループは、必要な運転資金および設備投資資金については、原則として自己資金で賄うこととしております。今後も所要資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉に自己資金調達を原則とする方針であります。多額の設備投資資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、資本市場からの直接調達も検討する方針でありますが、自己資金にて十分に対応することが可能であると考えております。
なお、不測の事態に備えることを目的に、取引銀行で無担保融資枠56億円を設定しており、手元資金と合わせ緊急の支出にも対応できる体制を整えております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。
④ 経営目標の達成状況
第4次中期経営計画では、「Change! Shinwa moving forward 2026 -変革への挑戦と持続的な成長-」をスローガンに、掲げた各種施策を実施し業容の拡大に向けて取組んでまいりました。初年度における2024年8月期(第74期)の連結業績は、前年同期に計上した大型プロジェクトの反動減が影響し、利益は前年実績を下回る結果となりましたが、売上高は過去最高を記録し、予算対比では計画を達成することができました。
2年目である2025年8月期(第75期)は、適正な価格設定とコアコンピタンスを生かした高付加価値商品・製品の提供により、売上高、利益項目とも前期比プラスの増収増益の計画を見込んでおります。
第4次中期経営計画目標(連結ベース)達成状況
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、溶接およびろう付を中心とした金属接合における応用技術の研究開発に主眼を置き、その技術を用いた製品および受託加工を市場に提供することを基本方針として、新製品、新技術の開発と既存製品の改良を行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、一般管理費および当期製造費用に167百万円計上しており、主に日本セグメントにおけるものであります。