第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)経営方針

 当社グループは、事業だけではなく地球環境も含めた持続可能性を高め、中長期的な競争優位性を確立するため、「Circular Design for the Earth and Us」をパーパスに定め、「Circular Design Company」の実現を目指しております。顧客とパートナーとの関係を通じて当社グループを中心にモノが循環する世界を実現するため、顧客やパートナーに対して様々な選択肢を提供することで、当社が保有するモノだけではなく、顧客やパートナーが保有するモノの循環を促進し、新たな収益機会を創出してまいります。

 

(2)経営環境

 当社グループが属するリユース業界においては、フリマアプリの拡大・浸透をはじめとして市場が活性化しており、サステナビリティへの関心もあってリユースの注目度は更に高まっております。また、今後も継続的な成長が見込まれており、2023年のリユース市場規模は前年比7.8%増の3兆1,227億円となり、2030年にはその市場規模は4兆円に到達すると見込まれております。(出所:株式会社リフォーム産業新聞社「リユース業界の市場規模推計2024(2023年版)」(2024年9月))

 このような状況の中、一般消費者からの買取は依然として競争が激しく、販売面においても、小規模なものも含めると数多くの事業者向けオークションが乱立しております。今後も、新規参入やM&Aなどによる企業再編の動きが加速するものと予想されます。

 一方で、海外においては組織的にCtoBtoBのビジネスモデル(一般消費者から買取を行い、リユース事業者に販売するモデル)を展開する事業者は不在であると認識しております。また、世界のラグジュアリーリユース市場規模は2023年に361億ドルであり、2030年には500億ドル以上に拡大すると見込まれております。(出所:BlueWeave Consulting)

 上記の認識に基づき、当社グループは、オークションプラットフォームの機能拡充による付加価値向上・他社との差別化により利用を促進していくことに加え、小売販売の強化や不動産・自動車をはじめとした取扱領域の拡大など、当社グループと顧客とのエンゲージメントを高め長期的な関係を築くことで、継続的な収益を生むリカーリング型のビジネスモデルに注力してまいります。また、グローバル展開を加速していくことで、更なる成長を図ってまいります。

 

(3)経営戦略及び優先的に対処すべき事業上の課題

 当社グループは、2027年8月期を最終年度とする3か年の中期経営計画「To the Next Stage : For 2030 Revival Vision」を策定、2024年10月に公表いたしました。「変革期」と定めていた2021年8月期からの4年間で、事業拡大を見据え、積極的に全事業領域において投資を実施してきた結果、今後の成長に向け必要な機能の実装・充実に取り組めたと評価しております。この結果を踏まえ、本中期経営計画においては、収益性向上に向け構造改革を進めるとともに、重点領域と定める小売拡大や海外仕入拡大に資する投資に厳選して対応することを基本方針とし事業拡大に努めてまいります。

 

[中期経営計画の位置づけ]

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 本中期経営計画の策定にあたりマテリアリティを再定義し、新たに設定した重点テーマ及びマテリアリティを解決すべく、仕入・オークション・小売・海外・領域拡大・サステナビリティの取組の6つを基本戦略として、2030年の「Circular Design Company」実現に向け、企業価値向上を目指してまいります。

 

[中期経営計画の概要]

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 事業戦略は次のとおりであります。

 

戦略1.仕入

 これまでの積極的な出店やM&Aにより拡大した店舗網を基盤に、今後は効率化を重視し、国内直営店の出店は年間5店舗程度といたします。なお、海外パートナー店舗と同形態での出店検討により直営店出店以外での店舗網拡大を図るほか、リピーター施策に注力することでリピーター比率をより高め効率的な国内店舗仕入の拡大を図ってまいります。

 また、国内店舗仕入以外にも、リソース配分の最適化により出張買取・宅配買取・オンライン買取に注力するとともに、三越伊勢丹との取組「i’m green」や金融機関等からの顧客紹介などの他業種とのアライアンスの取組により、新規出店に依存しない仕入体制の構築を目指してまいります。

 海外においては、これまでの海外展開の経験を踏まえ、店舗出店コストや人件費の高い欧米ではなく、アジアや中東地域においてパートナー店舗を中心に出店を加速するとともに、国内で培ったWEBマーケティングのノウハウを海外でも最大限活用することで、海外における仕入拡大を図ってまいります。

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戦略2.オークション

 当社グループ最大の強みであるオークションプラットフォームの更なる強化に向け、機能拡充を継続いたします。

 パートナー開拓に引き続き注力するとともに、オークション開催回数の増加や時差を考慮した開催時刻の再設定、リペアサービス等の付随サービス拡充により他社オークションとの差別化を図るなど、国内外パートナーの参加拡大に努めてまいります。

 オークション委託については、SBAサイト内でパートナー企業名義でのオークション開催ができるSaaS型新機能の提供が貢献し、2024年8月期のオークション委託比率は29.0%となりました。引き続き利用企業の獲得に注力することにより、2027年8月期のオークション委託比率は40%以上を目指してまいります。

 また、フルフィルメントサービスの提供によりプラットフォームの付加価値向上に引き続き注力いたします。フルフィルメントサービスは、パートナーがオークションで落札した商品が自動で当社グループのECサイトに出品され、パートナー自身がリソースを割くことなく小売販売を行うことができるサービスであり、当社としては小売委託拡大や手数料収入拡大が期待できることから、収益性の向上につながる取組として推進してまいります。

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戦略3.小売

 顧客との関係をこれまでの買取のみの一方通行のものから、買い取ったうえで販売もするという循環を描く双方向的なものに変え、顧客のLTV向上を図ってまいります。

 小売強化に向け、これまでオークション優先だった商品の振り向けを小売優先に変えることで、小売での販売機会を拡大いたします。具体的には、オークション出品予定の商品についても、出品までのリードタイムを活用し、短期間に限定して当社グループのECサイトに掲載することで、在庫回転期間を長期化することなく小売での販売機会の拡大を図ってまいります。本施策により、当社グループのECサイトへの商品掲載数も増加するため、WEBマーケティングによる集客効果の最大化も期待できると考えております。

 また、小売店舗については2024年10月にオープンした「ALLU SHINJUKU」を含む5店舗展開により、従来のリユース店舗と一線を画す店舗設計や商品ラインナップを意識し、他社との差別化を図りながら、国内富裕者層やインバウンド顧客へのアプローチを継続してまいります。当社グループのECサイトにおいては、店舗への商品取り寄せや店舗にご来店いただいた顧客のリピーター化を促進するなど、リアルとオンラインの相乗効果を企図しております。今後は、当社グループのECサイトに加えインバウンド顧客のリピーター化も見据え、越境ECサイトの新たな立ち上げも検討してまいります。さらに、店舗や当社グループのECサイトで販売した商品は「ALLU Fashion Market」上に自動出品された後においても、当社プラットフォーム上で商品がストックされ、循環し、売買のたびに手数料収入を得られるモデルの実現を目指してまいります。

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戦略4.海外

 海外においては、引き続き買取店舗の店舗網拡大により、仕入拡大に注力してまいります。2024年8月期末時点で海外14か国に展開しておりますが、これまでの海外展開の経験を踏まえ、本中期経営計画においては店舗投資コストや人件費が低いアジア地域や、中東地域での拡大に注力いたします。パートナー店舗を中心に出店を加速することで効率的に店舗網拡大を図るとともに、国内で培ったWEBマーケティングのノウハウを海外でも最大限活用することで、海外における仕入拡大を図ってまいります。2027年8月期末に90店舗、2030年8月期末に150店舗を目標に海外店舗を出店してまいります。

 販売においては、富裕者層の多い地域を中心に、パートナーのオークション参加誘致に引き続き注力し、年率10%程度のペースでパートナー開拓を継続してまいります。また、越境ECを活用した小売販売も強化することで、国内小売店舗に来店いただいたインバウンド顧客のリピーター化も企図してまいります。

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戦略5.領域拡大

 当社グループの中心事業である、ブランド品等とのシナジーが見込める実物資産へと取扱を拡大し、顧客のLTV向上、リピーター化促進を図ってまいります。

 取扱ジャンルの拡充のみならず、リペア事業への注力など周辺サービスの拡充も進めており、持続可能な消費を促進しながらも、サービス利用からの顧客流入を図ってまいります。

 また、自動車事業にも注力する計画であり、なんぼややALLUからの送客による買取・販売を継続しつつ、整備事業及び「TWISTED」事業を拡大させてまいります。自動車領域におけるサーキュラーエコノミー実現を目指すとともに、富裕者層との接点拡大及び既存事業とのシナジー創出に努めてまいります。

※TWISTED:JAGUAR LAND ROVER LIMITED社のDEFENDER車両を独自に修復・カスタマイズした車両。国内ではバリュエンスジャパン株式会社が独占販売を行う。

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戦略6.サステナビリティ

 当社グループの持続的な成長を支える取組として、事業とサステナビリティの更なる統合を図ってまいります。

 社会的な課題であり当社グループのマテリアリティの一つでもある気候変動への取組をはじめ、人的資本への取組、取締役会の実効性向上・サステナビリティ経営体制の強化に向けた取組など、E、S、Gそれぞれにおいて施策を推し進めてまいります。

 また、スポーツ事業についても、当社が設定した4つの重点テーマを横断して解決する重要な取組の1つであると認識しており、モノや思いをつなぐ新たな循環型経済圏をつくる非財務価値向上への取組として推進し、企業価値向上を図ってまいります。

 詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

(対処すべき課題)

① 仕入の効率化

 当社グループは、創業時よりWEBマーケティングを中心に集客を行っております。一方で、競争環境の激化により顧客獲得コストが上昇していることから、CRM施策によるリピーター顧客の獲得や集客の効率化が必要であると認識しております。

 今後もWEBマーケティングを中心に、潜在顧客・顕在顧客の双方にアプローチしつつ、認知向上によって指名検索を増加させることによる顧客獲得単価の低減や、取扱領域の拡大など顧客とのエンゲージメント強化によるグループ内送客の体制構築と顧客のリピーター化により、効率的な集客を実現できるものと考えております。

 また、店舗の繁閑に応じたリソース配分により効率的な店舗運営を行っていくことや、百貨店など他業種とのアライアンスによる買取強化にも注力することなど自社での買取以外の仕入も拡大することで、効率的な仕入成長を目指してまいります。加えて、国内で培ったノウハウを活かし海外でもWEBマーケティングを行うことにより、海外仕入を拡大することにも取り組んでまいります。

② 査定能力の標準化

 リユース品は新品と異なり決まった価格が存在せず、相場も一定ではないことから、値付けが非常に難しいという特徴を持っております。当社グループにおいては、研修体制の整備や現場でのOJTを進めることで買取スタッフの能力向上に努めておりますが、これに加え、査定能力の標準化や真贋を判定するための仕組みの構築が重要であると認識しております。

 そのため、社内システムの機能改善やデータベースの整備、本部による店舗サポート体制の強化を継続することで、更なる能力標準化と買取の効率化に努めてまいります。

③ オークションプラットフォームの拡大

 当社グループの主力販路である「STAR BUYERS AUCTION(以下「SBA」という。)」は、オンラインで開催しており、海外の事業者も数多く参加するグローバルなブランドリユースオークションプラットフォームとして規模を拡大しております。

 今後も更に多くの国内外パートナーが参加するプラットフォームとして魅力を高めるとともに、委託拡大に向けた取組も展開することで、GMV(流通取引総額)の拡大を図ってまいります。また、SBAサイト内でパートナー企業名義でのオークション開催ができるSaaS型新機能の提供や、パートナーが落札した商品の保管・小売販売までをワンストップで請け負うフルフィルメントサービスの構築により、更なる収益力向上を目指してまいります。

④ 小売販売の強化

 当社グループは2024年8月末現在、実店舗4店舗とECサイトにて、一般消費者に向けた小売販売を行っております。なお、2024年10月に5店舗目となる「ALLU SHINJUKU」を出店いたしました。

 今後は、toBの強みを活かしたシームレス出品に加え、海外でのEC販売などグローバルも含めた小売強化に注力してまいります。小売販売の強化はビジネスモデルをリカーリング型に転換するための重要施策と位置付けております。顧客との接点を拡大し、買取をはじめとした当社グループサービスの利用につなげることでエンゲージメント強化を図るほか、ALLUブランド強化によりフルフィルメントサービスにおける小売委託をより多く獲得できるようになり、パートナーとのエンゲージメント強化にも貢献すると考えております。

⑤ 顧客とのエンゲージメント強化

 当社グループの事業は、顧客からの買取がビジネスモデルの起点にあるため、より多くの顧客と接点を持つことが事業を拡大する上で重要と考えております。

 今後は、買取のみならず、小売販売をはじめとするtoCサービスの拡大、不動産・自動車・リペアなど取扱領域の拡充やグループ内送客の体制強化などにより、顧客とのエンゲージメントを高めてまいります。これによりグループ全体で顧客との長期的な関係を築くことで、継続的な収益を生むリカーリング型のビジネスモデルへと転換していく方針です。

⑥ グローバル展開の加速

 当社グループは、香港をはじめ欧米、東南アジア、中東等に子会社を設け、現地におけるSBAパートナーの開拓と、買取店舗の展開を進めております。買取においては直営のみならず、パートナーとの協業による出店に注力し、当社グループとしてリスクを最小限にした店舗展開を行っております。国内リユース市場における競争が依然として激しい現状において、リユース市場が成長しており、かつ競合が比較的少ない海外へとビジネスを拡大していくことが重要であると認識しております。

 国内で培ったWEBマーケティングのノウハウを海外でも活かすことにより、CtoBtoBのビジネスモデルのグローバル展開と、グローバルも含めた小売強化を行うことで、更なる規模拡大を図ってまいります。

⑦ サステナビリティの取組強化

 当社グループのメイン事業であるリユースは、循環型社会における重要な取組の一つであり、リユース事業をグローバルに展開していくことが、持続可能な社会の実現、ひいては当社グループの持続的な成長につながると考えております。TCFD提言に基づく情報開示をはじめ、リユースによる環境フットプリントの削減貢献量を可視化したResale Impactの事業ブランドへの展開や、カーボンニュートラル達成に向けた国際的イニシアチブの認証取得などの取組を行っております。

 また、コーポレート・ガバナンスの実践・強化により経営の透明性・公正性・迅速性の維持・向上を図り、全てのステークホルダーとの対話を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値及び株主価値の向上に取り組んでおります。

 今後も循環型社会の実現を牽引する存在として、サステナビリティを経営戦略の中核に据え、環境や社会、ガバナンスに配慮した取組を積極的に行っていくことで、持続的な社会の実現と企業価値向上を目指してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2027年8月期を最終年度とする3か年の中期経営計画「To the Next Stage : For 2030 Revival Vision」の戦略におけるKPIとその目標値は以下のとおりであります。

 

<中期経営計画におけるKPI及び目標値>

戦略1.仕入

2024年8月期実績

2027年8月期目標

 

なんぼや以外(海外含む)の仕入比率

16.1%

25%以上

 

国内買取店舗数

140店舗

240店舗

(注)1

 

買取顧客リピーター比率 (注)2

46.8%

50%以上

戦略2.オークション

2024年8月期実績

2027年8月期目標

 

オークション委託比率

29.0%

40%以上

戦略3.小売

2024年8月期実績

2027年8月期目標

 

小売売上高比率

16.7%

25%以上

戦略4.海外

2024年8月期実績

2027年8月期目標

 

海外買取店舗数

46店舗

90店舗

(注)3

 

海外仕入高成長率

CAGR 25%以上

 

海外パートナー増加率

年率10%以上

戦略5.領域拡大

2024年8月期実績

2027年8月期目標

 

リペアサービス提供件数

約4万件

5万件以上

(注)1.国内買取店舗数の目標値につきましては、2030年8月期の出店店舗数であります。

2.2回目以降買取成立顧客ユニークユーザー数÷買取成立顧客ユニークユーザー数

3.2030年8月期の海外買取店舗数の目標値は150店舗であります。

 

 詳細は、当社コーポレートサイト(https://www.valuence.inc/ir/investor/plan/)をご覧ください。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.サステナビリティ全般

(1)ガバナンス

 サステナビリティへの対応は重要な経営課題の一つという認識のもと、関連する重要事項については取締役会で審議、決定しております。社外取締役にサステナビリティに精通した取締役を選任することで、取締役会はサステナビリティの監督に適切な知識・経験・能力を確保した構成になっております。

 サステナビリティ全体の業務執行に係る実務については、取締役会の支援機関として設立されたESG推進委員会が担っております。ESG推進委員会は、サステナビリティに関するリスク・機会の抽出、マテリアリティ(重要課題)の特定、課題解決に向けた指標と目標の設定及び進捗管理を行っております。なお、サステナビリティに関する戦略の責任者の明確化及びサステナビリティ経営の更なる社内浸透を目的に、当連結会計年度よりESG推進委員会の下部組織として重点テーマ毎に分科会を設置し、ESG推進委員を各分科会の責任者として選任しております。

 取締役会は、ESG推進委員会及びリスクマネジメント委員会で協議、決議された内容の報告を受け、当該報告内容を踏まえて、当社グループのサステナビリティ課題への対応方針及び実行計画等についての議論、審議を行うとともに、執行の監督を担っております。ESG推進担当取締役はESG推進委員会の委員長を務め、サステナビリティの取組に係る執行責任を負っております。また、代表取締役はリスクマネジメント委員会の委員長を務め、サステナビリティリスクを含むリスクマネジメントに係る執行の最終責任を負っております。

 

(推進体制)

 

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(2)戦略

 当社グループは、「Circular Design for the Earth and Us」というパーパスに基づき、全社横断的にサステナビリティに資する取組を推進しております。当連結会計年度には、新中期経営計画「To the Next Stage : For 2030 Revival Vision」の策定にあたり、マテリアリティの見直しを実施いたしました。当社グループが特に対処すべき17の社会・環境課題を特定するとともに、特定したマテリアリティを4つの重点テーマに整理し、各テーマについて目指す姿を定めております。事業活動を通じて戦略的にマテリアリティの解決に取り組むことで、誰もが大切なことにフォーカスし、自分らしく生きることのできる、持続可能な社会の実現を目指してまいります。

 

(マテリアリティ・マトリックス)

 

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(重点テーマと目指す姿)

重点テーマ

目指す姿

マテリアリティ

人生の選択肢が

広がる価値提供

人々が「大切なことにフォーカスして生きていける」未来をつくるためには、一人一人が自分にとっての豊かな生き方について追求する必要があります。

バリュエンスは、お客様の人生で起こるさまざまな選択や場面に寄り添い、豊かさを育み、人生における選択肢が広がる商品・サービスを提供することを目指します。

① 持続可能な消費の促進

② 人生の選択肢が広がる商品とサービスの提供

⑤ 顧客のファン化と長期的な顧客関係

モノと思いが

循環する

グローバル経済圏

世界中の人々が「大切なことにフォーカス」できるようになる結果、人と地球がともに豊かになりつづけ、世界の幸せにつながると考えています。

バリュエンスは、全ての人が安心して利用できるマーケットプレイスのもと、コミュニティとの共存共栄を通じて、実物資産の循環と心の豊かさが波及するグローバル経済圏を構築し、拡大させることを目指します。

③ 革新的・創造的な

  マーケットのデザイン

⑦ データプライバシーとサイバーセキュリティ

⑩ コミュニティとの共存共栄

⑬ 責任あるマーケティングと消費者意識

Value Designの

源泉となる

文化と人材力

従業員一人一人が、夢やキャリアを追求し、可能性を広げていくアクションを模索しつづけることが、バリュエンスに関わる全ての人が大切なことにフォーカスするためのValue Designの起点となります。

バリュエンスは、従業員一人一人が心身ともに健康で、個性や才能を発揮できるような応援やサポートと、全員が居場所を感じられる文化の醸成を目指します。

⑧ 労働安全衛生と従業員のウェルビーイング

⑨ 人材獲得・定着・人材開発

⑭ DEIB

地球・社会に

とって

誠実な事業運営

私たちが中長期にわたり循環をデザインするためには、豊かな地球環境や社会のもと、強靭なガバナンス体制を構築し持続的に企業を成長させることが必要不可欠です。

バリュエンスは、地球環境、社会を含むステークホルダーと誠実に向き合いながら、倫理的かつ公正な判断のもとで事業を運営することを目指します。

④ ガバナンス・コンプライアンス・ビジネス倫理

⑥ 人権尊重

⑪ 気候変動対策

⑫ ステークホルダー・

  エンゲージメント

⑮ 廃棄物管理

⑯ 水資源管理

⑰ 生物多様性

 

(3)リスク管理

 当社グループは、ESG推進委員会において、サステナビリティに係るリスク・機会について主要事業を中心に対象活動を選定し、より詳細に検討を行うことにより、サステナビリティに係るリスク・機会の識別及び評価を行っております。ESG推進委員会において議論・検討された内容は取締役会で報告され、特に重要とされたリスク・機会は当社グループの戦略に反映し、ESG推進委員会が中心となって管理を行っております。

 また、サステナビリティに係るリスクの分析結果や取組の状況についてはグループ全体のリスク管理を行うリスクマネジメント委員会に共有され、同委員会によりサステナビリティに係るリスク管理状況がモニタリングされます。また、ESG推進委員会及びリスクマネジメント委員会が連携し、サステナビリティに係るリスクの管理を行っております。その他リスク管理の詳細は「3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

(4)指標及び目標

 持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的な成長を目指し、4つの重点テーマについて指標及び目標を以下のとおり設定しております。目標の達成に向け、サステナビリティへの取組を加速してまいります。

 その他の指標及び目標は、当社コーポレートサイト Sustainabilityページ 指標と目標と進捗状況(https://www.valuence.inc/sustainability/#indicators)で開示しております。

重点テーマ

マテリアリティ

指標

2027年8月期

目標

2030年8月期

目標

人生の選択肢が

広がる価値提供

① 持続可能な消費の促進

② 人生の選択肢が広がる商品とサービスの提供

⑤ 顧客のファン化と長期的な顧客関係

なんぼや以外(海外含む)の

仕入比率

25%以上

買取顧客リピーター比率

(注)1

50%以上

リペアサービス提供件数

5万件以上

モノと思いが

循環する

グローバル

経済圏

③ 革新的・創造的な

  マーケットのデザイン

⑦ データプライバシーと

  サイバーセキュリティ

⑩ コミュニティとの共存共栄

⑬ 責任あるマーケティングと消費者意識

オークション委託比率

40%以上

小売売上高比率

25%以上

海外仕入高成長率

CAGR

25%以上

Value Designの源泉となる

文化と人材力

⑧ 労働安全衛生と従業員の

  ウェルビーイング

⑨ 人材獲得・定着・人材開発

⑭ DEIB

従業員エンゲージメントスコア

(注)2

4.0

4.2

女性取締役比率

30%

女性管理職比率(注)3

25%

30%

男性育休取得率

80%

100%

男女間賃金格差(注)3

80%

85%

地球・社会に

とって誠実な

事業運営

④ ガバナンス・コンプライアンス・ビジネス倫理

⑥ 人権尊重

⑪ 気候変動対策

⑫ ステークホルダー・

  エンゲージメント

⑮ 廃棄物管理

⑯ 水資源管理

⑰ 生物多様性

コーポレートガバナンス・コード

※プライム基準

全項目

コンプライ

再生可能エネルギー電力比率

50%

100%

GHG排出量削減率(Scope1,2)

※2023年8月期実績比

50%

90%

GHG排出量(Scope1,2,3)

カーボン

ニュートラル

(注)1.2回目以降買取成立顧客ユニークユーザー数÷買取成立顧客ユニークユーザー数

2.外部エンゲージメントサーベイ「会社満足度」「仕事満足度」「上司満足度」「職場満足度」における各スコア平均値(1~5段階評価)を算出しております。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、提出会社及びバリュエンスジャパン株式会社に在籍する正社員(出向社員を含む)、契約社員、パート、アルバイトを対象に算出しております。

 

2.気候変動

(1)ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに含んでおります。詳細は「1.サステナビリティ全般(1)ガバナンス」をご参照ください。

 

(2)戦略

(短期・中期・長期のリスク・機会)

 気候関連のリスク・機会は、長期にわたり当社グループへ影響を及ぼす可能性があるため、マイルストーンを設定し検討することが必要であると認識しております。そこで、2025年、2030年、2050年をそれぞれ短期、中期、長期と位置付け、気候関連のリスク・機会を検討いたしました。

 

(リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の判断プロセス)

 気候変動が当社グループに与えるリスク・機会及びそのインパクト、戦略のレジリエンスの把握、更なる施策の必要性の検討を目的に、シナリオ分析を実施いたしました。主要事業であるブランド品、骨董・美術品等の買取販売のバリューチェーンを対象としております。

 リスクの抽出にあたっては、移行リスク(政策/規制、テクノロジー、市場、評判)、物理リスク(急性・慢性)の視点で洗い出しを行いました。洗い出されたリスクの影響度は、財務・人的安全・社会的批判の観点から検討しております。なお、移行リスクについては「Net‐Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2021年)を、物理リスクについては「Representative Concentration Pathways(RCP8.5)」(IPCC、2014年)を参照しております。

 

(シナリオ分析の結果と戦略のレジリエンス)

 当社グループは、カーボンニュートラル実現に向け戦略のレジリエンスを継続的に強化していく必要があると認識しております。そのためには、リスクを適切に移転・回避・軽減するとともに、機会に対しては積極的に対応することが重要との考えのもと、具体的な対応を検討いたしました。特に重要とされた項目については当社グループの戦略に反映し、管理しております。

 当社が特定した主なリスク・機会は以下のとおりであります。

特定した主なリスク・機会の概要

発現時期

移行

リスク

政策/

規制

・炭素税等、GHG排出量を抑制する政策導入

・規制強化による調達・輸送等のコストの増加

・グリーン電力証書の購入等によるGHG排出量削減コストの増加

・地政学的リスクに伴う再生エネルギー等のエネルギー調達コストの増加

中期

(2030年)

市場

・ESG格付の低下に伴う資本コストの増加

中期

(2030年)

評判

・気候変動対応が不十分と判断された時の

  ビジネスパートナーとの協働機会の損失

  消費者からのレピュテーション低下

  優秀な人材の獲得能力や従業員エンゲージメントの低下

短期

(2025年)

物理

リスク

急性

・気候変動に起因する自然災害による

  店舗・事業所の稼働停止

  店舗・事業所の損害に対する保険や修繕費の増加

  サプライチェーン混乱に伴う物流の停止

  配送中の荷物の被災

  社員の被災

中期

(2030年)

慢性

・物流の停滞に伴う調達コストの増加

・平均気温上昇等に伴う空調利用の増加と光熱費の上昇

・気象の極端な変化や感染症の蔓延に伴う店舗来客数の減少

・海面上昇による沿岸部に位置する店舗・事業所等への影響

長期

(2050年)

機会

資源効率

・省エネルギー推進による電気料金の抑制

・配送方法の効率化による運送に関わる資源・エネルギーの抑制

短期

(2025年)

製品と

サービス

・資源の希少性の高まりに伴うラグジュアリーブランドの中古価格上昇

・サーキュラーエコノミーの普及に伴うリユース・リサイクルの需要増加

短期

(2025年)

市場

・グリーンボンド等ESG投資増による資金調達機会の増加

中期

(2030年)

 以上のシナリオ分析の結果、当社グループにおいては、気候変動対応が不十分と判断された時の事業機会の損失やレピュテーション低下、人材獲得能力や従業員エンゲージメントの低下を重要な移行リスクとして改めて認識いたしました。また物理リスクにおいては、自然災害による店舗やオフィス、倉庫への影響を大きなリスクとして認識いたしました。

 一方で、サーキュラーエコノミーの普及に伴い、当社グループの主要事業であるリユース市場の拡大という機会も再認識いたしました。このため、認識されたリスクに対応することが事業機会の追求や企業価値向上にも繋がるとの考えのもと、カーボンニュートラルの達成に向け取組を積極的に進めております。

 特に、影響度の高いリスクへの対応は喫緊の課題でもあり、各種施策の検討・実施を推進しております。具体的には、各種イニシアチブへの参加・賛同や、気候変動対応に関する開示の拡充、災害に備えた体制強化等を進めてまいります。GHG排出量の削減については、Scope1、Scope2の削減はもとより、Scope3においても排出量の多いカテゴリから優先的に対応を検討し、カーボンニュートラルを目指してまいります。

 

(3)リスク管理

 気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のリスク管理に含んでおります。詳細は「1.サステナビリティ全般(3)リスク管理」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、2030年8月期までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げております。目標の達成に向けて、当連結会計年度には、Scope1、Scope2を対象にGHG排出量の削減目標を設定いたしました。設定した指標及び目標については、以下のとおりであります。

指標

目標

2027年8月期

2030年8月期

GHG排出量削減率(Scope1,2)

(基準年:2023年8月期)

50%削減

90%削減

GHG排出量(Scope1,2,3)

カーボンニュートラル(注)

再生可能エネルギー電力比率

50%

100%

(注)削減努力を進めたうえで残存する排出量については、SBTイニシアチブに準拠した方法でオフセットを行う前提としております。

 

 今後も、再生可能エネルギー電力へのシフトはもとより、当社グループが入居する施設への再生可能エネルギーの導入を働きかけてまいります。また、引き続きScope3の算定の精緻化と、排出量削減のための具体的な施策の検討を進めるとともに、更なる開示の拡充に取り組んでまいります。

GHG排出量実績は、当社コーポレートサイト Sustainabilityページ ESGデータ(https://www.valuence.inc/sustainability/data/)で開示しております。

 

3.人的資本

(1)戦略

 当社グループは、パーパスの実現に向けて、人材の専門性の強化及び組織としての多様性の確保に取り組み、人材の価値を最大限に引き出すことが必要不可欠であると認識しております。全ての従業員が最も生産的かつ満足度の高い状態で働ける状態を目指し、以下のとおり人的資本戦略に関する方針を定めております。

 

(人材マネジメント方針)

 事業成長、人材確保、配置、処遇、育成、組織文化の6つの観点で人材マネジメント方針を設定し、当社グループの企業文化に合う人材を厳選して採用した上で、公平な評価・処遇を通じて、従業員のモチベーションと成長を支援し、心理的安全性の高い組織文化を構築しております。

観点

人材マネジメント方針

事業成長

中長期的な企業価値向上の観点から物事を鳥瞰し、必要な人事施策を導入する。

人材確保

国籍・性別・年齢などを問わず当社グループの企業文化に合う人材を厳選して採用し、人材の確保・定着を目指す。

配置

全ての従業員が自らの意思で好きなこと・得意なことに挑戦できる環境を提供する。

処遇

企業価値向上に資する貢献・成果に対して公平性のある評価・処遇をする。

育成

多様な個の可能性を最大限に引き出し、個人の成長ひいては企業の成長につながる機会を積極的に提供する。

組織文化

思いやりを基にした人間関係と心理的安全性を確保し、従業員全員が自分らしく生き生きと働ける環境を提供する。

 

(人材育成方針)

 当社グループは、全ての従業員が好きなこと・得意なことを仕事にし、組織や自身の成長に向けて切磋琢磨する組織を目指し、OJT・職場外研修・自己啓発の観点から人材育成・支援を行ってまいります。

 

(社内環境整備方針)

 当社グループは、パーパス実現に向けて、全ての従業員が最も生産的かつ満足度の高い状態で働くことができる労働環境を目指しております。従業員一人一人が働きやすさ・働きがいを持って働ける職場環境づくりを通じて組織・個人それぞれの成長を加速させてまいります。

 

(ダイバーシティポリシー)

 当社グループは、全ての従業員が自分らしく仕事に取り組めるよう、人種、宗教、年齢、性別、国籍、障がい、性的指向、性自認等、あらゆる差別を禁止し人権を尊重いたします。職場において従業員があらゆるハラスメントを受けることなく、更なる多様性を受け入れるしなやかな組織に向けた啓蒙活動を継続してまいります。

 

(健康宣言)

 当社グループは、「大切なことにフォーカスして生きる人を増やす」というミッションを掲げ、従業員一人一人が能力を最大限発揮することが企業価値向上に繋がるという考えのもと、当社グループに関わるあらゆる人々が健康かつ安全・安心に働くことができる世の中を目指してまいります。

 

 これらの方針に基づき、事業成長と人材成長が循環を描き、持続的な成長を実現できる組織・人事戦略を立案し、企業価値向上を目指す施策を展開しております。

 

 

(2)指標及び目標

 人的資本戦略に関連する指標及び目標については以下のとおりであります。

指標

目標

2027年8月期

2030年8月期

従業員エンゲージメントスコア(注)1

4.0

4.2

女性取締役比率

30

女性管理職比率

25

30%

男性育休取得率

80

100%

男女間賃金格差(注)2

80

85%

(注)1.外部エンゲージメントサーベイ「会社満足度」「仕事満足度」「上司満足度」「職場満足度」における各スコア平均値(1~5段階評価)を算出しております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、提出会社及びバリュエンスジャパン株式会社に在籍する正社員(出向社員を含む)、契約社員、パート、アルバイトを対象に算出しております。

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業又は本株式の投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。

 

(1)仕入体制について

① リユース品の仕入について

 当社グループの事業において、リユース品の買取仕入は収益確保における基盤となっております。しかしながら、リユース品の買取仕入は新品と異なり、お客様の売却希望商品の持込数に依存することから、仕入量の調節が難しいという環境にあります。そのため、より安定した買取仕入を行うべく、WEBマーケティングの強化に加え、カスタマーサポートの充実や、電話やSNSを活用した事前査定を実施することで当社グループの買取店舗への誘導を図っております。また、宅配買取、出張買取、オンライン買取に加えアライアンスによる買取も実施し、仕入体制の強化に努めております。更に、海外での買取も開始しております。

 しかしながら、今後における景気動向の変化、競合の買取業者の増加、顧客マインドの変化、宝石・貴金属等における相場変動等によって、質・量ともに安定的なリユース品の確保が困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 仕入担当者(買取スタッフ)について

 リユース品の仕入金額については、金やプラチナ等の相場がある場合を除き、あらかじめ流通価格が決まっているものはありません。また、ブランドの人気の移り変わりや近年におけるリユース品流通量の増大により、当社グループのリユース品仕入においては、商品の真贋チェック(当社グループの規定に準ずるか否かのチェック。以下同じ。)を行い、その時々の状況に合わせた適正な買取価格を提示できる買取スタッフの存在が欠かせません。従って、専門知識と経験を持ち合わせた買取スタッフの人員確保は、当社の重要な経営課題であると認識しております。

 以上により、買取スタッフの人員確保が計画どおり進まない場合、当社グループのリユース品買取仕入活動及び店舗の出店計画は制約を受けるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ コピー商品の買取リスクについて

 バッグや時計といったブランド品については、一部ブランドに対するコピー商品の流通が広範囲にわたっており、社会的な問題となっております。当社グループにおいては、日頃から各買取スタッフの真贋チェック能力を養うことにより、コピー商品の買取防止に努めております。また、お客様(リユース事業者及び一般消費者)に安心して商品をお買い求めいただくために、販売前にも再度入念な真贋チェックを行っており、誤って仕入れたコピー商品については、全て返品もしくは廃棄処理を行い、コピー商品の販売防止に努めております。また、必要に応じて、社外に真贋チェックを依頼しております。

 しかしながら、各ブランドの正規店からの仕入ではなく二次流通にて一般消費者から商品を仕入れるという特性上、常にコピー商品の買取・販売のリスクを含んでおり、当該トラブルの発生及びこれに伴う信頼低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 盗品の買取リスクについて

 買い取った商品が盗品であると発覚した場合、民法の規定では2年以内、古物営業法に関する規定では民法の認める場合に加えて古物商が公の市場より仕入れてから1年以内であればこれを無償で被害者に回復することとされております。当社グループにおいては、少しでも盗品と疑わしい商品については買取を控え、警察当局とも密に連携を図る等、盗品の流通を阻止すべく体制を整えております。

 また、古物営業法及び民法遵守の観点から、古物台帳(商品の買取記録を詳細に記載した台帳)を業務システムと連携させることで、盗品買取が発覚した場合には適時適切に警察当局の捜査に協力し、盗品を被害者へ無償返還できる体制を整えております。

 しかしながら、事業特性上、盗品の買取を完全に防止することは困難であり、買取した盗品の返還や、当該トラブル発生に起因した信頼低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)店舗・事業所展開、運営について

① 今後の店舗出店について

 当社グループは、国内外に買取店舗を展開することにより、買取仕入量を確保しております。また、海外においては、協業事業者(以下「パートナー」という。)による出店も行っております。

 当社グループの更なる成長へ向けて仕入力の強化が必須でありますが、今後の買取店舗や海外パートナー店舗の出店が計画どおりに進まなかった場合、リユース商品の仕入が計画を下回り、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 当社グループの営業エリアについて

 当社グループは、取扱商品におけるマーケット規模が大きい三大都市圏の中心である東京特別区、大阪市、名古屋市及びその周辺に買取店舗が多く存在しております。これらのことから、三大都市圏及びその周辺に影響を与える大規模災害の発生等により事業設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 店舗の賃貸借契約について

 当社グループが展開する買取店舗及び小売店舗は賃貸借契約を締結していることから、何らかの理由により契約が更新できない場合、また、契約更新時などに賃料が上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 減損会計の適用について

 当社グループは、買取店舗及び小売店舗を展開しておりますが、事業環境の変化等により各店舗の収益性が低下した場合、減損会計の適用に伴う損失処理が発生する可能性があります。当社としては、減損処理が発生しないよう各店舗の収益管理を徹底し、収益性が低下している店舗に対しては対策を講じておりますが、不採算店舗の増加により短期間に店舗閉鎖する事態が集中的に発生した場合には、多額の減損損失の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)外部環境の変化による影響について

① 外部環境の変化に伴う業績変動について

 当社グループは、ブランド品、貴金属、宝石などのリユース品が主な取扱商材となっており、そのほか、骨董・美術品等も取り扱っており、特定の商品に依存しない安定した販売体制を構築しております。また、今後の更なる収益拡大に向け、不動産、自動車等の取扱商品ジャンルを拡大し、世界中で共通の価値がある実物資産を幅広く取り扱っております。

 しかしながら、取扱商材によっては流行の変化に伴う経済的陳腐化や、為替・株式市況等の乱高下、景況感の急激な変化、地金相場及び時計相場の変動等により、販売動向が大きく左右されるものが存在しております。これにより、計画どおり仕入・販売ができない場合、売上高に影響を及ぼす可能性があります。また、自社オークションを始めとする複数の販路を有しており、各相場動向を見ながら販路選択を行い、在庫回転期間を長期化させることなく販売することが可能ですが、計画どおりの売上総利益率が確保できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 自然災害等による影響について

 当社グループは、買取店舗及び小売店舗を展開しております。自然災害や火災等の事故、感染症等の拡大等に対しできる限りの対策を講じておりますが、地震・台風等の大規模自然災害や流行性感染症が発生した場合には、営業継続に支障をきたす懸念があるほか、その回復・復旧のためのコスト負担等の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替相場の変動に伴う売上の減少及び利益率の悪化について

 当社グループは、買取った商品を自社開催のオークションを通じて国内外のリユース事業者へ販売しております。オークション参加事業者の中には海外事業者も多く含まれており、落札価格に為替の影響が加味されるため、円安時は海外からの入札が増え落札額が上昇しやすく、円高時は落札額が抑えられる傾向にあります。

 この傾向は、様々な国や地域からのオークション参加事業者が増えることで軽減されると考えておりますが、為替変動のタイミングとその時のオークション参加事業者の国別割合によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、小売店舗売上高の約6割がインバウンド(訪日外国人観光客)によることから、急激に円高が進行するなどの要因により、インバウンド需要が冷え込んだ場合、小売店舗売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 競合の激化について

 当社グループが属するリユース業界においては、主に商品の買取において同業他社との競合が生じております。当社グループにおいては、マーケティングの強化、利便性の高い立地への出店、店舗におけるサービスクオリティーの向上、継続的な人材教育により、競争力の向上及び競合他社との差別化を図っております。

 しかしながら、今後新規参入企業により一層の競合激化が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 有利子負債への依存度について

 当社グループは、運転資金の多くを金融機関からの借入金等に依存しているため、金融情勢の変化などにより計画どおり資金調達ができない場合には、事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。なお、2024年8月期末時点の有利子負債(リース債務含む)は16,468百万円(有利子負債比率(注)252.2%)であります。また、今後は小売販売も強化してまいりますが、小売販売の割合が高まることに伴い、有利子負債の比率が上昇する可能性があります。当社グループは、複数の金融機関との間で総額110億円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。加えて、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な金融機関との良好な取引関係を維持しております。さらに、金利の上昇等により資金調達コストが増大した場合には利益を圧迫し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制について

① 古物営業法に関する規制について

 当社グループは、古物営業法に係る法的規制を受けており、古物営業の許可を都道府県公安委員会より受けております。古物営業の許可には有効期限は定められておりませんが、古物営業法又は古物営業に関する他の法令に違反した場合、盗品等の売買等の防止もしくは盗品等の速やかな発見が著しく阻害される恐れがあると認められる場合には、公安委員会は古物営業法第24条に基づき営業の停止もしくは許可の取消しを行うことができるとされております。

 当社グループは、古物商の許可を受けて古物の売買を行っており、古物市場主の許可を受け、かつ競り売りの届出を行い古物商間及び海外事業者との古物の売買をしております。また、同法及び関連法令に関する社内教育を徹底し、同法及び関連法令定められている買取依頼者の本人確認、古物台帳の管理の徹底等、同法及び関連法令を遵守した営業活動を行っており、事業継続に支障をきたす事象発生は無いものと認識しております。

 しかしながら、今後、同法及び関連法令に抵触するような事象が発生し、許可の取消し等が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 個人情報の管理について

 当社グループでは、店舗業務や販売促進等において、顧客の住所、氏名、職業、年齢、クレジットカード情報等を取り扱っており、これら個人情報も帳簿等に記載又は電磁的方法により記録し、管理しております。このため、当社グループにおいては個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備し、プライバシーマークを取得する他、社内規程等ルールの整備、社内管理体制の強化、社員教育の徹底、情報システムのセキュリティ強化等により、個人情報保護マネジメント機能の向上を図り、「個人情報の保護に関する法律」の遵守、個人情報の漏洩防止に努めております。また、海外におけるEU一般データ保護規則(GDPR)、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)、シンガポール個人情報保護法(PDPA)等の法規則にも対応できるよう整備しております。

 しかしながら、個人情報の漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜、事後対応による多額の経費発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 犯罪による収益の移転防止に関する法律について

 当社グループの事業は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が適用されます。当社グループが同法及び関連法令の遵守を怠った場合、行政庁による指導、助言及び勧告並びに罰則を受けることがあり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)情報セキュリティについて

 当社グループは、店舗業務や販売促進等において、顧客の住所、氏名、職業、年齢、クレジットカード情報等を取り扱っております。当社グループでは、対象情報のセキュリティ対策に万全を期すものとし、紛失、破壊、改ざん及び漏えい等のリスクの未然防止に努めており、情報セキュリティ対策の実効性を確保できる体制を運用・構築しています。

 しかしながら、こうした対策にもかかわらず、多様化・高度化するコンピューターウイルスやサイバー攻撃、従業員や委託先の管理不備並びにシステム障害等の要因により、情報の漏えい及びシステムが正常に稼働できない等の事態が発生し、社会的信用の低下等を招く可能性があります。加えて、被害者への損害賠償義務及び外部からのサイバー攻撃への防御等の情報セキュリティ対策費用の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)海外の事業展開について

 当社グループでは、事業拡大を図るため海外展開を進めております。各国の景気変動、政治的・社会的混乱、法規制等の変更、大幅な為替変動などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外での買取店舗展開においてパートナー店舗についても当社グループの屋号を使用して店舗運営を行うため、各国パートナーの店舗運営に関してネガティブな情報や風評等が流れた場合には、ブランドイメージの低下を招くことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)特定人物への依存について

 当社の創業者であり、代表取締役である嵜本晋輔は、当社グループの事業を推進するに当たり、経営方針及び経営戦略・事業戦略の決定をはじめ、その事業化及び事業推進に至るまで重要な役割を担っております。当社グループでは、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、内部での人材育成を積極的に進め、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏に不測の事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)株式価値の希薄化について

 当社は、当社グループの取締役及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権及び譲渡制限付株式を付与しております。今後もこれらの制度の活用を検討しておりますが、新株予約権が行使された場合、また、譲渡制限付株式を付与した場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 なお、新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
 

(9)企業買収及び新規投資、新規事業に係るリスクについて

 当社グループでは、今後の事業領域の拡大又は必要な機能の取得・拡充のため、企業買収をその選択肢の一つとしております。企業買収の実施に当たっては、対象会社の財務内容や契約関係等についてデューデリジェンスを行い、取得価額の妥当性やリスク等について十分に検討したうえで決定しておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により当初想定したとおりに事業計画が進まない場合は、対象会社の株式取得価額やのれんの減損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新規投資や新規事業を開始するにあたっては、案件妥当性の判断に用いるハードルレートは当社にて算出したWACCを上回る水準に設定するなど、リスクの回避に努めるとともに、資本コストを意識した経営に努めております。事業や契約の内容について社外専門家の調査等も踏まえ高度で多面的なリスクの検証を行い、経営執行会議や取締役会での議論を重ねた上で決定しておりますが、経営環境の著しい悪化等により当初想定したとおりに事業計画が進まない場合は、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)下期への業績偏重について

 当社グループは、店頭買取が約9割であることから、年末年始や営業日数が他の月より少なく、かつ平均気温が1年を通じて最も低い2月等は、集客及び仕入が減少する傾向にあります。また、当社グループの流通取引総額の5割超を占める自社オークションにおいては、オークション参加事業者が年末商戦に向けた仕入を7~8月で加速させる傾向にあります。これらの要因により、当社グループの業績は下期に偏重となる傾向があります。

 

(注)有利子負債比率は、短期借入金、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金及びリース債務の合計額を純資産合計から新株予約権を控除した額で除して算出しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 なお、当社は「ブランド品、骨董・美術品等リユース事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

① 経営成績の状況

 当社グループは、地球環境も含めた持続可能性を高め中長期的な競争優位性を確立することが必要不可欠であるという認識のもと、「Circular Design for the Earth and Us」をパーパスに設定し、2030年に「Circular Design Company」の実現を目指しております。

 これに基づき事業を推進した結果、当連結会計年度の連結業績は以下のとおりとなりました。

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2022年9月1日

   至 2023年8月31日)

当連結会計年度

(自 2023年9月1日

   至 2024年8月31日)

前期比

増減額

増減率

売上高

76,130

81,468

5,338

7.0%

営業利益又は営業損失(△)

2,183

△426

△2,610

経常利益又は経常損失(△)

2,034

△764

△2,799

親会社株主に帰属する

当期純利益又は当期純損失(△)

1,050

△1,709

△2,759

 

(仕入高)

 当連結会計年度の仕入高は60,518百万円(前期比4,349百万円増、同7.7%増。株式会社米自動車の仕入高を除く)となりました。店舗仕入を軸に、百貨店など他業種とのアライアンスによる仕入強化にも引き続き注力いたしました。また、海外においても、スクラップ・アンド・ビルドを行いつつアジアを中心として買取店舗展開を強化し、加えて店舗網拡大との相乗効果による仕入拡大を企図し、国内同様WEBマーケティングによる集客の強化を開始いたしました。

 

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は81,468百万円(前期比5,338百万円増、同7.0%増)となりました。小売店舗の新規出店やインバウンド需要等により小売売上高が増加したことに加え、地金相場が引き続き高水準で推移したことやアライアンスでの仕入が寄与した結果、卸売(地金)の売上高も伸長いたしました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は61,944百万円(前期比5,828百万円増、同10.4%増)、売上総利益は19,523百万円(前期比489百万円減、同2.4%減)となりました。仕入競争環境の激化に伴い仕入単価が上昇していることや、第2四半期連結累計期間において小売の売上総利益率が低下したこと等により、売上総利益率は、24.0%(前期比2.3ポイント減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は19,950百万円(前期比2,120百万円増、同11.9%増)となりました。人員配置の見直しや買取店舗の効率化、効率重視のWEBマーケティング等により費用抑制に努めたものの、小売の新店舗である「ALLU SHINJUKU」や国内買取店舗の出店に伴う地代家賃の発生等、先行投資を含む費用が増加いたしました。

 これらの結果、営業損失は426百万円(前連結会計年度は2,183百万円の営業利益)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度は、為替差益等により営業外収益は132百万円(前期比95百万円増、同259.6%増)、また、支払手数料や貸倒引当金繰入額、事業撤退損等により営業外費用は469百万円(前期比284百万円増、同153.2%増)となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の経常損失は764百万円(前連結会計年度は2,034百万円の経常利益)となりました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度は、固定資産売却益により特別利益は2百万円(前期比104百万円減、同97.3%減)、また、のれん等の無形固定資産及び店舗・工場における有形固定資産の減損損失等により特別損失は800百万円(前期比572百万円増、同250.7%増)となりました。法人税等合計は、法人税の減少等により147百万円(前期比716百万円減、同83.0%減)となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は1,709百万円(前連結会計年度は1,050百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末におきましては、主に現金及び預金や商品が減少したこと等により流動資産が減少した一方、買取店舗及び小売店舗の新規出店等により固定資産が増加したことにより、資産合計は26,648百万円となりました。仕入資金等に係る資金調達により長期借入金が増加(短期借入金から長期借入金への借換も含む)したこと等により、負債合計は19,792百万円となりました。

 また、主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上や配当金の支払いによる利益剰余金の減少等により、純資産合計は6,855百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におきましては、主に税金等調整前当期純損失や法人税等の支払いにより資金が減少した一方、減価償却費、減損損失の計上や棚卸資産の減少等により資金が増加したことにより、営業活動によるキャッシュ・フローは、226百万円の収入となりました。

 投資活動としましては、主に買取店舗及び小売店舗の新規出店やオークションプラットフォーム等のシステム開発による固定資産の取得等により、投資活動によるキャッシュ・フローは、2,105百万円の支出となりました。

 財務活動としましては、主に仕入資金等に係る長期借入れによる収入等により、財務活動によるキャッシュ・フローは、464百万円の収入となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当社グループでは生産活動を行っていないため該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループでは受注活動を行っていないため該当事項はありません。

 

c.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前期比(%)

ブランド品、骨董・美術品等リユース事業

61,264,609

107.7

(注)金額は、仕入価格によっております。

 

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

ブランド品、骨董・美術品等リユース事業

81,468,085

107.0

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

なお、前連結会計年度の日本マテリアル株式会社及び株式会社ネットジャパンに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

顧客の名称

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

日本マテリアル株式会社

8,810,395

10.81

株式会社ネットジャパン

8,157,309

10.01

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2023年8月31日)

当連結会計年度

(2024年8月31日)

増減額

流動資産

19,227

17,600

△1,626

 

現金及び預金

8,336

6,916

△1,419

 

商品

7,633

7,110

△522

 

その他

3,257

3,573

315

固定資産

8,448

9,047

599

 

有形固定資産

3,806

4,224

417

 

無形固定資産

2,093

1,809

△284

総資産

27,675

26,648

△1,026

負債

18,841

19,792

951

 

有利子負債

15,260

16,468

1,207

 

その他

3,580

3,324

△256

純資産

8,834

6,855

△1,978

負債・純資産合計

27,675

26,648

△1,026

 

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,626百万円減少し、17,600百万円となりました。この主な要因は、借入金の返済等による現金及び預金の減少1,419百万円や商品の減少522百万円等によるものであります。固定資産合計は、前連結会計年度末に比べて599百万円増加し、9,047百万円となりました。この主な要因は、小売店舗の出店等による有形固定資産の増加417百万円、小売店舗の出店に係る差入保証金や繰延税金資産の計上等による投資その他の資産の増加466百万円があった一方で、システム開発に伴うソフトウエア等の増加407百万円及びのれんの減損等による減少689百万円により、無形固定資産の減少284百万円があったこと等によるものであります。これらの結果、資産合計は前連結会計年度末に比べて1,026百万円減少し、26,648百万円となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べて4,609百万円減少し、10,212百万円となりました。この主な要因は、短期借入金の減少4,301百万円等によるものであります。固定負債合計は、前連結会計年度末に比べて5,561百万円増加し、9,580百万円となりました。この主な要因は、長期借入金の増加5,717百万円等によるものであります。これらの結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて951百万円増加し、19,792百万円となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,978百万円減少し、6,855百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上及び配当金の支払による利益剰余金の減少2,097百万円等によるものであります。

 

b.経営成績

 買取面においては、売上総利益率重視の仕入に転換しながら、地域を厳選した新規出店及びWEBマーケティング等による効率的な集客拡大に向けた取組を展開いたしました。また、店舗出店に依らない仕入拡大に向け、百貨店や金融機関等の他業種とのアライアンスによる仕入等も強化しております。更に、海外においては、アジアを中心とした協業事業者(以下「パートナー」という。)による買取店舗展開の強化を行い、国内で培ったWEBマーケティングのノウハウを活用し仕入拡大に努めております。これらの結果、当連結会計年度における仕入高は60,518百万円(前期比4,349百万円増、同7.7%増。株式会社米自動車の仕入高を除く)となりました。

 国内出店については、仕入効率を重視し、地域を厳選した新規出店や店舗移転を行い、より利便性の高い店舗網を構築するなど、店舗効率の最大化に注力いたしました。また、海外出店については、店舗投資コストの低いアジアや中東地域においてパートナーを中心に出店を継続し、不採算店舗については退店を行いながら、店舗網の拡大を進めてまいりました。これらの結果、当連結会計年度末におけるグループ全体の買取店舗数は、国内140店舗、海外46店舗となりました。

 

[仕入高・店舗数]

0102010_010.png

※1.株式会社米自動車の仕入高実績は含めておりません。

※2.店舗数には海外店舗も含み、( )はそのうちの海外店舗数であります。

 

 販売面においては、大阪2店舗目となる「ALLU SHINSAIBASHI ANNEX」の新規出店やインバウンド需要等により小売売上高が増加したことに加え、地金相場が引き続き高水準で推移したことやアライアンスでの仕入が寄与したこと等により、当連結会計年度の売上高は81,468百万円(前期比5,338百万円増、同7.0%増)となりました。

 当連結会計年度における売上総利益率は、24.0%(前期比2.3ポイント減)となりました。仕入競争環境の激化に伴い仕入単価が上昇していることや、第2四半期連結累計期間において小売の売上総利益率が低下したこと等によるものであります。一方、第3四半期連結会計期間より売上総利益率重視の仕入を継続することで、第2四半期連結累計期間において積み上がっていた売上総利益率の低い在庫の入替えを進めながらも、第3四半期連結会計期間以降の売上総利益率は25%台まで回復いたしました。

 

[売上高・売上総利益率]

0102010_011.png

 

[自社オークション]

 国内だけでなく海外パートナーが数多く参加しているラグジュアリー品に特化したグローバルプラットフォームとして「STAR BUYERS AUCTION(以下「SBA」という。)」の認知が拡大してきた結果、国内外のパートナー会員数は順調に拡大しております。また、当連結会計年度においては、インバウンド需要の回復により、国内パートナーに積極的に落札いただけているものの、海外パートナーの落札比率も30%前後の高い水準で引き続き推移しております。

 当連結会計年度の自社オークション売上高は37,373百万円(前期比3,019百万円減、同7.5%減)となりました。第1四半期連結会計期間における海外パートナーの一時的な買い意欲の落ち込みや、ダイヤモンド相場急落によるダイヤモンドオークション休会等の一過性要因により売上高が減少いたしましたが、第2四半期連結会計期間以降は堅調に推移いたしました。なお、第4四半期連結会計期間においては、2025年8月期に向け在庫確保を行うため、計画的に商品出品量の調整を行いました。

 

[自社オークション手数料]

 2023年3月からSaaS型新機能の提供を開始したこと等により、自社オークションにおける委託取扱いが好調に伸長し、当連結会計年度の自社オークション委託落札額のGMV(流通取引総額)は15,272百万円(前期比4,706百万円増、同44.5%増)と過去最高を更新いたしました。この結果、当連結会計年度における自社オークション売上高は前期比で減少も、当連結会計年度の自社オークション手数料売上高は2,957百万円(前期比106百万円増、同3.7%増)となりました。

 引き続き、当社最大の強みであるSBAの機能拡充を継続するとともに、SaaS型新機能利用企業の獲得に注力すること等で、自社オークション委託落札額のGMV拡大に努めてまいります。

 

[卸売(地金)]

 当連結会計年度における卸売(地金)売上高は18,363百万円(前期比5,355百万円増、同41.2%増)となりました。1年を通じて地金相場が高水準で推移したことに加え、強化しているアライアンスにおける仕入が寄与したこと等によるものであります。

 

[小売]

 2023年12月に国内4店舗目となる「ALLU SHINSAIBASHI ANNEX」をオープンしたほか、旺盛なインバウンド需要、当社グループのECサイトでの販売力強化により、当連結会計年度における小売売上高は13,616百万円(前期比4,489百万円増、同49.2%増)となりました。

 小売強化により一般消費者との接点を拡大することで、小売販売と買取の双方向の関係を築くことで顧客のLTV向上を図るととともに、当社グループ全体で顧客を固定化することを目指しております。また、当社最大の強みであるオークション等の事業者向け販売力を活かした、小売拡大戦略も推進しております。具体的には、これまでSBAに優先的に商品を振り向けておりましたが、SBAに出品するまでの準備期間を有効活用し、まず当社グループのECサイトで商品を販売する(シームレス出品)施策を開始いたしました。これにより、在庫回転期間を長期化することなく、小売販売機会の拡大・販売率向上を企図しております。

 なお、小売販売後も2023年7月にリリースした「ALLU Fashion Market」上で商品がストックされる仕組みを実現すべく取り組んでおります。将来的には、当社グループのECサイトと「ALLU Fashion Market」の連携も行い、当社プラットフォーム上で商品を循環させることで、手数料収入の拡大にも繋げることができると考えております。

 

[売上高(販路別)]

0102010_012.png

※前連結会計年度より、株式会社米自動車の売上高を卸売・その他(地金除く)に含めております。

 

[GMV推移]

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※自社オークション委託落札比率:

自社オークション(委託落札額)

自社オークション(商品売上)+自社オークション(委託落札額)

 

 インバウンド需要の回復に伴い国内パートナーの買い意欲が旺盛であったことや、小売店舗における訪日外国人観光客向けの販売が好調であったこと、加えて地金売上高が拡大したこと等により、国内売上高は67,107百万円(前期比7,989百万円増、同13.5%増)となりました。なお、国内売上高伸長に伴い海外売上高比率は17.6%となりました。

 

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は19,950百万円(前期比2,120百万円増、同11.9%増)となりました。人員配置の見直しや買取店舗の効率化、効率重視のWEBマーケティング等により費用抑制に努めたものの、2024年10月にオープンした小売の新店舗である「ALLU SHINJUKU」や国内買取店舗の出店に伴う地代家賃の発生、オークションプラットフォームやECサイト強化等に係るシステム開発等の先行投資を含む費用が増加いたしました。引き続き、効率重視のWEBマーケティングや店舗運営を継続しながら、小売強化に係るシステム開発や海外拡大に伴うWEBマーケティングの強化、人材への投資等に関しては厳選して継続してまいります。

 これらの結果、当連結会計年度の営業損失は426百万円(前連結会計年度は2,183百万円の営業利益)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2023年8月31日)

当連結会計年度

(2024年8月31日)

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,374

226

△1,148

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,538

△2,105

433

財務活動によるキャッシュ・フロー

1,723

464

△1,259

現金及び現金同等物の期末残高

8,334

6,915

△1,419

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,419百万円減少し、6,915百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、226百万円の収入(前連結会計年度は1,374百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純損失1,562百万円や法人税等の支払額699百万円等による資金の減少があった一方、減価償却費1,182百万円、減損損失756百万円、棚卸資産の減少額512百万円等による資金の増加があったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,105百万円の支出(前連結会計年度は2,538百万円の支出)となりました。これは買取店舗及び小売店舗の新規出店や物流拠点の増床に伴う有形固定資産の取得による支出887百万円や、オークションプラットフォーム等のシステム開発に伴う無形固定資産の取得による支出753百万円があったことに加え、新規出店に係る差入保証金の差入による支出487百万円等の資金の減少があったためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、464百万円の収入(前連結会計年度は1,723百万円の収入)となりました。これは短期借入金の減少額4,300百万円や、長期借入金の返済による支出1,234百万円、配当金の支払額387百万円があった一方、長期借入れによる収入6,800百万円等の資金の増加があったためであります。

 

b.資金調達

 当社グループは、事業の維持拡大に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、金融機関からの借入等、一部有利子負債を活用しております。また、複数の金融機関との間で総額11,000百万円のコミットメントライン契約を締結することで、十分な資金の流動性を確保しております。

 当連結会計年度末における有利子負債(リース負債除く)の残高は、16,072百万円であります。

 当社グループでは、年度事業計画に基づく資金調達計画を策定するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・管理しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持し、加えて財務体質の強化にも努めております。

 

c.資金需要の主な内容

 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、商品買取に係る仕入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資資金需要は、主にオークションプラットフォーム構築や買取・販売に係る社内システムの改修等のシステム投資、買取店舗や小売店舗の新規出店に係る設備投資によるものであります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら対応していく方針であります。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。

 当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、自社研究及び国立大学法人 北海道大学 大学院情報科学研究院との共同研究を通じて、人工知能を活用し、外部環境等を反映したオークション価格の動的設定や買取査定価格の自動算出についての研究を行っております。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は980千円であります。