文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社経営の基本方針
当社グループは、以下のとおり経営理念および経営方針を定め、実践しております。
①経営理念
当社は、設立以来、下記を経営理念としております。
【経営理念】
一. 我社は世の中の役に立つ独創的な「物」「方法」を創造し世の中に貢献する。
一. 我社は顧客の立場に立って「物」「方法」を創造し、より価値の高い物を、お客様に与え続ける。
一. 我社は正しい倫理の上に立ち、真面目な事業運営で永久繁栄を計る。
一. 我社に対し力を貸してくださっている方々に少しでも多くの利益をもたらし、共存共栄を計る。
一. 我社の社員は一丸となって努力し如何なる時代が来ようとも絶対につぶれる事のない強靭な体質を作り、事業の永久繁栄を計る。
一. 我社の社員はもっともっと人間性を高め社会的地位の向上を計ると共に財産の増強を計る。
②経営方針
当社は、国民の視点に立った建設工事のあるべき姿として、「建設の五大原則」を掲げ、これを遵守する新しい建設業界への転換を図る「工法革命」を提唱し、実践しております。その中核をなす技術が「インプラント工法」であり、その普及・拡大により、世界の建設を変えることを経営方針として掲げております。
【経営方針】 インプラント工法で世界の建設を変える
「建設の五大原則」
≪いかなる工事も環境性、安全性、急速性、経済性、文化性の五つの要件を調和のとれた正五角形で実現しなくてはならない≫
環境性:工事は環境に優しく、無公害であること
安全性:工事は安全かつ快適で、工法自体が安全の原理に適合していること
急速性:工事は最短の時間で完了すること
経済性:工事は合理的で新奇性・発明性に富み、工費は安価であること
文化性:工事は高い文化性を有し、完成物は文化的で芸術性に溢れていること
(2)中期的な会社の経営戦略
今後も多くの社会課題の解決策を創造・提供する開発型企業に特化し、発展していくために中期経営計画2027(2025年8月期-2027年8月期)を策定しました。中期経営計画2027では、独自のビジネスモデルを基本とし、新工法・新製品の開発と市場投入のスピードアップを進め、グローバルに圧入技術の提案と圧入工法の普及を進めていきます。
【基本戦略】
①海外市場への積極展開
②独創性・創造性に富む開発の強化
③国内市場の着実成長
④事業を支える基盤の強化と深化
【数値目標】
中期経営計画2027の最終年である2027年8月期では、連結経営目標として、連結売上高36,000百万円、連結営業利益4,900百万円、ROE8.5%を定めています。
(3)経営環境および対処すべき課題
当社グループは中期経営計画2027を策定し、基本戦略として以下の課題に取り組んでおります。
①海外市場への積極展開
世界の国々では日本と同様に気候変動に伴い激甚化する自然災害への対応、老朽化した社会インフラの再生・強化が喫緊の課題として注目されているほか、地域の発展のために、新しいインフラを必要としている国や地域があります。
これまで当社グループは独自のビジネスモデルに基づき、ビジネスの展開、海外事業パートナーへの技術提供、各国官公庁等への工法普及活動を推進してきました。その結果、圧入技術は世界40以上の国と地域に広がり、各地域での建設課題の解決に貢献してきました。
今後、海外市場のうち、事業拠点がある地域は機械販売を中心とした取り組みから進化させ、現地企業と築いたパートナーシップをさらに強固にするユーザー向け総合支援サービスGTOSS(GIKENトータルサポートシステム)を導入しトータルサポートの取り組みを進め、パートナー企業とともに圧入工法普及に取り組むことで、圧入市場の拡大を加速します。その他の地域は、市場調査を進めながら、当社グループの技術が必要とされる地域を選択し、ODA案件等に日本の質の高い技術として提案を行い、案件形成に積極的に取り組んでいきます。
②独創性・創造性に富む開発の強化
建設市場では労働人口の減少や人件費の高騰が大きな課題となっており、省人化・生産性の向上に対応した工法・機械が強く求められています。また、地球温暖化や老朽化したインフラの再生・強化等の顕在化した社会的な建設課題に対して解決技術を提案するとともに、その他の多様な課題に対しても新しい技術を提案し続けるため、工法、機械の開発を強化しなければなりません。
当社グループではこれまで、「サイレントパイラー」の施工効率の向上を追求するため、地盤情報を推定し、圧入条件を自動的に最適化する「PPTシステム」の開発により、建設現場の大幅な生産性向上に取り組んできました。
今後も、新しい建設を切り拓く「開発型企業」として、社会の変化に対応した「物」「方法」をより早く的確に、企画・開発し続けることができる体制を強化し、開発力をさらに向上させていきます。特に、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を圧入技術、機械、技術提案に展開し、圧入工事の全自動化を実現するとともに、遠隔操作・自律施工を実現することで、国内のみならず、海外での効率的な施工や新たな技術支援を可能にし、人手不足の解消や生産性の向上・効率化といった課題に対処しながら新しい建設の構築に向けて取り組んでいきます。
また、今後強く求められてくる、循環型で持続可能な社会の実現に資するインフラの持つ機能を重視した「機能構造物」を実現し社会に貢献していく取り組みを続けます。
③国内市場の着実成長
国内でも大規模地震の多発や確実に発生する巨大地震への対応、気候変動による水害等の激甚化する自然災害への対応は、国土強靭化を進めていく上で喫緊の課題となっています。しかしながら、市場環境は建設資材価格の高止まりや、労務費の上昇、作業員の不足といった課題を抱えております。
これまで当社グループは、地震・水害等の災害復旧や高速道路等のインフラ更新など多くの実績を積み上げてきました。今後も、発注者・設計者に対し、企画段階からデータや実績など科学的な裏付けを持った圧入技術の優位性を軸にアプローチを強化することで、このような建設課題を解決する工事案件の創出を目指します。また、完成した構造物の品質を確保することや将来の維持管理に対応するため、杭の施工を高精度に管理できる「インプラントNAVI」や構造物の健全性を可視化する「神経構造物」の提案も進めます。
さらに、顧客支援の充実やニーズに対応した工法・製品を市場に提供することで顧客の持つ課題の解決を図り、圧入業界の発展を進めていきます。
④事業を支える基盤の強化と深化
難易度の高い開発課題や工法の技術提案、経験のない未知の分野への取り組み等に果敢に挑戦する姿勢をさらに強化し、新たな経験の獲得やフィードバックの積み重ねによって、イノベーションを当社グループの企業文化として定着させ、その活性化を図ります。
着実な利益確保に向けた企業体制へのシフトを目指し、データドリブンによる効率的かつ効果的な経営を実践するとともに、コスト削減や業務改善・拡大の活動を継続できる環境を整備します。これらの活動を通じ、当社グループの事業が継続的に、かつ大きく成長するための、より強固で質の高い事業基盤を構築します。
このようなイノベーションの創出、生産性向上の推進、またそれらの実現に必要な人的資本への投資は欠かせません。今後の事業展開を見据え、経営戦略と事業戦略を連動させ、社員に必要なスキルの習得、知識や経験の多様性の拡充、人材ポートフォリオの充実等の人的資本投資を推進し、事業推進の基盤を強化していきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次の通りであります。
文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理
当社グループは創業以来、常に建設のあるべき姿を追求し、新たな工法・機械の開発と普及を通じて社会課題解決に取り組んできました。圧入技術の優位性を核とする当社グループは、事業そのものが環境や社会の抱える様々な課題に貢献しており、サステナビリティの推進は「公害対処企業」として創業した私たちにとっての使命でもあります。
2024年8月には、従来から取り組んでいた建設業界の課題解決からさらに視野を広げ、「社会価値を創造しながら持続的に企業価値創造を実現するために、中長期的に取り組むべき重要課題」として、マテリアリティを特定しました。
今後も、マテリアリティへの取り組みを通じて、社員一人ひとりが建設の未来を切り拓くパイオニアとなり、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
①ガバナンス
当社の取締役会では、マテリアリティに掲げる各項目が、持続的な社会の実現と当社の長期的な企業価値向上を両立するための重要課題であるとの認識のもと、関連する各取り組みを監督しております。
当社では、サステナビリティに関する取り組みを推進するため、2022年11月に代表取締役社長CEOの直下組織「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会では、気候変動への対応をはじめとしたサステナビリティの観点を踏まえた経営推進のための提言および施策のフォローを行っています。取締役会はサステナビリティ委員会の活動に関する報告を受けるなど適切に監督を実施しています。
②リスク管理
当社グループは、企業活動を取り巻くリスクを把握、管理することが持続的な成長と社会的責任を果たすことにつながると考え、グループ全体を統括するリスク管理体制を構築、運用しています。
重要度の高いリスクに関しては取締役会で事案ごとに特定・評価し、対策の妥当性を審査することでリスクの最小化、顕在化の抑止を図っています。サステナビリティに関する重要なリスクに関してはサステナビリティ委員会で議論のうえ取締役会に報告され、必要に応じて審議が行われます。各部門は業務プロセスに顕在、内在するリスクを把握したうえで対策を講じており、リスク管理状況について内部監査室の監査を受けています。
<マテリアリティの特定>
当社グループでは、下記の1~4の手順を踏み、企業価値への影響度と各事業に関するステークホルダーの関心・期待度の観点から、特に影響が大きい項目をマテリアリティとして特定しました。
1.候補となるメガトレンドや社会課題の抽出
2.社内ワークショップによる機会・リスクの検討
3.ステークホルダーとの対話
4.重要度評価・マテリアリティの特定
<マテリアリティ内容>
当社グループでは特定したマテリアリティに取り組んでいくため、マテリアリティテーマを定めグルーピングしました。特定したマテリアリティおよび各社会課題に対する施策・KPIは再度議論を重ね引き続き検討していきます。
マテリアリティテーマ |
関連する社会課題 |
|
環境 |
自然環境と調和したものづくり・施工 |
気候変動、生物多様性、ライフサイクルアセスメント |
社会 |
持続可能なまちづくりを支える建設の提供 |
都市・地域社会の持続性、社会インフラの維持・更新、都市の防災・災害対策、新興国での都市化 |
責任あるサプライチェーン・マネジメントとパートナーシップ |
パートナーシップ、調達慣行、知的財産権の保護、人権・労働慣行 |
|
多様な人材が活躍できる組織づくり |
D&I、エンゲージメント、多様な働き方の実現、人材育成、従業員の健康、労働環境の改善 |
|
経済 |
技術開発による工法革命の追求 |
技術革新、デジタル化・DX、品質、イノベーション人材の創出 |
ガバナンス |
ガバナンスの高度化とコンプライアンスの徹底 |
公正取引、コーポレート・ガバナンス、腐敗防止 |
(2)個別テーマ
①気候変動
当社グループは、気候変動に関連するリスク・収益機会の特定と対処を経営上の重要な課題の一つと捉えており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った取り組みと情報開示を行っております。
(a)戦略
気候関連のリスクと機会が当社グループの事業、戦略、財務計画に及ぼす影響の評価、およびそれに対する対応策を検討するために、以下の前提を用いて、シナリオ分析を実施しました。
分析にあたり、対象は連結決算ベースの全事業、時間軸としては2030年を選択しました。また、シナリオについては、産業革命前に比べ2100年までに世界の平均気温上昇が2℃未満に抑制される「2℃未満シナリオ」と、4℃上昇する「4℃シナリオ」を選択しました。「2℃未満シナリオ」ではIEAのSDSシナリオ(Sustainable Development Scenario)とIPCCのRCP2.6等を、「4℃シナリオ」ではIEAのSTEPシナリオ(Stated Policies Scenario)とIPCCのRCP8.5等を選択しました。
シナリオ分析の前提
分析前提 |
対象 |
||
事業範囲 |
全事業 |
||
企業範囲 |
連結決算ベース |
||
分析対象 |
2031年8月期時点 |
||
選択シナリオ |
気温上昇幅 |
移行シナリオ |
物理シナリオ |
2℃未満 |
IEA※1SDS |
IPCC※2RCP2.6等 |
|
気温上昇幅 |
移行シナリオ |
物理シナリオ |
|
4℃ |
IEA STEP |
IPCC RCP8.5等 |
※1 IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)
※2 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)
まず、気候変動がもたらすと思われるリスク・機会を幅広く洗い出したうえで、影響度が大きくなると予想される項目に絞り込みました。次に、影響度の試算に必要なパラメーターを収集し、2030年頃における財務インパクトについて、2℃未満シナリオと4℃シナリオそれぞれに基づいて試算を行いました。試算の結果に対して、組織戦略におけるレジリエンスを高めるための対応策を検討しました。
気候変動がもたらすリスク
分類 |
リスク項目 |
影響度 |
主な対応策 |
|||
2℃未満 |
4℃ |
|||||
移行リスク |
政策と法 |
カーボンプライシングの導入 |
炭素税導入に伴うエネルギーの調達コスト増加 |
小 |
- |
● 再生可能電力への切替 ● 工場設備の電化 ● 省エネルギーの推進 ● 環境負荷を軽減した原材料の調達とその製造方法をもつサプライヤーの選択 |
国境炭素税導入による輸出製品のコスト増加 |
- |
中 |
||||
炭素税の導入などによる原材料コストの増加 |
大 |
大 |
||||
テクノロジ 丨 |
低炭素技術、製品への置き換えコスト増加 |
機械の電動化及びグリーン電力への転換によるコスト増加 |
大 |
大 |
● 製造方法の技術革新による生産性向上で生産コスト減 |
|
物理的リスク |
急性 |
異常気象の 激甚化 |
台風・竜巻・洪水によって起こる従業員・工場への被害、操業停止・生産減少・設備の復旧への追加投資 |
中 |
中 |
● 災害時のBCP対応強化 ● 生産拠点の増強と分散 ● 主要生産工場への浸水対策 |
慢性 |
平均気温の上昇 |
従業員の労働環境悪化、生産性低下、人材不足加速、健康リスク対応へのコスト増加 |
小 |
小 |
● 自社研究開発を進め、省人化施工の実現 |
気候変動がもたらす機会
分類 |
機会項目 |
影響度 |
対応策 |
|||
2℃未満 |
4℃ |
|||||
機会 |
製品とサ丨ビス |
低炭素排出に寄与する製品およびサービスの開発・拡大 |
電動のジャイロパイラーをはじめとした環境規制をクリアする製品の開発・市場投入により圧入工法の需要が拡大、収益が拡大 |
大 |
小 |
● 電動化製品の追加投入 ● 排出ガス削減に向けた高効率システムの開発 ● 代替燃料への置換 (バイオ燃料) |
市場 |
新市場の開拓と新商材の積極展開 |
環境負荷を軽減した移動手段に欠かせない駐車・駐輪スペースを都市に確保するEVエコパーク・エコサイクルの需要が拡大、収益が拡大 |
大 |
中 |
● エコパークの対応EV車種拡充 ● EVエコパークの営業展開 |
|
防災・減災・国土強靭化への取り組み |
激甚化豪雨に対する事前対策、土砂災害復旧等、防災、復旧に対するインプラント工法をはじめとした最適なソリューションの需要が拡大、収益が拡大 |
大 |
大 |
● 防災、早期復旧を可能とする技術提案活動の強化 ● 機能停止なく老朽化インフラを更新する工法の普及推進 ● 海外での工法推進展開 |
||
レジリエンス |
レジリエンス 対応事業の推進 |
災害未然防止の取り組みとしてガード工法などの当社工法および当社機械の需要が増加、収益が拡大 |
大 |
大 |
● 事前防災の案件を増やすための工法普及活動を展開 ● 海外での工法推進展開 |
(b)指標及び目標
技研グループサプライチェーンのCO2排出量を指標とし、削減目標として2021年8月期の排出量を基準に、2031年8月期にScope1,2で42%、Scope3で25%それぞれ削減することを設定しております。
区分 |
基準排出量 |
目標削減率 |
排出量実績 (基準排出量からの削減率) |
事業年度 |
2021年8月期 |
2031年8月期 |
2023年8月期 |
Scope1,2 |
|
▲42% |
(▲31.2%) |
Scope3 |
|
▲25% |
|
②人的資本
当社グループはありたい姿の実現に向けて、経営戦略と連動した人事戦略のもと、企業の価値創造と持続的な発展に向けた人的資本への投資を継続していきます。また、社員とそのご家族のウェルビーイングを向上させることは創業以来、当社グループが大切にしてきた柱の一つです。働きがいと働きやすさの双方を最大化し、社員一人ひとりがより豊かな人生を送るための投資もあわせて行っていきます。
(a)戦略
人的資本経営を達成すべく、経営戦略に基づく計画を遂行する人材の確保および育成を進めております。
・新しいことにチャレンジする文化と環境の醸成
・異業種との交流や連携による新たな価値の創出
・イノベーション人材の補強
これらを軸に、経営戦略の実現に向け最適で多様な人材が活躍する人材ポートフォリオを構築し、また、個人と組織の活性化を促進し、多様な個人がイノベーションや価値創造を主体的、意欲的に取り組める職場環境の構築を目指していきます。
(b)指標及び目標
当社では、上記に記載した人材育成および社内環境整備に関する方針のもと、人材の多様性確保に向け、次の指標および目標を設定しています。
指標 |
対象 |
目標 |
実績 (2024年8月期) |
|
当社 |
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|
|
|
|
|
|
|
|
※ 男性労働者の育児休業取得率は、目標の対象期間を2026年4月1日~2027年3月31日、実績の対象期間を2023年4月1日~2024年3月31日としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループが属する市場環境について
激甚化・頻発化する自然災害への備えとして、人命・財産・地域を守るとともに、経済への影響を最小化し、被災後の迅速な復旧・復興を実現する「国土強靭化」は、将来にわたって永続的・安定的に切れ目なく推進されていく取り組みです。社会インフラ等への投資は今後も継続し、その中で当社グループの機械・工法は「強くてしなやかな国づくり」に貢献することを確信しています。
しかしながら、国内外の建設市場の状況、特に公共投資の動向は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)海外事業について
当社グループは、欧州・アジア・米国などを中心に、海外事業を積極的に展開しております。また、各国個別の建設市場状況に影響を受けにくい普遍的要素に則った事業展開を行うべく、構造物の企画・計画から、施工、完成後の維持管理までをトータルパッケージで市場に提供する体制を整えております。
しかしながら、異文化のもとでの商慣行の違い、為替レートの変動、各国の法制度や規制の変更さらには地政学リスクに起因するエネルギーや原材料価格の変動等は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害・感染症等について
重大な自然災害、感染症など深刻かつ広範囲にわたる社会的な悪影響が発生した場合においては、当社グループおよびサプライチェーンや社会全体の混乱から、当社グループの事業活動や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではリスクの顕在化に備え、事業継続計画の策定や訓練を実施しており、重大リスクが顕在化した際には、危機管理対策本部を設置の上、被害を最小限に抑えるための適切な措置をとります。
(4)製造環境について
当社の機械は、設計を自社で行い、製造は協力企業への外注で対応しており、納期管理や品質管理方法に対する基準の徹底、製造コストや需要の変動に応じた外注先の拡大等で生産体制の維持を図っております。また、デジタル技術でリソースを最適化し、最短納期で高付加価値の製品を提供するスマートファクトリーを推進しています。
しかしながら、素材やエネルギーコストの変動、調達先および外注先の納期・コスト・品質等の取引条件の変動、外注先の経営状況の悪化や協力関係の解消が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)法的規制等について
当社グループの事業においては、建設業法などの法的規制を受けております。その主要な許認可等は下記のとおりです。当社グループでは現時点において、許認可等の取消または更新欠落の事由に該当する事実はありません。
|
株式会社技研製作所 |
株式会社技研施工 |
|
取得年月 |
2021年6月 |
2024年7月 |
2022年1月 |
許認可等の名称 |
特定建設業許可 |
一級建築士事務所 |
特定建設業許可 |
所管官庁等 |
国土交通大臣 |
高知県 |
国土交通大臣 |
許認可等の内容 |
国土交通大臣許可 (特-3) 第19752号 |
高知県知事登録 (第1309号) |
国土交通大臣許可 (特-3) 第14570号 |
有効期限 |
2026年7月3日 (5年ごとの更新) |
2029年7月17日 (5年ごとの更新) |
2027年1月9日 (5年ごとの更新) |
法令違反の要件および 主な許認可取消事由 |
不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合等 (建設業法第29条) |
建築士事務所の開設者がその建築士事務所の業務に関し不正な行為をしたとき等 (建築士法第26条第2号) |
不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合等 (建設業法第29条) |
(6)環境規制について
当社グループの製品は環境に配慮した設計で排出ガス規制と騒音規制に適合しております。これらの規制に関する当社グループの届出の内容は下記のとおりです。
当社グループでは、最新の排出ガス規制への適合に加えて、低騒音建設機械の指定、生分解性作動油の使用など、建設機械の環境対策に関して先駆的に取り組んでおります。今後も積極的に環境に配慮した製品開発を進めていきますが、社会的関心の高まりなどを背景とした規制強化が想定よりも早く進んだ場合、対応費用の発生等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
届出の名称 |
届出先 |
法律名 |
取消事由 |
低騒音建設機械の指定 (※) |
国土交通省 |
低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程 |
・不正の手段により型式指定を受けた場合 ・指定機械が左記規程第2条第1項の騒音基準値又は第2項の振動基準値に適合しなくなった場合 ・製造の中止、商号、機械名称の変更の届出を怠った場合 |
特定特殊自動車型式届出(※) |
環境省 |
特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律 |
・基準に適合しなくなった場合 (当該特定特殊自動車の排気管から大気中に排出される排出ガスの光吸収係数が0.50m-1を超えないもの) |
(※)いずれも株式会社技研製作所が届出を行っております。なお、いずれも有効期限は規定されていません。
(7)情報、知財管理等について
当社グループは開発型企業として機械や工法の開発、新工法の提案を継続的に進めており、これらの実現の積み重ねは、発明やノウハウ等の知的財産を含む重要な技術情報や特殊な営業情報を保有することになります。それら技術情報や営業情報等の機密情報の管理については細心の注意を払い、関連情報の改ざん、漏洩、滅失、第三者の不正使用等の情報管理に関する事故が無いよう、社内規程やマニュアルの制定、ソフトウエアおよびITインフラのセキュリティ強化、役職員への周知および教育の実施など適切な措置を講じております。しかしながら、外部からの攻撃や従業員の過失等により関連情報の漏洩、滅失等の事故が起きた場合は、当社グループの信用毀損や復旧費用が発生するなど、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)貸倒リスクについて
当社グループは与信管理を徹底し貸倒リスクを最小限に抑えるとともに、一定のルールに従い貸倒引当金を計上し経営成績に大きな影響を与えないよう対処しておりますが、顧客の経営状況が悪化し多額な貸倒引当金の追加計上が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,258百万円減少して48,129百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べ1,147百万円減少して24,271百万円、固定資産は前連結会計年度末に比べ2,110百万円減少して23,858百万円となりました。
流動資産減少の主因は、製品が736百万円、現金及び預金が262百万円増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が2,301百万円減少したことによるものであります。
固定資産減少の主因は、機械装置及び運搬具等の有形固定資産が722百万円、投資その他の資産が1,330百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ4,160百万円減少して7,683百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ4,083百万円減少して7,312百万円、固定負債は前連結会計年度末に比べ77百万円減少して370百万円となりました。
流動負債減少の主因は、電子記録債務が2,107百万円、支払手形及び買掛金が834百万円減少したことによるものであります。
固定負債減少の主因は、長期借入金が108百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ901百万円増加して40,446百万円となりました。この主因は、株主資本が464百万円増加したことによるものであります。自己資本比率は、総資産の減少に伴い前連結会計年度末の77.0%から84.0%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の1,452円90銭から1,511円02銭となりました。
2)経営成績
当社グループは、当期を最終年度とする中期経営計画(2022年8月期-2024年8月期)において、将来の成長を見据えた基盤の確立に向けて、具体的な取り組みを進めてきました。当初の数値計画におきましては、急激な材料価格の高騰等を受けた影響から見直しを行いましたが、国内外への新しい工法の提供とともに、大きな社会課題であるカーボンニュートラルや労働人口の減少に対応する機械の電動化・自動化を推進するなど、成長の基盤づくりを着実に進めました。
当期における国内の事業環境は、建設投資が官民ともに堅調に推移したことから、企業の設備投資が堅実に推移しました。しかしながら、原材料や建設資材価格の高止まりに加え、労務費の上昇が利益の圧迫要因として働き、建設業界においては厳しい経営環境が続きました。当社事業においては、コスト上昇やそれを受けた公共事業の施工規模の縮小が、ユーザーの設備投資意欲に少なからず影響を及ぼしました。
国内における工法技術提案活動では、災害復旧・復興事業や防災・減災対策、国土強靭化関係を中心にインプラント工法※1の普及拡大に取り組みました。その結果、洪水・津波・高潮対策のための河川改修、豪雨災害で被災した道路の復旧、老朽化した堤防の修繕、防衛施設強靭化に関する駐屯地の整備、洋上風力発電の基地港の岸壁工事に採用される等、採用案件数は順調に推移しました。
令和6年能登半島地震の復旧事業では、石川県金沢市に開設した臨時事務所(能登復興支援室)の活動の結果、グループ会社の株式会社技研施工が、崩落により片側交互通行を余儀なくされていた「のと里山海道」の「能登大橋」で緊急復旧に向けた橋台補強工事を受注し、「ジャイロパイラー」「GRBシステム」を用いて早期の対面交通の確保に貢献しました。当社はこれからも、2032年度末までを計画期間とする「石川県創造的復興プラン」に基づく復興に貢献していきます。
また、首都高速道路リニューアルプロジェクトのメインとなる日本橋区間地下化事業では、まず河道拡幅の仮護岸の構築等にジャイロプレス工法が採用され、6月から工事がスタートしました。既存橋梁や建築物が近接する現場において、省スペースかつ無振動・無騒音で鋼管杭を施工できる当社の技術力が評価されたものです。本事業では2035年度の完成に向け、既存橋梁の桁下部での杭工事も予定されています。当社は、今後もさまざまな工法技術提案を進め、採用に向けて活動を進めていきます。
市場拡大を目指す海外展開では、圧入市場の継続的発展に向け、市場形成が軌道に乗りつつあるヨーロッパ、アジア地域を軸に事業モデルの構築を目指し、具体的な活動を進めました。その他の地域においては圧入市場の創造段階から見直しを図るため、市場調査や詳細分析を行い、これに基づくビジネスモデル・工法普及のあり方等を検討し、事業拡大に向けた取り組みを進めました。
ヨーロッパ地域では、市場形成が進捗するオランダ、ドイツ、イギリスに加え、イタリアをターゲットに工法普及活動に注力し、その結果、イタリアの専門工事会社に対する製品販売に結び付けました。同社は当社グループの開発力や工法技術提案力、ユーザーサポート体制を高く評価し、昨年のRED HILL 1967の訪問を経て圧入技術の普及可能性について確信を深め、購入を決めました。同社は6月より運用をスタートした欧州版GTOSS※2の会員企業でもあり、技研グループとして今後技術支援を強化していきます。
アジア地域では、アジア版GTOSSの会員企業であるシンガポールの有力ユーザーに対し、昨年8月に続き、6月に2台目のジャイロパイラーを納入しました。東京都内での現場視察等を通じて工法の優位性について理解を深め、導入が実現したものです。当社グループは同社と連携し、シンガポールを起点として、東南アジアのインフラ整備並びに都市再開発に伴う需要の増加に対するジャイロプレス工法の市場形成を進めていきます。
市場形成の戦略を再構築中の北米地域では、まず既存市場の基盤強化と顧客ロイヤリティの向上を目的に6月より北米版GTOSSをスタートさせました。その中で会員企業である有力ユーザーに対し、鋼管矢板対応クリアパイラー「CLP200A」を納入しました。北米地域での低空頭対応機の納入は初めてです。また市場調査を行ったほか、圧入市場の創造に向けた新しい取り組みを計画しています。
このような状況のもと、当連結会計年度における売上高は29,481百万円(前期比0.7%増)、営業利益は3,324百万円(同11.4%増)、経常利益は3,582百万円(同17.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,437百万円(同187.9%増)となりました。なお前連結会計年度においては、連結子会社との合弁関係解消に伴う関係会社整理損として1,367百万円を特別損失に計上しております。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
a. 建設機械事業
国内では硬質地盤に対応した「フライホイール式パイルオーガ」を標準搭載した「サイレントパイラーF112」の販売が好調に進捗しました。また海外においては北米向けの製品販売等が売上高の伸長に寄与しました。一方、材料単価の高騰の影響で施工量が減少する中、粗利率の高い大型特殊機の販売が少なかったことや販管費の増加を受け、売上高は20,940百万円(前期比0.9%増)、セグメント利益は4,624百万円(同0.9%減)となりました。
b. 圧入工事事業
工法採用が堅実に推移する中、東日本大震災復興事業の水門工事の基礎(岩手県)、高速道路の拡幅工事(愛知県)、発電所の防水壁構築(岐阜県)等において工事が順調に進捗しました。国内における開発型案件※3の受注が堅調に推移した結果、圧入工事事業の売上高は8,540百万円(前期比0.2%増)、セグメント利益は1,161百万円(同32.7%増)となりました。
※1 一本一本が高い剛性と品質を有した杭材(許容構造部材)を地中深く圧入し、地震や津波、洪水などの外力に粘り強く耐える「インプラント構造物」を構築する工法。
※2 会員ユーザーに対し、製品に加えて技術サービスなどのノウハウを提供して現場の生産性向上を図る総合支援システム。
※3 一般開放する前の当社が開発した製品・工法を使った工事案件を開発型案件と呼んでいます。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ922百万円増加し、6,070百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況につきましては次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期と比べ1,099百万円増加して3,139百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,771百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、55百万円(前期は156百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入5,870百万円、定期預金の預入による支出5,210百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前期と比べ526百万円増加して2,501百万円となりました。これは主に、配当金の支払額1,078百万円等によるものであります。
③生産、受注および販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
建設機械事業 |
22,378 |
102.0 |
圧入工事事業 |
8,540 |
100.2 |
合計 |
30,919 |
101.5 |
(注)1.金額は、販売価格で表示しております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2)受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
建設機械事業 |
9,560 |
71.6 |
758 |
16.2 |
圧入工事事業 |
8,368 |
103.5 |
2,566 |
93.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.建設機械事業の製品については受注生産を採用しておりますが、一部製品については見込み生産へ変更しております。
3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
建設機械事業 |
20,940 |
100.9 |
圧入工事事業 |
8,540 |
100.2 |
合計 |
29,481 |
100.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
伊藤忠TC建機株式会社 |
3,146 |
10.7 |
3,404 |
11.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
1)経営成績等
a. 財政状態
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況 1)財政状態」に記載のとおりであります。
b. 経営成績
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況 2)経営成績」に記載のとおりであります。
c. キャッシュ・フロー
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、指標のトレンドを示しますと以下のとおりであります。
|
2022年8月期 |
2023年8月期 |
2024年8月期 |
自己資本比率(%) |
74.5 |
77.0 |
84.0 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
163.7 |
107.5 |
99.2 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
24.3 |
40.8 |
11.6 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
407.2 |
39.0 |
539.9 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
2)資本の財源および資金の流動性
当社グループにおける主な資金需要は、圧入の原理に基づいた新工法および圧入機製品の開発投資に必要な研究開発投資(材料費・労務費等)、ならびに圧入機製品の製造に係る費用(材料費・外注費・労務費等)であります。
これらの資金需要に対する資金調達については、中長期的な事業戦略、当社グループの事業に対するリスクを勘案し、最適な方法での実施を検討いたします。
3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「中期経営計画2027(2025年8月期-2027年8月期)」を策定し、売上高、営業利益およびROEについてそれぞれ数値目標を定め、その達成に向けて取り組んでおります。なお、「中期経営計画2027(2025年8月期-2027年8月期)」に関しては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」および「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
取引に関する契約
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
㈱技研製作所 (当社) |
㈱垣内 |
当社製品の外注加工について、発注、原材料等の支給、納入条件、品質保持、支払条件、秘密保持等について基本契約を結び、相互に安定した取引の継続を図っております。 |
自 2024年8月1日 至 2025年7月31日 (1年毎の自動更新) |
当社グループは「インプラント工法で世界の建設を変える」という経営方針を基に、圧入原理の優位性を核とした自流独創の発明力で、建設工事における様々な制約を克服することで、インプラント工法のグローバル展開を推進しております。主に、油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー」とその周辺機器の研究開発および、耐震地下駐車場・駐輪場を主体とする地下関連の開発を行っております。
当連結会計年度につきましては、建設業界をはじめ社会全体が抱える課題の解決、ひいてはサステナブルな社会の実現に貢献するため、機械・装置の高効率化、好条件化、無人化、省力化、電動化およびグローバル化に向け研究開発を重点的に行っており、研究開発費の総額は
研究開発活動は建設機械事業で行っており、主な内容は次のとおりであります。
①現場の労働力不足に対応する新自動運転技術、遠隔操作技術
建設業界で深刻化している、労働力人口の減少などの社会課題に画期的なソリューションを提供するため、DXによる次世代の圧入施工技術を開発しています。
<新自動施工技術 iNAVILINK™>
圧入機が杭精度管理システム「インプラント NAVI」と連携して杭の変位や傾斜を判断し、計画通りの位置、深さまで正確な圧入が自動運転で行えるシステムです。これにより、圧入工程の自動化率が従来の約35%から約65%へと増加し、業務量の削減に伴い必要人員が1人減り、労働生産性が向上すると見込んでいます。
<遠隔操作・シミュレーション技術 G-Lab Vision>
圧入現場(機械/杭/現場環境)の3Dモデルデータとリアルタイム計測データを用いて、デジタルツイン※を実現。通常の杭圧入では目視できない地中の杭の状況を確認しながら、リモート施工やシミュレーションを可能にしたシステムです。海外など離れた地域の現場も管理、確認できるほか、遠隔地で稼働する複数台の機械を1人のオペレーターが操作、支援することも可能となり、技術者不足の解消、労働生産性の向上が期待できます。
※現実世界から得られた情報を活用して、現実世界の環境を仮想空間上に再現する技術
②温室効果ガス排出の低減に向けた電動化技術
国ごとに異なる環境規制や現場条件により、用いられる製品の種類、求められるスペックは異なります。当社は、規制や条件に応じた最適な脱炭素技術を提供し、顧客の選択肢を広げることが、圧入業界の成長、カーボンニュートラル実現の加速につながると考えています。
<バッテリー式の電動パワーユニット>
当機は油圧式杭圧入引抜機の動力源で、外部給電式と異なり給電ケーブルを接続し続ける必要がなく、移動範囲の制約を受けません。現場導入が容易となり、CO2を排出しないゼロエミッション圧入施工のグローバルな拡大が期待できます。今後は量産に向けた改善点の抽出、開発へのフィードバックを迅速に進め、一刻も早い市場投入を目指していきます。
③インフラリメイクを加速させるための、硬質地盤での施工効率向上、および適用範囲を拡大させる製品開発
当社は厳しい条件下でも施工を可能とする画期的なソリューションを提供し、国土強靭化やインフラの長寿命化、サステナブルな社会に貢献するため、製品開発を進めています。
<900mm幅ハット形鋼矢板対応の新型機「F302」>
硬質地盤での施工効率を高めるフライホイール式パイルオーガを標準搭載し、トルクの伝達効率を高めるように機体を改良した当機は、従来機に比べ最大トルクが約2.7倍向上し、硬くて掘削しづらい地盤に遭遇した際もオーガ回転速度の急落を防止します。従来機より安定したオーガ回転を維持できることに加え、トルクアップに対する機体の適応性を高めた結果、掘削速度も向上しています。
<超低空頭対応の鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー」>
当機は機体各部の回転機構の改良により、従来の低空頭対応ジャイロパイラーに比べて施工可能な最小の上部クリアランスを4.5mから2.5mに大幅縮小しました。建て込める杭の長尺化も叶え、継施工時における投入杭の本数や溶接箇所を削減し、施工効率を大幅に向上しています。