第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第17期

第18期

第19期

第20期

第21期

決算年月

2020年8月

2021年8月

2022年8月

2023年8月

2024年8月

売上高

(千円)

222,760

365,992

659,988

771,862

1,184,775

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

92,373

95,666

9,840

67,468

34,000

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

92,063

95,288

9,006

81,338

31,848

持分法を適用した
場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

50,000

50,000

50,000

52,121

52,121

発行済株式総数

(株)

33,560

3,356,000

3,356,000

6,716,400

6,716,400

純資産額

(千円)

278,601

233,462

570,609

508,414

476,565

総資産額

(千円)

428,031

351,346

801,128

894,090

953,458

1株当たり純資産額

(円)

46.22

38.35

86.97

77.22

72.39

1株当たり配当額

(円)

(1株当たり中間配当額)

(―)

(―)

(―)

(―)

(―)

1株当たり当期純利益又は

1株当たり当期純損失(△)

(円)

15.74

15.69

1.40

12.37

4.84

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

1.34

自己資本比率

(%)

65.1

66.4

71.2

56.9

50.0

自己資本利益率

(%)

2.2

株価収益率

(倍)

876.5

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

92,419

97,687

114,249

66,918

1,149

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

210

691

34,654

107,132

32,583

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

64,479

14,679

323,787

14,900

89,024

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

368,587

255,529

658,911

499,759

557,344

従業員数

(名)

17

22

29

38

46

〔外、平均臨時雇用者数〕

―〕

―〕

―〕

2

2

株主総利回り

(%)

58.8

75.8

(比較指標:東証グロース指数)

(%)

(―)

(―)

(―)

(102.9)

(87.9)

最高株価

(円)

18,690

1,128

(2,650)

745

最低株価

(円)

1,880

667

(2,050)

411

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

 

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

3.当社は、2021年8月11日付で株式1株につき100株の割合で株式分割を、2022年12月1日付で株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第17期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失を算定しております。

4.第17期及び第18期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、また、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。また、第20期及び第21期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

5.第17期、第18期、第20期及び第21期の自己資本利益率については、当期純損失であるため記載しておりません。

6.第17期及び第18期の当社株式は非上場であるため株価収益率を記載しておりません。また、第20期及び第21期の株価収益率については、当期純損失であるため記載しておりません。

7.1株当たり配当額及び配当性向については、無配のため、記載しておりません。

8.第17期から第21期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。

9.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は年間平均人員を括弧内にて外数で記載しております。

10.第17期から第19期の株主総利回り及び比較指標については、2021年11月24日に東京証券取引所マザーズ市場に上場したため、記載しておりません。

11.最高株価、最低株価は2022年4月3日以前は、東京証券取引所マザーズにおける株価を記載し、2022年4月4日以降は東京証券取引所グロースにおける株価を記載しております。ただし、当社株式は2021年11月24日から東京証券取引所マザーズ市場に上場されており、それ以前の株価については該当事項はありません。また、当社は2022年12月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第20期の株価については、当該株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式分割前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載しております。

12.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第19期の期首から適用しており、第19期以降に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

 

 

2 【沿革】

   株式会社サイエンスアーツ設立以後の当社に係る経緯は、次のとおりであります。

年月

概要

2003年9月

東京都港区虎ノ門に当社設立 ITコンサルティング事業を開始

2004年3月

資本金を18,225千円に増資

2005年10月

資本金を79,975千円に増資

2006年1月

資本金を104,975千円に増資

2006年12月

本社を東京都渋谷区初台に移転

2007年9月

データベース管理システム「ALTIBASE」の販売を開始

2007年9月

資本金を117,475千円に増資

2008年12月

「ALTIBASE」が国内最大手医療機器メーカーのデータベースとして採用

2009年11月

本社を東京都中央区日本橋人形町3丁目に移転

2009年12月

資本金を134,475千円に増資

2010年11月

大手システムインテグレーターが金融機関向けに提供するFXシステムに「ALTIBASE」採用

2011年5月

本社を東京都中央区日本橋人形町1丁目に移転

2013年4月

資本金を50,000千円に減資

2013年7月

本社を東京都中央区日本橋堀留町に移転

2015年9月

スマートフォンIP無線サービス Aldio(アルディオ)の開発・販売を開始

2017年10月

本社を東京都中央区東日本橋に移転

2018年4月

1対多のグループ一斉音声通信Aldioの通信技術における国内特許を取得

2018年9月

1対多のグループ一斉データ通信における映像配信技術の国内特許を取得

2018年10月

第三者割当による自己株式の処分により115,050千円調達

2018年12月

第三者割当による自己株式の処分により149,850千円調達

2019年4月

本社を東京都新宿区神楽坂に移転

2019年10月

「株式会社シアンス・アール」から「株式会社サイエンスアーツ」へ社名を変更

2019年10月

「Aldio」から「Buddycom(バディコム)」へサービス名を変更

2020年8月

第三者割当による自己株式の処分により152,150千円調達

2020年10月

1対多のグループ一斉音声通信Buddycomの通信技術における韓国での特許を取得

2020年11月

第三者割当による自己株式の処分により50,150千円調達

2021年1月

1対多のグループ一斉音声通信Buddycomの通信技術におけるシンガポールでの特許を取得

2021年4月

1対多のグループ一斉音声通信Buddycomの通信技術における中国での特許を取得

2021年11月

東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場

2022年4月

東京証券取引所グロース市場に移行

2022年7月

1対多のグループ一斉音声通信Buddycomの通信技術におけるドイツ、イギリス、フランス、イタリアでの特許を取得

2022年11月

1対多のグループ一斉データ通信における映像配信技術における米国での特許を取得

2023年1月

1対多のグループ一斉音声通信Buddycomの通信技術(サーバー側)における米国での特許を取得

2023年8月

本社を東京都渋谷区渋谷に移転

2024年2月

1対多のグループ一斉データ通信におけるロケーショングループ制御等技術における国内特許を取得

2024年10月

楽天グループ株式会社及び株式会社JVCケンウッドを引受先とした第三者割当増資を実施し、資本金を442,731千円に増資

 

 

3 【事業の内容】

当社は、店舗や交通インフラを始めとしたフロントラインワーカー※1をつなげるライブコミュニケーションプラットフォーム「Buddycom(バディコム)」を提供しております。また、「Buddycom」でユーザーが使用するイヤホンマイク等のアクセサリーの販売を行っております。当社は主たる事業であるBuddycom事業の割合が高く、開示情報として重要性が乏しいことから、Buddycom事業について主に記載しております。

 

(1)「Buddycom」の概要

「Buddycom」はクラウドで提供するホリゾンタル※2SaaS※3であり、インターネット通信網(4G、5G、Wi-Fi)を利用して、スマートフォンやタブレットにアプリをインストールすることで、トランシーバーや無線機のように複数人へ一斉にコミュニケーションすることを可能にするサービスです。音声通話だけでなく、通話履歴の再生、テキスト化、翻訳、テキストチャット、映像配信、位置情報の共有に加え、AIを利用したデジタルアシスタントでのコミュニケーションが可能です。スマートフォンやタブレット向けのアプリのほか、Windows向けにも提供しております。主に店舗や交通インフラなどの現場部門でご利用頂いており、円滑なコミュニケーションを提供することを通して、業務効率やお客様サービスの向上にお役立ていただいております。

料金体系については、サブスクリプション型の課金体系としており、お客様が必要とする機能に応じて3つのプランに加えて、オプションをご選択いただいております。初期費用はなく、ID単位で下表のとおりの料金を、年契約であれば一括前払いで、月契約であれば月ごとにお支払いいただきます。

 

Buddycomの料金プラン(税抜)

プラン名

Talk Lite

Talk Enterprise

Livecast Enterprise

料金

年契約

600円/月

1,200円/月

2,600円/月

月契約

1,000円/月

1,800円/月

3,900円/月

機能

音声通話

映像配信

 

 

音声テキスト化

 

同時翻訳

 

高セキュリティ

 

 

 

オプション名

料金

機能

Buddycomベル

QRコード一枚ごとに1,000円/月

Buddycomに音声で通知が届く、スタッフ呼び出しQRコード。専用ボタンは設置不要、スマホでQRコードを読み込み、ニーズに合わせてボタンを選択すれば通知が届きます。多言語対応も可能。

BuddycomAI

IDごとに1,500円/月

OpenAI社のChatGPTと連携し、BuddycomからAIと会話することができます。

 

 

コミュニケーションツールを提供している企業は当社以外にも多数ありますが、当社はフロントラインワーカーをメインターゲットとし、音声通話を主体として常時接続された状態で提供することで、刻々と状況が変わる現場で、手がふさがっていても円滑にコミュニケーションができ、誰でもかんたんに・早く・間違わないで使えるようにすることで、差別化を図っております。

また、電話やトランシーバー、他社のIP無線アプリと比較しても、テキスト化や同時翻訳、映像配信といった機能が豊富で、ユーザー数・グループ数が無制限(1グループ当たり2,000ユーザーへの同時発信を検証済)と大規模な運用を可能にしている点において優位性があります。「Buddycom」の2024年8月期における解約率※4は0.32%、NRR※5は113.1%となっており、新規契約が翌期以降の売上拡大に貢献し、継続契約が蓄積することで収益が安定する、安定性と成長性を両立するサブスクリプション型ビジネスとなっております。

またセンサー、カメラ、ロボット、業務システムなど様々な企業との外部連携に対応し、お客様へ提供する付加価値向上を行っております。

 

Buddycom事業の各指標は以下のとおりとなります。

項目

2022年8月

2023年8月

2024年8月

売上高(千円)

659,988

771,862

1,184,775

うちサブスクリプション

(Buddycom利用料売上)

売上高(千円)

346,759

498,777

654,209

サブスクリプション

(Buddycom利用料売上)

売上高比率

52.5%

64.6%

55.2%

ARR(千円)※7

440,472

557,602

739,058

 

 

(2)アクセサリーの概要

当社のBuddycomはライセンスのご購入だけでもご利用は可能ですが、実際には多くのお客様がイヤホンマイクやヘッドセットなど当社の販売するアクセサリーと一緒にご利用されております。Buddycomの契約中は常にアクセサリーをご利用されるため、定期的な更新/アップデート需要が存在し、数年単位で見た際には継続的な収益となっております。

当社が販売するアクセサリーは、PTT※6に対応することでスマートフォンを開かずにBuddycomをご利用すること、そして、いずれの商品も最大連続使用時間が8時間以上となっており、業務時間中にバッテリーが極力切れないことで市販品と差別化を図りました。

その他、各現場の利用状況や環境、働き方に合わせて、Buddycomの機能を最大限に活用いただくため、当社は様々なアクセサリーを提供しております。例えば、映像配信が容易なウェアラブルカメラや、米軍MIL規格に準拠した防水・防塵・耐久性に優れたスピーカーマイク、パチンコ店などの騒音環境でも使用可能なイヤホンマイクがございます。お客様の様々なニーズに対応できるように、当社はアクセサリーの多様化と共同開発に積極的に取り組んでおります。

結果として、Buddycomをご契約いただくお客様の大半は当社からアクセサリーを購入しており、その機器のうち80%以上が当社の出資先製品や独占販売権を持つ製品で構成されています。

 

(3)販売チャネル

当社は販売代理店を通じた販売を行っており、これにより少人数で販売しながらも、全国各地のお客様への対応が可能な体制を確立しております。セールスパートナーの主な業種は、携帯電話の通信サービスを提供する通信事業者や、オフィス用品を扱う製造業、卸売・小売業となっております。その他、Buddycom事業を立ち上げた当初のお客様や、webよりお買い求めいただいたお客様については直接販売しております。

 

[事業系統図]

 以上の内容を事業系統図に示すと、次のとおりであります。


 

(4)その他事業

当社はBuddycom事業を始める以前に主力事業としていた、大容量データに対応したディスク型のデータベースと、高速アクセスに対応したメモリ型データベースを併せ持つ『ALTIBASE』というハイブリッド型データベースのライセンスの販売、及びサポートを提供しております。

新規顧客へのライセンスの販売は終了しており、引き続き利用中の顧客に対してのサポートを継続中です。

 

※1 フロントラインワーカー:机の前に座らない最前線で活躍する労働者のこと。農業、教育、ヘルスケア、小売、ホスピタリティ、製造、輸送、建設などの産業に従事しております。

※2 ホリゾンタル:「水平」を意味する単語。特定の業界・業種に関係なく「業務課題」を解決するサービス。

※3 SaaS:Software as a Serviceの略称。ユーザー側のコンピュータにソフトウェアをインストールするのではなく、ネットワーク経由でソフトウェアを利用する形態のサービス。

※4 解約率:ID数の月次解約率。「当月の解約ID数÷前月の契約IDの総数」で算出し、期中の平均を取った値。

※5 NRR:Net Revenue Retentionの略称。既存顧客の売上継続率。「前期までに獲得した顧客の当期末月の売上÷前期末月の売上」で算出。

※6 PTT:Push to Talkの略称。無線機やインカムのように押しながら話す通話方式のこと。

※7 ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各期末月のBuddycom利用料売上を12倍して算出。

 

 

4 【関係会社の状況】

 該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

 

 

 

2024年8月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

46(2)

31.3

3.0

5,420

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

Buddycom事業

40(2)

その他

全社(共通)

6(0)

合計

46(2)

 

(注)  1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は年間平均人員を括弧内にて外数で記載しております。

      2.当社では、セグメントごとの経営組織体系を有しておらず、同一の従業員が複数の事業に従事しております。

   3.平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

    4.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない提出会社の本社管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。