第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、誰もが願うであろう“健康で長生きしたい”“美しくありたい”との想いを、予防医学と自然主義の観点から研究開発に取り組み、健康食品と自然派化粧品を介して、明るく健やかな健康長寿社会の実現のために貢献します。
 消費者の目線から安心・安全を追求するとともに、確かな製品作りでより信頼性の高いメーカーに成長するために全社員の意識高揚を図り、正しい健康情報の発信を通じて、お客様の多種多様な需要に応えることを目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、毎期継続的な成長を確保したうえで、収益性の向上を目標とし、収益性の指標として売上高経常利益率を用いております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

健康食品の研究開発、製造・品質保証、販売及び健康情報の発信機能をグループ各社に内包し、戦略的に統合することで、健康食品業界でのリーディングカンパニーを目指します。
 健康食品業界では、“研究開発は研究開発だけ、製造は製造だけ、販売は販売だけ”というような分業化が進んでいる中で、コア・テクノロジーや顧客ニーズの把握等のノウハウを蓄積でき、かつ迅速な意思決定が可能となることから競争上の強みとなると考えております。

具体的には次のとおりであります。

業界トップ水準の高度な製造管理体制の確立

企画設計・製造・品質保証・販売戦略支援までのトータルプロデュースの構築

小ロットから大ロットまで、更なる低コスト・短納期体制の構築

通信販売における有効顧客の大幅獲得

受注翌日配達体制を生かした最高水準の物流システムの構築

産学官連携などによる製商品のエビデンスの追求

「抗加齢」をテーマに、予防のための健康サプリメントの開発

TVショッピング番組及び健康・美容専門番組の自主制作

 

 

 

(4)経営環境及び会社の対処すべき課題

 当社グループは、健康食品・化粧品に関連する事業を核として、百貨店事業、飲食事業等を展開しております。健康食品業界は、近年、消費者の健康維持・増進、美容・アンチエイジングに対する意識の高さにより市場が拡大しておりますが、異業種からの新規参入や商品の低価格化、顧客の固定化などによる競争の激化が進んでおり、厳しい経営環境が続いております。このような中、当社グループの持続的な成長・発展を可能にするため、以下の取り組みにより経営基盤を強化することが課題であると考えております。

 

(差別化の推進)

 仕入先である原料メーカーが同業他社と同一であることから、低価格や短納期での競争が常態化しております。当社を選んでいただくためには、強みとなる独自性の確立が重要であり、研究開発体制を一層強化し、独自技術ならびに独自原料の開発に注力してまいります。

 

(海外事業の強化)

 将来、国内人口は減少すると推定されており、消費者人口の減少・働き手の不足が懸念されます。当社グループが持続的に発展するためには国際化が必須であることから、販路の拡大を図るとともに、各国のニーズや規制に対応した商品開発等に取り組んでまいります。

 

(人材・組織の形成)

 当社グループは、受託製造業、研究開発事業、販売業、医薬品製造業、広告代理店業等、各分野において専門知識を有する人材が必要であることから、OJTを中心とした育成に加え、即戦力となる人材の確保も積極的に行ってまいります。また、ダイバーシティを推進することで、国内外の消費者の価値観・ニーズの多様化に対応するとともに、チーム・組織としてのパフォーマンス向上や結束力の強化につなげてまいります。

 

(グループのシナジー)

 2021年5月に百貨店業の㈱さいか屋を、2021年6月に飲食業の㈱なすびを連結子会社化いたしました。当社グループの資源である通信販売コンテンツやECインフラ等の活用・共有化ならびに、相互のコンテンツ販売による売上拡大を図ってまいります。また、当社グループが新たに企画する商品・サービスを、㈱さいか屋においてマーケティングリサーチを行うことで、当社では賑わいを生み、新たな顧客の獲得を図ってまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、経営環境の変化に対応した競争優位性の高い戦略を実践し、迅速な意思決定を行うため、取締役会を月1回開催し、緊急を要する場合には、書面決議による取締役会を開催しております。取締役会には社外取締役も出席し、助言などにより取締役会の監督機能を高めるとともに、活発な議論が交わされるように努め、合議制により公正・迅速な意思決定を行っております。特に事業継続にもたらす全社的な重要リスクの認識、対応策の整備及び運用を行うとともに、人材の育成・確保に伴うサステナビリティ課題についてのリスク及び機会を把握し、それらに適切に対応できるよう体制強化を図っております。

 

(2)戦略

当社グループは、社員一人一人が働きがいを感じ成長することがグループ全体の発展に繋がり、「持続可能な社会への貢献」と「企業価値の向上」の両立を実現することができるという考えから、これを人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する取組方針とし、全ての従業員が自律的に成長できる機会を提供し、自己成長していく人材を育成してまいります。

当社グループでは、性別や年齢、国籍や職歴で分け隔てることなく従業員が安心して働け、成長できる環境づくりを目指し、中核人材の登用等にあたってはその能力・成果に応じた人事評価を行うとともに、女性管理職につきましては、女性活躍促進法に基づく女性管理職(課長級以上)割合20%以上を維持することを目標としており、2024年8月末現在の女性管理職割合は25.6%と目標を達成しております。今後もこの水準が維持できるよう努めてまいります。

 

(3)リスク管理

当社グループは、事業の推進に伴って生ずるリスク管理については、会社諸規程で定めるとともに、各取締役は、自己の職務分掌範囲内につき、リスク管理体制を構築する権限と責任を負い、同リスク管理体制を推進しております。また、担当取締役はグループ会社各社の連携のもと、当社グループ全体のリスク管理を行っております。その運用評価及び問題点などは取締役会等に定期的に報告され、顕在化するリスク等に対して、早期に適正な対応を取る体制を整えております。

 

(4)指標及び目標

上記「(2)戦略」において記載した人的資本・多様性に関する指標及び目標については以下のとおりです。

指標

目標

当期実績

女性管理職割合

20%以上

25.6%(2024年8月31日現在)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 なお、当社グループは、これらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。

 

① 市場競争力に関するリスク

健康食品市場は、新素材の開発などによって市場拡大の気配が見込まれます。これらは近年、消費者の予防医学の観点からの健康意識の高まりによるものであり、今後も更にその市場は安定的に推移することが予測されます。

市場の拡大が予測される中で、新規参入の事業者は多く、企業間の競争は益々激化の一途をたどっております。
 また、製品については、簡便で食べやすい形状、美味しさの追求など、消費者の嗜好を満たす企業努力が要求されています。当社グループはこうした市場環境にあって、独自の市場ニーズの収集と分析により継続して魅力ある製品を提供できると考えておりますが、これを全て保証するものではありません。市場の変化を充分に予測できず、魅力ある製品を提供できない場合は、将来売上高の低下を招き、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

② 原材料、商品の調達に関するリスク

昨今の健康志向の高まりを反映する一方で、有害物質に汚染された食品等が社会問題に発展しており、安全性の高い健康食品の需要が急拡大する傾向にあります。また、中国など新興国の旺盛な需要や食料素材がエネルギー素材へ転用されていることを背景に、当該原材料の調達が困難となる場合や調達コストの上昇により、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

③ 安全性に関するリスク

製品の品質及び安全性を経営の最重要課題のひとつと捉えており、そのための様々な取り組みを行っております。具体的には新素材及び原材料の選定に際しては、その調達先及びメーカーより事前にサンプル、規格書や成分、分量の分析情報を入手する他、併せて残留農薬適合状況の評価など、安全性の確認を行っております。また、生産部門においてはオリジナル製品やOEM受託製品を含めてトレーサビリティーを確保する品質保証体制を確立しており、製造、品質試験、出荷判定の過程において、全て医薬品GMPの基準に適応可能な管理手法を導入し、人為的ミス、交叉汚染の防止などの安全確保に努めております。これらの作業操作は手順化され、その記録によって工程異常を速やかに発見、製品クレームの発生を最小限に抑える予防措置を展開しております。また、製品表示内容についても関係法規制を遵守しております。このように製品の安全性確保には細心の注意を払っておりますが、予期せぬ製造過程や調達過程での異物混入や健康被害を与える可能性のある欠陥製品の製造・調達、現行の法的規制における法令の解釈・適用によって表示違反等が生じる可能性があり、これらは企業イメージを損ね、回収費用などにより経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、上記の様に行っております製品の品質や安全性を確保するためのトレーサビリティーの強化などは、そのシステム構築に多大な費用がかかる可能性があり、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

 

④ 薬機法等、事業運営に関わる法的規制に関するリスク

健康食品そのものを単独に規定する法律は存在せず、また、健康食品の明確な定義もありません。しかしながら販売者が、健康食品等を特定疾病や身体機能への効果を標ぼうし販売すると、医薬品等を規定する「薬機法」における無許可無認可医薬品の販売としてみなされることになります。その他の法的規制としては、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止及び公衆衛生の向上・増進を図る見地から、食品の規格・添加物・衛生管理・営業許可を定めた「食品衛生法」、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例を定めることにより公正な競争を確保し、もって一般消費者の利益を確保することを目的とした「不当景品及び不当表示防止法」、健康増進の総合的な推進に関した基本的な事項を定めるとともに国民の健康の増進を図るための措置を講ずることを定めた「健康増進法」、食品の安全性の確保に関し、基本理念及び施策の策定に係わる基本方針を定め、関係者の責任及び役割を明らかにすることにより、食品の安全性の確保を総合的に推進することを目的とした「食品安全基本法」があります。当社グループとしては、法律を遵守するよう最善の注意と努力を行うとともに、監督諸官庁に対する報告及び照会・指導の要請並びに立会いの受け入れを行い、指導内容に対しては迅速に改善をすることで対応しております。しかしながら予期しない法律または規制の変更及び現行の法的規制における法令の解釈・適用によって新たな対策が必要になった場合には、当社グループの事業運営に支障をきたす可能性があり、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑤ 技術革新に関するリスク

近年、新製造機器の開発、実用化が進む中で、これらに対応可能な新たな技術導入は事業遂行に必要不可欠なものと考えております。当社グループでは医薬品や原料、機械設備等のメーカー主催の勉強会へ参加するなど、高レベルな技術を習得するため、機械メーカーと積極的に技術交流を行い対応しておりますが、想定外の新技術や新製造機械の設備投資等、リスクを担う恐れがあり、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。他方、通信販売事業においても、技術の進歩が著しく、特にインターネットの分野での新技術・新サービスが常に生み出されております。提携企業及び子会社との情報交換を頻繁に行い、勉強会の開催及び参加を積極的に行うことによって、新技術・新サービスの模索を行っております。しかしながら、今後、当社グループが想定できない新技術・新サービスの普及等により事業環境が変化した場合には、必ずしも迅速に対応できない恐れがあり、また、新技術・新サービスに対応するための仕組みの変更による費用がかかる可能性があり、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑥ 知的財産権保護に関するリスク

当社グループでは他社製品と差別化できる技術やノウハウを蓄積しており、一部の技術については特許を取得しております。しかしながら、知的財産権の侵害のリスクを完全に排除することは困難な状況にあることから、これら知的財産権の侵害により、当社グループ製品の販売が阻害された場合には、売上高の低下を招き、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。一方、当社グループでは他社の知的財産権の侵害防止に努めておりますが、万が一当社グループが開発した製品や技術が第三者の知的財産権を侵害していると判断され、多額の損害賠償請求が発生した場合や、製品の回収及び販売中止を余儀なくされた場合には、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑦ 漢方業界のリスク

漢方薬は西洋医学主流の中で一般の医薬品製剤とは違い、臨床試験が行われず、伝統的医療の成果により、その有効性が立証され、導入された経緯があります。ただし、すべての医師が漢方医学に関する正しい知識を共有しているとは言い難いものの、漢方に理解を示した医師のなかには、漢方製剤を臨床の場に用い、治療法の拡大を図り画期的な成果を上げている医師もおります。漢方は決して西洋医学による医療を補うものではありませんが、最近の治療例では、漢方薬と西洋薬との併用なども報告されており、代替医療に取上げられた契機とも考えられます。
 穏やかな作用機序を有する漢方薬についての薬理作用は、なお、解明されていないものが多く、現況、有効性、安全性等の見直しが進められています。副作用の疾患が少ないと言われてきましたが、これまでに数件の薬害事例が発表されています。よって万が一、薬害等により多額の損害賠償請求が発生した場合や、製品の回収及び販売中止を余儀なくされた場合には、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

 

⑧ 薬価改定に関するリスク

子会社である本草製薬㈱では、医療用医薬品の製造販売を行っております。医療用医薬品の販売価格は、我が国の医療保険制度における薬価基準に基づいて設定されておりますが、薬価基準は通常改定時に段階的に概ね引き下げられております。この引き下げ幅の大きさによっては、売上高の低下を招き、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑨ 顧客情報に関するリスク

当社グループでは、顧客情報を適切に取り扱うことが重要であり、関係法令の遵守が必要と認識しております。当社においては、健康食品等のOEM事業における法人・個人顧客の情報及び受託製造製品(新製品等の開発を含む)の情報、子会社である㈱エーエフシーにおいては通信販売事業における法人・個人顧客情報を取り扱っております。

OEM事業における情報については、顧客台帳及び製品規格仕様書の管理部署の限定、閲覧記録の確認、複写の禁止等により厳重に管理しております。通信販売事業において取り扱っている、個人(法人を含む。)を識別し得る情報(以下、「個人情報」という。)については、個人情報保護のための個人情報管理体制の見直し、従業員の教育など、個人情報を適切に取り扱うための取り組みを行っております。個人情報保管場所への入室制限及び閲覧記録の管理及びシステム管理においてデータアクセス権限に制限を設けるとともに、データアクセス記録のチェックを行っております。しかしながら、これら顧客情報の漏洩、流出に対する絶対的な対策は存在しませんし、外部からの高度な技術による不正アクセス等により漏洩、流出が発生することを完全に防止することは難しい状態です。よって万が一、上記のことを原因として個人情報の漏洩、流出が発生した場合には、当社グループへの社会的信頼の低下を招き、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑩ 人材の確保について

健康食品市場においては、製品の品質・安全性が極めて重要であり、かつ特定保健用食品(健康増進法第43条により、消費者庁長官の許可を受けた食品で、効能・効果が表示できる食品。)のような科学的裏付けを持った製品のニーズが高まっております。このような状況において、医学、薬学、農学、化学系の博士、大学院卒業者及びバイオテクノロジー等に精通した者の獲得が極めて重要になってきておりますが、このような人材は相対的に少数であるためタイムリーに確保できにくいことが考えられます。当社グループでは人材採用の門戸を幅広く開くとともに、当該分野で実績のある人材を獲得すべく採用活動を行っております。しかしながら、今後の事業計画等に沿ってタイムリーに人材が確保できない場合、当社グループの事業拡大に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ M&Aについて

当社グループでは、事業の拡大を図る手段としてM&Aを実施しております。M&Aの実施にあたっては、対象企業の財務内容や契約関係などについて事前調査を行い、リスクや当社グループへの相乗効果を検討したうえで、慎重に進めております。しかしながら、買収後に想定外のリスクが顕著化した場合や、事業展開が計画通り進まない場合は、投資の回収が困難になることなどにより、経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。
 また、M&Aにかかる費用などが、一時的に当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑫ 自然災害等に関するリスク

地震・火災・洪水・感染症等の自然災害への対策には十分注意を払っておりますが、販売・生産拠点及び取引先等の事業活動が停止した場合、又、それらの災害に起因して電力・通信・交通等の社会的インフラに問題が生じたことで事業活動が中断した場合、生産や出荷に遅延が生じる恐れがあり、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績

当期における我が国経済は、各分野においてコロナ禍より順次回復を遂げつつある状況の下、物価の上昇とあいまって政府主導の賃上げの経済効果が徐々に消費者の購買意欲を高め、インバウンドの回復と合わせ、今後の成長が期待されると共に、生き残りをかけた企業間競争が一層激化しつつある状況にあります。

斯様な経済環境の下、当社グループは、これを企業規模の一層の拡大と多角化による強靭な体質を構築する好機と捉え、主体部門であるOEM部門や医薬品事業等の生産販売体制強化に尽力し、生産性・収益性の向上に努めました。また、既存の観光・飲食部門等との連携強化を背景に、今年7月には貸切バス事業を手掛ける企業をグループ会社化し、昨年10月には建設・不動産・飲食事業等を展開する国内企業を連結子会社化し、新たに三本目の柱を育成すべく新規部門への積極投資を行いました。

連結業績につきましては、ヘルスケア事業における海外部門が大躍進したことに加え、ヘルスケア事業のOEM部門、自社製品販売部門並びに医薬品事業も好調に推移したことにより、売上高は30,185百万円(前期比118.0%)となりました。利益面につきましては、増収効果により売上総利益が増加し、営業利益は1,916百万円(前期比117.1%)、経常利益は1,921百万円(前期比116.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,252百万円(前期比113.6%)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

(ヘルスケア事業)

・OEM部門

ドラッグストアをはじめとする店舗販売業の顧客において、来客数の増加やインバウンド消費の回復等により受注が増加いたしました。さらに、ロコモ対策やアイケア、ダイエット訴求等の機能性表示食品の受注が堅調に推移いたしました。人材の採用・育成を中心に営業体制の強化を図っております。

生産面においては、イスラム圏での売上拡大を図るため、千葉工場のハラル認証取得に向け取り組み、8月に認証機関の監査を受けました。また、同工場の生産性を高めるため、倉庫兼出荷作業棟の建設を進めております。

 

・自社製品販売部門

海外販売は、コロナ収束に伴い既存顧客における美容商材の受注が回復基調で推移いたしました。加えて、円安影響による購買意欲の高まりや、育成中の外国人営業スタッフによる母国等での新規顧客獲得により受注が伸び始めております。店舗販売は、外商顧客への販売強化が売上に寄与いたしました。通信販売は、機能性表示食品の販売に注力し、アイケアやダイエット商材等が好調に推移いたしました。

 

以上の結果、ヘルスケア事業の業績は、売上高18,099百万円(前期比118.7%)、営業利益2,711百万円(前期比136.1%)となりました。

 

(医薬品事業)

医薬品市場は、大別して医師の処方箋に基づき病院・診療所、調剤薬局で購入する医療用医薬品市場と、医師の処方箋が要らず、薬局・薬店で購入する一般用医薬品市場に分けられます。

医薬品事業の好調を牽引している一般用医薬品のOEM受注が増加したほか、医療用医薬品については、重点販売製品として位置付けている自社製造、医療用ジェネリック医薬品『ピムロ顆粒』(下剤)、生活改善薬のジェネリック医薬品『シルデナフィル錠』『フィナステリド錠』『タダラフィル錠』が順調に売上を伸ばしました。加えて、今年4月より医療用漢方製剤の薬価が上がったことから、利益面において安定的に黒字が出せる体制となりました。

以上の結果、医薬品事業の業績は、売上高2,310百万円(前期比110.7%)、営業利益215百万円(前期比106.7%)となりました。

 

 

(百貨店事業)

さいか屋において、藤沢店では、ヤマダデンキが昨年6月に開店して以降、百貨店ゾーンとの相乗効果が得られたことに加え、賃料収入が拡大しました。これに続き、横須賀店では、地下1階に食品スーパー「ヨークフーズ」が3月20日に開店、1階にドラッグストア「サンドラッグ」が6月19日に開店したことにより、藤沢店と同様の効果が出ております。更に、横須賀店3階への「ファッションプラザ パシオス」「シュープラザ」開店(9月25日)、藤沢店地下1階への食品スーパー「ライフ」開店(今秋)に伴う改装セールを開催し、売上増に寄与するとともに、当該テナント開店以降の更なる賃料収入の拡大を見込んでおります。

自社運営の金地金買取におきましては、金の市場価値の高騰により通期を通じて好調に推移いたしました。また、新規事業として、藤沢店にて若手社員が中心となり自主運営するショップ「mili mili byさいか屋」を5月8日に開店、グループのシナジー効果を活用した事業として横須賀店に「うなぎの佳川 さいか屋横須賀店」が開店しており、連日多くのお客様にご来店いただいております。

以上の結果、百貨店事業の業績は、売上高4,945百万円(前期比95.0%)、営業利益33百万円(前期比35.3%)となりました。

 

(飲食事業)

なすび各店舗において全体的に回復傾向にあり、中でも法人関係の忘年会・新年会・歓送迎会や観光団体、法事等、得意分野である団体客の来店が売上増に大きく寄与いたしました。加えて、既存店の改装や新規出店により効率化と新たな客層の獲得に注力しました。昨年9月に、日本テレビ系列の番組「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」にて紹介された「なすび総本店」は、全国からの集客につながりジャンボ海老フライ御膳が好評を得ております。またそれに続くインパクトのある商品開発を行い、個人客の集客につなげました。利益面においても、作業効率の向上やメニューの見直し、新商品開発等により原価率の適正化に注力しております。

以上の結果、飲食事業の業績は、売上高2,164百万円(前期比146.0%)、営業損失70百万円(前期に比べ48百万円の営業利益の改善)となりました。

 

(不動産・建託事業)

2021年3月に㈱エーエフシー不動産(現:㈱AFCスマイル不動産)を、同年10月に㈱AFC建設(現:㈱AFC建託)を新設し事業を開始いたしました。昨年10月に不動産事業、建設事業を展開する国内企業をグループ化しております。
 自社に設計部門・特定建設業を構え、アパート建設、注文住宅、リフォーム工事等の請負工事を受注いたしました。今後、建託事業に注力し、お客様の土地活用・アパート賃貸経営を支援してまいります。
 以上の結果、不動産・建託事業の業績は、売上高1,907百万円(前期比147.0%)、営業損失267百万円(前期に比べ332百万円の営業損失の増加)となりました。
 

b.財政状態
(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,219百万円増加し、22,094百万円となりました。この増加要因は主として、販売用不動産を含んだ商品及び製品が1,613百万円、現金及び預金が990百万円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,739百万円増加し、24,936百万円となりました。この増加要因は主として、有形固定資産が2,271百万円、無形固定資産が1,134百万円増加したことによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,767百万円増加し、17,622百万円となりました。この増加要因は主として、短期借入金が1,164百万円、流動負債のその他が673百万円、契約負債が235百万円、1年以内返済予定の長期借入金が216百万円増加したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,390百万円増加し、15,450百万円となりました。この増加要因は主として、長期借入金が1,973百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ800百万円増加し、13,958百万円となりました。この増加要因は主として、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が825百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,008百万円増加し、当連結会計年度末は12,070百万円となりました。

 その内容は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,540百万円(前期比674百万円の収入増)となりました。

 これは主として、棚卸資産の増加額1,433百万円、法人税等の支払額575百万円などにより資金が減少した反面、税金等調整前当期純利益1,910百万円、減価償却費862百万円、のれん償却額222百万円などにより資金が増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2,761百万円(前期比815百万円の支出増)となりました。

 これは主として、投資有価証券の売却による収入1,074百万円などにより資金が増加した反面、有形及び無形固定資産の取得による支出3,406百万円などにより資金が減少したものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は2,232百万円(前期比350百万円の収入増)となりました。

 これは主として、長期借入金の返済による支出486百万円、配当金の支払額418百万円などにより資金が減少した反面、短期借入金の純増加額1,003百万円、長期借入れによる収入2,172百万円などより資金が増加したことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績

当社グループ(当社及び当社の連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。

セグメントの名称

事業部門

当連結会計年度

(自  2023年9月1日

至  2024年8月31日)

項目

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

ヘルスケア事業

OEM部門

受注高

10,276,276

103.8

受注残高

933,613

104.8

 

(注) ヘルスケア事業のOEM部門において受注生産の形態をとっております。なお、他の事業・部門でも一部、受注生産を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年9月1日

至  2024年8月31日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

ヘルスケア事業

18,099,200

118.7

医薬品事業

2,310,475

110.7

百貨店事業

4,945,949

95.0

飲食事業

2,164,564

146.0

不動産・建託事業

1,907,549

147.0

その他事業

757,711

293.6

合計

30,185,451

118.0

 

(注) 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、その他事業におきまして、連結子会社である5SPRO社の販売増加等によるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、資産及び負債、収益及び費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。これら見積りについて、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的に行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)

当連結会計年度の売上高は、30,185百万円(前期比118.0%)となりました。これはヘルスケア事業における海外部門が大躍進したことに加え、ヘルスケア事業のOEM部門、自社製品販売部門並びに医薬品事業も好調に推移したことによるものであります。

 

(売上総利益)

当連結会計年度の売上総利益は、10,491百万円(前期比112.5%)となりました。これは増収効果によるものであります。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、8,575百万円(前期比111.6%)となりました。これは人件費の増加によるものであります。 

以上の結果、連結会計年度の営業利益は、1,916百万円(前期比117.1%)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、190百万円(前期比163.7%)となりました。これは投資有価証券売却益の増加等によるものであります。

当連結会計年度の営業外費用は、185百万円(前期比187.9%)となりました。これは支払利息の増加等によるものであります。

以上の結果、連結会計年度の経常利益は、1,921百万円(前期比116.2%)となりました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は66百万円となりました。これは固定資産売却益が影響しております。また、当連結会計年度の特別損失は77百万円となりました。これは固定資産除・売却損が影響したものであります。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、1,252百万円(前期比113.6%)となりました。

 

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品・原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
 これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。
 なお、当連結会計年度末における借入金及び割賦未払金を含む有利子負債の残高は22,582百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は12,070百万円となっております。

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

当社グループは、売上高経常利益率を収益性の指標としており、同指標を測定することで、収益性の向上のための経営判断を行うことが重要であると考えております。当連結会計年度における売上高経常利益率は6.4%と前連結会計年度から0.1ポイント減となっております。引き続き、収益の拡大や業務の効率化等に取り組み、収益性の向上に努めてまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の当社グループの研究開発活動は、当社及び連結子会社である㈱日本予防医学研究所が行っております。㈱日本予防医学研究所におきましては、当社の製品企画に基づく研究開発業務を同社が有償で受託しております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は148,207千円であり、その全額がヘルスケア事業に係るものであります。

当社グループにおける研究開発活動は、次のとおりであります。

 

当社グループの取組状況

(1)研究開発の指針

当研究開発グループは本草製薬㈱を傘下に広く技術刷新を図るべく、相互の製剤技術や、情報の共有化に努めてきました。また、特定保健用食品はエビデンスの結晶体であって、開発研究者としての求める指標と考えます。私たちは、一般の開発商品についても、これらの思想を背景に科学的根拠に基づいた信頼性、安全性の高い商品作りをモットーにしております。新製品開発や改良商品の研究ポイントをどのように絞り込むのか、最大の課題は市場の動向を的確に把握し、マーケティングによって得られた情報の信頼性や有効素材の学術情報などを分析して商品開発の指標としております。また、開発商品については、社内モニター試験の解析結果から総合的に判定するほか、商品設計の妥当性を評価しております。情報収集によって得られた情報は医療機関向け、一般用の販売促進用に転用し、営業活動の活性化にも努めております。

 

(2)健康食品の開発状況

素材の研究開発について、富山大学和漢医薬学総合研究所の森田洋行教授らの研究グループとともに、ベトナム産のショウガ科植物、ラン科植物、ツヅラフジ科植物について共同研究を行いました。

ベトナム産ショウガ科植物Kaempferia champasakensis(ケンファリア チャンパナケンシス)の根茎の有機溶媒抽出液に、ヒト由来がん細胞を実験室レベルで若干死滅させることのできる2種類のイソピマラン型ジテルペノイドが含まれていることを明らかにしました。この根の成分の解析を続けたところ、ヒト由来がん細胞を実験室レベルで中程度死滅させることのできる5種のイソピマラン型ジテルペノイドが含まれていることを科学的に示しました。本植物の根茎は、ベトナムでは胃炎などの胃の病気を治療する目的で伝統的に利用されてきた植物です。今回得られた結果は、実験室での細胞レベルに限った解析であるため、動物での抗がん作用を調べる必要はありますが、本植物の根茎は、医薬品や機能性食品などの開発へと応用できることが益々期待されます。ベトナム産ラン科植物Galeola nudifolia(ガレオラヌディフォリア)の果実に、アルツハイマー病などの認知症疾患に対する創薬ターゲットとされているアセチルコリンエステラーゼに対して阻害活性を示すことを見いだし、さらに、この果実には、活性は弱いものの、本酵素に対して競合的阻害活性を示すフェノール性化合物や複合型阻害活性を示すフェノール性化合物が含まれていることを明らかにしました。ベトナム産ツヅラフジ科植物Tinospora cordifolia(チノスポラ コルディフォリア)の茎がアルギナーゼIに対して阻害活性を示すことを見いだし、さらに、本植物の茎には、本酵素に対して中程度の競合的阻害活性を示すチノコルディフォリアAという名のneo-クレロダンジテルペノイドが含まれていることを明らかにしました。この化学構造と活性相関のさらなる検討により、マラリア、咽頭炎、リウマチ、糖尿病などに有効なあらたな医薬品や機能性食品の開発につながることが期待されます。

製剤技術開発においては、錠剤フィルムコーティングのポリビニルアルコール(PVA)及びHPMCの技術開発を実施しました。

 

(3)化粧品の開発状況

商品開発において、エーエフシーの商品9品目を上市いたしました。そのうち4品目は医薬部外品であり、その中の3品目はシワ改善の効能効果を持たせました。お客様の幅広いニーズに応えるため、有効成分の組み合わせや剤型が異なるラインナップを揃えました