当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社は、『「家がほしい」すべての人のために。』という企業理念の下、マイホームを持つことにより、より多くのご家族の皆様が幸せを感じ取って頂けるように、価格を抑えながらも、デザイン性・品質・性能・居住性に優れた住宅を供給する事を目指しております。
このコストとデザイン・品質・性能・居住性を両立させた商品群が当社の戸建分譲事業の基盤であり、競争優位の源泉であると認識しています。顧客層に関しては、従来の主要顧客層に加え、昨今のデザイン性向上により、所得のより高い層への訴求が可能になったものと認識しています。
(2) 経営戦略等
当社は、上記の企業理念を念頭にデザイン性の高い良質で周辺相場等を意識したお求めになりやすい価格で住宅の提供を全国に供給することを目指すなかで、今後の事業規模の飛躍的な拡大を目指しております。
一方で、当社の属する不動産業界におきましては、首都圏の戸建住宅に対する需要は底堅い面があるものの、住宅価格の上昇とコロナウイルスの感染拡大が一定の落ち着きを見せたことによる戸建住宅需要の一服もあり、地方エリアを中心に完成在庫が増加傾向となるなど、受注環境の悪化が懸念される厳しい事業環境が続いております。
このような状況を踏まえ、当社は中長期的に更なる収益力向上を図る観点から、以下の戦略を着実に取り組んでまいります。
①売上成長
(関東エリア)東京都・神奈川県・埼玉県に所在する既存6支店による販売棟数の拡大、及びデザイン性による差別化
(東海エリア)静岡県内において一定のシェア維持、及び静岡県内において当社が開拓していないエリアへの進出
②収益改善
・在庫回転率の改善による値引きリスクの軽減
・戸建分譲住宅の販売を主としつつ、収益性の高い土地開発分譲も推進
・収益基盤の多様化を図るべく、安定的な収入を目的とした不動産関連の新規事業を検討
・基幹システムと施工管理システムの連携による生産性の向上
・資金調達コストの削減
・当社の成長を牽引する人財の確保および育成の推進による企業価値の向上
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の行う戸建分譲事業では、今後の事業の拡大のために積極的なシェア及びエリアの拡大と人員の確保が必要であり、その手段として着実な利益計上による財務基盤の強化が必要であることから、当社は収益性指標として売上高営業利益率を重視してまいります。
(4) 経営環境
円安を背景としたインバウンド需要や個人消費の改善により、サービス消費を中心に経済活動の正常化の流れが活発化した一方、ウクライナ情勢の長期化や中東地域での緊張感の高まりを背景とした景気下押しリスクがあり、実体経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社の属する不動産業界におきましては、政府による住宅ローン減税などの各種住宅取得支援制度が継続して実施される一方で、木材をはじめとする建築資材価格の高止まりが続いております。また、住宅ローン変動金利はこれまで低水準で維持してきたものの、日銀の金融施策により緩やかに上昇することが想定される等、継続して好悪の材料が交錯しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①関東エリアのシェア拡大
当社は東海エリア(静岡県2、愛知県1)に3拠点、関東エリア(東京都2、神奈川県3、埼玉県1)に6拠点を構えております。当社が今後、事業規模を拡大させるには、需要が底堅く、かつデザインによる差別化が図られている関東エリアでのシェアを拡大させる必要があると考えております。そのためには、関東エリアの既存店による販売棟数を拡大することで全社の売上成長を牽引し、シェア拡大に取り組んでまいります。
②プロジェクト用地取得の強化
当社の行う戸建分譲事業において、プロジェクト用地の仕入は最も重要な施策であると認識しております。プロジェ
クト用地の仕入には仲介業者を通じた仕入を多く行っておりますが、常に新規の仲介業者の開拓を行い、既存の仲介業
者との密接な関係を継続的に構築しながら、不動産情報についてもより多方面から取得していく仕組みを築き上げ、プ
ロジェクト用地取得の強化に向けて取り組んでまいります。
③収益力の改善
収益力の改善においては、販売在庫の管理を徹底してまいります。これまでも一定の基準による管理を行っておりましたが、今後は販売ルールをより厳格にしてまいります。これにより在庫回転率が向上し、ひいては値引きリスクの軽減及び利益率の改善に繋がるものと考えております。加えて、戸建分譲住宅以外に土地の開発分譲も積極的に行うことで、利益拡大を図ってまいります。
④人財の確保・育成
当社では、従業員を重要な経営資源(人財)として認識しております。当社が引き続き持続的な成長をしていくために、不動産・住宅事業に関連する知見及び経験が豊かな人財の確保と当社事業を牽引する人財の育成を積極的に行うことで、企業価値の向上に取り組んでまいります。
⑤資金調達
当社のプロジェクト遂行には資金力が不可欠であり、各金融機関よりプロジェクト毎に規模、期間を考慮しながら機動的な資金調達を行っております。あわせて、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、ケイアイスター不動産株式会社に対する第三者割当増資による資金調達も実施しており、競争力の強化及びシェア拡大の加速を目指しております。
今後も、資金効率の最適化及び金融費用の低減を図り、在庫管理及び財務管理の品質向上に取り組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
「サステナビリティに関する基本方針について」
当社は、持続可能な環境・社会の実現と中長期的な企業価値の創出を図り、ステークホルダーの信頼に応えることを目的として、2022年に「サステナビリティに関する基本方針」を定め、SDGsをはじめとした社会課題の解決と当社の持続的な成長を両立させるために活動してまいりました。
基本方針として、『「家が欲しい」すべての人のために。』を企業理念として、デザイン性・品質・性能・居住性に優れた住宅をお求めになりやすい価格帯でご提供し、「事業」「環境」「働きがい」「地域貢献」「ガバナンス」の側面から、持続可能な社会の実現に向けて貢献してまいります。
当社のサステナビリティに関する取組等については
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティに関するリスク及び機会の監視及び管理統制等について、社内にサステナビリティプロジェクトを設け、取締役会にてサステナビリティにおける重要課題として「事業」「環境」「働きがい」「地域貢献」「ガバナンス」の課題に取り組むことを定めております。
また、リスク管理基本規程に基づき、全社的なリスク管理体制の整備の推進、運用の評価及びリスク管理の適切な指導等を行うことを目的としたリスク管理委員会を原則として年4回開催し、ガバナンス体制の構築を行っております。
(2)戦略
(サステナビリティについて)
当社では『「家がほしい」すべての人のために。』の企業理念を基にサステナビリティ基本方針を策定し、当社の持続可能な成長と社会の持続可能な発展に貢献する取り組みを目指すため、重要課題(マテリアリティ)を設定しております。
当社の戦略上重要なサステナビリティ上の課題(マテリアリティ)は以下のとおりです。
重要課題(マテリアリティ) |
主な取り組み |
事業 |
デザイン性の高い長期にわたって住める住宅の提供 |
街全体をトータルデザインした付加価値のある環境作り |
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生涯設計を支える無理のない価格帯 |
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環境 |
CO2排出の削減 |
木材の有効活用 |
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節電・節水・省エネ |
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省エネルギー性能 |
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働きがい |
従業員の育成支援 |
各種制度 |
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性別や年齢にとらわれない、公平な人事評価制度 |
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ジェンダーギャップ解消 |
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地域貢献 |
私募債を利用した寄付・寄贈 |
職場体験の実施 |
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学校でのセミナー開催 |
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地元企業、地元学生、大工・職人の雇用創出 |
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ガバナンス |
各種コンプライアンス研修の実施 |
反社会的勢力排除 |
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知的財産の保護 |
特に人的資本に関しては事業継続や企業成長への影響度が大きいと認識しているため、本報告書では当社の人的資本に関する方針とリスク及び 機会について記載いたします。サステナビリティに関するその他についても、今後、重要度を評価し、開示を含め前向きに検討してまいります。
(人的資本について)
当社の持続的な発展のためには、多様かつ自律した従業員の獲得、育成が必要不可欠と考えております。サステナビリティに関するリスクの中でも特に人材=人的資本の毀損が経営に与える影響が大きいと考え、「人材確保の困難・育成不芳」と「職場環境の悪化」を特に留意すべきリスクとして認識し、その回避・低減を経営戦略上の重要な課題として、以下の通り、取り組んでおります。
①人材の育成に関する方針
・人材育成を積極的に推進し社員が成長できる機会の提供
当社には専門資格を有する従業員が多く在籍しております。習得した知識を活かし、より良いご提案のできるとの考えから、積極的に資格取得、セミナーの受講を推奨、資格手当も導入しております。これにより全ての従業員が自ら成長していく機会を提供しております。
②社内環境整備に関する方針
・誰もが公平に評価されチャンスをつかめる職場環境の整備
年齢や性別にとらわれることのない公平性を重視した人事評価制度の採用している他、面談やアンケートを通じて従業員の意見や希望を受け付けることにより、誰もが公平に評価されチャンスをつかめる職場環境を整備しております。
・従業員の意欲向上の機会の提供
2022年より業務改善提案制度を導入し、所属や役職に関係なく、企業価値向上や持続的な発展を目的とした提案を行うことで、柔軟な発想及び日々の業務改善の意欲向上の機会を提供しております。
・従業員が安心して長く働き続けられる職場環境の整備
当社では健康診断の徹底、ヘルプライン窓口の設置、年次有給休暇の計画的取得の推奨、従業員持株会制度の採用、確拠出年金の導入等を実施しております。これにより、従業員が安心して長く働き続けられる職場環境を整備しております。
・ジェンダーギャップ解消の取組み
住宅設計の段階で多様性を重視し、共働き家庭、子育て家庭に対して住宅勤務、家事や育児の負担軽減といった世の中のニーズに応えられる住宅の提供により、「家族が幸せになる家」という理想を追求している当社では、多様な暮らしに対応した家づくりのために、女性が活躍することが重要であると考え、管理職養成等を目的とした中堅社員向けのマネジメント研修を実施し、管理職候補の女性社員を対象としたキャリア意識の醸成を行う他、仕事と家庭の両立を進めるための環境や相談体制整備を行い、従業員における女性比率及び管理職比率の割合増加を目指しております。
なお、①人材の育成に関する方針及び②社内環境整備に関する方針に記載した取組みの詳細と目標は「(4)指標及び目標」に記載しております。
(3)リスク管理
当社は「リスク管理基本規程」並びに「コンプライアンス規程」に基づきリスク管理委員会・コンプライアンス委員会を設置しております。当社の経営に悪影響を与えるリスク及び機会について把握し、リスク及び機会がもたらす損失の極小化、コンプライアンス違反の未然防止を図ることを目的に、取締役会の監督のもと総務人事部長を委員長、代表取締役社長以下各本部長を委員とし、常勤の監査等委員及び内部監査室長をオブザーバーとして構成しており、原則年4回開催のうえ、重要なリスク事項については取締役に報告を行う体制としております。
また、今後は、気候変動リスク及び人的資本経営に関するリスク管理を強化するために、サステナビリティ推進委員会の設置を検討してまいります。
(4)指標及び目標
当社は上記「(2)戦略(人的資本について)に記載した人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」について、以下の指標を用いております。
指標 |
目標 |
実績 |
業務改善提案制度の導入 |
2023年度までに導入 |
2022年に導入済み |
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管理職(課長以上)に 占める女性の割合 |
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本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しておりますが、当社に関するすべてのリスクを網羅するものではございません。
なお、これらのリスクの情報につきましては、本書提出日現在における当社の認識を基に記載したものであり、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(事業環境に関するもの)
(1) 景気動向及び不動産市況について
当社の主要事業である戸建分譲事業において、取得用地の価格は景気動向、不動産市場の需給状況の影響により価格変動を受けやすいため、この動向によっては当社の用地取得コストに大きな影響を及ぼすことになるため、当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は相応にあるものと認識しております。
また、販売先である個人顧客についても景気動向、金利動向、税制等の動向により購買意欲や需要動向に影響を受けやすい傾向があり、これら諸条件の環境動向によっては当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、常に外部環境を注視しながら、用地仕入や販売活動等に機動的に反映するよう努めております。
(2) 建築コストの上昇について
2021年4月頃からの世界的なウッドショックの発生以降、建築コストは当初急激に上昇した後、その後は供給不安こそ後退したものの価格は高止まりしており、主要部材である木材のほかにも、金属類、諸資材、資材運搬費及び人件費等も高止まりしていることから、当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は相応にあるものと認識しております。
当社では平時から設計段階や施工段階で、品質・性能・居住性を追求しつつも、建築コストを意識した原価低減あるいは原価上昇を抑える取組みに努めておりますが、こうした不断の取組みでは吸収しきれない建築コストの上昇に対しては、代替手段によるコストアップの回避あるいはコストアップ抑制の取組みに努め、それでも吸収できない場合は販売価格への転嫁等を行う場合があります。その際に販売価格等への転嫁に見合ったデザイン重視の家づくりに努めても価格水準が一般消費者の購買意欲にそぐわないほど上昇した結果、需要が減退した場合には当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社では、建築コストや工期の安定化を図るため建築職人の安定確保が重要であると考えており、継続的な発注ができるように施工管理に努めるとともに、建築資材については複数の新規購買先を開拓するとともに、メーカー変更等の代替え手段の確保などに努めております。
(3) 競合について
当社は、本書提出日現在、静岡県、愛知県、岐阜県、神奈川県、埼玉県、東京都、千葉県を販売エリアとして事業を展開しております。これらの地域においては、大手戸建分譲住宅会社やハウスメーカーだけでなく地場の住宅供給会社も数多く存在しており、競争が行われておりますが、当社の主要営業エリアの一つである静岡県において、大手との競争が数年内に現在より激化する可能性があることから、当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は相応にあるものと認識しております。
今後これらの競合他社との競争による市況の変化により、プロジェクト用地の仕入、建築工事、販売活動に影響が出た場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、関東エリアでの販売棟数の拡大を行うとともに、コストやデザイン等当社商品の優位性を一層高め、より差別化を図るよう努めております。
(事業内容に関するもの)
(4) 販売用不動産及び仕掛販売用不動産について
当社は、『「家がほしい」すべての人のために。』という企業理念の実現のためにプロジェクト用地の安定的確保が重要であると認識しております。事業の採算性や顧客の需要動向等を考慮しつつ、販売用不動産及び仕掛販売用不動産(以下「販売用不動産等」)を積極的に取得・保有しており、当事業年度末における販売用不動産等残高は8,223,976千円で総資産に占める比率は約70.7%でした。
販売用不動産等を積極的に取得・保有することは、顧客の需要動向に応じた機動的な販売に貢献し、機会損失を回避することができると考えております。一方で、顧客の需要の低下または顧客の嗜好の変化により、滞留在庫として資金が固定化する可能性、値引き販売等により利益率が低下する可能性、また棚卸資産評価損を相当額計上することになる可能性などがあり、外部環境次第では数か月以内に当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は相応にあるものと認識しております。
そのため当社では、ビジネスチャンスとリスクの両者を勘案して、販売用不動産等の水準を調整しております。
最近2事業年度における販売用不動産等の期末残高は、下表のように推移しております。
|
前事業年度 (2023年8月期) |
当事業年度 (2024年8月期) |
販売用不動産等の期末残高(千円) |
11,920,512 |
8,223,976 |
在庫回転期間(月)※ |
7.6 |
6.5 |
※在庫回転期間=(期首販売用不動産等の残高+期末販売用不動産等の残高)÷2÷売上原価×12
(5) 仕入先の確保について
当社は、事業規模の拡大に併せて、不動産仲介業者、施工協力業者を始めとする取引先の拡充を推進してまいりましたが、取引先拡大のペースが事業規模の拡大に追いつかず、用地仕入、建材等の調達における代替手段が制限される場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。現時点で特定仕入先への依存はないため、当該リスクが顕在化する可能性は低いものと考えておりますが、ウッドショック発生時のような世界的なサプライチェーンの混乱時には、想定より大きなリスクに発展する可能性もあるため、プレカット業者など新規取引先の開拓を行い、一部の業者に取引が集中しないように努めております。
(6) 資金調達について
当社は、プロジェクト用地の仕入など事業遂行に不可欠な資金の過半を金融機関からの借入れで調達しており、当事業年度末における有利子負債の残高は7,290,858千円でした。今後も事業規模拡大に伴ってプロジェクト用地の仕入件数が増加していくこと等から、有利子負債は増加することが予想されます。しかしながら、不動産市況の動向、景気動向、政府の不動産市場への規制強化等によって金融機関の与信方針に変更が生じた場合には、当社の資金調達並びに経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があることから、当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は一定程度あるものと認識しております。
そのため当社では、資金不足によって当社の事業に影響が及ばないよう、金融機関とは緊密に情報交換を行うよう努めております。あわせて、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、ケイアイスター不動産株式会社に対する第三者割当増資による資金調達を実施しております。
(7) 物件の引渡し時期について
当社の戸建分譲事業における売上の計上は、一部の建築請負契約を除き、物件の引渡しをもって行っております。当社では各プロジェクトの用地仕入れから建築工事の完了に至るまで自社で行っておりますが、各プロジェクトの進捗状況、建築工事の遅延等により引渡時期が変更となる場合があります。このような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、外部環境次第では数か月以内に当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は相応にあるものと認識しております。
そのため当社では、各プロジェクトの進捗状況等について現場管理システム等を活用することにより、随時状況の確認を行うとともに、建築資材については不測の事態に備えて代替品の仕入ルートを確保しております。
(8) 施工協力業者の減少及び建築工事の遅延等について
当社の分譲戸建住宅の建築工事については、当社において技術水準、納期、予算水準等を考慮し、施工協力業者を選定した中で発注を行っております。
しかしながら、今後建築職人の不足や建築業界の景気動向により、施工協力業者が減少もしくは当社の要求する水準への対応ができない場合に代替の施工協力業者をもってしても建築工事が進まない可能性があり、外部環境次第では数か月以内に当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は相応にあるものと認識しております。その場合には工事の遅延、物件引渡しの遅延などにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、取引業者の開拓等、不測の事態が起こった場合でも対応できる体制を整えるよう努めております。また、当社の要求する施工水準を満たす施工協力業者を確保するため、当社の施工管理担当者は、現場管理システムの活用及び現場巡回等により建築職人との品質確保のためのコミュニケーションや情報共有に努めるとともに、定期的に外注先等を集めた報告会を行うことで安全・品質管理の徹底等に努めております。
(9) 法的規制について
当社は、不動産販売、住宅建築を行っていることから、多くの遵守すべき法令、規制等があります。主なものとして宅地建物取引業法、建設業法、建築士法、建築基準法、都市計画法、土地区画整理法、農地法、宅地造成等規制法、不当景品類及び不当表示防止法、不動産の表示に関する公正競争規約等など各種法令及び規制の他、各自治体が制定した条例等の規制も受ける事になります。
また、許認可、免許及び登録番号等の状況は、次のとおりであります。
許認可等の名称 |
宅地建物取引業者免許 |
一級建築士事務所登録 |
一般建設業許可 |
||
所轄官庁等 |
国土交通省 |
静岡県 |
愛知県 |
神奈川県 |
国土交通省 |
許認可等の内容 |
国土交通大臣免許 (3)第8082号 |
静岡県知事登録 (3)第7177号 |
愛知県知事登録 (い-4)第13427号 |
神奈川知事登録 第18657号 |
国土交通大臣許可 (般-4)第26865号 |
有効期間 |
2020年12月17日 ~ 2025年12月16日 |
2021年2月21日 ~ 2026年2月20日 |
2022年10月31日 ~ 2027年10月30日 |
2023年9月1日 ~ 2033年8月31日 |
2022年11月14日 ~ 2027年11月13日 |
法令違反の要件及び主な許認可取消事由 |
免許取消事由 破産手続開始の決定がされたとき、役員等が禁固以上の刑に処せられたとき、役員等が暴力的行為等を禁止する法律に違反し罰金以上の刑に処せられたとき、役員等が暴力団員等に該当するとき、不正の手段により免許を受けたとき、業務停止処分に違反し業務を行った場合等。 |
免許取消事由 本人からの免許取り消し要請、死亡の届出、虚偽又は不正の事実に基づいて免許を受けたことが判明したとき、建築士事務所の開設者が暴力団員に該当したとき、暴力団員等がその事業活動を支配したとき、建築士法若しくは建築物の建築に関する他の法令又はこれらに基づく命令若しくは条例の規定に違反したとき等。 |
免許取消事由 破産手続開始の決定がされたとき、役員等が禁固以上の刑に処せられたとき、役員等が暴力的行為等を禁止する法律に違反し罰金以上の刑に処せられたとき、役員等が暴力団員等に該当するとき、経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎、誠実性を満たさなくなったと認められるとき等。 |
当社では、過去及び現在においてこれら法的規制に抵触することによる免許・登録の取消しや更新拒否の事由となる事実は発生しておりませんが、これら許認可等には有効期限があることから、その円滑な更新に努めるとともに、関係法令諸規則が遵守されるよう、「企業倫理規程」、「企業倫理ヘルプライン規程」及び「コンプライアンス・マニュアル」を制定・周知しております。また、法的規制に抵触することがないように、法改正情報の収集、顧問弁護士への相談、研修等の社内啓蒙のほか、コンプライアンス委員会の設置・運営など体制整備にも努めております。そのため、当該リスクが顕在化する可能性は低いものと考えておりますが、万が一、法的規制に抵触した場合には当社の事業活動が大きく制約される可能性もあることから、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(10) 瑕疵担保責任について
当社は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、新築住宅の構造上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分について10年間、その他の部分については引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。また、2009年10月1日以降に「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」に基づき、住宅の品質確保措置を確保するために国土交通大臣の指定する保険法人と当社は保険契約を交わしており、また、当該保険を付保するためには、技術的基準に適合しているかどうか第三者機関による現場検査を受ける必要がありますが、万一不測の事態が起こった場合でも、保険金の支払又は保険金の還付によって瑕疵の補修の工事等に必要な資力を確保しております。
なお、当社は設計の段階から一貫して携わり、品質瑕疵のない不動産を供給するよう努めるとともに、販売後のクレームに対しましても、法令上の責任に基づき、真摯な対応に努めております。
これらの対応により、当該リスクが顕在化する可能性は低いものと考えますが、何らかの事情により当社の販売した不動産の多くに瑕疵があった場合には、契約不適合責任に基づく瑕疵補修のための費用の増加、当社の品質管理に関する信用が毀損する等により、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 訴訟等の可能性について
当社は、本書提出日現在、業績に重大な影響を及ぼす訴訟提起を受けておりませんが、当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は相応にあるものと認識しております。当社の販売する不動産において契約不適合責任の発生、工事期間中における事故の発生、近隣住民等からの様々なクレームの発生等により、これらを起因とする訴訟等が提起された場合、訴訟等の結果によっては多額の費用負担、工事の中止、当社の信用が毀損する等、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このような事案が発生しないよう、契約締結前のリーガルチェックの徹底、クレーム対応マニュアルの整備、紛争未然防止の社内研修、クレームやトラブル関連案件が生じた場合は経営層及び関係部署による情報共有及び顧問弁護士への相談、コンプライアンス委員会等での事案共有、引き渡し後の物件については住宅瑕疵担保責任保険を付保し、地盤保証や白蟻保証を受けるなど、訴訟等に至る前に適切な解決ができるような体制整備に努めております。
(12)風評被害・クレームについて
当社は戸建分譲事業を展開していることから、顧客から品質やサービス、納期等に対する意見・不満等のクレームを受ける可能性があります。こうしたクレームの発生により、当社に対する顧客からの信頼が低下する場合は、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社に対する否定的な風説や風評がインターネット上の書き込み等により拡散した場合、その情報が正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社の事業展開、業績、及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、このようなリスクに対して、法令遵守、品質管理に努めるとともに、否定的な風説や風評が生じる原因となるような行動をしないよう全社員への教育・研修・指導を行うことで、風評リスクの防止対策を実施しております。
また、モニタリングを適宜実施し、虚偽情報の流布があった場合には顧問弁護士等の専門家と緊密に連携することで、その拡散に対応するための体制を構築しております。
(13) 人材確保について
当社が今後事業を拡大していく中で、優秀な人材の確保は経営資源の観点から重要であると考えております。建築や不動産取引においては高度に専門的な知識や経験を必要とする事からも、有資格者をはじめ、企画部門、管理部門においても有能な人材を継続的に確保できるよう努めております。しかしながら、当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は相応にあるものと認識しており、必要な人材確保が計画的にできない場合には、当社の経営成績及び事業の推進に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、こうしたリスクに対応して適材を適時に確保できるよう機動的に採用活動を行っております。
(14) 特定の人物への依存について
当社の創業者である代表取締役社長伴野博之は、設立以来、経営方針、経営戦略などの決定に重要な役割を果たしてまいりました。同氏が当社の業務執行を離れる事は想定しておりませんが、同氏に過度に依存しない社内体制の強化に努めております。そのため、当該リスクが顕在化する可能性は低いものと考えておりますが、同氏に過度に依存しない組織体制への移行段階であり、不測の事態により同氏の業務執行が困難になった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、同氏に過度に依存しないよう、内部管理体制の整備、人材の育成を行う等、組織体制の整備に努めております。
(15)営業拠点の地域偏在について
当社の事業エリアは、創業来の地盤とする静岡県を中心に、大きく東海エリアと関東エリアで事業を展開し営業拠点は全9拠点となり、両エリアに事業エリアが集中しているのが現状であります。そのため、両エリアにおける大規模災害の発生時や地域経済動向の変化が、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社では中長期的に営業拠点を新設することで事業エリアの拡大を図り、将来的には当社の住宅を全国へ供給する体制を整えることで、営業拠点の地域偏在に係る事業リスクを軽減してまいります。
(16) 新規拠点開設について
当社は、本書提出日現在、静岡県、愛知県、神奈川県、埼玉県、東京都に拠点を置き事業展開を行っております。当社が今後積極的な事業規模拡大を図る中で、新規拠点の開設は重要な施策であります。新規拠点開設にあたっては、優秀な人材の確保、及び開設地域において、プロジェクト用地の仕入資金を調達する金融機関の開拓が必要となるため、当該リスクが顕在化する可能性及びその影響は相応にあるものと認識しております。そのため、新規拠点の開設が首尾よく進捗しない場合には事業拡大の制約となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があることから、当社では新規拠点の開設を経営計画に則り進めていくよう努めております。
(その他)
(17) 税務上の繰越欠損金について
本書提出日現在において、当社は税務上の繰越欠損金を有しております。繰越欠損金は、将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することで将来の税額を減額することができます。しかしながら繰越欠損金利用額と利用期間には、税務上、一定の制限が設けられております。よって計画どおりに課税所得が発生しない場合、繰越欠損金を計画どおりに利用できないこととなるため、所定の税率に基づく法人税等が課税されることになり、当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(18) 個人情報の管理について
当社は、住宅購入顧客や来場者リストなどの個人情報を保有しております。これらの情報については、改正個人情報保護法に則し、個人情報漏洩等の事故が発生しないよう関連規則の制定・運用、社内啓蒙、情報システム整備等の管理に努めていることから、当該リスクが顕在化する可能性は低いものと考えますが、万が一個人情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合には、当社の信用失墜による販売等への影響や損害賠償等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、このような個人情報漏洩等のリスクが発生しないよう、情報管理に係る社内規程の整備・周知、役職員に対して個人情報管理、情報セキュリティに関する研修を定期的に行っております。
(19) 自然災害や不測の事故等について
大規模な地震や台風などの自然災害や火災等の発生により、当社が保有する施設、建築中の物件や販売物件が滅失、劣化、毀損し、その価値が低下する可能性があります。また、偶然の事故により、第三者へ危害を加えた場合、その補償等が必要となります。これら自然災害や不測の事故等について、当社の加入する保険では賄う事の出来ない事象が発生する可能性があります。加えて、大規模な自然災害の発生時において、当社従業員等に人的損害が発生したり、事業運営に支障を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する時期や影響を予測することは困難ではありますが、当社では発生時の損害を最小限に抑えるため、安否確認システムを導入することで非常時の連絡・指示経路の確保等に努めております。
(20) 大株主との関係性について
当社は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、ケイアイスター不動産株式会社に対する第三者割当増資により新株を発行しております。これにより提出日現在において、ケイアイスター不動産株式会社は、当社の発行株式の約36%保有しており、当社は同社の持分法適用会社であり、同社は当社の「その他の関係会社」であります。ケイアイスター不動産株式会社による当社株式の取得は、ケイアイスター不動産株式会社と当社が資本関係を構築し、両社の協業体制をより強固にするとともに、業務提携を通じて当社の中長期的な成長及び企業価値の向上に貢献することのインセンティブをケイアイスター不動産株式会社が持つために行われるものであるため、ケイアイスター不動産株式会社は、かかる目的に沿って本株式を保有する意向であると理解しております。
なお、当社の代表取締役社長である伴野博之(同氏の資産管理会社である伴野アセットマネジメント㈱を含む)においても引き続き当社の大株主であります。同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同氏の株式の多くが減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(21) 新株予約権の行使による株式価値希薄化に関するリスクについて
当社は、当社の取締役の業績向上や中長期的な企業価値向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、新株予約権(税制適格ストック・オプション)を付与しています。本書提出日時点における新株予約権による潜在株式数は363,202株であり、発行済株式総数9,360,198株の3.9%に相当します。将来的にこれらの新株予約権が権利行使されることにより、既存株主が有する株式の価値や議決権割合が一定程度希薄化する可能性や、株式売買の需給や当社株価の形成に一定程度影響を及ぼす可能性があります。
なお、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、ケイアイスター不動産株式会社に対する第三者割当増資により提出日現在において新株を3,333,400株発行しております。これにより既存株主が有する株式の価値や議決権割合に大幅な希薄化が生じますが、ケイアイスター不動産株式会社との関係を強化することによる今後の収益力増加等を目的として行うものであり、当社の中長期的な企業価値の向上及び既存株主の皆様の利益の向上が図られると考えております。
(22) 当社株式の流通株式時価総額について
当社は2022年6月23日に東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、本書提出日現在、流通株式時価総額は同取引所が定める形式要件を満たしております。当社株式の流通株式時価総額は投資家による売買を通じて変動することとなりますが、今後も同取引所が定める形式要件を充足し続けるためには、当社の経営方針・経営戦略に従い、事業規模並びに利益の成長を通じて企業価値を継続的に向上させること及び資本政策を検討すること等により、流動性を高めて流通株式時価総額の拡大に努める方針であります。
しかしながら、株価の変動及び何らかの事情により、上場時よりも流動性が低下する場合には当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①経営成績の分析
当事業年度におけるわが国経済は、円安を背景としたインバウンド需要や個人消費の改善により、サービス消費を中心に経済活動の正常化の流れが活発化しております。一方、ウクライナ情勢の長期化や中東地域での緊張の高まり等により、継続してエネルギー価格等の高騰を背景とした景気下押しリスクがあり、実体経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社の属する不動産業界におきましては、政府による住宅ローン減税など各種の住宅取得支援制度が継続して実施される一方で、木材をはじめとする建築資材価格の高止まりが続いております。また住宅ローン変動金利はこれまで低水準を維持してきたものの、日銀の金融施策により緩やかに上昇することが想定される等、継続して好悪の材料が交錯しております。
このような状況のもと、当社は『「家がほしい」すべての人のために。』を企業理念とし、品質・性能・居住性・デザイン性に優れた住宅をお求めになりやすい価格で提供し、シェア拡大に努めてまいりました。
前期から続いている東海エリアや一部郊外物件における業界全体の過剰在庫の状況は、前期と同様に夏場に向けて一時的に解消に向かうことを想定しておりましたが、一部エリアにおいて過剰在庫の状況が長引いており、販売価格の回復が遅れ、売上高の減少及び販売価格の下落に伴う棚卸資産評価損の計上により、営業利益、経常利益及び当期純利益については前期を大幅に下回りました。
事業エリア別の販売件数(建売・土地販売・注文住宅)
事業エリア |
支店 |
前事業年度 |
当事業年度 |
販売件数(棟) |
販売件数(棟) |
||
東海エリア |
静岡、浜松、名古屋 |
448 |
362 |
関東エリア |
神奈川、相模原、 海老名、城東、町田、大宮 |
164 |
212 |
全社計 |
612 |
574 |
当事業年度における業績は、売上高19,730,322千円(前期比0.6%減)、営業損失570,429千円(前期は377,407千円の利益)、経常損失754,226千円(前期は172,019千円の利益)、当期純損失691,102千円(前期は120,969千円の利益)となりました。
なお、当社は戸建分譲事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
②財政状態の分析
(資産)
当事業年度末における流動資産は11,152,104千円となり、前事業年度末に比べ3,592,709千円減少いたしました。これは主に仕掛販売用不動産が2,363,785千円、販売用不動産が1,332,750千円それぞれ減少したことによるものであります。仕掛販売用不動産の減少及び販売用不動産の減少は、販売及び在庫水準の調整等に伴うものであります。固定資産は480,299千円となり、前事業年度末に比べ150,293千円増加いたしました。これは主に土地が98,553千円、繰延税金資産が61,093千円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、11,632,404千円となり、前事業年度末に比べ3,442,415千円減少いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は6,316,344千円となり、前事業年度末に比べ2,473,222千円減少いたしました。これは主に短期借入金が2,292,580千円減少したことによるものであります。固定負債は1,874,333千円となり、前事業年度末に比べ260,137千円減少いたしました。これは主に社債が158,800千円、長期借入金が102,270千円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は8,190,678千円となり、前事業年度末に比べ2,733,359千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は3,441,726千円となり、前事業年度末に比べ709,055千円減少いたしました。これは主に当期純損失691,102千円の計上と、株主配当金29,950千円を支払ったことに伴う利益剰余金の減少によるものであります。
この結果、自己資本比率は29.6%(前事業年度末は27.5%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、2,662,937千円(前事業年度末比13.3%の増加)となり、前事業年度末に比べ312,993千円増加しております。各キャッシュ・フローの状況とそれぞれの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,898,303千円(前事業年度は1,360,306千円の支出)となりました。主な要因は、税引前当期純損失749,654千円の計上と、長期在庫の販売強化による棚卸資産の減少額3,696,535千円によりそれぞれ資金が増減したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、102,594千円(前事業年度は30,846千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出109,145千円により、資金が減少したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2,482,715千円(前事業年度は1,537,231千円の収入)となりました。主な要因は、短期借入金の純減額2,292,580千円により、資金が減少したためであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)の生産実績は次のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは戸建分譲事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
業務区分 |
件数(棟) |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
戸建分譲事業 |
446 |
17,226,646 |
93.6 |
(注)1.当事業年度中に完成した物件の販売価格をもって生産高としております。
2.当事業年度中に完成した物件の棟数をもって件数としております。
b.受注実績
当事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)の受注実績は次のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは戸建分譲事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
業務区分 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
戸建分譲事業 |
20,211,380 |
109.8 |
2,829,361 |
120.7 |
(注)1.当事業年度中に契約した物件の販売価格をもって受注高としております。
2.当事業年度末までに契約した未引渡物件の販売価格をもって受注残高としております。
c.販売実績
当事業年度(自 2023年9月1日 至 2024年8月31日)の販売実績は次のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは戸建分譲事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
業務区分 |
件数(棟) |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
戸建分譲事業 |
574 |
19,730,322 |
99.4 |
(注)1.当事業年度中に引渡した物件の販売価格をもって販売高としております。なお、土地販売取引については戸建分譲事業に含めて表示しております。
2.当事業年度中に引渡した物件の棟数をもって件数としております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の主要な相手先がいないため記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成において必要となる見積り及び判断については、過去の実績等を勘案した合理的な判断によっておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、特に以下の会計方針が当社の財務諸表の作成において使用される見積り及び判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(棚卸資産の評価)
当社は、販売用不動産及び仕掛販売用不動産のうち期末時点の正味売却価額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額の切下げによる評価損を計上しております。正味売却価額の見積り及び判断にあたっては、入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
詳細は「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産の回収可能性の判断については、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
詳細は「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
(売上高)
当事業年度の売上高は、19,730,322千円(前期比0.6%減)となりました。これは販売件数の減少によるものです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、18,503,378千円(前期比5.5%増)となりました。これは主に土地建物関連コストの高騰を背景に原価率が上昇したことによるものです。当事業年度の売上総利益は、1,226,943千円(前期比46.9%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、1,797,373千円(前期比7.0%減)となりました。これは主に、販売促進費の減少によるものです。この結果、営業損失が570,429千円(前期は377,407千円の利益)となり、売上高営業利益率は△2.9%(前期は1.9%)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、22,381千円(前期比37.6%減)となりました。営業外費用は、206,178千円(前期比14.5%減)となりました。これは主に、金融機関からの借入が減少したことにより、支払手数料が減少したことによるものです。この結果、経常損失が754,226千円(前期は172,019千円の利益)となりました。
(特別利益、特別損失、税引前当期純利益)
当事業年度の特別利益は13,741千円(前期は計上なし)、特別損失は9,169千円(前期は383千円)でした。この結果、税引前当期純損失は749,654千円(前期は171,636千円の利益)となりました。
(法人税等、当期純利益)
当事業年度の法人税等の合計は△58,552千円となり、この結果、当期純損失は691,102千円(前期は120,969千円の利益)となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社が今後の成長を持続して行くには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題への対処が重要であると認識しております。当社はこれら課題に対して継続的な検討及び状況の把握を行い、適切に対応をしてまいります。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は、今後の事業エリア拡大に対応すべく、事業運営上の必要な運転資金については主に自己資金及び金融機関からの借入金を基本としております。また、設備資金等につきましては今後の事業エリア拡大に伴う出店等について自己資金でまかなうことを基本としております。
(資本業務提携及び第三者割当による新株式の発行)
当社は、2024年9月19日開催の取締役会において、ケイアイスター不動産株式会社との間で資本業務提携に関する契約を締結すること並びにケイアイスター不動産株式会社に対する第三者割当による新株式の発行を行うことを決議し、同日付で資本業務提携に関する契約を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。