第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは「世界を、活性化する。」ことをコーポレートミッションとして、急速に進化する情報テクノロジーで人々やビジネスの活動を促進し、世界の活性化に貢献することを目指しております。

そのために、店舗情報口コミサイト「エキテン」を中心としたインターネットメディア事業に加えて、顧客のDX化を支援するソリューションなどの新たなサービスの立ち上げや、それらのサービスを支える基盤となる事業にも取り組むことで、企業価値向上を図ってまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループにおいては、マーケット規模と現状の当社の事業規模を考えるとまだ成長フェーズにあると考えており、事業規模の拡大を最優先課題と考えております。その結果、連結売上高を重要な指標としており、主力事業である「エキテン」に加えて、新サービスや新規事業などを通じて売上高の増加を図り、2027年8月期には連結売上高21億円を目指しております。

 

(3)経営環境および中長期的な会社の経営戦略

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の回復に加えて、各種政策などの効果もあり、景気は緩やかに回復しております。一方で、ロシア・ウクライナおよび中東地域における武力衝突が長期化する中、物価上昇や金融資本市場の変動の影響を受けるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような経営環境のもと、当社グループは主力事業である店舗情報口コミサイト「エキテン」を中心としつつ、店舗や中小企業の幅広いニーズに対応出来る「中小事業者のアクセラレーター」となるため、新たなサービスや事業に積極的に取り組んでまいります。

まず「エキテン」におきましては、より多くのユーザーに「エキテン」を使って頂ける様に、コンテンツの見直し等を継続的に行って、サイト価値向上に取り組んでまいります。また、低料金という差別化要因を活かしつつ、他メティアとの連携機能を強化するなど、利便性を高めつつ収益機会の拡大を図ってまいります。

加えて、新たな収益の柱を育成していくために、エキテンで獲得した膨大なデータとノウハウを活かしながら、中小事業者の様々な課題を解決出来る新たなサービスの提供に向けて、グループ全体で取り組んでいく方針です。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループにおいては、以下の課題に取り組んでおります。

①インターネットメディア事業

エキテンにつきましては、「エキテン」の主要顧客である店舗や中小事業者の集客ニーズは、引き続き回復基調にあると考えております。しかしながら、前連結会計年度に実施したシステムのリニューアル以降、競争激化や検索サイトのアルゴリズム変更に対する対応への遅れなどにより、受注減と解約増が継続するなど厳しい結果となりました。

この様な状況の中、今後は開発スピードの更なる向上を図ってサイトのトラフィック向上を図りつつ、予約機能などの分野で他サイトとの連携機能の強化を図ってまいります。販売面におきましては、ジャンル毎の機能最適化を図って、新たな注力ジャンルの育成を目指してまいります。

②DXソリューション事業

子会社のNitro Tech Asia Inc Co. Ltd.を活用したシステム開発につきましては、当期に減少した売上高の回復に向けて、これまで以上にDX領域に注力した事業展開を進めてまいります。また、急速に普及が進んでいる生成AIについても、顧客ニーズに合った開発環境の提供などを進めてまいります。

株式会社イー・ネットワークスにつきましては、今期は事業拡大を図ることが出来ましたが、更なる事業規模の拡大に向けて、Nitro Tech Asia Inc Co. Ltd.と同様にAI活用支援など新たな事業分野の拡大を目指してまいります。

子会社における取り組みに加えて、顧客との関係強化と更なる案件規模の拡大を図るべく、より上流工程からの提案実施、およびSES等による開発リソースの提供を開始してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、取締役会がサステナビリティ関連のリスク及び機会の監督に対する責任及び権限を有しております。取締役会は、リスク管理委員会で審議、検討されたサステナビリティに関するリスクの内容、対策及びその結果について報告を受け、これらのリスクを監督しております。なお、当社の具体的なコーポレート・ガバナンス体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)リスク管理

当社グループでは、サステナビリティに関連するリスクを含め、グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを適切に管理するため、「リスク管理規程」を定めるととともに、代表取締役社長を委員長として各本部長及び本部に属さない部門の長を構成員とするリスク管理委員会を設置しております。

リスク管理委員会は半期に1回以上開催され、市場、情報セキュリティ、環境、人的資本、提供するサービスの品質など、当社グループを取り巻く様々なリスクを洗い出し、リスクの発生頻度と影響度を考慮して重要度を評価したうえで、重要度の高いリスクの対策案の策定・実施・運用の確認を行っております。また、同委員会の活動内容については、定期的に取締役会に報告しております。

 

(3)戦略

当社は、主に中小事業者のサポートを通じて地域経済の持続可能な発展に寄与することで、コーポレートミッションである「世界を、活性化する。」の実現を目指しております。当該ミッションの実現には、優秀な人材が必要不可欠であると考えており、性別・国籍・新卒採用・中途採用の区別なく、多様な価値観を有する従業員が活躍し、キャリアを形成できる環境を整備する、という方針のもと、人材育成及び社内環境整備に積極的に取り組んでおります。

具体的には、従業員の成長を促進する人事評価制度の導入、新入社員に対するOJT、外部研修の拡充、専門性向上を目的とした当社負担によるセミナー参加及び書籍購入等の諸制度を整備しております。また、社内環境につきましては一定条件下での副業の承認、一定の範囲内で始業・終業時間を変更できる時差出勤制度(当連結会計年度より範囲を拡大)、リモートワーク制度等を導入するなど、従業員の多様な働き方を推進しております。

 

(4)指標及び目標

当社は、上記「(3)戦略」に記載した人材育成方針および社内環境整備方針の達成状況を客観的に把握するため、管理職に占める女性労働者の割合を重要な指標として設定しております。

当連結会計年度における当社の管理職に占める女性労働者の割合の実績は27%であり、政府が目標として掲げている30%に引き上げることを中長期的な目標としております。

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業その他に関して投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる主な事項を記載しております。なお、以下の記載事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

当社では、リスク管理委員会においてリスクを重要度や発生頻度により評価・分類した上で、リスクの影響を最小化するための活動を推進しております。

 

(事業環境について)

① インターネット関連市場について

当社グループはインターネットメディア事業を主たる事業としており、当社グループ事業の継続的な成長と発展には、インターネット広告関連市場の拡大が必要であると考えております。

しかしながら、技術革新の遅れ、インターネットの利用を制約するような新たな法的規制導入、利用料金の改定を含む通信事業者の動向など、当社グループの予期せぬ要因によりインターネット関連市場の発展が阻害され、当社サービスの利用が低迷した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

美容、グルメ情報等の店舗情報検索サイトを運営する競合企業は多数存在しており、また参入障壁が低いため比較的簡単に店鋪情報検索サイトを開設することが可能です。当社グループは「エキテン」において、集客支援サービスの無料又は有料での提供、利便性の向上及び提供機能の拡充により店舗会員数を増やし、また、多業種に渡る店舗情報の提供、検索機能追加等のサイトリニューアルによるユーザビリティ向上によりサイト利用者数を増やす等、市場での優位性確立と他社との差別化を図ってまいりました。

当社グループは今後も継続して掲載情報の質と量の充実を図り、店舗会員数及びサイト利用者数の拡大に努めてまいりますが、企画力・開発力・資金等を潤沢に持つ企業が新規参入・事業拡大することで、当社グループが優位性を保てなくなった場合には、競争激化による収益力の低下や広告宣伝費等の経費の増加等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 技術革新への対応について

当社グループの事業が属するインターネット関連分野においては、活発な技術革新が行われているため、当社グループとしても、これに対応すべく、業界の動向を注視しつつ、迅速にシステム開発を実施する体制をとっております。

しかしながら、近年におけるITの進歩はめまぐるしく、予期しない技術革新等があった場合、それに対応するために多額のシステム開発費用が追加的に発生する可能性があります。また、システム開発等を適切に行うことができなかった場合には、当社グループの提供するサービスの陳腐化による技術的優位性や競争力の低下、あるいはサイト利用者や店舗会員等のサイトの満足度の低下により、利用者数や店舗会員数の減少を招く可能性があります。そのような事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 検索エンジンへの対応について

 インターネットユーザーの多くは、検索エンジンを利用して必要な情報を入手しております。当社グループの運営するサイト「エキテン」においても、特定の検索エンジン経由の誘導、集客が多く、「エキテン」への集客は検索エンジンの表示結果(順位)に依存しております。この結果は、すべて各検索エンジン運営者のロジックや判断によるものであり、そのロジックや判断に当社グループが関与する余地はありません。

当社グループは、検索エンジンの検索結果において上位に表示されるべく、SEO等の必要な対策を講じておりますが、検索エンジン運営者が検索結果を表示する方針、ロジックを変更することなどにより、SEOが十分に機能せず、検索結果の表示が当社グループにとって優位に働かない状況が生じる可能性も否定できず、その場合は「エキテン」への集客効果が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 自然災害や感染症等による影響

当社グループは、自然災害や感染症等による影響を最小限に留めるため、事業継続計画(BCP)の策定及び社員の安否確認体制の構築等、必要とされる対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、大規模な台風や地震等の自然災害、感染症や疫病の流行、テロ、停電、火災、事故等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(事業内容について)

① サイト内の書き込みについて

当社グループの運営するサイト「エキテン」では、サイト利用者が、利用した店舗の感想や評価を口コミとして投稿しております。サイト利用者から投稿を受け付ける際は、利用規約等をサイト上に明示し、投稿が適切なものとなるよう注意を促しております。また、投稿された口コミに対しては全件審査を実施しており、事実に基づかない恣意的な投稿、誹謗中傷、嫌がらせ、知的財産権の侵害及び公序良俗に反する内容等の明らかに不適切な投稿を発見した場合は当該投稿を削除する等、一定の基準に基づいて不適切な投稿を規制し、サイトの健全性の維持に努めております。

しかしながら、サイト内での不適切な投稿について、当社グループの対応が不十分だった場合、あるいは、不適切な投稿に起因するトラブルが適切に解決されない場合には、サイト利用者及び店舗等の支持が低下する可能性及びサイト運営者としての当社グループの法的責任が問われる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 「エキテン」に掲載される店舗情報について

当社グループの運営するサイト「エキテン」では、インターネットを通して店舗情報を提供することから、これらの店舗情報の充実や利便性の向上を図るとともに、店舗情報自体の適切性、正確性が確保されるよう努める必要があります。

「エキテン」に掲載される店舗情報については、各種法令やその制定趣旨に鑑みた当社グループ独自の審査基準による確認体制を構築しており、公序良俗に反した店舗情報の排除や、法令違反、事実に基づかない記述並びに知的財産権の侵害等の審査基準に抵触した店舗情報に対しては、当該店舗情報の是正や削除等、一定の基準に基づく対処を講じることで、サイトの健全性を維持し、ユーザーに対して適正かつ正確な店舗情報の提供に努めております。

しかしながら、人為的な過失等の要因により「エキテン」に掲載した店舗情報に不備があった場合、あるいは、サイト内での不適切な店舗情報の掲載について当社グループの対応が不十分だった場合には、サイト利用者及び店舗等の支持が低下する可能性及びサイト運営者としての当社グループの法的責任が問われる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 「エキテン」による収入への依存について

当社グループの主たる収入は、「エキテン」によるものであり、当連結会計年度の売上高に占める依存度は高い状況にあります。「エキテン」に続く収益の柱となる新規事業開発のための投資を今後も継続して参りますが、競争の激化や法的規制の強化等の予期せぬ事象により「エキテン」の利便性が低下し同収入が減少した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、現在の「エキテン」の有料店舗会員は、特に療術業界及びリラクゼーション業界に属する店舗が多く、「エキテン」有料掲載業種の更なる多様化推進に努めておりますが、当該業界の広告宣伝活動の冷え込みや、他社サービスとの競合による掲載料相場の下落等があった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 個人情報管理について

当社グループは、サービスの提供にあたり登録ユーザー及び顧客店舗の個人情報を多数保有していることから、個人情報保護法が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。2013年2月にはプライバシーマークを取得し、このプライバシーマークの運用規程に従って、社内での個人情報の取扱い、管理についてルール化し、役職員の教育を行い、その徹底を図っております。

しかしながら、外部からの侵入者や当社グループ関係者の故意又は過失によりユーザーの個人情報が流出する等の問題が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 法的規制について

当社グループの事業に対する主な法規制として、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下「プロバイダ責任制限法」という。)及び「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下「不正アクセス禁止法」という。)があります。

電気通信事業法においては、通信の秘密の保護等の義務が課されております。また、当社グループは、プロバイダ責任制限法における「特定電気通信役務提供者」に該当し、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信による情報の流通において他人の権利の侵害があった場合に、権利を侵害された者に対して、一定の要件のもと、権利を侵害した情報を発信した者に関する情報を開示する義務を課されております。また、権利を侵害した情報を当社グループが媒介したことを理由として、損害賠償請求を受ける可能性もあり、これらの点に関し訴訟等の紛争が発生する可能性もあります。さらに、当社グループには、不正アクセス禁止法における「アクセス管理者」として、不正アクセス行為からの一定の防御措置を講ずる努力義務が課されております。

この他、当社グループの運営するサイト「エキテン」に掲載される業種や業界に対して、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」や、「医療法」等の各種法令・ガイドライン等の規制がありますが、当社グループでは、これらの制定趣旨に基づいて「エキテン」に掲載される情報に係るルールを設け、サイトの健全性が保たれるよう「エキテン」を運営しております。

今後、これらの当社グループの事業又は掲載業種を規制する既存法令等の解釈変更又は自主ルールの整備、あるいは新たな法令等の制定等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(事業体制について)

① システム障害について

当社グループでは、主としてインターネットを利用したサービス提供を行っており、サービスの信頼性等の観点から、稼働状況の常時監視、定期的なバックアップの実施、サーバーの負荷分散、クラウドサービスの活用等により、システム障害等のトラブルの発生の防止及び回避を図っております。

しかしながら、当社グループの運営するサイト「エキテン」へのアクセス集中による一時的な過負荷や電力供給の停止、クラウドサービスの停止、ネットワーク機器の故障、外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、当社グループの役職員による操作過誤、事故、火災、自然災害等、当社グループの予測不可能な様々な要因により、コンテンツや口コミ、投稿者を管理しているサーバーやシステムへの何らかのトラブルが発生し、利用者への情報提供が適切に行われない事態が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、インターネットメディア事業の売上高集計プロセスは、有料掲載申込・契約に基づき管理システムによって生成された売上データを財務会計・報告システムに入力することにより売上高が計上される仕組みとなっているため、上記の要因により当該システムが正常に機能しない場合は、売上高引いては利益の計上において虚偽表示が生じる可能性があります。当社グループはこれを防止するために、IT統制の徹底に努めておりますが、これが不十分だった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 紛争・係争について

当社グループは、事業展開にあたり、内部統制の強化と社会的道徳の遵守を含めたコンプライアンスの強化及び各種リスクの低減に努め、必要に応じて弁護士等の専門家の助言等を受けております。本書提出日現在、当社グループの業績に影響を及ぼす訴訟等の事案は発生しておりませんが、事業活動にあたっては、法令等の違反の有無に係わらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループが的確に対応できなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 知的財産権について

当社グループは、当社グループが提供するサービスが第三者の商標権、著作権等の知的財産権を侵害しないよう、調査可能な範囲で対応を行っており、現在は当該侵害の事実はないものと認識しております。しかしながら、知的財産権侵害の可能性を完全に把握することは困難であり、将来的に、当社グループが提供するサービスについて、第三者より知的財産権の侵害に関する請求を受け、又は訴訟を提起される可能性は否定できず、かかる場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、当社グループが提供するサービスに関する知的財産の保護に努め、当社グループの持つ商標権等の知的財産権を侵害されないよう細心の注意を払っておりますが、侵害を把握しきれない場合や侵害に対して適切な対応をすることができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 新規事業について

当社グループでは、今後も引き続き、積極的に新サービス、新規事業に取り組んでまいりますが、これにより先行投資として人材採用、広告宣伝費、システム投資などの追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス、新規事業の採算性には不透明な点が多いため、新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まず、予想した収益が得られない場合には、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 子会社管理について

当社グループでは、現在子会社を4社有しておりますが、これらの会社の事業規模は現状では小さく、買収時には管理体制も十分整備されていなかったことから、当社の管轄部門において内部統制を含め管理体制の強化に努めております。

しかしながら、管理体制が不十分であることにより、法令違反や許認可に関わる手続き不備等によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。

①経営成績の状況

(経営成績)

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の回復に加えて、各種政策などの効果もあり、景気は緩やかに回復しております。一方で、ロシア・ウクライナおよび中東地域における武力衝突が長期化する中、物価上昇や金融資本市場の変動の影響を受けるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような経営環境のもと、当社グループは「Webマーケティング技術」や「システム開発力」を活かし、店舗情報口コミサイト「エキテン」を中心にサービスを提供するとともに、子会社を通じた事業の多角化を積極的に推進いたしました。

当連結会計年度の業績は、事業規模を拡大した子会社があったものの、当社グループの主力事業である「エキテン」の低迷の影響が大きく、売上高は2,264,846千円(前連結会計年度比6.7%減)となりました。利益につきましては、販売費及び一般管理費の抑制を図りましたが、売上高減少および子会社における売上原価の増加などにより、営業損益は206,834千円の損失(前連結会計年度は25,424千円の利益)、経常損益は188,352千円の損失(前連結会計年度は56,438千円の利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、第2四半期に子会社ののれんに関する減損処理、第3四半期に本社移転に関する特別損失があった結果、310,591千円の損失(前連結会計年度は27,777千円の損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、従来「その他」としておりました「HRソリューション事業」を報告セグメントへ記載する方法に変更しており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

 

(インターネットメディア事業)

当社グループの主力事業である「エキテン」におきましては、業績回復を実現するために様々な施策に取り組んでおります。

商品力の強化においては、予約機能などにおいて他サービスとの連携を強化するなど、店舗やユーザーがより使いやすいシステム開発に継続的に取り組みました。販売面の取り組みにおいては、無料店舗会員の獲得強化に向けたサイト改修、ジャンルの多角化に向けた販売の強化、および解約防止に向けた店舗満足度の向上などに注力いたしました。しかしながら、検索サイトのアルゴリズム変更に対する対応の遅れに加えて、競争激化などにより受注が伸び悩みました。その結果、当期の後半には有料店舗会員数の減少ペースは縮小してきましたが、回復までには至らず、厳しい状況が続きました。

これらの結果、当連結会計年度末における「エキテン」の無料店舗会員数は323,383店舗、有料店舗会員数は受注件数の減少と解約の発生が継続した結果、14,023店舗(前連結会計年度末比2,419店舗減少)となり、売上高も減少しました。

また、専門業者(遺品整理、片付け等)のマッチング・サイトを運営するオコマリ株式会社につきましても、売上高が伸び悩み、費用も広告費用が上昇傾向にあることから、厳しい結果となりました。

これらの結果、インターネットメディア事業の売上高は1,357,229千円(前連結会計年度比18.2%減)となりました。利益につきましては、販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの売上高減少の影響が大きく、セグメント損益は77,316千円の損失(前連結会計年度はセグメント利益160,778千円)となりました。

なお、オコマリ株式会社につきましては、2024年10月31日を効力発生日として当社に吸収合併する契約を締結し、当社の連結対象から除外されました。

 

(DXソリューション事業)

ベトナムのシステム開発子会社であるNitro Tech Asia Inc Co. Ltd.を活用したオフショア開発事業は、継続案件の契約終了に加えて、新規の受託案件における小規模化の影響により厳しい結果となりました。しかしながら、ポスティングやWeb広告を事業内容とする株式会社DEECH、およびWeb制作・受託開発・ホスティングサービスなどを展開している株式会社イー・ネットワークスは、事業規模を拡大いたしました。利益につきましては、広告宣伝費や外注費の増加などによる売上原価の増加に加えて、社員数の増加により販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上高の増加により赤字幅は縮小いたしました。

これらの結果、DXソリューション事業の売上高は858,494千円(前連結会計年度比17.4%増)、セグメント損失は83,018千円(前連結会計年度はセグメント損失89,353千円)となりました。

なお、株式会社DEECHにつきましては、事業成長に向けた経営資源の集中を企図して、2024年8月30日付で同社株式を譲渡した結果、当社の連結対象から除外されることになりました。

 

(HRソリューション事業)

株式会社昼jobの人材紹介サービスは、ナイトワーク出身者の求職ニーズは引き続き厳しい状況の中、営業強化を図りましたが売上高は伸び悩みました。

この結果、HRソリューション事業の売上高は69,264千円(前連結会計年度比14.6%減)、セグメント利益は4,504千円(前連結会計年度比23.5%減)となりました。

なお、株式会社昼jobにつきましては、事業成長に向けた経営資源の集中を企図して、2024年9月30日付で同社の事業を譲渡いたしました。

 

 

②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ361,120千円減少し、3,311,585千円となりました。

これは主に、流動資産その他の増加(前連結会計年度末比147,967千円増)等がありましたが、現金及び預金の減少(前連結会計年度末比325,943千円減)、のれんの減少(前連結会計年度末比95,891千円減)、投資その他の資産その他の減少(前連結会計年度末比71,828千円減)及び、契約資産の減少(前連結会計年度末比9,666千円減)等によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債につきましては、前連結会計年度末に比べ106,656千円減少し、454,386千円となりました。

これは主に、繰延税金負債の増加(前連結会計年度末比28,959千円増)、未払費用の増加(前連結会計年度末比22,971千円増)及び、流動負債その他の増加(前連結会計年度末比22,631千円増)等がありましたが、長期借入金の減少(前連結会計年度末比128,428千円減)、固定負債その他の減少(前連結会計年度末比33,989千円減)及び、1年内返済予定の長期借入金の減少(前連結会計年度末比24,488千円減)等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ254,463千円減少し、2,857,198千円となりました。

これは主に、その他有価証券評価差額金の増加(前連結会計年度末比39,068千円増)等がありましたが、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等による利益剰余金の減少(前連結会計年度末比281,180千円減)及び、為替換算調整勘定の減少(前連結会計年度末比13,196千円減)等によるものであります。

 

③キャッシュフローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ168,003千円減少し、2,376,748千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれぞれの主な要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により使用した資金は、100,707千円(前連結会計年度は、136,382千円の収入)となりました。

これは主に、減損損失92,888千円、本社移転費用42,321千円、減価償却費41,761千円、未払費用の増加額34,260千円、法人税等の還付額28,746千円等の収入要因及び、税金等調整前当期純損失292,080千円、子会社株式売却益31,481千円、前払費用の増加額23,905千円等の支出要因によるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、68,787千円(前連結会計年度は、97,772千円の支出)となりました。

これは主に、定期預金の払戻による収入376,980千円、有価証券の売却による収入100,000千円等の収入要因及び、定期預金の預入による支出222,040千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出155,897千円、投資有価証券の取得による支出100,137千円、敷金の差入による支出51,680千円、有形固定資産の取得による支出11,705千円等の支出要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により得られた資金は、11,412千円(前連結会計年度は、16,594千円の支出)となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出36,169千円等の支出要因及び、長期借入れによる収入48,000千円等の収入要因によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の状況

(生産及び受注実績)

当社グループは、インターネットメディア事業、DXソリューション事業及びHRソリューション事業を主要な事業としているため、生産実績及び受注実績はありません。

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

インターネットメディア事業

1,357,229

81.8

DXソリューション事業

838,952

121.5

HRソリューション事業

68,664

85.9

合計

2,264,846

93.3

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的と判断される基準に基づいて行っておりますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。

また、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

②経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績は、当連結会計年度において売上高は2,264百万円、営業損失は206百万円、経常損失は188百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は310百万円となりました。

 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は2,264百万円となりました。これは、エキテン掲載料収入1,243百万円を計上したことによります。

 

(営業損失)

当連結会計年度の売上原価は787百万円、販売費及び一般管理費は1,683百万円となりました。これは、外注費等の売上原価787百万円、給料手当485百万円、広告宣伝費374百万円等を計上したことによります。

この結果、当連結会計年度の営業損失は206百万円、営業利益率は△9.1%となりました。

 

(経常損失)

当連結会計年度の営業外収益は26百万円、営業外費用は8百万円となりました。これは、受取利息及び保険解約返戻金等の営業外収益26百万円、投資事業組合運用損及び支払利息等の営業外費用8百万円を計上したことによります。

この結果、当連結会計年度の経常損失は188百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損失)

当連結会計年度の特別利益は31百万円、特別損失は135百万円、法人税等は18百万円となりました。これは、関係会社株式売却益の特別利益31百万円、減損損失及び本社移転費用の特別損失135百万円、法人税、住民税及び事業税12百万円、法人税等調整額5百万円を計上したことによります。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は310百万円となりました。

 

③財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

④キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

⑤資本の財源及び資金の流動性

当社グループでは、設立以来、内部留保を充実し、財務基盤を強固にすることを基本方針としております。

当社グループにおける資金需要の主なものは、外注費等の売上原価、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金であります。当社グループの資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュフローによる資金調達となります。

資金の流動性については、複数の金融機関との間で合計850百万円の当座貸越契約(借入未実行残高850百万円)を締結したことにより、急な資金需要や不測の事態に備えております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は2,376百万円となっております。また、流動比率は780.5%となっております。

 

⑥経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、連結売上高を重要な指標としております。

また、当社グループは、2025年8月期から2027年8月期までの中期経営計画において、2027年8月期の売上高目標を2,108百万円、営業利益目標180百万円を掲げております。2025年8月期におきましては、売上高目標1,607百万円、営業損失目標253百万円としております。

 

⑦経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

当社グループは、「第2 事業の状況  3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向及び業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保及び適切な教育を実施するとともに、事業体制、内部管理体制を強化し、社会のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を行ってまいります。

 

⑧経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、今後のさらなる成長のために、主力事業である「エキテン」に加えて、新規事業を通じて、事業規模を拡大することを最優先課題と考えております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年8月30日開催の取締役会において、2024年10月31日を効力発生日として、当社を存続会社、当社の完全子会社であるオコマリ株式会社を消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。