当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「ARIグループ普遍的価値観」として、「先進性ある技術を通して、顧客の問題解決と社員の幸せを創造し、社会の未来発展に貢献する」を掲げ、DXソリューション事業を営む企業としての経営理念にしております。
当社グループの存在意義と精神は、未来へと続く産業と社会の一端を担い、その発展の歴史に貢献し続けていくことにあります。
貢献とは、先達の知識の蓄積を真摯に学び、自ら社会的価値あるサービスの創出に知恵を絞り、常にその時代に必要とされる先進性ある技術を提供できる集団となることで、社会が、つまり顧客が抱える悩みを一つ一つ解決するという社会的価値を創出し、顧客とそこに関わる人々の発展に尽くしていくことであると考えております。
同時に、社員全員がARIグループという働く場を通して、人生の目標を持ち、出会いを得て、学びを重ね、互いの信頼を積み、心が豊かになり、物質的にも豊かになっていくことで、社員とその家族が幸せだと実感できる環境を作り上げていくことにほかなりません。
これらの在り方は、50年先、100年先も変わらない普遍的な価値観として、当社グループの性質を表す企業文化の礎として浸透していくものであります。
この経営理念に則り、当社グループは「顧客のTo be実現のための一翼を担うにはどのような取り組みが必要になるのか」を常に考え続ける姿勢を持ち続け、未来に向けて奮闘する企業の価値あるITパートナーとして、どうあるべきかを常に追求してまいります。
そして、このような姿勢のもと、クラウド技術とデータ・AI活用によって、顧客とともに事業変革すなわちビジネストランスフォーメーションを実現していくことが当社グループの使命であると考えております。
(2) 経営環境について
2023年の国内ITサービス市場は、国内企業のデジタルビジネス化に向けたマイグレーション、モダナイゼーション及びデジタルイノベーションの実装に向けた需要がいずれも活発であったことから好調に推移し、前年比6.0%増で6兆4,608億円となりました。同市場が5%を超える成長を遂げたのは、2010年以降では初めてであり、2024年以降の同市場は全体として好調を継続し、2023年から2028年の年間平均成長率は4.8%で拡大を続け、2028年には8兆1,495億円になると予測されております。(※1)
IDC Japan株式会社によれば、産業分野別では政府・公共が、中央官庁の既存システム更新やデジタルガバメントの推進に向けた大型案件によって伸長したほか、製造では基幹系システムの刷新やクラウド移行、流通では顧客エクスペリエンス(CX)最適化や大手卸売業のデジタルビジネス強化に向けたシステム、金融では大手金融機関の基幹システムの刷新などが、ITサービス支出を牽引したと分析しております。
2024年以降の同市場は、全体として好調を継続し、国内企業のデジタルビジネス化に向けた投資が、既存システムのモダナイゼーション、あるいはデジタルイノベーションの創出に向けたシステムの両領域で需要が活発化していることが共通の背景であり、こうした変革期の需要によって、より高い成長を遂げるとみています。一方で、IT人材の不足や受注時の採算見積の困難さなどが市場成長を抑制するものの、すべての産業分野でプラス成長を継続すると予測されております。(※1)
このうち、DX国内市場は、CASE(Connected:ネット接続、Autonomous:自動運転、Shared&Service:シェアリングサービス、Electric:電動化)へ取り組む自動車産業・モビリティ事業を中心に、金融業や、スマートファクトリーへと向かう製造業などが牽引しており、これと連動してデジタル関連のコンサルティングニーズも拡大しております。国内市場ではDXに対する関心が非常に高く、企業の投資意欲は高まっております。2021年は、DXに関わる投資が大幅に増加し、1兆円を超える市場規模となりました。
DXの流れが加速する中、非IT企業でのクラウド活用が拡大、加えて政府官庁のクラウド活用も2022年以降更に活性化しており、市場は堅調に拡大しております。
また、国内クラウド市場については、2023年から2028年の年間平均成長率は16.3%で推移し、2028年の市場規模は2023年比2.1倍の16兆6,285億円になると予測されております。(※2)
今後の国内クラウド市場は、カスタムアプリケーション開発した基幹系システムのクラウドマイグレーション、DX・データ駆動型ビジネスが成長を牽引し、また、生成AIの普及は、インフラストラクチャに対する投資を拡大すると共に、製品・サービス単価の上昇が見込まれ、DX・データ駆動型ビジネスの成長を加速するものと予測されております。(※2)
このように当社グループが事業を展開する分野は、中期的には市場拡大の方向にあります。
一方で、国内ITサービス市場の拡大は、事業の鍵となるIT人材の需給逼迫と表裏をなすものであります。経済産業省によれば、中位予測で2025年には36万人、2030年には45万人のIT人材の不足が予測されており(※3)、労働市場での優秀なエンジニアの獲得競争が激化しております。
このような状況のもと、当社は「3 事業の内容 (2)事業展開の特徴」に記載のとおり、BTCアプローチ、ハイブリッドアプローチによりクラウドインテグレーションの面において競争他社との差別化要因になっていると認識しております。加えて、前述のとおり、クラウドに関する技術、人材育成、及びビジネスパートナー等調達の基盤も整備しており、労働市場での人材獲得競争激化にも対応可能であると認識しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、前述「(2)経営環境について」に記載のとおり、DXに重心を移しつつ中期的には拡大基調にあるITサービス市場において、中期的な成長即ち継続的な売上高の伸長を実現するために、引き続きクラウドインテグレーションに注力し続け、「クラウド技術とデータ・AI活用によるビジネストランスフォーメーションデザイナーとして社会変革をリードする」をミッションとして、以下の3つの成長戦略を骨子とする中期経営計画を掲げております。
① BTCアプローチの強化
BTC(Businessノウハウ・Technology技術・Creativeデザイン)を結合した三位一体によるコンサルティング及びデザインを重視したクラウドインテグレーションでDX化支援を推進してまいります。AWSやMicrosoft Azureを軸としてクラウドネイティブ技術をマルチクラウドかつアジャイルで提供する他、DX化に必要な要素技術を複合的に組み合わせ、顧客のニーズに応える質の高いソリューションを提供すべく注力してまいります。
② ハイブリッドアプローチの強化
コンサルティングの提案や自社開発プロダクト等の提供を起点に、捕捉することができた顧客のDX上の課題に対して、課題解決のためのクラウドインテグレーションの提案・提供に繋げるという形をとって、所謂クロスセル、アップセル戦略を展開するビジネスモデルを強化してまいります。所謂フロービジネスにあたるクラウドインテグレーションから得たノウハウを、所謂ストックビジネスである自社開発プロダクトに還元し、自社開発プロダクトの提案を起点にクラウドインテグレーションを拡大させていくという好循環のサイクルを回し、顧客接点機会の創出から、顧客LTVの最大化へ繋げていくという戦略を強化していくものでもあります。また、同時にデジタルマーケティング及びデジタルセールスを強化し、営業力を強化してまいります。
③ 新規事業開発の強化
当社グループのプロダクト及びブランドは、クラウドインテグレーションから得たノウハウを標準化及び自動化することから生まれたものであります。ここから生まれるプロダクトは、顧客に対する新たなDX課題発見の契機となって、DXソリューション事業発展モデルのエンジンを起動させ、クロスセルへと繋がり、新たなクラウドインテグレーションのニーズを拡大させながら、アップセルを実現していくという循環型サイクルを実現します。この循環型サイクルにより、技術的再現性が担保されることで、顧客を跨いだ水平展開が可能なものになっていきます。このサイクルを更に強化していくため継続的な研究開発投資を行ってまいります。
そして、「cnaris(クナリス)」「dataris(デタリス)」と名称した領域特化型のサービスブランド戦略を展開することで認知度向上を図ってまいります。
「cnaris(クナリス)」は「クラウドネイティブ領域に特化し、その技術の標準化及び自動化を経て総合支援をパッケージ化したサービスブランド」であります。クラウドインテグレーションにおいて最も重要なことは、技術テンプレートといった形で可視化され、ビジネス展開の中で蓄積していく、標準化・自動化へと繋がる有形のノウハウであります。これらは再利用が可能であり、再現性をもって水平展開されていくもので、ビジネスの加速度的な発展と品質安定に大きく影響いたします。当社グループは創成期からクラウド技術の造詣を深め、良質なノウハウを豊富に有しております。これらをブランド化し、展開することでクラウドインテグレーションの競争力を高めてまいります。
「dataris(デタリス)」は「データ・AI活用領域に特化し、その技術の標準化及び自動化を経てパッケージ化したサービスブランド」であります。cnaris同様に、データ・AI活用を軸としたクラウドインテグレーションに係る良質かつ豊富なノウハウをブランド化して、差別化を図ってまいります。自社開発プロダクトである「LOOGUE(ローグ)」「ZiDOMA data(ジドーマ データ)」をこのブランドの嚆矢とし、今後も新しい価値を生み出してまいります。
この2つのブランドを育てていくことで、認知度向上を図り、中長期的な成長を加速させてまいります。
また、成長の基盤としてビジネスパートナーの調達は重要な鍵となるため、ソリューションセールスユニット内にビジネスパートナーの調達・管理を推進する専門部署を設置し、200社超のビジネスパートナーと良好なアライアンスを構築しております。従って、万が一社員の増員に支障が出た場合でもビジネスパートナーにて工数不足を補える体制を整えており、今後もアライアンス強化を図ってまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、高い収益性の確保と継続的な売上高の成長を維持することにより、企業価値を継続的に向上させ株主利益を最大化することを経営上の目標としており、そのための指標として、売上高成長率を重視しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
近年、DXへの対応が注目を集めております。DXは単なる“システム化”に留まるものではなく、事業や組織運営の在り方を根底から変えていく、総合的な企業変革へと繋がるダイナミックな動きであり、ITの活用の在り方そのものが大きく変化しつつある環境にあると認識しております。
このようなITに新たな価値を求められる事業環境のもと、経営理念として掲げる「ARIグループ普遍的価値観」の具現化に向けて取り組むべき課題を以下のとおりと認識しております。
① 人材確保と育成
DX市場の拡大に伴い、デジタル化、クラウド化の技術を有する優秀な人材の確保は最重要課題であります。様々な顧客の中長期的な要求に応じて、技術水準の高い人材を確保するための投資を継続し、引き続き優秀な技術者の確保及び育成に努めてまいります。
また、クラウド市場の拡大により多様化する顧客ニーズに対応できるよう、人材育成施策に積極的に取り組んでまいります。具体的には、社員の育成・研修等を推進する専門部署を設置してクラウド技術を中心とした社内外での育成機会を設けるとともに、クラウド関連の資格取得支援を積極推進し、技術力の更なる向上に努めてまいります。
② 収益基盤の強化
当社グループのDXソリューション事業は、顧客のDXにおけるあらゆる工程において、DXを先進技術で支援するワンストップサービスの提供を中核として事業展開しております。具体的には、上流工程であるシステム開発の要件定義から、下流工程にあたる保守・運用までを総合的にサービス提供するとともに、顧客に対して状況に応じた最適な契約形態をとっております。請負・準委任に加え人材派遣によるサービス提供も行っております。従って受注案件ごとの利益率に相応の振幅があり、持続的な成長のためには、安定的な収益基盤を強化し続ける必要があります。そのために、クラウド技術を中軸に、より利益率の高い上流工程案件への取り組みの一層の増強を図りつつ、新規事業分野の開拓、自社開発プロダクトの強化を進めてまいります。加えて、株式会社エーティーエスを中心とした人材派遣・人材紹介といったDX人材サービスの推進により、グループ全体の安定成長を下支えしてまいります。
③ 内部統制の強化
当社グループは、継続的に事業規模を拡大しており、また新規事業の展開の検討・実施を恒常的に行っていることもあり、内部統制整備に関わる課題が経常的に発生いたします。当社グループにおきましては、監査役による監査や内部監査の過程において、状況変化に応じた内部統制の整備状況に係る変更の必要性を認識するとともに、対応策の早期構築に努めてまいります。
④ 営業力の強化
継続的成長のためには、新規顧客の開拓と既存顧客との関係深化に取り組む必要があります。これまで蓄積してきた技術ノウハウや業務知識、研究開発による先行技術知識を活用し、案件の獲得に向けた提案力の強化に注力し、全社的な営業力の向上を図り受注拡大に努めてまいります。
さらに、エンジニアを顧客に提供する際に、適正な能力を有したエンジニアを適正な価格でマッチングすることが必要となります。そのために当該マッチングを担当する営業要員を増員するとともに、営業要員各人の提案力や技術に対する理解深耕などのスキル向上を図ってまいります。
⑤ 資金繰りの更なる安定化
当社グループは、売掛金回収サイトと買掛金支払サイトの差が常に一定以上あるうえ、銀行からの資金借入もあり、現時点では資金繰りについては充分な余裕があります。しかしながら買掛金支払サイトは僅かではあるものの短縮化の傾向にあるうえ、業容拡大に伴い、今後、売掛金回収サイトの長い大型の請負契約が多く発生した場合には資金繰りに余裕がなくなる可能性も否定できないことから、直接金融も含めた資金調達の更なる多様化を検討してまいります。
(出典)
※1 IDC Japan株式会社「国内ITサービス市場予測」2024年4月
※2 IDC Japan株式会社「国内クラウド市場予測」2024年6月
※3 経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)」2019年3月
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループのサステナビリティ経営体制は、取締役会を中心としたものになります。取締役会において議論を尽くしたうえでその推進の方向性を決定し、それを執行側に提示して具体的な施策展開を図ります。取締役会は適宜その執行をモニタリング、監督します。また、サステナビリティ経営に係る取締役会の事務局は当社経営企画部が担うこととし、同人事企画部においてはサステナビリティ経営に関する最新の社会潮流を捕捉した上で、当社グループにおける課題整理を行い、サステナビリティ経営の方針案を取締役会に起案いたします。
(2)戦略
当社グループは、普遍的価値観として「先進性ある技術を通して、顧客の問題解決と社員の幸せを創造し、社会の未来発展に貢献する」を掲げております。現代社会において「社会の未来発展」は持続可能な社会の実現と不可分であり、企業活動は経済発展、社会開発、環境保護の3つの観点を内包した長期的な視野に立って行わなければならないと認識しております。当社グループにおいても、「ジェンダー平等と全ての女性従業員に対するエンパワーメント」「従業員の成長を支援し当社を多種多彩な人材が存分に力を発揮できる場所とする」「地球環境への負荷の低減」を大方針とし、積極的にサステナビリティに取り組んでまいります。
① 人材育成方針
当社グループの事業はクラウドインテグレーションを中心としたDXソリューション事業であり、事業の性格上環境負荷の高い生産設備等を有しないため、サステナビリティへの取り組みは人材育成に収斂しております。当社グループの人材育成は「High Quality , High Performer の実現」をスローガンとして、社員一人一人の成長が、当社グループ全体の成長に連なり、更には社会全体の持続可能性を支えることを目標に、時代の変化を的確にキャッチアップし、持続可能な社会に必要となる先進的なデジタル技術を取得した、イノベーションの実現に資する人材の育成をその方針としています。
② 社内環境整備方針
社員一人一人を取り巻く環境の違いに配慮した上で、多種多彩な人材が自律的に活動し、その力を存分に発揮できる職場環境の整備を目指します。また、前述の人材育成方針に則った施策を実施していくために、当社内に専門の部署を設置し、教育制度、人事制度の整備を進め、合わせて従業員のエンゲージメントを高めるための環境の充実を図ります。
環境負荷低減に関しては、資源やエネルギーの浪費をできる限り排した効率的なオフィス環境とその運営を整備してまいります。
(3)リスク管理
サステナビリティに関するリスクの管理は、他のリスクと同様に当社リスク・コンプライアンス委員会にて当該リスクへの対応策の検討等を行い、企業リスクの軽減に努めております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する実績及び目標は、次のとおりであります。
戦略 |
指標 |
実績 |
目標 |
多様性 |
|
|
女性管理職比率の向上 |
|
|
男女賃金差異の縮小 |
|
継続性 |
|
|
男性育休取得率の向上 |
人材育成 |
|
|
クラウド認定資格取得数の増大 |
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、当社グループにとっては必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要であると考えられる事項については記載しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に取り組む方針ではありますが、当社グループの経営状況、将来の事業についての判断及び当社株式に対する投資判断は、本項記載内容を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
後述「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおり、当社グループは内部統制の機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置し企業リスクの軽減に努めております。
(1) 事業環境に関するリスク
① 技術革新への対応について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループの属する情報サービス産業においては、情報技術の進化とそれに伴う市場及び顧客のニーズの変化に迅速に対応することが求められます。当社グループでは情報技術及び開発技術等に係る調査、研究に努めて対応しております。しかしながら、広範な領域において、技術革新が急速に進展し、その対応が適切でなかった場合は、顧客との取引を拡大することが困難となり、売上高の停滞など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営環境の変化について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの事業は、企業を主要顧客としております。これまでにおいて、顧客企業の情報システムへの投資マインドの上昇を背景として事業を拡大しております。プロダクト拡充などの施策展開は図っておりますが、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により、顧客企業の情報システム投資が減退するような場合には、顧客企業からの受注が減少し、売上高の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ クラウドビジネス市場の動向について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが事業を展開しているクラウドビジネス市場は、プライベートクラウド及びパブリッククラウドを主軸とし成長を続けております。当社グループは、今後もこの傾向が継続するものと見込んでおり、多様なクラウドサービスを提供する計画であります。しかしながら、今後、国内外の経済情勢等の背景により、クラウドビジネス市場の成長が鈍化するような場合には、顧客との取引を拡大することが困難となり、売上高の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 法的規制について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)」、「下請代金支払遅延等防止法」等の規制を受けております。
当社グループは、以下の許可を取得し顧客先に従業員を派遣しているため、労働者派遣法の遵守に努めておりますが、労働者派遣法に定める派遣元事業主としての欠格事由に該当した場合、関係法令に違反した場合には当該事業の停止、許可の取消しを命じられる可能性があります。また、法令の制定、改正、解釈の変更が行われた場合に、派遣等業務を拡大することが困難となり、当社グループの事業活動に影響が生じ、売上高の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
会社名 |
認定等の内容 |
許可番号 |
監督官庁 |
有効期限 |
ARアドバンストテクノロジ株式会社 |
労働者派遣事業許可 |
派13-308138 |
厚生労働省 |
2025年7月31日 |
株式会社エーティーエス |
労働者派遣事業許可 |
派13-305965 |
厚生労働省 |
2028年4月30日 |
⑤ 競合他社による影響について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、企画力、提案力、人材力等の強化、ビジネスパートナーの活用による競争力の強化、付加価値の高いサービスの提供、等により顧客との良好な取引関係の維持等に積極的に取り組み、競争優位性を確保し、品質及び価格の維持向上に努めております。しかしながら、競合他社のサービス力の向上や価格競争の激化により当社グループの競争力が相対的に低下した場合、収益性の低下等を招き、経常利益の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容に関するリスク
① 労務管理に関するリスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
システム受託業務のプロジェクトにおいては、一時的に長時間労働が発生することがあるため、当社グループでは、日々の勤怠を確認することはもちろんのこと、週次ないし月次での適時な労働時間の状況の確認及び残業発生見込みの確認を行う等の労務管理体制を整備しております。しかしながら、やむを得ない事情により長時間労働が発生した場合には、過重労働、それらを起因とした従業員の健康問題の発生及びそれに伴う訴訟、受託業務の生産性の低下等により、経常利益の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② プロジェクトの採算管理について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは、プロジェクトの各工程を基に発生コストを算出し、適正な利益を付加した見積り金額を用いてプロジェクトの採算管理を行っております。当初想定しえない事象等の発生による追加的コストの発生や、当社グループの過失による納品物の不備、納期の遅延等による損害賠償が発生した場合等においては、当初見込んでいたプロジェクトの採算が悪化するほか、当社グループの信用等が低下することにより、経常利益の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ ビジネスパートナーとの関係について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、事業の遂行にあたって、様々なビジネスパートナーと連携しており、長期的かつ安定的で良好な関係を築いております。受託業務の実施に際し、生産能力の確保、生産効率化、技術力活用等のため、多くのビジネスパートナーに業務の一部を委託しております。ビジネスパートナーの管理については専門部署を設けて強化を図っておりますが、ビジネスパートナーから技術力及び技術者数において適切な生産性と品質を確保できない場合、外注コストに重大な変化が生じた場合等の状況が生じた際には、適正価格による受託サービスの提供が困難になる等により、売上高の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ プロジェクト総原価の見積り変更による業績見通しへの影響について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
受注制作のソフトウエア開発案件については、契約に基づく開発作業を進めるにつれ顧客に対する履行義務が充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度はプロジェクトの見積総原価に対する連結会計年度末までの発生原価の割合によって算定しております。
しかしながら、当初計画からの仕様変更等により、労務費及び外注費に係る作業工数の見直しが必要となることがあります。当社では、各プロジェクトの進捗管理を定期的に実施しており、計画に対して変更が生じれば即座に対応できる体制が構築されておりますが、仕様の変更等によりプロジェクト総原価の見積りを大幅に見直さざるをえない場合には、売上総利益の修正など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ ソフトウエア資産の減損損失計上の可能性について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは自社開発プロダクトに係るソフトウエアを資産計上しております。資産計上計画は精緻化を図っておりますが、事業環境の変化により保有するソフトウエアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、減損損失の発生による当期純利益の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 経営管理体制に関するリスク
① 代表者への依存について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
代表取締役社長武内寿憲氏は、当社の創業者であり創業以来代表取締役を務めております。当社グループの経営方針や事業戦略等の重要な決定、事業計画の立案、推進等の当社グループの事業活動全般において重要な役割を果たしており、代表者に依存する部分が相当程度存在しております。
当社グループは、代表者への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化及び人材の育成を進めており、これらの諸施策の取り組みにより、現況の依存を低減することが可能と考えております。
しかしながら、当面の間は依存度が高い状態で推移することを見込んでいることから、何らかの理由により代表者が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、経営力の低下により、売上高の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保と育成について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの事業活動は人材に大きく依存しており、優秀な人材の確保・定着及び育成が重要であると考えており、人材採用・育成については専門部署を設置し強化を図っております。しかしながら、優秀な人材の確保・定着及び育成が計画どおりに進まない場合、優秀な人材の社外流出が生じた場合には、事業の維持・拡大が困難となり、売上高の停滞など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報セキュリティ管理について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、業務に関連して多くの機密情報及び個人情報を取り扱っており、厳格な情報管理が求められていることから、当社グループではプライバシーマーク及びISMSを取得し、情報管理の徹底を図っております。しかしながら、何らかの理由により機密情報及び個人情報の外部への漏洩が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜に起因する売上高の減少や損害賠償責任の発生等、特別損失の計上による当期純利益の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟リスクについて(発生可能性:小、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、本書提出日現在において、第三者から訴訟を提起されている事実はありません。当社グループは、法令遵守に努めておりますが、事業活動を行う中で、訴訟、その他の法律的手続の対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受けた場合には、訴訟関連費用や損害賠償等の支払いや、社会的信用の失墜、イメージダウン、レピュテーションリスクの顕現化等により、当期純利益の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) その他のリスク
① 自然災害等の発生について(発生可能性:小、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
地震・台風等の自然災害、テロ、パンデミック等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは東京本社以外にも大阪、名古屋にも拠点をおき営業活動を行っているほか、リモートワーク環境の整備による拠点に依存しない業務体制の構築等、事業継続のための体制整備を図っておりますが、災害等の状況によっては、事業活動に支障が生じ、売上高の減少など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:小、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。本書提出日現在における潜在株式数は208,840株であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は6.24%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
③ 資金使途について(発生可能性:小、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
新規株式上場時に公表した公募増資による資金調達の使途については、今後の事業拡大に向けた人材採用に充当する計画であります。しかしながら、経営環境等の変化に対応するため、調達資金を計画以外の使途に充当する可能性がありますが、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。また、計画どおりに使用された場合であっても、想定どおりの成果をあげられない可能性があります。当社グループは、外部環境の変化を具に察知するとともに、予め様々なシナリオに備えた投資計画・資金計画を作成することで、当該リスクに対応してまいります。
④ 大株主について(発生可能性:小、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社の代表取締役社長である武内寿憲氏は、当連結会計年度末現在で同氏の資産管理会社を通じて所有する株式の所有割合は58.76%(自己株式控除後)となっており、大株主であります。同氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
当社グループといたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、株主構成が大きく変化することで、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 配当政策について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しておりますが、当面は経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えているため、最近事業年度において剰余金の配当は実施しておりません。
内部留保資金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用していく所存であります。
配当については、今後の経営成績及び財政状態、事業環境等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりつつ検討していく方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点で未定であります。
なお、第11期に創立10周年の記念配当、第14期に東京証券取引所グロース市場への上場記念配当を行ってはおりますが、配当方針としては上記のとおりであり、現時点において確定しておりませんが、今後の配当はその時点における財政状態や市況等を総合的に勘案しつつ、当該方針に則ることを想定しております。
⑥ 当社株式の流動性について(発生可能性:小、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
当社の株主構成は、当社の代表取締役社長である武内寿憲氏の資産管理会社が大株主であり、新規株式上場時に実施した公募増資、自己株式処分及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めております。今後、当社大株主への一部売出しの要請、当社グループの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は3,976,726千円となり、前連結会計年度末に比べ20,548千円増加いたしました。これは主に売上債権が67,406千円増加した一方で、現金及び預金が55,362千円減少したことによるものであります。
固定資産は771,366千円となり、前連結会計年度末に比べ258,944千円増加いたしました。これは主に当社渋谷本社の移転計画に伴い有形固定資産が119,531千円増加したこと、投資有価証券の取得等により投資その他の資産が198,356千円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は4,748,092千円となり、前連結会計年度末に比べ279,492千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,759,985千円となり、前連結会計年度末に比べ40,098千円増加いたしました。これは主に当連結会計年度末が銀行休業日であった影響により未払費用が73,465千円増加、流動負債のその他が101,530千円増加した一方で、未払法人税等が143,758千円減少したことによるものであります。
固定負債は20,762千円となり、前連結会計年度末に比べ20,762千円増加いたしました。これは当社渋谷本社移転計画に伴う新事務所のフリーレント契約により長期未払金が20,762千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は2,780,748千円となり、前連結会計年度末に比べ60,861千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,967,344千円となり、前連結会計年度末に比べ218,631千円増加いたしました。これは主に利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により275,669千円増加した一方で、配当金の支払により65,458千円減少したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は41.4%(前連結会計年度末は39.1%)となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策
の効果もあって、持ち直しの動きがみられます。一方、急激な為替変動をはじめとした金融市場の変動による世界
経済の減速懸念、地政学リスクの高まり、さらには、令和6年能登半島地震の経済に与える影響等が我が国の景気
を下押しするリスクも存在することから、依然として不透明な状況にあるといえます。
そのような環境の中で、企業の設備投資は機械設備投資こそ持ち直しにやや足踏みがみられるものの、IT投資は
堅調な企業収益等を背景に増加しております。特にDXに関する投資は、多くの産業分野において増加しており、生
成AIの活用が社会に浸透していくに伴って、DXのさらなる深化が必要になってきていることから、ITサービス市場
はさらに拡大することが見込まれております。
このような状況を背景に当社グループは、クラウド技術とデータ・AI活用によるDXソリューション事業を展開し
ており、売上高はIT投資環境の後押しもあって継続的に伸長いたしました。また、高付加価値案件へのシフト等に
よる粗利率向上に重点的に取り組んだ結果、順調に売上総利益を確保いたしました。
販管費については、将来における収益基盤を強化するために積極的な採用活動を展開したため、コンサルタント
及びエンジニア等に係る採用費用が増加いたしました。また、生成AIをはじめとするAI市場の活況に適時・適切に
対応していくため、新規事業開発及びAIを主軸とした自社開発プロダクトに係る研究開発投資、エンジニアのクラ
ウド認定資格取得支援といった人的資本投資、社内DX施策の最適化等、さらなる成長のための積極的かつ戦略的な
支出・投資を実施いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高11,129,817千円(前期比9.5%増)、売上総利益2,837,872千円(前期比14.9%増)、営業利益421,672千円(前期比20.2%減)、経常利益448,270千円(前期比12.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益275,669千円(前期比13.6%減)となりました。
なお、当社グループは、DXソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ55,362千円減少し、2,329,879千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は363,348千円(前期比50.9%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益415,834千円、減価償却費の計上額109,573千円があった一方で、売上高が順調に伸長したことによる売上債権の増加額67,406千円、法人税等の支払額258,811千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は361,768千円(前期は使用した資金118,625千円)となりました。これは主に当社渋谷本社の移転計画に伴う有形固定資産の取得による支出177,822千円、関係会社株式の取得による支出111,145千円、敷金及び保証金の差入による支出78,649千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は56,912千円(前期は得られた資金886,567千円)となりました。これは主に配当金の支払額65,333千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが行う事業では、提供サービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
|||
受注高 (千円) |
前期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前期比 (%) |
|
DXソリューション事業 |
11,365,202 |
105.6 |
1,767,599 |
115.4 |
合計 |
11,365,202 |
105.6 |
1,767,599 |
115.4 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
|
金額(千円) |
前年比(%) |
|
DXソリューション事業 |
11,129,817 |
109.5 |
合計 |
11,129,817 |
109.5 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載しておりますが、主に以下のとおりであります。
(売上高、売上原価及び売上総利益)
売上高は11,129,817千円(前期比9.5%増)となりました。これは主に新規契約の獲得により累計契約数が増加したことによるものであります。
売上原価は8,291,945千円(前期比7.8%増)となりました。これは主にDXソリューション事業に係るエンジニアの増員等に伴う労務費の増加やビジネスパートナーへの外注費が増加した一方で、高収益案件へのシフトや品質管理の強化による原価逓減策が功を奏したことによるものであります。
この結果、売上総利益は2,837,872千円(前期比14.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損益)
販売費及び一般管理費は、2,416,199千円(前期比24.5%増)となりました。これは主にキャリア採用が好調であったため積極的な採用活動を展開し、コンサルタント及びエンジニア等の人材採用に係る採用費用に投下したこと、産学連携によるAI共同研究及び自社開発プロダクトに係る研究開発等に積極的な投資を行ったことによるものであります。
この結果、営業利益は421,672千円(前期比20.2%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損益)
営業外収益は、主に保険解約返戻金を計上したこと等により32,742千円(前期比345.0%増)となりました。営業外費用は、支払利息等を計上したことにより6,145千円(前期比71.6%減)となりました。
この結果、経常利益は448,270千円(前期比12.8%減)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純損益)
特別利益の計上はありません。特別損失は、本社移転費用を計上したことにより32,435千円(前期比41.9%増)となりました。そのため、税金等調整前当期純利益は415,834千円(前期比15.3%減)となりました。これに法人税等140,165千円(前期比18.4%減)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は275,669千円(前期比13.6%減)となりました。
③ 財政状態の分析及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析
財政状態の分析及びキャッシュ・フローの分析については、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載したとおりであります。
当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、サービス提供のための労務費、外注費、販売費及び一般管理費等の費用であり、投資を目的とした資金需要は自社開発プロダクトに係る研究開発費であります。
当社グループは、これらの資金需要に対して、事業上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針とし、資金使途や金額に応じて自己資金又は金融機関からの借入といった資金調達を柔軟に検討し、確保しております。
④ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の分析
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社グループは、高い収益性の確保と継続的な売上の成長を維持することにより、企業価値を継続的に向上させ株主利益を最大化することを経営上の目標としております。
そのための指標として、売上高成長率を重視しております。
当社グループのビジネスの構造上、売上総利益率を短期間に著しく向上させることはあまり現実的ではなく、業績拡大の指標として売上高の伸長を重視しております。ITサービス市場の成長率は年数パーセントで推移しておりますが、当社グループの2024年8月期の売上高成長率は+9.5%であります。新型コロナウイルス感染症の影響で停滞した2020年8月期を除けば近年は年平均10%以上の成長率で推移してきており、今後も同程度の水準を目安に売上高成長率を目指してまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり認識しておりますが、その中でも特に「ビジネスパートナーとの関係について」「人材の確保と育成について」を重大なリスクと認識しており、これらのリスクに対応するため、積極的な人材育成施策とビジネスパートナーとのアライアンス強化に努めてまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針
当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであり、当社グループが今後更なる成長を遂げるためには、特に「人材確保と育成」に対処することが必要であると認識しております。これらの課題に対応するために、積極的な人材育成施策を展開するとともに、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、事業運営に努めてまいります。
(資本業務提携及び第三者割当増資引受け)
当社は、2024年3月21日開催の取締役会において、株式会社emotivEが第三者割当により新規発行する普通株式の取得をすることを決議し、2024年4月15日付で当該株式を取得したことにより同社を持分法適用関連会社化いたしました。なお、みなし取得日を2024年6月30日としております。
当社グループは、DXソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
① 研究開発の目的
新たなプロダクトの創出を目的としております。
② 研究開発の課題と体制
主にAIによる自然言語処理に関する研究をR&Dサービス部(部長以下、20名)において行っております。
③ 研究開発活動の成果
当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は以下のとおりとなります。
・チャットボット機能拡充のための研究開発
・自然言語対応高度化のためのコアライブラリに関する研究開発
・大量ドキュメント検索(自然文検索)に関する研究開発
・PDF抽出アルゴリズムの研究開発
④ 研究開発活動の金額
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は