当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」をビジョンに掲げ、個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームとして、サービス・役務を売買するスキルのマーケットプレイス「ココナラスキルマーケット」を中心とした事業を展開しております。
モノの市場は2000年以降のIT勃興期の中でEコマースによるオンライン取引が進んだ結果、複数の大手企業の寡占状態であり、現在ビッグデータ等の活用により、効率性、収益性を追求する環境になっております。一方で、今後サービス市場においてもEC化が進展すると試算されております。(情報通信総合研究所「シェアリングエコノミー関連調査2020年度調査結果」)また、当社グループが属するサービスECスキル市場では、近年になってオンライン取引ができる市場が活用され始めており、EC化が進んでいくと考えております。その中で、当社は2011年に創業し、サービスECスキル市場のパイオニアとして市場を牽引するとともに先行者利益を享受することを目指しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、あらゆる人が自分の経験や強みの価値に気づき、それを求める人に提供できるようになることで、より自分らしい人生を歩むことができる社会を目指しております。そして、あらゆる分野において誰かの力を借りたいような困りごと、依頼したいこと等が発生した際に「困ったらココナラ」と想起され、利用されるよう、経営戦略を策定しております。当社グループサービスは、あらゆる人の多様な課題を対象としているため、各ユーザーによって数多くのカテゴリでサービス購入されることを重要な事業戦略の一つとして考えております。そのため、全体の流通高を重要な経営指標として設定し、企業規模の拡大、企業価値の向上を目指しております。
(3)経営環境及び経営戦略等
日本政府において、厚生労働省がモデル就業規則を改訂して副業を許容する内容に変更され、経済産業省主導の「電子商取引規則に関する準則」にて、シェアリングエコノミーを活用した副業を容認する等、政府を挙げて副業解禁の流れが出来ており、日本の大企業においても副業を容認する動きが広がっております。
したがって、当社グループとしては、知識・スキル・経験を持つ出品者による副業解禁に伴う出品の増加が見込まれます。総合カテゴリ型のサービス版ECサイトとして有する出品サービス数、評価数が増加し、幅広い購入者ニーズに対応できるサービスを選択できるため、購入件数が増加すると当社グループは考えております。その結果、サービスECスキル市場の成長が大きく見込まれると考えております。
かかる環境を踏まえ、市場全体の拡大とともに、当社グループは、テイクレートを維持しつつ有料購入ユーザー数及び一人当たり購入額を拡大することで流通高を拡大し、また、中長期的には営業利益率の上昇も目指してまいります。
また、当社グループでは、祖業である「ココナラスキルマーケット」で培った人材・クライアントデータベース、及び、プロダクト基盤を活用した事業展開により、経済圏構築を進め、すべてが揃うサービスプラットフォームを確立してまいります。
財務方針としては、引き続き前年同期比20〜30%の売上高成長を継続できるよう経営してまいります。加えて、黒字経営を前提としつつ、マーケットプレイス事業を中心に戦略領域に対する投資を継続してまいります。
マーケットプレイス事業においては、データベースを活用したコンパウンド戦略でプロダクトラインナップを拡充してまいります。
エージェント事業においては、労働集約型で行うのみならず、データベースやAIを活用することで、当社グループならではの競争優位性を生かした成長戦略を推進してまいります。財務規律を意識し、赤字幅が最小限に留まるようコストコントロールしながら成長させていく方針です。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 出品サービス数の増加に対する検索及び購入の容易さの継続的向上
「ココナラスキルマーケット」は多様なニーズに対応する出品を揃えることで、仕事や相談の窓口となる存在を目指しております。2024年8月末現在、出品サービス数は約90万件と、多様なニーズに対応するサービス数となっていますが、購入者が欲しいサービスをスムーズに発見できるようにし、また、サービスを検索後に購入完了まで容易にたどりつく必要があると認識しております。
かかる課題に対処するため、当社グループでは出品サービスが適切なカテゴリで出品されることを担保するために、適宜カテゴリを見直し、追加、修正を行っております。この際、ユーザーの利便性や利用頻度向上などの観点から、特定のカテゴリを異なるサービスとして独立して運営することも候補に検討を行っております。また、サービス選択後、購入者が普段から利用する決済手段がないことで、購入完了までたどりつけないことがないように、多様な決済手段を導入しており、クレジットカード決済、キャリア決済及び銀行振込等が利用可能となっております。
② 新規ユーザー獲得のための認知度の向上
当社グループのビジョンである「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」の実現に向けて、幅広い利用者が利用できる多種多様なサービスを取り扱うマーケットプレイスとして認知されるためには、購入者、出品者ともに登録数の増加が必要と認識しております。
これらを促進するためには、安心・安全に利用できる取引環境の提供に加えて、ユーザーニーズに応じた出品サービスの獲得に注力すると共に、新規ユーザーの獲得、既存ユーザーのリテンション強化のためのマーケティング活動を継続的に推進してまいります。
創業より数年間は、口コミに代表される有料広告を用いない方法によって利用者登録が増加してきましたが、2016年8月期より本格的にオンライン広告を開始し、複数回にわたりTVCMを放映してまいりました。今後のTVCMについては、費用対効果等を考慮し、慎重に検討した上で、実施する方針であります。
③ 新規事業の立ち上げ
ユーザーの幅広いニーズに対応するため、当社グループはサービスラインナップを広げる方針です。2023年8月期より開始した「ココナラテック」に加え、2024年8月期からは、「ココナラプロ」、「ココナラコンサル」、「ココナラアシスト」をリリースしました。加えて、2024年6月には、ココナラテック事業の拡大を目指して、アン・コンサルティング株式会社(現・株式会社ココナラテック)の株式を取得しました。これらの対応を通じて、ココナラ経済圏を拡大し、当社グループサービスの利用を推進していきます。
「ココナラプロ」は、ココナラが契約主体となり、ハイクラス人材を実名でマッチング、「ココナラコンサル」は、ハイクラスのコンサルタント(経営、事業開発、マーケティング領域等)を業務委託形式でマッチングするサービスです。また、「ココナラアシスト」は、必要な時間帯だけ時間課金形式でビジネス代行(事務、秘書、経理、人事、カスタマーサポート領域等)してくれる人材をマッチングするサービスです。
④ 安心・安全なサービス体制の強化
当社グループの営む「ココナラスキルマーケット」は、取引が出品者及び購入者であるユーザー間で行われるため、サービスを提供する出品者の信頼性の確認が容易ではなく、トラブル対応等に不安があることを理由に、「ココナラスキルマーケット」の利用を控えるといったことが起こりうると考えております。
当社グループでは、「ココナラスキルマーケット」が安心・安全に取引を行える場所であり続けることを非常に重要な課題として認識しており、カスタマーサクセスのスタッフが中心となり、安心・安全なサービス購入体験を担保するため、利用規約、ご利用ガイドの見直し、サービスやメッセージの監視や出品者の本人確認などを行っております。また、出品サービスの健全性を保つために、専任のスタッフを配置しております。専任スタッフは週次で定例ミーティングを実施し、出品サービスの理解を深めるとともに、新たな論点などを議論しております。このような取り組みに関して、2017年11月には一般社団法人シェアリングエコノミー協会が定めるシェアリングエコノミー認証制度を取得いたしました。当該認証制度は、シェアリングエコノミーに基づくサービスが、内閣官房IT総合戦略室がモデルガイドラインとして策定した「遵守すべき事項」に基づいており、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が認定した自主ルールに適合していることを証明する制度です。今後も利用者が安心・安全に「ココナラスキルマーケット」を利用できるように継続的な取り組みを行ってまいります。
⑤ 情報管理体制の強化
当社グループが運営するサービスでは、利用者の個人情報を取り扱っており、強固な情報管理体制の確保が重要であると認識しております。
情報セキュリティ管理規程及び情報セキュリティ管理マニュアルを制定し、また、情報システムにおける管理体制強化を目的として情報システム開発・運用管理規程及び情報システム開発・運用管理マニュアルを制定し、運用をしておりますが、今後も情報管理体制を重要な課題として認識し、情報管理体制を強化するべくサイバーセキュリティに関する各種施策を推進してまいります。
⑥ システムの安定稼動
当社グループが運営する「ココナラスキルマーケット」は、インターネットを通じたサービスであり、システムの安定稼動が不可欠であります。
かかる課題に対処するために、登録者数の増加によるデータ量の増加に対応するためのシステム投資をはじめ、リアルタイムでの各種KPIモニタリングと対応ガイドラインによるサイトアクセスやデータ量増加への初動の強化など運用監視体制の強化を引き続き行ってまいります。
⑦ 経営管理、内部管理、及びコンプライアンス体制の強化
継続的な事業拡大に向けて、経営管理、内部管理体制及びコンプライアンスの強化が不可欠であります。経営管理では会議体の運営を通じて、KPIのモニタリングを適切に実施していきます。内部管理及びコンプライアンスでは、社員に対する継続的な研修及び啓蒙活動を行うことで、内部管理体制の強化を図り、コンプライアンスの徹底に努めてまいります。
当社は「一人ひとりが「自分のストーリーを生きていく世の中をつくる」をビジョンに掲げ、個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームとして、サービス・役務を売買するスキルのマーケットプレイス「ココナラスキルマーケット」、弁護士メディアを通じて相談者と弁護士をマッチングする「ココナラ法律相談」、IT開発における業務委託エンジニア・デザイナーを紹介する「ココナラテック」を中心とした事業を展開しております。特に「個の自立と共助で誰もが自分らしくあれる社会の実現」「サービスのEC化による新市場の創出」「安心、安全、公正なプラットフォームの維持」を重視しており、当社の持続的な成長、ひいては存在意義そのものがSociety(社会性)に直結すると考え、サステナビリティを重視した経営を実践しております。
(1)ガバナンス
当社は組織形態として、監査等委員会設置会社を選択しております。サステナビリティ関連のリスク及び機会の監視、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続きについては、「
(2)戦略
当社は、ステークホルダーの期待や社会からの要請に応えていくため、優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を策定しております。1.候補となる社会課題の選定、2.ステークホルダーの声に基づく重要度の特定、3.自社経営陣での重要性の議論、4.マテリアリティマップの作成、というプロセスを経て、マテリアリティマップを作成いたしました。当社は、Society(社会性)に関わる事項を特に重要視し、これらの重要課題に取り組むことで、社会的価値の創造と企業価値向上の両立を目指していきます。
また、当社における、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。
当社は、日本においてサービス型のECという市場を創ってきたマーケットリーダーとして、創業して10年が経ちました。次の10年の中長期戦略コンセプトとしては“全てがそろうサービスマーケットプレイスをつくる”ことを掲げ、ココナラ経済圏の構築を経営戦略に位置付けております。
ココナラ経済圏とは、具体的には出品できるサービスカテゴリと、マッチングの手法を拡張していくことを指しています。知識・スキル・経験の役務提供はオフライン市場でやり取りされるのが慣例であり、オンラインEC化率は0.6%(2020年時点)に留まっています。言い換えると市場性は非常に高く、2030年には1兆円を超えると言われている中で、市場の拡大を待つのではなく、上記のココナラ経済圏を創っていくことで市場を拡張していくという方針です。主軸プロダクトとなるココナラスキルマーケットは、マッチング手法において「単発」案件を取り扱うことに利点があるという特徴があります。そのため、ココナラ経済圏の構築に向けては、新規事業として様々な挑戦をしていくことが求められます。
上記の経営戦略を実現するために、人材戦略として「組織戦略オプションの獲得」をコンセプトに掲げています。既存事業であるココナラを維持・拡大させながらも、複数の新規事業の立ち上げをしていくための選択肢を獲得することが重要であると考えています。中でも重点テーマは大きく2点あり、「採用」と「エンゲージメントの維持・向上」となります。
「採用」は、新規事業を立ち上げ拡張していくためのキー人材や、既存事業のスケール化を支え推進していくためのコア人材、多角化を見据え複数の事業・専門領域(人事・開発・マーケティングなど)を横断で管掌していく経営幹部人材などが必要となります。そのために、現時点での組織別の人材ポートフォリオを独自のマトリックスで可視化し、現在と未来の時間軸を比較しながら、前述のキー人材・コア人材・経営幹部人材において不足するポジションやケイパビリティを明らかにすることで要員計画を立案しています。
「エンゲージメントの維持・向上」は、組織が非連続に拡張していく中において不本意な離職や組織崩壊リスクを回避すること、策定しているバリューの体現・評価・表彰をもって成果創出への行動を支援すること、多角化が進む中でもビジョン実現というココナラの存在意義への共感・熱狂というモメンタムを進化させていくことを企図しています。この点においてはエンゲージメントサーベイによるモニタリング、従業員一人ひとりのキャリアを共に考えるタレントレビュー、組織を跨るリアルコミュニケーションの強化などに注力しています。
また、ココナラ経済圏という経営戦略を実現するためには、ステージマネジメントという考え方が重要であると考えています。事業の多角化と急激な組織拡大を実現する上では、戦略実現のために必要なケイパビリティが常に変化していくので、社内にないケイパビリティの確保については必要な人材を採用していくことを基本方針としています。同様に、当社における深い経験値があるからこそ発揮される人材の価値は、事業運営の安定性や持続性という観点で非常に重要であり、外部からの採用のみならず既存従業員への人的投資も大切であると考えています。その意味において、人材戦略の実現に向けては全従業員に対する一律の研修制度や育成体系というのは非合理的であり、戦略実現のために最適な人材投資・支援が柔軟にできることが大切です。
こうした“人材育成”というテーマについて人事施策を講じるために、ココナラでは「個人と会社は対等である」という基本方針を策定しています。私たちはビジョン実現のために集まっているプロジェクトチームであり、個人のキャリアは個人がつくるものであり、会社が“育成”するものではないという考え方です。だからこそ、会社は個人に対して“成長支援”をするということにコミットをし、具体的な人事施策を展開、検討しています。
具体的には、キー人材やポテンシャルの高い人材については抜擢人事によって成長機会を提供したり、経験のないテーマにチャレンジするにあたり身につけるべきスキルについてはプログラミングスクールやコンソーシアム参加への投資を行っています。同様に、既存事業を安定的、持続的に成長させていく人材が成長実感を得られるようにカフェテリア方式のスキル学習プログラムを用意し、自身のキャリアと会社のミッションを実現する上で必要となるスキル獲得を支援できる体制の構築に取り組んでいます。
詳細につきましては「https://coconala.co.jp/ir/library/material/」に掲載しております。
(3)リスク管理
当社はコンプライアンス規程及びリスク管理規定に基づきリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。リスク・コンプライアンス委員会は、取締役を委員長とし、代表取締役を含む業務執行取締役、監査等委員、執行役員、部長、室長、経営企画グループメンバー及びリスク・コンプライアンス委員会が必要と認めて参加を要請した者で構成され、当社のコンプライアンス全般について責任を有しており、また、当社のリスク管理の全社的推進とリスク管理に必要な情報の共有化に関して責任を有しております。リスク・コンプライアンス委員会は半期に1度定期的に開催するほか、必要に応じて随時開催しております。詳細は、「
(4)指標及び目標
当社は、自分の得意で誰かの役に立ち、自らも学び、いきいきと「自分のストーリー」を生きていく、そんな世の中の実現を目指し、時間や場所、環境や年齢といった様々な制約をテクノロジーの力で取り除いていくプラットフォームを提供することで、未活用・低活用となっている人材の活用や働き方・生き方の柔軟さを社会に提供しています。そのため、サステナビリティ関連の指標及び目標に関しては、人的資本・多様性が特に重要であると考えております。
当社では、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、マテリアリティとして①「次世代リーダー層人材の採用と育成」②「多様な人材の採用・活用と活躍推進」を重要視しており、これらに紐づく指標を用いております。当該指標に関する実績は、次のとおりであります。なお、当該指標に関する具体的な目標設定については、今後の経営課題として検討してまいります。
①次世代リーダー層人材の採用と育成
指標 |
実績(当事業年度) |
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* 2024年8月31日時点でのハイグレード社員数÷正社員数
②多様な人材の採用・活用と活躍推進
指標 |
実績(当事業年度) |
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本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
① シェアリングエコノミー市場について
当社グループが事業を展開する国内シェアリングエコノミー市場は、今後も継続的な拡大が見込まれています。スマートフォンの普及とともに簡単にどこからでもサービスを購入することができることが後押していると考えております。シェアリングエコノミーにおけるサービス領域は一般社団法人シェアリングエコノミー協会によると5つのサービス領域があり、シェア×スキル、シェア×モノ、シェア×お金、シェア×移動及びシェア×空間といった幅広い市場が存在します。このうち当社グループのサービスが属するシェア×スキルのサービス領域は、「働き方改革」を通して潜在労働力となっている専業主婦やシニア、失業者などの新たな収入源として拡大する余地があると考えております。
ただし、市場自体が未成熟であると考えられることから、今後、法令整備の進展、当業界におけるトラブルや取引の安全性等にかかる問題等の発生、利用者ニーズの変化等、シェアリングエコノミー市場における様々な環境変化が生じる可能性があります。当社グループの事業はこれらの市場動向の影響を受ける可能性があり、上記の予測通りにシェアリングエコノミー市場が拡大しなかった場合や、当社グループサービスが当該市場及び利用者ニーズの変化に応じた適切な対応が取れない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社グループが事業展開する国内の「スキルシェア」にかかるサービス領域においては、今後の市場規模拡大に伴い、新規参入が相次ぐ可能性があります。
クラウドソーシングについては、取引は依頼者が提案依頼したカテゴリに限定されることや受託側の価格交渉の余地が小さいといったことがある一方で、当社グループが運営するマッチング型のプラットフォームの場合は、出品者側が提供できるスキルを先に出品し購入者がサービス一覧から選択する購入形態により潜在需要の顕在化による需要創造につながり、出品者側が自分で値付けできることで高いモチベーションにつながる等、棲み分けができている状況であると考えております。
また、当社グループサービスについて、現時点における当社グループ及び他社サービスにおける出品数及び評価件数等を踏まえると、「スキルシェア」サービスにおけるカテゴリーリーダー的なポジションを構築しているものと認識しており、当該要素が一定の参入障壁になっているものと考えております。また、海外の類似サービスによる日本市場への参入についても、日本語対応が求められる商慣習が強いことを考慮すると、出品者の属性として外国籍が主である海外の類似サービスを購入者側は受け入れにくいと考えられ、当社グループサービスへの影響は小さいものと考えております。
今後もユーザー目線に立ってサービスをより充実させていくと同時に、知名度向上に向けた取り組みを積極的に行ってまいりますが、海外大手事業者の個人間取引プラットフォームにおける本格的な日本進出や、他社の新規参入により競争が激化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ インターネット関連ビジネスについて
当社グループのサービスは、主にインターネットを媒体としておりますが、インターネットやスマートデバイスの更なる普及・利用拡大、関連市場の拡大等を背景として、従来オフラインで提供されてきたサービスがオンラインに置き換わっており、インターネットサービスがより生活において身近な存在になっております。
しかしながら、インターネット通信環境の悪化、スマートデバイスの普及の著しい鈍化、不正使用等の弊害の発生等、予期せぬ要因により今後の当社グループサービスの拡大を阻害するような状況が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループ事業に関するリスク
① 当社グループサービス及びサイト運営について
(a)サイト利用にかかる安全性について
当社グループが運営する「ココナラスキルマーケット」では、19カテゴリにおいて多種多様なサービスが出品及び取引されております。当社グループは、ユーザー間の取引の安全性のため、利用規約及びサービス利用にかかるガイドライン等において禁止行為や出品禁止サービスを詳細に定め、定期的に見直しを実施しております。また、違反報告機能によりユーザーによる問題サービス等の通報体制の構築、サービスの健全化専任の担当人員配置及び社内マニュアル・基準等の策定により、出品サービス及び取引内容にかかる監視体制の構築及び継続的な運用を実施しております。
なお、「ココナラスキルマーケット」で売買されるサービスは、主としてトークルーム(サービス購入後に出品者と購入者のみが見られる非公開ページ)上において、購入者と出品者がコミュニケーションをとることで、役務が提供されていることから、出品サービス及びその取引について適宜かつ適時に網羅的な監視等を行うことには限界があるものと認識しております。そのため「ココナラスキルマーケット」では、購入者の支払代金について取引完了まで当社グループ内に留保する仕組み(エスクロー機能)を提供することにより、不適切取引に対する牽制を図り、ユーザー間取引にかかる安全性向上に努めております。
しかしながら、「ココナラスキルマーケット」では無形商材である「知識・スキル・経験」を売買することから、ユーザー間のサービス品質等にかかる認識相違が生じる可能性があり、ユーザーの悪意の有無に関わらず、トラブル等が生じる可能性があります。当社グループ監視体制が有効に機能しない、又は有効性が低下した結果、当社グループサービスにおいて重大なトラブルが発生又は増加した場合には、「ココナラスキルマーケット」の安全性に懸念が生じ、信頼性の低下により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、利用規約において売買契約の当事者となるものではない旨及びトラブル等については当事者間で解決する旨を定めておりますが、当社グループがユーザーからプラットフォーム運営者としての責任を問われることにより、損害賠償請求やその他対応費用等が発生する可能性があり、その場合にも当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(b)出品サービスの健全性について
当社グループに出品されているサービスは、多種多様なサービスがあり、カテゴリ又は出品内容に応じて様々な法規制を受けており、これらに違反するものや、社会通念上は望ましくないと考えられるサービスが出品される可能性があります。当社グループにおいては、上記の通り、禁止行為や出品禁止サービスを定めるとともに、社内ガイドライン等を整備し、不適切と考えられる出品サービスについて監視及び排除を行っております。以下は、出品サービスにおいて当社グループが留意すべき分野として監視対応等を行っている項目となります。
「ココナラスキルマーケット」内の「占い」カテゴリ等において、多様な占い分野に関するサービスが出品されており、その一部には「エネルギーワーク」や「ヒーリング」等といった行為(以下、「施術」という)が含まれるサービスがあります。当社グループは、「施術」サービスについて、占い業界においては1ジャンルとして認知されているものと考えておりますが、一般的には不適切な行為やトラブル等が生じ易いサービス形態と考えられているサービスであると認識しております。ただし、当社グループは、「施術」サービスについて、過去の取扱実績において、高い購入満足度が示されている傾向があること等も鑑み、当該サービスは、購入者の悩みや課題等に対して十分なアドバイス行為(鑑定・アドバイス・カウンセリング等)が提供されていると考えられる出品サービスのみを取り扱うこととし、施術行為のみで完結するサービス等については排除に努めております。
「ココナラスキルマーケット」内の「マネー・副業・アフィリエイト」カテゴリを中心として、主に副業のやり方や、お金の稼ぎ方等のノウハウ提供やツールの販売等(いわゆる「情報商材」と称される分野)といった多様なサービスが出品されております。当社グループは、金融商品取引法や景品表示法等の各種法規制に違反している可能性のあるサービスを排除するため、弁護士がレビューをしたガイドラインに基づいてサービス内容を確認し、必要に応じて、サービス内容を変更させるまたはサービスの取下げをするなどの体制を構築することにより、不適切な行為及びトラブル等の発生防止に努めております。
上記以外にも、一般的に公序良俗に反するものとして猥褻・出会い系・犯罪につながるもの、サービス内での誹謗中傷行為や医療行為に準ずるもの、第三者の著作権侵害や、当社グループ利用規約等に反して、個人情報を取得し、当社グループの監視が及ばない外部へ誘導するサービス等といった、当社グループの利用者のみならず、第三者の権利を侵害する又は不利益を生じさせる可能性が高いサービス、暗号資産やICOに関するサービスといった当社グループの方針によって出品禁止としているサービスなどを詳細に定め、監視対応を実施することにより、不適切行為及びトラブル等の発生防止に努めております。
しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、当社グループサービス内において重大なトラブル等が発生した場合には、当社グループが責任を問われる可能性があるほか、当社グループ出品サービスに関連する業界等において社会的批判や風評等が生じるような事件・事象等が発生するなど、当社グループサービスの信頼性を損なう状況が発生した場合、当社グループサービスに対して監視対応の強化や出品基準の厳格化に関する要請が強まる可能性があるほか、ユーザーの離脱が生じる可能性があります。これらの要因により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② ユーザーの獲得及び継続性の維持について
当社グループの事業が成長していくためには、ユーザーの継続的な獲得及びユーザーによる継続的な利用が重要であると考えております。これらを促進するためには、安心・安全に利用できる取引環境の提供に加えて、ユーザーニーズに応じた出品サービスの獲得に注力すると共に、新規ユーザーの獲得、既存ユーザーのリテンション強化のためのマーケティング活動を継続的に推進してまいります。
今後、ニーズに応じたサービスを獲得できない場合やマーケティング効果が十分に得られない場合に、新規ユーザーの獲得、ユーザーの継続利用が低迷する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、TVCMについては広告宣伝活動の一環として、ユーザーの新規獲得及び当社グループサービスの知名度向上について一定の効果が出るものと認識しております。今後は費用対効果等を考慮し、慎重に検討した上で、実施する方針であります。しかし、想定通りの広告効果が得られる保証はなく、収益増加に繋がらなかった場合や想定以上の広告宣伝費を投下することが必要になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業領域拡大への投資について
当社グループは、今後もサービス、案件、ユーザー、コンテンツなどの各種マッチング経路の拡充などプロダクト機能の開発に努めてまいりますが、これらの実現には、人材の採用、サービス・システム開発費用等の追加的な支出が発生し、さらに、事業領域の拡大が目論見通りに推移しないことで、追加的な支出についての回収が行えず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定のプラットフォーム事業者の動向について
当社グループの事業は、スマートフォン向けアプリケーションを提供しており、Apple Inc.及びGoogle Inc.の両社にアプリケーションを提供することが現段階の当社グループの事業の重要な前提条件であります。これらプラットフォーム事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 登録人材の獲得について
当社グループが運営するエージェント事業では、フリーランスや副業人材を獲得するためにマーケティング活動を継続的に行っております。エンジニアなど専門スキルを有する人材獲得競争が激化した場合は、新規ユーザーの獲得が低迷する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業体制に関するリスク
① 特定人物への依存について
当社グループの代表取締役である鈴木歩は、2017年3月以来取締役として、2020年9月より代表取締役として経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。
執行役員制度を導入するなど、特定人物に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により鈴木歩が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保と育成について
当社グループは、継続的な事業拡大や事業領域の拡大のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。現在も、将来的な事業拡大を踏まえた先行的な人員増強を行っており、主にプロダクト開発や、各種ユーザー対応、ユーザー獲得や継続にかかるスタッフの増員を計画し、積極的に採用を進めております。
しかしながら、当社グループが求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や、人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び事業領域の拡大等に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 小規模組織であることについて
当社グループは、当事業年度末現在、取締役6名、従業員265名で事業を運営しておりますが、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制及び業務執行体制を構築しております。
当社グループは、今後の事業の成長に応じて、人材の採用・育成を行うと共に、内部管理体制及び業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適切なタイミングで実施できなかった場合、又は人材が社外に流出した場合は、内部管理体制及び業務執行体制が有効に機能せず、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ システムトラブルについて
当社グループの全てのサービスはインターネットを介して提供されております。安定的なサービスの運営を行うために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する取り組みを継続的に実施しております。しかし、大規模なプログラム不良や自然災害、事故、不正アクセス、想定以上のアクセス増加による一時的な負荷増大、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制に関するリスク
① インターネットにおける法的規制について
当社グループが運営するサービスでは、「電気通信事業法」、「資金決済法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「プロバイダ責任制限法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「弁護士法」といった法規制の対象となっております。
これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後も社内教育や体制の構築などを行っていく予定であります。2016年1月には業界団体となる「一般社団法人シェアリングエコノミー協会」の立ち上げに参画し、業界として独自規制の制定を検討するなど、業界全体の健全性向上に努めております。また、2021年7月に設立された「クリエイターエコノミー協会」に参画し、新しい産業である「クリエイターエコノミー」の普及・促進とその活性化に向けて、クリエイティブ活動の普及・促進、クリエイターの保護及びクリエイターの活躍を促進するための政策提言を行っていきます。しかし、今後新たな法令の制定や、既存法令の強化などが行われ、当社グループが運営する事業が規制の対象となるなど制約を受ける場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 著作権、商標権、知的財産権等について
当社グループは、著作権、商標権、知的財産権等の法令等の下、事業活動を行っており、現段階において事業及び業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。また、出品者に対しても当社グループはガイドラインを掲載し、サービスを掲載する際は権利に関する確認を行う対応を求めております。
しかしながら、そうした対応にも関わらず、権利侵害が発生し、訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報保護について
当社グループが運営する「ココナラスキルマーケット」では、メールアドレスをはじめとする利用者本人を識別することができる個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、社内規程として個人情報保護規程を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。
しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し不正に悪用されるといった事態が発生した場合には、当社グループの業績及び企業としての社会的信用力に影響を及ぼす可能性があります。
④ 弁護士法および同法の関連法規について
当社グループが運営する「ココナラ法律相談」では、弁護士へのマーケティング支援サービスを提供しており、弁護士法、同法の関連法規、および各単位弁護士会の規則・ガイドラインなどの規制の対象となっております。例えば、弁護士法第72条において報酬を得る目的での弁護士に対する訴訟事件等の周旋は禁止されておりますが、「ココナラ法律相談」の運営においては、弁護士法及び同法の関連法規等を遵守するために、適宜顧問弁護士に相談し、問題がないことを確認して事業運営を行っております。
しかしながら、同法の内容又は解釈が変更された場合には、「ココナラ法律相談」の事業が制約を受ける可能性があり、その場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 偽装請負について
当社グループが運営するエージェント事業では、準委任契約に基づく受任者として、当該契約先の企業およびパートナーから業務を受託し、その業務をフリーランスに再委託しております。業務の特性上、形式上は準委任契約の形態を取っているものの、実態は労働者派遣に該当する偽装請負とみなされるリスクがあります。法令法規等を遵守するために、適宜顧問弁護士に相談し、社内マニュアルを策定して運用しております。
しかしながら、運用の不備等により、法令等違反行為が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)経営成績及び財政状態について
① 繰越欠損金について
当社グループは、事業拡大のための積極的な人材投資、広告宣伝等を行ってきたことから、第13期連結会計年度末時点において税務上の繰越欠損金が存在しております。今後の税制改正の内容や繰越欠損金の繰越期間の満了により欠損金が消滅し、納税負担額を軽減できない可能性があり、法人税、住民税及び事業税の金額が増加することとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(6)その他
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、取締役、監査等委員及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストック・オプション(新株予約権)を発行しております。また、今後もストック・オプション制度などの株式報酬型のインセンティブを活用することが考えられることから、現在付与している新株予約権に加え、今後株式が付与された場合、または、今後付与される新株予約権について、権利が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末現在、新株予約権による潜在株式数は、2,366,000株であり、発行済株式総数23,921,300株の9.9%に相当しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末より3,021,855千円増加し、8,254,770千円となりました。
これは主に現金及び預金が911,591千円、のれんが862,952千円、売掛金が455,033千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末より2,361,733千円増加し、4,468,684千円となりました。
これは主に長期借入金が1,144,189千円、買掛金が312,540千円、1年以内返済予定の長期借入金が215,786千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末より660,121千円増加し、3,786,085千円となりました。
これは主に非支配株主持分が271,592千円、利益剰余金が243,629千円増加したこと等によるものであります。
② 経営成績の状況
当社におきましては、「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」をビジョンに掲げ、EC型のサービスマーケットプレイスである「ココナラスキルマーケット」等のサービスを展開しております。当社はオフラインで日常的に行われているあらゆる取引をオンラインでより便利に置き換えていくことで、唯一無二のサービスECプラットフォームとなることを目指しております。
当社がターゲットとする個人・企業間サービスにおいては、潜在市場規模は約37兆円と非常に大きい一方(日本総合研究所による推定値)、オンラインで取引される比率は米国と比較して非常に小さいとされています。オンラインでのサービス取引は、人生100年時代の到来や働き方改革でライフスタイルが従来とは大きく変化する中、社会的にも重要性の高い市場と考えております。
当連結会計年度は、プロダクト機能開発に注力する一方、「ココナラプロ」、「ココナラコンサル」、「ココナラアシスト」といった新規事業の立ち上げを行い、ココナラ経済圏の拡大を進めた他、2024年1月に株式会社みずほ銀行との合弁会社である株式会社みずほココナラを設立し、4月にサービスを開始しました。また、2024年6月にはエンジニアを中心とした IT フリーランスと企業の業務委託案件をつなぐ「ココナラテック」事業拡大及び当社の企業価値の最大化に資すると判断し、アン・コンサルティング株式会社(現・株式会社ココナラテック)の株式を取得し、完全子会社化しております。
この結果、当連結会計年度の流通高は15,841,294千円(前年同期比8.0%増)、売上高は6,588,712千円(前年同期比40.8%増)、営業利益は304,776千円(前年同期は営業損失126,388千円)、経常利益は225,671千円(前年同期は経常損失168,277千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は243,716千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失75,899千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、従来「スキルマーケット」としていた報告セグメントの名称を「マーケットプレイス」に、「法律相談」としていた報告セグメントの名称を「メディア」に、「テックエージェント」としていた報告セグメントの名称を「エージェント」にそれぞれ変更しております。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。
(a)マーケットプレイス
「マーケットプレイス」においては、「ココナラ募集」について、2024年2月より応募・募集フォーム等の大幅アップデートを行った他、4月には時間単価や月額単価で継続的な仕事を依頼できる機能をリリースしました。また、「みずほココナラスキルマーケット」のサービス提供を2024年4月より開始しました。
この結果、売上高は4,403,867千円(前年同期比10.1%増)、セグメント利益は432,649千円(前年同期は66,086千円のセグメント損失)となりました。
(b)メディア
「メディア」においては、ユーザーと弁護士のマッチング精度・量ともに順調であることから有料登録弁護士数が拡大しており、これを背景として弁護士からの広告収入である固定の利用料も成長しております。
この結果、売上高は649,852千円(前年同期比21.9%増)、セグメント利益は158,820千円(前年同期比127.2%増)となりました。
(c)エージェント
「エージェント」においては、「ココナラプロ」、「ココナラコンサル」、「ココナラアシスト」といった新規事業の立ち上げを行い、ココナラ経済圏の拡大を進めました。また、2024年6月にはエンジニアを中心とした IT フリーランスと企業の業務委託案件をつなぐココナラテックの事業拡大を早期に実現すべく、アン・コンサルティング株式会社(現・株式会社ココナラテック)の株式を取得し、子会社化しております。
この結果、売上高は1,534,993千円(前年同期比961.1%増)、セグメント損失は241,482千円(前年同期は97,962千円のセグメント損失)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、3,905,323千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、618,444千円の収入(前年同期は114,229千円の収入)となりました。これは主に未払金の増加145,115千円、株式報酬費用141,856千円、前受金の増加96,483千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,336,546千円の支出(前年同期は932,664千円の支出)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出922,065千円及び投資有価証券の取得による支出261,412千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,629,693千円の収入(前年同期は761,221千円の収入)となりました。これは主に長期借入れによる収入1,260,000千円及び非支配株主からの払込みによる収入414,700千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
受注生産を行っていないため、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
|
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
|
マーケットプレイス |
4,403,867 |
10.1 |
メディア |
649,852 |
21.9 |
エージェント |
1,534,993 |
961.1 |
合計 |
6,588,712 |
40.8 |
(注)主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
当社グループは、安定的な売上高成長を継続的に実現すること及び収益性を意識した経営を行ってまいります。
当連結会計年度の流通高及び売上高はそれぞれ15,841,294千円(前年同期比8.0%増)、6,588,712千円(前年同期比40.8%増)と順調に推移しております。これは主に購入ユーザー数及び取引単価が上昇したことによるものであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金需要)
当社グループにおける資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費、システム関連費にかかる運転資金及びM&A等の投資資金になります。
(財務政策)
当社グループは現在、運転資金については自己資金により充当しておりますが、M&A等の投資資金需要が生じた場合は、必要に応じて金融機関からの借入金等により資金調達することとしております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。