第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

決算年月

2020年8月

2021年8月

2022年8月

2023年8月

2024年8月

売上高

(千円)

2,222,802

2,198,912

2,345,368

2,501,479

3,477,560

経常利益

(千円)

331,091

294,139

265,244

224,905

347,534

親会社株主に帰属する当期純利益

(千円)

221,977

206,169

175,827

133,487

275,081

包括利益

(千円)

226,861

208,574

178,604

136,131

283,116

純資産額

(千円)

1,893,467

2,123,302

2,295,944

2,311,783

2,479,259

総資産額

(千円)

2,439,164

2,651,280

2,855,385

2,923,214

3,563,676

1株当たり純資産額

(円)

461.75

504.72

544.24

559.15

614.38

1株当たり当期純利益金額

(円)

54.76

50.19

42.21

32.46

67.71

潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額

(円)

53.49

49.51

42.11

32.42

67.67

自己資本比率

(%)

76.74

79.20

79.50

78.11

68.80

自己資本利益率

(%)

12.55

10.38

8.05

5.86

11.62

株価収益率

(倍)

66.75

31.54

25.23

33.89

11.84

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

220,571

257,370

206,784

248,280

355,535

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

214,714

219,793

136,533

459,603

161,602

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

39,918

14,117

58,004

128,860

263,684

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,594,855

1,646,548

1,658,795

1,318,611

1,572,064

従業員数

(人)

173

166

201

216

288

(注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。なお、臨時従業員数はその総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第26期の期首から適用しており、第26期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

決算年月

2020年8月

2021年8月

2022年8月

2023年8月

2024年8月

売上高

(千円)

2,145,632

2,149,605

2,204,833

2,270,969

2,948,571

経常利益

(千円)

297,461

274,359

260,478

186,782

288,513

当期純利益

(千円)

202,966

194,208

183,129

111,889

224,364

資本金

(千円)

583,789

606,925

611,561

612,524

612,524

発行済株式総数

(株)

4,054,000

4,160,400

4,171,000

4,176,000

4,176,000

純資産額

(千円)

1,811,260

2,027,164

2,204,659

2,196,393

2,309,323

総資産額

(千円)

2,339,675

2,545,765

2,717,278

2,761,673

3,130,670

1株当たり純資産額

(円)

446.79

487.27

528.58

537.87

578.66

1株当たり配当額

(円)

6.00

6.00

8.00

8.00

14.00

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益金額

(円)

50.07

47.27

43.96

27.21

55.23

潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額

(円)

48.91

46.64

43.85

27.17

55.19

自己資本比率

(%)

77.42

79.63

81.13

79.53

73.76

自己資本利益率

(%)

11.81

10.12

8.65

5.08

9.96

株価収益率

(倍)

73.00

33.49

24.23

40.43

14.52

配当性向

(%)

11.98

12.69

18.20

29.40

25.35

従業員数

(人)

157

150

147

154

174

株主総利回り

(%)

151.0

65.8

44.8

46.5

34.8

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(109.8)

(135.9)

(139.3)

(170.1)

(202.4)

最高株価

(円)

4,510

4,240

1,832

1,598

1,196

最低株価

(円)

851

1,450

1,013

847

722

(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。なお、臨時従業員数はその総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

2.最高株価及び最低株価は東京証券取引所マザーズ、東京証券取引所市場第一部及び東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第26期の期首から適用しており、第26期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2【沿革】

1997年6月

株式会社ソフィックス名古屋として名古屋市中区に会社設立(資本金1,000万円)し、工作機械制御ソフトウェア請負を開始

1999年4月

制御ソフトウェア技術をベースに家電分野へ進出

2000年3月

自動車分野へ進出

2000年10月

社名を株式会社ヴィッツに変更

2004年4月

自動車国際標準仕様RTOS(OSEK/VDX仕様)を開発

2005年8月

中小企業向けの公的研究事業(産官学連携)による研究を本格的に実施これ以降、毎年数本の研究事業を継続的に実施

2005年10月

FlexRay通信ミドルウェアを開発

2008年4月

研究成果を活用した機能安全事業を開始(後に機能安全開発部を設置)

2010年4月

国際認証機関 独 TÜV SÜD より、機能安全規格 IEC 61508 SIL-3 ソフトウェア開発プロセス認証を国内で初めて取得

2011年9月

自動車及び産業機械向けのリアルタイムオペレーションシステム(商品名:OWLSシリーズ)の販売を開始

2012年3月

国際認証機関 独 TÜV SÜD より、自動車向け機能安全規格 ISO 26262 ASIL-D ソフトウェア開発プロセス認証を世界で初めて取得。並行して当社がコンサルティングを実施していた国内3社も同時に認証を取得

2013年2月

株式会社アトリエ(現:連結子会社)を設立

2016年5月

国際認証機関 独 TÜV SÜD より、制御機器セキュリティ規格 IEC 62443 に準拠した Security Operating System のセキュリティコンセプトに関する Technical Report を取得

2016年10月

株式会社ヴィッツ沖縄(現:連結子会社)を設立

2019年4月

2020年7月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

東京証券取引所市場第一部へ市場変更

2021年9月

2021年10月

 

2022年3月

2023年10月

2023年12月

2024年3月

 

中核技術を生かしたサービスをデザインするサービスデザイン事業を開始

株式会イマジナリー(現:連結子会社)を設立

株式会社スクデット・ソフトウェア(現:連結子会社)の株式取得

東京証券取引所スタンダード市場へ市場変更

株式会社クリスタライト(現:連結子会社)を設立

株式会社イーガー(現:連結子会社)の株式取得

テスコ株式会社(現:連結子会社)の株式取得

センシング事業を開始

 

3【事業の内容】

当社グループの事業構成は、「ソフトウェア開発事業」、「サービスデザイン事業」、「センシング事業」および「その他事業」の4つとなっております。(下図、「当社グループの事業セグメントと事業構成図」参照)。

なお、事業の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

また、当連結会計年度より、「センシング事業」を報告セグメントとして追加しております。これは、テスコ株式会社の全株式を取得し、連結子会社化したことから、「センシング事業」を新たな事業として開始したためです。

 

当社グループの事業セグメントと事業構成図

0101010_001.jpg

 

(1)ソフトウェア開発事業

自動車および自動車部品、半導体装置、産業機械など各メーカに対して、ソフトウェア開発、コンサルティング支援、教育サービスおよびコンテンツ販売を行っております。

ソフトウェア開発は、オペレーティングシステムの開発・提供から、制御アプリケーションまで全ての領域に対応しております。製品分野も、自動車、半導体検査装置、産業機械、デジタル家電、建機など幅広い分野に技術提供を実施しております。

コンサルティング支援は、サイバーセキュリティおよび機能安全に対応しており、それぞれ、開発プロセス構築支援、脅威分析、安全分析等の分析支援、法規対応を支援しております。教育サービスとしては企業内教育を展開し、機能安全やサイバーセキュリティ対応のノウハウを解説したコンテンツ販売を行っております。

また、近年のモデルベース開発に対応した HILS/SILS 等の制御モデルも提供しております。

 

ソフトウェア開発事業が提供しているソフトウェアが使われている製品のイメージ

0101010_002.png

 

これらの製品には下図のような小型コンピュータが搭載されています。

このコンピュータ内に当社のソフトウェアが搭載されています。

0101010_003.png

 

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(2)サービスデザイン事業

仮想空間技術を利用した、自働搬送、自動運転の効率化を支援するツール販売や開発サービス事業、AI技術を安心して活用するための品質保証サービスを提供しております。

 

●SF Twin

当社では、製造現場向けのデジタルツインプラットフォーム「SF Twin」の開発を進めております。

「SF Twin」は、製造現場を仮想空間に再現し、モニタリングやシミュレーションを通じて安全性や効率性の向上を目指すものです。本製品の最終目標は、コンピュータを活用して工場運営の最適化を図るとともに、人工知能を用いて最適な生産方法を導き出す技術を開発することにあります。また、「SF Twin」の将来的な展望として、自動シミュレーション機能を通じて理想的な生産方法を自動的に導き出す技術の実現を目指しています。

 

派生製品として、協働ロボット向けのデジタルツイン環境を簡便に構築するソリューション「SF Twin Cobot」を2023年4月より販売開始し、2024年6月からは機能を拡充した「SF Twin Cobot 2.0」を提供しております。

 

0101010_005.jpg

 

●WARXSS

「WARXSS®」は、高精度CG技術を利用して構築した「仮想自動車試験場」です。

現実で起こりうる様々な状況を、いつでもどこでも繰り返し検証することができるシミュレータを提供しております。

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●AIの品質安全保証サービス

AI技術の利用が広がる中、安心してAI技術を活用できる環境を整えるため、その品質と安全性を保証する技術の重要性がますます高まっています。特に、欧州連合においてはAI規制法(AI Act)が提案され、AIシステムのリスクレベルに応じた厳格な基準や認証プロセスが求められるようになってきております。

このような背景を踏まえ、当社は2020年から、AI技術を備えたシステムの安全性を証明するための「SEAMSガイドライン(AIの品質と安全性保証技術のガイドブック)」を提供しています。このガイドラインは、当初は自動車分野を対象としていましたが、現在では建設機械や工場内搬送機など、幅広い分野に対してAI品質安全保証サービスの提供を拡大しております。

 

0101010_007.png

 

(3)センシング事業

センシング事業は、当社の子会社である「テスコ株式会社」が行っております。

X線検査装置の製造・販売・保守を軸に、X線検査サービス、非接触スキャナー販売等、センシング関連の製品・サービスを提供しております。

X線検査装置の製造・販売・保守は、X線を使用する主に機械や金属部品、電子基板を対象にした産業用非破壊検査装置の製品製造およびX線関連部材の販売及び販売後の点検・修理サービスを実施しております。

X線検査サービスは、自社で保有するでも設備を利用したX線装置および協業各社の装置を使い、主に機械や金属部品、電子基板の内部検査を実施しております。

非接触スキャナー販売は、CT装置以上の計測機能・精度を発揮するレーザーを使用する非接触スキャナー装置の販売しております。

 

 

(4)その他

その他事業は、当社の子会社である「株式会社アトリエ」と「株式会社ヴィッツ沖縄」が行っております。

 

株式会社アトリエは、ヴィッツグループの安全業務ハブとして、グループ各社の顧客が抱える安全面の課題解決を支援しています。自動運転や人工知能の発展に伴い、安全リスクも複雑化する現代社会において、アトリエでは以下の3本柱を軸に革新的技術の安全な導入を支援しています。

 

●システム安全設計

国際安全規格(ISO 26262、ISO 13849、SOTIF等)に準拠したリスクアセスメントと安全設計により、事故リスクを低減します。

●サイバーセキュリティ対策

ISO/SAE 21434などに基づく防御策を用いて、IoT化機器をサイバー脅威から保護します。

●産業安全

安全行動を促す施策やウェルビーイング支援を通じ、作業者の安全と健康を確保します。

 

株式会社ヴィッツ沖縄は沖縄県の若い人材を活用した組込ソフトウェア開発・評価支援を行っております。沖縄県はソフトウェア産業分野では現在発展途上の状況であるため、技術者教育とソフトウェア開発経験の蓄積が必要となります。

当社グループでは若年層技術者にソフトウェアの下流工程の開発、評価、組込機器の画面開発など、比較的低難易度の開発部位を担当させるとともに、ソフトウェア開発の教育を実施しております。

これらの若年層技術者の活用が、当社グループ全体での開発コスト削減に寄与しております。

 

 

[事業系統図]

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4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

(千円)

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社アトリエ

名古屋市中区

16,300

 その他

87.4

・役員の兼任あり

・研究事業推進・コンサルティングの委託

株式会社ヴィッツ沖縄

沖縄県那覇市

10,000

 その他

100.0

・役員の兼任あり

・ソフトウェア開発及び検証等委託

株式会社イマジナリー

名古屋市中区

10,000

サービスデザイン事業

100.0

・役員の兼任あり

・研究開発推進およびソフトウェア開発支援

・資金援助あり

株式会社スクデット・ソフトウェア

札幌市中央区

10,000

ソフトウェア開発事業

100.0

・役員の兼任あり
・資金援助あり

・ソフトウェア開発及び検証等委託

株式会社クリスタライト

名古屋市中区

30,000

サービスデザイン事業

70.0

・役員の兼任あり

・ソフトウェア開発支援

株式会社イーガー

大阪市北区

30,000

ソフトウェア開発事業

100.0

・役員の兼任あり
・資金援助あり

・ソフトウェア開発及び検証等委託

テスコ株式会社

横浜市港北区

30,000

センシング事業

100.0

・役員の兼任あり

 (注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。

2.2023年10月20日に㈱クリスタライトを設立し、連結子会社といたしました。

3.2023年12月1日に㈱イーガーの全株式を取得し、連結子会社といたしました。

4.2024年3月29日にテスコ㈱の全株式を取得し、連結子会社といたしました。

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年8月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

ソフトウェア開発事業

158

サービスデザイン事業

43

センシング事業

13

報告セグメント計

214

その他

36

全社(共通)

38

合計

288

 (注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。なお、臨時従業員数はその総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

    2.臨時従業員には、パートタイマーの従業員を含み、派遣社員を除いております。

3.その他として記載されている従業員数は、株式会社アトリエ(セーフティアシュアランス事業部)及び株式会社ヴィッツ沖縄に所属しているものであります。

4.全社(共通)として記載されている従業員数は、当社グループの間接部門及び品質保証室に所属しているものであります。

5.従業員数が前連結会計年度末に比べ72名増加したのは、主に株式会社イーガー、テスコ株式会社の株式取得によるものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2024年8月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

174

36.16

8.65

6,263,192

 

セグメントの名称

従業員数(人)

ソフトウェア開発事業

97

サービスデザイン事業

39

報告セグメント計

136

全社(共通)

38

合計

174

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。なお、臨時従業員数はその総数が従業員の100分の10未満であるため記載を省略しております。

    2.臨時従業員には、パートタイマーの従業員を含み、派遣社員を除いております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.全社(共通)として記載されている従業員数は、総務部、品質保証室、営業室及び内部監査室に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

当社グループの労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1.

9.5

 

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.男性労働者の育児休暇取得率及び労働者の男女の賃金の差異につきましては、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)及び「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

②連結子会社

 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。