第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社は「NEXT for U」をコーポレートスローガンとして定めております。これは、世の中のすべての人々の未来のために、エンターテインメントとテクノロジーで、未来をもっとより良く、新しいものに。という私たちの姿勢と決意を示しております。更に様々な社会課題を解決していくことが新たな事業機会であると捉え、自社の成長につなげていくことを基本的な経営方針としております。

当社は2022年2月に2025年8月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、順調に進捗しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、グループ企業価値の最大化のための経営目標として、「売上高」、「EBITDA(利払い前・税引前・減価償却前・その他償却前利益)」及び「CAPEX(資本的支出)」を計画どおり維持するとともに、財務バランスの健全性を計る指標である「自己資本比率」、及び①収益性(売上高当期純利益率)、②効率性(総資本回転率)、③負債の有効活用度(財務レバレッジ)で構成される「ROE(株主資本利益率)」を重要な経営指標として一定のベンチマークを設定し事業運営しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、ホールディングス体制の下、顧客資産の共有化・事業会社間の連携強化・専門領域に特化し、事業価値の最大化を図っております。当社グループの経営資産である、音楽コンテンツ、IoT各種商材、ネットワークインフラ、安定した顧客基盤を最大限に活用することを企図し、強力な直販体制を今後も維持しつつ、同時にテレマーケティング、WEBマーケティング、代理店網などの販売チャネル等を活用していくことによりグループシナジーを最大化させ、安定的に利益を創出してまいります。

また、急速に変化するテクノロジー/社会環境に対して、IoT・AIといったIT技術等を活用し市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、コンテンツ配信事業、店舗・施設向けIoT/DXサービス、法人向けICT/SaaSサービスの成長分野においてサービス創出力、成長性、利益創出力を強化してまいります。

5年後、10年後の社会を見通し、そこで何が求められるのかを見極め、その実現に全力を注いでいくことが、当社グループの持続的成長につながるものと考えております。

事業そのものを通じて、持続可能な社会の実現に貢献するため、常に革新的なサービスを生み出し続けられるグループ企業であることが必要と考えております。そのためには「人材」が最も重要な経営資源と考え、「次世代を担うリーダーが育つ組織」作りに注力するとともに、社員ひとりひとりが、働くことに真剣に向きあい、働きの質を変えるためグループ全体で働き方改革「Work Style Innovation」を展開しております。

ソフト(制度)とハード(設備)の両軸を整備していくことで、社員が自発的にかつ意欲的に動き、ひとりひとりの仕事の成果を最大化させるばかりでなく、シナジーを生み出し、社会全体の生産性向上を図ってまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、2022年2月に中期経営計画「Road to 2025」を策定・公表しており、順調に進捗しております。

また、当社は、「NEXT for U」をコーポレートスローガンとして、事業活動を通じ、環境問題や社会課題の解決に向けた取り組みを推進しております。

当社グループの事業活動自体が社会課題の解決に繋がっていること/そのために私たち自身がサステナブルな存在である必要性、を基本方針に掲げ、コーポレートスローガンである「NEXT for U」を目指す姿とし、その実現に向けた6つのマテリアリティを策定しました。

中期経営計画

「未来を今に近づける“ソーシャル DX”カンパニー」をパーパスとし顧客のDX化支援により付加価値を提供

既存事業のオーガニックグロースによるグループ収益力の強化

レバレッジを活用したM&Aなどの成長投資による非連続成長への挑戦

財務規律を維持しつつ硬軟兼備な財務戦略の実行

安定的かつ継続的な株主還元の実施

 

 

6つのマテリアリティ

[事業を通じた社会貢献]

1、エンターテインメントで人々の心を豊かに

2、テクノロジーで便利さと快適性を

3、未来に繋がる社会インフラ

[事業を支える基盤]

4、多様な人材が集まり育つ組織

5、進化し続けるガバナンス体制

6、盤石な顧客基盤

 

 

事業セグメントにおける経営課題は、以下のとおりであります。

 

<コンテンツ配信事業>

コンテンツ配信事業は、動画配信市場全体の規模が近年大きく伸長していることもあり、積極的に投資しております。

映像配信サービスは消費者による選択集中が行われておりますが、U-NEXTは『Paravi』とのサービス統合やコンテンツの拡充により会員数を着実に伸ばしております。

㈱TBSホールディングスとの資本業務提携で強固になった㈱TBSホールディングスグループとの協業関係を通じて、事業シナジーの最大化、海外や韓流の人気コンテンツの配信をはじめ、TBS、テレビ東京の放送中のドラマやバラエティ、スポーツ、音楽、ライブ配信、電子書籍等の幅広いコンテンツラインアップを行って参りましたが、更なる拡充が課題となっております。

また、為替変動によるコンテンツの調達コストへの影響にも注視してまいります。

U-NEXTの成長のため下記課題に取り組んでおります。

①「圧倒的なカバレッジ」の実現

日本のコンテンツ市場は洋画・邦画はもちろん、日米以外に韓流・アジアも浸透したドラマ、さらには日本独自のバラエティやアニメといったコンテンツもリッチで多様性に富んでおり、ヒット作や話題作にとどまらず、名作からアート系作品まで、国内外のコンテンツを網羅的にラインアップすることで競合他社との差別化を図っています。今後も、観たい作品が必ずある、レンタルビデオ店の最終進化系ともいえるような充実したコンテンツラインアップを目指していきます。

②「オールインワン・エンターテインメント」

一つのアプリで「ビデオ」「ブック」「音楽・ライブ」をシームレスに楽しめる唯一無二のサービスへと進化。電子書籍サービス、音楽のライブ配信やミュージックビデオなどのコンテンツ充実を進めております。また、スポーツエンターテインメントの配信にも注力しています。更にIP開発に注力し文芸小説を「オリジナル書籍」として配信スタートさせております。動画配信サービスならではの映像化も視野に、精力的に新作の発表に注力しております。

③「ONLY ON」戦略

競争環境も非常に激化している状況下、さらなる成長を図っていくには「U-NEXTでしか見られない、ブランドをけん引するような象徴的な作品群」が一定数必要という課題認識から、The Football Association Premier League Limited.との間で、2024-2025シーズンから2030-2031シーズンまでの7年間、イングランドの「プレミアリーグ」及び最も長い歴史を誇るカップ戦The Emirates FA Cupの国内独占配信権にかかる基本契約を締結いたしました。今回の配信権取得を機に、「U-NEXT」では新プラン「U-NEXT サッカーパック」の提供を開始いたしました。

今後も、日本発のエンタメ配信のパイオニアとして、最高のエンターテインメントメディアの創造に挑戦していきます。

 

 

<店舗サービス事業>

店舗サービス事業は、今後も、安定的な収益基盤の回復及び堅持を図っていく必要があると認識しております。

主要顧客である業務店における人手不足は、ますます深刻な状況になると思われます。そのため、店舗向け総合支援サービスの提供を通じて顧客店舗の業務効率化や生産性向上に貢献していくことが基本的な成長戦略と考えております。

顧客の課題解決を的確にサポートするための商品開発力、商品品質の向上が課題であることから、引き続き以下の施策を実施・検討してまいります

① 店舗のIT変革を推進し、店舗経営をスマート化する「店舗DX」の展開

② フィールドエンジニアの付加価値向上

③ 家賃保証や保険・エネルギー等のリスク&コストコンサルティングや衛生管理の各種サービス、集客に仕入、人材採用に至るまでの店舗総合サービスコンテンツの拡充

 

<通信事業>

通信事業は、従来の販売代理店サービスによる収益も一定規模で維持しながら、自社サービスの一層の成長を実現しつつ、適正な収益確保を図りながら、マーケティング活動や、品質向上への投資が必要と認識しております。

企業においては、リモート対応、クラウドサービスやデータセンターサービスに対する需要が引き続き高まっております。更にランサムウェア攻撃による情報漏洩等への対策など情報セキュリティへの関心が高まっており、これらに対応するためのサービスを拡充するなどにより、今後も着実に顧客基盤を積み上げていくことで売上および利益の拡大を図るとともに、通信事業全体の収益性の安定につなげていくために引き続き以下の施策を実施・検討してまいります。

① 契約取次から自社サービス提供へのスイッチングによるストック収益への転換

② 従来の販売代理店網の拡充と併せて、異業種企業での販路拡大や、アライアンス構築による販売協力体制の確立

③ 顧客ニーズに応えるサービスラインナップの拡充

④ 自社通信サービス利用顧客への当社グループ商材のアップセル

 

<業務用システム事業>

業務用システム事業は、今後も、その安定的な収益基盤の維持及び強化を図っていく必要があると認識しております。

医療機関向け、ホテル向けのみならず、あらゆる場面で非対面・非接触やキャッシュレス化などの新たなニーズが創出されていく中で持続的成長を支える事業モデルを確立し、顧客の課題解決を的確にサポートするための更なる商品開発力、品質向上が課題であることから、引き続き以下の施策を実施・検討してまいります。

① 安定したサプライチェーンの確保、継続的な商品提供、販売価格・原価構造の見直し

② お客様のニーズや課題に応じたカスタマイズ対応力とカスタマーサクセス・サービス力の一層の強化

③ クラウド、IoT、AI、生体認証等の新たなテクノロジーとシステムデザイン力を最大限活用した商品改良、

及び新たなサービスの開発

 

<エネルギー事業>

エネルギー事業は、当社グループにおいて顧客向けの様々なサービスラインナップの一環としてワンストップで提供することで、当社グループがサービスを提供する価値を高めております。

当事業では、再生可能エネルギーの普及拡大により天候に左右される電力供給が増加し、また、原子力発電所の稼働停止による電力供給力の不足が懸念されています。

こうした状況の中で、2024年より容量拠出金制度が導入され電気事業者としての費用負担が増えるなど不安定な事業環境であります。

顧客の利便性の向上と、グリーンエネルギーを通じて国際的に高まっている脱炭素へ貢献すべく、引き続き以下の施策を実施・検討してまいります。

① エネルギー・コンサルティング・サービスによるコスト削減への貢献

② 多様な電源調達による安定的な事業利益の創出

③ SDGs対応支援のためエネルギーのグリーン化の推進

<全社>

① 内部統制・コンプライアンス

当社グループは社会的責任を果たすべく全社的にコンプライアンス体制の強化を推進しております。当社グループでは「USEN&U-NEXT GROUP 行動規範」を策定し、役員及び従業員が遵守すべき基本的な規範を定めるほか、定期的な啓蒙活動を通じてコンプライアンスに対する意識を高めております。

更に、財務報告の信頼性確保、事業活動に関わる法令等の遵守、並びに資産の保全を中心に効率的で適法な企業経営体制を構築するため今後ともコンプライアンス体制の一層の強化に取り組んでまいります。

② コーポレート・ガバナンス

当社は、流動的な経営環境のもとで、企業の継続的な発展と株主価値向上のためコーポレート・ガバナンスに関する体制の強化と推進を経営の最重要課題としております。

企業基盤を確かなものとし、競争力、成長力を高め、企業価値の向上、並びに社会的責任を果たすため、当社は取締役会、監査役会、経営会議、執行役員制度を軸とした業務執行機能、及び内部監査機能、取締役会の任意の諮問委員会である指名・報酬委員会、特別委員会を設置しております。指名・報酬委員会では、独立社外取締役が議長を務め、取締役の指名及び報酬の決定における公正性・透明性・客観性を高めております。また、特別委員会では、少数株主との利益が相反する取引・行為について独立社外取締役による審議・検討を行う体制を整備しております。

③ 労働環境の見直しによる生産性向上・業務効率化

当社グループでは、お客様に必要とされ、支援される良い商品、良いサービスを継続的に生みだし成長し続ける企業であるためには、社員が共通の想いを持ち、成長・自律・尊重を意識した働き方を推奨しています。そして、社員がイキイキと働き続けられるよう、多様な制度や福利厚生で社員の働き方を支えています。

「WORK STYLE」では、イキイキと生産性高く働くことができる環境を、「GROWTH」では、多様な成長ができる環境を、「WELL-BEING」では、心身ともに健康で持続的に働くことができる環境整備のための施策を展開しております。

 (ご参考) https://unext-hd.co.jp/culture/

④ 市場のDX化への対応

当社グループの事業基盤である業務店や施設では、今後更にサービスや業務のDX化が加速していくことが予想されます。このような環境下、当社グループでは、IT技術を活用し、市場ニーズやビジネス機会を捉えた製品開発や調達を行い、幅広い顧客に対して安定的に製品・サービスを提供していくことに取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1) サステナビリティに関する考え方

当社グループは、2024年4月の商号変更に伴い「NEXT for U」という新たなコーポレートスローガンを掲げました。“あなたと世の中全ての人たちのために、エンターテインメントとテクノロジーで、未来をもっとより良く新しくしていきたい”という想いを込めたこのスローガンを体現すべく、社会への価値提供、企業価値の向上に努めています。

サステナビリティ経営を実践する上で、当社グループが展開する事業そのものが社会課題の解決に貢献していること、またそのために我々自身がサステナブルな状態であることの2点が重要だと考えています。それらの推進のため、2021年8月よりサステナビリティ推進室(現サステナビリティ推進unit)、サステナビリティ委員会を新設し、体制を強化してまいりました。また同年11月、当社グループが優先的に取り組むべき重要課題としてマテリアリティを策定しました。そして2024年9月に、社会課題や当社グループが置かれている事業環境等の変化に対しより整合したマテリアリティとすべく、サステナビリティ委員会での議論および取締役会での承認を経てマテリアリティの改定を行いました。今後も、当社グループの事業戦略や意思決定においての重要な要素として位置付け、グループ一丸となってサステナビリティへの取り組みを推進しています。

I. ガバナンス

2021年8月に、サステナビリティ推進室(現サステナビリティ推進unit)が事務局となるサステナビリティ委員会を設置しました。本委員会は、グループ全体のサステナビリティ基本方針の策定、目標とする指標や活動内容の設定、仕組みの構築、必要な情報の抽出や調査を実施し取締役会への報告や提言を行うことなどを役割としています。2024年8月期からは、U-NEXT HOLDINGS代表取締役社長が委員長を務め、取締役が委員を務める体制へと刷新し運営しています


Ⅱ. リスク管理

当社グループでは、2017年に「リスクマネジメント基本規程」を定め、2022年5月にはリスク管理委員会を設置し、リスク管理の強化に努めています。同委員会では、リスクの未然防止、早期発見、適切な対応の実践などを目的とし、リスク管理の計画や方針の策定、重要リスクの検討、対応策の進捗フォローアップ、規定類の改廃審議を行っています。リスク及び機会は、リスク管理委員会におけるリスクの識別・評価、取締役会における審議・指示、事業会社における対応策の実施、リスク管理委員会におけるモニタリング・対応策の見直しというプロセスで管理されます。リスク管理委員会では、想定されるリスクと機会を洗い出し、その影響度からリスクの評価及び順位付けを行ったうえで重要リスクを選定し、代表取締役社長を通じて取締役会に報告します。取締役会はリスクへの対応策を審議し、事業会社に対して指示・指導を行います。リスク管理委員会がその実施状況をモニタリングし、必要に応じて対応策の見直しを行うことになります。当社グループでは、四半期ごとにこのサイクルを回していきリスク及び機会の管理を行っています。このように、取締役会及び代表取締役社長がリスク管理を主導し、執行役員や管理部門が事務局となり、グループ内で認識されたリスク及び機会を適時適切に管理しています。


 

Ⅲ. 戦略

当社が優先的に取り組むべき課題として2021年11月に定めたマテリアリティについて、社会課題や当社グループが置かれている事業環境等の変化に対しより整合したマテリアリティとすべく、2024年9月に改定を行いました。サステナビリティ推進Unitのメンバーを中心にワークショップを開催し、ESG評価やサステナビリティガイドライン等の各種フレームワークを参考に現在の社会的課題に対して当社が対応すべき課題を重要課題の候補として抽出、“事業を通じた社会貢献”と“事業を支える基盤”の2軸で整理し、サステナビリティ委員会での議論および取締役会での承認を経て、6つのマテリアリティを制定しました。

<マテリアリティ>


 

<マテリアリティ策定プロセス>


Ⅳ. 指標及び目標

6つのマテリアリティに沿った当社グループで行っている取り組みについて、それぞれ指標を定めています。これらの指標について、毎年実績の把握及び開示を行い、取組みの進捗状況のモニタリング、結果に基づいた取組みへの反映を行っていきます。(2024年8月期の実績は現在集計中です。)

 

(2)気候変動

当社グループは、気候変動の対応を重要な経営課題の一つとしてとらえており、近年の気候変動による財務的影響などに対処し組織の強靭性を確保するため、気候変動による経済・社会的影響をより正確に把握し、適切な目標を設定のうえ必要な対策を講じています。その中の活動の一つとして、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同表明および、提言に沿った情報開示を行っており、パリ協定で掲げる「世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える」という目標の達成に向けて、取組みを推進しています。

I. ガバナンス及びリスク管理

気候変動に関するガバナンスおよびリスク管理は、サステナビリティに関する考え方に組み込まれています。詳細については、(1)サステナビリティに関する考え方のI.ガバナンス、II.リスク管理をご参照ください。

Ⅱ. 戦略

当社グループでは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)の各報告書、国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)の世界エネルギー展望(World Energy Outlook)、その他関連情報を参照し、気候変動のリスク及び機会がもたらす組織のビジネス・戦略・財務計画への影響を1.5℃以下シナリオ(IEAのNZE2050)及び4℃シナリオ(IPCCのRCP8.5)の下で識別しています。

(ⅰ)短期・中期・長期における気候関連リスク及び機会と組織に与える影響

気候関連のリスク及び機会を識別するにあたっては、リスクを移行リスクと物理的リスクに大別し、移行リスクを政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク、評判リスクに、物理的リスクを急性リスクと慢性リスクに分類し、機会を市場、レジリエンス、資源の効率性、エネルギー源、製品・サービスに分類しています。これらの分類ごとに、当社グループの調達と売上に対する財務的影響の大きさを短期(0~1年)、中期(1~3年)、長期(3~10年)の時間軸で定性的に評価・分析し、リスクと機会が組織に与える影響を把握しています。2022年9月から2023年8月期における気候関連のリスクと機会を分析したところ、その結果は次のとおりです。



Ⅲ. 指標と目標

Scope別の温室効果ガス排出量について、当社グループでは、GHGプロトコルに基づき外部専門家の監修により算定を行っています。2022年9月~2023年8月期については、当社グループの主要6社(従業員及び売上規模においてグループ全体の約90%を占める)を対象として、Scope1、2、3の全項目を算定しました。特にScope3のカテゴリ1(原材料)に関しては、全ての製品やサービスを精査して排出量を把握しています。

各Scopeを算定した結果、Scope1及びScope2は2021年度10,214t-CO2、2022年度9,451t-CO2、2023年度6,887t-CO2と、3年間で毎年削減を実現しています。他方、Scope3は売上増に伴って増加しています。ただし、売上一単位当たりのGHG排出量(炭素強度)をみると2021年度76.9t-CO2/億円、2022年度73.5t-CO2/億円、2023年度63.5t-CO2/億円と年々改善していることから、売上増の影響を除いたCO2排出量は着実に削減しています。

全体構成では例年同様Scope1及び2に比してScope3の割合が96.1%と非常に多くなっており、情報サービスを中心とする同業他社と同様の傾向がみられます。また、Scope3では、カテゴリ1(原材料)、カテゴリ4(輸送)の排出が多く、それぞれScope3の85.4%、9.7%を占めています。カテゴリ1は当社グループの排出量の大部分を占めており、調達コストと直結していることを踏まえれば、GHG排出規制の強化が市場における価格変動と連動し、当社グループの財務リスクとして顕在化する可能性があると認識しています。

当社グループでは、2021年度を基準年とし、2030年度までに当社グループでの使用電力を実質再生可能エネルギー由来電力100%とし、Scope1及び2のGHG排出量を50%削減することを目指しています。目標達成のため、Scope1については、社用車を順次EV・HV車両に切り替えており、2025年度の導入率を45%以上とすることを目標としています。Scope2の電力については、当社グループの事業会社であるU-POWERが販売する再生可能エネルギーへの切り替えと非化石証書の購入により、すでに2023年度に使用した当社グループの電力量のうち約75%の切り替えを達成しています。引き続き、2030年度“100%再エネ”の達成に向けて取り組みを推進していきます。

Scope3の目標については、当社グループの廃棄物排出量削減など自らの取組みを進めるとともに、調達先に理解と協力を求め、購入製品及びサービスに伴う温室効果ガス排出量の削減に努めます。また、国内外のCO2排出権取引価格の動向を注視し、インターナル・カーボン・プライシングによるGHG排出量の貨幣価値の把握と低炭素投資について検討していきます。目標達成のため、2023年度は廃棄物排出量の削減・ペーパーレス推進・森林認証紙比率の向上・サプライチェーンマネジメント等に取り組みました。ペーパーレス推進・森林認証紙への切り替えについては、当社グループで印刷している紙や外部へ発注している印刷物等の総量を把握し、電子化・運用変更・素材の切り替え等を実施しています。サプライチェーンマネジメントについては、当社グループの主要取引先宛てに「USEN&U-NEXT GROUP サプライヤーに関する基本方針」に基づくサプライヤーガイドラインの遵守状況を把握するためのアンケートを送付し、77%の回答率を達成しました。今後も継続して取り組みを実施し、サプライチェーン全体でのサステナビリティ活動の促進を目指していきます。

※詳細は、2023年度TCFD開示資料をご確認ください。

https://unext-hd.co.jp/sustainability/data/tcfd_2023.pdf

 


 


 

 

(3) 人的資本

当社グループは、人材は当社グループにとっての重要な経営資本であるという考えのもと、日本を代表する企業グループへの成長を目指し、「100社100人の社長を創出」「誇れる仕事・安心できる待遇」の2つを人材領域の重点テーマとして掲げています。その実現を目指し、採用(Recruiting)、働き方(Work Style)、成長(Growth)、多様性(DE&I)、Well-Being(心身の健康・繋がり)の5つの人材戦略で「多様な人材が集まり育つ組織」を構築し、持続的な企業成長に繋げています。


I. ガバナンスおよびリスク管理

人的資本に関するガバナンスおよびリスク管理は、サステナビリティに関する考え方に組み込まれています。詳細については、(1)サステナビリティに関する考え方のI.ガバナンス、II.リスク管理をご参照ください。

また、当社グループでは、2022年に「USEN&U-NEXT GROUP 人権の尊重に関する基本方針」(https://usen-next.co.jp/sustainability/humanrights.html)、を制定しており、当社グループの従業員だけでなく、関わるステークホルダーに対しても、本方針にのっとって人権を尊重し侵害しないことを求めています。当社グループのコンプライアンスプログラムでは社内外2つの相談窓口を設置しており、従業員の職場内における悩み・相談事を受付け、公正な立場での問題解決支援を行うことを目的として適切に運用しております。

<社内:メンバーズサポートデスク>

ハラスメントや労働時間に関する相談窓口、LGBTQなどに関する相談窓口、育児介護に関する質問・相談窓口

<社外:コンプライアンスカウンター>

法令違反・就業規則違反など、重大な規定違反について、社外の弁護士に相談できる窓口

Ⅱ. 戦略

① 採用(Recruiting)

当社グループで中長期的に活躍する優秀な人材の確保のため、2019年7月より、FAIR・SIMPLE・INNOVATIVE・DIVERSITYをポリシーとしたリクルーティングプログラムを開始し、新卒一括採用を廃止して通年採用にシフトしています。また、2021年度からは「就活維新」をコンセプトに、エントリーシートの代わりに自己PR動画を投稿、AIによる自己PR動画・インタビュー内容分析結果のフィードバックを実施するなど、DXを活用した就職活動の“あたりまえ”にとらわれない革新的なリクルーティングスタイルをとっています。

 

また、2021年に長岡市と新しい人材採用モデルに関する協定を締結し、長岡で暮らしながら本社採用・同待遇・完全リモートワークで働く社員を「NAGAOKA WORKER」とし、当社にとっては地元の優秀層の採用に繋げているだけでなく、長岡市にとっては地元の雇用創出にも繋がるような取り組みを実施しています。

2023年6月からは、地域課題に対して学生とともに向き合い、当社のリソースを活用した課題解決プランの立案・実行を通じたサステナブルな地域社会の実現を目指した体験型インターンシップ「地方創生インターン」を実施。その他にも、当社グループのお客様である店舗に出向き課題解決を考える「店舗の課題解決インターン」や起業家を目指す学生を集めた「起業家キャンプ」等、当社グループの将来を担う優秀な学生を採用すべく、多様化する学生の価値観にあわせて様々なインターンシップを開催しています。

次世代を担う経営層の採用としては、2021年度、2022年度に「CEO‘s GATE」という起業家・経営者を輩出するためのプログラムを実施しました。自身で起業したい方や自身で企画した事業を加速度的に成長させたい方を募集・選考し、投資・業務提携・協業・グループ内起業などあらゆる面から支援を行うプログラムとなっており今後も継続予定です。

② 働き方(Work Style)

イキイキと生産性高く働くことができる環境整備のため、2018年6月より「Work Style Innovation」という人事プログラムを始動しました。従業員は働く時間や場所に捉われず、自律的に多様な働き方が実現出来ています。

フレックスタイム制度

時間に縛られない働き方。始業終業時間は社員に委ねる。

コアタイムのないスーパーフレックスタイム制度。

リモートワーク制度

場所に縛られない働き方。

上長許可を得ればいつでも誰でも社外での業務が可能。

Workers Location制度

勤務地に縛られない働き方。

原則在宅で業務を行う社員を「Remote Worker」と定義し、必要な手当てを支給。

定年再雇用制度(70歳定年)

60歳で定年を迎えた後、本人が希望すれば70歳まで正社員として継続して勤務することができる。

経験豊富で意欲的なシニア世代が積極的に活躍できる環境を提供。

Special Activity Worker制度

当社で働きながら社会貢献活動やスポーツ活動など、

自己成長や自己実現のために社外活動を行う社員を支援。

副業兼業許可制

会社に事前に届け出を行い承認された場合、副業兼業を許可する。

社内副業制度「Helpers」

業務外の時間を有効活用したい社員と人手を募集している部門をマッチングし、社内での副業を可能に。

U BASEプロジェクト

新たなアイデアやコミュニケーションを創出するフリーアドレスオフィス。

社員がイキイキと、効率良く、イノベーティブに働けるオフィスを目指し、

2018年7月に本社移転を皮切りに地方拠点のリノベーションを実施。

 

③ 成長(Growth)

当社グループは、成長の過程や成長の姿は多様であるべきという考えのもと、「Next Way」というグループ内異動制度等で意欲ある従業員に対し自律的な成長機会を提供しています。2023年度、2024年度と継続して行っている「未来塾」では、実際に事業会社社長も誕生しており、将来のグループの中核を担う人材を排出することに繋がっています。

また、グループの重要ポストの強化・育成、後継計画のひとつとして、2024年度からは「Group Executive制度」を新設しました。グループ経営人材の明確化、グループ貢献度に応じた市場競争力のある処遇の実現のため、グループの執行役員以上の要職者をベースとしたグループ経営人材をGroup Executiveと定義し、Group Executiveに対し率先したチャレンジと事業創出およびその拡大を求め、その実績やその先にある期待を評価し処遇を決定していくことで、事業・組織の成長を目指します。対象者やそれらの評価は、Group Executive人材会議での協議のうえ決定しています。

2023年4月には、新卒社員の初任給引き上げおよび並行して2023年以前の新卒入社の若手社員の給与引き上げ対応を実施しました。2024年11月からはさらなる若手社員の報酬水準の引き上げを実施し、平均昇給率を従来の4.77%程度から8.00%程度にすることで、当社グループ全体の採用競争力の強化、および従業員エンゲージメントの向上を目指しています。

Career Growth Program

「Next Way」

下記3つのグループ内異動制度で、グループ内での多様なキャリア形成や挑戦を支援。

1)Scout U(グループ内スカウト制度)

 自身の社内での経歴・成し遂げてきた成果・スキル・キャリアビジョンなどを

 キャリアディスクリプションに記載し、事業会社社長からスカウトを受けられる

2)Want U(社内公募制度)

 各会社・各部門からの公募に対し、社員自らが手を挙げ、選考を経て希望の部門

 に配置される

3)Try U(ジョブローテーション制度)

 グループ内の人材を積極的に流動化し、適材適所に最適配置する

ライセンスサポートプログラム

自身の能力向上を目的とした資格や、業務に必要となる資格を取得する社員を支援するプログラム。

若手育成制度「Green」

新卒入社1~3年目の社員を対象とした”多様な成長のための基礎作り”のサポートプログラム。

eラーニングでの学習機会や、他部署の先輩社員の話を聞くイベントなど、

オンライン・オフライン双方で多種多様な学びの場を提供し、未来を担う若手を育成。

評価報酬制度「val.U」

年齢や役職に関係なく”現在の人材価値”が反映できるよう、等級を廃止し、年俸制を導入。

自らMissionを設定し、上長との1on1を通じたコミュニケーションを強化。

未来塾

2023年1月に開校した、代表の宇野が率いる「未来塾」。

年齢や性別、役職の有無や職種に関わらず応募を受け付け、「自分の未来」「グループの未来」「社会の未来」を共に考え新たな時代を切り開いていく人材、グループの中核を担っていく人材の輩出を目的とする。

 

④ 多様性(Diversity, Equity & Inclusion)

当社グループでは、多様な人材が安心して活躍できる会社を目指しています。2022年に制定した「USEN-NEXT GROUP DE&I 宣言」(https://usen-next.co.jp/sustainability/diversity-equity-inclusion.html)においては、様々なバックグラウンドや価値観を持つ多様な人材が個人として歓迎・尊重され、安心してイキイキと働ける環境を作るために、Diversity, Equity & Inclusionを推進していくことを宣言し、社内外に公開しています。

2021年には「障がい者」と「健常者」を区別しない、新たな障がい者採用・求人システムの構築、および職場環境整備のための障がい者専用の求人サイト「Career Opportunity For DIVERSITY」を独自開発しました。このプログラムにより、障がい者も健常者と同じように適材適所で配属することが可能になり、業務効率化、離職率低下にも寄与すると考えています。

その他、全ての従業員が安心して働ける環境整備のため、 2022年にはセクシュアル・マイノリティ(LGBTQ)の方々への対応を実施し、LGBTQ専用窓口の設置、性別や氏名変更の社内対応整備、同性パートナーへの福利厚生の適用などを行っています。それらの取り組みが評価され、LGBTQ+の取り組みを評価する「PRIDE指標」において2022年度、2023年度連続で最高位の「ゴールド」を受賞しています。

女性活躍推進については当社グループにとっても重要テーマのひとつとして捉えており、出産など女性特有のライフイベントにも対応できるよう、多様な働き方の推進や、産休育休、復職支援、自社独自の特別休暇であるLadies休暇などで、女性のキャリア支援を行っています。性差なく意欲ある全ての従業員に対し平等に機会が提供され、人材価値に応じて適切に評価し役職・報酬へ反映されることが重要だと考えており、それらの方針浸透に努めています。

⑤ Well-Being(心身の健康・繋がり)

従業員の身体的・精神的・社会的な健康維持は、経営にとっても重要な課題と認識し、心身ともに健康で持続的に働くことができるような体制を整備しています。2021年に始動した独自の健康サポート・持続的活躍支援プログラムSustainable Well-being Program「Well.U」においては、リモートワーク・非対面を前提としたオンライン医療相談・面談環境の整備や先進的な健診センターでの専門医師によるきめ細やかな検査体制の構築などを行っており、社内は人事部・サステナビリティ推進unit、社外は健康保険組合・産業医が連携し当社グループの健康経営を推進しています。

また、多様な働き方が進んだ一方で、新たに出てきたコミュニケーションの希薄化やマネジメントの課題に対し、社内で活発なコミュニケーションが行われ、従業員がモチベーション高く働くことができるよう、従業員同士の心の繋がりを意識した各種施策を展開しています。

Sustainable Well-being Program 「Well.U」

オンライン医療相談・面談環境の整備や先進的な健診センターでの専門医師によるきめ細やかな検査体制の構築などで従業員およびその家族の健康を支援

社内部活制度「BUKATSU」

誰でも創部・参加ができる、社内部活制度。

様々なジャンルにおける自分の「好き」「やってみたい」を通じて、

グループ内の会社や地域の垣根を超えた交流機会を支援。

HAPPY HOUR

グループの垣根を越えたコミュニケーション、

社員のモチベーションアップや満足度向上のために月1回本社オフィスにて開催。

2024年度からは地方大規模拠点でも開催される。

Bravo!!

コミュニケーションの活性化やイキイキと働ける風土醸成に繋げることを目的として自社開発。

「Bravo!!」ポイントを称賛や感謝のコメントとともに送り合う仕組み。

 

 

Ⅲ. 指標と目標

人的資本に関する指標と目標は、サステナビリティに関する考え方に組み込み、毎年実績の把握及び開示を行います。(2024年8月期の実績は現在集計中です。)

II.戦略に記載しております2017年12月の経営統合後から実施してきた様々な人事プログラム、各種制度、施策により、一人ひとりの仕事の成果を最大化させるだけでなく、人材間のシナジーを生み出し、会社全体の生産性向上に繋がっています。これは当社グループの人的資本経営が持続的な企業成長に繋がっていることを表していると考えており、今後もより一層人的資本経営に力を入れてまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。

当社グループは、主に国内において多角的な事業を行っており、それぞれの事業において、様々なリスクに晒されております。

当社は、これらリスクの現実化、顕在化の可能性を想定した上で、グループ共通規程として「リスクマネジメント基本規程」を定めております。また、代表取締役社長直轄のリスク管理委員会を設置し、当社グループにおけるリスク管理をおこなっております。

しかしながら、当社の有価証券に関する投資判断は本項及び本書中の本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<コンテンツ配信事業のリスク>

① 外部要因、競合について

当事業においては、我が国の人口減少や急速な高齢化にともなう動画配信サービスを視聴するコアな年齢層の人口減少は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

同時に、巨大資力を有する海外資本を含めた新規参入事業者や既存事業者との間で競争優位性確保のためのコンテンツ調達、制作等における競争激化が予想されます。

競争力の低下にともない継続的にコンテンツのラインナップが維持できず競合他社と比較してコンテンツの魅力度が劣るなどにより契約者の減少が生じる場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、多様化する契約者の生活態様の満足度向上に資する、映像・音楽・スポーツ・エンタメ・書籍などコンテンツの充実化を図ると共に、サービスやデバイス等の利用快適性、利便性を高め、幅広い年齢層へのサービス訴求を図ることによって、既契約者の満足度の充足ならびに当事業の潜在的需要者への契約動機づけの深耕は十分可能であるため、恒常的な顧客嗜好分析ならびに競合サービスとの差別化分析とこれらへの対処により市場競争力を維持し、更なる契約者数の拡大に取り組んでまいります。

 

<店舗サービス事業のリスク>

外部要因について

当社グループの主要顧客である業務店においては、原材料価格、電気・ガス等の燃料費や人件費の高騰に対して十分に価格転嫁できず、また、深刻な人手不足等により事業継続が困難のため廃業する業務店が増加した場合や、感染症が再度拡大し、長期間にわたり業務店の営業が困難となる場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、今後業務店の営業において、非接触、非対面による商品注文、ロボットによる省人化、自動精算機やキャッシュレス化への需要が高まることが想定されることから、これらの需要に対応したサービス、商品開発、直営業のみならず代理店等を活用した販売経路の拡充により、既存契約顧客からの売上維持、向上とともに新規契約者数の増大に努めてまいります。

② イノベーションについて

当事業は、当社グループの事業の主軸であり、今後も、安定的な収益基盤の堅持を図っていく必要があると認識しております。そのため、店舗開業支援、各種インフラ等の事業環境の構築、店舗運営からその後のDX化まで総合的な支援を提案しております。

しかしながら、将来における技術革新や方向性、市場ニーズを正確に予測することができず、当社グループが提供する商品やサービスの改良・開発が適時適切に実施されず陳腐化し、市場競争力が低下した場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、デジタル革命・新技術の動向に注視し、常に顧客ニーズの把握と顧客への提案力増強に努めることで、既存商品、サービスの更新、拡充に加え、新商品・新サービスの開発に努め、新たなビジネスモデルの創造に取り組んでおります。

 

③ 製品・部品の調達について

当事業における製品、部品や材料については複数のサプライヤーから調達しております。これらの製品等の調達においては、政治・経済の混乱、感染症のまん延・国際紛争の多発・テロによる社会的混乱や世界的な需給構造の変化が、サプライヤー、生産、物流網に至るサプライチェーン全体に影響を与えております。

これらの影響を受け製品・部品の調達が、継続的に安定的な価格で必要な数量確保できない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 品質について

当事業では、様々な態様に応じた商品、サービスの不具合や不都合により予期せぬ事故等が発生した場合、当社グループの社会的信頼の失墜、ブランド価値の毀損や製造物責任に関する対処、その他の義務履行に直面する可能性があります。

当社グループでは、社内基準を基に製品の品質と信頼性の維持向上に努めております。

万が一当社グループの商品・サービスに起因する事故等が発生した場合に備え、経済的な負担や賠償責任による財務的インパクト軽減のために適宜適切な保険等に加入するなど対応に努めております。

⑤ 代理店の管理

当事業では、当社サービスの利用契約の獲得を自社営業による直販の他、代理店を活用して拡販を進めております。これらの代理店による獲得活動が正しく行われず、顧客とのトラブルに繋がり、不法行為が行われた場合には、契約取次を委託している当社グループの社会的信頼・信用の失墜等の影響を受ける可能性があります。

当社は、傘下代理店に対し業務が適正に行われるよう、指導・監督等必要な対応を行ってまいります。

 

<通信事業のリスク>

① 外部要因について

当事業においては、通信事業者の事業方針等により大幅な取引条件の変更が生じ、取次の対価としての手数料が大幅に悪化した場合や当事業における傘下販売代理店の活動が停滞し、取次件数が事業計画通りに進展しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループでは、直販営業による顧客ニーズの把握や改善提案に注力するとともに、傘下代理店等を活用した幅広い情報収集やAI等最新技術を活用した商品・サービスの開発によって、様々な顧客ニーズにマッチした商品、サービスの提供に取り組んでおります。

② 競合について

MVNOサービス、特に個人向けサービスにおいて、既存の競合事業者に加え、更なる新規参入事業者により、価格を含めた一層の競争激化が予想されます。

競争激化にともない、競争力が低下し売上高が減少又は事業計画以上に広告宣伝及び販売促進などの費用が増加した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、グループの顧客資産を生かし、個人向けの商品、サービスのみならず、店舗向けの商品、サービスを拡充し、総合、複合的な商品、サービスの提供をすることで、当社グループサービスの競争力強化に取り組んでおります。

③代理店の管理

当事業では、当社サービスの利用契約の獲得については代理店を活用して拡販を進めております。これらの代理店による獲得活動が正しく行われず、顧客とのトラブルに繋がり、不法行為が行われた場合には、契約取次を委託している当社グループの社会的信頼・信用の失墜等の影響を受ける可能性があります。

当社は、傘下代理店に対し業務が適正に行われるよう、指導・監督等必要な対応を行ってまいります。

 

 

<業務用システム事業のリスク>

① 外部要因について

当事業においては、経済社会活動もコロナ禍以前の状態に戻り、多くの外国人が来日し、顧客である宿泊施設の利用者も拡大を続けておりますが、再び感染症が拡大した場合、来日外国人も減少し、これにより宿泊施設における営業停止、設備投資の遅延等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当事業の主たる顧客であるホテル、病院、ゴルフ場等以外の新たな市場、顧客に対してもそれぞれの特性に合った商品、サービスのカスタマイズを実施、展開していく取り組みを行っております。

また、生活態様の変化、技術革新により様々な分野でのキャッシュレス化が加速しており、現金のみ対応の自動精算機等の需要が減少する可能性があります。一方、中国などのような一般生活に幅広く根付いたキャッシュレス社会が到来する期間までにおいては定期的な新札等の変更が現金対応の自動精算機における買い替え需要を喚起することから、非現金、現金対応双方の需要の取り込みに注力しております。

商品・部品の調達について

当事業では、特定の製品、部品や材料を複数のサプライヤーから調達しております。これらの調達にあたり、政治・経済の混乱、感染症・戦争・テロによる社会的混乱や世界的な需給構造の変化が、サプライヤー、生産、物流網に至るサプライチェーン全体に影響を与えております。これらの影響を受け、製品・部品の調達において安定的な価格で必要とする数量が継続的に確保できない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

競合について

当事業においては、国内はもとより海外メーカーによる競合商品、サービスの台頭による製品の品質や価格による攻勢を受け、当社グループの商品、サービスを利用する顧客数が大幅に減少する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、今後、より非接触、非対面、省人化によるホテル、病院や飲食店等における業務の合理化が進むことが想定されることから、これらの需要を取り込んだ商品、サービスとしての自動精算機、顔認証付きカードリーダーやオーダーシステム等の開発促進と販売強化に取り組んでおります。

④ 品質について

当事業の主たる顧客であるホテル、病院、ゴルフ場等をはじめさまざまな顧客に対して、顧客特性に合わせた既存商品、サービスのカスタマイズによる商品、サービスの提供に取り組んでおります。

予期せぬ商品、サービスの不具合により事故等が発生した場合、社会的な信頼の失墜、ブランド価値の毀損、製造物責任に関する対処、その他義務に直面する可能性があります。

当社グループでは、社内基準を基に製品の品質と信頼性の維持向上に努めております。

 

<エネルギー事業のリスク>

① 外部要因について

当事業におけるエネルギー需要は、経済の伸長により増加していくことが予想されます。一方、電力価格は国際紛争等の継続により不安定な状況であり、当事業における電力の調達価格にも影響を及ぼしております。

今後調達価格が上昇し、利用顧客の電気利用料金に波及する場合、価格優位性が低下し、新規顧客の獲得数減ならびに既存顧客の解約、他事業者への乗り換え者数の増加などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、自社において調達して提供する電力サービスについては、一定の割合で自然エネルギーを導入して提供することにより、顧客先と共に環境問題に向きあい、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを行ってまいります。

 

② 競合について

電力の調達価格が上昇するなど不安定な事業環境の中、当社グループのみならず競合事業者各社においても、事業収支改善に向けた対応の検討、実施が恒常化されており、引き続き顧客獲得競争が強まることが予想されます。

また、これに加え、自然エネルギーへの切替など世界的取り組みに基づく顧客ニーズへの対応の遅れにともなう顧客流出リスクもあり、これらにより売上高が減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、エネルギー事業を通して、環境問題への取り組みや、当社グループの他のサービス・商材を組み合わせてワンストップでのサービスを提供することにより業務店の利便性の向上や社会貢献の一助になることで当社サービスの競争力強化に取り組んでおります。

 

<その他のリスク>

(1)コンプライアンスに関するリスク

事業に係る法令順守について

当社グループは多岐にわたる事業領域においてビジネスを行っており、各事業においては、「放送法」、「著作権法」、「消費者契約法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「電気通信事業法」、「旅館業法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、「職業安定法」、「建設業法」、「宅地建物取引業法」等の法的規制を受けております。

当社グループは、上記を含む各種法的規制等について誠実に対応しておりますが、不測の事態等により、万一当該規制等に抵触しているとして何らかの行政処分等を受ける場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、これらの法令や規則等の予測不能な変更あるいは新設が、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、グループインフラ統括部を中心に弁護士の助言、指導をうけながら当該規制等の適用を受ける事業会社と連携し未然の予防を講じております。

② 知的財産権について

当社グループの各事業において取り扱うコンテンツは、原作者、脚本家、翻訳家、監督、カメラマン、作詞家、作曲家、実演家等の著作権、コンテンツ出演者の肖像権、権利元の商標権等多種多様な知的財産権を含んでおります。

当社グループの何らかの行為が権利元との契約に反する等として、買付契約の解除又は当該コンテンツの使用差止め若しくは損害賠償の請求を受ける可能性があります。同様に、各関係者において当社との契約に反する事態が生じる可能性は皆無ではなく、その場合には、権利元と直接の契約関係を有する当社が権利元から債務不履行の責任を追及され、買付契約の解除又は当該コンテンツの使用差し止め若しくは損害賠償の請求を受ける可能性があります。

当社グループでは、かかる知的財産権の取り扱いについて、権利元、映画製作会社、ビデオソフトメーカー、放送局等、知的財産権を有する関係者との契約においてそれぞれの責任範囲を明確にし、知的財産権を含む各種権利等を侵害しないように努めております。

また、顧客に提供する音楽等のコンテンツは、著作権法上の著作物又は実演等に該当するため、著作権法の規制を受けております。

法令・契約に従い、著作権使用料(二次使用料を含みます。以下同じ。)を支払っておりますが、取引条件の急激な変更等が生じた場合には、業績に何らかの影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、急激な取引条件の変更とならないよう密に著作権管理者等とのコミュニケーションを図っております。

 

(2)情報セキュリティに関するリスク

情報セキュリティについて

当社グループは、安全・安心に利用できるサービスを提供するため、当社を中心に「Usirt(ユーサート)」を設立し、計画的に外部による監査を実施するなどグループを挙げて情報セキュリティに取り組んでおります。

しかし、サイバー攻撃、人為的ミスや故意による不法行為、システムや機器等の脆弱性などにより、情報漏洩、データの破壊・改ざん、サービス停止などの被害が発生した場合、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、社員レベルで定期的にeラーニング等の情報セキュリティ研修を実施するなどの対応に取り組んでおります。

個人情報保護について

当社グループでは個人情報保護の体制強化と教育に継続して努めております。しかしながら完全な保護を保証できるものではなく、外部からの不正アクセスやシステム不具合、内部犯行、人的ミス、預託先や提供先の管理ミス等による個人情報漏洩の可能性は常に存在しております。

個人情報が漏洩した場合、当社グループの信用の低下、損害賠償の請求、状況調査や対応策検討、システム改修等による対応コストが発生するおそれがあります。また、サービスの停止も含め、今後のサービス提供に関する計画変更を余儀なくされるおそれがあり、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、「Usirt」を中心に、情報セキュリティの理解を深め、個人情報の正しい取扱いに向け社員レベルで定期的に研修を実施するなど対応に取り組んでおります。

 

(3)財政・資金調達等に関するリスク

財政状態等について

今後当社グループの各事業における営業活動から生じる損益又はキャッシュ・フロー、若しくは固定資産の市場価格等が変動することにより次期以降に追加の減損の必要が生じた場合、当該資産について相当の減損処理を行うことにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当社グループ管理統括部を中心に、グループ会社毎における月次キャッシュ・フロー管理を行うとともに、保有資産の評価を行い適切な対応を行っております。

② 為替について

当社グループの取引先は海外領域も含まれており、外貨建取引により生ずる外貨建債務は外国為替レートの変動を受ける為、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは市場環境や為替レートの変動による影響は完全に排除できませんが、マーケット動向を注視し、適宜対策を講じるなど業績や財務状況に大きな影響を与える可能性を低減するよう努めております。

 

(4)ガバナンスに関するリスク

当社グループは、完全持株会社である親会社と各事業を行う事業会社で構成されております。当社グループにおいては、企業価値の持続的な増大を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、更に健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しております。

事業の急速な拡大にともなって、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が発生する場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

各事業会社は原則取締役会・監査役設置会社であり、「取締役会規程」をはじめグループ共通の各種規程を定め自主的に企業運営を行っております。また、当社グループでは、「グループ会社管理規程」を制定し、事業会社において一定基準を超える重要な案件は親会社の承認を求め、更に管理部門による各社の事業活動状況のモニタリング、監査室による監査を行う等、グループの管理体制の充実に努めております。

 

(5)訴訟等に関するリスク

現在、当社グループの業績に影響を及ぼす訴訟が提起されている事実はありませんが、その事業活動の遂行過程において締結した各種契約等について、契約の相手先から、想定外の事象が発生するなどで、法的手続きを起こされた場合、多額の費用が発生し、また、当社グループの事業活動に支障をきたすおそれがあります。

 

(6)自然災害等の大規模災害に関するリスク

地震、津波、台風等の自然災害や火災等の事故及び通信ネットワークを含む情報システムの停止、感染症の拡大等により、当社グループの事業活動が停滞又は停止するような被害が長期間に及んだ場合、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、「危機管理規程」を制定し、これに加えグループ全従業員の安否確認システムや停電時の事業所内電源を確保するなど、緊急時には対応が的確に行えるよう体制を整備しております。

また、新型コロナウィルス感染症拡大下での対応・対策・ノウハウは当社グループ内で承継し、今後も起こりうる大規模災害に備えて参ります。

 

(7)雇用・人事に関するリスク

当社グループが継続的に事業の伸張を実現するためには継続した人材の確保が不可欠であると考えており、そのために採用の強化、人材育成に注力していく方針であります。

しかしながら、必要とされる人材の確保や人材育成が計画通り進まず、もしくは核となる人材の予期しない流出が生じた場合、当社グループの競争力が低下し、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは採用チャネルの拡大など採用ブランディングを強化するとともに、当社グループの働き方改革である「Work Style Innovation」の展開、若手社員の報酬水準の引き上げ等、生産性の高い働き方を実現するための環境整備を行っております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループの事業セグメントは、個人向け映像配信サービスを提供する「コンテンツ配信事業」、業務店や施設向けに店舗DXサービス、音楽配信サービスや店舗向け集客支援サービスを提供する「店舗サービス事業」、オフィス向けネットワーク、セキュリティサービスの提供やインターネットサービス等の代理販売を行う「通信事業」、医療機関やホテルを中心に、自動精算機やフロントの管理システムを提供する「業務用システム事業」、業務店や商業施設向けに高圧、低圧電力を提供する「エネルギー事業」であります。また、当社グループは、主軸事業である店舗サービスの提供先である業務店を始め、ホテル・病院・ゴルフ場や中小オフィスといったBtoB市場や映像配信、通信サービスをはじめとするBtoC市場などの様々な顧客が当社グループの最大の資産であると考えております。

当社は、㈱USENと㈱U-NEXTとの経営統合後6年が経過し、現行の中期経営計画も順調に推移している中で、当社グループが新たな成長フェーズへ移行するにあたり、2024年4月1日に「株式会社USEN-NEXT HOLDINGS」から「株式会社U-NEXT HOLDINGS」に商号を変更いたしました。

当連結会計年度において、経済社会活動は正常化しましたが、令和6年能登半島地震、記録的な異常気象による自然災害の多発、コメ不足、物価の高騰、急激な為替・株価の変動、2024年問題に代表される深刻な人手不足、訪日外国人の増加によるオーバーツーリズムなど様々な問題により、当社顧客を取り巻く環境は不透明な状況が続いております。

このような状況下、当社グループでは事業領域・事業規模拡大に伴い、2023年9月にグループ経営体制の改編を実施いたしました。

グループの事業領域をセクターに区分し、セクター毎に担当役員を配置しております。

担当役員は管轄するセクターの事業会社群を統括し、横断的視点での戦略立案・組織づくりを進めております。

2024年9月には当社グループ事業の一部をサービス軸で事業会社の再編を行っております。役割・機能をより明確化することで、機動的でスピード感をもった事業展開の実現を目指しております

また、企業としての持続可能性(サステナビリティ)を強化するため「次世代を担うリーダーが育つ組織」作りも注力するとともに、顧客の様々なニーズや課題に対応した、革新的なサービスを提供し続けられる組織・体制の構築に努めてまいりました。

更に、企業の持続的な成長のための最も重要な経営資源は「人材」との考えから、社員の働きやすい環境整備にも注力してまいりました。

この結果、当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高326,754百万円(前年同期比18.2%増)、営業利益29,110百万円(前年同期比35.0%増)、経常利益28,321百万円(前年同期比38.9%増)、また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、15,357百万円(前年同期比40.1%増)となりました。

当社グループの各セグメント別の売上高(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)及び営業利益は以下のとおりであります。

また、当連結会計年度から一部報告セグメントを変更しております。変更の内容については、「第5経理の状況、1連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項内、(セグメント情報等)」の「1.報告セグメントの概要(3)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。

 

 

<コンテンツ配信事業>

コンテンツ配信事業は、連結子会社の㈱U-NEXTが運営しており、映像配信サービス『U-NEXT』の提供・販売を行っております。

『U-NEXT』では、豊富な見放題作品を用意しており、2024年9月時点で映画やドラマなどの動画作品はレンタルも含めて33万本以上、漫画や書籍などの電子書籍は108万冊以上、雑誌は200誌以上をそろえ、1つのアプリで「観る」「読む」をシームレスに楽しめる、ジャンルを超えたエンタメ体験をお届けしています。

当連結会計年度においては、経済社会活動の正常化する中、映像配信サービスは生活の一部として定着しつつある一方、消費者による選択と集中が行われてきております。

また、為替の変動はコンテンツの調達コストに一定の影響を与えております。

このような状況下において、『U-NEXT』は、海外や韓流の人気コンテンツの配信をはじめ、TBS、テレビ東京の放送中ドラマやバラエティ、ラ・リーガなどの欧州サッカー、国内外の格闘技、ゴルフツアー、バレーボールネーションズリーグなどのスポーツ、音楽、ライブ配信、電子書籍とラインアップの充実化を図っております。

8月にはThe Football Association Premier League Limited.との間で、2024-2025シーズンから2030-2031シーズンまでの7年間、イングランドの「プレミアリーグ」及び最も長い歴史を誇るカップ戦The Emirates FA Cupの国内独占配信権にかかる基本契約を締結いたしました。今回の配信権取得を機に、「U-NEXT」では新プラン「U-NEXT サッカーパック」の提供を開始いたしました。

本パックにはスペインのプロサッカー1部リーグ「ラ・リーガ」なども含まれております。「U-NEXT サッカーパック」は、U-NEXT ポイントを充当してリーズナブルに利用することも単体での利用も可能とすることで ARPU の向上及びユーザー基盤の拡大を図っております。

また、月額会員の方には追加料金なしで約1,300冊の児童書が読み放題で楽しめる「キッズ読み放題」やIP戦略の一環としてオリジナル書籍やオリジナルコミックの出版にも注力するなど、引き続き、魅力あるコンテンツラインアップを拡充しサービス向上につとめてまいります。

 なお、今後は U-NEXT のサッカーコンテンツをホテルや商業施設、スポーツバーなどにも提供、当社グループの店舗・施設向け事業とのシナジーを生かし、スポーツ観戦の喜びを共有・共感できる空間作りをサポートしてまいります。

この結果、コンテンツ配信事業における売上高は109,124百万円(前年同期比31.1%増)、営業利益は8,486百万円(前年同期比39.2%増)となりました。

 

<店舗サービス事業>

店舗サービス事業は、連結子会社の㈱USEN、キャンシステム㈱、㈱USEN Media、㈱USEN FB Innovation、㈱USENテクノサービス、USEN-NEXT Design㈱、㈱ユーズミュージック、WannaEat㈱、㈱USEN TRUSTが運営しており、音楽配信・店舗DXサービスを始めとする店舗ソリューションの提供・販売・施工、飲食店向け集客支援、フードライセンスシェアリングサービス、音楽著作権の管理・開発等を行っております。

音楽配信サービスは、全国の業務店、チェーン店や個人のお客様に最適なインフラを経由し、専用の受信端末機を通じて音楽・情報等を提供しております。

また、店舗DXサービスは、POSレジ『USENレジ』、キャッシュレス決済『USENPAY』、飲食店向けの集客支援サービス、Wi-Fi、IPカメラ、デジタルサイネージなどのIoTサービス、家賃保証サービス、損害保険サービスなど、店舗運営に必要なソリューションを提供しております。

また、㈱USEN Mediaは自社グルメサイトとして『ヒトサラ』及び訪日外国人向け『SAVOR JAPAN』を展開、『食べログ』の取り扱いも含めた飲食店向け集客支援サービスを提供しており、WannaEat㈱はフードライセンスシェアリングサービスを行っております。

当連結会計年度においては、㈱USENでは、「お店の未来を創造する」をミッションに掲げ、引き続き店舗運営に必要な店舗DXをトータルサポートすることに注力し、顧客の課題解決に向けた取り組みを推し進めております。

2023年11月20日より『USEN MUSIC Entertainment』の販売を開始し、BGMに留まらない“音と映像が一体化した来店客参加型エンタメサービス”を備える新たな店舗向け総合演出ソリューションを可能としました。

また、USEN音楽配信サービスにおける音楽アーティストの「推し活」として『USEN推し活リクエスト』のサービスを開始いたしました。

更に、店舗・施設から設備工事を請け負う㈱USENテクノサービスは、全国を網羅するエンジニア組織力を活用し、飲食チェーン店を中心に、施工実績を大きく伸ばしました。

この結果、店舗サービス事業における売上高は70,000百万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は9,966百万円(前年同期比1.4%増)となりました。

 

<通信事業>

通信事業は、連結子会社の㈱USEN NETWORKS、㈱U-NEXT、㈱USEN ICT Solutions、㈱USEN Smart Works、㈱USEN-NEXT LIVING PARTNERS、㈱TACT、㈱U-MX、㈱Next Innovation、Y.U-mobile㈱が運営しております。

法人向けには、主に㈱USEN ICT Solutionsが、「USEN GATE02」ブランドでサービスを提供しており、ネットワーク、セキュリティ、クラウドサービスを総合的に提案できる強みを活かし、ICTソリューションの「マルチサービスベンダー」としてICT環境構築の提案・販売を行っております。

また、㈱USEN Smart Worksでは、従業員の働き方をサポートするため、様々なクラウドサービス(SaaSサービス)を取りそろえて企業に提供しており、導入後のきめ細やかな対応にも留意いたしております。

業務店向けには、主に㈱USEN NETWORKSが自社で提供する光回線「USEN光plus」、ISP「USEN NET」や次世代IP電話サービスなど、お客様のニーズに合わせて様々なサービスの提供を行っております。

個人向けには、主にY.U-mobile㈱がMVNOサービス『y.u mobile』の提供を行っており、シンプルな料金プランによりサービス提供開始以降お客様に好評をいただいております。

当連結会計年度においては、法人向けサービス、回線取次や自社光回線サービスが引き続き堅調に推移いたしました。

㈱USEN NETWORKSでは、様々な企業との連携や取り組みによって、自社で提供する法人向け光回線『USEN光plus』の新規獲得が引き続き安定的に増加しており、ワンショット型の手数料獲得モデルからランニング収益獲得モデルへのシフトが図れ、顧客数も着実に増加しております。

更に、2024年6月19日には、JALマイレージバンク会員向けのマイルがたまる家庭用高速インターネットサービス「JAL光 Powered by USEN NETWORKS」の提供を開始し、個人向けにもサービス提供が拡大しております。

この結果、通信事業における売上高は63,679百万円(前年同期比9.2%増)、営業利益は7,248百万円(前年同期比10.7%増)となりました。

 

<業務用システム事業>

業務用システム事業は、連結子会社の㈱アルメックスが行っております。

㈱アルメックスは「テクノホスピタリティ(Technology×Hospitality)を世界へ」をミッションに、最新のテクノロジーを駆使した製品やサービスによって、お客様とその先にいるエンドユーザーの方々へ「究極のホスピタリティ」を提供することを目指しており、ビジネスホテル・シティホテル、レジャーホテル、総合病院やクリニック、ゴルフ場等向けに、自動精算機、ホテル管理システム、受付機・案内表示機等の開発・製造・販売・メンテナンスを行っております。また、飲食店向けには、オーダー端末やオペレーティングシステムの販売等も行っております。

当連結会計年度においては、2024年7月に新紙幣が発行され、これに対応した自動精算機等の入れ替え及び新規導入が堅調に推移し、売上は大きく伸長いたしました。

引き続き新紙幣対応はもとより、キャッシュレス化のニーズについても、積極的に取り組んでまいります。

病院・クリニックでは、恒常的な人手不足や働き方改革により、十分な受付窓口スタッフの配置が難しい状況にあることから、受付と健康保険証の確認を一体で行えるように、オンライン資格確認対応顔認証付カードリーダー『Sma-paマイナタッチ』と次世代型多機能受付機『Sma-paTERMINAL』、自動再来受付機『APS-3300』との連携を開始するなど、DX推進の支援を行っております。

更に、2024年7月には、千葉県の大型複合リゾート施設「龍宮城スパホテル三日月」へ宿泊施設向けセルフチェックインシステム&温浴施設専用自動精算機を複数台設置し、病院・ホテル以外での施設へも、精算機の導入が拡大しており、業務省力化、人手不足解消のほか、利用者の精算時の混雑緩和に大きく寄与しております。

この結果、業務用システム事業における売上高は28,841百万円(前年同期比40.5%増)、営業利益は7,023百万円(前年同期比121.4%増)となりました。

 

 

<エネルギー事業>

エネルギー事業は、連結子会社の㈱U-POWER、㈱USENが運営しており、『U-POWER』『USENでんき』『USENGAS』を提供しております。

㈱U-POWERでは、企業のESG経営・SDGs対応を支援するためグリーンエネルギー比率が異なる3プランを提供し、店舗・施設で消費するエネルギーのグリーン化を推進しております。

㈱USENは東京電力グループとの業務提携による業務店向けの低圧電力、商業施設向けの高圧電力、更に都市ガスサービスの取次販売、省エネルギー施策提案などのエネルギー・コンサルティング・サービスを提供しています。

当連結会計年度においては、冬場もさることながら、10年に一度の猛暑にもかかわらず夏場の電力需要における予備率は、全エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できること等を踏まえ、節電要請は実施されませんでした。

また、為替相場は円安基調から、一転円高になり変化の激しい相場となるなど、電力の調達コストについても不安定な状況となりました。

このような状況下、㈱U-POWERでは、企業向け実質再生可能エネルギーの高圧・低圧電力に加え、家庭向けの実質再生可能エネルギー電力プラン「GREENホーム」の販売を開始いたしました。環境に配慮した電気を利用したいという需要の高まりと、グループ内外の販売代理店を活用した獲得強化により、2024年8月末時点の供給口数は9万件を超え、順調に契約数を伸ばしております。

引き続き実質再生可能エネルギーの販売を強化し、今後も日本国内の再生可能エネルギーの普及に貢献し、持続可能な社会の実現に向けて社会的責任を果たしてまいります。

この結果、エネルギー事業における売上高は60,146百万円(前年同期比9.6%増)、営業利益は5,614百万円(前年同期比50.5%増)となりました。

 

 

財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ28,438百万円増加し、228,962百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金が605百万円増加したこと、受取手形及び売掛金が9,257百万円増加したこと、棚卸資産が1,593百万円増加したこと、前払費用が16,330百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて28,993百万円増加し、150,218百万円となりました。

固定資産は、有形固定資産が2,637百万円増加したこと、無形固定資産が1,480百万円減少したこと、投資その他の資産が1,712百万円減少したこと等により前連結会計年度末に比べて555百万円減少し、78,743百万円となりました。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ16,001百万円増加71,529百万円となりました。

固定負債は、長期借入金が1,147百万円減少したこと、退職給付に係る負債が94百万円減少等により、前連結会計年度末に比べて1,890百万円減少し、65,399百万円となりました。

 

(純資産)

純資産は、利益剰余金が13,705百万円増加したこと、非支配株主持分が910百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて14,326百万円増加し、92,033百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、52,738百万円となり、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額124百万円を含め前連結会計年度末と比べて605百万円増加しました。その主な要因は次のとおりです

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動による資金の収入は15,866百万円(前年同期は10,678百万円の収入)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益を27,356百万円、減価償却費を7,284百万円、のれん償却額を3,145百万円計上したことや法人税等の支払4,828百万円が発生したこと、売上債権が9,255百万円増加したこと、棚卸資産が1,593百万円増加したこと、仕入債務が6,531百万円増加したこと、前払費用が16,311百万円増加したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動による資金の支出は10,630百万円(前年同期は9,443百万円の支出)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得により資金が5,640百万円減少したこと、無形固定資産の取得により資金が3,793百万円減少したこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動による資金の支出は4,755百万円(前年同期は23,108百万円の収入)となりました。長期借入金の返済により資金が3,030百万円減少したこと、配当金の支払いにより資金が1,653百万円減少したこと等によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b. 受注実績

当社グループは受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2023年9月1日
 至 2024年8月31日)

前連結会計年度比(%)

コンテンツ配信事業

(百万円)

109,124

131.1%

店舗サービス事業

(百万円)

70,000

110.3%

通信事業

(百万円)

63,679

109.2%

業務用システム事業

(百万円)

28,841

140.5%

エネルギー事業

(百万円)

60,146

109.6%

セグメント間内部取引額

(百万円)

△5,037

123.7%

合計

(百万円)

326,754

118.2%

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の選択、適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。見積りにつきましては、過去の実績や状況を踏まえた合理的な判断を基礎として行っておりますが、この見積りは不確実性が伴うため実際の結果と異なる場合があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績等に関する認識及び分析
 「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」及び「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループ経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社グループは中長期的な成長を目指し、現状の事業基盤の維持・強化を目的とした、音楽配信設備(受信端末機等(チューナー))、映像コンテンツ(洋画・邦画・アジアドラマ・スポーツ・ライブ配信・アニメ等)、ネットワークインフラ等への投資に加え、M&Aや商業ビル事業、新規サービス・商品の開発投資に対する積極的な資本投下によって引き続き事業の競争力強化を考えております。

これらの資金需要に対しては自己資金で賄える範囲内を基本方針としておりますが、地政学リスクや急激な円安、物価の上昇等の外部環境リスクに備え、金融機関とコミットメントライン契約を締結し、手許流動性を十分に確保しております。また、自己資金で賄えないM&A等においては社債や外部借入等による資金調達も含め最適な手段を選択する予定です。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、上記「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況 」をご参照ください。

 

d.経営者の問題認識と今後の方針

経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 (1)シンジケートローン契約

相手先

契約日

契約概要

みずほ銀行 

※アレンジャー兼エージェント

2023年3月28日

タームローン552.2億円

 

※財務制限条項が付されており、その内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表

 注記事項(連結貸借対照表関係) ※6 財務制限条項」に記載しております。

 

 (2)国内独占配信権に係る基本契約

当社グループ会社の㈱U-NEXTは、世界最高峰のプロサッカーリーグ「プレミアリーグ(イングランド1部)」と本年8月開幕の2024-25シーズンから2030-31シーズンまでの7年間にわたるパートナーシップ基本契約を締結いたしました。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。