文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「A Company for Imagination & Innovation 常に変化と成長を続け顧客と社会に革新をもたらす知的創造企業」を企業理念とし、ITを駆使して顧客企業の価値を創造することをミッションとして、大手企業の組織及びITの変革に伴走する「エンタープライズDX事業」を展開しております。
かつて、日本が高度経済成長を実現した背景には、エンタープライズ企業の躍進がありました。技術革新、あらゆるところから生み出される新しい文化や価値観。それらが創る未来は明るく、そこには努力する意味や価値があり、日本人の技術力の高さ、勤勉さは、世界からも高く評価され、大きな経済成長を生みました。
しかしながら、1990年代以降、失われた30年において日本のエンタープライズ企業は国際競争力を失ってしまいました。その大きな要因が「組織」と「デジタル」にあると私たちは考えます。
日本経済が「失われた30年」を脱するには、大手企業がDXを達成し、市場における競争優位性を取り戻すだけではなく、グローバルに展開して新たな市場を開拓することが不可欠であります。一方で、大企業においては、長年に亘り維持してきた既存の組織、人財、管理体制、システム等の成熟した資産が変革の足枷ともなり得ます。こうした状況を克服するためには、事業そのものだけではなく、組織及びITの変革が不可欠だと考えております。
当社グループでは、大手企業(エンタープライズ企業)が、新たな価値創出を実現しながら組織/ITを変革(DX)していく取り組みを「エンタープライズDX」と位置づけ、ヘルスケア、小売・流通、モビリティ、通信、建設、製造、金融など各業界におけるリーディングカンパニーであるエンタープライズ企業を主な顧客とし、顧客のエンタープライズDXを実現する「エンタープライズDX事業」を展開しております。
そのためには、顧客の強みを顧客以上に深く理解し、顧客の持つ事業価値に焦点を当てることが重要です。日本のエンタープライズ企業は、過去の成長を支えてきた技術力や高品質なサービスなど、膨大なレガシー資産を有しております。さらに、それらを創り上げてきた優秀な社員も多数在籍しております。
私たちは、エンタープライズ企業が持つ本来の力を引き出すためのDX支援を行っております。そしてエンタープライズDX支援による新たなる価値創造が、日本経済の再成長につながると確信しております。
顧客企業の価値創造を通じて、社会に革新をもたらす。それが私たちの使命であり、喜びであります。
当社グループが提供するサービス領域は、DX市場であります。経済産業省が2018年「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」(注1)にて、2025年以降レガシーシステムが残り続けることで引き起こされるシステム障害に起因する経済損失は最大12兆円/年にのぼる可能性があるとレポートしたことを受けて、国内においてDX推進が加速しております。株式会社富士キメラ総研が公表したレポートによると、DXの国内市場は2030年には投資額が8兆350億円に達し、2022年(3兆4,838億円)の2.3倍に拡大すると予測されており(注2)、DX投資は引き続き拡大していくと見込まれております。
日本経済が「失われた30年」を脱するには、大手企業がDXを達成し、市場における競争優位性を取り戻すだけではなく、グローバルに展開して新たな市場を開拓することが不可欠であります。一方で、大企業においては、長年に亘り維持してきた既存の組織、人財、プロセス、システムなどの成熟した資産が変革の足枷となっております。日本は、売上高500億円以上の企業における創業100年企業出現率が16.8%と、主要国で最も高いとレポートされております(注3)。このような社歴が長い大手企業ほど、積み重ねてきたレガシー資産は膨大であり、こうした企業がレガシー資産を活用して自ら事業価値を創造し続ける組織へ変革させるDX支援が、日本経済の再成長に繋がると考えております。株式会社三菱総合研究所のレポート「IMD『世界競争力年鑑』2023年版からみる日本の競争力 第2回:分析編」(注4)においても、日本は「起業・新陳代謝」「グローバル化」「組織資本」「デジタル化」関連分野に弱みがあると分析されております。
当社グループの主要顧客である大手企業がDXを推進するための主要課題として「グローバルサウスを中心とした海外での事業拡大」「アジャイルな社内開発体制の構築」「DX推進人材の量・質の確保」の3つがあると認識しております。当社グループはこれらの主要課題に対応可能なDXパートナーとして優位性を有していると考えております。
日本が少子高齢化や人口減少により国内市場縮小をもたらすと懸念されている一方で、グローバルサウスは豊富な人口や資源などを背景に高い成長を続け、世界経済を牽引しております。株式会社三菱総合研究所のレポート(注5)によると2050年には全人口の2/3がグローバルサウスになると予測されております。
ゴールドマン・サックス・グループ・インクのグローバルペーパー(注6)によると、「今後30年間に世界GDPのウエートが(さらに)アジア諸国へと傾き」と見立てられ、世界のGDP上位10カ国のうち、2022年にグローバルサウスでトップ10に入ったのはインドのみであった一方、2050年にはインドネシアとブラジルが加わると予想されております。併せて「予測期間を2075年まで延長すると、急速な人口増加が予想されるナイジェリアやパキスタン、エジプトなどの国が―適切な政策や制度を伴えば―世界経済大国の上位に食い込む可能性がある」とレポートされております。
当社グループの顧客においても同様に、グローバルサウスを中心とした海外に向けて、日本が持つ高品質なサービスを展開していく事業を拡大することが今後の経済成長ドライバーであると考えております。
経済産業省の2020年「DXレポート2(中間とりまとめ)」(注7)において、「DXの本質とは、単にレガシーなシステムを刷新する、高度化するといったことにとどまるのではなく、事業環境の変化へ迅速に適応する能力を身につけると同時に、その中で企業文化(固定観念)を変革(レガシー企業文化からの脱却)することであると言える。」と提言されております。
また、「競争領域を担うシステムの構築においては、仮説・検証を俊敏に実施するため、大規模なソフトウェア開発を一括発注し長期間をかけて開発するのではなく、アジャイルな開発体制を社内に構築し、市場の変化をとらえながら小規模な開発を繰り返すべきである。競争力を担うITシステムの開発体制については、企業が自ら変革を主導していくことが重要である。しかし、こうした開発体制の変革は一朝一夕には実現できない。これらのことを念頭に置くと、変革を確実に推進させるために対等な立場で活動してくれる企業や、必要な技術・ノウハウを提供してくれる企業とのパートナーシップを構築することが重要である。」と提言されております。
このような状況下でありながら、DX市場で提供されているDX支援サービスは「オンライン会議の導入」や「ペーパーレス化」などによる一部業務の効率化・省力化のためのサービスが多く、当社グループの考える「エンタープライズDX」、すなわち顧客が新たな価値創出を実現しながら組織/ITを変革(DX)していく取り組みに伴走するパートナーは限られていると考えております。
当社グループは、一般的なITコンサルティングファームやシステムインテグレータのように顧客にソリューションを提供するよりも、「出島型アプローチ」による伴走などを通して顧客自ら事業価値を創造しつづける自走型DX組織へ変革させるユニークなポジショニングを確立しております。
昨今、DX推進人材/先端IT人材の不足が指摘されていることから、DX人財の育成やリスキリングの動きが国内でも活性化していくものと認識しております。
例えば、2019年「IT 人材需給に関する調査」(注8)では、「従来型IT人材」から「先端IT人材」へとスキル転換する人材の割合、Reスキル率が「1.0%」にとどまると、2030年時点の「先端IT人材」の需給ギャップは54.5万人となる一方で、「従来型IT人材」は9.7万人の供給過多になると報告されております。(前提としてIT需要の伸びを「中位」(2~5%)、生産性上昇率を「0.7%」とした場合)
また、独立行政法人情報処理推進機構(以下、「IPA」)発行の「DX白書2023」(注9)におけるアンケートによると、日本企業では、DX推進を担う人材について、83%以上が「量」の不足、同じく86%以上が「質」が不足している旨回答されております。 その他、IPAの「デジタルトランスフォーメーションに必要な技術と人材」(注10)では、「システム全体を俯瞰して思考できる人材」「ビジネスをデザインできる人材」「IoT等新技術の専門技術者」など人材育成が課題であると指摘されております。
当社グループの成長力の源泉も、グローバルDX人財の採用と育成であります。自社で実践している人財採用スキームやグローバルDX人財育成プログラムを顧客にも提供し、ノウハウを蓄積しております。
当社グループは、エンタープライズ顧客のDXを支援する既存事業を着実に成長させながら、中長期では共創型事業によるスケーラブルな成長を目指していく計画であります。
既存事業の着実な成長においては、エンタープライズ顧客基盤の拡大とサービス提供力の拡大に取り組んでまいります。
当社はこれまで営業専任部署を設置せず、当社グループ経営層や既存顧客からの紹介、当社グループメンバーによる組織/IT変革に関する社外講演をきっかけにした引き合いを中心にすることで、他社と競合しづらく効率的な営業手段を確立してまいりました。今後は組織変革・グローバルDX人財育成サービスをはじめとしたDX支援プロダクト・サービス事業のマーケティング・営業企画力を強化し、新規顧客開拓を強化して顧客接点を拡大してまいります。さらに、既存顧客とは、出島型アプローチの取組テーマ数拡大、データ駆動型プラットフォームの展開、及び、顧客の海外事業拡大に現地で伴走する取組の拡大により、1社あたりの取引金額を拡大し、年間取引金額2億円以上のロイヤルカスタマーの数を拡大していく計画です。
2050年には、グローバルサウスの人口が世界の全人口の2/3を占めるものと予想されており、グローバルサウスを中心とした海外市場での事業拡大が国内企業の重要な成長ドライバーであると認識されております。顧客の海外事業拡大支援体制を一層強化するため、当社グループでは、海外出身の人財採用を積極的に推進しており、海外出身人財比率(注11)を将来的に40%以上にすることを目指しております。今後、ヨーロッパ・北米・東南アジアなどの海外にも進出し、顧客の海外事業拡大を現地で伴走する体制を強化してまいります。
サービス提供力の拡大においては、コンサルタント・エンジニア数を拡大するとともに、DXコンサルティング領域の拡大、データ駆動型プラットフォームにおけるAI/データ解析領域の取組強化により生産性向上に取り組んでおります。新卒採用においては、成長するフィールドと安心して働ける環境の提供により、直近4年の新卒定着率(注12)100%(2024年8月末時点)となっております。中途採用においても、リファラル・アルムナイ採用や当社SNS発信をきっかけとする海外出身人財からの直接応募獲得などユニークな採用力を有します。海外出身人財を積極的に採用、老舗エンタープライズ顧客のDX支援経験豊富なベテラン人財の活躍など、多様な人財が活躍し、結果としてコンサルタント・エンジニアを中心とする社員数は継続的に増加しております。併せて、独自のDX人財育成プログラムにより、IT未経験から4カ月でプロジェクトアサインを可能にするなど、エンタープライズ顧客の変革を実現するグローバルDX人財として成長する機会を継続的に提供しております。
また、データ駆動型プラットフォーム上でのAI/データ解析領域の取組強化による生産性向上にも取り組んでおります。顧客IT資産のモダナイゼーション実現、顧客が蓄積してきたデータからの新しい事業価値創出、及び、生成AIを前提とした開発による生産性革新に取り組んでまいります。
既存事業の着実な成長と合わせて、中長期では共創型事業を拡大してスケーラブルな成長を実現してまいります。
長期の視点で深い関係性を構築した主要顧客とともにデジタルサービスを共創し、当社顧客の製品・サービスを利用するユーザーのDXや、当社顧客が属する業界全体のDXを支援する「デジタルサービス共創事業」を創出し、レベニューシェアを含む売上・利益を得るビジネスモデルに取り組んでおります。デジタルサービス共創事業の今後の取り組み例として、データ駆動型プラットフォームの共同利用の推進に取り組んでいく計画です。これはデータ駆動型プラットフォーム上に業界内の非競争領域の業務やシステムを共通化するソリューションを構築し、業界盟主である顧客とともに顧客が属する業界内の同業他社に展開していくものです。
また当社はベンチャーキャピタルとしてグローバルで技術系スタートアップを発掘・育成している株式会社アイティーファームと2021年より資本業務提携を行っております。国内外スタートアップとの協業で顧客のDX推進に資する技術を目利きして提供することに取り組んでおり、今後この取り組みを拡大していく計画です。
当社グループは、当社が顧客に提供した価値の大きさを示す売上高、その収益性を示す営業利益、顧客と伴走するパートナーとしての評価を示す顧客維持率(注13)を重要な経営指標と位置づけております。また、顧客の国外市場への事業展開を支援するために必要となるグローバルDX人財の増強を進めており、その進捗状況を示す海外出身人財比率についても重要な経営指標に加えております。
売上高及び営業利益については、下表のとおり継続的に増加しており、順調に推移しているものと認識しています。
顧客維持率については、下表のとおり約90%を維持しており、当社のDXパートナーとしての価値が高く評価され、継続的な顧客層の形成に成功しているものと認識しています。
海外出身人財比率については、下表のとおり2024年8月期において大幅な増加を達成しており、顧客のグローバル事業展開を支援する体制の構築が順調に進捗しているものと認識しています。
コンサルタント・エンジニア社員数(注14)については、下表のとおり継続的に増加しており、順調に人財が確保できているものと認識しています。
当社グループが優先的に対処すべき課題は、以下の項目と認識しております。
優秀な人財の確保は当社グループの成長の礎であり、当社グループでは採用活動と人財育成活動の強化に継続的に取り組んでおります。
当社グループでは、人事制度及び福利厚生制度を当社及びグループ子会社において統一的に運用しており、各人のキャリアや希望職種等に合わせてグループ内で異動することが可能な体制になっております。
採用活動においては、新卒採用活動に重点を置き、インターンシップ関連活動や採用広報活動を強化するとともに、海外からの留学生の採用強化のため、候補となる学生が多数在籍する大学等とのチャンネル構築を推進しております。
人財育成活動においては、プログラミング未経験からでも、IT基礎からデジタルサービス企画・アジャイル開発プロセス等を習得する技術研修プログラムを立ち上げ、DX人財育成を行うサービスへの展開を推進してまいります。またグループ共通の人事制度のもとで子会社間の人財交流を実施してDX実現に向けての全工程を支援できる人財を育成しております。
更に、多様な人財がそれぞれの特性を活かしつつ、他の社員と協調して成果を発揮できるよう、多様な働き方を想定した人事制度に加え、ダイバーシティや健康経営に関する取組みを継続しております。
DX市場の拡大に合わせて当社グループが成長していくために、顧客の組織/IT変革の全工程に伴走するDXパートナーとしての認知度を向上させ、DX推進支援事業の新規顧客を獲得していくことが必要と認識しております。
顧客と共同での事例発表など認知度向上に向けた取り組みを実施しておりますが、今後これらの活動をより強化してまいります。
当社グループのこれまでの事業成長の過程においては、創業来の中核事業であるDX推進支援事業の拡大が大きく寄与してまいりましたが、この事業の成長は、コンサルタントやエンジニアなどの人的リソースの規模の制約を受けるものでありました。今後さらなる成長のためには、新たな収益モデルである「DX支援プロダクト・サービス事業」及び「デジタルサービス共創事業」の成長が不可欠であると考えております。そのためにこれらの事業への成長投資を加速するとともに、Web等での露出強化、導入事例発信、プロダクト・サービス間でのクロスセル推進、販売パートナーなどとのアライアンス推進、カスタマーサポート体制(問い合わせ対応体制)強化など、マーケティング活動・セールス活動・カスタマーサクセス活動を強化してまいります。
当社グループでは、新たな成長戦略に関わる企画・立案を当社代表取締役社長直轄のグループ戦略企画室のもとで一元的に統括し推進しております。更に、成長戦略の遂行に必要となる知見や体制を補完するために、テックベンチャー等との戦略的な事業提携やM&Aについても積極的に取り組んでいく方針であります。
当社グループは、DXに必要な各領域で各子会社が高い専門性を有している点が特色であり、各専門分野での専門性やブランディングを訴求できるメリットがあるものの、グループ全体の拡大に応じて会社間での情報共有スピードの低下やリソースの分散による効率運営の低下などの課題が懸念されます。
そのためには、グループ経営体制のさらなる強化・効率化が必要であり、当社グループの内部統制及びコンプライアンス体制の強化のため、持株会社の経営管理機能を強化するとともに、グループ経営のオペレーション効率化に取り組んでおります。またグループ戦略企画室のもとでグループ全体の成長戦略推進・事業連携を強化してまいります。各子会社においては、各社が役割を明確にして専門領域で事業を成長させること、次世代経営陣の育成のため、各子会社では30代あるいは40代の役員が経営の舵取りをする体制を取っております。
当社グループが属するIT業界では技術革新が絶え間なく進化しており、近年は、IOT、データ分析、AI等の高度化及び普及等、新たな技術の導入・進化が進んでおり、併せてユーザーニーズも変化しております。このような事業環境のもとで、当社グループが継続的に事業を拡大していくためには、新たな技術に適時に対応していくことが必要であると認識しており、新技術への適用及び新サービスの開発を継続的に行うとともに、優秀な人財の確保に取り組んでおります。
当社グループの属するDX市場は国内外において中長期的に拡大していくことが見込まれ、株主や各種ステークホルダーの期待に応えるためには、市場ニーズに応えるとともに、技術力などの競争力を維持、向上させるために、これまで以上の人的リソースを含む経営リソースに成長のための投資を実施していく必要があります。そのために必要な財務基盤として、創業以来利益剰余金の蓄積により内部留保を蓄積してまいりましたが、さらなる事業展開及び企業成長のためには、より一層な長期にわたる安定的な財務体質が必要であり、証券市場へのアクセスを通じた資金調達など多様な手法を通じた財務基盤の強化を継続して模索していく必要があると考えております。
(注)1.経済産業省. DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~. https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html,(参照 2024-05-22)
2.株式会社富士キメラ総研株式会社 2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編
3.株式会社 日経ビーピーコンサルティング. "世界の長寿企業ランキング、創業100年、200年の企業数で日本が1位". 2020年版100年企業<世界編>. 2020-03-18. https://consult.nikkeibp.co.jp/shunenjigyo-labo/survey_data/I1-03/,(参照 2024-05-22)
4.株式会社三菱総合研究所. IMD「世界競争力年鑑」2023年版からみる日本の競争力 第2回:分析編. 2020-10-30. https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20231030.html,(参照 2024-07-10)
5.株式会社三菱総合研究所. "ウクライナ危機で存在感増す「グローバルサウス」①". MRIエコノミックレビュー. 2023-05-16. https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20230516.html,(参照 2024-05-22)
6.ゴールドマン・サックス・グループ・インク. “グローバル・ペーパー 2075年への道筋-世界経済の成長は鈍化”. 2022-12-06. https://www.goldmansachs.com/japan/insights/pages/path-to-2075-f/report.pdf,(参照 2024-05-22)
7.経済産業省. DXレポート2(中間とりまとめ). https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004.html,(参照 2024-05-22)
8.経済産業省. IT 人材需給に関する調査. 2019年3月.
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf,(参照 2024-05-22)
9.独立行政法人情報処理推進機構. DX白書2023. 2023年2月.
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108041.pdf,(参照 2024-05-22)
10.独立行政法人情報処理推進機構. デジタルトランスフォーメーションに必要な技術と人材. 2018年. https://www.ipa.go.jp/archive/files/000067935.pdf,(参照 2024-05-22)
11.海外出身人財比率の定義は「企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」の用語解説に記載しております。
12.「1 - (各年度中の新卒採用社員のうち現時点での離職者数 / 各年度中の新卒採用人数)」にて算出。
13.顧客維持率の定義は「企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」の用語解説に記載しております。
14.コンサルタント・エンジニア社員数の定義は「企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」の用語解説に記載しております。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社グループは、「ITを駆使して顧客企業の価値を創造すること」をミッションとし、「顧客企業の価値向上を通じ、社会に革新をもたらす」という企業理念を実現するため、エンタープライズDX事業に取り組んでおります。
顧客企業の企業価値向上は、その中長期的な成長を通じて実現されるものであり、社会全体の持続的な発展とそのサステナビリティが、当社グループの事業運営上においても重要な課題と位置づけ、積極的かつ優先的に取り組んでまいります。
当社グループは、持続的な成長を実現するために必要となる重要な経営課題について、当社のグループ戦略企画室、リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会において検討し、必要に応じて取締役会に報告を行うこととしております。
なお、人的資本に関連する取り組みについては、下記「(2) 人的資本に関する、人財育成方針や社内環境整備方針及び戦略」に記載のとおり様々な取り組みを行っており、グループ戦略企画室及び人事・総務部から、具体的な施策の内容やその効果等について、適宜取締役会に報告を行っております。当社グループのガバナンスに関する詳細は、「
当社グループでは、
当社グループでは、社名のとおり、会社をとりまくステークホルダーとともに成長することを目指しており、年齢・性別・国籍等の属性にかかわらず、技術スキル、学習意欲、コミュニケーション特性あるいは、その他の個性等、多種多様な側面で個性あるいは特性をもった人財を採用するとともに、こうした人財が定着し、一つのチームとして各人の能力を伸ばすことができる環境の整備に努めております。
当社グループでは、人事評価、採用等のプロセス等の人事制度の運用実務については、実際の現場実務者が主体的に行うべきという考え方から、特定のテーマについて組織横断的に、意見を取りまとめる任意の委員会活動、人事制度検討、新卒採用、ウェルネス推進、衛生委員会など、が組織・運営されております。
当社グループでは、新卒採用及び中途採用を行っております。中途採用に当たっては、経験者に限らず、未経験者であってもそのポテンシャルを重視して採用しております。多様性を重視するとともに、今後の事業の国際展開を想定して、海外籍の留学生の採用を積極的に行っております。
当社グループでは、自社開発による4ヶ月間の新卒社員向け技術研修、オンラインツールを用いたコンプライアンス研修や情報セキュリティ研修等を実施しているほか、社内での自発的なグループ学習、外部のコミュニティイベントへの参加機会の提供等、各人の成長につなげる機会を整備しております。具体的には、自己研鑽の一環として、社内勉強会やサイドプロジェクト等の本業以外の取組みに、業務時間の10%程度まで充てられることを、明示的に制度化(「MIGAKU(ミガク)」)し、グループを横断した学習機会の提供と人財育成プログラム(「GxDojo(ドウジョウ)」)の取組みを開始し、企業カルチャーの浸透や知見の共有を図っております。
当社グループでは、多様な人財が安心して働くことができる各種人事制度、働きやすいワークプレイス環境の整備、健康経営の定着・高度化を目指して、ウェルネス推進委員会が各種の施策を検討する福利厚生制度など、多くの施策を実施しております。これらの施策が評価され、健康保険組合連合会東京連合会による「健康優良企業 銀の認定」及び日本健康会議による「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定を受けております。
ジェンダー、国籍、年齢、家族構成など家庭の背景、働き方、その他各人の個性の多様性を重視し、それぞれがそれぞれの強み・特性を発揮できる業務、仕事、組織での役割を通じて組織貢献できる環境を整備するため、グローバル人財の積極採用や社内研修の実施、多様な働き方の推進など、D&I推進活動(注1)にも取り組んでおります。女性の活躍推進にも積極的に取り組み、その成果として厚生労働省の「えるぼし」認定において3つ星を取得しております。
当社グループは、経営の健全性を維持しつつ、事業を推進し、企業価値向上を目指すにあたって、当社グループの企業活動に悪影響を及ぼす事象を適切に管理するため「リスク管理規程」を定めており、グループ全体で管理体制を整えております。
リスクの特定・測定・評価及びその対処方針の立案と実行は、リスクが発生する業務を所管している部署において行うこととしており、その状況及びリスク管理の結果について、リスク管理委員会事務局である経営企画部がモニタリングを行い、リスク管理委員会に報告されております。
なお、重要なリスクに関しては、リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会において、それぞれ検討を行い、必要に応じて取締役会に報告を行うこととしております。
当社グループのリスクに関する詳細は、「
当社グループでは、上記「(2)人的資本に関する、人財の育成方針、社内環境整備方針及び戦略」に記載した方針に基づき、人財の育成・定着に取り組み、成長戦略の実現及び企業価値向上を実現してまいります。現時点における具体的な指標及び目標としては、グループ社員数の10%程度の新卒採用を継続するとともに、海外出身人財を積極採用し、将来的に海外出身人財比率(注2)40%以上を目指しております。
本項において使用しております用語の定義について以下に記します。
(注) 1.「D&I推進活動」 国籍、年齢、性別、障がいの有無、宗教、ライフスタイル、ライフステージ等、さまざまな属性において多様性を持つメンバーが活躍できる組織を実現するために、当社グループにおいて取り組んでいる各種の活動
2.海外出身人財比率の定義は「第二部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容」の用語解説に記載しております。
当社グループのリスク管理体制及び財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると考えられる主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、後記「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおり、「内部統制システム構築に関する基本方針」及び「リスク管理規程」において、当社グループの事業活動に関するリスク管理について定めております。リスク管理担当取締役が当社グループのリスク管理を統括し、リスク管理委員会及び同委員会において指名された子会社のリスク管理責任者が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。
当社グループにおいて、リスクとは、経営、事業、サービス・製品、情報セキュリティその他の当社グループの業務領域全体において、当社グループの企業理念及び行動規範、社会的責任、コンプライアンスの観点から問題のある事象、又は外部的要因により、企業としての活動に悪影響を及ぼす事象と定めております。
リスク管理委員会は、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行うこととし、リスク管理委員会において抽出されたリスク項目について、発生可能性と影響度で評価しております。それらのリスクの重要度に応じて、職務分掌に基づき担当取締役及び子会社のリスク管理責任者が、それぞれの担当職務ごとに管理し、リスク管理委員会はそれをモニタリングしております。
当社グループのリスク評価基準は以下のとおりであります。
以下の数式によりリスク評価スコアを算出しており、リスク評価スコアが8以上のリスクを重点リスクと位置づけております。
リスク評価スコア=影響度レベル×発生頻度レベル
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。また、当社グループはエンタープライズDX事業の単一セグメントのため、セグメント情報に関連付けた記載を行っていません。
当連結会計年度末における財政状態は、資産は3,536,639千円(前連結会計年度末比581,441千円増)、負債は1,625,285千円(前連結会計年度末比125,575千円増)、純資産は1,911,353千円(前連結会計年度末比455,865千円増)となりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて516,379千円増加し、1,978,913千円となりました。これは主に、現金及び預金が443,928千円増加したこと、売掛金及び契約資産が109,027千円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて65,061千円増加し、1,557,725千円となりました。これは主に、投資有価証券が64,879千円増加したこと、保険積立金が27,272千円増加したことによるものであります。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて195,234千円増加し、1,331,934千円となりました。これは主に、未払法人税等が81,102千円増加したこと、未払費用が47,909千円増加したこと、預り金が25,419千円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて69,659千円減少し、293,350千円となりました。これは主に、長期借入金が43,941千円減少したこと、社債が25,400千円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて455,865千円増加し、1,911,353千円となりました。これは主に、利益剰余金が417,459千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善の下で緩やかな景気回復が進む一方で、世界的な金融引締めの影響や中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れリスクを含み、中東地域をめぐる情勢等による不透明感が継続する状況で推移いたしました。
このような経済状況にありながらも、当社グループの事業領域であるDX(デジタルトランスフォーメーション)関連分野においては、企業の新たな事業モデルへの転換や、労働力人口の減少による人手不足への対応といった、中長期的な経営課題に対する解決策が幅広い分野で引き続き強く求められており、企業活動全般を対象としたデジタル変革のためのIT投資が活発に実行されている状況であります。
一方で、現状において企業が利用できるDX支援サービスには、「オンライン会議の導入」や「ペーパーレス化」など業務の周辺領域の若干の改善やコスト削減の範囲にとどまっているものも多く、「データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」といった、DXに取り組む企業の本質的な要求に応えるサービスの提供者は限られております。
当社グループでは、大手企業(エンタープライズ企業)が新たな価値創出を実現しながら組織/ITを変革(DX)していく取り組みを「エンタープライズDX」と位置づけ、ヘルスケア、小売・流通、モビリティ、通信、建設、製造、金融など各業界におけるリーディングカンパニーであるエンタープライズ企業を主な顧客とし、顧客のエンタープライズDXを実現する「エンタープライズDX事業」を展開しております。
なお当社グループの事業は「エンタープライズDX」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、カテゴリーは以下のように分類しております。
DX推進支援事業の分野では、流通・医療・スマートモビリティ・百貨店等、各業界の大手企業に向けたデジタルプラットフォーム構築の取り組みが拡大いたしました。従来から取り組んできたコンビニエンスストア業界向けの大規模クラウド基盤の構築・運用、医療業界向けの検査機器連携システム構築、スマートモビリティ関連のクラウドプラットフォーム開発等に加え、新たに地図や航空写真等の空間情報を蓄積し活用するためのデータ駆動型プラットフォームの構築にも着手いたしました。また、顧客内のDX推進チームに向けたアジャイルプロセス導入等のコンサルティングサービスも拡大いたしました。
DX支援プロダクト・サービス事業の分野では、アトラシアン社のアジャイルチーム向けコラボレーション支援製品およびFresche Solutions社のIBM i(旧System i, AS/400)アプリケーションモダナイズソリューション製品の販売と、Contentserv社のクラウド型商品情報管理製品に関するプロフェッショナルサービスが拡大いたしました。
デジタルサービス共創事業の分野では、医療機関の透析治療に関わる業務を支援する、医療DX領域の取り組みを継続いたしました。また、医療に関わるデータを国境を超えて管理するためのグローバル医療データプラットフォームの構築にも着手いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,422,114千円(前連結会計年度比18.4%増)、営業利益は602,600千円(同56.1%増)、経常利益は611,855千円(同54.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は417,459千円(同49.6%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,113,514千円と前連結会計年度末と比べ444,728千円(66.5%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは545,173千円の収入となり、前連結会計年度と比べ収入が361,410千円(196.7%)の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が611,499千円となったことに対し、法人税等の支払額が125,570千円、売上債権の増加が109,027千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは24,958千円の支出となり、前連結会計年度と比べ支出が249,750千円の増加となりました。これは、定期預金の払戻による収入が41,601千円、投資有価証券の売却による収入が37,624千円あったことに対し、定期預金の預入による支出が40,300千円、保険積立金の積立による支出が28,005千円、投資有価証券の取得による支出が28,298千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは75,486千円の支出となり、前連結会計年度と比べ支出が243,723千円の減少となりました。これは、長期借入金の返済による支出が43,941千円、社債の償還による支出が33,800千円あったこと等によるものであります。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはエンタープライズDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはエンタープライズDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはエンタープライズDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注)1.ニプロシステムソフトウェアエンジニアリング㈱は、ニプロ㈱の子会社であります。
2.第17期連結会計年度において、ニプロ㈱は販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の売上高は4,422,114千円(前期比18.4%増)となりました。これは主に、大手顧客に対するDX推進支援事業と、AtlassianやFresche等の他社プロダクト販売によるDX支援プロダクト・サービス事業が拡大したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は2,473,830千円(前期比18.4%増)、売上総利益は1,948,283千円(前期比18.2%増)となりました。これは主に、仕入商品の売上が増加し、それに係る仕入高が増加した他、既存顧客企業との新規案件の受託及び積極的な人財採用により労務費が増加したこと、外注費が増加したことによるものであります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,345,682千円(前期比6.7%増)、営業利益は602,600千円(前期比56.1%増)となりました。これは主に、積極的な人財採用により給与手当が増加したこと、監査費用、上場関連費用及び採用費により支払手数料が増加したことによるものであります。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は24,884千円(前期比6.0%増)、営業外費用は15,629千円(前期比21.3%増)、経常利益は611,855千円(前期比54.3%増)となりました。これは主に、営業外収益として、社宅に関する受取賃貸料7,907千円、補助金収入6,566千円が、営業外費用として支払利息8,241千円、株式公開費用6,014千円が発生したことによるものであります。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損失は355千円、親会社株主に帰属する当期純利益は417,459千円(前期比49.6%増)となりました。
これは、特別損失として、固定資産除却損355千円が発生したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、エンジニア、コンサルタントの人件費、外注費等であります。運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。なお、安定的かつ機動的に運転資金を確保することを目的として、取引金融機関と当座貸越契約を締結しております。今後の更なる業容拡大に対応するための資金に関しては、自己資金に加えて、株式上場時の調達資金を用いて、成長投資の実行とともに財務基盤の強化を図ってまいります。
④ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
当社は、「ITを駆使して顧客企業の価値を創造すること」をミッションに掲げ、事業を拡大してまいりました。当社がこの理念の下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者が常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しております。
⑦ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
当社グループの経営上の重要な契約は以下のとおりであります。
当社グループは将来を見据えた研究開発や新規事業の創出が重要な課題であると考え、「組織」と「IT」の両面にわたるDX支援サービスに係る自社プロダクトの開発等、中長期の競争力確保につながる研究開発及びノウハウの蓄積を継続的に行っております。
当連結会計年度における主な研究開発活動として、DX支援プロダクトの自社サービス開発、デジタルサービス共創事業における研究開発に取り組んでおります。自社サービスとしては、主に「GxDiste(ディスティ)」、「GxWagora(ワゴラ)」という2つのサービスの開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
なお、当社グループはエンタープライズDX事業の単一セグメントであるためセグメントごとの記載は省略しております。
開発体制としては、当社のグループ戦略企画室にて投資計画作成・事業企画・製品企画を実施し、サービスの開発は子会社に委託しております。GxDisteの開発はGraat、GxWagoraの開発はGxPに委託しております。
GxDisteは、基幹システム/オンプレミスシステム(以下、基幹/オンプレ)からのリアルタイムデータ連携を最短1カ月で実現できるデータ連携ツールであります。基幹/オンプレのデータはデジタルサービスを開発する顧客にとって重要な資産であり、そのデータを活用することは必須項目であります。しかし、基幹/オンプレのデータ活用に際しては、基幹/オンプレシステムの改修に要する期間が長期にわたりコストも高額になる、連携頻度が1日1回など低頻度になることで顧客行動にタイムリーにアプローチできないなど、課題が存在いたします。GxDisteを活用することで、基幹/オンプレからのリアルタイムデータ連携を最短1カ月で実現可能になります。
GxWagoraは、DX組織の生産性・健全性向上支援ツールであります。当社グループが蓄積してきたDX組織運営のナレッジをツール化したサービスです。DXサービス開発組織のマネジメントは、組織やチームの生産性や健康状態を計測したい、テレワークになり「あのチームが盛り上がっている」「あの人とあの人が良く話している」が見えなくなった、ケアが必要なチームや個人に早く気が付いて手を打ちたい等の課題を抱えております。
GxWagoraを導入することにより、チームとメンバーの生産性・健全性を多面的に指標化、チームとメンバーの成長に繋がる気づきや振り返りを支援いたします。