第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当事業年度末(2024年8月31日)現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、以下の経営理念「VISION」「MISSION」「POLICY」を定めています。

・VISION(私たちの目指すべき未来像):

私たちは、ヒトの魅力とモノの魅力で、お客様の期待を超える満足を提供し、お客様に選ばれ、必要とされる企業となる。

 

・MISSION(私たちの使命):

私たちは、人々の生活を楽しく豊かなものにするため、世代を超え、愛され続けるジーンズの魅力を発信していきます。

 

・POLICY(私たちの方針):

1.お客様を第一に考え、お客様に喜んでいただける会社を目指します。

2.誠実さと公正さをもって、社会から信頼される会社を目指します。

3.人を育て、人を活かし、働き甲斐のある会社を目指します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題と経営戦略

当社は、2024年8月期から2026年8月期までの3ヵ年を実行期間とする中期経営計画(2023年10月11日公表)を策定し、売上高、営業利益、営業利益率の数値目標達成に向けて重点施策に取り組んでまいりました。本計画期間は、当社の「強みの再定義・磨き込み」のフェーズと位置付け、価値訴求への本格的シフトによる売上総利益率の改善、成長チャネルへの戦略的投資による売上総利益の伸長を目指したものの、価値訴求への転換に伴う既存顧客離れの速度と新規顧客獲得の速度が釣り合わず、計画した客単価は実現できている一方で客数の落ち込みが激しく、計画初年度の目標が大幅未達となりました。

今後につきましては、(重要な後発事象)に記載のとおり、株式会社ワールド及び株式会社日本政策投資銀行(以下、「DBJ」という。)が共同で出資し、設立した株式会社W&Dインベストメントデザイン(以下、「W&DiD」という。)による当社を子会社化することを目的とした当社の普通株式に対する公開買付けに関して、賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の創業家である応募合意株主の資産管理会社であり、当社株式の15.7%を保有している有限会社藤原興産を引受人として、第三者割当増資を実施することを決議し、2024年11月29日開催の定時株主総会にて承認されました。

W&DiDはファッション産業の再生投資に精通した投資会社であり、同社の再生支援を受けることが、かかる商品力や発信力の強化という当社の課題解決に繋がり、また株式会社ワールドが当社の今後の更なる成長を実現させるための戦略的パートナーになり得る可能性が高いものとの判断に至り、賛同表明しました。

また、W&DiDが当社の支配権を獲得することを前提とし、新たに2025年8月期を初年度とする5ヵ年の新中期経営計画を策定いたしました。当該中期経営計画においては、聖域なきコスト構造改革の貫徹を掲げ、利益を出しやすい体質への転換とコスト意識の徹底を進めてまいります。翌事業年度以降は、不断のコスト合理化と共に競争力を強化し、再成長への挑戦と事業安定化を目指し、最終年度までに着実な利益成長を実現し、永続的な収益基盤の構築を図ります。

 

Ⅰ.中期経営計画の重点施策

1.不採算店舗の大規模な退店による収益性の向上

・2026年2月末までに、不採算店舗の大規模な退店を実施し、損益分岐点比率を引き下げる。固定費の削減と赤字店舗の解消により、事業効率を改善し、収益性向上を目指す

2.本部組織のスリム化と店舗人員最適化による人件費の削減

・本部組織の効率化を図るため、2025年8月末を目途に本部人員の大幅な削減を実施

・店舗オペレーションの改革・標準化とシフトや配置等の見直しによる店舗人員最適化

3.本部拠点の集約による賃借料及びその他の販売費及び一般管理費の削減

・原宿本部の移転及びつくば本部の閉鎖による本部拠点の集約

・ワールドグループ(株式会社ワールド、その子会社及び関連会社の総称)への業務委託・機能移管の推進や、ワールドグループが展開する「購買コンサルティング」「店舗開発・販売代行」等の活用による販売費及び一般管理費の削減

4.PB企画力の向上と生産背景見直しによる仕入原価率の低減

・ワールドグループのリソース活用によるPBの企画力強化と構成比の向上

・取引先や生産工場、原材料調達情報等、ワールドグループとの共有を通じた、仕入・調達コストの改善

5.滞留在庫及び回転率の低い継続在庫の大幅圧縮による在庫水準の適正化

・滞留しているシーズン在庫の一掃と、持越し在庫を生まない在庫コントロールの導入

・キャッシュ・フローや資産効率の悪化を招く回転率の低い継続在庫を大幅に圧縮

 

Ⅱ.中期経営計画のマイルストーン

フェーズ1.コスト構造改革の貫徹、組織安定化(2025年8月期)

フェーズ2.再成長への挑戦、事業安定化(2026年8月期)

1、2年目においては、Ⅰ.中期経営計画の重点施策に記載のとおり、不採算店舗の大規模退店、人員削減等の徹底的な販売費及び一般管理費の削減と商品構成の大幅な見直し等、コスト構造の改革と利益重視への企業風土への転換に注力することで、早期に営業利益を創出できる事業構造に転換し、事業基盤の安定化を図ってまいります。

フェーズ3.持続的な事業基盤の構築、付加価値創造・挑戦(2027年8月期以降)

3年目には持続的な事業基盤を構築し、2028年8月期以降の長期的な成長と付加価値創造に向けた革新への挑戦を始めてまいります。

1.新たな仕組みの構築

・リブランディングの推進

・再現性と自動化の徹底追求

2.仕組みの継続的な改善

・売上総利益率の最適化と持続的向上の実現

3.健全なプライドの構築

・確かな自信の醸成

・健全な危機感の維持

4.革新と持続可能な成長への移行

・柔軟かつ俊敏な組織運営の確立

・長期成長を見据えた戦略的実行

・自律と創造性を基盤とした挑戦

 

コスト構造改革に基づき、大幅な販売費及び一般管理費の削減や売上総利益率の改善に取り組むものの、大規模な店舗撤退による売上総利益の減少が大きく影響し、2025年8月期は1,500百万円の営業損失の計上を見込んでおりますが、2026年8月期以降も不断のコスト合理化を進めるとともに、ワールドグループのリソースを活かした競争力のあるPB開発に取り組み、PB構成比の拡大による仕入原価率の改善を図る他、取引先や生産工場、原材料調達情報を共有し、ワールドグループのスケールメリットを活かして仕入・調達コストの低減を図るなど、売上総利益率の改善に取り組んでまいります。

 

これらの取組みにより着実な利益成長を実現し、永続的な収益基盤の構築を図ってまいります。

中期的な経営目標の数値(2029年8月期)といたしましては

・売上高25,400百万円

・営業利益1,500百万円

・営業利益率5.9%

また中期経営計画(2025年8月期から2029年8月期)の初年度である2025年8月期の目標数値は、売上高28,100百万円、営業損失1,500百万円、経常損失2,000百万円、当期純損失1,800百万円としております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2024年8月31日)現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社の企業理念に込められた「人々の生活を楽しく豊かにするために」という想いのもと、当社は地球環境や社会課題への対応を経営方針の最重要事項のひとつとして捉え、以下の「サステナビリティ推進基本方針」を定め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

サステナビリティ推進基本方針

1. 重要課題を特定して、社会課題の解決に貢献するビジネスの推進

自社のみならず社会にとっても持続可能な成長につながる重要課題を特定し、事業活動を通じて企業価値向上を目指します。

2. 社会との相互信頼づくり

正確で分かりやすい情報開示に努め、ステークホルダーとの建設的な対話を通じて、社会からの期待や要請を受けとめ、それらを実践していくことで信頼される企業を目指します。

3. 環境・人権に配慮し、持続可能な資源利用につながるバリューチェーンの構築

地球環境の保全や人権と労働における基本的権利に配慮した事業活動を推進します。取扱商品のサプライチェーン上の地球環境、及び人権・労働への配慮状況の把握に努め、取引先に当社のサステナビリティに対する考え方への理解と実践を求め、持続可能なバリューチェーンの構築を目指します。

4. サステナビリティ推進に向けた従業員への教育・啓発

「サステナビリティを推進するのは社員一人ひとり」であることから、従業員に対し重要課題に関する意識を醸成するための教育・啓発活動を行います。社員一人ひとりが、本方針に基づき各組織のアクションプランを実行します。

 

サステナビリティ経営を全社で横断的に推進するため、2021年9月から取締役を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置し、重要課題の設定プロセスを経て、(2)戦略に記載の5つの「持続可能な企業活動におけるマテリアリティ」を策定しました。特定したマテリアリティについては5つの部会「環境・資源部会、サプライチェーン部会、働き方部会、お客様部会、ガバナンス部会」を設け、2030年に向けたKGI(ありたい姿)を明確にするとともに年次ごとのKPIを設定し、取組みを推進しております。

サステナビリティ推進委員会は、毎月各部会の施策の進捗状況の確認・協議・決議を行い、その方針や内容を四半期に1度、経営会議にて報告を行い、気候変動等に対する課題に関しての協議と意思決定を行っております。また、半期に1度、取締役会において、「経営会議」及び「サステナビリティ推進委員会」で協議・決議された内容や課題に関して報告し、全社の気候変動等への対応方針及び実行計画等について議論・監督を行っております

 

(2)戦略

当社におけるサステナビリティ経営の実現に向けて、集中的に経営資源を投下する5つのマテリアリティ(重要課題)を策定しております。各マテリアリティは「5部会」が担当し、各部会が有機的に連携しながら全社横断的に推進しております。

また、当社はサステナビリティ経営を推進するとともに、2022年10月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明いたしました。気候変動問題をサステナビリティ経営上の重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しております。各マテリアリティの取組に加え、TCFD提言に基づき、気候変動への対応に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」についての情報開示を推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 

担当部会

重要課題

当社の取り組み

環境・資源部会

地球環境負荷の軽減

・商品供給に伴って発生する環境負荷の低減

・廃棄物やプラスチックの削減を中心とした再生可能資源の利用

・業務運営に関わる資源使用の削減

サプライチェーン部会

責任ある調達への取り組み

・環境に配慮した、安心・安全な商品調達

・商品生産量の適正化による資源使用量の削減

働き方部会

個性を活かし、働き甲斐を生む環境づくり

・機会均等と多様性の推進

・自分らしさが見つけられ、やりがいを感じる職場環境の実現

・従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出す、公正な評価・処遇の実現

お客様部会

お客様満足追求の取り組み

・お客様からの声を定性的・定量的にインプットする環境づくり

・お客様からの声を部門横断的に共有・分析する仕組みの構築

・商品政策・計画・実現へのアウトプットのための体系

ガバナンス部会

コーポレートガバナンスの強化と充実

・「コーポレートガバナンス・ガイドライン」の定期的な見直し

・ステークホルダーとの適切な協働やその利益の尊重、健全な事業活動倫理を示した「ライトオン行動指針」の実践促進

・透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みの強化

 

また、「働き方部会」に含む、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。

当社は、継続的に成長するうえで、従業員やお客様をはじめとする『人』の支えが最も重要と考えており、経営ビジョンの実現に向けて、eラーニングをはじめ、教育・研修・資格取得機会を提供するなど継続的に人的資本の充実を図り、持続的な企業価値の向上につなげることを人事施策基本方針としております。

2022年9月に改定したミッショングレード制人事制度を有効に活用し、人材育成や配置・登用など、従業員一人ひとりが成長に向けて挑戦ができる環境整備を進めてまいります。

多様性の確保の観点から、女性活躍推進については経営の重要課題のひとつと認識し、当社では店長職以上の女性管理職比率30%以上を維持することを掲げております。

女性のキャリア開発・生活環境との両立支援、障がい者雇用の促進など、多様な価値観・考え方を受け入れられる環境づくりを推進するとともに、育児・介護への支援制度の拡充、短時間勤務制度の周知及び有給休暇取得の促進などワークライフバランスを尊重することで従業員の多様性を大切にし、心身ともに健康で、豊かな対話のある文化をつくることで、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(3)リスク管理

2008年10月から代表取締役を委員長とする「リスクコンプライアンス委員会」を設置し、気候変動を含む事業活動に関わるリスクを定期的に洗い出すとともに、毎年重要リスクの評価・選定を行い、経営課題等の検討対象としております。サステナビリティに関するリスクについても統合的なリスク管理体制で管理し、「サステナビリティ推進委員会」、各部門と連携しリスク・機会の識別を行っております。

財務上及び事業戦略上における全社の重要リスクの特定と管理体制の強化をその影響度・頻度などの面から分析・評価を実施しております。また、半期に1度、取締役会への重要リスクの報告を行い、取締役会は、中長期に向けた議論を行い、リスクに関する対応と進捗について、監督・指示を行っております。

 

 

 

(4)指標及び目標

当社は、気候変動における二酸化炭素(CO2)排出を重要課題と捉え、2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、取り組みの指標としてサプライチェーンにおけるCO2排出量を特定し、LED照明の切り替え等、排出量の低減を推進してまいります。また、2050年カーボンニュートラルに向け、2022年を基準年度とした中間目標については2025年8月期を初年度とする新中期経営計画において重要課題と位置づけ、早期に検討してまいります。

                                         実績(単位:t-CO2)

サプライチェーン排出量

当事業年度実績

前事業年度実績

Scope1

事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

500

550

Scope2

(マーケット基準)

他社から供給された、電気、熱、蒸気の仕様に伴う間接排出

9,543

10,806

Scope2

(ロケーション基準)

9,310

10,518

Scope1+Scope2(マーケット基準)

10,043

11,356

Scope1+Scope2(ロケーション基準)

9,811

11,068

 

また、当社の人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

2030年8月31日時点

実績

(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合(注)1.2.

20.0以上

7.3

管理職候補以上の役職者に占める女性労働者の割合

(注)2.

30.0以上維持

31.8

育児休業取得率

(注)3.4.

女性

80.0%以上

81.0%

男性

30.0%以上

9.1%

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.当社における管理職は、ブロック長・リーダー以上としております。当社は女性管理職比率の向上を目指していくために、管理職候補であるエリア長、店長、専門職以上の役職者に占める女性労働者の割合を維持・向上させることを目標として取り組んでおります。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

4.正規雇用労働者及び有期労働者のうち契約社員を対象として算出したものであります。

 

 

3【事業等のリスク】

以下に記載する事項は、当社の事業その他のリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当事業年度末(2024年8月31日)現在において当社が判断したものであります。

 

1.継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、当事業年度まで2期連続で営業損失、経常損失及び6期連続で当期純損失を計上し、当事業年度において重要な営業損失5,000百万円、経常損失5,166百万円及び当期純損失12,142百万円を計上しております。この結果、当事業年度末の純資産合計は315百万円となりました。

また、一部の取引金融機関からの借入については、現時点では期限の利益喪失に関わる条項を適用する旨の通知を受けていないものの財務制限条項に抵触しております。

さらに、翌事業年度以降の構造改革による事業収支改善が不可欠であるものの、その遂行に必要な資金は、現時点で確保できておりません。

これらの事象又は状況は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に該当しております。

当該事象又は状況を解消すべく、(重要な後発事象)に記載のとおりW&DiDが当社の支配権を獲得することを前提とし、新たに2025年8月期を初年度とする5ヵ年の新中期経営計画を策定いたしました。当該中期経営計画においては、抜本的な構造改革を軸に、持続的成長に向けた事業基盤の確立に向けて、聖域なきコスト構造改革の貫徹を掲げ、利益を出しやすい体質への転換とコスト意識の徹底を進めてまいります。翌事業年度以降は、不断のコスト合理化と共に競争力を強化し、再成長への挑戦と事業安定化を目指し、最終年度までに着実な利益成長を実現し、永続的な収益基盤の構築を図ります。

コスト構造改革の主な内容は以下のとおりです。

①不採算店舗の大規模な退店による収益性の向上。

②本部組織のスリム化と店舗人員最適化による人件費の削減。

③本部拠点の集約による賃借料及びその他の販売費及び一般管理費の削減。

④PB企画力の向上と生産背景見直しによる仕入原価率の低減。

⑤滞留在庫及び回転率の低い継続在庫の大幅圧縮による在庫水準の適正化。

また、当事業年度末日において、一部の借入金は財務制限条項に抵触しておりますが、取引金融機関と資金計画等の協議を行い、引き続き取引金融機関と緊密な関係を維持し、継続的な支援をいただけるよう努めております。

さらに、(重要な後発事象)に記載のとおり、2024年10月8日開催の取締役会において、当社の創業家の資産管理会社である有限会社藤原興産を引受人とする第三者割当増資を実施することを決議し、株式公開買付けに当社の創業家及び有限会社藤原興産が応募することにより、W&DiDが当社の支配権を獲得後に同社の共同支配株主であるDBJグループが資金支援を行なうことを検討いただいております。

以上の施策をもって、必要な資金の確保及び維持を図っておりますが、アパレル小売業の競争環境が厳しくなっている中で収益力を強化すること、及び本部組織のスリム化と店舗人員最適化により人件費を削減すること、並びに取引金融機関及びDBJグループからの支援を得ることの可能性は未だ不透明であることを踏まえ、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 

2.消費者の嗜好の変化などに伴うリスク

当社が取扱う商品は、ファッショントレンドの変化や消費者の嗜好の変化による影響を受けやすいため、消費者の需要動向にあった商品の仕入れが行われなかった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、お客様の多様なニーズの変化にいち早く対応し、従来の商品計画・発注業務のプロセスを改善、短サイクル型の発注割合をコントロールしながら、当社ならではのブランドミックスの品揃えの最適化を進め、リスクの低減を図ってまいります。

 

3.気象状況などによるリスク

当社が取扱う商品は、天候の状況により売上が影響を受けやすいため、冷夏暖冬などの天候不順や台風といった予測不能な気象状況が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、近年の地球温暖化により、大型の台風や局地的豪雨等の異常気象の発生頻度が高くなる傾向にありますが、「お客様起点の発想に立った事業活動」を第一に考え、CS活動によるサービス品質の向上と新商品開発に注力し、気象状況の影響を受けにくい強固な経営基盤の構築を目指してまいります。

 

4.仕入先に関するリスク

当社の仕入先の信用不安や経営環境の悪化、経営破綻などにより、商品の供給が減少した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

ブランドミックスの品揃えの最適化に向け、複数の仕入先との取り組みを強化することでリスクの低減を図ってまいります。

 

5.店舗賃借に伴うリスク

当社の店舗の大部分は、ディベロッパーや地主から賃借しており、出店にあたり保証金を差し入れております。契約に際しては、相手先の信用状態を判断した上で出店の意思決定をしておりますが、倒産その他賃貸人の信用状態の悪化等の事由により、差し入れた保証金の全部又は一部が回収できなくなる場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ロードサイド型店舗については、賃貸借期間が10~15年と長期にわたるものが多く、基本的に保証金は契約期間が満了しなければ返金されません。当事業年度末時点における店舗賃貸の敷金及び保証金残高は6,634百万円であり、総資産の43.4%を占めております。

この他、当社のショッピングセンター内の賃借店舗では、毎日の売上金は当該ショッピングセンターのディベロッパー等に預託され、一定期間の後、当社に返還されるまでは、未収入金となります。これについては、預託相手先であるディベロッパー等の倒産等の事由により、全額又は一部が回収できなくなる場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当事業年度末時点におけるディベロッパー等への預託に係る未収入金残高は261百万円であり、総資産の1.7%を占めております。

また賃借店舗については定期建物賃貸借契約を締結している場合がありますが、借地借家法第38条により契約期間満了後、当社に再契約の意思があったとしても、相手方の意思により再契約ができない可能性があります。この場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.出退店及び固定資産に関するリスク

出店については、集客の見込めるショッピングセンターへの出店が大部分を占めております。当該ショッピングセンターの出店計画が変更になった場合、当社の出店計画に影響を及ぼすことがあります。ショッピングセンターへのテナント出店は、契約期間が短く、退店が容易である反面、テナント間の出店競争により、賃料が上がる可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

退店については、スクラップ&ビルド等によって業績への影響を小さくするようにしておりますが、退店時には店舗閉鎖損失が発生する場合があります。この場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.顧客情報の流出に関するリスク

当社は、お客様から得た個人情報に関しては漏洩が生じないように万全の対策を講じており、従業員への徹底も研修等にて行っておりますが、何らかの事情により、お客様の個人情報が漏洩した場合は、信頼の毀損により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

万一それら情報が外部に漏洩した場合は、対策委員会を立ち上げ、原因追及と再発防止策の構築に取り組みます。また第三者機関と連携し、弊社セキュリティ体制の評価を行うなど、より実効的な再発防止策を講じます。

 

8.業態開発に伴うリスク

当社は、業容拡大のため積極的に業態開発を進めておりますが、市場環境の変化や、顧客への浸透が想定通りに進捗せず、計画していた売上を見込めない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

9.パートタイム従業員に係る費用の増加リスク

当社は、多数のパートタイム従業員を雇用しております。パートタイム従業員は当社の従業員に占める比率が高いため、種々の要因によりパートタイム従業員に係る費用が増加した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

10.災害等に伴うリスク

当社は、日本国内に店舗を有しており、大規模な地震、台風、洪水などの自然災害、事故、火災、テロ、感染症などの災害等が発生した場合、店舗運営や商品供給等に支障をきたし、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

11.財務制限条項

当社の一部の借入金には財務制限条項が付されております。

(1)各本・中間決算期の末日における当社の単体の貸借対照表における、純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期の末日または2019年8月決算期の末日における当社の単体の貸借対照表における純資産の部の金額のいずれか大きい方の60%の金額以上に維持すること。

(2)各本・中間決算期の末日における当社の単体の損益計算書上において、2半期(各本・中間決算期毎に1半期として計算する。)連続して経常損失を計上しないこと。

当該条項に抵触した場合には、当該借入金の期限の利益を喪失し、当社財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当事業年度末において財務制限条項に抵触しておりますが、現時点では、期限の利益の喪失に関わる条項を適用する旨の通知を受けていません。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

また、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

①財政状態及び経営成績等の状況

当事業年度(2023年9月1日~2024年8月31日)における我が国経済は、コロナ禍の収束により社会経済活動の正常化が進み、個人消費やインバウンド需要の回復が見られたものの、エネルギー価格や原材料価格の高騰、円安の常態化による物価上昇や不安定な海外情勢の長期化等、依然として先行きの不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社は、利益重視への抜本的な転換を図り、経営上の重要課題の克服に向け策定した2024年8月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画(2023年10月11日付公表)のもと、価値訴求への本格的シフトによる売上総利益率の改善と成長チャネルへの戦略的投資による売上総利益の伸長を営業戦略に掲げ、プロパー消化率の向上、戦略店舗の収益力強化、自社ECの強化を重点施策とし、持続的成長のための事業基盤の構築を図ってまいりました。

取組み内容といたしましては、当事業年度は「戦略見直しステージ」と位置づけ、有力NB(ナショナルブランド)との戦略的パートナーシップの強化や新たなブランドホルダーとの取引開始、PB(プライベートブランド)を主要ターゲット層のニーズに沿ったブランド・テイストに絞り込むなど、ジーニングカジュアルの再強化に向け、提供価値を最大化できる商品構成に見直しを進めてまいりました。また、期初発注数量を抑制し、期中の売れ行きや市場変化に対応した柔軟な期中仕入体制の実現や、在庫分析クラウドシステムを導入し、売れ筋商品の在庫管理の精緻化に努めるなど、プロパー消化率や売上総利益率の向上と在庫適正化への取組みを最優先事項とし、利益重視への抜本的な転換を図り、価値訴求への本格的シフトを推進してまいりました。

また、成長ポテンシャルが高い店舗を中心に、NBのショップインショップ導入やブランドコーナー化の推進など、魅力的な店内環境の構築に向けた投資や、インフルエンサーによる店内イベント実施など集客力向上に向けた個別販促活動の他、商圏属性や顧客属性にもとづいた店舗限定商品の展開を行うなど、店舗ごとの品揃えの最適化に向けた取組みを実施してまいりました。ECビジネスにおきましては、顧客への情報発信の充実やオンライン接客の質的向上への取組み、ジーンズソムリエ(注釈参照)によるジーンズ選びに関する悩みをオンライン上で解決する相談サービスの提供など、店舗スタッフの強みを活かしたOMO(Online Merges with Offline:ECサイトと実店舗の融合)を推進し、オンライン・リアル店舗の両方で充実した顧客体験を提供できる環境を整え、EC関与売上の成長に向けた取組みを進めてまいりました。

(注釈)ジーンズソムリエ

ジーンズに関するプロフェッショナルを育成するために誕生した「ジーンズソムリエ資格認定制度」

の合格者。当社には179名(2024年8月末日現在)と多数のジーンズソムリエが在籍。

 

店舗展開におきましては、2店舗の出店と35店舗の退店により、当事業年度末の店舗数は340店舗となりました。

サステナビリティへの取組みといたしましては、不要になったジーンズを回収し、新しいデニム製品の原料とするリサイクル活動である「つなごう藍い糸プロジェクト」の第4弾を2024年3月に実施し、多数のジーンズを回収いたしました。また、各地域で開催したジーンズの端切れを再利用するワークショップには多くのお客様にご参加いただき、ジーンズを中核アイテムとして販売する企業として、循環型社会の形成に貢献する取組みを継続して行い、多くのお客様から共感と好評をいただきました。

 

この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態の状況

資産

当事業年度末における総資産は、15,300百万円となりました。

流動資産は、前事業年度末に比べて7,492百万円減少し、8,281百万円となりました。これは主に現金及び預金が2,326百万円、商品が5,368百万円、売掛金が35百万円それぞれ減少し、未収入金が250百万円増加したことによるものであります。

固定資産は、前事業年度末に比べて4,209百万円減少し、7,018百万円となりました。これは主に有形固定資産が2,305百万円、無形固定資産が539百万円、投資その他の資産が1,365百万円それぞれ減少したことによるものであります。

負債

当事業年度末における負債合計は、14,984百万円となりました。

流動負債は、前事業年度末に比べて460百万円増加し、11,336百万円となりました。これは主に電子記録債務が1,051百万円、短期借入金が915百万円それぞれ減少し、店舗閉鎖損失引当金が1,050百万円、資産除去債務(流動)が1,213百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定負債は、前事業年度末に比べて89百万円増加し、3,647百万円となりました。これは主に資産除去債務(固定)が1,006百万円増加し、長期借入金が1,341百万円減少したことによるものであります。

純資産

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて12,251百万円減少し、315百万円となりました。これは主に当期純損失を12,142百万円計上したことによるものであり、総資産に占める自己資本比率は1.6%となりました。

 

b.経営成績の状況

経営成績につきましては、新規仕入れの抑制や、持ち越し在庫の消化を加速度的に実施したことにより、在庫適正化は計画通り進捗することができましたが、上半期におきましては、前年踏襲型のPB商品の販売不振等により、売上が低調に推移したことで在庫消化に向けた値引き幅が拡大し、売上総利益率も大きく低下しました。中期経営計画の取組みが本格的に進行した下半期におきましても、ジーニングカジュアル再強化に向けた商品構成の見直しの中、消費者ニーズに合致した品揃えができず、当社の発信力も不足したことにより既存顧客離れの速度と新規顧客獲得の速度が釣り合わず、想定以上の客数減少を招き、期初計画を下回る減収減益となりました。加えて、成長チャネルとして強化に取り組んだECビジネスにおきましても、自社EC・外部モールともに売れ筋商品の在庫不足等が影響し売上高は伸び悩み、店舗受け取りを含むEC関与売上高は前年同期を下回る結果となり、取組みの効果が十分に得られない結果となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は前期比17.3%減の38,808百万円となりました。

部門別売上高といたしましては、ボトムス部門14,510百万円(前期比10.7%減)、カットソー・ニット部門12,366百万円(前期比21.9%減)、シャツ・アウター部門5,683百万円(前期比22.9%減)となりました。

利益面におきましては、引き続き販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、在庫適正化への取組みとして大幅な在庫圧縮を実施する中で、売上苦戦によりシーズン商品の在庫消化に向けた値引き幅が拡大したことに加え、翌事業年度からの構造改革にともなう不採算店舗の大規模な退店を見越した商品評価損を1,564百万円計上したことで利益率が大幅に低下し、営業損失5,000百万円(前期は営業損失922百万円)、経常損失5,166百万円(前期は経常損失1,048百万円)となりました。

最終損益につきましては、投資有価証券売却益や店舗の水災被害に関連する受取保険金等、特別利益を247百万円計上し、退店及び固定資産の譲渡の決定並びに店舗の収益性の低下に伴う減損損失、共用資産を含む全社の固定資産の減損損失、構造改革における不採算店舗の大規模退店に係る店舗閉鎖損失、POSや会員データ基盤の投資解約に係る契約解除損失等、特別損失を7,070百万円計上したことにより、当期純損失は12,142百万円(前期は2,545百万円の当期純損失)となりました

今後の見通しにつきましてはエネルギー価格や原材料価格の高騰、円安の常態化による物価上昇や不安定な海外情勢の長期化等、依然として先行きの不透明な状況が続いており、その影響は翌事業年度を通して続くものと見込んでおります。

このような環境の中、当社は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境及び、対処すべき課題と経営戦略」に記載のとおり、W&DiDが当社の支配権を獲得することを前提とし、抜本的な構造改革を軸に、持続的成長に向けた事業基盤の確立に向けて、新たに2025年8月期を初年度とする5ヵ年の新中期経営計画を策定し、聖域なきコスト構造改革の貫徹を掲げ、利益を出しやすい体質への転換とコスト意識の徹底を進めてまいります。翌事業年度以降は、不断のコスト合理化と共に競争力を強化し、再成長への挑戦と事業安定化を目指し、最終年度までに着実な利益成長を実現し、永続的な収益基盤の構築を図ります。

中期経営計画の初年度である次期の見通しにつきましては、売上高28,100百万円、営業損失1,500百万円、経常損失2,000百万円、当期純損失1,800百万円としております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、955百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は577百万円となりました。これは主に、税引前当期純損失11,989百万円の計上に対し、減価償却費481百万円、減損損失5,043百万円の計上及び棚卸資産が5,367百万円減少した一方、仕入債務が985百万円減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は823百万円となりました。これは主に、新規出店、リニューアル等に伴う有形固定資産の取得による支出140百万円、定期預金の預入による支出200百万円、無形固定資産の取得による支出197百万円があった一方で、退店に伴う敷金及び保証金の回収による収入668百万円、有形固定資産の売却による収入446百万円、投資有価証券の売却による収入383百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2,772百万円となりました。これは主に、短期借入金の純減額915百万円及び長期借入金の返済による支出1,788百万円があったことによるものであります。

 

③商品仕入及び販売の実績

a.商品仕入実績

当事業年度の仕入実績を商品部門別に示すと次のとおりであります。

商品部門別

仕入高(百万円)

前期比(%)

ボトムス

6,669

87.6

カットソー・ニット

5,756

69.4

シャツ・アウター

2,564

65.2

その他

2,703

76.2

17,693

75.6

 

b.販売実績

当事業年度の販売実績を商品部門別に示すと次のとおりであります。

商品部門別

売上高(百万円)

前期比(%)

ボトムス

14,510

89.3

カットソー・ニット

12,366

78.1

シャツ・アウター

5,683

77.1

その他

6,247

83.5

38,808

82.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社における経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

(商品の評価)

当社は、商品の評価方法は売価還元法によっております。

当社の商品は、複数シーズン・年度にわたって仕入を継続する「継続在庫」と仕入を継続せず処分価格での販売を行う「非継続在庫」とに区分しております。

「継続在庫」は計画保有数量への調整のため値引き販売される場合があります。当該在庫は、当期の販売実績平均単価を正味売却価額とみなしております。「非継続在庫」は当事業年度の処分実績に基づく処分見込価格を正味売却価額としております。

売価還元法による在庫原価計上金額が当該正味売却価額を上回る場合には、当該正味売却価額までの簿価の切下げを実施しております。なお、当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があり、将来の販売実績単価と異なった場合、翌事業年度の財務諸表において、商品の簿価の切下げ額に重要な影響を与える可能性があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の経営成績等の状況は、以下のとおりです。なお、経営上の目標達成状況を認識及び分析・検討するに際しては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は、売上高25,400百万円、営業利益1,500百万円、営業利益率5.9%を、中期的(2029年8月期)な経営指標としております。

 

a.売上高及び売上総利益

0102010_001.png

 

(単位:%)

 

 

9月

10月

11月

12月

1月

2月

上期計

3月

4月

5月

6月

7月

8月

下期計

通期計

第45期

80.6

88.2

95.6

83.7

97.6

101.0

90.3

78.9

82.8

75.1

96.4

81.8

89.0

83.3

87.0

第44期

105.7

103.3

89.5

97.8

102.9

113.2

100.1

98.5

96.0

96.6

97.7

108.0

100.6

99.4

99.8

第43期

77.5

89.9

99.2

105.8

101.6

79.5

94.5

92.5

107.7

127.4

97.2

105.2

124.5

107.4

100.2

 

経営成績につきましては、新規仕入れの抑制や、持ち越し在庫の消化を加速度的に実施したことにより、在庫適正化は計画通り進捗することができましたが、上半期におきましては、前年踏襲型のPB商品の販売不振等により、売上が低調に推移したことで在庫消化に向けた値引き幅が拡大し、売上総利益率も大きく低下しました。中期経営計画の取組みが本格的に進行した下半期におきましても、ジーニングカジュアル再強化に向けた商品構成の見直しの中、消費者ニーズに合致した品揃えができず、当社の発信力も不足したことにより既存顧客離れの速度と新規顧客獲得の速度が釣り合わず、想定以上の客数減少を招き、期初計画を下回る減収減益となりました。加えて、成長チャネルとして強化に取り組んだECビジネスにおきましても、自社EC・外部モールともに売れ筋商品の在庫不足等が影響し売上高は伸び悩み、店舗受け取りを含むEC関与売上高は前年同期を下回る結果となり、取組みの効果が十分に得られない結果となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は前期比17.3%減の38,808百万円となりました。

上記のとおり、売上高が減少となったことや在庫消化のための値引き幅が拡大したことに加え、翌事業年度からの構造改革にともなう不採算店舗の大規模な退店を見越した商品評価損1,287百万円及び買付契約評価引当金繰入額286百万円計上したことで売上総利益15,465百万円(前期比68.5%)となりました。

なお、在庫回転率につきましては、持ち越し在庫の消化を加速度的に進めたこと等により、当事業年度末の商品は5,111百万円(前期比5,368百万円減少)、3.0回転(前期2.2回転)と前年から改善となりました。

 

b.営業損失及び経常損失

利益面につきましては、引き続き販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、在庫適正化への取組みとして大幅な在庫圧縮を実施する中で、売上苦戦によりシーズン商品の在庫消化に向けた値引き幅が拡大したことに加え、翌事業年度からの構造改革にともなう不採算店舗の大規模な退店を見越した商品評価損を1,564百万円計上したことで利益率が大幅に低下し、当事業年度の営業損失は5,000百万円、経常損失は5,166百万円となりました。

 

c.当期純損失

投資有価証券売却益や店舗の水災被害に関連する受取保険金等、特別利益を247百万円計上し、退店及び固定資産の譲渡の決定並びに店舗の収益性の低下に伴う減損損失、共用資産を含む全社の固定資産の減損損失、構造改革における不採算店舗の大規模退店に係る店舗閉鎖損失、POSや会員データ基盤の投資解約に係る契約解除損失等、特別損失を7,070百万円計上したことにより、当期純損失は12,142百万円(前期は2,545百万円の当期純損失)となりました。

 

当社の営業方針といたしましては、「お客様起点の発想に立った事業活動」を第一に考え、CS活動によるサービス品質の向上と新商品開発に注力し、顧客志向に基づいた経営基盤の構築を早期に目指してまいります。

お客様の多様なニーズの変化にいち早く対応し、当社ならではのブランドミックスの品揃えの最適化を図り、新生活様式を考慮した商品、お客様との接点の強化による集客力向上、見やすい売り場環境を整えていくことで、不安定な経営環境下においても確実に営業利益を計上できる収益体質を構築してまいります。

 

③資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、新規出店や改装に係る設備投資等によるものであります。

運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、必要に応じて資金調達を実施しております。

なお、当事業年度末における有利子負債の残高は2,443百万円、現金及び現金同等物の残高は955百万円となっております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当事業年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。

なお、当社は、W&DiDとの間で、2024年10月8日付で「公開買付け等の実施に関する覚書」を締結いたしました。当該覚書は、以下の(1)~(6)に記載の各行為に関する諸条件を合意することを目的としております。

(1)

公表

①W&DiD(以下、「本公開買付者」という。)が、公開買付け(以下、「本公開買付け」という。)を実施する予定であることを2024年10月8日(以下、「本覚書締結日」という。)に公表する。

②当社が、本公開買付けに賛同するとともに、株主総会において承認を受けることを条件として、募集株式の発行(以下、「本第三者割当増資」という。)を行うことを本覚書締結日に公表するとともに、法令等に従い、本第三者割当増資に係る有価証券届出書(訂正届出書を提出した場合は、当該訂正届出書を含む。)を提出する。

(2)

当社の株主総会の開催

当社にて、株主総会を開催し、本第三者割当増資の実施について承認決議(特別決議)を受ける。

(3)

本第三者割当増資の実施

有限会社藤原興産(以下、「本株主」という。)が当社に金銭(合計金650百万円)の払い込みを行い、当社から合計5,909千株の普通株式の割当てを受ける。

(4)

公開買付けの開始

本第三者割当増資の払込みの完了等の前提条件が充足された場合、本公開買付者が本公開買付けを開始する。

(5)

本株主による応募

本株主が、その保有する対象者の発行に係る普通株式の全てを本公開買付けに応募する。

(6)

本公開買付けの決済

本公開買付けの決済を経て、本公開買付者が当社を子会社化する。

なお、本公開買付けの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。

 

6【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。