第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「出前館事業」をメインビジネスとしております。

「出前館事業」におきましては、加盟店に対しては新たな販売手法の提供、ユーザーに対してはアプリやウェブで注文した商品が時間通りに届く利便性の高いサービスの提供、配達員に対しては効率良く収入を得られるフレキシブルな働き方を提供することを目指しており、当社のミッションである「テクノロジーで時間価値を高める」ことを目標として、テクノロジーの力を駆使し人々の生活や時間をより価値あるものにしていくため、更なるサービス体験の向上に努めることを経営の基本方針としております。また、配達代行(シェアリングデリバリーⓇ)という地域密着型のサービスを日本全国で展開することで、地域の活性化に貢献するとともに、地域や社会が抱える諸課題に対してのソリューションを提供できるサービスを構築して行きます。さらに、業界のリーディングカンパニーとして、デリバリー市場の更なる拡大・発展を目指すとともに、ユーザーから選ばれるサービスになることで企業価値の向上を図り、株主価値の向上に繋げてまいります。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループでは、事業の拡大に伴う売上、コスト及びキャッシュの増減を注視し、売上高、売上総利益率、営業利益及び売上高営業利益率を経営指標として重視しております。

また、「出前館事業」においては、急成長を遂げたフードデリバリー市場で継続的な市場拡大と事業成長を実現し、高い市場シェアを獲得・維持していく事が重要な経営目標であると考えております。その経営指標の目標達成を図る上での重要指標として、当社のようなプラットフォームビジネスにおいては、GMV(流通取引総額)の増加によって市場及び事業の成長を測ることができることから、そのGMVの増減を構成するユーザーからのオーダー数、オーダー数の増加に影響を与えるユーザーとしてアクティブユーザー数を注視しております。それぞれの定義は以下になります。

・GMV(流通取引総額):商品代金+配送料(値引き前)+その他ユーザー手数料

・オーダー数:特定期間内(例えば1年、四半期、1ヶ月など)における総注文回数

・アクティブユーザー数:1年以内に1回以上注文したユーザー数

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

少子高齢化や女性の社会進出、ライフスタイルの多様化等を背景に、食事や食品のデリバリー需要は確実に増加しており、フードデリバリー市場は成長を続けております。今後もフードデリバリーはシニア層や共働き世帯に限らず幅広い世代において日常利用が加速し、生活に不可欠なサービスとして定着するものと考えられることから、ユーザーにとって魅力的な加盟店の拡充や配達における質の高いユーザー体験の実現を通して、新規ユーザーの更なる獲得とユーザー当たりの利用頻度向上を図り、GMVの拡大を目指します。

さらに、2024年8月にサービス提供を開始した「Yahoo!クイックマート」によって食事や食品のデリバリーに留まることなく、飲料、薬、日用品などの商品を取り扱うクイックコマースの領域にも進出し、ユーザーにとってより利便性の高いサービスの提供をしてまいります。

また、一層多様化する個人のライフスタイルに対してデリバリー配達員というフレキシブルな働き方の選択肢を提供することで、新しい働き方を求める方々のニーズに応えていくとともに、プロダクトの改善を通した配達効率の向上に注力していきます。

 

(4) 経営環境

国内フードデリバリー市場は新型コロナウイルス感染症に起因する緊急事態宣言が2020年4月に発令されて以降、世帯当たりのフードデリバリーへの支出額が前年比で倍増するなど(出典:「家計消費調査」、総務省)、需要が急激に拡大した結果、海外の競合他社が相次いで参入し、ここ数年で大きく成長しました。各社がマーケットシェア獲得のための積極的な投資を実行する中、2020年は50%増、2021年には26%増と市場全体の取扱高が前年対比で伸長を続けており(出典:エヌピーディージャパン(株)CREST)、当社も、2021年9月に公募及びZホールディングス株式会社並びにNAVER Corporationに対する第三者割当増資によって約830億円の資金調達を完了し、GMV及びシェア拡大のための積極的かつ規律ある投資を実行してきました。その結果、競合他社において合併や事業撤退などの合従連衡が相次ぎ、想定よりも早く市場の合理化を進めることができました。外部環境につきましては、2022年に入りコロナ禍における感染拡大抑制のための行動制限や飲食店への規制が緩和され、経済再開への気運が高まった結果、外食需要がコロナ禍前の水準近くまで回復し、フードデリバリー需要はその煽りを受けることとなりました。加えて、2023年以降、消費者物価指数は上昇基調で、家計の消費支出は減少しており、フードデリバリーの需要にも少なからず影響を与えています(出典:総務省、厚生労働省)。そのようなマクロ環境の中、当社としては、フード及びノンフード領域における加盟店ラインナップの拡充や配達時間の短縮・予測精度向上、カスタマーサービスの品質改善を始めとするサービス体験の改善を着実に積み重ねることで、ユーザー、配達員、加盟店の満足度向上・定着化を図ってきました。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 「デリバリーの日常化」を実現するため、ユーザー体験・満足度の向上、ユニットエコノミクスの改善、新しい収益モデルの拡大

(イ) シェアリングデリバリー®の更なる拡大

 配達エリアの拡大と対象店舗数の拡大は、外食市場に対して新たな市場を創造し、「出前館事業」のビジネススケールを広げる礎となるため、スピーディーな展開を継続して行います。

 

(ロ)配達員の獲得

 注文時間に合わせ柔軟に機能する合理的な配達員体制の確立を行います。

 

(ハ) 配達効率の向上

 配達効率を引き上げることで配達コストの低減を行います。

 

(ニ) 提供価格に連動した手数料体系の変更

 オンライン化の推進、店舗オペレーションの改善、アクティブユーザー数増によるオーダー数増加等、出前館事業が飲食店に提供する価値に連動した手数料体系へ変更を進めます。

 

② アクティブユーザー数の拡大

 アクティブユーザー数は、現状、人口の10%にも至っておらず、中国や韓国といったデリバリー先進国においては30%前後というグローバルな水準から見ると、まだまだ獲得母数が少ない状況です。アクティブユーザー数を増やすこと、オーダー数の継続的な成長に繋げるための投資を行います。

会計年度

2020年8月期

2021年8月期

2022年8月期

2023年8月期

2024年8月

アクティブユーザー数

392万人

734万人

873万人

657万人

542万人

 

 

③ 人材の確保・育成

 当社グループ事業の拡大においては、優秀な人材の継続的確保は不可欠であります。適切な人材配置を行い、評価制度や給与体系をさらに整備・充実させることにより、社員が最大限のパフォーマンスを発揮し継続的にモチベーションを高められる環境づくりを行います。

 

④ 情報システム基盤、個人情報管理の強化

 当社グループにおいては、多数の店舗情報・個人情報を保有しており、情報管理責任の明確化、情報システム上の対策、従業員教育の一層の徹底を含む情報管理体制の継続的な強化を図ることが重要であると認識しております。システムインフラの強化をはじめ、情報管理に関する各種ルールの遵守、従業員教育の実施など、情報管理体制の強化に取り組みます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、"テクノロジーで時間価値を高める" というコーポレートミッションのもと、当社の事業特性を活かし、地域の人々の幸せをつなぐライフインフラとして、株主、従業員、配達パートナー、ユーザー、加盟店、取引先、地域社会をはじめとするすべてのステークホルダーの価値協創の重要性に鑑みて、適切な協働に取り組み、サービスを深化させ、地域社会の発展と維持、業容の拡大に努めてまいりました。これからも永続的に社会に貢献することを重要な経営課題と捉え、サステナビリティ経営を推進してまいります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループのサステナビリティ経営に関わる重要な方針等については、取締役会を最高意思決定機関と位置付け審議を行っております。また、具体的戦略及び重要施策等については、CxO職、執行役員及び本部長が出席する経営会議にて検討・協議を行っております。

また、2022年11月開催の取締役会において決定した当社のESG基本方針は次のとおりです。

E:環境

エネルギー消費量・温室効果ガス排出量の管理と削減を推進します。また、フードロス削減や自然由来の梱包素材の普及を主体となって促進しそれらによりサステナビリティな社会の実現に取り組みます。

S:社会

多様な働き方を提供し、多様な人材が活躍できる環境を整備することで、社会が抱える課題解決に取り組みます。ライフインフラを担う企業として、地域の発展と維持を支えていきます。

G:ガバナンス

法律・諸規定を順守し、適時適切な情報開示を実施することで企業価値向上と発展を図ってまいります。

 

(2) 戦略

当社グループはステークホルダーとの価値協創を重視し、地域社会の発展・維持及び環境との調和、持続的な成長の実現と社会的責任との均衡を図りながら、永続的に社会に貢献する企業を目指します。また、多様な働き方の提供、多様な人材が活躍する環境を整備し、エンゲージメントを高めてまいります。

当社グループでは注力すべきSDGs目標を次のとおり掲げております。

①ライフラインを支える技術開発

ほんの20数年前までは、電話で注文することが当たり前だった「出前」の仕組みは、当社グループの取り組みにより飲食店様と利用者様、そして配達員様を繋ぐライフインフラへと進化しました。当社グループはそのライフインフラを担う先進企業としてこれからも技術開発に努めます。

②地域のライフインフラ支援

感染症によるパンデミックの発生は地域格差や年齢格差をより浮き彫りにしました。当社グループは地域のインフラの1つである配達を担う者として、買い物弱者となりやすい高齢者の生活支援や見守りサービスなどに自治体と協力し積極的に係わっていきます。

③正当な報酬と平等な雇用環境の提供

デリバリー販路を取り扱うことによる、飲食店様の収入増加に貢献します。また、新しい働き方を通じて好きな時間に好きな場所で働き、正当な報酬を得ることができる環境の提供を行います。配達パートナーは性別に関係なく誰でも平等に報酬の機会を得ることができます。また、当社グループでは男女による採用基準の差異や役職登用への条件は設けておりません。引き続き性別による差異により教育の機会や役職登用のチャンスに差が出ることが無いよう努めます。

④フードロスの削減

フードデリバリーは飲食店様の仕入れた食材の有効活用の観点からフードロスの削減に繋がっている側面もあります。今後は当社グループの配達網を活かしながら、飲食店様と共にフードロス問題に取り組みたいと考えています。

⑤温室効果ガスの削減

配達効率の向上により、温室効果ガス(GHG)の削減に努めます。

 

 

(3) リスク管理

当社グループは、代表取締役社長を中心としたリスクマネジメント体制を構築し、サステナビリティに関連したリスクの特定、分析、評価、対応等のプロセスを円滑に実施することにより、リスクの低減、インシデントの未然防止等を図っております。

 

(4) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針

当社グループは、性別・国籍等によらず能力や適性を総合的に判断し、人材育成及び管理職への登用等を実施していることから、女性、外国人・中途採用者の管理職構成割合や人数等の目標値等は定めていません。今後につきましても、人材戦略の重要性に鑑み、能力や適性を総合的に勘案し、管理職登用を行う方針です。

また、多様な働き方の提供、多様な人材が活躍する社内環境を整備し、従業員一人一人がダイバーシティ&インクルージョンへの理解を深め、従業員エンゲージメントを高めてまいります。

 

(5) 指標及び目標

当社グループは、事業を通じてのSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて「(2)戦略」に記載した取組等の活動を推進し、確かな収益力とワークライフバランスの実現を目指してまいります。

また、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。

当社グループの女性管理職比率は、2024年8月31日現在の女性管理職が9名、管理職全体に占める比率は12.9%となっております。政府が掲げる2030年までに女性管理職を30%とする目標値には現時点において達しておりませんが、当該時期までの達成を目指してまいります。

男性育児休業取得率は、当社グループ全体に周知と男性への育児休業取得を促しており、2024年8月31日現在の取得率は47.1%となっております

詳細については、「第1企業の概況 5従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

以下に、当社グループの事業展開上、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクと考えられる主な事項を記載し、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項であっても投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項について、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しておりますが、以下に記載した内容は、当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。

また、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 当社グループの事業環境について

① インターネットの普及状況について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:中]

「出前館事業」においては、インターネットを利用したサービス提供を行っており、スマートフォンやタブレット型端末機器の普及により、インターネットの利用環境が引き続き整備されていくと共に、情報通信や電子商取引を含むインターネット関連市場が今後も拡大していくことが事業の成長のための必要条件となっております。今後、パソコンとスマートフォンやタブレット型端末機器の両面で、より安価で快適にインターネットを利用出来る環境がさらに整備され、同関連市場は拡大を続けるものと想定しております。

当社では、開発部門、マーケティング部門、経営企画部門を中心にインターネット事業の市場動向を注視することでリスクの低減を図っておりますが、今後新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、通信利用料金の改定を含む通信事業者の動向など、当社グループの予期せぬ要因によりインターネット関連市場の発展が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

② 食品宅配市場動向について

[顕在化の可能性:高] [顕在化する可能性の時期:1年以内] [影響度:大]

日本における食品宅配市場規模は、2022年度2兆5,363億円となり、2027年度は2兆9,074億円に達すると予測されています(矢野経済研究所「2023年版 食品宅配市場の展望と戦略」)。

当社ではフードデリバリー市場の活性化及び成長を促す施策等の実行により市場拡大への貢献に努めておりますが、景気の悪化による付加価値サービスに対する消費の低下や何らかの予期せぬ要因により、予想通りに食品宅配市場が成長しない場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

③ 災害等について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:中]

出前館事業での加盟店が提供する宅配料理の原材料である食材は、天候や地震、台風、津波等の自然災害等による収穫状況や需給バランスにより価格変動の影響を受けるため、仕入コストの上昇に繋がり、更に、市場の状況等により販売価格に転嫁できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループにおいては、大規模災害等が発生した場合に備え、安否確認システムの導入、事業継続ガイドラインの整備、BCP訓練の実施などを通して有事の際の対応を進めておりますが、万が一にも火災、停電、大規模感染が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、大規模災害等による通信網障害等、不慮の事態の発生可能性は皆無とは言えず、大規模災害等の発生により、物的、人的損害が甚大である場合には、当社グループの事業継続自体が不可能となる可能性があります。

 

 

④ 事業等に係る法律等の規制について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:中]

「出前館事業」において規制されている法律等はございませんが、事業に関連する「個人情報の保護に関する法律」及び関係法令並びにガイドライン、「民法」、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」等表示及び広告等に係る規制などのほか、「下請代金支払遅延等防止法」、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」などを遵守しておりますが、これらの法律等の改正等又は解釈の変更等並びに新法の施行により、今後の事業展開において影響を受ける可能性があります。なお、当社では、法務担当グループにより、法改正があった場合には都度確認対応できる体制を取っており、併せて、基本方針となる企業行動規範の他、社内規程としてコンプライアンス・リスク管理規程等を制定し、取締役及び使用人へ周知することやコンプライアンス研修を実施することで、業務に関する最新の法律、規制等が周知される体制に努めております。

 

(2) 当社グループの事業について

① 特定事業への依存度合いについて

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:大]

当社グループは、「出前館事業」の売上が大半を占めています。このため、「出前館事業」において、計画に反してオーダー数や加盟店数が増加しない場合もしくは減少する場合、システム障害や個人情報流出等のトラブル、法的規制の変化、通信ネットワークコストの高騰、その他の予測不能な要因により、業績が悪化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社グループではこの事実を認識しており、対策として新規事業の開発に取り組むことで、「出前館事業」への依存度合いの低減に努めております。

② 経営計画等の施策について

[顕在化の可能性:中] [顕在化する可能性の時期:1年以内] [影響度:大]

当社グループの経営計画では、デリバリーサービスの No.1 企業を目指すにあたり、より強固な事業基盤を築く必要があると認識しており、アクティブユーザー数の増加を通じたオーダー数の継続的な増加による「出前館事業」の持続的な成長、シェアリングデリバリー®の事業展開の加速への施策を推し進め、更なる成長と収益性の向上を目指し、その達成に向けて取り組んでおります。

しかしながら、これらの施策の実施については、フードデリバリー市場が拡大しないリスク、他社との競合等により当社グループがシェアを拡大できないリスク、優秀な従業員を確保できないリスク、販売戦略やコスト削減策、成長戦略等が奏功しないリスク、技術革新等に対応できない、又は、対応に多額の費用等を要するリスク等、多数のリスク要因が内在しているため、実施が困難となる可能性や当社グループにとって当該施策が有効でなくなる可能性があります。また、かかる経営計画を作成するにあたって前提が想定通りとならない場合等には、当該計画における目標を達成できない可能性もあります。更に、当社グループが正確に認識又は分析していない要因又は効果により当該計画の施策がかえって当社グループの競争力を阻害する可能性もあります。

③ 他社との競合について

[顕在化の可能性:中] [顕在化する可能性の時期:1年以内] [影響度:大]

「出前館」の運営においては、デリバリーチェーンから個人飲食店まで幅広いジャンルの店舗の加盟、コールセンターによる加盟店、ユーザー、配達員に対するサポートの充実、快適なユーザビリティを考慮したサイト・アプリの構築等に取り組むことで競争力の向上に努めております。

しかしながら、当社グループと同様にインターネット上でデリバリー注文を仲介するサービスを運営する競合企業がいくつか存在しており、これらの企業や新規参入企業との競合が激化した場合、また、加盟店が独自デリバリーサービスを強化した場合にも当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ システム障害について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:大]

当社グループの事業は、パソコン、スマートフォンやタブレット、TV等の端末機器や電話回線、光ケーブル等の通信ネットワークが必要条件となっており、端末機器の不具合が発生した場合や通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループのコンピューターシステムは、ファイアウォールの設置・アクセスログの監視・電話番号認証の実装・システムリリース時のコードレビューの実施等適切なセキュリティ対策やシステムのクラウド化によるサーバー冗長化・24時間365日体制での死活監視の実施・システム全体設計の見直し等、安定稼動のために努めておりますが、急激なアクセスの集中やコンピューターウイルスの蔓延、ハッキング等によりシステムが停止した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

⑤ 個人情報及びその他情報の管理について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:大]

当社グループは、サービスの提供にあたり住所等の個人情報を取得して利用しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者であります。今後の事業活動継続のためには個人情報を保護し、適切に取り扱うことが重要であるとの認識のもと、当社グループとして個人情報保護に関する内部規程の整備、代表取締役社長を個人情報保護管理者とする個人情報の管理体制として情報セキュリティ委員会の設置、従業員に対する個人情報の取り扱いに対する教育等を行い、従業員一人一人が情報セキュリティに関する法令、諸規則、各種ガイドラインの遵守に努めております。また、社内における情報管理については、情報の機密区分毎に取扱手順やアクセス権限の規程を設けており、それら規定に基づいて適切に管理される運用に努めております。

しかしながら、何らかの理由により当社グループで管理する個人情報またはその他情報の流出等により、重大なトラブルが発生した場合には、損害賠償請求、運営サイトの信用低下及び当社グループの信用低下により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

⑥ 技術・サービスの陳腐化について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:中]

当社グループが展開している「出前館事業」は、インターネット関連のサービスであり、パソコン、スマートフォンやタブレット等の端末機器の高機能化に代表されるように技術革新のスピードが速く、それに伴うサービスモデルの変更や新機能に対応した開発を行う必要があります。当社グループでは開発部門やマーケティング部門、経営企画部門を中心にテクノロジーの進化に伴う顧客ニーズの変化や新サービスのローンチ等を注視し対応できるように努めておりますが、このような技術進歩に起因するビジネス環境の変化に当社が適切に対応できない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

⑦ 経営上の重要な契約について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:大]

当社は、当社のその他の関係会社であるLINEヤフー株式会社との間で、資本業務提携契約、プラットフォーム等使用許諾及び業務委託契約を締結しております。これらの契約については更新を予定しておりますが、相手先の事業戦略の変更等から期間満了、更新拒絶、解除、その他の理由でこれらの契約が終了した場合やこれらの契約が当社グループに不利な形で変更された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(3) 事業体制について

① 知的財産権について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:小]

当社グループは、「出前館」の名称をはじめ、運営サイト及びサービス名称等について積極的に商標登録の取得に努めるとともに第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っております。また、当社グループが提供するサービスにおいて、当社グループが所有する知的財産権を第三者に使用許諾する場合や第三者の所有する知的財産権の使用許諾を受ける場合があり、その場合は使用許諾契約の締結等による管理体制を強化しております。

しかしながら、知的財産権の範囲や契約条件の解釈の齟齬等により、認識外で第三者の知的財産権を侵害した場合、当社グループは第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受ける可能性があります。その結果、解決に多額の費用と時間がかかり、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 小規模組織による運営体制について

[顕在化の可能性:中] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:中]

当社は、2024年8月末時点、取締役6名、監査役4名並びに従業員342名と小規模組織であり、社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。

また、連結子会社である株式会社出前館コミュニケーションズは2024年8月末時点、取締役3名(当社取締役1名が同社取締役を兼務)、監査役1名(当社執行役員が同社監査役を兼務)並びに従業員46名と同様に小規模組織となっております。

今後は、事業拡大に伴い各部署の人員計画に沿って人員の増強を図っていく方針であり、内部管理体制を併せて強化・充実させていく予定ですが、事業の拡大や人員の増強に対して適切かつ十分な組織対応ができなかった場合には、当社グループの事業遂行及び拡大に制約が生じ、事業及び業績に影響を与える可能性があります。

③ グループ経営について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:中]

当社グループは2012年8月期より連結財務諸表を作成し、連結グループ経営を開始しております。当社は連結子会社について、その運営にあたり当社取締役と執行役員が連結子会社の取締役に就任して監督体制を強化するなど適切な管理及び支援を行っております。

しかしながら、当社による連結子会社への管理及び支援が適切に行われず、当該連結子会社の業績の悪化や不祥事等が発生した場合、支援費用の発生や企業イメージの悪化等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 人材の確保と育成について

[顕在化の可能性:中] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:中]

当社が安定的な成長を達成していくためには、優秀な人材の確保が必要であります。当社の経営理念や行動指針を理解し、賛同いただける人材の確保を最重要課題として新規学卒採用だけでなく、優秀なパートタイマー・アルバイトからの社員登用や中途採用などで積極的に優秀な人材の獲得に取り組んでまいります。また人材の育成に関しても経営者自ら創業マインドや当社経営理念・行動指針の教育を重点的に行うほか、事業内容に即した教育研修アプリを導入するなど、当社の核となり得る人材を育成しております。しかしながら、必要な人材を適時適切に確保できない場合、又は、社内の有能な人材が流出した場合には、経常的な業務運営や事業展開に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他

① 大株主との関係について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:大]

2021年9月30日を払込期日とする第三者割当及び海外募集の結果、LINEヤフー株式会社は、当社の株式の37.4%を所有する主要株主であります。

LINEヤフー株式会社は当社へ取締役2名、監査役1名を派遣しておりますが、当社グループの経営方針及び政策決定、事業展開については、独自の意思決定によって進めており関係は良好であります。

両社は、今後も大株主であり続けるものと思われますが、今後、同社の経営方針に変更があった場合、当社定款の変更等、株主の承認が必要となる事項に関し、同社による当社議決権の行使が当社の事業運営並びに意思決定に影響を及ぼす可能性があります。また、同社の当社議決権の保有比率に大きな変更があった場合、当社株価に影響を及ぼす可能性があります。

② 配当政策について

[顕在化の可能性:高] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:小]

当社は、積極的な事業展開のもと経営基盤の強化、経営効率の改善を図ることにより企業価値を高め、株主の皆様に対して継続的かつ安定的に利益還元を図ることを基本方針と位置付け、将来に向けた積極的な投資を行いつつも、配当性向は30%を目安とする一方、安定的に継続して実施することも目指しております。しかしながら、2020年8月期以降、無配としております。

今後も当社グループの事業が計画通りに進展しない場合など、当社グループの業績が悪化した場合には配当の実施を行えない可能性があります。

③ 税務上の繰越欠損金及び繰延税金資産について

[顕在化の可能性:低] [顕在化する可能性の時期:長期] [影響度:小]

当社は、税務上の繰越欠損金が存在しており、通常の税率に基づく法人税等が課せられておりません。今後、繰越欠損金の使用、または期限切れによる繰越欠損金の解消により、課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税等の負担が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 感染症流行による事業活動への影響について

[顕在化の可能性:中] [顕在化する可能性の時期:特段なし] [影響度:中]

新型コロナウイルス感染症や悪性鳥インフルエンザ等の感染症の流行に伴い、飲食店の営業時間の短縮など実体経済に深刻な影響を与え続けた場合には、当社加盟店の減少などを招き、当社の財政状態及び経営成績に影響が生じる可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

以下の記載事項は、特に断りがない限り「有価証券報告書」提出日現在の事項であり、将来に関する事項は同提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下の通りであります。

 

① 経営成績

当連結会計年度につきまして、当社ミッション「テクノロジーで時間価値を高める」、ビジョン「地域の人々の幸せをつなぐライフインフラ」の達成に向け、フード及びノンフード領域における加盟店ラインナップの拡充や配達時間の精度向上並びに配達・カスタマーサービスの品質等サービス体験の改善を積み重ねることで、ユーザー、配達員、加盟店の満足度向上・定着化を図ってきました。今後も、多くのユーザー、配達員、加盟店から「選ばれるプラットフォーム」となるために、日々ユーザー体験を向上させ、「デリバリーの日常化」を実現してまいります。また、新規事業においても2024年8月よりLINEヤフー株式会社と、生鮮食品や日用品などを最短30分で届ける「Yahoo!クイックマート」の提供を開始いたしました。

コスト面におきましては、売上原価の適正化は順調に進み、売上総利益率は23.0%(前期は20.4%)と改善が進みました。広告宣伝費につきましても引き続きマーケットのトレンドを注視しながら、投資対効果を重視した施策を行っています。

その結果、当連結会計年度の売上高は50,411百万円(前期比2.0%減)、営業損失は5,991百万円(前期は12,259百万円の営業損失)、経常損失は5,853百万円(前期は12,122百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は3,705百万円(前期は12,154百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

なお、当社グループは、「出前館事業」の単一セグメントであるため、セグメントの記載を省略しております。

 

② 財政状況

当連結会計年度末における流動資産残高は、前連結会計年度末比で6,748百万円減少し、47,544百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が6,395百万円減少し、未収入金が2,009百万円減少したことによるものです。

固定資産残高は、前連結会計年度末比で55百万円減少し、398百万円となりました。主な要因は、投資有価証券が317百万円減少、差入保証金が269百万円増加したことによるものです。

この結果、総資産残高は、前連結会計年度末比で6,803百万円減少し、47,943百万円となりました。

流動負債残高は、前連結会計年度末比で1,076百万円減少し、11,231百万円となりました。主な要因は、未払金が1,327百万円減少したことによるものです。

固定負債残高は、前連結会計年度末比で64百万円増加し、163百万円となりました。主な要因は、その他が64百万円増加したことによるものです。

この結果、負債残高は、前連結会計年度末比で1,011百万円減少し、11,395百万円となりました。

純資産残高は、前連結会計年度末比で5,791百万円減少し、36,548百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失3,705百万円により利益剰余金が減少したことによるものです。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、34,511百万円となり、前連結会計年度末と比較して6,395百万円減少いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果減少した資金は、4,582百万円(前連結会計年度は12,290百万円の減少)となりました。主な増減の内訳は、税金等調整前当期純損失3,724百万円、未収入金の減少2,009百万円、未払金の減少1,362百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果増加した資金は、2,187百万円(前連結会計年度は64百万円の減少)となりました。主な増減の内訳は、投資有価証券の売却による収入2,461百万円、敷金及び保証金の差入による支出307百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は、3,999百万円(前連結会計年度は0百万円の減少)となりました。主な増減の内訳は、自己株式の取得による支出2,049百万円、自己株式取得のための預け金の増加1,950百万円等によるものです。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2020年8月

2021年8月

2022年8月

2023年8月

2024年8月

自己資本比率

80.3

32.2

78.4

77.3

76.2

時価ベースの自己資本比率

536.6

628.1

113.4

97.3

68.5

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率

インタレスト・カバレッジ・
レシオ

 

 

・自己資本比率:自己資本/総資産

・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

1.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

2.キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。

3.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

④ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注状況

該当事項はありません。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を示すと、次の通りであります。

 

区分

当連結会計年度

(自  2023年9月1日

至  2024年8月31日)

前期比

(百万円)

(%)

出前館事業

出前館サービス利用料

45,299

95.3

その他

5,112

132.2

合計

50,411

98.0

 

(注) 1.主要な販売先の記載については、総販売実績に対する販売先別の販売実績割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 2.当社グループは「出前館事業」の単一セグメントであります。

 

⑤ 資金需要

当社の資金需要のうち主なものは設備投資及び売上原価及び販売費及び一般管理費の営業費用であります。営業費用の主なものは、広告宣伝費、外注費、給与手当、雑給、地代家賃であります。

 

⑥ 財務政策

当社グループの財務方針は、中長期にわたる持続的な成長を可能とする十分な資金源を確保するとともに、バランスシートを強化することにあります。資金調達については、中長期的な投資と短期的な投資それぞれに応じて資本コストを重視する柔軟な手段を講じて投資資金の確保を目指しており、今後も当社グループの成長を持続させるために営業活動によるキャッシュ・フローの強化やスポットでの資金需要に対応できる金融機関借入枠の確保等を図ってまいります。バランスシートについては、過重な投資を避け、有利子負債の少ないスリムなものをめざしてまいります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、その作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。

当社グループの連結財務諸表の作成に当たり採用した重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」並びに「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

引当金の計上や資産の評価等、当社の財務諸表の作成に当たり必要となる見積りについて、経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産の回収可能性の判断をしております。将来の課税所得に関する予測は、過去の実績や一定の仮定のもとに行っているため、経営環境等の変化により、課税所得の見積りの変更が必要となった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状況」に記載の通りであります。

 

b.経営成績

(売上高)

当社では、注文1件につき加盟店からの出前館サービス利用料、ユーザーからの送料を主な売上として計上しております。事業規模の拡大を経営目標とした戦略のもと、ユーザー体験・満足度の最大化、ユニットエコノミクスの改善、新しい収益モデルの構築などに取り組んで参りましたが、売上高は50,411百万円(前期比2.0%減)となりました。

 

(売上総利益)

売上原価の適正化は順調に進捗し、売上原価は38,803百万円(前期比5.1%減)となったことで、売上総利益は11,608百万円(前期比10.5%増)となりました。

 

(営業利益)

広告宣伝費については、マーケットのトレンドを注視しながら、投資対効果を重視した施策を行いました。この結果、販売費及び一般管理費は17,600百万円(前期比22.7%減)となりました。この結果、営業損失は5,991百万円(前期は営業損失12,259百万円)となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ28百万円増加し、174百万円(前期比19.5%増)となりました。これは主に、持分法による投資損益が29百万円増加したことによるものであります。当連結会計年度における営業外費用は、前連結会計年度に比べ27百万円増加し、35百万円(前期比326.6%増)となりました。これは主に、寄付金が30百万円増加したことによるものであります。この結果、経常損失は5,853百万円(前期は経常損失12,122百万円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ2,119百万円増加し、2,128百万円となりました。これは主に、投資有価証券売却益2,124百万円によるものであります。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は3,705百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失12,154百万円)となりました。

 

 

c.目標となる経営指標

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」で掲げておりました経営指標の前連結会計年度と当連結会計年度の目標と実績については以下の通りです。

 

 

前連結会計年度

(自  2022年9月1日

至  2023年8月31日)

当連結会計年度

(自  2023年9月1日

至  2024年8月31日)

実績

期初計画

実績

GMV(流通取引総額)

2,057億円

2,160億円

1,905億円

オーダー数

7,730万件

7,032万件

アクティブユーザー数

 

657万人

 

 

542万人

 

売上高

514億円

560億円

504億円

営業利益

△122億円

△80億円

△59億円

売上総利益率

20%

23%

売上高営業利益率

△24%

△14%

△12%

 

 

当連結会計年度につきまして、当社グループはフード及びノンフード領域における加盟店ラインナップの拡充や配達時間の精度向上、カスタマーサービスの品質等サービス体験の改善を積み重ねることで、ユーザー、配達員、加盟店の満足度向上・定着化を図ってきました。今後も、多くのユーザー、配達員、加盟店から「選ばれるプラットフォーム」となるために、日々ユーザー体験を向上させ、「デリバリーの日常化」を実現してまいります。コスト面におきましては、売上原価の適正化は順調に進み、広告宣伝費についてもマーケットのトレンドを注視しながら、投資対効果を重視した施策を行いました。

その結果、売上高は前期比で2%減少いたしましたが、売上総利益率は20%から23%に改善しました。営業利益率につきましても、固定費の削減等により前年に比べて大きく改善しました。

2025年8月期の見通しにつきましては、引き続き「出前館事業」の拡大を通じて「デリバリーの日常化」を推し進めてまいります。出前館のステークホルダーであるユーザー・加盟店・配達員、それぞれのデリバリー体験が向上するためのプロダクトやサービスの改修に向けて投資を継続すると共に、費用の適正化を図って収益面の改善も進めてまいります。こうした状況を踏まえ、2025年8月期の連結業績予想は、現時点で想定しうる範囲内において売上高は530億円(前年比105%)、営業利益は100万円を見込んでおります。なお、GMV、オーダー数、アクティブユーザー数、売上総利益率、売上高営業利益率につきましては目標売上高、営業利益の達成に向けて注視するべき指標ではあるものの、目標値は設定しておりません。

 

d.キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の主な資金需要は、業務委託配達員への配達報酬(売上原価)及び広告宣伝費にかかる投資であります。これら資金需要については、2021年9月に海外募集及びZホールディングス株式会社並びにNAVER Corporationに対する並行第三者割当増資によって約830億円の資金調達を完了したことから、当面は今後の事業投資に対して十分な資金を保持していると考えています。

 

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通り、市場動向、競合他社、技術革新、人材の確保育成、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は、優秀な人材の採用、事業の拡大、セキュリティ対策等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

当社は競合他社と競争が厳しく、市場としては成長期にあるフードデリバリー業界において、GMV及びマーケットシェアの拡大を通して、国内No.1プレイヤーになることをゴールとして取り組んでいます。今後は「Yahoo!クイックマート」も含めて、フードや日用品、医薬品などのアイテムを扱うクイックコマースの領域へも進出することで、デリバリーをより日常的なサービスとして普及させ、ユーザーの利便性・QOLの向上に寄与していけるよう事業の成長に励んでまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

当社の経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社が今後更なる成長と発展を遂げるためには、厳しい競争環境の中で様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。そのため、上記の経営目標達成のためにプロダクトやサービスの改修に向けて投資を継続すると共に、費用の適正化を図って収益面の改善も進めてまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。