(1)会社の経営の基本方針
当社の経営理念は、『我が社は、「ありがとうの心」と「武士の精神」をもって社業を推進し、お客様と社会の安全・安心の確保のために最善を尽くす。』であります。これをパーパスとして、お客様に対して最高の商品・サービスをご提供することを最優先とし、併せて社員にとって働きがいのある会社の実現に努めるとともに、収益を拡大すること、警備業を中核としつつ新たな分野における商品・サービスを幅広くご提供すること、社会の発展に貢献するサービスの展開と商品の開発を行うことを定めております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、収益性の向上のためセキュリティ事業を中心とした事業の拡大及び業務全般にわたる合理化・効率化の推進を重要な課題として位置付けており、現状では経営指標として「連結売上高経常利益率」を重視しております。また、株主資本の最適活用を図る経営指標としては、「ROE(連結自己資本当期純利益率)」を重視し、中期的には両指標とも10%以上を想定しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、リスクが多様化する社会の中で、拡大する安全・安心ニーズに対応すべく、当社グループの既存の警備インフラを活用した新たなサービス提供等によるセキュリティ事業の拡大を推進するとともに、介護事業などセキュリティ事業とシナジー効果の見込める事業に積極的に取り組むことを通じて「強靭な綜合安全安心サービス業」を目指し、お客様と社会の安全・安心ニーズへの対応能力の強化、デジタル化とデータ活用、社員が活躍できる環境の構築、サステナビリティへの取組強化を行ってまいります。
(4)経営環境及び会社の対処すべき課題
当社グループは、日本の警備業におけるリーディングカンパニーとして、社会の安全・安心の確保に貢献するとともに、法令を遵守し、社徳のある会社を目指して、より一層の企業価値向上に取り組んでまいります。また、リスクが多様化する社会の中で、安全・安心に係る社会インフラの一翼を担う企業として、既存の業務領域における融合強化・新たな業務領域の拡大を図ることによりビジネスモデルの変革を推進し、拡大するお客様と社会の安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。
ア 金融市場等の変動、資源等価格高騰
2024年3月における日本銀行の金融政策の枠組みの見直しを契機とした金融政策正常化への動きや、原材料価格の高騰、賃上げ等の生産コスト上昇が見込まれる中、パートナーシップ構築宣言企業として、コスト増に対応した価格改定などを含め取引先との共存共栄を引き続き目指すとともに、取引先を含めたマルチステークホルダーに配意した取組みを行ってまいります。また、当社が使用する機器の調達においては需給予測に基づいた適正な在庫管理、調達先の拡大、リユースの推進などを進め対応してまいります。
イ お客様と社会の多様な安全・安心ニーズへの対応
重要インフラ・サプライチェーン等へのサイバー攻撃リスクの増加、高齢者、女性、子ども等の社会的弱者の安全・安心への懸念、身近な犯罪や事故の増加、相次ぐ自然災害やインフラ老朽化等の社会を取り巻くリスクは多様化しており、安全・安心に関するニーズに的確に最高の品質で応えていくことが重要であると認識しております。
当社グループではこれらのニーズに対して、警備業務・ファシリティマネジメント業務等で培った社内外インフラを強化しつつ、サイバーセキュリティ対策、お客様個々人の安全・安心を見守るサービス、BCPソリューション等の自然災害リスクに対応するサービス、各種アウトソースニーズへの対応、建物設備やインフラに対する包括的な管理サービス等、多様なサービス機能を組み合わせた新たなソリューションを、外部とのアライアンスも活用しながら拡充してまいります。
ウ デジタル化とデータ活用
デジタル技術の進展等、当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化する中、お客様とのコミュニケーション強化やデータ活用による新たなサービスの創造、社内のフロント部門やバックオフィス部門におけるオペレーションの効率化・省人化による生産性向上や新たな付加価値創出に注力してまいります。
エ 社員が活躍できる環境の構築
当社グループは、セキュリティ事業、綜合管理・防災事業、介護等生活支援事業の各事業を牽引する多様な人材の採用や、多様な働き方の提供、能力開発など個々の働き手が持てる能力を最大限に発揮できる制度、環境を整備することにより、働き手のエンゲージメントを高めながら、グループ内の働き方改革を一層推進してまいります。
オ サステナビリティへの取組強化
当社グループは、ガバナンスの強化を図りつつ、持続的な成長の実現と、中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。また、CSR活動を通じてSDGsの達成に貢献するとともに、地球環境問題が人類共通の課題であるとの認識のもと、持続可能な社会の実現を目指しております。当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同しており、CO2排出量削減目標の達成に向けて2023年2月にはサプライチェーン排出量であるスコープ3をグループ全体で算出するなど、多方面から積極的に取り組んでまいります。CO2排出量削減への取組みとして、電動車両の導入と、EV充電設備の販売、設置工事や保守メンテナンスを通じて、サステナビリティへの取組みを強化してまいります。また、生態系の保全への取組みとして、当社グループでは10社が「認定鳥獣捕獲等事業者」の認定を受けており、ALSOK千葉株式会社では、自社の食肉加工施設を運営し、ジビエ肉の販売を行っております。
カ 大規模災害、感染症等への対応
当社グループは、大規模災害の発生に備え、経験等によって培ったノウハウを活かし、事業継続計画及び災害対策規程に基づく対応マニュアルの整備、対策品の備蓄、全国規模による機動的な対応体制、定期的な教育訓練の実施などの対策を講じております。その他、感染症の拡大防止に向けた取組みとして、継続的なサービス提供が維持できるようコンティンジェンシープランを策定しております。また、お客様のコンティンジェンシープラン構築をサポートすべく、「安否確認サービス」等のサービスを提供しております。
キ 海外事業の展開
当社グループは、海外でも高まる安全・安心ニーズに対し、日本で培ったノウハウをもとに、国ごとに最適な商品・サービスをご提供し、お客様の海外事業をサポートするべく、積極的な展開を図っております。2023年8月には、インドネシア子会社であるPT.ALSOK BASS Indonesia Security Servicesを通じて、インドネシアにおいて人材派遣及び警備等の事業を営むPT.Shield-On Service Tbkの株式を取得し、同社及びその子会社7社を連結子会社としており、日本とインドネシアの2国間での人材育成の互恵関係の構築及びASEANでの一層の事業展開を強化してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関する考え方
当社グループは、サステナビリティを巡る課題への対応は基本的な経営課題であるとの認識のもと、お客様と社会の多様な安全・安心ニーズに応えるべく、サステナビリティ基本方針を制定し、持続的な成長を目指し、取組みを進めてまいります。
また、当社は、社会安全の確保を社業とする性質上、リスク管理を特に重要視しております。2002年に制定し、その後も最新のリスクの状況に応じて更新しているリスク管理規則に基づき、リスク管理委員会を組織し、代表取締役グループCOOをその委員長としております。また、本社及び各事業所単位でリスク管理検討組織を設置しており、リスクの洗出し、評価、予防策、対策案の策定といったリスクマネジメントについて全社網羅的に取り組んでおります。さらに、リスク管理委員会に分野別のリスク検討部会をおき、該当分野ごとにリスク情報の収集、分析及び評価を行い、リスク軽減のための施策を検討しております。重大事案発生時の緊急連絡体制、対策本部の設置等につきましても、迅速な対応が図れるよう組織体制を整備しております。
(2)重要なサステナビリティ項目
当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
ア 環境
当社はTCFDに賛同するとともに、4つの開示項目である「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標及び目標」について当社ホームページにて情報を開示しております。また、国連グローバル・コンパクトに加入する等イニシアティブへの賛同にも取り組んでまいります。
(関連URL)https://www.alsok.co.jp/company/society/tcfd/
(ア)ガバナンス
「環境委員会(委員長:総務・広報担当役員)」及び「環境マネジメント部会」を組織し、環境推進活動等の環境対応の計画立案、実施及びレビューを行い、取組状況は取締役会に適宜報告するなど、環境マネジメントシステムのPDCAサイクルを回し、全社的な環境対応を推進しています。また全社的なリスクを管理する「リスク管理委員会」とも連携し対応する体制を構築しています。
(イ)戦略
気候関連のリスク、対応策並びに機会の把握を目的として、シナリオ分析を実施しました。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)等公表のシナリオを参照し、2℃シナリオ及び4℃シナリオの2つを想定しています。
2℃シナリオ(世の中が目指す姿) |
現在より気候変動対策が強化され、気温上昇が緩やか(産業革命時期比+0.9℃~+2.4℃)になった未来 |
4℃シナリオ |
現状のまま気温上昇が進み(産業革命時期比+3.2℃~+5.4℃)、気候変動が激しくなる未来 |
a 気候関連リスクとその対応策
2℃シナリオ及び4℃シナリオをもとに、それぞれで想定されるリスクと対応策を、次の①、②のとおり整理しました。なお、リスクの影響度は、財務上の影響をIEA等の公表数値をもとに試算し、当社のリスク管理委員会の基準に準拠する形で「大・中・小」に分類しています。
① 気候変動に関する規制強化等に伴うリスク及び対応策
|
2℃シナリオ |
影響度 |
4℃シナリオ |
影響度 |
リスクの事例 |
炭素税等の増額 |
大 |
車両、空調・照明設備の交換 |
大 |
規制強化による車両、空調・照明設備の交換の義務付け |
大 |
ガソリン・軽油料の高騰 |
大 |
|
電気使用料の高騰 |
中 |
水コストの増加 |
中 |
|
環境対応遅延によるブランド毀損に伴う株価下落 |
大 |
環境対応遅延によるブランド毀損に伴う株価下落 |
大 |
|
対応策 |
業務形態に合った環境配慮車両の導入推進 施設のLED化、空調設備リニューアル |
② 気候変動による自然災害等で生じるリスク及び対応策
|
2℃シナリオ |
影響度 |
4℃シナリオ |
影響度 |
リスクの事例 |
熱中症、感染症、異常気象による社員(特に警備員)の受傷事故増加 |
中 |
熱中症、感染症、異常気象による社員(特に警備員)の受傷事故増加 |
大 |
風水害による機器故障頻度の増加に伴う運用効率悪化 |
中 |
風水害による機器故障頻度の増加に伴う運用効率悪化 |
中 |
|
干ばつに伴う紙価格の高騰 |
小 |
干ばつに伴う紙価格の高騰 |
小 |
|
対応策 |
空調服導入や制服素材の変更 感染症対策商品(マスク、消毒液等)備蓄強化 機器の性能改善、BCP対策の強化 会議資料等のデジタル化推進 |
b 気候関連のビジネス機会
気候変動に関する規制強化や自然災害等への対策に向けたビジネス機会を、現状の業務を前提として次の①、②のとおり整理しました。
① 気候変動に関する規制が強化されることで生じるビジネス機会
規制強化に伴う変化 |
想定されるビジネス機会 |
資源価格高騰に伴う金属材料等の盗難可能性増加 |
機械警備等の防犯ニーズ増加 |
廃プラスチック等の廃棄コスト増加に伴う不法投棄の増加 |
不法投棄監視サービスのニーズ増加 |
炭素税等の節税に向けた設備交換機会増加 |
EV充電設備や照明・空調リニューアル工事のニーズ増加 |
② 気候変動による自然災害等への対策に向けたビジネス機会
気候変動による影響 |
想定されるビジネス機会 |
平均気温の上昇 |
熱中症対策ニーズ、鳥獣対策ニーズ等の増加 |
感染症の増加 |
感染症対策商品等のニーズ増加 |
異常気象の多発、激甚化 |
災害対策商品・サービス等(BCPソリューション、災害備蓄品、河川監視等)のニーズ増加 |
(ウ)リスク管理
気候関連リスクについては、「環境マネジメント部会」において、事務局の総務部サステナビリティ推進室を中心に社内関連部署が横断的に気候関連リスクの洗出し・評価、対応策の検討・進捗管理を行っており、その内容は、「環境委員会」に報告され、審議が行われています。
会社経営に損失・不利益を与える可能性があるリスクについては、「リスク管理規則」に基づき組織した「リスク管理委員会」において、評価・対策の有効性の確認をしております。気候関連リスクのうち、インパクトの大きいものについては「リスク管理委員会」に連携し、共同で管理する体制を敷いております。
(エ)指標及び目標
a リスク管理評価のための指標(スコープ1、2)
温室効果ガス(GHG)排出量(スコープ1、2)、及び売上高原単位の2つを指標として定めています。当社は、2014年3月期からグループ全体のGHG排出量(スコープ1、2)の算定を行っており、2023年3月期実績については、排出総量が86,850t-CO2(前期比2.00%増加)となり、売上高原単位では0.176t-CO2(前期比1.15%増加)となりました。
スコープ1の削減に向け、ガソリン車から電動車への買い替えを積極的に推進するとともに、スコープ2削減に向け、自社グループで保有している施設のLED化・空調のリニューアル及び太陽光発電設備の設置を推進してまいります。またスコープ3について、2023年3月期におけるグループ全体の排出量は194,698 t-CO2でした。
b リスクと機会を管理するための目標(GHG削減目標等)と実績
これまでの中長期目標に対し、政府目標との整合性を図るべく見直しを行い、2023年に「2030年度までにALSOKグループ全体でCO2排出総量を2013年度比46%削減」そして「2050年度までにALSOKグループ全体のスコープ1+2でカーボンニュートラル達成」を新たな目標として設定しました。GHG排出量(スコープ1、2)の削減施策の進捗状況は、気候変動対応の担当部署である総務部サステナビリティ推進室が管理し、長期的な排出量削減目標の達成を目指しています。
イ ガバナンス ・腐敗防止
(ア)ガバナンス
当社は監査役会設置会社であり、後述する体制の下で、監査役による実効的かつ充実した監査が行われており、経営陣に対するガバナンスが有効に機能しているものと認識しております。
本報告書提出日現在の取締役は12名(うち社外取締役5名)、監査役は4名(うち社外監査役3名)で構成されております。取締役会は原則として月1回開催し、経営の基本方針及び業務執行に関する重要事項を決定するとともに、取締役及び執行役員の職務の執行の監督を行っております。さらに、代表取締役グループCEOを議長とする経営会議を原則として月2回開催し、取締役会に付議すべき案件を決定するとともに、取締役会の決定に基づく業務執行方針の協議を行っております。監査役会は原則として月1回開催し、監査に関する重要な事項について報告を受け協議を行い、又は決議を行っております。また、監査役1名は経営会議に出席し、経営執行状況の適切な監視を行っております。
こうした現在の体制により経営の公正性及び透明性が適正に確保されているものと判断し、本体制を採用しております。
また、当社は、会社法、金融商品取引法等に基づき、取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制、その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するための体制を、取締役会の定める「内部統制システムに関する基本方針」により整備しております。
さらに、当社は高い企業倫理を確立するための基本的な考え方等を体系的に纏めた「綜警憲章」、「ALSOKの企業倫理」、「ハラスメント・会社内不正行為の防止の手引」の3冊子をすべての役員・社員に配付し、朝礼や研修、会議やミーティング等、様々な機会において教材として活用することとしております。また、お取引先等との公正で健全な関係を保つため、接待や贈答品の収受については、社内で定めたルールに基づき節度ある対応をしております。
その他、経営会議で協議のうえ代表取締役グループCOO承認により各種委員会(リスク管理委員会や事業投資等検討委員会等)を設置しており、重要又は特別な諮問事項について調査、研究、審議、企画、立案等を行っております。
(イ)リスク管理
当社では、全取締役及び全監査役を対象として、取締役会の実効性に関するアンケートを行い、分析・評価を実施し、評価の過程で提示された意見も踏まえ、取締役会の実効性向上に努めております。
また、当社は、社会安全の確保を社業とする性質上、リスク管理を特に重要視しております。2002年に制定し、その後も最新のリスクの状況に応じて更新しているリスク管理規則に基づき、リスク管理委員会を組織し、代表取締役グループCOOをその委員長としております。また、本社及び各事業所単位でリスク管理検討組織を設置しており、リスクの洗出し、評価、予防策、対策案の策定といったリスクマネジメントについて全社網羅的に取り組んでおります。さらに、リスク管理委員会に分野別のリスク検討部会をおき、該当分野ごとにリスク情報の収集、分析及び評価を行い、リスク軽減のための施策を検討しております。重大事案発生時の緊急連絡体制、対策本部の設置等につきましても、迅速な対応が図れるよう組織体制を整備しております。
コンプライアンスに関しては、コンプライアンス担当役員を委員長とするコンプライアンス委員会を組織し、法令順守に努めております。コンプライアンス委員会は、2002年に制定したコンプライアンス規程(現コンプライアンス規則)に基づき、役員及び従業員に対するコンプライアンス意識の周知徹底に努め、定期的に業務活動状況等のチェックを行っております。
ウ 人的資本
(ア)人材育成方針
当社グループは、企業における成長の源泉は人材であるという基本的な考え方に基づき、様々な教育や研修、また日々の業務を通じて、働き手の成長を支援してまいりました。
このため、業務を遂行するうえで必要な知識・技能の習得に加え、多様化するリスクやニーズといった日々変化する事業環境に対応するため、職務・役職等で備えておくべき知識・技能を連関させた実践的な研修プログラムを導入し、教育内容を充実させているほか、グループ内外の人事交流を通じて、多角的な視野と適応能力を備えた多様な人財の育成に取り組んでいます。
今後も、個々の働き手が持てる能力を最大限に引き出しながら、「自ら関心を持つ」「個の意志を持つ」「主体的に学ぶ」人財の育成に取り組み、全従業員が「お客様に感動を与える」「より社会に必要とされる」という強い意志を持った企業風土を醸成することで、会社と個人の持続的な成長を目指してまいります。
<具体的取組>
a 警備の「プロ」を育成する仕組み
ALSOKが提供する警備サービスの中心は、「人」です。
ALSOKの将来を担う新入社員に対しては、警備員として必要な資格の取得、業務に必要な共通知識や技能の習得を目的に、まず「初任研修」という場を設けています。その後、それぞれの配属部署で実施するOJTや本社部門主導による集合研修など、充実した教育プログラムを用意し、学んだ知識や技能のブラッシュアップを図ります。さらに、実務に即した内容を競技化した「ALSOKグループ品質向上競技会」を毎年開催し、社員同士が切磋琢磨しながら「プロ」としての技能を磨き、お客様へ提供するサービス品質の向上に取り組んでおります。
b デジタル教育の強化
様々な場面でDX化が進むなか、ヒトと技術(デジタル)が融合することで、省人化を図りながらも新たな価値の創造を達成することができると考えております。
当社グループでは、社員のデジタルリテラシーを向上させDXによるサービス強化を図るため、eラーニングシステムも積極的に使用しながら現場の社員を含め全ての社員に対してデジタル教育を実施しております。また、社内に蓄積している各種データを効果的に活用した既存サービスの最適化及び新しいビジネスの創出のために専門的な知識を習得した人財(デジタル人財)も育成するべく、選抜者を社外研修「データサイエンティスト養成コース」に参加させ、能力開発を図っています。
c 社員の自律的なキャリア形成支援
各種公的資格の取得推進、中央省庁や他企業、グループ会社間での人事交流の促進、在外公館における警備対策分野の要員公募や経営人財育成のための専門職大学院への社員派遣等の取組みを通じて、自律的なキャリア形成の支援を行っております。また、デジタル人財を目指す社員を支援するための資格手当制度を導入しています。
<指標と実績>(注1)
|
指標 |
実績 |
|
教育 |
① |
|
前期比+3,489名 |
② |
|
前期比+76,262名 |
|
③ |
|
前期比+20,075名 |
|
④ |
|
前期比+8,881名 |
|
資格 |
⑤ |
|
前期比+5名 |
⑥ |
|
前期比+10名 |
|
⑦ |
|
前期比+1名 |
|
⑧ |
|
前期比+8名 |
|
⑨ |
|
前期比+112名 |
|
⑩ |
|
前期比+82名 |
|
⑪ |
|
前期比+53名 |
(注)1.人数については延べ人数を集計
2.業務遂行上必要なスキルに加え、職務・役職等で備えておくべき知識・技能習得に向けた新たな研修体制を確立
(イ)社内環境整備方針
当社グループは、性別、国籍、宗教、信条、障がい、価値観、ライフスタイルなど、多様なバックグラウンドを持つ個々人を尊重し受容しながら、事業運営に必要な担い手を幅広く確保するとともに、組織の中核を担う管理職層に多様性を持たせることを通じた活力ある職場づくりを目指しています。
特に女性の採用強化や職域拡大をはじめとした多様な人財の確保と活躍推進に取り組むとともに、長期休暇を取得しやすい制度や法定を上回る水準で各種支援制度を充実させるなど、従業員のワークライフバランス向上を図っています。
引き続き、政府が掲げる目標も視野に、当社グループの社員一人ひとりが公私共に充実し、活き活きと活躍することのできる社内環境を整備してまいります。
<具体的取組>
a 女性活躍推進
当社は、仕事と家庭を両立し安心して活躍できるよう、妊娠中や産前産後の制度に加え、法定水準を上回る育児・介護休職や短時間勤務制度など、さまざまな社内制度を整備してまいりました。
その結果、女性活躍推進法及び次世代育成支援対策推進法に基づく一体型の行動計画(3か年計画)として2021年4月より掲げている2つの目標「目標1:女性社員の管理職比率5%増加」及び「目標2:社員の平均勤続年数5%増加」につきましても、達成することができました。
<指標及び目標>
指標(2023年度まで) |
目標(2020年度比) |
実績 |
① 女性社員の管理職比率 |
5.0%増加 |
9.5%増加 |
② 社員の平均勤続年数 |
5.0%増加 |
10.7%増加 |
なお、当社グループでは、2024年4月より新たな目標を掲げました。
警備サービス、特に運用の現場は男性中心の職場というイメージがございますが、現在では多くの女性も活躍しております。こうした無意識の思い込みから脱却し、個々が意欲的なキャリアプランを描ける職場環境の整備に、一層努めてまいります。
引き続き、働く全ての社員が安心してキャリアアップと多様な働き方を実現できるよう、当社グループ一丸となって取り組んでまいります。
<新たな指標及び目標>
指標 |
目標 |
① |
|
② |
|
b 人材多様化
当社グループは、これまでも性別や国籍等に拘ることなく多様な人材の採用等を積極的かつ継続的に行いながら、それぞれの特性や能力を発揮できる職場環境の整備に取り組んでおります。また、障がい者雇用につきましても、特例子会社「ALSOKビジネスサポート㈱」を設立し、障害の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備に取り組んでおります。
<指標及び目標>
指標 |
目標(2020年度比)(注1) |
実績 |
① 管理職に占める外国人比率 |
5.0%増加 |
219.3%増加(注2) |
② |
|
|
(注)1.
2.新たに連結子会社としたインドネシアのPT. Shield-On Service Tbkの影響で増加しております。
c 社外認定
こうした一連の取り組みが評価され、当社は、2010年、2015年に厚生労働省の「子育てサポート企業」に認定され「くるみんマーク」を取得しました。また、2017年2月には女性活躍推進法に基づく厚生労働省認定マーク「えるぼし」を取得、現在は3段階の認定ランクのうち、2段階目に認定されております。
d 健康経営
当社は、綜合警備保障健康保険組合との協同事業(コラボヘルス)として、「肥満対策」、「喫煙対策」、「医療機関未受診者対策」等、社員の健康維持・推進に向けて様々な取り組みを行っております。こうした一連の取り組みが評価され、当社は、経済産業省と日本健康会議が共同で主催する「健康経営優良法人」に、警備業界で唯一、8年連続で認定されました。
<指標及び目標>
指標 |
目標( |
実績 |
① |
|
|
② |
|
|
③ |
|
|
(注)1.算出対象は、40歳以上の男性のみとしております。
2.算出対象は、40歳以上の男女としております。
エ 情報セキュリティ
(ア)ガバナンス
当社グループは、取締役会の定める「情報セキュリティ基本方針」を全社的な情報セキュリティ確保の礎として、この基本方針を、役員を含む全社員、保有する全ての情報資産に適用しております。
また、取締役会の定める「情報資産管理規則」に基づき、全社的な情報資産管理体制の構築及び推進、重大な情報資産事故に関する訓練等を実施しております。
(イ)戦略
国際情勢の変化に伴うサイバー攻撃の増加、DX推進による情報資産の取扱量の増加により、当社グループは情報資産の保護のため、常に情報セキュリティレベルを高水準に保つ必要があると認識しております。そのため、内部では情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証やプライバシーマーク認証の維持など、継続的改善を図っています。また、新世代の情報技術と先端工学を駆使し、リアルスペースとサイバースペース双方のセキュリティ・ソリューションの研究開発に取り組んでおり、2023年3月には、お客様のIT機器関連の障害が発生した場合の原因究明や応急処置を行う「ALSOK ITレスキュー」のサービス提供を開始しました。
(ウ)リスク管理
2014年度から、重大な情報資産事故が発生した場合には、ALSOK-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置することとしており、事故対応から再発防止策の検討・実行まで適切に対応する体制を整えております。
データセキュリティに関しては、商品・サービスの提供に関わるシステムや基幹システム等の運用において、通信障害やシステムトラブル等が発生した場合、サービスの提供等に影響を及ぼす可能性があるため、当社グループは、各拠点においてネットワーク機器を多重化するほか、遠隔地に各種バックアップサーバーを確保するなど、バックアップ体制を整えたうえで、システム障害を想定した訓練等を実施するなどして、安定的な運用に努めております。
(エ)指標及び目標
「重大なインシデント」及び「軽微なインシデント」を指標に設定しております。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証取得範囲において、「重大なインシデントの発生をゼロ」、「軽微なインシデントの発生件数を5件以内」という2つの目標を掲げておりますが、2017年度から7期連続で目標を達成しており、引き続き高水準の情報セキュリティレベルを維持してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)物価変動・供給不足に関するリスク
円安や原材料価格の高騰、賃上げ等の生産コスト上昇が今後も続く場合、継続的なサービスの提供に影響を及ぼす可能性があります。加えて、金融市場の動向と金融のシステミックリスク、その他内外情勢の変化も、物価変動や供給不足をもたらし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社は、パートナーシップ構築宣言企業として、コスト増に対応した価格改定などを含め取引先との共存共栄を引き続き目指すとともに、取引先を含めたマルチステークホルダーに配意した取組みを行っております。
また、供給不足の影響を最小限にするため、需給予測に基づいた適正な在庫管理、調達先の拡大、リユースの推進などを進め対応しております。
(2)事業環境に関するリスク
重要インフラ・サプライチェーン等へのサイバー攻撃リスクの増加、高齢者、女性、子ども等の安全・安心への懸念、街中での凶悪な犯罪や事故の増加、相次ぐ自然災害やインフラ老朽化などを背景に、当社グループに対する期待は高まっておりますが、当社グループがこうした期待に応えられない場合、お客様の信頼を失い、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社グループは、警備業務・ファシリティマネジメント業務等で培った社内外インフラを強化しつつ、サイバーセキュリティ対策、お客様個々人の安全・安心を見守るサービス、BCPソリューション等の自然災害リスクに対応するサービス、各種アウトソースニーズへの対応、建物設備やインフラに対する包括的な管理サービス等、多様なサービス機能を組み合わせた新たなソリューションを、外部とのアライアンスも活用しながら拡充しております。
(3)技術環境の変化に関するリスク
当社グループがお客様と社会の安全・安心ニーズに的確に応えていくためには、実用化段階に入っているドローン、AI、5G等を活用した新たな商品・サービス開発が不可欠となっております。そのような状況において、こうした技術環境の変化に適切に対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社グループは、最新の技術動向を把握するとともに、ドローン、AI、5G等を積極的に活用し、DXを推進することで、リスク回避に努めております。
(4)人材の確保・育成に関するリスク
当社グループは、幅広い業務領域(セキュリティ事業、設備・工事を含めた綜合管理・防災事業、介護等生活支援事業)で事業を展開しており、国内の生産年齢人口減少が続く状況下において、質の高い人材の確保が困難となった場合、各事業の運営を担う人材及びそれらをマネジメントする経営人材が不足し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループは、ベースアップ実施、多様な人材の採用並びに多様な働き方の提供、資格取得支援等による能力開発、有給休暇の取得推進など個々の働き手が持てる能力を最大限に発揮できる制度、環境を整備し、エンゲージメントを高めながら、グループ内の働き方改革、働き手の処遇向上を一層推進しております。
なお、組織の活性化と社員の能力育成を目的としたグループ全体での人事交流の促進、女性社員の配置先の拡大、マルチタスクの強化等により柔軟な人事管理を実施し、適材適所配置の強化を図っています。
加えて、豊富な実務経験や専門的な能力を有する定年退職者が、グループ内で定年後も長期間活躍可能な仕組みを取り入れるなど、質の高い労働力の確保や、デジタル化とデータ活用を進めるなど、社内のフロント部門やバックオフィス部門におけるオペレーションの効率化・省人化による生産性向上にも努めております。
(5)人権に関するリスク
労働集約型のビジネスを行う当社グループでは人権が主要なリスクであると捉えており、自社のみならずサプライチェーン全体で人権リスクの低減に取り組む必要性が高まっています。
グループ全体で人権尊重の取り組みを強化するため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、2023年11月に「ALSOKグループ人権方針」を策定し、2024年4月には人権委員会を設立しました。総務・広報担当役員の責任のもとサステナビリティ担当部署を中心として人権リスクの評価を行い、特定された課題に対する軽減及び是正措置の検討を行っていく予定です。また、特定された人権リスクについては経営層へ適宜報告を行い、リスク管理委員会と連携した管理を行ってまいります。
(6)環境問題に関するリスク
近年、世界各地で熱波や豪雨、干ばつなどの極端な気象現象(異常気象)が頻発しています。昨年は、我が国でも激甚災害に指定される豪雨等災害の多発、平均気温が観測史上最高を記録するなど異常気象が観測され、当社グループだけではなく、広く企業活動や市民生活に大きな影響を与えています。
当社グループでは、このような気候変動等への対応として、気候変動の緩和・適応策、水・海洋・森林資源の保全、循環型社会形成への対応、汚染防止と廃棄物管理、生物多様性の保全といった課題に関し、リスクと機会の両面から、さまざまな取り組みや商品・サービス提供を行い、課題の解決と持続可能な社会の実現を目指しています。また、その他の活動として、自社所有施設の照明のLEDへの切替や、電気自動車やハイブリッド車への積極的な入れ替えを推進することによる地球環境対策としてのCO2排出量削減の取組みを行なっている他、気候変動に関する国内イニシアティブ(JCI気候変動イニシアティブ)にも賛同・加盟しています。2020年1月より、地球環境問題の解決と持続可能な開発に貢献することを目的として発足したNGOである地球環境行動会議(GEA:Global Environmental Action)に会員企業として加盟し、事業活動費を寄付しています。さらに、当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同し、2022年10月よりTCFDに基づく情報を開示しているほか、2023年5月にはGXリーグに参画するなど、多方面から積極的に取り組んでおります。なお、これらの取組みについては、当社ホームページや、毎年発行しているALSOKレポート(統合レポート)等を通じて発信しています。
(7)大規模災害、感染症等の発生に関するリスク
大規模災害等の発生により、当社グループの社員や、当社グループが運営する施設等が被災した場合、業務運営に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社グループは、これら大規模災害の発生に備え、経験等によって培ったノウハウを活かし、事業継続計画及び災害対策規程に基づく対応マニュアルの整備、対策品の備蓄、全国規模での機動的な対応体制、定期的な教育訓練の実施などの対策を講じております。
また、大規模災害やそれに伴う長期間にわたる停電等の発生により、当社グループが構築しているネットワーク等の機能が停止した場合、サービスの提供に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社グループは、重要システムのバックアップ環境として東日本と西日本の2拠点にデータセンターを設置し、大規模災害等の発生に備えて相互監視を行っております。
その他、仮に、重要な施設等を警備する社員や、当社グループが運営する介護施設等において集団感染が発生した場合、継続的なサービスの提供に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社グループでは、感染症の拡大防止に向けた取組みとして、継続的なサービス提供が維持できるようコンティンジェンシープランを策定しております。
(8)システム開発、運用に関するリスク
当社グループは、新商品・サービスや基幹システム等の開発において、社外のベンダーへ開発業務を委託することがあります。そのような状況において、当社や委託先の開発業務の進捗の遅れが生じ、計画通りにリリースされなかった場合、当社グループの業績や経営計画に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社グループは、開発業務の進捗管理に関しては、委託先と緊密に連携し、両社の責任者が詳細な進捗確認を行うことで、早期に適切な対応を講じ、遅延防止を図っております。あわせて、リスクを軽減するためシステム移行を機能別に段階的に進めることも選択肢としているほか、受入試験や導入後の改修・改良等についても適切に内部統制を構築して対応しております。さらに、プロジェクトマネジメントスキル等の高度な専門知識を持った人材の確保・育成を強化することで、委託先の進捗や品質をより適切にコントロールしてまいります。
また、当社が使用する基幹システム等の開発において、導入後にシステムトラブル等が発生した場合、当社グループの業績や内部統制に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社グループは、システムトラブル等が発生した場合、社外のベンダーとトラブルに対応する体制を構築できるよう準備しているほか、適切な内部統制を整備しております。
その他、商品・サービスの提供に関わるシステムや基幹システム等の運用において、通信障害やシステムトラブル等が発生した場合、サービスの提供等に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社グループは、各拠点においてネットワーク機器を多重化するほか、遠隔地に各種バックアップサーバーを確保するなど、バックアップ体制を整えたうえで、システム障害を想定した訓練等を実施するなどして、安定的な運用に努めております。
(9)情報管理に関するリスク
当社グループは、多くの個人情報や機密情報を取り扱っております。これら情報資産に対して、悪意を持った第三者による攻撃や、社員や業務委託先といった当社グループ関係者の不注意又は故意による流出等が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社グループは、全社的な情報セキュリティ確保の礎として「情報セキュリティ基本方針」を定め、この基本方針を、役員を含む全社員、保有する全ての情報資産に適用しております。また、情報資産管理規則に基づき、全社的な情報資産管理体制の構築及び推進、重大な情報資産事故に関する訓練等を実施しております。なお、重大な情報資産事故が発生した場合には、ALSOK-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置することとしており、事故対応から再発防止策の検討・実行まで適切に対応する体制を整えております。
(10)レピュテーションに関するリスク
当社グループでは、商品・サービスの提供に当たって、複数の会社で共通のコーポレートブランドを使用しております。このような状況において、当社若しくは関係会社において不備・不祥事案が発生した場合、入札停止は勿論のこと、当社グループのブランドイメージが低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、グループガバナンスの強化の観点から、関係会社管理のための専管部署を設置し、職務の執行に係る事項の報告及び関係会社の損失の危険に係る重要な情報の報告を適時受け、当社と関係会社が連携してリスク対応を行うこととしているほか、当社から取締役又は監査役を派遣するなどして厳正な指導、監督を行っております。
また監査部では、「内部監査規程」に基づき、関係会社に対して経営活動の全般にわたる管理、運営の制度及び業務の改善を重視しての指導、助言、勧告を実施するなど、グループ全体のコンプライアンス遵守に取り組んでいます。
なお、当社の内部統制システムの整備の状況や、監査役監査及び内部監査の状況等については、有価証券報告書内「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
(11)法的規制に関するリスク
当社グループは、セキュリティ事業等のサービスを提供するに当たり、各種の法的規制を受けており、主なものは次の表に記載のとおりであります。
今後、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、各業務主管部及び関係会社にて、それぞれが主管する業務に関係する法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられていないかについて確認、対応することとしており、そのリスク情報については定期的に当社法務室へ報告することとしております。今後も、関係当局の動向を注視し、法的規制の変更に伴う業績変化を回避すべく、適時適切に対応してまいります。
|
関係する主な法律又は条例 |
監督官庁等 |
セキュリティ事業 |
警備業法 |
国家公安委員会(警察庁) |
道路交通法 |
||
電気通信事業法 |
総務省 |
|
電波法 |
||
電気工事業の業務の適正化に関する法律 |
経済産業省 |
|
電気用品安全法 |
||
特定商取引法 |
経済産業省、消費者庁 |
|
消費者契約法 |
消費者庁 |
|
建設業法 |
国土交通省 |
|
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 |
||
貨物自動車運送事業法 |
||
貨物利用運送事業法 |
||
道路運送車両法 |
||
倉庫業法 |
||
構造改革特別区域法 |
内閣府 |
|
下請代金支払遅延等防止法 |
公正取引委員会、中小企業庁 |
|
刑事収容施設法 |
法務省 |
|
大気汚染防止法 |
環境省 |
|
関係する主な法律又は条例 |
監督官庁等 |
綜合管理・防災事業 |
建設業法 |
国土交通省 |
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 |
||
宅建業法 |
||
建築士法 |
||
マンション管理適正化法 |
||
医薬品医療機器等法 |
厚生労働省 |
|
建築物衛生法 |
||
廃棄物処理法 |
環境省 |
|
大気汚染防止法 |
||
電気事業法 |
経済産業省 |
|
電気工事業の業務の適正化に関する法律 |
||
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律 |
||
消防法 |
総務省 |
|
火災予防条例 |
市町村 |
|
介護事業 |
介護保険法 |
厚生労働省、都道府県、市町村 |
老人福祉法 |
||
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 |
||
その他 |
信書便法 |
総務省 |
労働者派遣法 |
厚生労働省 |
|
職業安定法 |
||
保険業法 |
金融庁 |
|
金融商品の販売等に関する法律 |
||
犯罪による収益の移転防止に関する法律 |
国家公安委員会(警察庁) |
|
探偵業の業務の適正化に関する法律 |
||
古物営業法 |
||
個人情報保護法 |
個人情報保護委員会 |
|
消費税転嫁対策特別措置法 |
公正取引委員会、中小企業庁、消費者庁 |
|
景品表示法 |
消費者庁 |
|
新型インフルエンザ等対策特別措置法 |
厚生労働省 |
|
建築物における衛生的環境の確保に関する法律 |
||
食品衛生法 |
||
放射性物質汚染対処特措法 |
環境省 |
|
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 |
公正取引委員会 |
(12)のれん等の減損に関するリスク
当社グループは、警備事業を起点とした周辺分野への事業領域拡大等のため、会社を買収することがあります。このような中で、買収した会社の業績が買収決定時の事業計画と大きく乖離した場合や合併等の組織再編を行った場合、のれんや顧客関連資産などの無形固定資産、その他有形固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、買収した会社の業績については、常時管理する体制を構築しており、定期的に取締役会に報告しております。なお、買収決定時の事業計画と実績の乖離が認められた場合には、速やかに関係部署において対応策を策定・実行することとしております。
(13)カントリーリスク
当社グループは、東南アジアを中心として海外事業を展開しておりますが、進出国における地政学的動向、物価や金融市場の情勢、文化や法制度、大規模災害の発生などに起因するカントリーリスクが顕在化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、海外事業の専管部署を設置し、海外子会社や駐在員事務所より現地の重要な情報の報告を適時受けた上でリスク対応することとしているほか、定期的に当社の取締役及び海外子会社社長等が参加する会議を開催し、厳正な指導、監督を行っております。また、当社グループの社員や拠点がテロの脅威に晒される事態となった場合には、当社内に24時間体制の対策本部を設置して対応することとしております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
ア 財政状態及び経営成績の状況
(業績等の概要)
当連結会計年度における我が国経済は、実質賃金の落ち込みや1~3月期における一部製造業の生産活動の停滞などの景気下押し要因があったものの、設備投資の持ち直しやコロナ禍からの経済活動正常化の動き、インバウンド需要の回復などを背景に緩やかな景気回復が継続しました。先行きにつきましては、一部製造業の生産回復に加え、春闘の賃上げなど雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されますが、他方で、中東やウクライナ情勢の緊迫化や中国経済の先行き懸念などの海外要因に加え、円安等による国内の物価上昇率の高まり等に注意する必要があります。
警備分野においては政府の「世界一安全な日本」創造戦略2022においても示されているように、サイバー空間の脅威、高齢者、女性、子ども等の社会的弱者の安全・安心への懸念のほか、街中での凶悪な犯罪や事故の増加、今年1月に発生した令和6年能登半島地震等の自然災害に伴う治安情勢の変化、インフラ老朽化などを背景に、警備業界に対する社会の期待は高まっており、当社グループに対しては、警備を含むトータルでの安全・安心に関するサービス提供が求められております。加えて、2022年の刑法犯認知件数が2002年以来初めて対前年比増加に転じ、さらに2023年においても増加傾向が強まっているほか、所謂「闇バイト」による強盗や太陽光発電施設における銅線の窃盗等の発生を受けて国内の体感治安が悪化しており、安全・安心を提供する当社グループの役割は増大していると言えます。
このような情勢の中、当社グループは、持続可能な社会への貢献を目指し、社会の安全・安心に関するサービス(セキュリティ事業、綜合管理・防災事業、介護等生活支援事業)を行う事業者として、適切にサービス提供を継続してまいりました。中期経営計画「Grand Design 2025」に掲げておりますとおり、「社会の多様な安全・安心ニーズに対応する強靭な綜合安全安心サービス業」を目指して、リスクが多様化する中で拡大するお客様と社会の安全・安心ニーズに応えるべく、警備・設備・介護等の多様なサービス機能を組み合わせた新たなサービス提供に取り組んでおります。
以上のような取組みを続ける中、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、前期と比較して改善し、売上高は521,400百万円(前年同期比5.9%増)、営業利益は39,082百万円(前年同期比5.6%増)、経常利益は42,173百万円(前年同期比7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は27,327百万円(前年同期比14.1%増)となりました。
当社グループの連結損益計算書を項目別に対前年度で比較すると、次のとおりであります。
項目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
|||
金額 |
百分比 |
金額 |
百分比 |
増減額 |
増減率 |
|
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
|
売上高 |
492,226 |
100.0 |
521,400 |
100.0 |
29,173 |
5.9 |
売上原価 |
370,998 |
75.4 |
395,686 |
75.9 |
24,687 |
6.7 |
売上総利益 |
121,228 |
24.6 |
125,713 |
24.1 |
4,485 |
3.7 |
販売費及び 一般管理費 |
84,234 |
17.1 |
86,630 |
16.6 |
2,396 |
2.8 |
営業利益 |
36,993 |
7.5 |
39,082 |
7.5 |
2,089 |
5.6 |
営業外収益 |
5,129 |
1.0 |
6,035 |
1.2 |
905 |
17.6 |
営業外費用 |
2,892 |
0.6 |
2,944 |
0.6 |
52 |
1.8 |
経常利益 |
39,230 |
8.0 |
42,173 |
8.1 |
2,942 |
7.5 |
特別利益 |
1,332 |
0.3 |
945 |
0.2 |
△386 |
△29.0 |
特別損失 |
739 |
0.2 |
265 |
0.1 |
△474 |
△64.1 |
法人税等 |
13,992 |
2.8 |
13,735 |
2.6 |
△256 |
△1.8 |
非支配株主に帰属する当期純利益 |
1,880 |
0.4 |
1,790 |
0.3 |
△89 |
△4.8 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
23,950 |
4.9 |
27,327 |
5.2 |
3,376 |
14.1 |
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して29,173百万円増加し、521,400百万円(前年同期比5.9%増)となりました。
売上原価につきましては、従業員の処遇改善等により労務費が16,827百万円増加したことや、工事・売却原価が6,789百万円増加したことにより、395,686百万円(前年同期比6.7%増)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、給料諸手当が1,845百万円増加したことにより86,630百万円(前年同期比2.8%増)となりました。
経常利益につきましては、営業利益の増加に伴い2,942百万円増加し、42,173百万円(前年同期比7.5%増)となりました。
特別利益の減少は、負ののれん発生益が446百万円増加した一方、固定資産売却益が951百万円減少した結果であります。
特別損失の減少は、段階取得による差損が132百万円増加した一方、減損損失が310百万円、事業損失引当金繰入額が299百万円減少した結果であります。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、経常利益の増加に伴い3,376百万円増加し、27,327百万円(前年同期比14.1%増)となりました。
なお、包括利益につきましては、28,589百万円増加の54,116百万円(前年同期比112.0%増)となりました。好調な金融市場の状況を反映する形で退職給付に係る調整額の期中変動額が21,977百万円、当期純利益が3,287百万円増加した結果であります。
セグメントごとの経営成績の状況につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ア 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
(連結貸借対照表項目の比較分析)
当社グループの連結貸借対照表を項目別に対前年度で比較すると、次のとおりであります。
項目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
||||
金額 |
構成比 |
金額 |
構成比 |
増減額 |
増減率 |
||
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
||
資産の部 |
流動資産 |
239,032 |
46.3 |
252,061 |
44.4 |
13,029 |
5.5 |
固定資産 |
277,615 |
53.7 |
315,500 |
55.6 |
37,884 |
13.6 |
|
資産総額 |
516,647 |
100.0 |
567,561 |
100.0 |
50,913 |
9.9 |
|
負債の部 |
流動負債 |
98,856 |
19.1 |
100,489 |
17.7 |
1,632 |
1.7 |
固定負債 |
73,897 |
14.3 |
80,490 |
14.2 |
6,593 |
8.9 |
|
負債総額 |
172,753 |
33.4 |
180,980 |
31.9 |
8,226 |
4.8 |
|
純資産の部総額 |
343,893 |
66.6 |
386,581 |
68.1 |
42,687 |
12.4 |
当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末と比較して50,913百万円増加し、567,561百万円(前年同期比9.9%増)となりました。うち流動資産は、13,029百万円増加の252,061百万円(前年同期比5.5%増)、固定資産は37,884百万円増加の315,500百万円(前年同期比13.6%増)となりました。
流動資産の増加につきましては、現金及び預金が17,760百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が3,658百万円、原材料及び貯蔵品が2,161百万円増加した一方、警備輸送業務用現金が9,554百万円減少した結果であります。
固定資産の増加につきましては、運用資産の評価額が増加したことを受け退職給付に係る資産が33,259百万円、投資有価証券が5,572百万円増加したことが主たる要因であります。
当連結会計年度末の負債総額は、前連結会計年度末と比較して8,226百万円増加し、180,980百万円(前年同期比4.8%増)となりました。うち流動負債は、1,632百万円増加の100,489百万円(前年同期比1.7%増)、固定負債は6,593百万円増加の80,490百万円(前年同期比8.9%増)となりました。
流動負債の増加につきましては、未払消費税等が2,910百万円増加したことが主たる要因であります。
固定負債の増加につきましては、繰延税金負債が9,220百万円増加した一方、リース債務が1,794百万円減少した結果であります。
当連結会計年度末の純資産の部総額は、前連結会計年度末と比較して42,687百万円増加し、386,581百万円(前年同期比12.4%増)となりました。
イ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は69,162百万円(前年同期比34.1%増)となりました。
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 (%) |
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
営業活動によるキャッシュ・フロー |
31,682 |
56,063 |
77.0 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△24,818 |
△16,913 |
△31.9 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△19,380 |
△21,503 |
11.0 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
43 |
△56 |
- |
現金及び現金同等物の増加額 (△は減少) |
△12,472 |
17,591 |
- |
現金及び現金同等物の期首残高 |
63,644 |
51,571 |
△19.0 |
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額 |
400 |
- |
- |
現金及び現金同等物の期末残高 |
51,571 |
69,162 |
34.1 |
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果増加した資金は56,063百万円(前年同期比77.0%増)であります。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益42,853百万円、減価償却費による資金の内部留保18,727百万円、警備輸送業務に係る資産負債の増減額8,276百万円であります。これらに対し、資金の主な減少要因は、法人税等の支払12,981百万円であります。
なお、警備輸送業務に係る資産・負債の増減額には、警備輸送業務用現金、及び短期借入金のうち警備輸送業務用に調達した資金等の増減が含まれております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は16,913百万円(前年同期比31.9%減)であります。有形固定資産を14,419百万円、子会社株式を4,189百万円取得した結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動により減少した資金は21,503百万円(前年同期比11.0%増)であります。配当金の支払により8,715百万円、リース債務の返済により5,990百万円、自己株式の取得により5,000百万円の資金が減少した結果であります。
ウ 生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中の契約件数をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度末 (2023年3月31日) |
当連結会計年度末 (2024年3月31日) |
前年同期比 (%) |
セキュリティ事業 |
|
|
|
機械警備業務 (千件) |
1,029 |
1,076 |
4.5 |
常駐警備業務 (千件) |
4 |
5 |
14.1 |
警備輸送業務 (千件) |
86 |
88 |
3.2 |
合計 (千件) |
1,120 |
1,170 |
4.4 |
綜合管理・防災事業 (千件) |
121 |
128 |
5.5 |
介護事業 (千件) |
27 |
27 |
2.5 |
報告セグメント計 (千件) |
1,269 |
1,326 |
4.5 |
その他 (千件) |
23 |
25 |
5.9 |
合計 (千件) |
1,293 |
1,351 |
4.5 |
(注)上記件数は、当社グループがサービスを提供している対象先の数ではなく、お客様と約定している長期契約(一定期間継続的にサービスを提供する契約)の数を集計したものであります。各セグメントに含まれる代表的なサービスは、次のとおりであります。
機械警備業務 |
法人向けのALSOKガードシステム各種、個人向けのホームセキュリティ各種 |
常駐警備業務 |
ご契約先施設等に警備員を配置する常駐警備 |
警備輸送業務 |
現金、有価証券等を輸送する現金輸送サービス、入(出)金機オンラインシステム |
綜合管理・防災事業 |
設備管理、清掃管理、電話対応、施設の維持、管理、運営業務、消防用設備の点検、AEDのレンタル等 |
介護事業 |
訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、グループホーム等 |
その他 |
ALSOK PCマネジメントサービス、ホームページ改ざん検知サービス、QRコード決済を中心としたキャッシュレス決済サービス、人材派遣等 |
(販売実績)
販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比 (%) |
セキュリティ事業 |
|
|
|
機械警備業務 (百万円) |
175,920 |
186,959 |
6.3 |
常駐警備業務 (百万円) |
123,713 |
126,438 |
2.2 |
警備輸送業務 (百万円) |
66,713 |
69,254 |
3.8 |
合計 (百万円) |
366,348 |
382,652 |
4.5 |
綜合管理・防災事業 (百万円) |
72,990 |
78,393 |
7.4 |
介護事業 (百万円) |
47,495 |
50,961 |
7.3 |
報告セグメント計 (百万円) |
486,835 |
512,007 |
5.2 |
その他 (百万円) |
5,391 |
9,393 |
74.2 |
合計 (百万円) |
492,226 |
521,400 |
5.9 |
(注)販売実績が総販売実績の10%以上の相手はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。
ア 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営者の視点による分析・検討内容)
当連結会計年度における当社グループの連結業績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ア 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、売上高は、14期連続で増収で、13期連続で過去最高を更新し、利益についても増益となりました。当社グループは、M&Aの活用等によりセキュリティ事業を強化するとともに、セキュリティ事業と親和性の高い綜合管理・防災事業や介護等生活支援事業を拡大し、リスクが多様化する社会の中で、拡大する安全・安心ニーズに的確に応えることに注力しております。
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高経常利益率とROE(連結自己資本当期純利益率)を重視しております。中期経営計画「Grand Design 2025」においては、両指標とも10.0%以上を目標として掲げ、当連結会計年度は、売上高経常利益率8.1%、ROE8.2%となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
売上高のセグメント別の増減
セグメントの名称 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
|||
金額 (百万円) |
構成比 (%) |
金額 (百万円) |
構成比 (%) |
金額 (百万円) |
増減率 (%) |
|
セキュリティ事業 |
|
|
|
|
|
|
機械警備業務 |
175,920 |
35.7 |
186,959 |
35.9 |
11,038 |
6.3 |
常駐警備業務 |
123,713 |
25.1 |
126,438 |
24.2 |
2,725 |
2.2 |
警備輸送業務 |
66,713 |
13.6 |
69,254 |
13.3 |
2,540 |
3.8 |
合計 |
366,348 |
74.4 |
382,652 |
73.4 |
16,303 |
4.5 |
綜合管理・防災事業 |
72,990 |
14.8 |
78,393 |
15.0 |
5,402 |
7.4 |
介護事業 |
47,495 |
9.6 |
50,961 |
9.8 |
3,465 |
7.3 |
報告セグメント計 |
486,835 |
98.9 |
512,007 |
98.2 |
25,171 |
5.2 |
その他 |
5,391 |
1.1 |
9,393 |
1.8 |
4,001 |
74.2 |
合計 |
492,226 |
100.0 |
521,400 |
100.0 |
29,173 |
5.9 |
セグメント別の主要な変動要因は次のとおりであります。
セキュリティ事業につきましては、売上高は382,652百万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は37,897百万円(前年同期比1.6%増)となりました。
機械警備業務においては、法人向けサービスとして、ライブ画像確認を標準装備し、画像蓄積や遠隔地からのオプションを充実させ、お客様の省人化ニーズにも貢献する「ALSOK-G7(ジーセブン)」の販売を推進してまいりました。今後、お客様のニーズに合わせて、ALSOK-G7の活用の拡大をさらに図ります。また、「ALSOK ITレスキュー」と「ALSOK設備レスキュー」のサービス提供を開始しました。これらは、ALSOKの機械警備の既存インフラを活用し、IT機器やビルの設備等に障害等が発生した際にガードマンが駆けつけて専門家による業務支援のもと原因究明や応急措置等を行うサービスです。個人向けサービスは、新商品「HOME ALSOK Connect」の提供を開始したこともあり、堅調に受注を伸ばしました。この商品は、体感治安が悪化する中で幅広いお客様に安全・安心を提供するものであり、異常の際にALSOKが駆けつける従来型の「オンラインセキュリティ」に加え、ご依頼に応じてALSOKが現場確認するサービスをオプションとして月額料金を抑えた「セルフセキュリティ」のプランをご用意しており、セルフセキュリティはいつでもオンラインセキュリティにアップグレードが可能です。また、高齢者向け見守りサービス「HOME ALSOK みまもりサポート」等の販売も引き続き推進してまいりました。
常駐警備業務においては、広島での首脳会合をはじめとするG7関連の各種大臣会合の警備やインバウンド需要回復によって再開した空港施設の警備、生産拠点の国内回帰やアフターコロナにおける国内イベントの再開本格化に伴う警備へ対応いたしました。今後はさらにDX等による常駐警備の省人化・効率化に取り組んでまいります。
警備輸送業務においては、金融機関の店舗統廃合等によりATM台数は減少している一方、現金管理業務の効率化ニーズは依然根強く、ATM綜合管理サービスや入(出)金機オンラインシステム等の販売を拡大しております。併せて、2024年7月前半を目途に行われる新紙幣発行に向けた機器のリプレース等を推進しております。さらに、入出金機オンラインシステムを活用して自治体の派出窓口業務を自動化する「税公金受付システム」を提供しております。引き続き、地域金融機関等の業務効率化・コスト低減など様々なアウトソースニーズを捉え、サービス提供の拡大に努めてまいります。
綜合管理・防災事業につきましては、建設工事部門の完工高が堅調に推移し、売上高は78,393百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は8,369百万円(前年同期比9.2%増)となりました。引き続きファシリティマネジメント業務の拡大に取り組むとともに、サステナビリティへの取組強化の一環としてEV充電設備の販売、設置工事や保守メンテナンス等を提供してまいります。
介護事業につきましては、新規の施設開設、既存施設の入居率向上のほか、M&Aの効果等により、売上高は50,961百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益は1,309百万円(前年同期比147.7%増)となりました。引き続き介護支援ロボット活用等DXによる介護業務の高度化、効率化をすすめ、介護事業の統一ブランド『ALSOKの介護』のもとサービス拡充に努めてまいります。
その他の分野につきましては、2023年10月に提供を開始した「ALSOKホームページ改ざん検知・復旧サービス」のほか、従来からサービス提供している太陽光施設のパネル点検、各種施設の点検・調査等ドローンを活用した事業の拡大に引き続き取り組んでおります。
当社グループは、社会の安全・安心に関するサービスを行う事業者としての責務を果たしつつ、新技術の活用や生産性の向上等に引き続き取り組み、今後も拡大する社会の安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。
(資本の財源及び資金の流動性)
①財務規律に関する基本的な考え方
中期経営計画「Grand Design 2025」では、中期的な財務目標として、ROE10%以上を想定しております。ROEの向上に向けては、安定配当を維持しつつ、中期的に連結売上高経常利益率を10%以上まで高めることを目標に収益性を拡大することが基本的な方針であります。なお配当性向の目安については、前連結会計年度までは30%としておりましたが、当連結会計年度より40%から50%へと見直しております。
こうした中、当社グループの最近5連結会計年度末における自己資本比率は安定的に推移しており、株主と債権者双方にバランスよく配慮し、財務規律の維持に努めた結果と考えております。
(最近5連結会計年度末における自己資本比率)
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
自己資本比率 [連結](%) |
57.3 |
57.6 |
61.5 |
60.9 |
62.2 |
②資金需要の動向及び資金調達の方法並びにそれらに係る経営者の認識
当社グループにおける自己資金の主たる源泉は、セキュリティ事業を中心としたお客様からの月額料金の収受であり、先行きが見通しやすい安定的な収入を毎月得られております。こうした安定的な自己資金を所与として資金の支出を計画していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。また、外部からの資金調達についても、こうした安定的な自己資金の状況や最近の自己資本比率の動向、主要な金融機関との良好な関係により、安定的に実施できると考えております。
このような資金の源泉に対し、当社グループの主要な資金需要及び資金調達の方法については、次のとおりです。
(運転資金需要)
当社グループにおける運転資金需要のうち主なものは、労務費や外注費を中心とする売上原価、人件費を中心とする販売費及び一般管理費、及び警備輸送業務における入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための現金であります。
売上原価や販売費及び一般管理費の支払資金については、年間を通して安定的に需要が生じるものが多く、自己資金を充当することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの短期借入を実施することとしております。
入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を併用して対応することとしております。当該短期借入は、当座貸越を通じて、資金需要に即して実行できるものとなっております。売上金の入金処理の金額は、前日にお客様が入(出)金機に売上金を投入した金額となり、日々大きく変動しますが、特に月曜日や国民の祝日の後の営業日においては、その前日までの休日に投入された売上金にもあわせて対応する必要があることから、入金処理金額が増加し、金融機関からの借入への依存度も結果的に高まる傾向にあります。
(投資目的の資金需要)
当社グループにおける投資目的の資金需要のうち主なものとして、M&Aが挙げられます。これについては、まずは自己資金を充当することを基本としながら、必要に応じて金融機関からの短期借入や長期借入を実施し、対応することとしております。
このほか、機械警備に係る警報機器の経常的な取得も設備投資に含められております。警報機器の取得は、1件当たりの金額が少額で、受注に伴って生じるため、運転資本を構成する棚卸資産と類似の性格も有すると考えており、年間を通じて安定的に資金需要が生じることから、運転資金需要と同様に自己資金をもって対応することを基本としております。
当連結会計年度後1年間における資本的支出を含む設備投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
(株主還元の方針)
当社グループでは、株主に対する利益還元を経営の重要政策として位置づけ、内部留保の充実を図りながら、業績に裏付けられた成果の配分を行うことを基本方針としております。具体的な利益還元の手法としては、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としており、現在は配当性向40%から50%を目安に安定配当を維持することを目指しております。なお、自己株式取得についてもキャッシュ・フローの動向等を見ながら機動的に実施しております。
(手許資金)
警備輸送業務用現金以外の現金及び預金については、当社グループの資金繰りの実務上明確に最低限維持すべき手許資金の目安を定めてはいないものの、支出に係る資金需要が年間を通して安定的に生じるものが多いことから、月商の1~2か月程度の維持が適切であると認識しております。
警備輸送業務用現金については、当座貸越を通じて、実需に即して調達することとしております。
(先行きの資金需要の動向及び資金調達方法に係る経営者の認識)
当連結会計年度における警備輸送業務を除いた資金需要については、おおむね自己資金の範囲で対応いたしました。当連結会計年度後1年間についても、現時点ではこれまでの資金需要の傾向から大きな変化を見込んでいないことから、同様に自己資金の範囲で対応することが基本となると認識しております。
③当連結会計年度におけるキャッシュ・フロー及び資金調達の状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 イ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、当連結会計年度末日時点における負債による資金調達の状況につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 ⑤連結附属明細表」における社債明細表及び借入金等明細表に記載のとおりであります。なお、同日末時点における主要な借入先別の借入金額は、株式会社みずほ銀行が1,180百万円、PT. Bank Negara Indonesiaが600百万円、株式会社広島銀行が559百万円、株式会社足利銀行が499百万円となっております。
イ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
また、当社グループは、連結財務諸表の作成上、固定資産の減損会計、各種引当金の見積り計算、繰延税金資産の回収可能性の判断等に対し、現在入手可能な前提に基づく合理的な見積りを反映させておりますが、将来、これらの見積りと大きな差が生じる可能性があります。
重要な会計方針のうち、見積りや仮定等による影響が大きいと考えている項目は、次のとおりであります。
(固定資産の減損)
固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」(2002年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2009年3月27日最終改正)に基づき、減損処理の要否を判定しております。将来の企業環境等の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を下回ることとなった場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
①のれん及び顧客関連資産
(のれん及び顧客関連資産の価値の源泉)
当連結会計年度末におけるのれん31,442百万円は、過去の企業結合により発生したものであり、その主たる発生原因は、結合後企業が当社グループに加入したことにより、同社に期待される超過収益力であります。一部ののれんについては、結合後企業ではなく、当社などにおいて発現されることが期待されるシナジー効果が発生原因となっております。
また、一部の企業結合においては、企業結合時における既存の顧客との契約に係る価値を算定し、顧客関連資産としてのれんとともに計上しております。
(将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画)
当社グループにおけるのれんに係る減損要否の検討は、のれん発生の原因である超過収益力やシナジー効果が将来にわたって発現するかに着目して行っており、平時においてはのれんを発生させた結合後企業の事業計画(当社などに発現が期待されるシナジー効果の計画を含む。)に沿って利益やキャッシュ・フローが計上されているかを毎月モニタリングしております。こうした下、設定された事業計画の達成が危ぶまれる状況など減損の兆候が認められる場合には、事業計画の合理性について見直すこととしております。そしてこのように見直された事業計画に基づく割引前将来キャッシュ・フローによって、減損損失を認識するかを決定し、認識する場合においては割引将来キャッシュ・フローで算定する使用価値に基づき減損損失を測定することとしております。
顧客関連資産に係る減損の検討は、のれんに係る減損の検討と併行して行っており、設定された事業計画に沿って利益やキャッシュ・フローが計上されているかをもって減損の兆候の有無の判定を実施するとともに、減損の兆候が認められる場合は、見直された事業計画に基づき、減損損失の認識・測定の手続を実施することとしております。
事業計画には、次に掲げる重要な仮定を考慮しております。これらについては、その性質上、何らかの見積り・前提を設定した上での判断を伴うものであり、当該見積り・前提は、減損の兆候の有無の判断、認識するか否かの判定、又は測定する減損損失金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・セキュリティ事業、綜合管理・防災事業及びその他を営む会社
受注の状況、人員計画、売上高の成長率
・介護事業を営む会社
区分 |
考慮する重要な仮定 |
在宅介護事業 |
職員1人当たりの売上高、既存拠点の利益率、人員計画等 |
施設介護事業 |
新規施設の開設状況、施設の入居率、人員計画等 |
高齢者向け住宅事業 |
新規施設の開設状況、施設の入居率、人員計画等 |
当連結会計年度においては、いずれののれん・顧客資産についても今のところ減損損失を計上する必要はないと判断しております。
なお、事業計画は、当社の個別財務諸表に計上されている結合後企業に係る関係会社株式の評価を検討する際にも活用しております。当該関係会社株式の回収可能性が認められなくなった場合には、当社の損益計算書上、評価損が計上されることとなります。
(割引率)
使用する割引率については、当社グループの大部分の会社がグループ内借入を通じて当社とほとんど同様の条件で資金調達が可能であると考えられることから、当社の上場以来の株価や金利に係るヒストリカル・データに基づき算出した年限別の加重平均資本コストをのれんの残存償却期間に応じて使用することとしております。株価が大きく上昇したり金利が高騰した場合は、加重平均資本コストが高く算出されることを通じ割引将来キャッシュ・フローが少額となることから、測定される減損損失金額が多額となる可能性があります。
②その他の有形・無形固定資産
(将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画)
のれん及び顧客関連資産以外の有形・無形固定資産についても、事業計画に基づく利益やキャッシュ・フローの状況をもって、減損処理の必要性を判定しております。
有形・無形固定資産に係る減損要否の検討に際しては、経営の実態に即して資産のグルーピングを行っております。主な資産のグルーピングの方法は、次のとおりであります。
区分 |
主な勘定科目 |
資産のグルーピングの方法 |
ガードセンター設備 契約先設置警備用機器 防災設備等 |
建物及び構築物 機械装置及び運搬具 |
これらの資産については、エリア別にサービスを展開し、投資意思決定を行っている経営実態に即して管理会計単位を設定している状況に鑑み、当該管理会計単位を資産グループとして設定しております。具体的には、当社については「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況 (1)提出会社の状況」が示す本社及び各地域本部を1つの資産グループとし、子会社及び関連会社については個社を1つの資産グループとしております。 |
介護施設 |
リース資産 |
介護施設については、各施設が独立してサービスを展開し、投資意思決定を行っている経営実態に即し、単独の管理会計単位として設定されている状況に鑑み、個々の介護施設を1つの資産グループとしております。 |
各資産グループに係る事業計画には、のれん及び顧客関連資産の場合と同様、重要な仮定を含めるに際して何らかの見積り・前提を設定しており、当該見積り・前提は、減損の兆候の有無の判断、認識するか否かの判定、又は測定する減損損失金額に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(割引率)
のれん及び顧客関連資産の場合と同様、使用する割引率については、当社の上場以来の株価や金利に係るヒストリカル・データに基づき算出した年限別の加重平均資本コストを使用することとしております。このため、株価や金利動向によっては、加重平均資本コストが高く算出され、測定される減損損失金額が多額となる可能性があります。
(退職給付会計)
当社及び当社の関係会社においては、確定給付型の企業年金制度や退職給付制度が設けられております。在籍している従業員数の少ない一部の連結子会社を除き、これらの制度に係る退職給付債務及び年金資産の算定手続きについては、数理計算上の仮定を置いたうえで実施しております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職一時金選択率、死亡率、退職率、予想昇給率が含まれます。当社グループは、設定したこれらの数理計算上の過程について、直近の実績など現在把握可能な各種のデータを勘案して合理的に判断したものと考えておりますが、実績との間に差異(数理計算上の差異)が生じた場合においては、その発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法により発生の翌連結会計年度より費用処理することとするため、当社グループの営業費用等に重要な影響を与える場合があります。
割引率の設定に際しては、連結会計年度末における高格付けの国内社債や日本国債の利回りを勘案して決定しております。また、割引率の変更は、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2016年12月16日最終改正)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月25日最終改正)に基づき、前連結会計年度末に用いた割引率により算定した退職給付債務と比較して、当連結会計年度末の割引率により計算した退職給付債務が10%以上変動する場合において行うこととしております。
長期期待運用収益率の設定に際しては、直近の年金資産のアセット・アロケーションや、株式・社債などの各金融商品グループごとの過去における運用利回りの実績を勘案しております。また、長期期待運用収益率の変更は、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2016年12月16日最終改正)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月25日最終改正)に基づき、変更が翌連結会計年度以降の退職給付費用に重要な影響をもたらすと判断した場合において行うこととしております。
(繰延税金資産)
当社及び当社の関係会社各社は、個社別に法人税を申告しており、繰延税金資産の回収可能性に関する判断においては、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2016年3月28日改正)に基づき、当社及び当社の関係会社各社を収益力により「分類1」から「分類5」に分類しております。会社分類については、連結会計年度末における各社の状況に基づき、毎期見直しております。この分類に際しては、将来の経営環境の変化や一時差異等加減算前課税所得の見積りの上で仮定を置いており、この仮定の設定は、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響を与える場合があります。なお、将来に関する事項の見積りにおいては、固定資産の減損に関する判断において用いる事業計画に沿って検討を行うため、見積りと実績が乖離するリスクもおおむね同様と考えられます。
「分類2」から「分類5」に該当する会社については、回収可能性があると見込まれる将来減算一時差異等についてのみ繰延税金資産を計上しております。回収可能性の判断においては、十分な収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得が存在するかを最重要視しており、このほか含み益のある固定資産や有価証券を売却する等のタックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得が存在するかについては、その実行可能性が高いと見込まれるものに限定して考慮しております。また、将来減算一時差異等が解消する時期及び金額についても、解消する可能性が高いものに限定して考慮することとしており、例えば含み損に係る土地再評価差額金の場合においては、売却する契約を締結した事実を認識した場合等に限りスケジューリングに含めております。こうした回収可能性に係る一連の手続きについても、何らかの見積り・前提を設定の上で実施しているため、これらの判断は、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
税効果会計に適用する税率については、「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第27号 2016年3月14日)に基づき、決算日時点において国会で成立している税法に規定されている税率を使用しております。このため、税率の変更が行われる場合においては、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当社の繰延税金資産のほとんどは、日本国内に属する会社に係る将来減算一時差異等を源泉とするもので構成されているほか、連結会社間の移転価格に関する不確実性は、ほとんど該当がないものと評価しております。
(1)2023年8月15日付にて、インドネシア子会社であるPT.ALSOK BASS Indonesia Security Servicesを通じて、インドネシアにおいて人材派遣及び警備等の事業を営むPT.Shield-On Service Tbkの株式を取得し、同社及びその子会社7社を連結子会社といたしました。
(2)2023年10月1日付にて、当社の連結子会社であり名刺印刷業務等を営むALSOKビジネスサポート株式会社を存続会社とし、当社の連結子会社であり保守・点検立会業務等を営むALSOKイーグルス株式会社を消滅会社とする吸収合併を行い、連結子会社の再編を行いました。
(3)2023年10月31日付にて、主としてセキュリティ事業を営む北陸綜合警備保障株式会社の株式を追加取得し、持分法適用関連会社から連結子会社といたしました。
(4)2024年4月1日付にて、介護事業を営む株式会社らいふホールディングスを介護事業を営む株式会社らいふに吸収合併いたしました。また、株式会社らいふホールディングスが保有し、アスベスト検査などのファシリティマネジメント事業や食品検査事業を営む株式会社エムビックらいふの全株式を株式会社らいふホールディングスの親会社である当社へ現物配当いたしました。なお、本合併に際し、存続会社株式会社エムビックらいふの商号をALSOKエムビック研究所株式会社へ変更いたしました。
当社グループにおける研究開発活動は、主に提出会社が行っております。当社の研究開発は、収益性の向上に貢献することを目的とし、多様化する市場ニーズを捉え、かつ市場競争力のある技術及び商品の開発を推進することを基本方針としております。当連結会計年度における研究開発費は、総額
当社では、リスクが多様化する社会の中で、拡大する安全・安心ニーズに応えるべく、「身近な犯罪の多様化・体感治安の悪化」、「巧妙化するサイバー攻撃」、「少子高齢化による人手不足」等に対処するために、次のような研究を行っております。また、オープンイノベーションを推進するとともに先端技術について産学官連携を進め、刻々と変化する社会情勢に対応していきます。
(1)最新技術を活用した独自のセキュリティシステム
不審者発見や犯罪・テロ防止を図るべく、「被害の予知・予兆、未然防止」の実現を目指しており、AI、5G、高度なセンシング技術等を活用した研究開発を行っております。
少子高齢化による人手不足の進展の中で、省人化を目指した次世代のセキュリティシステムの創造に積極的に取り組む一方で、既存の警備センサーの改良等も行い、常に社会環境に適応した最先端のセキュリティを追求しています。
また、機械警備隊員や常駐警備隊員の対応力を強化し、業務範囲を拡大するため、デジタル技術を活用した新装備の研究開発等も合わせて行っております。
(2)遠隔監視/リモート化による施設や設備監視業務等の拡充
警備監視で培ったノウハウを活用し、警備用途以外も含め、お客様の施設や設備の状況を遠隔で幅広く監視し、リモートによる保守や駆けつけによる緊急対応や応急処置が行えるサービスの研究開発を進めております。2023年3月には、IT機器の障害が発生した際に機械警備隊員が駆けつけ、原因究明と応急処置を行う「ALSOK ITレスキュー」のサービスを開始いたしました。翌2024年2月には、マンションやビル等の設備の障害発生時に機械警備隊員が駆けつけて応急処置を行うことで、お客様の施設管理業務の省力化に貢献するサービス「ALSOK 設備レスキュー」の提供を開始いたしました。今後もこれらの警備監視で培ったノウハウと開発したプラットフォームを活用し、更なるサービスメニューの追加を図ってまいります。
(3)個人向けセキュリティ
従来のホームセキュリティ機能に加えて操作性やデザイン性を向上したホームセキュリティ機器の開発も進めております。2023年4月には、スマホやスマートウォッチで警備操作や履歴の確認が可能な「HOME ALSOK Connect」の提供を開始いたしました。
また、ホームセキュリティサービスにとどまらず、今後益々需要が拡大する高齢者市場に対応しつつ、新たなホームセキュリティユーザー層を獲得すべく、日々の生活の安全・安心を支援する総合的なセキュリティサービスの研究開発を進めてまいります。
(4)ロボティクス
1982年より警備用ロボットの研究開発に着手して以降、自律走行機能や警備機能、案内機能等を搭載した警備ロボットを開発し、全国の商業施設やオフィスビル等に提供してきました。また、ドローンによる屋内外の画像巡回業務等警備向けドローンの開発も推進しております。今後も、画像認識技術を活用した巡回中の異常検知機能向上や、点検業務における異常検知等の研究開発に取り組んでまいります。
(5)情報セキュリティ
「生命・財産」に加え、「情報資産」を守るべく、物理的なセキュリティとサイバーセキュリティ両面からの情報セキュリティソリューションの開発を行い、今後さらに巧妙化するサイバー犯罪に対する対策メニューの充実を図ってまいります。
(6)介護その他
モニタリング技術を活用した介護現場のリモート支援等、高付加価値な新商品・サービスの開発にも取り組み、セキュリティ分野でのDXをこれからも進めてまいります。