(1)経営方針
当社グループは、「すべての人にインターネット」というコーポレートキャッチのもと、インターネットのインフラ・サービスインフラすなわちインターネットの"場"の提供に経営資源を集中し、「日本を代表する総合インターネットグループ」として、インターネットを豊かに楽しくし、新たなインターネットの文化・産業とお客様の「笑顔」「感動」を創造し、社会と人々に貢献すべく事業活動を行なっています。
1.全社戦略
① グループシナジーの追求
当社グループは、当社含む連結110社(うち5組合)で企業集団を構成する総合インターネット企業グループです。環境変化の激しいインターネット市場において、「権限の分散」によるスピード経営を実践するとともに、当社グループの創業の精神である「スピリットベンチャー宣言」を含む「GMOイズム」の共有、グループシナジーの創出などを通じ、当社グループのもつ経営資源の効率的な活用を目指してまいります。
② グローバル展開の推進
当社グループでは、ドメイン事業における「.shop」、セキュリティ事業におけるSSLサーバー証明書などが本格的な海外展開を果たしております。今後さらに成長性の高い海外市場を取り込むために、海外市場においても「総合インターネットグループ」としての地位を確立することが重要となります。この点、希少性の高い一文字ドメイン「Z.com」をグループ統一ブランドとして活用することで、インターネットインフラ事業、インターネット金融事業、暗号資産事業の海外展開を加速し、海外市場における事業基盤の確立を目指してまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大による当社グループの事業への影響については、「2 事業等のリスク」の項目に記載をしております。
2.事業戦略
① インターネットインフラ事業
当該セグメントにおいては、顧客ニーズを捉えた商材・サービスを提供するため、開発体制を内製化し、個人・法人・地方公共団体など、お客さまがインターネット上で情報発信・経済活動を行なうための基盤となるサービスを、ワンストップで提供しております。その大半がストック型の商材であり、当社グループの強固な収益基盤となっております。引き続き、顧客ニーズを捉えたサービスの開発に取り組むとともに、ファクタリング・レンディングなどの金融サービス、サイバーセキュリティサービスの付加、運用・サポート体制の拡充などを通じて、顧客満足度の向上を目指します。
② インターネット広告・メディア事業
当該セグメントにおいては、市場環境の変化に対応すべく、アドテクノロジー分野の強化、自社商材・自社メディアの強化に努めております。今後も引き続き、テクノロジーシフトを加速し、スマートフォン向け広告、アプリ開発に注力し、「No.1商材」の強化・育成を進めてまいります。
③ インターネット金融事業
当該セグメントにおいては、システムの開発、保守、運用を内製化することでコスト優位性を実現しています。コストリーダーシップ戦略のもと、顧客基盤の拡大に取り組んでおり、主力商材であるFXにおいては、前期に連結子会社化した「外貨ex byGMO」とのシナジー創出に取り組んでまいります。また、CFDがFXに次ぐ第二の主力商材として台頭しております。引き続き、取引ツールの強化、取引コスト低減を通じ顧客利便性の向上を目指してまいります。
④ 暗号資産事業
当該セグメントにおいては、マイニング、交換、決済の領域で事業を展開しております。まず、マイニングについては、自社でマイニングセンターの運営を行なっており、既存アセットを活用した投資回収を継続してまいります。次に、交換(主にGMOコインで展開する暗号資産交換事業)については、金融事業で培った技術力・ノウハウを活用することで、暗号資産の交換所・取引所を展開し、国内No.1を目指します。最後に決済については、ステーブルコイン(GYEN・ZUSD)の発行に関する許認可を米国金融当局から2020年12月に獲得しており、取扱高拡大に向け、海外暗号資産取引所との提携を継続してまいります。
3.技術開発
インターネット関連技術は、技術の進歩が著しく、競争の激しい分野であり、技術優位性をもって先見的・コスト優位性のあるサービスを継続的に創り出すことが重要な経営課題と捉えています。この点、技術力の源泉は、サービスを創り出すエンジニア・クリエイター・ディレクターであり、当社グループは、エンジニア・クリエイター・ディレクターを「グループの宝」・「人財」として尊重する組織・制度作りに積極的に取り組むことで、その採用・育成に引き続き注力します。なお、エンジニア・クリエイター比率の目標値は60.0%、当期末の値は49.6%となっております。
4.健康経営
GMOインターネットグループは、スピリットベンチャー宣言において「企業はパートナー・株主・お客さま、かかわるすべてのステークホルダーが幸せになるための道具である」と考え、「健康・精神・教養の基礎レベル、社会生活・家庭生活の実現レベル、経済の結果レベル、すべてのエリアでバランスが取れた全人を目指そう。」と謳っております。すなわち、パートナーが心身ともに「健康」であることが、ステークホルダーの「幸せ」の実現には欠かせません。私たちは、パートナーの健康維持・増進に取り組む健康経営を推進することで、100年単位で続く企業グループを目指してまいります。具体的には、生活習慣病の早期発見、早期治療のため、健康保険組合と連携し特定保健指導実施の強化をしているほか、プレゼンティーイズム(疾病就業)に着目した定期的なチェックを実施し、測定データの分析を行っています。2022年12月までに従業員とその家族、その他関係者を対象に実施した新型コロナウイルスワクチンの職域接種では、接種に関する地域の負担軽減と接種の加速を図ろうとする政府の要請にも応じました。(総接種実績:約45,000回)
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、上場会社であり当社株式は自由に売買できるものである以上、当社株式に対する大規模な買付行為を一概に否定するものではなく、当該買付行為を受け入れるか否かの判断は、最終的には、当社株式を保有する株主の皆様の自由な意思によってなされるべきものと考えております。
しかしながら、近年、わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣との協議や合意のプロセスを経ることなく、一方的に大規模な買付行為が実施される可能性も否定できません。
このような一方的且つ大規模な買付行為の中には、株主の皆様に対して当該買付行為に関する十分な情報が提供されず株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるものや、株主の皆様が当該買付行為の条件・方法等について検討し、また、当社の取締役会が、これを評価・検討して取締役会としての意見を取りまとめて公表するための十分な時間を確保しないもの、その他真摯に合理的な経営を行う意思が認められないなど当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を著しく損なう買付行為もあり得るところです。
当社グループは、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業、インキュベーション事業を中心として、総合的なインターネットサービスを提供しており、これらの事業はそれぞれが独立したものではなく、相互に有機的に一体として機能することによって相乗効果が生じ、より高い企業価値を創造していると考えております。
また、インターネット関連技術は技術革新の進歩が極めて速く、それに応じた業界標準及び顧客ニーズも急速に変化しております。したがって、当社の経営は、上記のような事業特性及びインターネットサービスに関する高度な専門知識を前提とした経営のノウハウ、並びに、技術革新に対応するための優れた技術、能力を有する従業員、有機的一体的企業結合体の中で各事業を担うグループ会社、取引先及び顧客等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への理解が不可欠であると考えております。
このような当社の事業に対する理解なくして当社の企業価値の把握は困難であり、株主の皆様が大規模な買付行為を評価するに際しても、当該買付行為の買付者から提供された情報だけではなく、当社の事業特性等を十分に理解している当社取締役会の当該買付行為に対する評価・意見等が適切に提供されることが極めて重要であると考えております。
以上の考え方に基づき、当社取締役会といたしましては、上記のような当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を著しく損なうおそれのある大規模な買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えております。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の会社支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は上記①記載の基本方針(以下、「基本方針」といいます。)の実現に資する特別な取組みとして、以下の取組みを行っております。
当社は、『すべての人にインターネット』をコーポレートフィロソフィーキャッチに、たゆまぬベンチャー精神のもと、『インターネットの文化・産業とお客様の笑顔・感動を創造し、社会と人々に貢献する』を企業理念として掲げております。
当社はこの企業理念を具現化するため、すなわち、お客様の笑顔・感動を創造するため、最高のサービスをより多くのお客様に提供することに注力いたしております。
当社グループでは、ドメイン、レンタルサーバーや決済、セキュリティなど数多くの事業(サービス)においてナンバーワンの実績をあげており、そのお客様の多様なニーズ、特にインターネットビジネスに取り組むお客様が求める、導入から活用そして集客までを当社グループで一貫して完結できる基盤が整っております。これらの事業を有機的に結合し、相乗効果を最大化させる取組みにより企業価値・株主の皆様の共同の利益の向上を目指しております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財産及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財産及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(いずれについてもあらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また市場取引、公開買付等の具体的な買付方法の如何を問いません。)が行われる場合には、大規模買付ルールの遵守を求め、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合、又は、大規模買付ルールを遵守した場合であっても、大規模買付行為が当社株主の皆様の共同の利益及び当社の企業価値を著しく損なうと認められる場合につき対抗措置を発動することがあること等を定めております。
当社は、2006年3月13日開催の当社取締役会において、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針を決定し、その後、毎年の当社定時株主総会の後最初に開催される当社取締役会の決定により、対応方針を継続して参りました。そして、当社は、2020年3月30日開催の当社定時株主総会の後、同日に開催された当社取締役会において継続を決定した対応方針について、2020年7月20日開催の当社取締役会において、軽微な変更を加えることを決定し、その後、毎年の当社定時株主総会の後最初に開催される当社取締役会の決定により、対応方針を継続しております。なお、対応方針の内容につきましては、以下のとおりです。
(ⅰ)大規模買付ルールの内容
大規模買付ルールとは、大規模買付者が、大規模買付行為に先立ち、当社取締役会に対して必要且つ十分な情報を提供し、それに基づき当社取締役会が当該大規模買付行為について評価・検討を行うための期間を設け、かかる期間が経過した後に大規模買付行為が開始されるというものです。大規模買付ルールの概要は、以下のとおりです。
イ.情報提供
大規模買付者には大規模買付行為に先立ち、株主の皆様のご判断及び取締役会の評価・検討のために必要且つ十分な情報(以下、「大規模買付情報」といいます。)を提供していただきます。
大規模買付情報の具体的内容は、大規模買付行為の内容及び態様等によって異なり得るため、まず当社宛に、意向表明書をご提出いただくこととし、これをもとに、当初提出していただくべき大規模買付情報のリストを大規模買付者に交付します。
ロ.当社取締役会による評価・検討
当社取締役会は、大規模買付行為の評価の難易度に応じて、大規模買付者が当社取締役会に対して大規模買付情報の提供を完了した後、対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社株券等の全ての買付けの場合には60日間(初日不算入)、その他の大規模買付行為の場合には90日間(初日不算入)を、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間(以下、「取締役会評価期間」といいます。)として確保されるべきものと考えます。取締役会評価期間中、当社取締役会は、適宜必要に応じて外部専門家等の助言を得ながら、提供された大規模買付情報を十分に評価・検討し、当社取締役会としての意見を取りまとめ、公表します。
これを踏まえ、大規模買付行為は、取締役会評価期間の経過後にのみ開始されるべきものとします。
(ⅱ)大規模買付行為がなされた場合の対応方針
イ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社株主の皆様の共同の利益及び当社の企業価値を守ることを目的として、新株予約権の発行及び/又は新株発行等、会社法その他の法令及び当社定款が取締役会の権限として認める措置(以下、「対抗措置」といいます。)を講じ、大規模買付行為に対抗することがあります。具体的な対抗措置については、その時点で相当と認められるものを選択することになります。
ロ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、当社取締役会が仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、反対意見の表明、代替案の提示、株主の皆様への説得等を行う可能性は排除しないものの、原則として、当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、当社株主の皆様において、当該買付提案の内容及びそれに対する当社取締役会の意見及び代替案等をご考慮の上、ご判断いただくこととなります。
但し、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が当社株主の皆様の共同の利益及び当社の企業価値を著しく損なうと認められる場合には、当社取締役会は当社株主の皆様の利益を守るために対抗措置を講じることがあります。
(ⅲ)対抗措置の合理性・公正性を担保するための手続
大規模買付ルールに則った一連の手続の進行について、並びに、大規模買付ルールが遵守された場合で当社株主の共同の利益及び当社の企業価値を守るために適切と考える一定の対抗措置を講じる場合においては、当社取締役会が最終的判断を行うことから、その判断の合理性・公正性を担保するために、当社は、当社取締役会から独立した機関として、特別委員会を設置いたしました。特別委員会の委員は、3名以上5名以内とし、社外取締役、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、投資銀行業務に精通している者及び取締役又は執行役としての経験のある社外者等の中から選任されるものとします。
当社取締役会が対抗措置を発動する場合には、発動に先立ち、特別委員会に対し、発動すべき具体的な対抗措置の内容を提示した上で、その発動の是非について諮問し、当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、特別委員会の勧告を最大限尊重するものとします。
(ⅳ)本対応方針の合理性
本対応方針は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を全て充足しており、かつ、企業価値研究会が2008年6月30日に発表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容にも準じております。また、本対応方針は、株主の皆様が大規模買付行為に対する判断を行うために必要かつ十分な情報を収集・提供し、また、これを評価・検討して取締役会としての意見を取りまとめて公表することにより、株主の皆様の共同の利益に資するものであると考えております。
その他、上記のとおり、本対応方針は、当社取締役会から独立した組織として特別委員会を設置することとしていること、いわゆるデッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策)及びスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)ではないことから、合理性のあるものであると考えております。
④ 上記②の取組みについての取締役会の判断
上記②の取組みは、当社グループ全体の企業価値を向上させ、それを当社の株式の価値に適正に反映させていくことにより、当社株主の皆様の共同の利益を著しく損なう大規模買付行為が行われる危険性を低減させるものと考えられるため、基本方針に沿うものであります。
また、かかる取組みは、当社グループ全体の企業価値を向上させるための取組みであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
⑤ 上記③の取組みについての取締役会の判断
(ⅰ)上記③の取組みは、十分な情報の提供と十分な検討等のための期間の確保の要請に応じない大規模買付者、及び、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を害するおそれのある大規模買付行為を行う大規模買付者に対して対抗措置を発動できることとしております。したがいまして、上記③の取組みは、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社の基本方針に沿うものであると考えております。
(ⅱ)上記③の取組みは、当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益を確保することを目的として、大規模買付者に対して、当該大規模買付者が実施しようとする大規模買付行為に関する必要な情報の事前の提供及びその内容の評価・検討等に必要な期間の確保を求めるための取組みであります。また、かかる取組みにおいては、対抗措置の発動について取締役会による恣意的な判断を防止し、その判断の合理性・公正性を担保するために、特別委員会を設置し、特別委員会の勧告を最大限尊重して対抗措置を発動することを定めており、また、対抗措置を発動するに際しては、監査等委員の全員の賛成を得た上で、取締役全員の一致により決定することとしております。したがいまして、上記③の取組みは、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、取締役会の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
以下、当社グループの事業の状況並びに経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項並びにその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識したうえで、その発生の予防および発生時の対応に努める方針ですが、経営状況および将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えています。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在における当社グループの認識を示すものであります。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありません。
1. 事業環境に関するリスク
(1) 競合について
当社グループは、ドメイン事業、クラウド・ホスティング事業、EC支援事業、セキュリティ事業、決済事業、アクセス事業からなる①「インターネットインフラ事業」、インターネット広告事業、インターネットメディア事業、インターネットリサーチ事業等からなる②「インターネット広告・メディア事業」、オンライン証券取引、外国為替証拠金取引を行なう③「インターネット金融事業」、暗号資産のマイニング、交換、決済に関わる事業を行なう④「暗号資産事業」、そしてインターネット関連企業を中心とした未上場会社への投資事業を行なう⑤「インキュベーション事業」を展開する総合インターネットグループです。
当社グループは、こうした総合的な事業展開に優位性があると考えておりますが、個々の事業においては、競合他社との競争が激化する可能性があります。すなわち、利用者獲得をめぐる競争が激しくなった場合、当社グループの収益力等が低下する場合があるほか、料金引き下げの必要性に迫られたり、広告宣伝費、設備投資費等の増加を余儀なくされる場合も考えられ、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 技術革新について
インターネット関連技術は、技術の進歩が著しく、また、それに応じた業界標準および利用者ニーズが急速に変化するため、新サービス・製品も相次いで登場しております。これらの技術革新への対応が遅れた場合、当社グループの提供するサービスの陳腐化により、競合他社に対する競争力の低下を招き、その結果、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、新技術の開発や動向に十分留意するとともに、継続的なシステム投資及びスタッフの能力向上に努めております。
(3) 買収(M&A)等について
当社グループでは、新規事業への参入、既存事業の拡大、優れた技術や人財の獲得等を目的として、国内・海外ともに買収(M&A)や合弁事業を積極的に展開しております。
買収にともなって生じる様々なリスクを回避あるいは最小化するために、対象企業の契約関係、財務状況の確認など詳細なデューデリジェンスを実施しております。しかしながら、案件の時間的制約などからデューデリジェンスを十分に実施することが困難な場合があります。その結果、対象会社の買収完了後に偶発債務の発生や簿外債務が判明する可能性も否定できません。とりわけ海外マーケットへの進出にあたっては、その性質上、現地政府による規制や法令諸規則の改廃、規制担当官の恣意的な業務執行等により、計画通りに事業計画を遂行できず、当社グループの業績に影響を与えるほか、投下資本の回収が困難になる可能性もあります。
また、対象会社の重要な人財の流出、顧客流出などが計画に反して生じる可能性があり、当初計画していた経営成績や財務状況などの実現が困難となって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
合弁事業などの展開においても、当社グループは、強力なパートナーシップを構築し、将来のシナジー効果が最大限発揮されるよう事前に綿密な協議を重ねることにより、買収後に関係が悪化するなどのリスクを極力排除するよう努めております。しかしながら、事業開始後において双方の経営方針に差異が生じた結果、期待したシナジー効果が実現できず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
2. コンプライアンスに関するリスク
(1) 規制およびコンプライアンス体制について
当社グループでは、その事業に関して、以下の各規制のほか、会社法、金融商品取引法その他の様々な法律、規則、条例等の規制の適用を受け、また、行政通達内容および指導等の遵守を求められております。今後、インターネットの更なる普及やインターネットを利用した新規サービスの創出等により、利用者や関連事業者を対象とする新たな規制の導入、既存の法令等の改正や適用範囲の拡大、何らかの自主規制の要請がなされることにより、当社グループの事業が制約される可能性があります。
当社グループでは、これらの規制等に従うため、コンプライアンス体制の整備、運用および改善に努めておりますが、コンプライアンス体制の整備等の遅れ等によって適切な対応ができずこれらの規制等への違反・抵触が生じ、監督官庁等から処分や指導を受け、また損害賠償請求や信用の毀損等により、当社グループの事業ならびに経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 電気通信事業法について
本法は、電気通信事業の公共性に鑑み、その運営を適正かつ合理的なものとすることにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もって電気通信の健全な発達および国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的として制定された法律であります。当社は、本法に基づく届出を行った届出電気通信事業者であり、本法により、検閲の禁止、通信の秘密の保護、業務、電気通信設備、設備の接続等について、届出電気通信事業者として、規制を受けております。
なお、2015年の法改正により、当社の主要な事業であるドメイン名の登録サービスが、新たに本法の適用を受けることとなったことによって管理体制の強化、報告体制の強化が義務付けられ、また、インターネット接続事業については、いわゆる初期契約解除制度等が導入され、さらに2019年の法改正により、販売代理店の届出制度が導入されました。当社は、これらの義務を遵守するため、各種の体制整備等の措置を講じておりますが、これらの対応が十分であるとの保証はなく、行政機関から、指導、勧告等を受けたり、また、契約解約数の増加や契約数の減少等により業績に影響を与える可能性があります。
② 風俗営業等の規制および業務の適正化に関する法律について
本法は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、および少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業および性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、および年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的として制定された法律であり、直接的には風俗営業を行う者を律するものであります。
しかしながら、利用者に対するインターネット接続サービスに伴うサーバースペースの提供、レンタルサーバーサービス等の提供事業者は、自社サーバー上に映像送信型性風俗特殊営業者によりわいせつな映像が記録されていることを知ったときは、当該映像の送信防止措置等を講ずることにつき努力義務を負うこととされ、当社においても、本法の適用を受ける場合があります。当社は、利用者との間の契約約款において、利用者が開設、運営等するホームページの内容に関する責任の所在が利用者にあることを明示しており、かつ、法令の遵守に関して周知徹底を図る等、自主的な規制によって、違法、有害な情報の流通禁止について配慮しておりますが、これらの対応が十分であるとの保証はなく、利用者が開設、運営等するホームページに関して、利用者、閲覧者もしくはその他の関係者、行政機関等から、行政指導、クレーム、損害賠償請求、勧告等を受ける可能性があります。
③ 不正アクセス行為の禁止等に関する法律について
本法は、電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪の防止およびアクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的として制定された法律であり、直接的には電子計算機への不正なアクセスを禁止するものであります。
しかしながら、電気通信回線に接続している電子計算機の動作を管理する者についても不正アクセス行為から防御するため必要な措置を講ずる旨の努力義務が定められております。当社においても、電子計算機の動作を管理する者として、上記規定の適用を受けることとなります。
④ 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限および発信者情報の開示に関する法律について
本法は、インターネット等による情報の流通の拡大に鑑み、特定電気通信による情報の適正な流通に資することを目的として、プロバイダ、サーバーの管理・運営者等の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限および発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものであります。
当社グループは、一部の事業運営を行うにあたり、特定電気通信役務提供者として、本法の適用を受けることになります。特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合についての当社グループの損害賠償責任は、一定の場合には、この法律により免除されておりますが、同法は、情報発信者の表現活動に影響を及ぼすものであり、当社グループが、同法に定められている送信防止措置等の措置を履践するに際しては、非常に重大かつ適切な判断が求められます。当社グループでは、適切な判断となるよう同法の趣旨に鑑み、慎重な運用に努めておりますが、訴訟等において、その判断が適切でなかったと認定された場合は、利用者もしくはその他の関係者、行政機関等から、行政指導、クレーム、損害賠償請求、勧告等を受ける可能性があります。
⑤ 特定商取引に関する法律について
本法は、特定商取引(訪問販売、通信販売等)を公正にし、および購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通および役務の提供を適正かつ円滑にし、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的として制定された法律であり、事業者名の表示、不当な勧誘行為の禁止や虚偽、誇大な広告の規制等の行政規制のほか、クーリングオフや事業者が求め得る損害賠償等の額の制限、広告メールの送信についてオプトイン方式を導入する等の民事ルールを定めております。
本法では、インターネットを利用した通信販売等の取引形態において、返品を巡ってのトラブルや、いわゆる迷惑広告メール問題、クレジットカード情報の漏洩等の問題が発生していることに鑑み、インターネット上の取引についても規制されております。
当社グループの行うメール広告事業および利用者に対する広告宣伝に関する電子メールの配信については、本法による規制を受けるため、法改正により、同事業の運営および宣伝広告が制約される可能性があります。
⑥ 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律について
本法は、一時に多数の者に対してなされる営利広告等に関する特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることに鑑み、特定電子メールの送信の適正化のための措置等を定めることにより、電子メールの利用についての良好な環境の整備を図る事を目的として2002年に制定された法律で、特定電子メール内での送信者の連絡先等の記載義務等を課するものです。
本法では、特定電子メールの送信に関して、従来のオプトアウト方式に替わるオプトイン方式の導入、法の実効性の強化、国際連携の強化等が定められております。
当社グループの行うメール広告事業および利用者に対する広告宣伝に関する電子メールの配信については、本法による規制を受けるため、法改正により、同事業の運営および宣伝広告が制約される可能性があります。
⑦ 個人情報の保護に関する法律について
本法は、近年の高度情報通信社会の進展に伴う個人情報の利用拡大に鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的として、個人情報を取り扱う事業者に対し、個人情報の利用目的の特定と利用の制限、取得の適正性の確保、個人データの正確性や最新性の確保、安全管理措置、第三者への開示や提供制限等に関し、義務を課すものです。
本法により、当社グループは、個人情報の利用等に関し、利用者その他個人情報の提供者に対し適切な説明および承諾の取得ならびに当該個人情報の適正な管理措置等を講じる法律上の義務を負います。
また、当社グループは、本法令のほか、個人情報の取扱いに関して、監督官庁または業界団体が定める個人情報保護に関するガイドライン等を遵守した事業運営を求められます。
⑧ 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律について
本法は、インターネットにおいて、青少年にとって有害な情報が多く流通している状況に鑑み、青少年がより安全・安心にインターネットを利用できるようにし、もって青少年の権利の擁護に資することを目的とするものです。
本法により、当社グループの行うインターネット接続サービスや、ホスティングサービス、掲示板サービス等のサーバー管理を伴うサービスについて、フィルタリングサービスの提供、青少年有害情報についての閲覧制限措置を講じる等の努力義務を負います。なお、本法においては、2017年6月23日に公布され、2018年2月1日に施行された改正法により、携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対し、新規の携帯電話回線契約時等において、契約締結者が18歳未満の青少年である場合には、携帯電話端末にフィルタリングソフトウェア等の設定を行うことが義務付けられています。
また、本法に基づいて行う情報の削除および制限は、情報発信者の表現活動に影響を及ぼすものであり、当社グループが、当該情報について青少年有害情報であると認定し、削除または閲覧規制措置を履践するに際しては、非常に重大かつ適切な判断が求められます。当社グループでは、適切な判断となるよう慎重な運用に努めておりますが、訴訟等において、その判断が適切でなかったと認定された場合は、情報発信者もしくはその他の関係者、行政機関等から、クレーム、損害賠償請求、行政指導、勧告等を受ける可能性があります。
⑨ 資金決済に関する法律について
本法は、資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者等を保護するとともに、当該サービスの提供の促進を図るため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う為替取引および銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算について、登録その他の必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、効率性および利便性の向上に資することを目的とするものです。
前払式支払手段の発行や資金移動を行う場合は、本法に定める届出義務、供託義務等が発生します。当社グループでは、一部のサービスにおいて、お客様のサービス料金のお支払方法の利便性向上等を図るため、自家型の前払式支払手段を発行しており、本法の適用を受けております。
また、暗号資産に関するリスクについては、GMOコイン㈱が暗号資産交換業を営んでいることから、後継「4. 各事業に関するリスク (3) インターネット金融事業および暗号資産事業のうち暗号資産交換事業について」に記載のとおりです。
⑩ 銀行法について
当社は、関東財務局の許可を受けて、GMOあおぞらネット銀行を所属銀行とする銀行代理業者として、円普通預金口座の開設の媒介を行っており、本法の適用を受けております。本法が改正されることにより、コンプライアンス体制、情報セキュリティ体制等の変更の必要が生じた場合には、銀行代理業者としての事業内容に影響を与える可能性があります。また、銀行代理業者としての事業活動の適法性、適切性の判断は慎重に行っておりますが、予期せぬ法改正により、本法に違反する事態となった場合には、行政処分等により、当社グループの事業活動および信用に影響を与える可能性があります。
⑪ 不当景品類および不当表示防止法について
本法は、商品および役務の取引に関連する不当な景品類および表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限および禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とするものです。
当社グループでは、ウェブサイト等における商品・サービスの内容や価格等の適正な表示、キャンペーン実施時にキャンペーン内容が法令に適合しているかについての確認や、社内での本法に関する研修の実施等に努めております。
しかしながら、利用者が購入した商品・サービスが不良である場合や広告内容に虚偽の記載が含まれる場合、または利用者や行政・司法機関等により表示が不適切であると判断される場合等において、利用者による当社グループに対する苦情申出、補償要求や集団訴訟の提起や、行政庁による本法に基づく課徴金の納付命令等がなされ、これらにより、当社グループの事業活動および業績等に重大な影響を与えたり、当社グループの信用毀損につながる可能性があります。
⑫ 暴力団排除条例について
2011年10月1日に東京都暴力団排除条例が施行されたほか、各自治体において同様の条例が施行されております。これらの条例においては、事業者が事業に関して締結する契約が暴力団の活動を助長し、または暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認められる場合等に、契約の相手方が暴力団関係者でないかを確認するよう努めること、事業者がその行う事業に係る契約を書面により締結する場合において特約条項を書面に定めるよう努めることが定められています。当該規定は努力義務とされており、また当社グループでは、契約に当たって契約の相手方についての審査の実施、暴力団等でないことの誓約書の提出ならびに特約条項の整備等に努めております。しかしながら、警察や暴力団追放運動推進都民センター等の照会体制の不備等により、意図せず暴力団等との取引が行われた場合に、重要な契約の解除や補償問題等が発生する場合には、当社グループの事業の運営および業績等に重大な影響を及ぼす可能性や当社グループの社会的信用を毀損される可能性があります。
(2) 訴訟等の可能性について
当社グループは、サーバー、ドメイン名等のインターネットのインフラの提供に関する事業やドメイン名の運用に関する事業を営んでおります。これらの事業に関連して、近年では、電子メールの送信や情報検索をはじめ、流通分野や金融分野のほかあらゆる分野の多種多様な情報、商品、サービスが、インターネットを通じて提供されており、インフラの安定的な運用等は必要不可欠となっております。このような状況において、当社グループでは、無停電電源装置の導入、バックアップシステム等による24時間365日の管理保守体制およびカスタマーサポート体制の構築等による障害対応、セキュリティの確保等、安定したサービス提供とシステム運用に努めております。
しかしながら、天災地変に起因する障害やいわゆるDDos攻撃等の悪意のある第三者による攻撃、当社設備への不正なアクセス等、想定し得る技術的な防御策を超える事由による障害が生じた場合等には、利用者または第三者に多大な損害を与える可能性があります。このような場合に備え、当社グループのサービス契約約款には免責条項を設ける等の対策を講じておりますが、損害の賠償を求める訴訟等が提起された場合や補償問題等が発生する場合には、当社グループの事業の運営および業績等に重大な影響を及ぼす可能性や当社グループの社会的信用を毀損される可能性があります。当社グループにおいて現在までに、このような重大な影響を及ぼすような重大な訴訟事件は発生していませんが、当社グループの事業展開について、このような訴訟その他の請求の対象とされる可能性があります。
(3) リスクマネジメントの有効性に関するリスク
当社グループは、様々な事業上のリスクについて、リスクマネジメント方針および手続の整備、運用および改善に努めておりますが、新規事業分野への急速な進出や事業の拡大に伴って、予測が困難なリスクが発生する等、既存のリスクマネジメント方針および手続が有効に機能せず、当社グループの事業ならびに経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)当社グループや当社グループの事業領域に関する否定的な報道
当社グループまたは当社グループの事業領域に関する否定的な内容の報道がなされることがあります。当社グループでは、正確な情報を適時に開示、提供することに努めておりますが、報道された内容が正確であるか否かにかかわらず、これらの報道がお客様、お取引先様や投資者等の理解および認識に悪影響を及ぼし、また当社グループの事業ならびに経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報セキュリティに関するリスク
当社グループでは、利用者(本項において従業員等も含む)の個人情報(本項において、いわゆるマイナンバーも含む)をはじめとする各種情報の管理・保管等に関して、規程の策定、社内ネットワークの監視、業務従事者に対する教育、役職員からの誓約書の提出、業務委託先企業に対する管理監督、その他情報セキュリティの確保に関して可能な限りの取り組みを継続的に行っております。しかし、このような情報セキュリティ対策の実施にも関わらず、悪意の第三者による外部から当社システムへの不正アクセスや、内部における情報の不適切な取扱い等によって情報漏洩等が発生した場合、当社グループの事業活動および業績等に重大な影響を与えたり、当社グループの信用毀損につながる可能性があります。
(6) 第三者との取引に関する損害賠償責任等の発生について
当社グループでは、利用者がインターネット上で通信販売サイト構築等を容易に行うことを可能にするサービスや、商品・サービスに関する広告表示、電子メール広告の送信等のサービスを運営、提供しています。
当社グループでは、当社グループがあたかも、当該商品もしくはサービスの販売者もしくは広告主であるかのように、ユーザーに誤認、混同されることのないよう、これらのサービスの利用規約等において、取引における責任および広告内容等に関する責任が利用者に帰属することを明示して、利用者の同意を得ることをはじめ、ウェブサイト等におけるサービス運営者・提供者の適正な表示等に努めております。
しかしながら、ユーザーが購入した商品の品質またはサービスの質が不良であった場合や、広告内容に虚偽の記載が含まれていた場合、もしくは利用者や行政・司法機関等により表示が不適切であると判断された場合において、多数のユーザーから、補償・返金を求められたり、集団訴訟が提起される等したときは、当社グループの事業活動および業績等に重大な影響を与えたり、当社グループの信用毀損につながる可能性があります。
3. 海外での事業活動に関するリスク
当社グループでは、日本のほか、世界各国において、各国の法律、規制、習慣等に従って各種事業を展開しておりますが、輸出入や製造物に関する規制、関税等の租税に関する制度の制定または改定、その他予期しない法律、政府方針の制定、改定等が行われたり、集団訴訟の提起、多額の損害賠償命令、関連法令等に基づく勧告や手続の執行、または行政による命令や指導を受けた場合に、当該事業が規制されたり、当社グループの役職員が現地当局により拘束されるなどしたときは、当社グループの財政状況や経営成績に悪影響を与える可能性があります。
また、政変、戦争、テロリズム、クーデター、紛争、暴動、外国軍隊からの一方的な攻撃もしくは占領その他の社会的・政治的混乱等の発生により現地の治安状態が悪化し、事業継続が困難になる可能性があります。更に、政府等による現地設備の接収、武装集団等による現地設備の襲撃もしくは不法占拠、当社グループの役職員の誘拐・殺害等によっても、当社グループの事業活動および業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
4. 各事業に関するリスク
(1) インターネットインフラ事業について
① ドメイン事業について
ドメインの調整・管理については、米民間の非営利法人であるICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が一手にとり行なっており、同法人の動向によっては、当社の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② クラウド・ホスティング事業について
クラウド・ホスティング事業は、大きな参入障壁がないため、多数の同業他社が存在しており、激しい競合の状況にあります。当社グループは、高度化・多様化する顧客ニーズに対応するため、多ブランド戦略をとっておりますが、価格競争などにより競争環境が更に激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ EC支援事業について
ECプラットフォーム事業は、EC市場の拡大を背景に、新規参入も続いております。当社グループは、多様化する顧客ニーズに対応するため、多ブランド戦略をとっておりますが、サービス機能で競争力を失った場合や、フリーミアムモデルの普及によりサービスの価格体系が競争力を失った場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
次にハンドメイド事業は、スマートフォンの普及などを背景に個人間の電子商取引(CtoC)が主流になる中、手芸や趣味工芸を中心とするハンドメイドマーケットについても、引き続き市場が拡大するものと考えております。しかしながら、作家と購入者間のトラブル等の発生により、CtoCサービスの運営に対する新たな規制の導入がなされた場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、競合他社に対し技術開発競争、ブランディングの点で優位性を保てない場合には、想定どおりの成長が見込めない可能性があります。
④ セキュリティ事業について
電子認証市場は、参入障壁が高いこともあり、当社グループを含め、先行する上位各社にシェアが集中しております。当社グループは認証局を自ら保有・運用することにより、競争優位を確保しておりますが、フリーミアムモデルの台頭などにより競争環境が激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、2015年より電子印鑑事業に参入し、認証局を持つ強みを生かすことで、高いセキュリティや低価格等の差別化を図ることによりシェアの拡大を図っております。しかしながら、今後の競争の激化により、当社グループ市場シェアが低下した場合や、価格競争により販売価格が下落した場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 決済事業について
決済代行市場は、参入障壁が高いこともあり、当社グループを含め上位各社にシェアが集中しております。「EC市場の拡大」「決済のキャッシュレス化」という良好な事業環境のもと、オンライン・オフライン含めた総合的な決済代行サービスの提供、顧客の売上向上に繋がる付加価値サービスの提供、サービス導入から運用までの一貫した加盟店サポート体制、最新技術を見据えた安定的な基幹システムの構築・運用、ならびに東京証券取引所市場第一部の企業であることによる信頼性等により、競合他社との差別化を実現し高成長・高収益を継続できております。
しかしながら、予期せぬシステムダウン等により、サービス提供が困難になった場合には、ブランドに対する信用が失墜し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、金融関連サービスであるトランザクションレンディング、「GMO後払い」といったマネーサービスの提供を通じ信用供与を行なっております。与信情報は一定の規定に従い審査をしているものの、予想を超えた未回収が発生した場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、事業規模に応じて手元資金が必要となります。
⑥ アクセス事業について
アクセス事業では、インターネット接続サービスの提供のために利用する回線を電気通信事業者より調達しております。この点、電気通信事業者との契約変更等により取引条件が悪化した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) インターネット広告・メディア事業について
① インターネット広告事業について
インターネット広告市場は、成長中の業界であることから多数の同業他社が存在し、また、新規参入も相次いでおります。当社グループは、サービスの開発、販売力の拡充、技術力の強化により他社との差別化を図っておりますが、競争環境の激化により当社グループの商品・サービスの優位性が他社に劣後する場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、広告代理においては、広告枠や広告商品の仕入れを大手の媒体社に依存しております。このため、媒体社との契約変更等により、取引条件が悪化した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
さらに、アドネットワーク商材においては、スマートフォンなどデバイスに搭載されるOSの仕様変更、ブラウザーの仕様変更、またアドブロックツール等の普及により当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
② インターネットメディア事業について
当社グループは、自社で運営している媒体に掲載された広告収入を主な収益としております。魅力ある新規サービスの投入、既存サービスのリニューアル等を行なうことにより、顧客基盤の拡大を図っておりますが、ユーザーの支持が得られない場合には、媒体価値が低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、広告代理店やアドネットワーク事業者を通じて受注掲載していることから、特定の事業者の割合が多くなり、当該事業者側の事情によって掲載方法の指定の変更を受けると、広告掲載量や単価が下落し当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ インターネットリサーチ事業について
ネットリサーチ市場は、既存の調査手法からオンライン調査への切り替えにより、拡大を続けておりますが大きな参入障壁が存在しないことから新規参入も想定されます。当社グループは、自社調査パネルの拡大に加え、戦略的提携により調査パネルの確保を進めるなど他社との差別化を図っておりますが、競争環境の激化により競争力を失った場合には当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) インターネット金融事業および暗号資産事業のうち暗号資産交換事業について
① 法的規制等に関する事項
GMOクリック証券㈱、㈱FXプライムbyGMO、GMOコイン㈱および外貨ex byGMO㈱は金融商品取引業を営むため、金融商品取引法第29条に基づき、金融商品取引業者として内閣総理大臣の登録を受けており、同法および関係諸法令による各種規制並びに金融庁の監督を受けております。GMOクリック証券㈱は商品先物取引業を営むため、商品先物取引法第190条第1項に基づく許可を受け、同法および関連諸法令による各種規制並びに監督官庁による監督を受けており、GMOコイン㈱は暗号資産交換業を営むため、資金決済に関する法律第63条の2に基づき、暗号資産交換業者として内閣総理大臣の登録を受けており、同法および関係諸法令による各種規制並びに金融庁の監督を受けております。これらの会社は、法令改正あるいは新法令の施行などにより、期待通りに事業を展開できなくなる可能性があります。加えて、監督官庁の政策動向・規制も事業活動に重大な影響を与える可能性があり、これらの会社の経営成績および財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。
また、GMOクリック証券㈱は日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会及び日本商品先物取引協会に加入するとともに、東京証券取引所、大阪取引所および東京金融取引所の取引参加者となっており、㈱FXプライムbyGMOは一般社団法人金融先物取引業協会および一般社団法人日本投資顧問業協会、外貨ex byGMO㈱は日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会および一般社団法人日本投資顧問業協会、GMOコイン㈱は一般社団法人日本暗号資産取引業協会および一般社団法人日本資金決済業協会に加入しており、これらの協会または取引所の諸規則にも服しております。
これらの会社は前記の法令および諸規則に則り事業運営を行なっておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、行政処分や損害賠償の請求等により、各社並びに当社グループの風評、事業展開、経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、予期しない法令、諸規則、業界の自主規制ルール等の制定または改定等が行なわれることにより、各社は計画通りに事業を展開できなくなる可能性があり、規制の内容によっては、各社並びに当社グループの事業活動および経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
② 自己資本規制比率に関する事項
金融商品取引業者は、金融商品取引法第46条の6に基づき、自己資本規制比率が120%を下回ることがないよう当該比率を維持する必要があります。
2022年12月31日現在におけるGMOクリック証券㈱、㈱FXプライムbyGMO、GMOコイン㈱および外貨ex byGMO㈱の自己資本規制比率はそれぞれ上記の基準値を大きく上回っており、120%を下回る可能性は低いものと考えております。自己資本規制比率は、固定化されていない自己資本の額、市場リスク相当額、取引先リスク相当額、基礎的リスク相当額の増減により変動しており、今後の自己資本の額や各リスク相当額の増減度合いによっては大きく低下する可能性があり、その場合には、資本性資金の調達を行わない限り、各社ならびに当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
③ 事業環境に関する事項
インターネット金融事業に属する会社では株式の現物取引および信用取引、FX取引、株価指数先物・オプション取引、店頭CFD取引、貸付型クラウドファンディング取引等の金融商品取引に関するサービスを提供しており、暗号資産事業のうち暗号資産交換事業に属する会社では暗号資産の現物取引および証拠金取引に関するサービスを提供しているため、これらの会社の収益は株式市場、外国為替市場、暗号資産市場等の相場環境の影響を受けております。これらの市場について、経済情勢、政治情勢、規制の動向、税制の改正等により投資環境が悪化し、顧客の投資意欲が減退した場合には、これらの会社の取扱う金融商品取引または暗号資産取引の取引高が減少し、各社並びに当社グループの財政状態および経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、今後、各社において競合他社との間の手数料等の値下げ競争が激化し、手数料等の値下げを実施した場合、その実施に伴う収益の減少を補うだけの取引量の拡大が達成出来ない場合や収益性の向上を図れない場合には、各社並びに当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
その他、新たな技術革新や異業種からの新規参入者等の登場により、各社を取り巻く事業環境は変化します。各社は、顧客ニーズや技術動向を捉え、価値ある金融サービスの創造に努めておりますが、その対応が遅れた場合には、業界内での競争力の低下を招き、各社並びに当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
④ 市場リスク
インターネット金融事業に属する会社の提供する店頭FX取引および店頭CFD取引、並びに暗号資産事業のうち暗号資産交換事業に属する会社の提供する暗号資産取引は、顧客との間で各社が取引の相手方となって取引を行うため、取引の都度、外国為替、証券、商品、暗号資産等の自己ポジションが発生します。これらのポジションについては、各社とも他の顧客との売買で相殺するか、カウンターパーティーとの間でカバー取引を行うことにより、相場変動によるリスクを回避しております。
しかしながら、システムトラブル等により、自己ポジションの適切な解消が行われない場合、あるいは相場の急激な変動やカウンターパーティーとの間でのシステムトラブルの発生等により、カバー取引が適切に行われない場合には、ポジション状況によっては損失が発生し、各社並びに当社グループの経営成績および財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
⑤ 信用リスク
インターネット金融事業に属する会社が提供する株式の信用取引および株価指数先物・オプション取引、FX取引、店頭CFD取引並びに暗号資産事業のうち暗号資産交換事業に属する会社が提供する暗号資産の証拠金取引では、顧客より取引額の一定割合の保証金または証拠金の差し入れを受けたうえで取引を行っております。こうした取引については、顧客に信用を供与する形となるため取引開始時の審査及び日常的な口座状況のモニタリングを通じたリスク把握や担保管理等の与信管理を徹底しており、取引開始後、相場変動により顧客の取引に係る評価損失が拡大したり、あるいは代用有価証券の価値が下落して顧客の保証金または証拠金が必要額を下回った場合には、各社は顧客に対して追加の保証金または証拠金の差し入れを求めております。顧客がそれに応じない場合は、各社は顧客の取引を強制的に決済することで取引を解消しますが、強制決済による決済損失が保証金または証拠金を上回る場合は、顧客に不足額を請求します。しかしながら、顧客がその支払に応じない場合には、各社がその不足額の全部または一部に対して貸倒損失を負う可能性があり、各社並びに当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
また、各社がカウンターパーティーとの間で行うカバー取引では、各社とも取引額に対して一定の証拠金を差し入れて取引を行なっております。そうしたカウンターパーティーについては、取引開始時の審査及び事後のモニタリングを行うことで財政状態等の把握に努めておりますが、財政状態の悪化や法的整理などの事態が発生した場合は、カウンターパーティーに対して未決済ポジションの解消と保証金または証拠金の返還、未受取金額の支払等を請求します。しかしながら、カウンターパーティーがその支払に応じない場合には、各社はその不足額の全部または一部に対して貸倒損失を負う可能性があり、各社並びに当社グループの事業活動および経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
⑥ コンピュータシステムについて
インターネット金融事業に属する会社および暗号資産事業のうち暗号資産交換事業に属する会社が提供する各種の取引は、そのほとんどがシステムを介して行われているため、システムの安定的な稼動は重要な経営課題であると認識しております。各社においては、アプリケーションの改善やハードウェアおよびネットワークインフラの増強等、システムの継続的なメンテナンスを実施しておりますが、不測の要因によりシステム障害が発生した場合には、顧客の売買機会の喪失による機会損失の発生や社会的信用の低下による顧客の離反、システム障害により顧客に発生した損害に係る賠償請求等により、各社並びに当社グループの財政状態および経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害の程度によっては、各社並びに当社グループの事業継続に支障をきたす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティリスク
インターネット金融事業に属する会社および暗号資産事業のうち暗号資産交換事業に属する会社は、事業活動を通して、顧客や取引先の個人情報及び機密情報等を入手することがあります。そのため、情報セキュリティの強化は重要な経営課題であると認識しており、これらの会社では、情報の取扱いに関する社内体制の強化と社員教育の徹底を図り、情報システムのハード面・ソフト面を含めて金融事業を営む場合に求められる高い水準のセキュリティ対策を講じております。しかしながら、サイバー攻撃や不正アクセス、コンピューターウィルスへの感染、その他不測の事態等の発生により、個人情報の漏洩や滅失、暗号資産の盗難、重要データの破壊や改ざん、システム停止等が発生した場合には、これらの会社に対する信頼低下による顧客の離反、行政処分や損害賠償の請求等により、各社並びに当社グループの事業活動および経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(4) 暗号資産事業について
下記には暗号資産マイニング事業、暗号資産決済事業にかかるリスクを記載しています。なお、暗号資産交換事業については、「4. 各事業に関するリスク(3)インターネット金融事業および暗号資産事業のうち暗号資産交換事業について」を参照ください。
① 暗号資産マイニング事業について
(ⅰ) 法規制について
当該事業は暗号資産の保有、取引、またはマイニングに関する法的、政治的なリスクにさらされています。今後、法令または政策の変更等により、暗号資産の保有、取引またはマイニングに制限がなされた場合、当社の経営成績および事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ) 市場の動向について
当該事業では、マイニングの報酬として暗号資産(ビットコインなど)を受領します。受領した暗号資産は市場で即時売却することで在庫評価リスクを抑制しておりますが、暗号資産は価格変動リスクが大きいため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が主にマイニングを行なっているビットコインは、総供給量の上限が2,100万BTC、年間の総採掘可能量は、総供給量の上限に達する2140年まで、4年ごとに訪れる「半減期」により半分となるよう設計されております(直近の半減期は2020年5月)。このため、ビットコイン価格が一定で推移すると仮定した場合、「半減期」の到来ごとにマイニング報酬は減少する見通しとなります。当社グループは安価な電力を活用したマイニングセンターの運用がコスト優位性に繋がると考えておりますが、競争環境が更に激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 暗号資産決済事業(ステーブルコイン発行・償還業)について
(ⅰ) 法規制等に関する事項
GMO-Z.com Trust Company Inc.は、日本国外でステーブルコイン発行・償還業を営むため、ニューヨーク州特定目的信託会社を設立し、米国ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)による監督を受けております。ニューヨーク州法、連邦法の改正あるいは新法令の施行、監督官庁による規制内容の変更などにより、期待通りに事業を展開できなくなる可能性があります。また上記法令や諸規則により事業運営を行っておりますが、これら諸法令等に違反する事実が発生した場合には、行政処分や損害賠償の請求等により、当社並びに当社グループの風評、事業展開、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ) 事業環境に関する事項
現時点において、ステーブルコインの定義及びその発行や流通を規制する法令は各国で異なるものと認識しております。当社が発行するステーブルコインの上場先は、財務、コンプライアンス及びセキュリティ等複数の観点からデューデリジェンスを実施の下、選定された取引先でありますが、取引先による法令違反又はそれらに対する規制変更による上場廃止により、当社の事業活動及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(ⅲ) 情報セキュリティリスク
当社は事業活動を通じて顧客や取引先の情報を取得・保有しており、情報管理に関する社内体制を整備の上、社員教育を実施し、システムのハード面・ソフト面の両面において情報管理上のリスクを低減するための情報セキュリティ対策を講じております。しかしながら、サイバー攻撃や不正アクセス、コンピュータウイルスへの感染、その他不測の事態等の発生により、個人情報の漏洩や滅失、暗号資産の盗難、重要なデータの破棄や改ざん、システム停止等が発生した場合には、当社並びに当社グループに対する信頼の低下、行政処分や損害賠償の請求等により、当社並びに当社グループの事業活動および経営成績に影響を与える可能性があります。
5. 代表者への依存について
当社グループの事業は、当社グループの役職員により計画および運営がなされておりますが、重要な経営陣、特に当社代表取締役グループ代表 会長兼社長執行役員・CEOである熊谷正寿に不測の事態が発生した場合、円滑な事業の推進に支障が生じる可能性があります。
6. 人材に関するリスク
当社グループでは、ナンバーワンのサービスの提供を通じて多くのお客様の笑顔・感動を産み出すため、グループの持つ技術力を武器に様々なサービスをフルスクラッチで自社開発しています。このサービスを支えている最大の経営資源は人材であり、各種サービスの品質向上、新規サービスの開発のためには優秀な人材の採用・育成が欠かせません。しかしながら、人材獲得競争の激化により優秀な人材の獲得が困難となった場合、在職する人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
7. 無形資産に関するリスク
(1) 知的財産に関するリスク
当社グループは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権その他の知的所有権の登録もしくはこれらの使用権の許諾を受けることにより、適法な事業運営と法的保護を図っております。しかしながら、当社グループの知的所有権が何らかの理由で法的保護を享受できなかった場合や、法的手続によってその登録や効力の無効、取消しなどの処分が確定した場合などは、当社グループの事業や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは予め第三者の権利を侵害しないよう可能な範囲で先登録権利の調査を実施しておりますが、意図せず調査結果の漏れが判明したり、権利侵害の有無に関わらず和解による高額な金銭の取得を目的として第三者から侵害訴訟などの攻撃を受ける可能性があります。その結果、紛争に対する多額の防御費用、解決費用などが生じたり、当社グループの事業範囲に一定の制限が課せられた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) ブランドに関するリスク
当社グループは、No.1戦略の下、多額の広告宣伝費を投入し、「GMO」および「Z.com」ブランドの確立を図っておりますが、当社グループが実施している諸施策が想定どおりに功を奏しなかった場合や、事業遂行上の第三者とのトラブル、役職員による不正行為の発覚、事実と異なる報道などがあったときは、当社グループの信用を毀損し、顧客吸引力を喪失するなどして、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのブランドが、後発的に、いわゆるネガティブワードと同一または類似になった場合は、当該ブランドをやむを得ず変更する場合があります。この場合、当社グループの信用を毀損し、顧客吸引力を喪失するなどして、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
8. 有価証券投資に係るリスク
当社グループは国内外の株式や債券等を保有しております。その運用については内部統制に基づく社内規程に従って行いリスクの管理に努めておりますが、株式市況の低迷や投資先の経営状況の悪化・破綻などにより、保有する有価証券の評価額が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
9. マーケットに関するリスク
(1) 金利変動リスク
当社グループは、主として金融機関からの借入金や社債の発行などによって、必要な資金を調達しています。したがって、金融政策や金融市場の変化等により金利が上昇した場合には、調達コストが増加し当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替リスク
当社グループは、海外連結子会社の売上高、費用、資産、負債等について円換算した上で連結財務諸表等を作成しております。また、当社グループの事業の中には、海外の企業に対し外貨による支出を行なう形態の事業があります。当社グループは、先物為替予約等のデリバティブを活用したヘッジ取引により為替変動リスクの軽減に努めているものの、外国為替相場の変動が当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
10. 資金調達に関するリスク
当社グループが金融機関と締結しているローン契約、シンジケートローン契約、コミットメントライン契約その他の借入契約には、財務制限条項が付帯されている場合があります。したがって、当社グループの経営成績、財政状態または信用力が悪化した場合には、係る条項に基づき期限の利益の喪失や、金利等の引き上げ、追加担保の設定などを迫られることがあります。なお、資金調達の多様化や安定化を図ることを目的とし、発行体格付を2021年1月27日付で取得しておりますが、金融市場環境が不安定な場合や、当社グループの信用力が悪化した場合等において、資金調達が予定どおり行なえず、当社グループの事業展開、業績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
11. システムに関するリスク
当社グループの事業の多くはインターネット関連サービスに特化しており、インターネットへの接続、データセンターの維持管理等の重要な業務の一部を外部委託しているものがあります。何らかの原因による輻輳、当社グループで制御できない領域で発生した障害、悪意のある第三者による不正アクセス、ハードウェアまたはソフトウェアの欠陥等(いわゆるバグを含む)により、当社グループのシステムの一部または全部が正常に作動せず、重要なデータの消滅や書換え、第三者によるデータの不正入手、取引停止等が発生する可能性があります。これらは、当社グループの収益機会の喪失のほか、第三者からの多額の損害賠償請求、監督官庁による行政指導、営業停止処分その他の行政処分により、更に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
12. 内部管理体制に関するリスク
当社グループは、金融商品取引法に規定される内部統制報告制度に伴い、財務報告に関する内部統制を強化するとともに、代表取締役直轄のグループ内部監査担当部門や内部通報制度(GMOヘルプライン制度)の運用等により、内部管理体制の継続的な改善に努めております。しかしながら、事業の急速な拡大やその他の要因により内部管理体制の十分な構築が追いつかない場合や、当社グループの内部統制に重要な不備が生じた場合などは、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの事業および業績に影響を与える可能性があります。
13. 自然災害等に関するリスク
地震、雷、台風、津波、悪天候その他の自然災害、もしくは長時間の停電、火災、疾病の蔓延、放射能汚染、強烈な太陽風、隕石の落下、その他の対応困難な災害が発生した場合、当社グループの事業の運営または継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、あらゆる事態を想定して事業継続のための計画策定などを進めておりますが、これらのリスクの発現による人的、物的損害が甚大な場合は当社グループの事業の継続自体が不可能となる可能性があります。
14. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について
当社グループでは、国や地方自治体が示す指針並びに当社グループにおいて作成した「パンデミック時における対策発令・対応レベル」、「新型コロナウイルス感染症対策に関するガイドライン」に従い、新型コロナウイルスの感染予防並びに感染拡大の防止に取り組んでおります。具体的には、2020年1月27日より、時差出勤や在宅勤務を段階的に導入し、感染拡大の状況に応じた出社人数の制限をはじめ出社時のマスク着用、ソーシャルディスタンスの確保、指先消毒の徹底等の対策を講じることで、従業員の安全の確保と安定した事業活動の両立を図っております。また、不要な押印手続きの撤廃やペーパーレス化等を推進し、業務効率化と生産性向上を図るとともに、在宅勤務下においても従業員同士の対話や議論を重要視し、オンライン会議システムの活用による円滑なコミュニケーションを促進しております。
業績面においては、中核事業であるインターネットインフラ事業自体が安定的な収益基盤をベースにしたビジネスモデルであり、経済危機など有事の影響を受けにくい特徴があることに加え、緊急事態宣言発布以降における巣ごもり消費、オンライン消費が高水準で推移しておりますが、今後在宅勤務体制が長期化し生産性の低下を招いた場合などには、競争力の低下やサービス水準の低下、業務の遅延・停止という事態が生じる可能性があり、当社グループの事業および業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度末現在においては、当社グループの業績に対する影響は軽微であり、財政状態への影響は限定的です。今後も、当社グループ全体での影響を最小化するべく、インターネットのインフラ・サービスインフラに経営資源を集中し、コロナ禍においてより企業ニーズが増大しているDXに関わるビジネスの拡大を図ってまいります。なお、当連結会計年度において当社グループでは、従業員及び取引先・地域住民の方などに企業が職場等でワクチン接種を進める職域接種を2021年6月以降、実施いたしました。
なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、収益認識会計基準)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(経営成績の状況)
当社グループは「すべての人にインターネット」のコーポレートキャッチのもと、1995年の創業以来一貫して、インターネットのインフラ・サービスインフラの提供に経営資源を集中してきました。インターネットの普及とともにインターネット上のデータ量・トランザクションは級数的に増加し、当社グループの事業機会も拡大し続けたことから、ストック型収益モデルのインターネットインフラ事業が業績を牽引してまいりました。今般、新型コロナウイルス感染症拡大の対策が進み、経済再開の動きがみられる中、DXの進展、オンライン消費の定着などは不可逆なトレンドとなっており、当社グループのサービスに対するニーズはより一層高まっているものと考えています。
このような事業環境のもと、(1)No.1サービスの集合体となっているインターネットインフラ事業は、顧客基盤が拡大する中、決済事業・セキュリティ事業を中心に堅調に推移しました。(2)インターネット広告・メディア事業は、経済再開の動きが見られ、一部の業種の顧客取引が好調に推移したことに加え、自社メディアも好調に推移しました。(3)インターネット金融事業は、店頭FXは、外貨ex byGMOを連結子会社化したこともあり取引高は拡大したものの、ドル円相場の一方向の円安進行が続き、収益性の観点からは厳しい事業環境となりました。CFDはコモディティ市場のボラティリティ上昇が追い風となり、好調に推移しました。一方、タイ王国での証券事業に関して、貸倒引当金繰入額の計上がありました。(4)暗号資産事業は、暗号資産取引が活況であった前年同期と比較すると、ボラティリティの低下により暗号資産事業の売買代金が大幅に減少したことなどにより低調に推移しました。さらに(5)インキュベーション事業は、保有する投資有価証券の一部売却がありました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は245,696百万円(前年同期比1.7%増)、営業利益は43,746百万円(同6.3%増)、経常利益は46,025百万円(同6.1%増)と、14期連続の増収増益となりました。一方、持分法適用関連会社であるGMOあおぞらネット銀行株式会社について、事業KPIは拡大しているものの、成長速度が当初想定を下回る状態が継続し、事業計画との間に乖離が生じたことから当社グループが将来取得することとなる種類株式について契約損失引当金繰入額を計上いたしました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は13,209百万円(同24.6%減)となりました。
なお、収益認識に関する会計基準適用による影響額は、売上高の減少30,774百万円、営業利益の増加266百万円であり、従来の会計基準で算定した場合も、増収増益の決算となっております。また、当連結会計年度より、不動産賃貸事業にかかる損益を営業利益段階に計上する方法に変更しております。このため、前連結会計年度についても、変更後の数値に組み替えて比較を行っております。
<当連結会計年度(2022年1月~12月)セグメント毎の売上高・営業利益の状況>
(単位:百万円)
①インターネットインフラ事業
当該セグメントにおいては、インターネットビジネスを手掛けるお客様のビジネス基盤となるサービスをワンストップで提供しています。主な商材は、インターネットにおける住所となる「ドメイン」、データを保管するための「サーバー」、ネットショップ導入のためのプラットフォームを提供する「EC支援」、決済システムを提供する「決済」、これら取引の安全を図る「セキュリティ」です。これら5大商材すべてを自社グループ内で開発・提供しており、いずれも国内トップシェアを有しています。この他、個人向けにインターネット接続サービスを提供するアクセス事業を運営しています。当該セグメントの各事業別の業績は下記のとおりです。
なお、当連結会計年度より、安心安全なインターネットを提供するための認証技術を活用した電子認証、サイバーセキュリティ、商標管理などの今後の事業展開を踏まえ、サブセグメントの名称変更、区分の再構築をおこなっています。すなわち、「電子認証・印鑑事業」を、「セキュリティ事業」へと変更し、「ドメイン事業」に属していたブランドセキュリティ事業を当該事業へ移行しております。このため、前年同期比についても変更後の数値に組み替えて比較を行っております。
1)ドメイン事業
当該事業は、他のインフラ商材の起点と位置づけており、当社、GMOペパボなどで顧客基盤が着実に拡大しています。当連結会計年度は『.shop』の販売が国内外ともに好調に推移したものの、大口顧客の動向もあり、ドメイン登録・更新数は546万件(前年同期比1.4%減)、当連結会計年度末の管理累計ドメイン数は711万件(同1.1%減)となりました。なお、会計基準変更の影響により売上高が483百万円減少しており、これらの結果、売上高は8,975百万円(同11.4%減)となりました。
2)クラウド・ホスティング事業
当該事業では、お客様の利用ニーズの多様化に対応するため、当社、GMOグローバルサイン・ホールディングス、GMOペパボなどが共用サーバー、専用サーバー、VPS、クラウドの各サービスにおいて多ブランド展開を行っています。個人向けサーバーの販売が堅調に推移し、当連結会計年度末の契約件数は110万件(前年同期比3.4%増)、売上高は18,450百万円(同14.0%増)となりました。
3)EC支援事業
当該事業では、GMOペパボ、GMOメイクショップなどがネットショップ導入のためのプラットフォームを提供するECプラットフォーム、CtoCハンドメイドマーケット『minne』、オリジナルグッズ作成・販売サービス『SUZURI』、O2O支援サービスなどを展開しています。まず、ECプラットフォームでは、『カラーミーショップ』において月額無料でネットショップを開設できるフリープランの契約件数が増加したことなどにより、当連結会計年度末の有料店舗数は5.7万(前年同期比8.5%減)となったものの、流通総額は4,905億円(同5.0%増)と高価格帯向けの『MakeShop』を中心に堅調に推移しました。また、『minne』では、経済再開の動きを受けた巣ごもり消費の反動がみられ、流通金額は150億円(同0.7%減)となりました。なお、会計基準変更の影響により売上高が2,740百万円減少しており、これらの結果、売上高は15,202百万円(同8.9%減)となりました。
4)セキュリティ事業
当該事業では、GMOグローバルサイン・ホールディングスを中核として展開するSSLサーバー証明書、電子契約サービス『電子印鑑GMOサイン』などの電子認証セキュリティ、GMOサイバーセキュリティbyイエラエで展開するサイバーセキュリティ、そしてGMOブランドセキュリティで展開するブランドセキュリティなど、すべてのひとに安心安全なインターネットを提供するセキュリティサービスを展開しています。なお、GMOサイバーセキュリティbyイエラエについては当連結会計年度より業績に含めております。SSLサーバー証明書では、セキュリティ向上を目的としたSSLの有効期限短縮(2年更新から1年更新へ)の影響が一巡したことにより順調なトレンドに回帰しています。これらの結果、売上高は12,749百万円(前年同期比78.0%増)となりました。
5)決済事業
当該事業では、GMOペイメントゲートウェイを中核として、総合的な決済関連サービスおよび金融関連サービスを提供しています。決済関連サービスは、オンライン課金・継続課金分野におけるEC市場の順調な成長に加え、対面分野においてもキャッシュレス決済市場の拡大が進んだことに伴い次世代決済プラットフォーム『stera』端末の販売も増加し、好調に推移しました。金融関連サービスは、後払い型の決済サービス『GMO後払い』の取引高が引き続き伸長しました。これらの結果、決済処理件数・決済処理金額が順調に増大し、売上高は52,372百万円(前年同期比17.5%増)となりました。
6)アクセス事業
当該事業では、当社が個人向けのインターネット接続サービスを提供しています。減少幅の大きかったモバイル回線は、製品改善などにより下げ止まり傾向にあります。また、固定回線も、自社サービスを中心に堅調に推移しました。これらの結果、当連結会計年度末の契約回線数は225万件(前年同期比1.2%増)となりました。なお、会計基準変更の影響により売上高は3,625百万円減少しており、売上高は38,981百万円(同5.3%減)となりました。
以上、これらを含めたインターネットインフラ事業セグメントの売上高は150,043百万円(前年同期比8.1%増)、営業利益は21,986百万円(同14.3%増)となりました。なお、収益認識に関する会計基準適用による影響額は、売上高の減少8,193百万円、営業利益の増加181百万円となりました。
②インターネット広告・メディア事業
当該セグメントにおいては、インターネットビジネスを手掛けるお客様の集客支援サービスを提供しています。当該セグメントの各事業別の業績は下記のとおりです。
1)インターネット広告事業
当該事業では、GMOアドパートナーズ、GMO TECHなどが広告代理、アドプラットフォームの提供など総合的なネット広告サービスを提供しています。広告代理では、新型コロナウイルスの感染拡大により落ち込んだ市況の回復が一層強まったことから、広告需要も堅調に推移しました。また、利益率の高い自社アフィリエイト広告も好調に推移しました。一方、スマートフォン向けアドネットワーク『AkaNe』、コンテンツ集客に特化した広告配信プラットフォーム(DSP)『ReeMo』といった自社アドテク商材は、媒体仕入枠の獲得競争によって軟調に推移する状況が続いています。なお、会計基準変更の影響により、売上高が22,351百万円減少しており、売上高は18,600百万円(前年同期比45.9%減)となりました。
2)インターネットメディア事業
当該事業では、GMOメディアなどが自社メディアの運営を通じた広告枠の提供、集客支援サービスを提供しています。広告単価が堅調に推移したことに加え、PV数の増加があり、広告収益が拡大しました。なお、会計基準変更の影響により売上高が4,455百万円減少しており、売上高は10,320百万円(前年同期比24.4%減)となりました。
以上、これらを含めたインターネット広告・メディア事業セグメントの売上高は34,061百万円(前年同期比34.6%減)、営業利益は2,188百万円(同84.4%増)となりました。なお、収益認識に関する会計基準適用による影響額は、売上高の減少26,807百万円、営業利益の増加84百万円であり、従来の会計基準で算定した場合、増収増益の決算となりました。
③インターネット金融事業
当該セグメントにおいては、GMOフィナンシャルホールディングスの連結子会社であるGMOクリック証券を中核として、個人投資家向けのインターネット金融サービスを展開しています。当連結会計年度末における店頭FX取引口座数は、142.6万口座(前年同期比3.9%増)、証券取引口座が50.5万口座(同5.4%増)、CFD取引口座数は18.5万口座(同12.6%増)と増加しています。店頭FXの取引高は、ドル円相場の急速な円安進行により前年同期比で増加しましたが、カバー取引にかかるコストが増加し収益性の観点では厳しい環境が続きました。また、CFD取引では原油やコモディティ市場におけるボラティリティの上昇を受け売買代金と収益ともに増加しました。一方、タイ王国での証券事業において貸倒引当金繰入額約35億円を計上したことから利益は大幅な減少となりました。
以上、インターネット金融事業セグメントの売上高は42,552百万円(前年同期比25.5%増)、営業利益は9,292百万円(同20.7%減)となりました。
④暗号資産事業
当該セグメントにおいては、暗号資産の「マイニング」、「交換」、「決済」に関わる事業を展開しています。当該セグメントの各事業別の業績は下記のとおりです。
1)暗号資産マイニング事業
当該事業では、マイニングセンターの運営をおこなっています。ハッシュレートの上昇やビットコイン価格の低下などの影響から前年同期比では収益性が大きく低下し、売上高は1,763百万円(前年同期比72.6%減)となりました。
2)暗号資産交換事業
当該事業では、GMOフィナンシャルホールディングスの連結子会社であるGMOコインなどが、暗号資産の現物取引、レバレッジ取引などを提供しています。継続的なマーケティング活動を行った結果、当連結会計年度末における取引口座数は、54.7万口座(前年同期比15.3%増)と、顧客基盤が順調に拡大しています。一方、低調な暗号資産市場の動向を受けて売買代金が低下し、活況であった前年同期比より収益が大幅に減少しました。これらの結果、売上高は4,150百万円(同69.0%減)となりました。
以上、これらを含めた暗号資産事業セグメントの売上高は6,212百万円(前年同期比69.9%減)、営業損失は342百万円(前年同期は9,093百万円の営業利益)となりました。
⑤インキュベーション事業
当該セグメントにおいては、GMOベンチャーパートナーズを中核として、キャピタルゲインを目的とした国内外のインターネット関連企業への投資、事業拡大への支援、企業価値向上支援を行なっています。保有する海外の投資有価証券の一部売却があり、売上高は13,393百万円(前年同期比753.1%増)、営業利益は10,095百万円(前年同期は785百万円の営業利益)となりました。
(財政状態の状況)
(資産)
当連結会計年度末(2022年12月31日)における資産合計は、前連結会計年度末(2021年12月31日)に比べ123,804百万円増加し、1,542,740百万円となっております。主たる変動要因は、現金及び預金が101,834百万円増加、証券業等における顧客資産の変動により諸資産(証券業等における預託金・証券業等における信用取引資産・証券業等における有価証券担保貸付金・証券業等における短期差入保証金・証券業等における支払差金勘定)が49,212百万円増加、利用者暗号資産が54,221百万円減少したことであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、109,518百万円増加し、1,388,051百万円となっております。主たる変動要因は、短期借入金が37,858百万円増加、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が52,858百万円増加、証券業等における顧客資産の変動により諸負債(証券業等における預り金・証券業等における信用取引負債・証券業等における受入保証金・証券業等における受取差金勘定・証券業等における有価証券担保借入金)が48,033百万円増加、預り暗号資産が54,427百万円減少したことであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、14,286百万円増加し、154,688百万円となっております。主たる変動要因は、利益剰余金が1,974百万円増加(親会社株主に帰属する当期純利益の計上により13,209百万円の増加、配当金の支払いにより6,466百万円の減少、収益認識会計基準の適用に伴い期首利益剰余金が2,416百万円の減少)、非支配株主持分が15,666百万円増加、自己株式の取得及び消却により4,482百万円減少、為替換算調整勘定が2,297百万円増加したことであります。
(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度末(2022年12月31日)における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末(2021年12月31日)に比べ88,187百万円増加し、322,229百万円となっております。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、25,641百万円の資金流入(前年同期は23,783百万円の資金流出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益57,660百万円の計上、預り金の増加により11,742百万円の資金流入があった一方、投資有価証券売却益21,127百万円の計上による減少、法人税等の支払により18,697百万円の資金流出があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、2,828百万円の資金流出(前年同期は51,765百万円の資金流出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却により24,509百万円の資金流入があった一方、定期預金の預入により10,813百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得により6,561百万円、無形固定資産の取得により6,085百万円、有形固定資産の取得により4,316百万円の資金流出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、62,442百万円の資金流入(前年同期は89,889百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出により10,262百万円、配当金の支払により6,467百万円、非支配株主への配当金の支払により9,209百万円、自己株式の取得による支出により7,517百万円の資金流出があった一方、長期借入による収入により62,270百万円、短期借入金の増減により34,187百万円の資金流入があったことによるものです。
該当事項はありません。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における仕入実績については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における受注実績については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
(注) 1.セグメント間の取引は相殺消去しております。
2.当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における販売実績については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
3.主な販売先については、総販売実績の100分の10以上の販売先がないため記載を省略しております。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度における売上高は、前年同期比で4,083百万円増加し245,696百万円(1.7%増)となりました。具体的な内容につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績の状況)」をご参照ください。
②営業費用(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における営業費用は、前年同期比で1,502百万円増加し、201,949百万円(0.7%増)となりました。
売上原価は、前年同期比で16,919百万円減少し、95,809百万円(15.0%減)となっています。
販売費及び一般管理費は、前年同期比で18,421百万円増加し、106,139百万円(21.0%増)となりました。主な項目は以下のとおりです。
人件費(給与および賞与)は、前年同期比2,528百万円増加し、27,560百万円(10.1%増)となりました。なお、当連結会計年度末における当社グループの従業員数は6,159人(7.0%増)とGMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社が連結子会社となったことによる影響もあり増加いたしました。
貸倒引当金繰入額は、前年同期比4,133百万円増加し、6,589百万円(168.3%増)となりました。タイ王国で証券事業を展開している連結子会社において、3,527百万円の計上がありました。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)(連結子会社における貸倒引当金の計上)」に記載のとおりであります。
③営業外損益
当連結会計年度における営業外収益は前年同期比1,105百万円増加し、5,128百万円、営業外費用は同1,056百万円増加し、2,850百万円となりました。営業外収益では、受取配当金が前年同期比342百万円増加し、1,099百万円(45.2%増)の計上、営業外費用では、当期にデリバティブ損失が648百万円の計上がありました。
④特別損益
当連結会計年度における特別利益は前年同期比21,047百万円増加し、22,187百万円、特別損失は同9,734百万円増加し、10,552百万円となりました。特別利益では、主に持分法適用関連会社であった2C2P Pte. Ltd.の全株式を譲渡したことにより投資有価証券売却益で21,127百万円の計上、特別損失では、GMOあおぞらネット銀行株式会社株式に関連する契約損失引当金繰入額で6,341百万円、減損損失で3,290百万円の計上がありました。
⑤法人税等
当連結会計年度における法人税等は前年同期比2,708百万円増の17,967百万円となりました。
⑥非支配株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における非支配株主に帰属する当期純利益は前年同期比15,554百万円増の26,482百万円(142.3%増)となりました。主に上場子会社各社の利益が好調に推移しております。
⑦親会社株主に帰属する当期純利益
以上、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比4,318百万円減の13,209百万円(24.6%減)となりました。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1. いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2. 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
4. 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としてい
ます。
5. 2021年12月期は営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びイ
ンタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。
②財務政策
当社グループは、流動性リスクの低減のため、市場環境や長短のバランスを勘案して、金融機関からの借入やリース等による間接調達のほか、社債の発行等の直接調達を行い、資金調達手段の多様化を図っております。また、余剰資金に関しては、流動性の高い金融資産で運用しております。
当連結会計年度末における主な有利子負債(インターネット金融事業固有の勘定は除く)は前年同期比で96,497百万円増加し391,161百万円(32.7%増)となっております。内訳は、金融機関からの短期借入金201,324百万円、長期借入金(1年以内返済予定分を含む)118,067百万円、社債51,000百万円及び転換社債型新株予約権付社債20,770百万円となっております。
(1)インターネットインフラ事業に関する契約について
(2)インターネット広告・メディア事業に関する契約について
(3)インターネット金融事業に関する契約について
(注)この契約に加え、2016年7月21日付で株式会社あおぞら銀行とGMOフィナンシャルホールディングス株式会社との間で「株主間契約の変更及び地位承継に関する契約書」を締結しております。
これらの契約書において、当社又はGMOフィナンシャルホールディングス株式会社は株式会社あおぞら銀行に対してGMOあおぞらネット銀行株式会社の種類株式の譲渡を請求することができる旨、及び、株式会社あおぞら銀行は当社又はGMOフィナンシャルホールディングス株式会社に対してGMOあおぞらネット銀行株式会社の種類株式の買取を請求することができる旨が定められております。
なお、当該譲渡及び買取請求金額については、株式会社あおぞら銀行が取得した金額とする旨が定められております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は