文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は「情報(データ)を未来の知恵に変え 夢と感動 楽しい!で社会に貢献する」という経営理念のもと、企業経営を進めております。当社のかけがえのない資産・強みである膨大なデータと、その使い手としての希少なノウハウを駆使し、関わる全てのステークホルダーを「夢」と「感動」と「楽しい」でつなぎ、未来を変える期待感にあふれる存在となり、そして、先進的かつ独創的、何より人間的であることに価値を置き、新たなAI時代をリードする、社会から真に必要とされる企業集団であり続けたいと考えております。
また、企業目標を「CHANGING COMPANY~未来に向けて変化し続ける会社~」とし、かつてないほどの速度で社会が変化していく時代において、当社自身が「未来に向けて変化し続ける会社」、「社会の変化を駆動するイノベーションの導き手」となることで、新たな社会を創出し、その結果、「お客様の満足(有益な情報とサービス)」と「社員の誇り(会社と仕事)」、そして「株主からの信頼(将来と実績)」を得られる存在となるよう努めてまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループでは、多様化するユーザーニーズや今後の市場環境を踏まえ、「中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)」を策定しております。当該中期経営計画においては、デジタル化対応・AI機能の実装などによるサービスプラットフォームの構築をビジョンとし、これにより、「カーライフのトータルサポート」を実現することで、自動車関連情報サービス事業国内ナンバーワンを目指しております。また、当該計画に基づき、中古車販売店、整備工場、新車ディーラー向けの商品・サービスの拡充を通じて、自動車関連情報分野の事業成長を図るとともに、グループシナジーの具現化ならびにコスト構造の見直しなどを通じて、更なる収益性の改善を図ってまいります。なお、具体的な成長戦略として、次の重点課題を掲げ、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
①新車領域(データベースを活用したサービスを利益創出の柱にする)
②中古車領域(製造原価・販売費及び一般管理費の見直し)
③整備領域(広告事業の事業基盤拡大、予約サービスの構築)
④AI領域への投資(既存事業の底上げ)
⑤新規事業への投資(新規サービスの創出)
なお、上記の重点課題の詳細につきましては、「(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は社会に多大な影響を与えており、企業にとっても、大きな環境変化にさらされている状況となっております。新型コロナウイルスの感染拡大が当社グループに与える影響、及びその対策の詳細につきましては、「2事業等のリスク (15)新型コロナウイルスの感染拡大に係るリスクについて」に記載のとおりですが、当社グループの戦略ビジョンである、「デジタル化対応・AI機能の実装などによるサービスプラットフォームの構築」は、このような外部環境の大きな変化の中で更に強みを発揮するものであります。当社グループは引き続き当該経営戦略の実行により、企業価値の向上に努めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、持続的な企業価値向上を目指すにあたり、事業規模拡大に向けた売上高・売上総利益・営業利益の成長性とともに、ROE(自己資本利益率)・EPS(1株当たり当期純利益)を重要な経営指標としております。中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)では、最終年度において、ROE12.0%以上、EPS100.00円を掲げております。
(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題
自動車流通市場は、近年カーユーザーのニーズやライフスタイルの多様化、MaaS、自動運転技術及びEV化の進展、中古車販売店、整備工場、新車ディーラー、カー用品店等の事業領域間における相互参入、情報技術の進化に伴う大手IT企業による自動車関連産業への参入など、外部環境が大きく変化しております。また、新型コロナウイルスの感染拡大、及び収束後のいわゆる「アフターコロナ」あるいは「ウィズコロナ」においても、人々の生活様式に大きな変化が起こることも想定されます。
当社グループはこのような変化に対応するため、「中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)」において次の重点課題を掲げております。
①新車領域(データベースを活用したサービスを利益創出の柱にする)
当社は、「DataLine SalesGuide」の提供を通じて、新車販売市場の営業支援ツールにおいて高い市場シェアを獲得しております。また、新車ディーラーにおける顧客接点強化と生産性向上に資する商品・サービスの開発・提供を通じて、持続的な事業成長を図ります。
②中古車領域(製造原価・販売管理費及び一般管理費の見直し)
当社は、「グーネット」の運営を通じて、中古車検索市場において高い市場シェアを獲得しております。また、メディア機能に加えて中古車の検査子会社を有しており、メディアに掲載する中古車の状態情報を開示することで、競合との差別化を図っております。なお、中古車領域においては、取引社数拡大による持続的な成長を図るとともに、営業人員の最適化、Webメディアとペーパーメディアのメディアミックス最適化を推進し、製造原価・販売費及び一般管理費の見直しを図ります。
③整備領域(広告事業の事業基盤拡大、予約サービスの構築)
当社は、「グーネットピット」の運営を通じて、広告事業の事業規模拡大を図ります。また、カーユーザーと整備工場を結びつける予約サービスの構築を通じて、カーアフターマーケットにおける新たな流通構造の創出を図ります。
④AI領域への投資(既存事業の底上げ)
当社は、AI領域への積極的な投資により、中古車・整備・新車の各領域における商品・サービスの開発を推進いたします。また、既存事業へのAIの導入を通じて生産性向上を図り、収益性の改善に努めます。
⑤新規事業への投資(新規サービスの創出)
当社は、引き続きM&Aを重要な経営戦略に位置付けるとともに、2019年4月に設立したコーポレートベンチャーキャピタルを通じて、広く自動車関連分野、AI・ITテクノロジー分野等を投資対象とし、ビジネスの育成、支援、協業によって当社グループの競争力強化と、更なる企業価値の向上を推進いたします。
また、当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。なお、運転資金及び投資を目的とした資金調達につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。また、大規模な設備投資が必要となった場合には、資本市場との対話を通じて、最適な資金調達方法を検討いたします。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針について
当社は、買収防衛策を導入しておりません。
当社の「財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は以下のとおりであります。当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、自動車関連情報をはじめとする当社グループの事業の全体に係る幅広い知識と豊富な経験を有し、また当社を支える株主、従業員、ユーザー、取引先、地域社会等の様々なステークホルダーとの信頼関係を十分に理解した上で、企業価値及び株主共同の利益を中長期的に最大化できる者が望ましいと考えております。上場会社である当社の株主は、当社株式の自由な取引を通じて決定されるものである以上、特定の買付者等による買付等に応じるか否かについても、最終的には株主の判断に委ねられるべきものと考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項につきましては、以下のようなものがあります。
当社グループといたしましては、以下の記載事項が必ずしも事業上のリスクとは考えておりませんが、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動についてご理解を頂く上で重要と考えられる事項につきましては、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループにつきましては、当社及び連結子会社15社により構成されておりますが、2021年3月期における自動車関連情報の連結売上高は、グループ売上高全体の89.3%を占めており、現状においては、当社グループの収益は自動車関連情報に大きく依存していることとなります。このため、新規領域もターゲットとして見据え、M&A等を活用することで自動車関連情報に依存しない事業展開を推し進めてまいりますが、自動車関連業界における市場環境の変化や他社との競争激化等により、自動車関連情報の業績が大幅に変動した場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要商品であるクルマ情報誌「グー」をはじめ、各媒体の印刷・製本には、印刷用紙が必要となっておりますが、当該印刷用紙の仕入価格につきましては、市況価格の変動の影響を受けることとなります。このため、当社グループの情報発信メディアにつきましても、情報誌を中心としたものからインターネット・モバイルメディアを中心としたものへとシフトさせていくことにより、リスクの低減を図っていく方針でありますが、今後、印刷用紙の市況価格が大幅に高騰し、印刷コストが上昇した場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、公表されている印刷用紙(A2コート紙)の相場につきましては、下記のとおりであります。
出典:日経市況
当社グループの主要商品であるクルマ情報誌「グー」をはじめ、主要媒体の印刷につきましては共立印刷株式会社に委託しております。同社を選定した理由といたしましては、安定供給の体制が整備されていること、納期面での信頼性が高いこと、当社グループの技術的ニーズに適宜対応していること等があげられますが、当社グループの主要媒体の印刷は同社に依存していることとなります。同社からの媒体供給体制ならびに取引状況は安定していることに加え、印刷全般のリスクの分散を図ることを目的として他社への印刷委託も実施しておりますが、何らかの理由により同社との取引に影響が生じ、媒体供給に支障をきたした場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要商品であるクルマ情報誌「グー」をはじめ、主要媒体の印刷用紙につきましては、東京紙パルプ交易株式会社より調達しております。同社を選定した理由といたしましては、継続的かつ安定的な用紙供給体制が整備されていること、当社グループのニーズに適宜対応がなされていることなどがあげられ、更に調達先を1社に集約することで仕入コストの削減を図っております。同社からの用紙供給体制ならびに取引状況は安定しておりますが、何らかの理由により用紙調達に支障が生じた場合、用紙の仕入先を変更・分散することとなる結果、これまでと同等水準の仕入コストの削減効果が期待できなくなる可能性があります。
①コンテンツに対する法的規制について
インターネット上のコンテンツにつきましては、プライバシーの保護、公序良俗ならびに知的財産権を犯すコンテンツ等、様々なコンテンツが登場してきております。当社グループにおきましては、これらインターネット上のコンテンツに関する問題はこれまで発生しておりませんが、万一、現在の法的規制に違反した場合、又は今後何らかの法的規制が加えられた場合には、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
②中古車の売買に対する法的規制について
当社グループでは、株式会社グーネットエクスチェンジにおいて中古車輸出事業を行っており、中古車の売買に係る古物商許可を受けております。当該古物商許可につきましては、偽りその他不正の手段により許可を受けていた場合等、古物営業法第6条に定められた事由のいずれかに該当する場合には、許可が取り消しとなります。当社グループでは、こうした許可の取り消し事由はこれまで発生しておらず、今後におきましても、法令違反等により許可が取り消しとなることのないよう努めてまいりますが、万一、許可が取り消しとなった場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③人材紹介・人材派遣事業に対する法的規制について
当社グループでは、主に株式会社沖縄コールスタッフサービス及び株式会社アソシエにおいて人材紹介及び人材派遣事業を行っており、有料職業紹介事業許可及び労働者派遣事業許可を受けております。有料職業紹介事業許可につきましては、有料職業紹介事業者が許可の欠格事由に該当する等、職業安定法第32条の9に定められた事由のいずれかに該当する場合には、事業停止又は許可が取り消しとなります。また、労働者派遣事業許可につきましても、派遣元事業主が許可の欠格事由に該当する等、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第14条に定められた事由のいずれかに該当する場合には、事業停止又は許可が取り消しとなります。当社グループでは、こうした事業の停止又は許可の取り消し事由はこれまで発生しておらず、今後におきましても、法令違反等により事業の停止又は許可の取り消しとなることのないよう努めてまいりますが、万一、事業の停止又は許可が取り消しとなった場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各種サービスを行うためにインターネットを利用したコンピュータシステムを構築し、適宜新しいシステム、セキュリティ関連技術を取り入れながら、継続的な設備投資ならびに保守管理を行っております。
しかしながら、ハードウエア又はソフトウエアの不具合、アクセスの急激な増加、人的ミス、ネットワーク回線のトラブル、コンピュータウイルス、停電、自然災害、その他の予測困難な要因によって当社グループのシステムに被害又は途絶が生じた場合、当社グループ全体の業績に影響を与える可能性があります。
昨今、多くの企業による個人情報の流出が社会的な問題となっておりますが、当社グループにおきましては、2005年4月より施行された「個人情報保護法」の趣旨に沿った対応を図るよう、代表取締役社長による個人情報保護方針のもと、「個人情報保護規程」を制定し、個人情報の適切な保護に努めております。
しかしながら、当社保有の個人情報の外部流出、不正使用等が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜等によって、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各種メディアを通じて情報サービスの提供を行っておりますので、社会に与える影響につきましては、他のマスコミと同様であると考えております。従いまして、当社グループが提供する情報コンテンツに万一誤った記載があった場合、特定個人及び法人に対し、有形・無形の損害を与え、損害賠償訴訟等が発生する場合も想定されます。当社グループといたしましては、複数のチェック機能を設け、厳重に情報コンテンツの管理を施すよう対処しておりますが、万一の場合、社会的信用の失墜ならびに当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、株式会社グーネットエクスチェンジにおいて中古車輸出事業を行っており、当社の主要顧客である中古車販売店又はオークション会場より、それぞれ仕入れた中古車を主にアジア諸国へ輸出しております。中古車輸出事業におきましては、輸出対象国の政府による関税政策の変更ならびに輸入規制の変更等や海上輸送中の船舶・港湾施設の事故等予測困難な要因による損失が発生した場合には、当社グループ全体の業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、事業領域の拡大ならびに商品・サービスの拡充を目的として、M&Aを活用する方針であります。M&A実施前には、対象企業の財務内容や契約関係等に関するデューデリジェンスにて把握したリスクの回避策ならびに投資回収可能性等を充分検討することにより、リスクの低減を図っております。しかしながら、M&A実施後の事業環境・競合状況の急変、偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題の発生等により、当初期待していた投資効果が得られない場合、のれん等の固定資産の減損損失が発生する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業領域の拡大ならびに商品・サービスの拡充を図るため積極的なM&Aを推進するとともに、新規子会社の設立を行っております。当該子会社におきましては、グループシナジーの追求及び経営効率化の推進による収益性の向上を図り、早期に事業化を進める方針であります。しかしながら、その進捗に遅れが生じた場合には、子会社において営業損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
インターネット関連分野においては、業界内での技術革新の進捗が著しく、当社グループとしても、こうした技術革新に応じたシステム拡充及び事業戦略の修正等を迅速に行う必要があるものと考えております。今後、こうした技術革新への対応が遅れた場合、当社グループの提供するサービス及び設備等の陳腐化により、競合他社に対する競争力の低下を招き、その結果、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいて、今後、事業を更に拡大し、持続的な成長を図っていくためには、優秀な人材の確保及び育成が重要であると考えております。しかしながら、当社グループの求める人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材の流出が進んだ場合には、競争力の低下や事業の拡大の制約要因が生じる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、海外事業の展開を中長期的な成長の機会として位置づけております。しかしながら、各国の経済情勢及び政治情勢の悪化、法律・規則、税制、外資規制等の差異及び変更、商慣習や文化の相違等の要因により、特定の国での事業の遂行及び推進が困難になる場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルスの感染拡大が当社グループに与える影響は部分的かつ一時的なものであると認識しております。しかしながら、新たな変異株の流行など、感染拡大状況がこれまでと大きく変化し、かつこれが長期に渡った場合、及び「アフターコロナ」や「ウィズコロナ」において人々の生活様式に大きな変化が起こった場合には、下記のようなリスクが当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
①外出自粛等の影響による収益の減少
感染拡大下の外出自粛に伴い、自動車関連市場へのマイナス影響が長期化した場合、取引先の業績悪化及び消費者の消費活動が停滞すること等により、当社グループが扱う商品・サービスの販売収益にも影響が出ることが考えられます。具体的には中古車領域及び整備領域における広告サービス、新車領域における営業支援ツール、物販領域におけるタイヤ・ホイール販売などについて、収益が減少する可能性があります。また、アフターコロナやウィズコロナにおいて、人々の行動様式が大きく変化した場合、既存の対面取引を前提とした商品・サービスでは、競争力が低下する恐れがあります。当社グループといたしましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおり、各領域において、IT化・デジタル化の推進による、非対面による商談システムのリリースや、AIを活用した営業支援商品の提供などにより、人々の行動変化による新たな需要を取り込み、収益の確保に努めてまいります。
②従業員の感染による営業活動の停止
当社グループの従業員が新型コロナウイルスに感染した場合、当該従業員が所属する事業所を中心に、営業活動が停止する可能性があります。このような事態を避けるため、当社グループにおきましては「新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドライン」を作成、運用することで、感染状況のステージに応じた活動の規制など、従業員の感染拡大防止に対する行動及び意識の統一を図っております。また、緊急事態宣言下においては、「在宅勤務」の推進、会議のオンライン化、都道府県外への出張禁止等の対策も講じてまいりましたが、これまで当該対策下においても業務の遂行に大きな問題が発生しないことが確認できております。また、宣言解除となった場合にも、検温管理、マスク着用、職場消毒、3密回避といった感染防止体制を継続しており、引き続き状況に応じた柔軟な対応で、影響を最小限に食い止めてまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響に対する各種景気刺激策や、新しい生活様式に対応した経済活動の再開などにより持ち直しの動きが見られた一方、感染拡大の波は収束することなく繰り返し発生し、業種によって大きなマイナスインパクトを受ける状況の中推移いたしました。また、 現時点においても、第4波による社会経済活動への影響が懸念されるなど、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
こうした経済環境の中、当社グループの主要顧客である自動車販売業界におきましては、上期において不振が続いていた新車販売が、10月以降は前年実績を上回る水準で推移するなど回復の動きを見せ、また、中古車登録台数についても、新しい生活様式における移動手段としての需要増もあり、好調に推移いたしました。
このような状況の中、当社グループにおきましては、多様化するユーザーニーズや今後の市場環境を踏まえて策定した「中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)」においてビジョンとして掲げた「サービスプラットフォームの構築」によるカーライフのトータルサポートの実現に向け、主に中古車販売店、整備工場、新車ディーラーを対象としたプライベートブランド商品・サービスの提供に取り組んでまいりました。
以上のことから、当連結会計年度の売上高は、59,705百万円(対前年同期比1.6%増)となりました。増収となった主な要因は、「MOTOR GATE」を中心としたサービスプラットフォームに関連するサービスの提供が堅調に推移したことや、タイヤ・ホイール販売の増収などによるものであります。営業利益は、上記の増収による影響に加え、営業赤字となっていた海外子会社の売却や事業撤退を前連結会計年度において実施したことなどにより、5,847百万円(対前年同期比14.1%増)となり、経常利益は、6,010百万円(対前年同期比13.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度において不動産の売却による固定資産売却益の計上があったことが影響し、4,730百万円(対前年同期比4.6%減)となりました。また、ROEは14.0%(当社中期経営計画の目標値12.0%)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
業界No.1のサービスプラットフォームの構築を目指し、各事業領域におけるシェアの拡大ならびに顧客当たりの取引単価の維持・拡大に努めるとともに、カーライフにおけるユーザーニーズを網羅したサービスの強化に取り組んでまいりました。当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大が続く環境下において、多様化するユーザーニーズに応えるべく、DXプロダクトの開発・提供を進めてまいりました。
中古車領域においては「グーネット」のコンテンツ量最大化、「グーネット」のバックグラウンドシステムである「MOTOR GATE」の提供及び機能向上を通じた取引社数の拡大と生産性の向上、情報誌とウェブサイトの役割最適化、コスト構造の見直し等に取り組んでまいりました。「MOTOR GATE」の機能向上策としては、AIによる成約上昇分析ツールである「MOTOR GATE AI」の提供を開始するなど、ビッグデータとAI技術を活用したサービスにより、中古車販売店の経営支援に取り組んでまいりました。また、非接触型のコミュニケーションニーズが高まるなか、ユーザーと自動車販売会社等が相談や商談時に利用できるオンライン商談ツールとして「グーネットLive(ライブ)」の提供を開始するなど、環境変化に対応した新たなサービスの提供も進めてまいりました。
整備領域においては「グーネットピット」におけるコンテンツの拡充に加え、「グーネットピットスマート予約」にAIチャットボット機能を導入するなどユーザーの利便性向上により、有料掲載工場数の拡大に取り組んでまいりました。
新車領域においては引き続き「DataLine SalesGuide」の拡販に取り組んでまいりました。当該商品のオプション機能として、ユーザーが保有する車両の3年後までの資産価値を予測し、乗り換えのシミュレーションを自動作成してコスト比較等の提案を動画で行うことが可能な「DataLine SalesGuide乗換提案動画」の提供を開始するなど、各種オプション商品の提供を通じたDX化の推進により、サービスの価値向上に努めてまいりました。
タイヤ・ホイール等の販売は、引き続き、主要取扱ブランドの販売強化ならびにタイヤ・ホイールのセット販売の強化に取り組むとともに、当社の「グーネット」、「グーネットピット」、「MOTOR GATEショッピング」等とのシナジーを追求することで販売機会の拡大に努めてまいりました。
また、中古車輸出事業においては大手中古車輸出業者とのアライアンスを強化するなど、ビジネスモデルの強化に向けた取り組みを進めてまいりました。
以上の結果、売上高は53,288百万円(対前年同期比1.5%増)となりました。増収となった主な要因は「MOTOR GATE」を中心とするサービスプラットフォーム関連事業が堅調に推移したことや株式会社オートウェイにおいて、タイヤ・ホイール販売が前連結会計年度の落ち込みから回復したことなどによるものであります。営業利益につきましては、上記のサービスプラットフォーム関連事業の伸長及びタイヤ・ホイール販売の増収等により6,942百万円(対前年同期比5.6%増)となりました。
介護・福祉・医療関連事業につきましては、引き続き、商品・サービスのブランド力向上を図るとともに、ウェブサイトの機能向上、コンテンツ・サービスの拡充などを通じて営業基盤の強化による取引社数の拡大に努めてまいりました。また、株式会社プロトソリューションにおけるグーホーム事業につきましては、引き続き、収益性の改善に取り組むとともに、コンテンツの拡充や取引社数の拡大に取り組んでまいりました。以上のことから、売上高は3,914百万円(対前年同期比6.1%減)となりました。減収となった主な要因は、株式会社プロトメディカルケアにおいて、前連結会計年度に事業撤退した訪問歯科支援事業に係る減収があったことなどによるものであります。営業利益につきましては、上記売上減収の一方で、人件費や広告宣伝費の減少等により、273百万円(対前年同期比61.9%増)となりました。
当社が自社物件の賃貸管理を行っており、売上高は157百万円(対前年同期比1.9%減)、営業利益は140百万円(対前年同期比3.8%増)となりました。
株式会社プロトソリューションにおいて外部顧客に対するソフトウエアの開発・販売が伸長したこと、同社の人材派遣事業において既存連結子会社の業績が伸長したことに加え、2019年10月に子会社化した株式会社アソシエが寄与したことなどから、売上高は2,345百万円(対前年同期比21.6%増)、営業利益は130百万円(対前年同期比121.6%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は49,318百万円となり、前連結会計年度末と比較して、4,677百万円の増加となりました。資産、負債及び純資産の状況につきましては、次のとおりであります。
流動資産につきましては、現金及び預金並びに売掛金の増加などから、31,556百万円となり、前連結会計年度末と比較して、3,409百万円の増加となりました。
固定資産につきましては、減価償却による有形固定資産の減少及びのれん償却による無形固定資産の減少があった一方で、投資有価証券の期末評価替えにより投資その他の資産が増加したことから、17,761百万円となり、前連結会計年度末と比較して、1,267百万円の増加となりました。
流動負債につきましては、仕入債務の増加や未払費用の増加などにより、12,263百万円となり、前連結会計年度末と比較して、995百万円の増加となりました。
固定負債につきましては、長期借入金の返済等により、1,328百万円となり、前連結会計年度末と比較して、196百万円の減少となりました。
剰余金の配当が、1,054百万円発生した一方、親会社株主に帰属する当期純利益4,730百万円の計上、期末評価替えによるその他有価証券評価差額金の増加などにより、純資産は35,726百万円となり、前連結会計年度末と比較して、3,878百万円の増加となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物につきましては、前連結会計年度末と比較して4,148百万円増加し、21,485百万円となりました。現金及び現金同等物が増加した主な要因につきましては、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額又は還付額が2,205百万円となったものの、税金等調整前当期純利益5,960百万円の計上などにより、6,574百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入が500百万円発生するなどした一方で、有形・無形固定資産の取得による支出が、664百万円、投資有価証券の取得による支出が、607百万円発生したことなどにより、898百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が、388百万円、配当金の支払が、1,053百万円発生したことなどから、1,530百万円の支出となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 生産実績については、自動車関連情報、生活関連情報、その他における外注費を表示しております。不動産については、生産実績がありませんので、記載しておりません。
受注後売上計上までの期間が概ね1ヶ月以内であるため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 自動車関連情報の広告関連については、主に情報誌及びウェブサイトへの広告掲載料であります。また、情報・サービスについては、主に法人向けデータ提供料であります。物品販売については、主に中古車輸出、タイヤ・ホイール等の販売に係る売上が含まれております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、新型コロナウイルスの感染拡大が当連結会計年度の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローに与えた影響は一時的かつ部分的なものであると認識しております。しかしながら、今後も新たな変異株の流行など、これまでとは感染状況が異なり、深刻化した場合等には影響が大きくなる可能性もあるため、影響内容に応じて対応策を立案、実行してまいります。詳細につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」及び、下記、事業領域別の状況に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り、判断及び仮定を必要とします。経営者は、これらの見積り、判断及び仮定について、過去の実績等を勘案し合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。また、新型コロナウイルスの感染拡大が、今後さらに深刻化し、長期に渡って国内及び国外の経済情勢に影響を与えた場合、これらの見積り、判断及び仮定と、実際の結果との乖離が大きくなることも想定されます。具体的には、貸倒実績率に基づき見積もられた一般債権に係る貸倒引当金などは、当該影響により実際との乖離が大きく発生する可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
経営成績
当連結会計年度におきましては、売上高59,705百万円(対前年同期比1.6%増)、営業利益5,847百万円(対前年同期比14.1%増)、経常利益は、6,010百万円(対前年同期比13.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,730百万円(対前年同期比4.6%減)という結果となりました。期初から上期にかけては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による仕向地の港湾閉鎖があったことで、株式会社グーネットエクスチェンジにおける車両輸出販売が減少するなど、売上が前年を下回る状況となったものの、コロナ環境下においてDX商品の開発・提供を推進したことなどにより「MOTOR GATE」を中心としたサービスプラットフォームに関連するサービスの提供が堅調に推移したことに加え、タイヤ販売も堅調に推移し、通期において増収となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期において固定資産売却益が大きく計上されていたことから減益となりましたが、営業利益及び経常利益につきましては、増収に加え、営業効率化による販売管理費の減少などにより増益となっております。収益性の向上につきましては、前期において不採算事業であった台湾寶路多股份有限公司の株式売却ならびにPROTO MALAYSIA Sdn. Bhd.の事業撤退も寄与しております。引き続き事業ポートフォリオの見直し、及び主要分野への選択と集中を推進する一方で、既存のリソースを活用した新規分野における事業創出も中長期的な成長戦略の一つとして進めてまいります。
当社グループが経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標の一つとしているROEにつきましては14.0%となり、当社の中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)上の最終目標値12.0%を大きく上回っております。PROTO MALAYSIA Sdn. Bhd.の連結上の投資差異に係る税効果を認識したことによる売上高純利益率の良化が大きな要因ですが、営業利益率の改善傾向も続いており、こちらもROE良化の一因となっております。一方で総資産回転率は低下傾向となっており、資産の利用効率については引き続き改善の余地があると認識しております。なお、当該税効果の影響を除いた場合のROEは12.0%と概算されます。
当社グループの事業セグメントのうち、当連結会計年度の売上高の89.3%を占めており、最も重要な事業セグメントである自動車関連情報セグメントの詳細な状況につきましては、以下のとおりであります。
取引社数の拡大ならびに顧客当たりの取引単価の維持・拡大に努めるとともに、カーライフにおけるユーザーニーズを網羅したサービスの強化に取り組んだ結果、売上高53,288百万円(対前年同期比1.5%増)、営業利益6,942百万円(対前年同期比5.6%増)となりました。
前期においてWindows7のサポート終了に伴う特需があった株式会社プロトリオスのシステム販売が減収となったものの、MOTOR GATE及びMOTOR GATEカレンダーが堅調に推移したことに加え、株式会社オートウェイ、株式会社タイヤワールド館ベストのタイヤ・ホイール販売が伸長したことなどが主な要因であります。かねてからAI技術を中心としたDXプロダクトの開発・提供を重点課題として進めていた当社グループですが、コロナ環境下におけるユーザーニーズの変化に対して優位性を発揮できたと考えております。引き続き時代の変化を牽引する商品の開発・提供を進めることで、「ウィズコロナ」「アフターコロナ」といったステージにおいても存在感を発揮し、社会に貢献するよう努めてまいります。
なお、各事業領域別の状況は次のとおりであります。
ⅰ中古車領域
「グーネット」のコンテンツ量最大化、「グーネット」のバックグラウンドシステムである「MOTOR GATE」の提供及び機能向上を通じた、取引社数の拡大と生産性の向上、情報誌とウェブサイトの役割最適化、コスト構造の見直しなどに取り組んでまいりました。コロナ環境下において中古車需要が拡大したことに加え、MOTOR GATEの機能向上として「オンライン商談予約」「グーネットLIVE」「MOTOR GATE AI」といった中古車販売店向けのDXプロダクトの開発・提供に注力した結果、「グーネット」のユニーク・ユーザー数は大きく伸長いたしました。
また、前連結会計年度において減少となっていた「グーネット」取引社数につきましても同様に増加しております。
上記取引社数の増加は収益の増加へ寄与しておりますが、中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)において目標としている年平均成長率+4.0%に対して、対前年同期比2.3%の増加にとどまり、目標には届かない結果となりました。
中古車領域はコロナ禍においてパーソナルな移動手段を求めるユーザーの増加による堅調な需要を背景に、今後も安定的に推移すると考えております。このような状況において、DXプロダクトの需要は今後も伸長が期待されます。一例として、当社が提供を開始したオンラインで車両の状況確認及び商談を行う「オンライン商談予約」も利用比率が徐々に高まっており、デジタル・テクノロジーの進化による既存ビジネスモデルからの転換が、コロナ禍により急速に進んでいると考えられます。
取引社数の更なる拡大を達成するうえで、これらDXプロダクトの開発、提供推進によるユーザー利便性の向上、及び取引先の業務効率改善が重要なポイントになると認識しております。引き続き時代の変化に即した商品・サービスを提供することで、更なるシェア拡大に努めてまいります。
ⅱ整備領域
「グーネットピット」の運営を通じて、広告事業の事業規模拡大、及びカーユーザーと整備工場を結びつける予約サービスの構築を通じて、カーアフターマーケットにおける新たな流通構造の創出に取り組んでまいりました。「中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)」において、年平均成長率+15.0%を目標としている有料掲載工場数については、大手FCを中心とした従量課金契約を開始したこともあり、当連結会計年度において対前年同期比+40.6%と大きく増加いたしました。
整備領域においても「グーネットピットスマート予約」にAIチャットボット機能を導入するなど、DXプロダクトの提供を行ってまいりました。グーネット同様、グーネットピットについてもユニーク・ユーザー数が大きく増加し、認知度も向上しております。
「カーライフのトータルサポートの実現」において必要不可欠な領域である一方、依然として成長余地を大きく残した状況となっております。引き続き認知度の向上に加え、他の領域と同様に商品のDX化推進を中心とした利便性の向上により、広く社会に根差したサービスとなるよう努めてまいります。
新車販売市場の営業支援ツールである「DataLine SalesGuide」について、「AIチャットボット」「DataLine Finder」「DataLine AI査定」「DataLine SalesGuide乗換提案動画」といったサービスを提供することにより、導入拠点数の拡大に取り組んでまいりました。
この結果、「DataLine SalesGuide」の導入拠点数は、前年同期比対比で3.0%の増加となりました。
しかしながら「中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)」における目標値である年平均成長率+4.7%には届いておらず、期初におけるサプライチェーンの乱れが響いた結果となっております。一方で、「DataLine SalesGuide乗換提案動画」などのオプション商品の提供により顧客単価は向上しており、3年間で約2.2倍に成長しております。
新車領域は短期的には半導体不足の影響が見込まれるものの、業界の転換期にあたり、販売チャネルの見直しや店舗統廃合も含めて大きな変化が想定されます。そのような環境のなかでも販売・整備拠点としての新車ディーラーの重要性は変わらないと考えられることから、引き続きDataLineシリーズの導入拠点拡大に加え、ディーラーの「ユーザーコミュニケーション改善」に寄与するAIチャットボットの導入推進、新車在庫に特化した「グーネット新車」の立ち上げなどにより、この転換期を通じて当社のプレゼンスを引き上げ、当領域を「データベースを活用したサービスを利益創出の柱にする」という成長戦略の実現に向けて取り組んでまいります。
ⅳ物販領域
タイヤ・ホイール等の販売において、主要取扱ブランドの販売強化ならびにタイヤ・ホイールのセット販売の強化に取り組むとともに、当社の「グーネット」、「グーネットピット」、「MOTOR GATEショッピング」等とのシナジーを追求することで販売機会の拡大に努めてまいりました。
当連結会計年度においては、期初から上期にかけ、株式会社グーネットエクスチェンジにおける車両輸出事業が、コロナウイルスの感染拡大により仕向先の港湾閉鎖の影響を受けるなど、厳しい状況もありながら、株式会社オートウェイ、及び株式会社タイヤワールド館ベストにおけるタイヤ・ホイール販売が好調に推移したことから、通期においては増収で着地いたしました。
(単位:百万円)
タイヤ・ホイール販売におきましては、MOTOR GATEショッピングを通じたB to B 販売の成長など、ECが好調に推移いたしました。タイヤ領域は、車の利用頻度向上に伴う底堅い買い替え需要を背景に今後も安定的に推移すると想定しております。他領域と同様、カーユーザーのネットシフトもあり、今後もECの伸長が見込まれることから、引き続きロジスティクスの強化、グループシナジーの活用などにより、成長させるよう努めてまいります。
一方、株式会社グーネットエクスチェンジの車両輸出販売は、特に上期にかけて新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響により厳しい状況の中進行いたしましたが、大手中古車輸出業者とのアライアンス強化により、同事業の売上高は期末にかけて回復基調となっております。このアライアンス強化による輸出拡大は、当社の主要顧客である国内中古車販売店の販売台数拡大支援にもつながり、他領域における事業シナジーの創出も見込まれることから、引き続き同アライアンスの推進により、業容の拡大を図ってまいります。
なお、生活関連情報、不動産、その他の事業セグメントの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は49,318百万円となり、前連結会計年度末と比較して、4,677百万円の増加となりました。主な増加資産は現金及び預金が3,648百万円、投資有価証券が1,112百万円の増加となっております。投資有価証券の増加のうち508百万円は、当社における政策保有株式の期末評価による増加が要因となります。当社の政策保有株式の保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容につきましては、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況 ②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式」に記載のとおりであります。
資産効率性につきましては、総資産回転率が低下傾向にあり、資産の利用効率に課題があると考えております。利益率の改善によりROEは改善しておりますが、一方で総資産回転率の低下が改善幅の引き下げ要因となっている状況です。投資効率を念頭に置いた事業ポートフォリオの見直しを進め、ROEの更なる改善を目指してまいります。
(負債)
当連結会計年度末の総負債は13,591百万円となり、前連結会計年度末と比較して、798百万円の増加となりました。固定負債は長期借入金の減少を主要因に前連結会計年度末と比較して196百万円の減少となりましたが、流動負債は995百万円の増加となりました。増加の主な要因は、株式会社タイヤワールド館ベストの仕入債務の増加、及び株式会社グーネットエクスチェンジの前受金の増加となりますが、いずれも売上増収に起因するものであります。また、借入金の減少により、有利子負債は前連結会計年度末と比較して397百万円減少し、ネットキャッシュは4,045百万円増加しております。一方で財務レバレッジが低下し、総資産回転率と同様にROEの改善幅を押し下げる要因となっておりますが、財務健全性の確保が重要であると考えております。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は35,726百万円となり、前連結会計年度末と比較して、3,878百万円の増加となりました。当連結会計年度末の自己資本比率は72.4%、時価ベースの自己資本比率は95.4%となっております。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、21,485百万円となり、前年同期対比で4,148百万円の増加となりました。各キャッシュ・フロー区分における詳細は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、6,574百万円の収入となり、前年同期対比で560百万円の増加となりました。増収に対して棚卸資産残高が減少したことなどによりキャッシュ・コンバージョン・サイクルが良化していることもあり、営業キャッシュ・フローマージンは10.9%(前年同期比0.7ポイント増)と、営業収支効率も良化しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、898百万円の支出となり、前年同期対比で1,299百万円の減少となりました。前年同期において当社及び株式会社プロトリオスにおける事業所移転に伴う有形固定資産の売却による収入があったことが大きな要因であります。フリーキャッシュ・フローは5,676百万円となり、前年同期対比で738百万円減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,530百万円の支出となり、前年同期対比で2,929百万円の支出減少となりました。
前年同期においては、一部連結子会社の短期借入金につき、グループファイナンスへの切り替えを行ったことで短期借入金の返済による支出が発生していたことが主要因となっております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。
a.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入のほか、外注費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、無形固定資産投資、設備投資、M&A投資等によるものであります。
当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金及び投資を目的とした資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当社は、2021年5月10日開催の取締役会において、当社連結子会社である株式会社プロトメディカルケア(以下「プロトメディカルケア」)の全株式を譲渡することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は、
なお、当該研究開発費は、主に、「自動車関連情報」セグメントにおいて、株式会社プロトリオスの新製品の開発、「その他」セグメントにおいて、株式会社プロトソリューションのスマートフォンアプリ等の開発により発生したものであります。