文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は「挑戦を未来の力に変え 夢と感動 楽しい!で社会に貢献する」という経営理念のもと、企業経営を進めております。当社のかけがえのない資産・強みである膨大なデータと、その使い手としての希少なノウハウを駆使し、関わる全てのステークホルダーを「夢」と「感動」と「楽しい」でつなぎ、未来を変える期待感にあふれる存在となり、そして、先進的かつ独創的、何より人間的であることに価値を置き、新たなAI時代をリードする、社会から真に必要とされる「未来社会のパートナー企業」でありたいと考えております。
また、企業目標を「チェンジング・カンパニー~未来に向けて変化し続ける会社~」とし、かつてないほどの速度で社会が変化していく時代において、当社自身が「未来に向けて変化し続ける会社」、「社会の変化を駆動するイノベーションの導き手」となることで、新たな社会を創出し、その結果、「お客様の満足(有益な情報とサービス)」と「社員の誇り(会社と仕事)」、そして「株主からの信頼(将来と実績)」を得られる存在となるよう努めてまいります。
(2) 経営戦略等(中期経営計画)
当社グループでは、多様化するユーザーニーズや今後の市場環境を踏まえ、「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」を策定しております。当該中期経営計画に基づき、プラットフォームセグメントにおいては、当社が保有する各種マスター、データとAI技術を駆使することで、モビリティ領域のDXに寄与する新商品・サービスの開発・提供を推進してまいります。さらに、中古車、整備、新車の各領域におけるシェアの更なる拡大を通じて、モビリティ領域のプラットフォームを構築するとともに、同プラットフォームを軸とするデータサービスの展開を進めてまいります。また、コマースセグメントにおいては、売上、営業利益ともに成長をしておりますが、さらなる収益性の改善を進めてまいります。
具体的な成長戦略として、次の重点課題を掲げ、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
なお、上記の重点課題の詳細につきましては、「(4) 経営環境ならびに事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」に記載のとおりであります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、持続的な企業価値向上を目指すにあたり、事業規模拡大に向けた売上高・営業利益の成長性とともに、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標としております。中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、最終年度において、ROE12.0%以上を掲げております。
ROE12.0%以上の実現に向けては、コマースセグメントにおいて在庫の適正化を図るとともに、プラットフォームセグメントにおいても、DX商品の開発、提供を通じて収益性の改善を図ってまいります。
(4) 経営環境ならびに事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題
自動車を取り巻く環境は、近年カーユーザーのニーズやライフスタイルの多様化、MaaS、カーシェアリング、自動運転技術及びEV化の進展、中古車販売店、整備工場、新車ディーラー、カー用品店等の事業領域間における相互参入、情報技術の進化に伴う大手IT企業による自動車関連産業への参入など、外部環境が大きく変化しております。また、新型コロナウイルスの感染拡大は経済や人々の生活、価値観に大きな影響を与え、自動車のサプライチェーンにおいても多大な影響がありました。
当社グループはこのような変化に対応するため、「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」において次の重点課題を掲げております。
① モビリティ領域のデータプラットフォーム構築
当社は、ユーザーデータをグーネットをはじめとした自社メディアを通じて収集するとともに、中古車・整備・新車の各領域に関する情報を自社サービスを通じて収集しております。これらの貴重なデータを領域を横断したデータプラットフォームとして統合し、データを軸にかつてない新しい価値、機能の創造を進めることでビジネスの相乗効果を高めてまいります。
② データとAI技術を駆使した新商品・サービスの開発
当社は、2024年10月のOBD(車載式故障診断装置)検査導入に先んじて、2022年10月に「グー故障診断」の提供を開始いたしました。自動車整備の高度化とデジタル化が加速する中で、グー故障診断を通じて故障診断データを収集し、蓄積してまいります。また、整備業界の顧客管理を支援するためのSaaSシステムである「MOTOR GATE PIT IN」を提供することで、整備工場の業務効率化支援を行っております。当社が保有する様々なデータと当社のAI技術を組み合わせた新機能・新サービスを提供し、モビリティ領域のDXに貢献してまいります。
③ 中古車領域、整備領域、新車領域のシェア向上
当社は、業界No.1のサービスプラットフォームの構築を目指し、中古車・整備・新車の各事業領域におけるシェアの拡大ならびに顧客当たりの取引単価の維持・拡大に努めてまいりました。引き続き、各領域においてDXを推進し、シェアのさらなる向上を図ってまいります。
④ M&Aを活用した事業領域の拡大
当社は、自社メディア及び自社サービスを通じて収集したデータを当社の既存事業で積極的に活用していくとともに、当社グループにおけるシナジー強化、他社とのデータ連携に加え、M&Aを活用し、既存事業のさらなる強化を図るとともに、当社が保有する事業資産を活用することが可能な新規事業領域等への進出による事業成長を図ってまいります。
また、当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。なお、運転資金及び投資を目的とした資金調達につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。また、大規模な設備投資が必要となった場合には、資本市場との対話を通じて、最適な資金調達方法を検討いたします。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針について
当社は、買収防衛策を導入しておりません。
当社の「財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は以下のとおりであります。当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、モビリティ関連情報をはじめとする当社グループの事業の全体に係る幅広い知識と豊富な経験を有し、また当社を支える顧客・従業員・株主・投資家・取引先・行政・地域社会などの様々なステークホルダーとの信頼関係を十分に理解した上で、企業価値及び株主共同の利益を中長期的に最大化できる者が望ましいと考えております。上場会社である当社の株主は、当社株式の自由な取引を通じて決定されるものである以上、特定の買付者等による買付等に応じるか否かについても、最終的には株主の判断に委ねられるべきものと考えております。
当社グループは、気候変動問題への対応を重要な経営課題の一つとして掲げ、事業運営における影響や対応を明確にするとともに、TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」、「リスク管理」、「戦略」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進してまいります。
また、人的資本、多様性に関しても同様に重要な経営課題の一つとして掲げ、事業運営における戦略や対応を明確にするとともに、「戦略」、「指標と目標」について、積極的に情報開示を推進してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
[気候変動に関するガバナンス(気候変動マネジメント体制)]
気候変動に関わる基本方針や対応事項等については、代表取締役社長を委員長とする内部統制委員会において検討・審議をしております。内部統制委員会は毎月開催され、内部統制の状況に留まらず、気候変動・気候関連の各種リスク・機会を分析・評価し、短期、中/長期の対応策を検証し、強化する体制を整えております。
加えて、内部統制委員会の下部に気候変動リスク・機会の洗い出しや評価などの業務を遂行するための分科会を設置しております。気候変動に係る分科会についても、毎月開催される内部統制委員会に合わせて、検討・報告を行っております。また、当社の取締役会は、当社の経営理念に則って長期ビジョンを策定するにあたり、気候変動に関し、実効性のある経営資源の配分や事業ポートフォリオが設計されているか、また、その推進状況につき監督、議論、助言を行っております。
自然災害等への危機管理体制については、有事の際、代表取締役社長を対策本部長とするリスク管理対策本部を設置する運用となっており、同対策本部は、社内部署による情報連絡チーム及び必要に応じて顧問弁護士等を含む外部アドバイザリーチームで構成され、迅速な対応にて損害の拡大を防止し、これを最小限に止める体制を整えることとしております。
[人材の育成及び社内環境整備に関するガバナンス(人的資本、多様性に関わるマネジメント体制)]
人的資本、多様性に関わる基本方針や対応事項等については、管理部門が中心となり分科会を開催し、個と組織の活性化を目的とし、人材ポートフォリオの把握、学びの場の提供、役員・社員エンゲージメントの向上のための施策を検討・策定しております。人的資本への投資について、当社の取締役会は、当社の企業目標、経営理念、求められる社員像に則っているかの評価を行い、長期ビジョンを策定するにあたり、実効性のある経営資源の配分や事業ポートフォリオが設計されているか、また、その推進状況につき監督、議論、助言を行っております。当社は、企業価値創造の源泉となる人的資本への投資について、積極的に経営資源を配分してまいります。
[サステナビリティ全般に関する方針、戦略]
当社は、企業が継続的に活動していく過程において、人権を尊重するとともに、人と社会、地球の持続可能性に貢献する事業を推進していくことは重要な事項と考えております。社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応が中長期的な企業価値の向上に重要な要素であることを認識し、あらゆる企業活動の基盤となる企業行動憲章にサステナビリティに関する規定をするとともに、当該企業行動憲章における規定に基づき、「サステナビリティ基本方針」を定め、公表をしております。また、当該方針に則ったサステナビリティ・ESGをめぐる課題へ継続して取り組み、その内容について当社ホームページ及び英語版ホームページにおいて開示しております。当社は、企業行動憲章に基づき、顧客・従業員・株主・投資家・取引先・行政・地域社会などのステークホルダーと良好かつ円滑な関係の維持に努め、持続可能な社会の構築に積極的に取り組んでまいります。
[人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略]
当社は、役員・社員のノウハウは中長期的な企業価値の向上に重要な要素であると考えております。役員・社員を人財と捉えて社内研修等の成長機会の充実を図っているほか、全ての社員が仕事と生活の調和を図り、その能力を発揮できるようにするために働きやすい雇用環境の整備に努めております。
■雇用環境の整備
① 子育てを行う従業員のワークライフバランスの整備
・ 妊娠中や出産後の女性従業員の健康の確保について、従業員に対する制度の周知や情報提供及び相談体制の
整備の実施
・ 子どもが生まれる際の父親の休暇取得の推進
・ 育児休業取得の推進と職場復帰しやすい環境の整備
・ 子どもを育てる従業員が利用できる制度の整備
・ 育児・介護休業法に基づく育児休業や時間外労働・深夜業の制限、雇用保険法に基づく育児休業給付、労働基
準法に基づく産前産後休業など諸制度の周知
直近では家族手当の増額、育児時短勤務の延長(小学3年生まで)、時差出勤制度の整備など、制度の充実を
図っております。
② 働き方の見直しと多様な労働条件の整備
・ 所定外労働の削減のための措置の実施
・ 年次有給休暇の取得の促進のための措置の実施
・ 在宅勤務やテレワーク等の場所にとらわれない働き方の導入
これらを支援すべく、実態に応じたテレワーク勤務制度、赴任手当の増額、またより自分らしく働けるための
服装自由化等も行っております。
■次世代育成支援対策
ハローワーク(公共職業安定所)が紹介する対象労働者を短期間試行的に雇うトライアル雇用の継続・推進を通じて、労働者の職業訓練を推進しております。
■成長機会の充実
当社では、役員・社員の成長機会の充実を図ることを目的に、社内研修等を実施しております。また、サクセッションプランを支える人材プールとして機能させるための人材育成体系を導入しております。当該育成プログラムは、当社の未来を創る次世代経営層を輩出する仕組みとして位置付け、対象者を社内から選抜し、当社の経営理念に則った次世代経営層の育成を目指しております。
[気候変動に関するリスク管理]
当社グループでは、当社グループの事業に影響を及ぼす気候変動のリスクおよび機会を認識し、シナリオ分析を実施しております。異なる気象及び経済環境下においても、持続可能な事業活動を行うことを目指し、1.5℃以下シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が1.5℃以下)及び4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が4℃以上)の両観点から考察しております。
その結果、1.5℃以下シナリオでは、政策・法規制の動向や、顧客の嗜好の変化等が、当社グループの事業へ大きな影響を及ぼし、4℃シナリオでは災害の激甚化による営業拠点やサプライチェーン等への被害による影響が大きいことがわかりました。気候変動による事業への影響は、世界的な脱炭素化への動きや、ユーザーの嗜好の変化等により変化してまいりますので、今後もこうした社会的動向を考慮しながら、当社グループの事業戦略に反映してまいります。
[認識した気候変動リスク・機会]
影響の発生時期は以下の想定をしております。
短期:~ 2025年、中期:2026 ~ 2030年、長期2031 ~ 2050年
[気候変動に関する方針に関する指標を用いた実績]
当社グループの2022年3月期及び2023年3月期の温室効果ガス排出量総量は以下のとおりであります。今後、中長期的な視点で温室効果ガスの削減に貢献できる目標設定に向けて取り組んでまいります。
(注) 当社は、2023年3月期に新たに5社を連結子会社としており、2023年3月期の温室効果ガス排出量総量には、当該5社の温室効果ガス排出量が含まれております。
[人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標]
当社は、女性の活躍を経営課題の一つとしており、社内の意識改革を含め、職場環境づくりに取り組んでおります。具体的な取り組みとして、取締役に女性を選任すること(2023年6月現在で4名)、社内イントラネットにおける女性労働者の健康確保に関する相談窓口の設置、育児休業・産前産後休業の取得、子供が生まれる際の父親の休暇取得等を推進しております。
■多様性の確保について
当社は、国籍や性別、年齢、障がいの有無などにかかわらず、全社員が主体的・能動的・自律的に、楽しく活き活きと働くことができる企業風土の実現を目指しております。そのために人材の多様性から得られる活力は重要な人的資本であると認識しており、女性や外国人、障がい者等の多様性のある採用を積極的に実施するとともに、その人材配置・育成・教育・登用等においても積極的に取り組んでいく予定となっております。
当社ホームページ(https://www.proto-g.co.jp/proto/general-html/)において、女性の採用割合、女性の平均勤続年数比率、また子育てを行う労働者等の職業生活との両立を支援するための雇用環境の整備等についてその計画と定量目標を掲げております。
定量的目標
① 女性の採用割合を50%以上とする
取組実績
女性の採用拡大
2021年4月1日~ 女子学生に向けた積極的な広報の展開
2023年4月1日~ 女性の採用拡大に向けたインターンシップの実施
2025年4月1日~ 女性専用採用窓口の設置
定量的目標
② 男性の平均勤続年数に対する女性の平均勤続年数比率55%以上を目指す
取組実績
男女の平均勤続年数の差異を埋める
2021年4月1日~ 男女の役割分担意識に基づく慣行の見直しなど職場風土の改善
2023年4月1日~ 拠点をまたいだネットワーク作り支援の一環として、女性の交流機会の創出
2025年4月1日~ 社内報にて、育児休業制度や短時間勤務制度などを定期的に周知
■女性、外国人の管理職への登用
当社は国籍、性別等にかかわらずその能力・成果に応じた人事評価、管理職登用を行うことを基本方針としており、2023年3月31日現在、女性社員は50名、外国人社員は2名であります。社員数に占める割合がまだ少ないことから、測定可能な管理職への登用目標を示すことは困難ではありますが、まずはそれぞれ採用実績を向上することで管理職登用の向上に取り組むこととし、今後は実績値の開示についても検討してまいります。
女性の活躍推進の観点では、子育てを行う労働者等の職業生活との両立を支援するための雇用環境の整備を積極的に行い女性のキャリア育成の選択肢が増えるよう取り組んでまいります。
■中途採用者の管理職への登用
当社は、中途入社者の管理職への登用面では多様性を確保しており、2023年3月31日現在、その登用率は81.6%です。また社員数における中途採用者の割合は81.5%であることから、採用種別における管理職登用率は偏りなく適切な範囲であると捉えております。
■社員の健康・労働環境への配慮
社員の健康・労働環境への配慮については、毎年実施する健康診断の結果を踏まえ、必要に応じて再検査の受診を勧奨しており、社員の健康管理にも十分留意しております。また、労働環境の整備により生産性の向上を図り、社員の時間外労働時間の削減を推し進めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは次のとおりであります。これらのリスクについては、リスク要因になる可能性があると考えられる事項を記載しておりますが、すべてのリスクを網羅したものではなく、有価証券報告書提出日現在では想定していないリスクや重要性が低いと考えられるリスクも、今後、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループといたしましては、以下の記載事項が必ずしも事業上のリスクとは考えておりませんが、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動についてご理解を頂く上で重要と考えられる事項につきましては、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループにつきましては、当社及び連結子会社18社及び持分法適用関連会社1社により構成されておりますが、2023年3月期における自動車関連情報の連結営業利益は、グループ営業利益全体の90%超を占めており、現状においては、当社グループの収益は自動車関連情報に大きく依存していることとなります。このため、新規領域もターゲットとして見据え、M&A等を活用することで自動車関連情報に依存しない事業展開を推し進めてまいりますが、自動車関連業界における市場環境の変化や他社との競争激化等により、自動車関連情報の業績が大幅に変動した場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
① コンテンツに対する法的規制について
インターネット上のコンテンツにつきましては、プライバシーの保護、公序良俗ならびに知的財産権を犯すコンテンツ等、様々なコンテンツが登場してきております。当社グループにおきましては、これらインターネット上のコンテンツに関する問題はこれまで発生しておりませんが、万一、現在の法的規制に違反した場合、又は今後何らかの法的規制が加えられた場合には、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 中古車の売買に対する法的規制について
当社グループでは、株式会社グーネットエクスチェンジにおいて中古車輸出事業を行っており、中古車の売買に係る古物商許可を受けております。当該古物商許可につきましては、偽りその他不正の手段により許可を受けていた場合等、古物営業法第6条に定められた事由のいずれかに該当する場合には、許可が取り消しとなります。当社グループでは、こうした許可の取り消し事由はこれまで発生しておらず、今後におきましても、法令違反等により許可が取り消しとなることのないよう努めてまいりますが、万一、許可が取り消しとなった場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材紹介・人材派遣事業に対する法的規制について
当社グループでは、主に株式会社沖縄コールスタッフサービス及び株式会社アソシエにおいて人材紹介及び人材派遣事業を行っており、有料職業紹介事業許可及び労働者派遣事業許可を受けております。有料職業紹介事業許可につきましては、有料職業紹介事業者が許可の欠格事由に該当する等、職業安定法第32条の9に定められた事由のいずれかに該当する場合には、事業停止又は許可が取り消しとなります。また、労働者派遣事業許可につきましても、派遣元事業主が許可の欠格事由に該当する等、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第14条に定められた事由のいずれかに該当する場合には、事業停止又は許可が取り消しとなります。当社グループでは、こうした事業の停止又は許可の取り消し事由はこれまで発生しておらず、今後におきましても、法令違反等により事業の停止又は許可の取り消しとなることのないよう努めてまいりますが、万一、事業の停止又は許可が取り消しとなった場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各種サービスを行うためにインターネットを利用したコンピュータシステムを構築し、適宜新しいシステム、セキュリティ関連技術を取り入れながら、継続的な設備投資ならびに保守管理を行っております。
しかしながら、ハードウエア又はソフトウエアの不具合、アクセスの急激な増加、人的ミス、ネットワーク回線のトラブル、コンピュータウイルス、停電、自然災害、その他の予測困難な要因によって当社グループのシステムに被害又は途絶が生じた場合、当社グループ全体の業績に影響を与える可能性があります。
昨今、多くの企業による個人情報の流出が社会的な問題となっておりますが、当社グループにおきましては、2005年4月より施行された「個人情報保護法」の趣旨に沿った対応を図るよう、代表取締役社長による個人情報保護方針のもと、「個人情報保護規程」を制定し、個人情報の適切な保護に努めております。
しかしながら、当社保有の個人情報の外部流出、不正使用等が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜等によって、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各種メディアを通じて情報サービスの提供を行っておりますので、社会に与える影響につきましては、他のマスコミと同様であると考えております。従いまして、当社グループが提供する情報コンテンツに万一誤った記載があった場合、特定個人及び法人に対し、有形・無形の損害を与え、損害賠償訴訟等が発生する場合も想定されます。当社グループといたしましては、複数のチェック機能を設け、厳重に情報コンテンツの管理を施すよう対処しておりますが、万一の場合、社会的信用の失墜ならびに当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、株式会社グーネットエクスチェンジにおいて中古車輸出事業を行っており、当社の主要顧客である中古車販売店又はオークション会場より、それぞれ仕入れた中古車を主にアジア諸国へ輸出しております。中古車輸出事業におきましては、輸出対象国の政府による関税政策の変更ならびに輸入規制の変更等や海上輸送中の船舶・港湾施設の事故等予測困難な要因による損失が発生した場合には、当社グループ全体の業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、事業領域の拡大ならびに商品・サービスの拡充を目的として、M&Aを活用する方針であります。M&A実施前には、対象企業の財務内容や契約関係等に関するデューデリジェンスにて把握したリスクの回避策ならびに投資回収可能性等を充分検討することにより、リスクの低減を図っております。しかしながら、M&A実施後の事業環境・競合状況の急変、偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題の発生等により、当初期待していた投資効果が得られない場合、のれん等の固定資産の減損損失が発生する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業領域の拡大ならびに商品・サービスの拡充を図るため積極的なM&Aを推進するとともに、新規子会社の設立を行っております。当該子会社におきましては、グループシナジーの追求及び経営効率化の推進による収益性の向上を図り、早期に事業化を進める方針であります。しかしながら、その進捗に遅れが生じた場合には、子会社において営業損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
インターネット関連分野においては、業界内での技術革新の進捗が著しく、当社グループとしても、こうした技術革新に応じたシステム拡充及び事業戦略の修正等を迅速に行う必要があるものと考えております。今後、こうした技術革新への対応が遅れた場合、当社グループの提供するサービス及び設備等の陳腐化により、競合他社に対する競争力の低下を招き、その結果、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいて、今後、事業を更に拡大し、持続的な成長を図っていくためには、優秀な人材の確保及び育成が重要であると考えております。しかしながら、当社グループの求める人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材の流出が進んだ場合には、競争力の低下や事業の拡大の制約要因が生じる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、海外事業の展開を中長期的な成長の機会として位置づけております。しかしながら、各国の経済情勢及び政治情勢の悪化、法律・規則、税制、外資規制等の差異及び変更、商慣習や文化の相違等の要因により、特定の国での事業の遂行及び推進が困難になる場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や新型コロナウイルス等の感染拡大による事業活動への影響を最小限に抑えるため、自然災害対策マニュアル等の策定をしております。しかしながら、想定を上回る規模の自然災害や感染症拡大が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、コスミック流通産業株式会社及びコスミックGCシステム株式会社において商品券・ギフト券等の販売業を行っており、金券の売買に係る古物商許可を受けております。当該古物商許可につきましては、偽りその他不正の手段により許可を受けていた場合等、古物営業法第6条に定められた事由のいずれかに該当する場合には、許可が取り消しとなります。当社グループでは、こうした許可の取り消し事由はこれまで発生しておらず、今後におきましても、法令違反等により許可が取り消しとなることのないよう努めてまいりますが、万一、許可が取り消しとなった場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中、経済活動や個人消費活動による緩やかな持ち直しの動きが続く一方、ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰、世界的な物価上昇及び円安方向への為替変動を契機とする40年ぶりの物価上昇を記録し、依然として世界経済の不確実性による先行きが不透明な経済環境が続いております。
こうした経済環境の中、当社グループの主要顧客である自動車販売業界におきましては、半導体をはじめとした部品の供給不足が徐々に緩和されてきており、新車販売台数は前年実績を若干上回る水準で推移いたしました。また、中古車登録台数についても、新車納期の長期化の代替需要がある一方、新車販売台数の減少による影響を受け供給不足が生じ、前年を下回る水準で推移いたしました。
このような状況の中、当社グループにおきましては、多様化するユーザーニーズや今後の市場環境を踏まえて策定した「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」に基づき、当社が保有するマスター、AI技術及びデータを掛け合わせることで、モビリティ領域のDXに寄与する新商品・サービスの提供に取り組んでまいりました。
以上のことから、当連結会計年度の売上高は、105,317百万円(前期比84.0%増)となりました。増収となった主な要因は、コスミック流通産業株式会社及びコスミックGCシステム株式会社を子会社化したことに伴う事業領域の拡大によるものであります。営業利益は、上記の増収及び「MOTOR GATE」を中心としたサービスプラットフォームに関連するDX商品の提供が堅調に推移したことによる影響などにより、7,114百万円(前期比12.3%増)となり、経常利益は、為替相場の変動により、為替リスクを回避するために行っていた通貨オプション取引に含み損が発生したことによるデリバティブ評価損を計上したことが影響し、6,683百万円(前期比2.4%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度において株式会社プロトメディカルケア(現 株式会社ハートメディカルケア)の株式譲渡に伴う関係会社株式売却益の計上があったことが影響し、4,189百万円(前期比28.1%減)となりました。また、ROEは10.1%(当社中期経営計画の目標値12.0%)となりました。
事業のセグメント別の経営成績につきましては、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、事業セグメントの区分方法及び名称を変更しております。前連結会計年度の数値につきましては、変更後のセグメント区分に組み替えた後の数値となっております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(プラットフォーム)
モビリティ業界No.1のサービスプラットフォームの構築を目指し、各事業領域におけるシェアの拡大ならびに顧客当たりの取引単価の維持・拡大に努めるとともに、モビリティ領域のDXに寄与するサービスの強化に取り組んでまいりました。
中古車領域においては「グーネット」のコンテンツ量最大化、「グーネット」のバックグラウンドシステムである「MOTOR GATE」の提供及び機能向上を通じた取引拠点数の拡大ならびに中古車販売店の経営支援に取り組んでまいりました。整備領域においては「グーネットピット」におけるコンテンツの拡充に加え、入庫管理システム「MOTOR GATE PIT IN」の提供、新車領域においては引き続き「DataLine SalesGuide」の拡販に取り組んでまいりました。
以上の結果、売上高は30,053百万円(前期比5.3%増)となりました。増収となった主な要因は「MOTOR GATE」を中心とするプラットフォーム事業におけるDX商品の提供が堅調に推移したことによるものであります。営業利益につきましては、上記のプラットフォーム事業の伸長により8,387百万円(前期比8.8%増)となりました。
(コマース)
タイヤ・ホイール等の販売は、引き続き、主要取扱ブランドの販売強化に取り組むとともに、当社の「グーネット」、「グーネットピット」、「MOTOR GATEショッピング」等とのシナジーを追求することで販売機会の拡大に努めてまいりました。中古車輸出事業においては、国内外の中古車輸出業者とのアライアンスを強化するなど、ビジネスモデルの拡充に向けた取り組みを進めてまいりました。また、コスミック流通産業株式会社及びコスミックGCシステム株式会社の子会社化に伴い、商品券やギフト券等のチケット販売事業に新規進出しております。以上の結果、売上高は68,548百万円(前期比179.9%増)、営業利益は417百万円(前期比525.7%増)となりました。
(その他)
当連結会計年度に沖縄バスケットボール株式会社の株式を取得し、同社及び同社の子会社である沖縄アリーナ株式会社及び沖縄スポーツアカデミー株式会社を連結の範囲に含めております。
一方で前連結会計年度において株式会社プロトメディカルケア(現 株式会社ハートメディカルケア)の株式譲渡を行ったことなどにより、売上高は6,715百万円(前期比59.7%増)、営業利益は335百万円(前期比30.2%減)となりました。
当連結会計年度末の総資産は60,286百万円となり、前連結会計年度末と比較して、5,915百万円の増加となりました。資産、負債及び純資産の状況につきましては、次のとおりであります。
ⅰ資産
流動資産につきましては、コスミック流通産業株式会社及びコスミックGCシステム株式会社の株式取得対価の支払いならびに沖縄バスケットボール株式会社の株式取得対価の支払いに伴う現金及び預金の減少があった一方、コスミック流通産業株式会社及びコスミックGCシステム株式会社の子会社化に伴う棚卸資産の増加などから、39,489百万円となり、前連結会計年度末と比較して、1,884百万円の増加となりました。固定資産につきましては、コスミック流通産業株式会社及び沖縄バスケットボール株式会社の株式取得に係るのれんを計上したことなどから、20,797百万円となり、前連結会計年度末と比較して、4,030百万円の増加となりました。
ⅱ負債
流動負債につきましては、コスミック流通産業株式会社及びコスミックGCシステム株式会社の子会社化に伴い、短期借入金が増加したことなどから15,771百万円となり、前連結会計年度末と比較して、2,626百万円の増加となりました。固定負債につきましては、コスミック流通産業株式会社及びコスミックGCシステム株式会社の子会社化に伴い、長期借入金が増加したことなどから1,499百万円となり、前連結会計年度末と比較して、406百万円の増加となりました。
ⅲ純資産
剰余金の配当が、1,406百万円発生した一方、親会社株主に帰属する当期純利益4,189百万円の計上などにより、純資産は43,015百万円となり、前連結会計年度末と比較して、2,882百万円の増加となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物につきましては、前連結会計年度末と比較して2,444百万円減少し、23,494百万円となりました。現金及び現金同等物が減少した主な要因につきましては、次のとおりであります。
ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額又は還付額が3,070百万円となったものの、税金等調整前当期純利益6,528百万円の計上などにより、4,200百万円の収入となりました。
ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形・無形固定資産の取得による支出が2,476百万円、子会社株式の取得による支出が1,262百万円発生したことなどにより、4,508百万円の支出となりました。
ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が234百万円、配当金の支払が1,406百万円発生したことなどから、2,128百万円の支出となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 生産実績については、プラットフォーム、その他における外注費を表示しております。コマースについては、生産実績がありませんので、記載しておりません。
3 前連結会計年度において、その他セグメントの生産実績に著しい変動がありました。これは、株式会社オニオンを連結の範囲に含めたことによるものであります。
受注後売上計上までの期間が概ね1ヶ月以内であるため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 プラットフォームのメディアについては、主にウェブサイト及び情報誌への広告掲載料であります。また、サービスについては、主に法人向けシステム利用料及びデータ提供料であります。コマースの物品販売については、主にタイヤ・ホイール等の販売、中古車輸出に係る売上が含まれております。また、チケット販売については、各種金券類及びギフト券の販売に係る売上が含まれております。
3 当連結会計年度において、コマースの販売実績に著しい変動がありました。これは、コスミック流通産業株式会社及びコスミックGCシステム株式会社を連結の範囲に含めたことにより、チケット販売の実績が新たに発生したことによるものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、新型コロナウイルスの感染拡大が当連結会計年度の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローに与えた影響は一時的かつ部分的なものであると認識しております。しかしながら、今後も新たな変異株の流行など、これまでとは感染状況が異なり、深刻化した場合等には影響が大きくなる可能性もあるため、影響内容に応じて対応策を立案、実行してまいります。詳細につきましては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り、判断及び仮定を必要とします。経営者は、これらの見積り、判断及び仮定について、過去の実績等を勘案し合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。また、新型コロナウイルスの感染拡大が、今後再び深刻化し、長期に渡って国内及び国外の経済情勢に影響を与えた場合、これらの見積り、判断及び仮定と、実際の結果との乖離が大きくなることも想定されます。具体的には、貸倒実績率に基づき見積もられた一般債権に係る貸倒引当金などは、当該影響により実際との乖離が大きく発生する可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績
当連結会計年度におきましては、売上高105,317百万円(前期比84.0%増)、営業利益7,114百万円(前期比12.3%増)、経常利益は、6,683百万円(前期比2.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,189百万円(前期比28.1%減)という結果となりました。当連結会計年度よりコスミック流通産業株式会社及びコスミックGCシステム株式会社を連結子会社化したことに伴う事業領域の拡大により、連結売上高は増収となりました。営業利益は、上記の増収及び「MOTOR GATE」を中心としたサービスプラットフォームに関連するDX商品の提供が堅調に推移したことによる影響などにより、増益となりました。経常利益については、為替相場の変動により、為替リスクを回避するために行っていた通貨オプション取引に含み損が発生したことによるデリバティブ評価損を計上したことが影響した結果、減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度において株式会社プロトメディカルケア(現 株式会社ハートメディカルケア)の株式譲渡に伴う関係会社株式売却益の計上があったことが影響し、減益となりました。引き続き事業ポートフォリオの見直し、及び主要分野への選択と集中を推進する一方で、既存のリソースを活用した新規分野における事業創出も中長期的な成長戦略の一つとして進めてまいります。
当社グループが経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標の一つとしているROEにつきましては10.1%となり、当社の中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)上の最終目標値12.0%を下回っております。ROEが目標値の12%を下回った要因は、売上高純利益率が低下したことによるものです。ROE12%の実現に向けては、コマースセグメントにおいて在庫の適正化及び収益性の改善を図るとともに、プラットフォームセグメントにおいても、DXプロダクトの開発、提供を通じて収益性の改善を図ってまいります。
当社グループの事業セグメントのうち、当連結会計年度の営業利益の90%超を占めており、最も重要な事業セグメントであるプラットフォームセグメントの詳細な状況につきましては、以下のとおりであります。
業界No.1のサービスプラットフォームの構築を目指し、各事業領域におけるシェアの拡大並びに顧客当たりの取引単価の維持・拡大に努めるとともに、カーライフにおけるユーザーニーズを網羅したサービスの強化に取り組んでまいりました。当連結会計年度におきましては、引き続き、多様化するユーザーニーズに応えるべく、DXプロダクトの開発・提供を進めた結果、売上高30,053百万円(前期比5.3%増)、営業利益8,387百万円(前期比8.8%増)となりました。
売上伸長の最も大きな要因となったのは、重点課題として進めてきたDXプロダクトの拡充効果もあり、「AIレコメンドスペース」「MOTOR GATE PIT IN」を中心としDXに寄与するサービスの提供が拡大し、月額単価が向上したことであります。当社グループの主要顧客である自動車販売業界、自動車整備業界においても、DXによる営業効率の改善、ユーザー利便性の向上の重要性が、コロナ禍の影響もありさらに高まっております。引き続き時代の変化を牽引する商品の開発・提供を進めることで、存在感を発揮し、社会に貢献するよう努めてまいります。
なお、各事業領域別の状況は次のとおりであります。
ⅰ 中古車領域
「グーネット」のコンテンツ量最大化、「グーネット」のバックグラウンドシステムである「MOTOR GATE」の提供及び機能向上を通じたユーザーの利便性向上ならびに中古車販売店の経営支援に取り組んでまいりました。中古車オークション相場の乱高下の事業への影響は僅かであり、中古車領域のMOTOR GATE取引店舗数は堅調に推移しております。また、「AIレコメンドスペース」を始めとする中古車販売店向けのDXプロダクトの拡充により利用価値が向上したこともあり、月額単価も前連結会計年度末と比べ増加いたしました。
一方でグーネットのユニークユーザー数についても、ユーザー利便性の向上により堅調に推移しております。
中古車は1台1台状態が異なるため、高品質のDXプロダクトを提供するためには過去から蓄積したデータ量が非常に重要です。業界におけるDXのニーズは依然として高く、当社が創業より培った膨大なビッグデータは大きな強みとなることから、引き続きデータ×AIによるプロダクトの開発、推進を進めることで、シェアの更なる拡大、グーネット利用ユーザーの増加を目指してまいります。
ⅱ 整備領域
「グーネットピット」におけるコンテンツの拡充に加え、自動車整備工場のDXに寄与するサービスの提供を通じて有料掲載工場数の拡大に取り組んでまいりました。その結果、取引工場数は堅調に増加し、月額単価も前連結会計年度末に比べて増加いたしました。
当連結会計年度末時点の業界シェアは6.3%であり、依然として成長余地の大きな領域となっております。整備領域においてもDXプロダクトの推進はシェア拡大のための大きなテーマと位置付けており、当連結会計年度においても入庫管理システムとして「MOTOR GATE PIT IN」の提供を拡大するなど、DXプロダクトの提供を行ってまいりました。顧客となる自動車整備工場の多くがDXに対応できておらず、顧客管理の業務量が増加しており、ユーザーニーズの面でも、コロナ禍を経てより一層デジタルサービスの需要は高まっております。また、2024年10月のOBD(車載式故障診断装置)検査の導入に先んじて、「グー故障診断」の提供を開始いたしました。自動車整備の高度化とデジタル化が加速する中で、自動車整備工場の経営支援を続けてまいります。新たに策定した「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」においては、2025年3月末において取引工場数8,000工場を目標としており、これを実現するために、引き続きDXの推進を行ってまいります。
引き続き「DataLine SalesGuide」の拡販に取り組んでまいりました。新車領域を取り巻く環境は半導体不足による新車の供給不足があり厳しいものでしたが、「DataLine SalesGuide」の導入拠点数を堅持し、月額単価は、「DataLine AI査定」等DXプロダクトの導入数増加が寄与し、前連結会計年度末に比べて増加いたしました。
新車領域は供給不足は回復の兆しを見せるもののサプライチェーンの正常化にはまだ時間がかかるものと懸念をしております。ただし、販売・整備拠点としての新車ディーラーの重要性は変わらないと考えられ、更なるシェア拡大、顧客単価のアップを実現するために、引き続きDXプロダクトの拡充を行い、そのための経営資源投入を進めてまいります。新たに策定した「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」においては、2025年3月末において取引工場数8,000拠点を目標としており、これを実現するために、引き続きDXの推進を行ってまいります。
なお、コマースセグメント、その他セグメントの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は60,286百万円となり、前連結会計年度末と比較して、5,915百万円の増加となりました。主な増加資産は棚卸資産が3,461百万円、のれんが1,818百万円の増加となっております。のれんの増加は、主に当連結会計年度において連結対象となったコスミック流通産業株式会社及び沖縄バスケットボール株式会社によるものであります。当会社は、商品券やギフト券等の販売専門ショップを手掛けており、長年培ってきた流通業としてのノウハウと、当社が有するオンラインメディアやDXノウハウとの融合を図ることにより、より多くの消費者との接点が確保できるようになりました。
資産効率性につきましては、売上高の増加により総資産回転率が改善されましたが、利益率の低下によりROEは低下しております。収益性の改善を図ることにより、ROEの改善を目指してまいります。
(負債)
当連結会計年度末の総負債は17,271百万円となり、前連結会計年度末と比較して、3,032百万円の増加となりました。固定負債は長期借入金の増加を主要因に、前連結会計年度末と比較して405百万円の増加となりました。流動負債も短期借入金の増加を主要因に、2,626百万円の増加となりました。また、借入金の増加により、有利子負債は前連結会計年度末と比較して1,189百万円増加し、ネットキャッシュは3,609百万円減少しておりますが、財務健全性は十分確保できており、今後の事業成長に向けた投資余力に問題はないと考えております。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は43,015百万円となり、前連結会計年度末と比較して、2,882百万円の増加となりました。当連結会計年度末の自己資本比率は70.8%、時価ベースの自己資本比率は78.8%となっております。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、23,494百万円となり、前年同期対比で2,444百万円の減少となりました。各キャッシュ・フロー区分における詳細は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、4,200百万円の収入となり、前年同期対比で224百万円の減少となりました。これは商品棚卸高の増加や法人税等の支払額の増加が主な要因であり、当連結会計年度から連結の対象となった子会社に起因している部分も多分にあるものの、営業資金効率の推移にも注意を払いながら事業規模の拡大を図ってまいります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4,508百万円の支出となり、前年同期対比で6,073百万円の減少となりました。これは前年度において、保有していた株式会社プロトメディカルケア(現 株式会社ハートメディカルケア)の株式売却による収入があったことが大きな要因であります。フリーキャッシュ・フローは△307百万円となり、前年同期対比で6,298百万円減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2,128百万円の支出となり、前年同期対比で580百万円の支出増加となりました。短期借入金が減少したことが主要因となっております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。
a.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入のほか、外注費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、無形固定資産投資、設備投資、M&A投資等によるものであります。
当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金及び投資を目的とした資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は、
なお、当該研究開発費は、「プラットフォーム」セグメントにおいて、主に株式会社プロトリオスの新製品の開発により266百万円、「コマース」セグメントにおいて、主に株式会社グーネットエクスチェンジの社内システムの開発により3百万、「その他」セグメントにおいて、主に株式会社プロトソリューションのAI研究等により54百万円発生したことによるものであります。