文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社のコーポレートアイデンティティは「すべての産業界へ革新的なストラクチャードファイナンスの効用を浸透させる」であります。金融環境の変化に応じた先端的・革新的な金融商品や「仕組み」を作り、多様化する顧客のファイナンス・ニーズに対応するとともに、顧客の企業価値、資産価値の最大化を通じて、関係するすべてのステークホルダーの満足を実現して参ります。
金融業界では人材流動化が進む獲得競争が激化する中、当社グループは事業拡大を進める上で、人材不足を最大の課題として、優れた人材の「採用」、「育成」、「維持」のため、大胆かつ強力な施策を進めて参ります。
事業においては、プライベートエクイティ投資やアレンジメントなどを通じて様々な社会課題の解決に貢献したいと考えております。そのために、以下の事業分野においてそれぞれの課題に取り組んでおります。
・事業承継案件をはじめとするプライベートエクイティ投資の強化。
・既存ファンド商品の販売チャネルの拡大と新たな商品の組成。
・預り資産残高の増加によるストック型収益基盤の拡大。
・総合計画・子育て支援・健康増進等の行政計画策定を支援する業務の拡大。
・同一の自治体に複数メニューを提供するトータルソリューション施策の推進。
・ムーミンバレーパークにおけるこども料金(1デーパス)の大幅値下げと、
こども料金適用の中高生への拡大による集客力強化。(2024年11月1日に料金改定実施)
・子供達にやさしい料金値下げを通じた体験機会の平等化。
・ソフトコンテンツを中心とするコンテンツの更新・追加。
当社は、株主価値の最大化のため資本を効率的に活用することを重視し、効率性を計る尺度として、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標として位置づけ、20%超のROEを安定的に達成できるよう、収益力の強化を中心とす施策を推進する方針を2023年11月に公表し、2024年12月にその更新版を公表しました。
当該指標の実現に向けて、収益力の強化を中心に、以下の施策を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社では、コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて「ステークホルダーの期待や要請を踏まえて社会的責任を果たすため、投資銀行事業の領域を中心に、地球環境や社会が抱える様々な課題を解決し、持続可能な成長と社会的問題の解決に貢献する。」というサステナビリティ基本方針を定めています。この方針のもと、当社グループは気候変動問題をはじめとした地球環境の危機や格差問題などの様々な社会的課題に対し、事業への投資やストラクチャー(仕組み)の組成等による金融ソリューションの提供を通じて課題解決を図ることで、持続可能な社会の実現と、当社グループの持続的な成長の両立を目指し、SDGsへの貢献も踏まえ事業を推進しております。
当社では、取締役会がサステナビリティ基本方針を定めるとともに、サステナビリティに関する重要課題を審議・決定するための最高意思決定機関となっています。取締役会は、各部門やリスクマネジメント・コンプライアンス委員会、グループ会社における会議体等で検討し抽出されたサステナビリティのリスク及び機会について審議し、対応方針を決定して、各部門、グループ会社がその具体的な対応方法を検討し、実行します。取締役会は、その進捗状況の報告を受け、実効的な監督を行っております。
取締役会を含む当社のガバナンス及びリスク管理の詳細は、「
当社グループにおける最も重要なサステナビリティ課題は、人的資本の拡大です。優秀な人材の採用、人材の能力やスキルの向上、仕事への向き合い方の改善などを通じてその価値を最大化し、様々な社会的課題の解決に貢献することにより、持続可能な社会の実現と、当社グループの持続的な成長を果たしてまいります。
なお、当社グループは、様々な業種、業態の企業で構成されており海外企業もあります。このため人材戦略等は、全ての連結会社で同様の取り組みを実施しているわけではないことから、以下の「人材戦略及び社内環境整備に関する方針と取組」と「(3)指標及び目標」は、投資銀行事業とエンタテインメント・サービス事業における、主要な会社について記載いたします。
当社グループの中核的な事業である投資銀行事業において顧客のニーズに応えるためには、金融、会計、法律、税務、不動産を中心とした高度な専門知識を持つ人材の知識及び経験を有機的に結びつけることが必要です。当社グループの強みは多様な役職員の知識及び能力を結び付けることにより、商品や仕組みを生み出すノウハウを持つことであり、またそれらによりイノベーションを起こすべく様々なチャレンジができる企業風土であります。今後の持続的成長のためには、専門知識を有した人材の確保及び育成並びにコミュニケーション、エンゲージメントの向上が重要な課題であると認識しております。
当社グループは、国籍・性別等を問わず高度な知識及び技能並びに経験を有する人材の採用を積極的に行っており、報酬水準は金融業界における競争力のある報酬体系を維持すべくモニタリングし見直しております。育児休暇の取得推奨、カフェテリアスペースの充実、DX推進等働きやすい環境の整備を目指しております。また、会社負担による人間ドックの受診を促進する(40歳以上)など、心身ともに健康で仕事に取り組めるようにしております。株式報酬を用いた人材戦略として、当社は従業員並びに子会社の取締役及び従業員向けのストックオプション制度を導入しております。更に、2024年12月19日開催の取締役会において、取締役(監査等委員である取締役を除く。)に対する譲渡制限付株式の付与を決議しましたが、これにあわせて中核人材である当社の執行役員及び従業員並びに当社子会社の取締役に対する譲渡制限付株式の付与を決議しております。これらの株式報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブや離職を防ぐリテンション効果を期待しています。
当社グループの業務に要する専門知識習得のための補助金制度、報奨金制度などを整備し従業員の知識及び技能習得を後押しできる環境づくりを目指しています。当期は、2024年3月に自己啓発支援制度を改定し、推奨する資格並びに検定試験及び自己研鑽の教育費用を拡充しました。
また、各部門の目標に合わせた個人目標を上期・下期にそれぞれ設定する目標管理制度を導入し、各従業員の実績に基づいた人事評価を行いつつ、各職階に求める行動特性を明示し各従業員の能力や適性に基づいた評価を行うことで、個人の自主的な目標設定と、当該目標達成に向けた研鑽を促し当社グループの求める能力や立ち振る舞いを身に付けられるよう取り組んでおります。
当社グループでは、所属している企業を問わず横断的に、営業・管理等の機能に応じた会議を週次もしくは月次で行うことで、グループ全体にもたらされるビジネスチャンスやリスクに対しての対応方針を検討する場を設けています。当該会議により様々な知識及び経験並びにバックグラウンドを持つ人材の見解を吸い上げ検討し、企業としての意思決定を行うとともに、従業員が多角的な視野を身に付けることを促します。そして従業員間のコミュニケーションが図られ、従業員と会社とのつながりと、仕事に対する活力と熱意(エンゲージメント)が醸成されるよう取り組んでおります。
㈱ムーミン物語は、ムーミンバレーパークの人材採用と育成を重要課題とし、研修プログラムの充実などを通じてホスピタリティを追求していくほか、スタッフが働くことを通して自らの成長を実感し、安心して楽しく働き続けることができるよう、人事・労務制度見直し、システム改修などを実施し、組織の生産性を上げています。
このような中で、与えられた役割を性差問わず従業員が最大限に発揮し長期にわたり組織に貢献できる仕組みをつくることを基本方針として、以下の施策を推進しています。
(A) 女性従業員の積極的な採用(積極的な管理職登用)
(B) 定着に向けた仕組みづくり(業務の効率化を図り積極的な休暇の取得)
(C) 従業員のキャリア形成(教育体制の見直し、研修スタイルの確立)
当社及びフィンテックアセットマネジメント㈱は、事業承継案件への投資などにより急速に業績を伸ばし、連結業績を牽引しています。各業務が拡大基調となる中で、質の高い人材の確保が急務であったため2023年9月期に「(2)戦略」に記載の人事評価に基づく報酬制度を見直して、スキルや貢献意欲、収益貢献度などをこれまで以上に報酬に反映できるようにしました。昇格についても能力により早期に次のグレードで活躍できる制度とするなど、人事評価・報酬制度などを優先的に整備しました。
これを土台として、人材の多様性の確保を含む人材育成と、コミュニケーション、エンゲージメントの向上のために社内環境整備を進めておりますが、事業領域の拡大と従業員数の増加が続く中、進捗をモニタリングするための適切な指標及び目標の設定は更なる検討が必要と考えており、引き続き今後の課題として検討して参ります。
(計画期間 2022年1月24日-2027年1月23日)
(注)㈱ムーミン物語の2024年3月期に変更しました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」「重要なリスク」に分類しております。また、文中における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 投資銀行事業(メッツァ関連を除く)
(特に重要なリスク)
① 投融資(プリンシパルインベストメント)
当社グループでは、当社グループ自身が資金供給者として企業や不動産等に投融資(ファンドを介した投融資を含む)を行うプリンシパルインベストメントを行っており、当連結会計年度末の営業投資有価証券は1,560百万円、営業貸付金は522百万円、営業貸付金に係る貸倒引当金は80百万円となっております。企業への投融資においては、投融資の対象企業やファンドの投資先企業の多くは未上場であり、収益基盤や財務基盤が不安定で経営資源も制約されています。このような企業の株式等への投資については、上場企業の株式に比較して流動性が著しく低く、当社グループの希望する価額・タイミングで売却できる保証はありません。このため、投資によるキャピタルゲインが得られるかどうかについての確約はなく、キャピタルロスが発生するリスクや長期間売却できないリスク、撤退時における追加の資金負担といったリスクがあります。融資についても、回収できる確約はなく貸倒れとなるリスクがあります。このように投融資については、期待通りの収益が得られない場合や投融資資金が毀損する可能性があります。さらに、取引に内在する固有のリスクや担保対象資産の固有のリスク次第では、業界の景気動向が一般的に良好な場合であっても、損失を生む可能性があります。以上のような投融資活動に伴い、当該投融資先が連結対象に加わった場合、マイナスの影響が発生する場合もあり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
不動産等への投融資に関しても、流動性やキャピタルロス、評価損、貸倒れといったリスクがあります。なお当社はメッツァビレッジを販売用不動産として保有しておりますが、これに係るリスクについては、「(2) メッツァ関連①メッツァビレッジ(販売用不動産)の評価減」をご覧ください。
当社グループでは、これらのリスクを管理するため、投融資案件に関しては、担当部門で投融資先の事業内容、信用状況、担保・保証等の状況、成長性及び採算性などを検討して起案後、社内規程に従い審査部門や取締役会等により慎重に審議、決裁した上で実行することとなっております。投資実行後には、投資先の課題の解決や営業上の支援、財務再構築などを行い、価値の最大化につながるモニタリングを行っております。
(重要なリスク)
① ファイナンスアレンジメント業務
当社グループの投資銀行事業におけるファイナンスアレンジメント業務は、顧客企業の資金調達等や当社がプリンシパルインベストメントを行うために仕組み作りを行いますが、これは顧客の特定の資産証券化ニーズや資金需要、事業ニーズ、事業承継等に対応するものであり、必ずしも同じ顧客から繰り返し案件を獲得できるとは限りません。このため同業務では、事業体質として絶え間ない営業活動による案件の獲得が必要となります。このため、当社グループは、取引先の会計士や金融機関などのネットワークを拡大することにより案件獲得機会を増やし、事業承継などの顧客ニーズを的確にとらえた、最適なサービスや金融商品を提供していくように努めております。また、同時に投資運用業務などの安定収益源の拡大や収益の多様化を推進して参ります。
② 投資運用業務及びファンド運営
当社グループの行う投資運用業務においては、景気悪化による不動産や企業等への投資意欲の減退、取引の減少などによる案件の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの行うファンド運営においては、当社グループは無限責任組合員又は営業者として、ファンドを管理運営しております。ファンドの運用成績が芳しくない場合、又は出資者対応が適切に行えなかった場合には、当社グループが運営するファンドに対する社会的信用及び投資家からの信頼の低下を招き、新規ファンドの設立及び募集が困難になる恐れがあります。また、上記「投融資(プリンシパルインベストメント)」と同様に、投資対象が不動産や未上場株式の場合、取引参加者の意向により取引条件が大きく変動し、当社グループの希望する価額・タイミングで売却できる保証はありません。その結果、ファンドから受領する業務受託報酬について当社グループが期待する水準から増加又は減少する可能性があります。また、無限責任組合員又は営業者として、その出資額を超える損失を負担する可能性や、善管注意義務違反、利益相反等を理由とする訴訟を受けることで、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 不動産投資運用業務及びファンド運営による連結範囲の変更について
当社グループが行う不動産投資運用業務及びファンド運営に係る特別目的会社等については、特別目的会社等への支配力や影響力により、個別に連結、非連結を判断しております。今後、新たな会計基準の設定や、実務指針等の公表により、特別目的会社等に関する連結範囲の決定について、当社グループが採用している方針と大きく異なる会計慣行が確立された場合には、当社グループの連結範囲決定方針においても大きな変更が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 役員派遣について
当社グループは投資先企業の価値向上のため、役職員を投資先企業の役員として派遣することがあります。その役職員個人に対し役員損害賠償請求等があった場合、当社グループがその個人に生じた経済的損失の全部又は一部を負担する可能性があるほか、当社グループに使用者責任が発生する可能性があります。
⑤ 為替変動リスク
SGI-Group B.V.をはじめとする海外グループ会社や一部国内子会社の売上高、費用、資産・負債等は、当社の連結財務諸表作成のために円換算されることから、為替相場の変動による影響を受けることになります。
また、当社グループのプリンシパルインベストメントにおける海外企業やファンドに対する投融資では、現地通貨建てで行われることがあります。従いまして、円高は回収時の邦貨での回収額を減少させることになります。逆に円安は取得時の邦貨での取得価額を増加させることになります。また、当社グループの資金は外貨建てで運用する場合もあり、この場合円高は為替差損を発生させることになります。これらの為替変動リスクは当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ カントリーリスク
当社グループのプリンシパルインベストメントにおける海外企業やファンドに対する投資では、投資対象国・地域において、政治・経済情勢の変化等により市場に混乱が生じた場合、または資本取引等に関する規制の変更や新たな規制が設けられた場合には、投資によるキャピタルゲインが大幅に変動することがあります。新興国では、一般的に先進諸国の企業投資に比べ、市場規模が小さく流動性も低いことなどから、前述したリスクが大きくなる傾向があります。その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また当社は、現在オランダのSGI-Group B.V.を持株会社とする海外子会社が6社ありますが、所在地の法令、制度・規制、社会情勢等をはじめとしたカントリーリスクが顕在化し、円滑な事業推進を行うことが困難になった場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、投資決定時のリスク分析及びモニタリングによりリスクの軽減を図っておりますが、カントリーリスクを完全に回避できるものではなく、リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(2) メッツァ関連
(特に重要なリスク)
① メッツァビレッジ(販売用不動産)の評価減
メッツァビレッジは2018年10月に竣工し、同年11月より営業を開始しておりますが、当社はメッツァビレッジについて開発、バリューアップ後に売却する方針であるため販売用不動産としております。販売用不動産の評価については、期末における正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を正味売却価額まで減額し、当該減少額を評価損として計上します。2024年9月期には不動産鑑定士による鑑定評価額を正味売却価額として、販売用不動産評価損55百万円を計上した結果、2024年9月30日現在において、メッツァビレッジにおける販売用不動産は4,010百万円となっておりますが、今後、正味売却価額が下落する場合は、評価損を計上する可能性があります。
② 固定資産の減損
当社グループが、ムーミンバレーパークにおいて保有する固定資産(有形固定資産、無形固定資産)について、減損の兆候が認められ、かつ、割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を下回った場合には、減損損失が認識され、固定資産の価値を減少させることがあります。
2024年9月30日現在において、ムーミンバレーパークにおける固定資産は4,622百万円となっておりますが、コロナ禍からの回復の遅れによりムーミンバレーパークは経営環境が著しく悪化したため減損の兆候はあるものの、一定の来園者数などを前提とした割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を下回らないため、当連結会計年度にはムーミンバレーパークにおける固定資産の減損損失を認識しておりません。しかしながら、今後当社グループが想定した来園者数の水準を下回るなどの状況が長期間続く場合、固定資産の減損損失を計上する可能性があります。
③ 有利子負債
ムーミンバレーパークの開発において、飯能地域資源利活用合同会社は金融機関から56億円を借り入れし、㈱ムーミン物語はセール・アンド・リースバックにより9億円を調達しております(当該リース債務は2024年9月期までに完済)。このように長期かつ固定金利での借入等を主とすることにより、短期的な金利上昇リスクへの対応を図っております。また㈱ムーミン物語は、上記のほか運転資金の確保を目的として金融機関から資金を借り入れております。
このような中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりメッツァの臨時休園とその後の入園者減少があり、メッツァの運営による収入は大きく減少しました。このため当社グループは、費用削減による収支均衡策を推進し、㈱ムーミン物語は政府系金融機関の制度融資により3億円の長期借入金を調達するとともに、飯能地域資源利活用合同会社(SPC)及び㈱ムーミン物語は金融機関の借入金の返済猶予の承諾を得ておりましたが、2023年9月期に金融機関借入の返済に向け、㈱ムーミン物語は金融機関との間で、同社がSPCに支払う不動産賃借料の見直しに合意し、当該賃借料を原資とするSPC借入金返済及び㈱ムーミン物語の借入金返済を2023年9月末から開始しました。これらの借入金は2024年3月が返済期限であったため、金融機関と協議の上、借り換え手続きを行い、1年間の返済期間を1年間延長しましたが、今後の借り換えの諸条件によっては当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(重要なリスク)
① ライセンス契約
㈱ムーミン物語は、ムーミンの権利者であるMoomin Characters Oy Ltdの独占代理店であるR&B Licensing ABと日本国内におけるムーミンテーマパーク運営に関する独占的なライセンス契約を締結しております。当該契約の概要については、「5 経営上の重要な契約等」のとおりでありますが、当該契約が更新されない場合、又は契約が解除された場合、ムーミンバレーパーク運営の継続が困難となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、㈱ムーミン物語は、Moomin Characters Oy Ltd及びR&B Licensing ABから一部出資を受け、また取締役の派遣を受けて密接なコミュニケーションを取りながら、ムーミンバレーパークの運営を推進しております。
② 事故や製商品の不具合等のリスク
メッツァのアトラクション、商品、飲食などに万一の事故(アトラクション事故、欠陥商品販売、異物混入など)があり、来園者に重大な危害が加わる事態が発生した場合には、安全を最優先する当社グループへの信頼の低下、ブランドの毀損及び訴訟などの多額の費用負担などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。メッツァビレッジにおいてはテナントの事故等によっても当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 天候に係るリスク
テーマパークは、天気や気温などにより来園者数が変動しやすい事業です。メッツァは、自然を利用した屋外型の施設も多くあるため天気や気温によって来園者数に影響を受けやすく、悪天候や猛暑等が長期に及ぶ場合や来園者数が多い週末などに集中する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ ブランド低下のリスク
・ハード面(施設・サービスなど)のクオリティ
メッツァは、魅力を高めるべくハード面のクオリティ向上に努めて参りますが、不測の事態により適切なタイミングでの投資などができず、クオリティが低下した場合、来園者数の減少などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお当連結会計年度において、ムーミンバレーパークでは、2023年7月の㈱ライツ・アンド・ブランズ株式売却資金によって、コンテンツ増強を進めて、新エリア「入り江のテラス」の開設をはじめとする設備投資を実施しました。
・ソフト面(スタッフのホスピタリティなど)のクオリティ
メッツァは、多くのスタッフによって支えられます。また、スタッフのホスピタリティによって、来園者に高い満足を提供することが可能となります。スタッフへの教育のみに留まらず、スタッフが働き甲斐のある職場環境を整備して参りますが、不測の事態によりスタッフの人員不足などが生じ、クオリティが低下した場合、来園者数の減少などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) グループ全体
(特に重要なリスク)
人材の確保、育成
当社グループの投資銀行事業においては、投資や不動産に関する高度な知識や経験を有する優秀な人材の確保・育成が不可欠であり、公共コンサルティング事業では地方公会計や行政計画などの知見がある人材の確保・育成が必要です。また、メッツァ運営における企画や接客等においても、質の高い人材を確保することが重要であります。
現在在職している人材が一度に流出するような場合や、当社グループの求める人材が十分に確保できなかった場合、人材を育成していく体制が十分に整備できない場合には、事業に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業規模の拡大に伴い、優秀な人材の採用を実施し、各種教育体制の充実や人事評価・報酬制度の見直し、幹部社員に対する譲渡制限付株式の付与などモチベーションを向上させる施策を実施・拡充し育成に努力するとともに、労働環境の改善を継続して人材の定着を図っていく方針です。
(重要なリスク)
① 法的規制、コンプライアンス、免許・許認可等
当社グループが行う投資銀行事業において、各種法的規制や自主規制を受けている又は受ける可能性があります。主な法的規制としては、金融商品取引法、貸金業法、不動産特定共同事業法、建築基準法、都市計画法、国土利用計画法、住宅品質確保促進法、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)、宅地建物取引業法等があり、自主規制としては、日本投資顧問業協会、第二種金融商品取引業協会、日本貸金業協会等の規則等があり、グループ会社や投資先が海外の企業等である場合はそれぞれの国又は地域での法令及び規制を遵守する必要があります。
また当社グループはエンタテインメント・サービス事業において、メッツァを運営しておりますが、これに係る主な法的規制としては、消防法、建築基準法、食品衛生法、個人情報保護法等があります。
今後の法規制の制定・改廃や当局の法令解釈の変更等が、当社グループの事業の範囲、業務遂行に必要となるコストや事業に関するリスクに変更を生じさせ、業績及び事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。また、法令又は法令解釈の変更などにより、諸法令で要求される許認可等を新規に取得する、または法令等を遵守する態勢を構築する際には、追加の人材の確保、その他のコンプライアンス関連のコストが必要になることが予想されます。さらに、法令や諸規則に抵触した場合は、各種許認可の登録取消や業務停止命令を受ける可能性があるばかりでなく、重大な虚偽又は誤認表示に対する責任、アドバイスが不正確であったことに伴う責任が発生することも考えられます。エンタテインメント・サービス事業においては、運営する施設の評判に悪影響を与え、来園者数の減少などの当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。実際に当社グループに過失がなかった場合にも、これらのクレームが寄せられることにより、多額の訴訟費用、損害賠償責任を負担するリスク、風評リスクが発生する可能性があり、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
このリスクへの対応策として、当社及び当社子会社は、役員、従業員が遵守すべきコンプライアンスに関する規範として「FGIグループ コンプライアンス規範」を定め、コンプライアンスの確立に努めております。また、グループ各社の属性に応じて、規程を整備するとともにコンプライアンスに関する継続的な啓蒙活動や研修等により法令遵守の徹底を図っております。金融商品取引法や貸金業法等により許認可を受けている当社及び当社子会社では、業務の遵法状況態勢及び対策の検討・策定等などコンプライアンスに係る課題を審議する委員会をそれぞれ有し、運営しております。投融資や業務受託等にあたっては、グループ各社のコンプライアンス担当部門又は委員会が案件毎に審査・審議を行う態勢を整備、運用しております。
② 自然災害、テロ、伝染病の発生等
台風、洪水、地震等の自然災害発生時には、当社グループが保有又は運用するファンドの投資対象となっている施設が被害を受け、また交通機関及びライフライン(電気・ガス・水道)への影響が想定され、収入の減少又は消失、施設の価値の毀損等が発生する可能性があります。またテロ事件や伝染病の蔓延等が発生した場合は、レジャーに対する消費マインドの冷え込みなどが想定されることから、メッツァの来園者数の減少などに影響がある可能性があります。
当該リスクへの対応策として、グループ主要各社においてBCP(事業継続計画)を策定し、被災時でも重要な事業を継続または早期復旧できるよう準備を行っております。
③ 業績の変動
当社グループの投資銀行事業のうち、不動産・企業への投資の回収等は、案件1件当たりの収益費用が大きくなります。また取引時期は取引参加者の意向も反映されるため、当社グループが希望する時期での取引が必ずしも可能ではありません。このため、収益費用の計上時期が偏り、業績が大きく変動する可能性があります。
また、エンタテインメント・サービス事業のメッツァにおいては、冬季に来園者数が低水準に留まる傾向があり、売上が影響を受ける可能性があります。
④ 連結除外
投資先企業で連結の範囲に含まれている子会社について、持分の売却等により、連結の範囲から除外される可能性があります。
なお、2017年7月に当社から飯能地域資源利活用合同会社にムーミンバレーパークの不動産を譲渡(譲渡額2,000百万円、簿価443百万円)した件について、当社子会社による当該不動産管理受託や出資など継続的関与があったため、当該取引を金融取引としており、未実現の利益があります。今後㈱ムーミン物語が連結除外される場合には、当該不動産譲渡については売却処理される可能性があります。
⑤ 当社グループのコンピュータ・システムについて
当社グループのコンピュータ・システムは、業務上不可欠なインフラとなっております。現状、業務上及びセキュリティー上必要とされる水準を備えていると考えておりますが、ハードウェア、ソフトウェアの不具合や人為的ミス、天災、停電、コンピュータウイルス、外部からのハッキング、テロ等によりコンピュータ・システムに障害が発生する可能性はあります。システム障害により生じた影響度合によっては、当社グループの事業活動及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、システムセキュリティの強化のほか、eラーニングなどによる情報セキュリティーに関する研修を継続的に実施して、役職員のセキュリティー意識向上を図っております。
⑥ 情報の管理について
当社グループが保有する取引先等の重要な情報並びに個人情報の管理について、情報管理規程、個人情報保護方針及び各種社内規程等の制定、役職員への周知徹底、情報システムのセキュリティー強化等、更なる情報管理体制の整備を進める方針ですが、今後、不測の事態により、これらの情報が漏洩した場合は、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの事業活動及び業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績の概要
当社グループは、事業承継問題を抱える企業へのプライベートエクイティ投資や業務受託(アレンジメント)を推進しております。
当連結会計年度は、複数の事業承継案件が順調に進捗し航空ビジネスも伸長したことにより、売上高は13,807百万円(前連結会計年度比48.4%増)、売上総利益は7,355百万円(前連結会計年度比43.9%増)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費及び支払手数料の増加により前連結会計年度比27.0%増の4,785百万円となりましたが、営業利益は売上総利益の増加により2,569百万円(前連結会計年度比91.2%増)、経常利益は2,461百万円(前連結会計年度比92.7%増)となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に特別利益に計上した関係会社株式売却益386百万円がなくなったことや、特別利益に負ののれん発生益241百万円、特別損失に固定資産除去損276百万円を計上したことにより、1,675百万円(前連結会計年度比4.5%増)となりました。
(単位:百万円)
セグメント別の業績は以下のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高で表示しております。
① 投資銀行事業
投資銀行事業では、事業承継案件や金融商品の組成・運用などによる業務受託収益や、プライベートエクイティ投資の回収による投資収益が前連結会計年度比で増加しました。アセットマネジメントについては、預り資産残高が海外投資家によるレジデンス投資の増加により前連結会計年度末比37.1%増の1,532億円となり、ストック型収益の基盤が強化されました。アセット投資においては、不動産信託受益権による小口化商品販売が増加し、不動産開発案件が投資回収に至ったことで売上高が前連結会計年度比で増加しました。航空ビジネスにおいては、航空機登録事業や航空機リマーケティングの売上高が前連結会計年度比で増加し、新たに開始した航空機等リース事業が収益を押し上げましたが、技術サービスは航空業界において旅客需要回復と航空機不足によるリース契約延長が増加したことで、機体返還時の検査需要減少の影響を受けました。
以上の結果、投資銀行事業の売上高は11,344百万円(前連結会計年度比64.0%増)、セグメント利益は3,930百万円(前連結会計年度比56.9%増)となりました。
公共コンサルティング事業では、地方公共団体等に財務書類作成支援や公共施設マネジメント支援などのソリューションを提供しております。財務書類作成支援においてはアウトソーシングニーズと当社グループの専門性によって大規模自治体からの引き合いが続いており、令和6年度(2024年4月~2025年3月)の受託団体数は都道府県において10団体(前年度は9団体)、政令指定都市・特別区において13団体(前年度は13団体(2023年10月~12月に新規受託の1団体を含む))となり、堅調に推移しました。公共施設マネジメント支援においては、各施設の維持管理・更新等を定める個別施設計画の他、長寿命化や再編・再配置に関する計画・調査の支援が増加しました。地方公共団体への支援は、子育て・健康増進等の分野にもコンサルタントの人員を増強して幅広く展開し、同一の自治体に複数メニューを提供する施策を推進しました。
以上の結果、公共コンサルティング事業の売上高は、452百万円(前連結会計年度比22.9%増)、セグメント損益は前連結会計年度より15百万円改善して18百万円のセグメント損失となりました。
エンタテインメント・サービス事業では、ムーミンバレーパークが開業5周年を迎える中、コンテンツの新設・更新や各種プロモーションを推進しました。メッツァ(メッツァビレッジ及びムーミンバレーパーク)の来園者数は、2024年7月下旬から「こども応援キャンペーン」において高校生以下を対象に「こども1デーパス500円」を実施した効果もあり第4四半期に増加して、前連結会計年度比3.3%増の65万人となりました。また顧客単価は、夜のイベント・花火大会による滞在時間の増加や価格改定等によって上昇しました。
以上の結果、エンタテインメント・サービス事業の売上高は、入園チケットや物販・飲食などの売上高が増加して2,459百万円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。費用面では業務委託や物販・飲食の仕入先などの見直し、価格改定、オリジナルグッズの販売強化などにより原価が低減したほか、賃料などの諸費用を削減した結果、セグメント損益は前連結会計年度より119百万円改善して244百万円のセグメント損失となりました。
財政状態の概要は、「(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 Ⅲ 財政状態の分析」において、分析・検討内容と一体的に記載しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、5,674百万円(前連結会計年度末比2,806百万円増加)となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金の増加は4,055百万円(前連結会計年度は615百万円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払により742百万円減少したものの、税金等調整前当期純利益により2,426百万円、売上債権の減少により461百万円、営業投資有価証券の減少により1,239百万円、減価償却費により442百万円増加したことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金の減少は547百万円(前連結会計年度は766百万円の増加)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入により61百万円、固定資産の売却による収入により435百万円増加したものの、メッツァの太陽光発電設備の設置や、航空資産の取得、ムーミンバレーパークのコンテンツの新設・更新に伴う固定資産の取得による支出等により895百万円減少したことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金の減少は790百万円(前連結会計年度は538百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入れによる収入により895百万円、短期借入金の増加により703百万円増加したものの、長期借入金の返済による支出により1,630百万円、リース債務の返済による支出により149百万円、非支配株主への配当金の支払いにより162百万円、自己株式の取得による支出により448百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産高は、評価損等による減少を除く販売用不動産及び仕掛販売用不動産の増減額に売上原価を加えた金額により表示しております。
2 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、投資銀行事業におきまして、当連結会計年度に不動産開発案件が竣工したことなどによるものであります。
当社グループは投資銀行事業において、事業承継案件の対象企業として買収し子会社化した住宅リフォーム会社である㈱ピーコンホームサービスにてリフォーム工事等の受注がありますが、重要性が低いため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の下記の相手先への販売実績は、総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。
3 投資銀行事業の販売実績が増加した主な要因は、事業承継案件や金融商品の組成・運用などによる業務受託収益、プライベートエクイティ投資の回収による投資収益、及び航空ビジネスによる売上高がそれぞれ増加したことによるものであります。
4 公共コンサルティング事業の販売実績が増加した主な要因は、公共施設マネジメント支援や、行政計画策定支援などの公共財関連の売上高が増加したことによるものであります。
当連結会計年度の経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下の通りであります。文中における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、その作成にあたっては、経営者の主観的な判断を伴う見積りが必要になる項目があります。経営者はその見積りが合理的であると判断していますが、市況の変化等により将来の結果が異なるものとなり、連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
当社グループの重要な会計方針のうち、特に重要性の高い会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
Ⅱ 経営成績の分析
① 売上高、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費並びに営業利益
当連結会計年度における売上高は、投資銀行事業において複数の事業承継案件が順調に進捗し、航空ビジネスも進捗したことにより、13,807百万円と前連結会計年度の9,302百万円より4,505百万円増加(48.4%増)しました。
売上原価は、航空ビジネスや不動産小口化商品等の売上増加に伴い、前連結会計年度の4,191百万円より2,261百万円増加(53.9%増)、6,452百万円となりました。
売上総利益は7,355百万円となり、前連結会計年度の5,111百万円より2,244百万円増加(43.9%増)しました。
販売費及び一般管理費は、事業拡大に伴う人件費や支払手数料の増加により4,785百万円となり、前連結会計年度の3,767百万円より1,018百万円増加(27.0%増)しました。
営業利益は2,569百万円となり、前連結会計年度の1,343百万円と比べて1,225百万円増加(91.2%増)しました。
投資銀行事業及びエンタテインメント・サービス事業の分析は以下のとおりとなります。なお、上記のグラフ及び下記のセグメント別の数値は、いずれもセグメント間の取引を相殺消去しない数値を使用しております。
(投資銀行事業)
投資銀行事業の業務別の売上高、及び売上総利益は、以下の通りです。
投資銀行事業は、事業承継案件や金融商品の組成・運用などによる業務受託収益や、プライベートエクイティ投資の回収による投資収益が前連結会計年度比で増加しました。またアセット投資において、不動産信託受益権による小口化商品販売の増加や、不動産開発案件が投資回収に至ったことにより売上高が増加しました。航空ビジネスについては、航空業界における旅客需要回復と航空機不足によるリース期間延長が増加したことで、機体返還時の検査需要の影響を受けたものの、航空機登録事業や航空機リマーケティングの売上高は前連結会計年度比で増加しました。
以上の結果、投資銀行事業の売上高は前連結会計年度比64.0%増の11,344百万円となりました。
売上原価は、アセット投資と航空ビジネスの売上増加に伴い、前連結会計年度比113.5%増の4,648百万円となりました。
これらの結果、売上総利益は前連結会計年度比41.2%増の6,696百万円となり、販売費及び一般管理費は、人員増強や人事評価・報酬制度の改定による人件費の増加や事業拡大に伴う支払手数料の増加によって前連結会計年度比23.6%増の2,765百万円となった結果、セグメント利益は3,930百万円(前連結会計年度比56.9%増)となりました。
(エンタテインメント・サービス事業)
エンタテインメント・サービス事業では、ムーミンバレーパークが開業5周年を迎える中、コンテンツの新設・更新や各種プロモーションを推進しました。メッツァ(メッツァビレッジ及びムーミンバレーパーク)の来園者数は、2024年7月下旬から「こども応援キャンペーン」において高校生以下を対象に「こども1デーパス500円」を実施した効果もあり第4四半期に増加して、前連結会計年度比3.3%増の65万人となりました。また顧客単価は、夜のイベント・花火大会による滞在時間の増加や価格改定等によって上昇しました。
以上の結果、エンタテインメント・サービス事業の売上高は前連結会計年度比6.4%増の2,459百万円となりました。売上原価は業務委託や物販・飲食などの仕入れ先などの見直し、価格改定、オリジナルグッズの販売強化などにより前連結会計年度比8.2%減の1,841百万円となり、売上総利益は前連結会計年度比102.7%増の618百万円となりました。販売費及び一般管理費は賃料などの諸費用を削減した結果、セグメント損失は前連結会計年度に比べ119百万円改善し244百万円となりました。
(単位:百万円)
(注)1 他のセグメントとの取引を消去しない数値を使用しております。
2 償却前セグメント利益は、セグメント損失に売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる減価償却費及びのれん償却費を足し戻して算出しております。
エンタテインメント・サービス事業の四半期毎の売上高、及びメッツァ来園者数の推移は、以下のとおりです。
営業外収益は、持分法による投資利益39百万円、受取利息17百万円、為替差益9百万円を計上するも、助成金収入が前連結会計年度比減少したことなどにより84百万円となり、前連結会計年度の91百万円より6百万円減少(7.2%減)しました。営業外費用は、ムーミンバレーパーク開発のための金融機関借入やリース等による支払利息161百万円などにより193百万円となり、前連結会計年度の158百万円より35百万円増加(22.4%増)しました。この結果、経常利益は2,461百万円となり、前連結会計年度の1,277百万円より1,183百万円増加(92.7%増)となりました。
特別利益は、㈱ピーコンホームサービスの株式取得による負ののれん発生益などにより、241百万円となりました。
特別損失は、ムーミンバレーパークで、新エリア開設など一部リニューアルし、既存の展示物を除去したことに伴う固定資産除却損により、276百万円となりました。
税金等調整前当期純利益は2,426百万円となり、前連結会計年度の1,824百万円より602百万円増加(33.0%増)しました。
法人税等は542百万円となり、前連結会計年度の180百万円と比べて361百万円増加(200.5%増)しました。非支配株主に帰属する当期純利益は、SGI-Group B.V.の当期純利益が増加したことにより208百万円となり、前連結会計年度に比べて168百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は1,675百万円となり、前連結会計年度の1,603百万円より72百万円増加(4.5%増)しました。
① 流動資産
流動資産は、前連結会計年度末より12.4%増加し、14,027百万円となりました。これは主として、航空ビジネスの売掛金回収により受取手形、売掛金及び契約資産が404百万円、プライベートエクイティファンドからの投資回収や不動産小口化商品の販売に伴う信託受益権の減少により営業投資有価証券が1,287百万円減少したものの、買収ファンドからの投資回収などにより現金及び預金が2,871百万円増加したことによるものであります。
② 固定資産
固定資産は、前連結会計年度末より0.1%減少し、6,642百万円となりました。これは主として、ムーミンバレーパークの建物、内外装等の減価償却やリニューアルに伴う展示物等の除却により建物及び構築物(純額)が302百万円、工具、器具及び備品(純額)が128百万円減少したことによるものであります。
③ 流動負債
流動負債は、前連結会計年度末より11.5%増加し、8,788百万円となりました。これは主として、ムーミンバレーパークの内外装などに係るリース債務が116百万円、1年内返済予定の長期借入金が83百万円減少したものの、未払法人税等が200百万円、運転資金及び航空資産取得のための短期借入金が703百万円増加したことによるものであります。
④ 固定負債
固定負債は、前連結会計年度末より39.0%減少し、1,128百万円となりました。これは主として、繰延税金負債が74百万円、不動産小口化商品の販売進捗に伴う借入金の返済により長期借入金が652百万円減少したことによるものであります。
⑤ 純資産
純資産は前連結会計年度末より14.5%増加し、10,752百万円となりました。これは主として、自己株式の取得により446百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を1,675百万円計上したことにより利益剰余金が同額増加したことによるものであります。
以上の結果、総資産は前連結会計年度末より8.1%増加し20,669百万円、負債は前連結会計年度末より1.9%増加し9,917百万円、純資産は前連結会計年度末より14.5%増加し10,752百万円となり、自己資本比率は46.1%となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の10,556百万円に対して626百万円増加し、11,182百万円となりました。これは主として、プライベートエクイティ投資の回収と不動産信託受益権による小口化商品販売が進捗し、営業投資有価証券が減少したものの、事業収益による現金及び預金や、太陽光発電設備の設置による固定資産が増加したことによるものです。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の260百万円に対して地方公共団体への売掛金の増加などによって4百万円増加し、264百万円となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の6,165百万円に対して868百万円減少し、5,297百万円となりました。これは主として、ムーミンバレーパークの建物、内外装等の減価償却や、リニューアルに伴う展示物等の除却により建物及び構築物並びに工具、器具及び備品が減少したことや、ムーミンバレーパーク開業時の内外装の動産に係るセール・アンド・リースバックによるリース債務を完済したことにより現預金が減少したことによるものです。
「3 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、投資銀行事業の投融資をはじめとする事業活動に必要な資金の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、主に金融機関借入、不動産証券化、エクイティファイナンス、ファイナンス・リース等で資金調達し、適切な手元流動性を確保しています。
短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入等で賄っています。例えば、不動産開発案件へのアセット投資や航空機等リース事業における機材購入においては銀行借入により調達しております。また、プライベートエクイティ投資案件においては、個別案件毎にファンド(非連結)を組成した上で当該ファンドがノンリコースローンなどにより資金を調達しております。なお、子会社に関しては、必要に応じて当社が子会社に対し運転資金や投融資のための資金の貸付を行っております。
中長期資金需要に対しては、主に金融機関借入、不動産証券化、エクイティファイナンス、ファイナンス・リース等で対応しております。メッツァ開業へ向けての資金需要に対しては、2017年7月にムーミンバレーパークの不動産証券化に係る各種契約を締結して、組成した特別目的会社である飯能地域資源利活用合同会社(当社子会社、以下「SPC」)が地元企業及び当社子会社の㈱ムーミン物語から匿名組合出資金7.5億円を受け入れ、2018年10月には地域金融機関から長期借入金56億円を調達し、調達期間を長期化しました。また、当社は2014年3月発行の第12回新株予約権、2015年4月発行の第14回新株予約権、2018年1月発行の第18回新株予約権で調達した資金のうち41億円をメッツァ建設資金等の開業準備に充当しました。子会社においては㈱ムーミン物語が第三者割当増資により2018年9月期に1,944百万円を、2019年9月期に898百万円(うち当社出資ファンドが634百万円引受)を調達しました。また2019年3月にセール・アンド・リースバックによりムーミンバレーパークの内外装工事代金として942百万円を調達しました。なお当該リース債務は、2024年9月期に完済しました。このほか、㈱ムーミン物語は、地域金融機関から運転資金を借り入れております。
2021年9月期に㈱ムーミン物語は新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した後、影響の長期化に備えて、メッツァの運営資金を確保すべく、コスト削減策を策定し実行しておりますが、これと並行して、制度融資や金融機関借入により資金調達しております。また同社はSPCからムーミンバレーパークの不動産を賃貸しておりますが、当該賃料支払いの猶予を受け、SPCの金融機関借入については㈱ムーミン物語のコスト削減策の遂行を前提に元本据置を受けておりました。当連結会計年度は正常化に向けて金融機関借入の返済を開始すべく、㈱ムーミン物語は金融機関との間で、同社がSPCに支払う不動産賃借料の見直しに合意し、当該賃借料を原資とするSPC借入金返済及び㈱ムーミン物語の借入金返済を2023年9月末から開始しました。なお、これらの借入金については2024年3月に返済期限を迎えたため、1年間返済を延長しております。
当社グループにおける資金需要の主なものは、投資銀行事業においては営業活動における不動産プロジェクトや企業(事業承継案件を含む)への投融資、人件費等の販売費及び一般管理費の運転資金であります。公共コンサルティング事業における資金需要は、人件費や外注費等の運転資金です。エンタテインメント・サービス事業における資金需要は、ムーミンバレーパーク運営における商品・材料仕入れ、人件費、ライセンスフィー及びその他の諸経費の運転資金であり、投資活動においては、施設・コンテンツへの投資が主な内容であります。
投資銀行事業における投融資は、不動産等へ投資するアセット投資と、潜在性・将来性豊かな上場/未上場企業・事業や事業承継の課題を抱える企業等に対し投融資するプライベートエクイティ投資の2つに分けられます。当社グループは、投資銀行事業においては投融資が収益拡大を促進していると考えており、今後も事業承継案件を中心に投資案件の組成、実行、回収を行っていく予定であります。
エンタテインメント・サービス事業においては、メッツァにおいて新型コロナウイルス感染症拡大による売上減少に対応して、コスト削減により運転資金を減少させており、2021年12月のムーミンバレーパークのリニューアルによっても運営コストを低減させておりますが、今後も運営コストの見直しを続けていく予定です。設備投資については、従来は施設維持・改善と一部のコンテンツ入れ替えを中心としてきましたが、2024年には集客力を向上させるため、2023年8月に実施した㈱ライツ・アンド・ブランズ株式売却による資金を使ってコンテンツの更新・追加のための設備投資を行いました。今後も、ソフトコンテンツを中心に投資する予定です。
当社は、株主価値の最大化のため資本を効率的に活用することを重視し、効率性を計る尺度として、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標として位置づけ、ROEが安定的に20%超を継続できるよう、収益力の強化を推進する方針を2023年11月に公表しました。
当連結会計年度は、前連結会計年度の特別利益の計上などの特殊要因による影響が少なかったことや、原価率が高いアセット投資の回収による売上高が増加したことにより、売上高純利益率が12.1%(前連結会計年度比5.1pt減)となった結果、ROEは18.8%と(前連結会計年度比2.7pt減)なりました。当社は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の「収益力の維持と安定成長」、「資産効率性の改善」、「デットの活用と資本水準の適正化」に一層取り組むことにより、目標値の達成を目指してまいります。
ROEの推移
(注)1 売上高純利益率・・親会社株主に帰属する当期純利益÷売上高
2 総資産回転率・・・売上高÷総資産(期首・期末平均)
3 財務レバレッジ・・総資産÷自己資本(それぞれ期首・期末平均)
(注) 上記の契約会社は、対価として最低ロイヤリティー又は一定料率のロイヤリティーを支払っております。
該当事項はありません。