第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は「ひとを大切に。自然を大切に。」をコーポレート・ステートメント(スローガン)として掲げ、次の4つの領域でのコミュニケーションを大切にして、永続的な健全経営を目指します。

① お客様・消費者とのコミュニケーションには誠実と熱意をもって臨みます。

社員一人一人が当社を代表しているという意識と責任感を常にもってお客様に接し、誠実と熱意をもって商品やサービスを提供します。

② 地域・社会とのコミュニケーションによって、共存共栄の実現を目指します。

良き企業市民として法令規則を遵守し、地域・社会とともにより良い環境の実現を目指し、その実現と保持に努めます。

創業以来の伝統である文化支援や社会貢献に、事業利益の社会への還元をふまえて様々な形で取り組みます。

③ 株主・投資家とのコミュニケーションには透明性の高い経営姿勢で臨みます。

財務情報を始めとする経営情報の公正な開示を常に心掛け、適正な株価の維持実現に努めます。

常に経営の透明性を保ち、経営戦略や経営理念に裏付けられた事業展開の理解促進を図ります。

④ 社員・お取引先とのコミュニケーションで互いの信頼獲得を目指します。

役員社員、そして事業パートナーであるお取引先の皆様と、互いに理解交流を図り、信頼関係を築きます。

企業情報の円滑な流通と共有化を常に心掛け、互いの協力によって事業の発展に寄与することを使命と心得ます。

 

(2) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等

① 経営環境と課題

当社を取り巻く環境としては、

(環境変化)地球温暖化等の気象変動の進行に伴う異常気象の頻発とその影響の深刻化

(国内情勢)円安進行、インフレ高進、少子高齢化に起因する国内市場の縮小、総人口減少と労働力不足の深刻化

(国際情勢)新興国市場の成長によるグローバルな競争激化、紛争の発生

(消費行動の厳格化)消費者の節約志向・価格志向、商品・サービスに対する厳しい選別

等が挙げられ、当社は、これらに起因する様々な課題に的確かつスピード感をもって対処しつつ、中長期的な視点での変革に確り取り組んでいくことが重要と考えております。

また、その過程では、資本コスト・資本収益性を十分に意識した経営資源の配分、従来のビジネスモデルからの変革(DX推進、お客様満足度と業務効率化の両立、他社との協働等)、並びに当社の有する自然資本の活用(豊かな森林資源等)や事業活動を通じたSDGsへのより具体的な貢献を意識した経営の実現も重要と考えております。

以上の認識に基づき、当社は、3つのフェーズの成長プロセスに基づいて中期経営計画を策定し、具体的な施策を着実に実行していくことで、「健全経営の基盤強化と永続的で強靭な経営体質の構築」を目指しております。

 

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2023年10月に策定した「中期経営計画2026」(2024年9月期~2026年9月期)は、「成長モデルへの転換のための基盤整備」を目指す第二フェーズと位置付けており、設立100周年に向けて「更なる成長への挑戦」を掲げた第三フェーズを見据えて、成長基盤の整備に取り組んでおります。

具体的には、引き続きインフレや人口減少等の外部環境変化への対応力を高めるとともに、新しいビジネスモデルによる更なる成長に不可欠となるブランド力向上のための施設リニューアルや新商品開発等の先行投資、経営を支える基盤である人的資本への戦略的投資等を進めてまいります。

 

「中期経営計画2026」(第二フェーズ)の目指す姿

 :ブランド価値向上による成長モデルへの転換のための基盤構築

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 新中期経営計画「中期経営計画2026」の初年度となる当事業年度は、国際情勢や金融市場において先行き不透明な状況が続く中、国内ではインフレや人手不足が拡大し厳しい環境となりましたが、当社では「お客様目線」を第一に、「安心安全」かつ「快適」な商品・サービスのご提供とブランド価値向上に努め、営業収益5,480百万円(当初予想比+280百万円、修正予想比+80百万円)、営業利益571百万円(当初予想比+121百万円、修正予想比+41百万円)と、いずれも計画を大きく上回り、順調なスタートダッシュとなりました。

 また、2024年9月には、千本松牧場のレストラン・売店棟の新築工事が完成し、2024年10月にリニューアルオープンいたしました。そして2025年4月には、旧施設の跡地に那須千本松牧場の開放感を楽しんでいただけるランドスケープが完成し、グランドオープンの予定です。同施設を、“ 0102010_003.png ”をコンセプトとする千本松牧場ブランドの発信基地と位置付け、更なる成長モデルの構築に挑戦してまいります。

 

 次期(2025年9月期)の業績見通しは、営業収益につきましては、インフレ拡大によるコスト上昇をカバーし得る更なる業容拡大を目指して5,800百万円(前期比320百万円増)を計画しております。営業利益につきましては、千本松牧場の施設リニューアルをはじめとする戦略投資により、償却負担の増加等が見込まれること等から550百万円(前期比21百万円減)を計画しており、経常利益は650百万円(前期比74百万円減)、当期純利益は450百万円(前期比141百万円増)を見込んでおります。

 各事業において施策を迅速かつ着実に推し進めることにより、事業基盤及び収益基盤を拡大させ、更なる成長と企業価値向上に挑戦してまいります。

 

  各部門の主要施策

  事業部門・本社部門での主要施策における共通概念は以下のとおりであります。

   ①事業環境の変化を踏まえた収益基盤の強化、成長領域への事業拡大

   ②お客様との対話を通じた「満足度の高い商品・サービスの提供」

   ③DX推進による「お客様満足度」と「生産性(業務効率化)」の向上

   ④当社の最大の強みである「質の高いお客様基盤」の有効活用と更なる拡充

   ⑤ビジネスモデル変革の原動力となる人材の育成

   ⑥「環境・社会・経済への貢献」と「企業価値向上」の両立

 

(保険事業)

リスク管理の専門家としての「プロの保険代理店」としてお客様に寄り添ったコンサルティングを推進し、以下を柱としたサステナブルな成長の実現を目指します。

◇お客様の様々なライフスタイルに応じたリスク管理パートナーとしての総合提案力の強化

◇教育制度の拡充による専門知識を持つスペシャリストの育成

◇お客様との信頼関係を基盤とした継続的な成長を実現し得る組織・体制の強化

 

(不動産事業)

テナント様・入居者様へ「安心安全」かつ「快適」な空間を提供いたします。

◇適切な設備更新・改修投資の実施によるビルグレード(利便性・快適性・安心安全)の維持向上

◇お客様満足度の向上を意識し、専門性を更に強化した業務体制の構築

◇優良資産の取得、ポートフォリオ見直し及び新規事業への展開による収益基盤の強化拡大

 

(千本松牧場)

 広大な自然の中、ブランドコンセプト“ 0102010_004.png ”をベースに、環境に優しい牧場づくりと「安心安全」な乳製品のご提供に努め、更なる成長を目指してまいります。

 ◇観光施設:2024年10月にリニューアルオープンしたレストラン・売店をブランド発信・情報発信基地と

  して、お客様満足度・ブランド価値の更なる向上に取り組み

 ◇外販営業:日配品からの脱却、スイーツ等高付加価値商品への転換、ソフトクリーム外販店舗の出店拡大

 ◇酪農  :「循環型酪農」の発展・高度化等、広大な自然資本を活用したSDGsへの取り組み継続

 

 (ゴルフ事業)

 ご来場者様により楽しく・心地よい時間をお過ごしいただけるよう、基本となる取り組みを深化させ、営業利益の黒字転換と安定的な利益基盤の構築を目指します。

 ◇コースコンディション、接遇、レストランメニュー等の一層の向上によるゴルフ場の魅力アップと、

  ご来場の楽しみが増すサービスや特典の充実

 ◇情報発信力を強化し、ゴルフ場の魅力や素晴らしさ、時節に応じたプランやサービス等を確りと伝え、

  ブランド価値の向上及びご来場動機の増進に取り組み

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

当社の歴史は、「明治の元勲」松方正義公(第4・6代内閣総理大臣、初代大蔵大臣)が、1893年(明治26年)、栃木県の広大な那須野が原に「自然との共生」の理念に基づいて「千本松農場」を開いたことに始まります。

その後の時代変遷を経ても、正義公の「自然との共生」の理念は常に経営の根底に流れており、現在のコーポレート・ステートメント「ひとを大切に。自然を大切に。」にも活かされております。

当社の事業は、皆様の安心安全を総合サポートする保険、適切な更新により安心安全で快適な空間(オフィス・レジデンス)を長期間に亘って提供する不動産、新鮮で高品質な乳製品や自然との対話ができる観光施設を提供する牧場、西那須野の自然を活かしプレーヤーの健康増進に貢献するゴルフ場等、多岐に亘っておりますが、創業以来の理念に基づき、人、自然、そして社会に貢献するビジネスに積極的にチャレンジするという姿勢を貫いております。

今後とも、「自然との共生」の理念に基づき、鳥獣保護区にも指定されている広大な森林資源を有する千本松地区での事業を中心に、経済活動と自然環境への配慮を融合させた「環境適応型企業」としてサステナビリティ経営を強化し、企業活動を通じた豊かでサステナブルな社会づくりへの更なる貢献に努めてまいります。

 

(1) ガバナンス

当社は、経営に係る諸テーマに関して、取締役、執行役員等から構成される経営会議にて、定期的且つ多角的視点から議論し、適宜取締役会に付議または報告する体制としており、取締役会における議論を経て、経営戦略やリスク管理方針等に反映させております。

SDGsへの取り組みにつきましても、「企業活動を通じて豊かでサステナブルな社会づくりに貢献して行く」という認識のもと、全社的テーマとして議論を重ね、戦略、施策及びリスク管理に織り込んでまいります。

 

(2) 戦略

当社は、2024年9月期から新たにスタートした「中期経営計画2026」において、

・SDGsを意識したサステナビリティ経営の強化

・ダイバーシティの深化

・千本松事業の主要な顧客層を想定したジェンダーにとらわれないユーザー視点の経営への取り入れ

・人的資本への戦略的投資

等を基本方針・骨子として打ち出し、全社的テーマとして「環境・社会・経済への貢献」と「企業価値向上」の両立に取り組んでまいります。

 

具体的には、重点課題及び役割を整理・明確化した上で、部門、事業本部毎に、夫々の事業特性に応じた具体的施策を展開してまいります。

<保険事業> ①再生可能エネルギー普及関連設備への付保拡大

②サイバーリスク等のニューリスクへの付保拡大

③事故防止に繋がる商品・サービスの提供拡大

<不動産事業>①適切な設備更新投資による既存建物の使用長期化

②千本松地区における太陽光発電・温泉熱活用設備の設置

<千本松牧場>①森林サイクルの高度化等による広大な自然資本の整備

②循環型酪農の高度化による「カーボンニュートラルな牧場」実現への取り組み

<ゴルフ事業>①自然環境に配慮した設備の利用推進

②ご来場いただいたプレーヤーの心と体の健康を支える環境づくり

③地域と連携した健康増進プラン、イベントへの取り組み

<本社部門> ①環境配慮型機器導入等による全社的な意識の定着推進(計画策定・投資実行段階での実務フロー強化)

②DXによるペーパーレス化推進と省エネ意識の向上

 

また、これらの施策を展開する基盤となる人的資本につきましては、人材の育成及び社内環境整備に関して、以下のような方針・戦略を策定しております。

<人材の育成及び社内環境整備に関する方針・戦略>

①年功・性別・職歴等に左右されない、実力・成果主義を反映した登用・処遇を更に浸透させてまいります。

②ベース処遇の水準引上げ、福利厚生施設拡充、エンゲージメント強化等により、ライフサイクル・ライフスタイルに合わせた働きがい・働きやすさを追求してまいります。

③人材育成制度を更に拡充してまいります。

具体的には、スキル別・階層別研修の拡大、社内資格制度や資格取得奨励制度の整備、横断的女性活躍チームの組成、公募制実施による部門間異動拡大等により、

a.将来展望を踏まえた事業特性に応じた必要スペックの習得支援

b.女性活躍観点を踏まえた人材育成・採用・登用

を推進してまいります。

④複数ルートを活用し、採用の多様化を図ります。

 

(3) リスク管理

当社は、リスク管理規程に基づきリスク管理を実践しており、特に経営や事業の存続に重大な影響を与えるリスクを「トップリスク」と位置付け、対応具体策を策定・実施、四半期毎にモニタリングを行い取締役会へ報告する体制としております。

また、取締役会の諮問機関であるリスク委員会を設置し、当社を取り巻く環境やリスクの認識、リスクテイクの方策等につき議論し、取締役会に答申しております。

SDGsにつきましても、中期経営計画を踏まえて、「気候変動リスク」をトップリスクに加えて、リスク並びに機会の識別・評価・対策立案を行い、取締役会で検討を進めてまいります。

また、「自然との共生」の理念に基づき従来より実践している「循環型酪農」の一層の高度化を、サステナビリティ経営の強化や「千本松」ブランドの価値向上を通じて、更なる成長と企業価値向上に資する機会と捉えており、他社との協業も交えて戦略的に取り組んでまいります。

 

(4) 指標及び目標

当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、以下のとおり目標を定めております。

<目標>(2026年3月31日まで)

 

目標

2024年9月期実績

管理職に占める女性労働者の割合

15以上

12.8

男女の平均勤続年数の差異

1年未満

正社員

 

男性

13年3ヶ月

女性

14年4ヶ月

準社員

 

男性

13年6ヶ月

女性

17年1ヶ月

契約社員

 

男性

10年9ヶ月

女性

9年1ヶ月

 

当社は、上記の目標に加え、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、以下の指標を公表しております。

<指標>

採用した労働者に占める女性労働者の割合

(2024年9月30日現在)

正社員

36.4%

準社員

0.0%

契約社員

70.0%

男女の賃金の差異

(自 2023年10月1日~至 2024年9月30日)

全労働者

60.5

うち正規雇用労働者

65.3%

うち非正規雇用労働者

58.1%

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の経営成績、財政状況、キャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 当社は、リスクを適切に認識し、損失の発生の未然防止に努めるために、「リスク管理規程」を制定しております。同規程に基づき「主要リスク一覧表」を定め、主要なリスクを認識のうえ、未然防止対策を講じたり、発生した際のマニュアルを作成する等万全を期しております。とりわけ、経営ないし各事業の存続に重大な影響を与えるリスクを「トップリスク」と位置づけ、対応方針、対応具体策を策定(Plan)、実践(Do)し、取締役会への四半期毎の報告と本社によるモニタリング(Check)を行い、それを踏まえた対策(Action)を講じるPDCAサイクルを実施しております。

また、重大事故を未然に防ぐ観点から、KRI(Key Risk Indicator:重要リスク管理指標)を設定し、月次でモニタリングする体制を構築・実施しております。

2021年10月には、取締役会の任意の諮問機関としてリスク委員会を設置いたしました。リスク委員会は、取締役会の決議によって選定された取締役3名(うち社外取締役2名)、社外監査役2名の委員により構成されており、社外取締役が議長(委員長)を務めます。リスク委員会では、当社を取り巻く環境・リスクを認識し、当社の適切なリスクテイクを支える助言を取締役会に答申しております。

 

<トップリスク>

①地震・風水害等大規模災害

 当社の各事業所において、地震や台風などの自然災害、火事・テロなどの事件・事故など、突発的かつ甚大な災害が発生した場合には、長期間の事業停止などにより、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は「緊急事態発生時の取扱要領」を整備し、従業員及びその家族、並びにお客様、お得意先、関係先の人命保護を最優先に考えるとともに、「事業継続計画(BCP)」を策定し、早急な対策本部の立上げにより、早期に事業活動を復旧できる体制の構築に努めています。

 

②サイバーリスク

 当社では事業全般にわたり情報システムを活用しております。当社においては情報システムを適切に運営するため、規程類の整備や社員教育、セキュリティ対策等を実施しております。しかしながら、停電、災害、システム機器の故障、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス等不測の事態により、情報システムの停止、個人情報、内部情報の消失、漏えい、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合には、社会的信用の失墜や、事業活動の停止により当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクに対しては、重要データのバックアップ、脆弱性対応の強化を行うとともに、従業員へのリスクに対する教育の徹底や標的型攻撃メール対応訓練を実施しております。

 

③気候変動リスク

 気候変動などの環境問題に対する取り組みは企業に求められている社会的使命であり、特に当社では

0102010_005.png ”をコンセプトとする千本松牧場事業、美しい景観を誇るゴルフ事業など、当社のビジネスにおいて美しい自然環境はかけがえのない財産であることから、この財産を毀損されるリスクを当社のトップリスクとして捉え、これを守るための取り組みを全社レベルでフォローしております。

 

④顧客情報漏えい

 当社は、保有している個人情報については、各種法令諸規則等に基づく適切な取扱いに務め、社内管理体制を整備し、厳重に管理を行っております。

 しかしながら、人為的ミス、内部不正等によりお客様の情報等の重要な情報が漏えいした場合は、被害を受けたお客様への補償等が必要となったり、当社の信用が低下・失墜することにより、業務運営や業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、情報管理に関する方針・規程等の策定、社員教育、社内検査体制整備を行い、情報漏えいの防止に努めております。

 

⑤不正・不祥事

 役員・従業員の不正・不祥事が生じた場合には、お客さまへの補償や当社の信用失墜等により、当社の業務運営、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、「経営理念」「行動指針」及び「コンプライアンス規程」を策定し、役員・従業員に周知・徹底し、定期的な研修を実施することで企業倫理の向上に努めています。また、社内検査や内部通報窓口の設置等により、不正・不祥事の未然防止・早期発見できる体制を整えています。

 

⑥異物混入

 当社の千本松牧場事業の乳製品製造部門では、万一製造工程の中で健康に影響を及ぼす物質の混入等により品質問題・健康問題が発生した場合には、製品の廃棄・回収コストの発生、安全性が確保されるまでの工場の操業停止、お客様からの信用低下などにより、業績に悪影響を与えるリスクがあります。

 当社ではHACCP(ハサップ:食品製造の安全性確保の管理手法)の手法を取り入れ、生産設備の衛生管理や製造工程の順守チェックの徹底や、定期的な点検等により食の安全性の確保に努めております。

⑦食中毒リスク

 当社の千本松牧場事業の飲食・販売部門では、万一食中毒、異物混入等の品質問題が発生した場合には、営業停止あるいは風評悪化等により、業績に悪影響を与えるリスクがあります。

 当社では食品衛生法の規定に基づき、必要な営業許可等を取得し、食材の期限管理を始めとする安全・安心のための食品衛生管理ルールの策定と実践、衛生に関する社内研修の実施、食品衛生管理の外部専門家による指導などの食品衛生管理の徹底など、提供する食品の安全性確保に努めております。

 

⑧施設不具合

 当社の千本松牧場事業の各施設、アミューズメント遊具の老朽化等による不測の事故・不具合や自然災害等により、万一お客さまが重大事故に遭遇する事態が発生した場合や施設・設備の毀損による事業停止が生じた場合には、補償問題への対応、風評悪化等により、業績に悪影響を与えるリスクがあります。

 当社では、中長期的な修繕計画や定期的なメンテナンスの励行により各設備の品質維持・向上に努めております。

 

⑨サードパーティリスク
 当社の取引先・委託先の信用リスク、風評、品質管理、内部管理上の問題が顕在化した場合には、当社事業の継続が脅かされ、当社の事業及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、サードパーティとの取引開始時の検証や採り上げ後の期中モニタリング強化等により、リスク管理プロセスの向上に努めております。

 

⑩人材獲得・育成

 人口動態・雇用環境の変化に伴い、有能な人材を継続的に採用し定着を図ることが出来なくなった場合、人材不足による事業断念、継続困難に陥り、当社の事業及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、研修等の人材育成、職場の快適な環境整備や福利厚生を通じた社員のエンゲージメント向上策、優秀な人材を確保するための採用の多様化等により、従業員、採用市場にとって魅力的な会社作りに努めております。

 

 当社は4つの異なる事業を営んでおります。上記のトップリスクの他に、各事業の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると思われる事項について記載いたします。

 

①保険事業

 少子高齢化等社会環境の変化、景気動向等により保険市場が縮小する一方、銀行の窓口販売の拡大や保険会社の再編もあり、代理店収益が圧迫される等の影響があります。また個人情報の流出事故や保険業法違反等コンプライアンス面の問題が起きれば、信用低下を招き業績悪化に繋がるリスクがあります。

 当社では業務品質の向上を追求し続け、持続的な成長を実現するよう努めております。またコンプライアンス面では問題発生時の原因究明・再発防止策の策定と実践、事業部内検査や月次チェックの実施とフィードバックなど管理体制を構築するとともに、従業員への教育・研修を通して個人情報保護の重要性や保険業法他関連業法の遵守の認識を徹底することに努めています。

 

②不動産事業

 賃貸物件の需給関係、景況の変化及びビルグレードが空室率や賃料に影響を及ぼし、事業収益に影響します。また、多様化するテナントニーズに的確に対応できるかどうかが、空室率に影響します。老朽化によるビルグレードの低下や災害等による毀損が発生すれば、事業収益が大幅に圧迫されるリスクがあります。

 当社では、所有ビルの中長期的な修繕計画や定期的なメンテナンスの励行により賃貸物件の品質維持・向上に努めております。

 

③千本松牧場

 人口構成や消費者の嗜好変化、景気動向、消費者マインドの変化が業績に影響します。また、大規模な自然災害や事故のほか、雪・雨風・気温等の気候条件、特に夏休み等の繁忙期、土日祝日の天候が千本松牧場への来場者数に影響し、業績が左右される可能性があります。

 

④ゴルフ事業

 施設の老朽化による不測の事故・不具合や自然災害等により、ゴルフ場の営業中断の事態が発生した場合、信用の毀損、ご来場者数の減少に繋がり、業績に悪影響を与えるリスクがあります。また、景気動向や天候がご来場者数に影響し、業績が左右される可能性があります。

 当社では各施設の定期的な点検・修繕・メンテナンスにより、快適なコースコンディションの提供や清潔で管理の行き届いたクラブハウスの運営に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況] 1[財務諸表等] (1)[財務諸表] [注記事項]に記載しております。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5[経理の状況] 1[財務諸表等] (1)[財務諸表] [注記事項](重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

(2)経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が期待される中、緩やかに回復しました。個人消費は足踏みしつつも持ち直し、企業収益も総じてみれば改善しました。一方で、世界的な金融引締めや中国経済の先行き懸念等、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなり、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等から、不透明な状況が続きました。

このような状況下、当社は各事業がそれぞれの特性に応じた施策の推進に努めました。

当事業年度の経営成績は、営業収益につきましては、保険事業、不動産事業、千本松牧場は前期を上回りましたが、ゴルフ事業は前期を下回り、全体では5,480百万円(前期比294百万円増)と前期比増収となりました。営業総利益につきましては、保険事業、不動産事業、千本松牧場は前期を上回りましたが、ゴルフ事業は前期を下回り、全体では1,295百万円(前期比78百万円増)と前期比増益となりました。この結果、一般管理費も723百万円(前期比34百万円増)と前期を上回りましたが、営業利益は571百万円(前期比43百万円増)と前期比増益となりました。経常利益につきましては、営業外収益に計上したゴルフ会員権消却益が125百万円(前期比75百万円減)と前期を下回ったことを主因に、724百万円(前期比20百万円減)となりました。また、ゴルフ事業の収益性低下に伴い同事業用の固定資産の価値を見直し、特別損失に減損損失321百万円を計上しました。この結果、当期純利益は308百万円(前期比204百万円減)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

①保険事業

リスク管理の専門家としての強みを活かして、お客様に寄り添ったコンサルティングを推進するとともに、リスク管理パートナーとしての総合提案力の深化や、継続的な成長を実現し得る組織・体制の強化に努めました。営業収益は、生命保険分野では新たにいただいたご契約の減少を主因に前期を下回りましたが、損害保険分野では期日を迎えるご契約の更改が順調に進んだことに加えて新たなご契約も数多くいただいて前期を上回り、全体では1,179百万円(前期比27百万円増)となりました。営業原価は適正な経費コントロールにより前期を下回り、営業総利益は478百万円(前期比60百万円増)となりました。

②不動産事業

テナント様・入居者様に「安心安全」かつ「快適」な空間のご提供に努め、所有不動産の入居率はほぼ満室状態で安定的に推移しました。2023年11月に取得したユーレジデンス西大井の賃料収入寄与もあり、営業収益は1,277百万円(前期比65百万円増)となりました。営業原価は物件取得に伴う経費増等を主因に前期を上回り、営業総利益は760百万円(前期比24百万円増)となりました。

③千本松牧場

観光施設においては、各種メディアを通じた牧場プロモーションや団体のお客様の誘致に引続き注力するとともに、季節を感じていただける装飾やイベント、お子様向け遊具エリアの拡大等、ご来場者様により「安心安全」に、一層お楽しみいただける牧場づくりに努めました。ご来場者数は前期を上回って新型コロナウイルス感染拡大前の2019年9月期の9割程度にまで回復し、前期比増収となりました。

2023年12月に着工した新しいレストラン・売店棟は2024年9月に完成し、2024年10月にリニューアルオープンを迎える運びとなりました。また、2024年4月には牧場外で4店目となるソフトクリームショップを群馬県太田市のイオンモール太田に開店し、お客様から好評をいただいて順調に売上を伸ばしております。

外販営業はギフト商社向けの減収を主因に前期比減収となりました。引続きソフトミックスの卸売りや、東京駅構内での当社製品の販売等、他社との協業にも積極的に取り組んでおります。

酪農は搾乳牛頭数、搾乳量ともに減少しましたが、乳価改定等により前期比増収となりました。

この結果、営業収益は全体で2,249百万円(前期比255百万円増)となりました。営業原価は変動費の増加や施設のリニューアルに伴う費用計上を主因に前期比増加し、営業総利益は134百万円(前期比59百万円増)となりました。

④ゴルフ事業

SNSやメール配信システムを積極的に活用して情報発信に力を入れるとともに、魅力ある平日プランのご提供、会員様へのサービスの充実、大学ゴルフ部の合宿誘致、地元の企業様へのアプローチ等で、より多くの方にご来場いただけるよう努めました。また、ご来場いただいたお客様に、より楽しく快適にお過ごしいただけるよう、コースの醍醐味や楽しみ方をご案内するタブレット端末の設置、食事メニュー・レシピの改善、外部講師研修による接遇の向上等に取り組みました。

ゴルフ場の基盤であるコースコンディションの維持・向上につきましては、充実したコース整備計画を策定して年間を通じて取り組み、ご来場いただいたお客様に一層お楽しみいただけるコースのご提供に注力いたしました。

2024年6月には、西那須野カントリー倶楽部において4年連続となる男子プロトーナメントが開催され、参加された男子プロからゴルフコースを高く評価いただくとともに、ネット配信等を通じて、我が国有数のゴルフ場としての認知度を更に高めることができました。

営業収益は、料金改定の影響等によるご来場者の減少を主因に前期を下回り、773百万円(前期比54百万円減)となりました。営業原価はコース整備関連機器の更新や施設改修に係る費用の増加を主因に前期を上回り、営業総損失は77百万円(前期比65百万円悪化)となりました。

 

(3)財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の流動資産は3,122百万円となり、前期比659百万円減少しました。これは主に現金及び預金が減少したことによるものです。固定資産は16,677百万円となり、前期比1,605百万円増加しました。これは主に有形固定資産の増加によるものです。

この結果、総資産は、19,799百万円となり、前期比945百万円増加しました。

(負債)

当事業年度末の流動負債は1,771百万円となり、前期比531百万円増加しました。これは主に未払金の増加によるものです。固定負債は8,647百万円となり、前期比139百万円増加しました。これは主に長期借入金の増加によるものです。

この結果、負債合計は、10,419百万円となり、前期比670百万円増加しました。

(純資産)

当事業年度末の純資産合計は9,379百万円となり、前期比275百万円増加しました。これは主に当期純利益の計上によるものです。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前期比172百万円減少し、2,320百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税引前当期純利益525百万円を主因に734百万円の収入(前期は657百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出△2,274百万円を主因に1,080百万円の支出(前期は502百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入れによる収入500百万円を主因に173百万円の収入(前期は362百万円の支出)となりました。

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2022年9月期

2023年9月期

2024年9月期

自己資本比率(%)

45.5

48.3

47.4

時価ベースの自己資本比率(%)

22.1

24.4

34.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

4.8

4.3

4.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

20.6

22.5

23.8

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

      時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

      キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

      インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しておりま

 す。有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としてお

 ります。また、利払いは、キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。

 

当社は、事業運営上必要な運転資金や設備資金等の調達につきましては、内部資金または金融機関からの借入により調達することを基本としております。

 

(5)生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、保険事業・不動産事業・ゴルフ事業については生産を行っておりません。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2023年10月1日

    至  2024年9月30日)

前年同期比(%)

千本松牧場(千円)

581,659

104.7

(注)上記金額は、製造原価により表示しております。

 

 b.受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高 (千円)

前年同期比(%)

受注残高 (千円)

前年同期比(%)

千本松牧場

343,250

94.6

2,341

129.2

(注)上記金額は、販売価格により表示しております。

 

 c.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2023年10月1日

    至  2024年9月30日)

前年同期比(%)

保険事業(千円)

1,179,419

102.4

不動産事業(千円)

1,277,033

105.4

千本松牧場(千円)

2,249,748

112.8

ゴルフ事業(千円)

773,988

93.5

合計(千円)

5,480,189

105.7

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

当事業年度

(自 2023年10月1日

至 2024年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三井住友海上火災保険株式会社

569,221

11.0

630,923

11.5

 

 

5【経営上の重要な契約等】

契約先

契約内容

契約期限

締結日

針谷乳業株式会社

乳製品製造委託基本契約

2024年9月まで

(以後1年ごと自動延長)

2021年8月

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。