当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「くらしを楽しく、美しく。」を経営理念とし、人々の「くらし」をより良いものにしたいという普遍的な願いを実現することを経営の基本方針としております。住宅設備機器・建築資材のインターネット通信販売により複雑な流通プロセスを簡素化することで販売価格の不明瞭さを撤廃し、高品質な商品を適正価格で提供してまいります。これにより、消費者がフェアに商品選択できる市場を作り出し、建築・住宅市場の活性化につなげると共に、世界の人々の「くらし」で最も必要とされる企業集団を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループが重要と考えている経営指標は、事業規模の指標としての売上高、収益性の指標としての売上高営業利益率、投下資本の効率的運用の指標としての投下資本利益率であります。
負債・資本のバランスとそれぞれにかかるコストを意識した経営を行う中で、事業規模を拡大し、収益性を向上させることで、中長期的に企業価値を高めることを目指してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、中長期的戦略として以下の重点課題に対し積極的に取り組んでおります。
① 国内事業の収益基盤強化
認知拡大施策による認知度・採用意向の拡大、非住宅・リフォーム・リノベーション領域の集客拡大と当該領域に対応する商品開発、新規取り扱いカテゴリの拡充と生産管理強化による廃棄ロスの低減、顧客増加に対応するショールーム拡充など受け入れ体制の強化、UI・UXの見直しによるECプラットフォームのリプレイス、新たな配送ネットワークの構築と運賃体系の統一などにより、売上成長率のアップ、利益率の改善を目指してまいります。
② 海外事業の成長拡大
既進出国を中心にブランドの浸透を図ると同時に、現地法人や代理店を活用して売上の変曲点を作ることを目指してまいります。
③ 新事業の創造
M&Aの推進、ASOLIEネットワークの拡大と新規サービスの拡充、ポートフォリオの見直しによる住宅事業の収益化などを目指してまいります。
④ 経営基盤の強化
連結経営を踏まえたコーポレートガバナンスの強化と、人的資本戦略による理念浸透、マネジメント力の向上、優秀人材の育成など、さらなる成長を支える経営管理体制の強化を進めてまいります。
(4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ウクライナ情勢の長期化、原材料価格・原油価格の高騰、急激な為替相場の変動など、景気の先行きは極めて不透明な状況が続いておりますが、当社の事業領域と相関の高いEC市場におきましては、コロナ禍以降に利用が拡大し、巣ごもり需要の一服感はあるものの、今後もECの需要は衰えないことが予想されます。
また、建築業界内における競争の激化は続くとみられるものの、当社グループの事業規模に比してこの業界の市場規模は巨大であり、その中において当社グループはまだまだ認知されているとはいえない存在であることから、収益獲得の余地は大いにあると考えております。
このような状況の中、当社グループは以下のような課題に継続的に取り組むことで、収益の拡大を推進したいと考えております。
① オリジナル商品の拡充
当社グループは住宅設備機器・建築資材をはじめとした住空間にまつわる商品を幅広く豊富に取り揃えており、売上高の約8割がオリジナル商品(自社開発商品と国内で独占的に販売できる海外輸入商品)であります。このオリジナル商品を更に充実させることでお客様の商品選択の自由度を高めてまいります。デザインコンセプトは「ミニマリズム」で、そのシンプルで洗練された美しいデザインを極めると同時に、デザイン力や商品力によりブランド価値を向上させるべく世界的な工業賞に積極的に応募してまいります。また、国内調達商品においては意匠的に独創性の高い商品を投入し、周辺領域へも商品ラインナップを拡充することで、お客様のライフスタイルに合わせた住空間のコーディネートを当社グループがトータルにプロデュースできる品揃えを目指してまいります。
② 海外展開の推進
当社グループの事業規模に対して市場規模は巨大といえますが、日本国内における住宅着工件数が下がっていく中、国内のみの事業ではいずれかの時期に成長の鈍化・停滞が起こると考えております。そのためオリジナリティと適正価格を併せ持つ自社開発商品の強みを生かし、進出国によってスキームを変え、各国の状況に最も適した方法で販売の基盤を作り、売上の拡大を目指してまいります。
③ 価格競争力の追求
インターネット通信販売の強みを生かして、既存の商流、流通を経由しないことによって獲得できる価格競争力を今後も維持したいと考えております。また、調達価格低減のため、単一の商品を複数の仕入先で生産できるようにするなど、常にコストダウンや適正な在庫量を意識して業務を推進してまいります。
④ 周辺サービスの拡充
当社グループは、住宅設備機器及び建築資材を網羅的に取り扱っておりますが、お客様からは商品販売にとどまらない施工まで含めたサービスに対するご要望があります。この状況に対し、子会社による施工の実施や、全国の施工業者ネットワークを利用した工事会社紹介サービスの実施により、適正かつ透明性の高い価格での周辺サービスの充実に努めてまいります。
⑤ 知名度の向上
当社グループは現在、東京、大阪、仙台、名古屋、京都、福岡といった主要都市にショールームを設置しているほか、札幌、横浜には完全無人のスマートショールーム®が、また、九州北部エリアには住宅事業の拠点があります。これらショールームと拠点を通じて、お客様との接点を増やしてまいると同時に、TVCMや交通広告といったマス広告に加え、メディアリレーションの強化による大型パブリシティの獲得などで知名度を向上させてまいります。
⑥ 組織体制の強化
当社グループは、比較的小規模な組織で運営されており、内部管理体制もこれに応じたものとなっておりますが、今後、事業の拡大に応じて必要になる人員を適時に補充し、内部管理体制の一層の充実を図ってまいります。また、社内研修制度など育成面の充実を図り、従業員一人ひとりの能力を十分に活かすための取り組みを推進すると同時に、必要に応じて外部顧問による助言を受けるなど、経営基盤の強化及び商品企画・開発・品質と商品販売体制の更なる強化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「世界の人々の『くらし』で最も必要とされる企業集団を目指します」を長期ビジョンとし、その中で「私たちは事業活動を通じて、社会・環境の持続可能性を追求し、子供たちの明るい未来を創ります」と謳っております。
また、サステナビリティ基本方針「ミラタップは、人々のくらしに関わる企業として、日々の企業活動の中で責任ある行動をとり、経営理念、長期ビジョンを実現していく過程で、持続可能な社会への貢献を果たしてまいります」を制定し、その実現を目指しております。
(1)ガバナンス及びリスク管理
当社グループにおいては、サステナビリティ関連のリスクを管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様になります。当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「
(2)戦略(人的資本について)
当社グループは持続可能な社会への貢献と継続的な事業成長を確保するため、人的資本戦略を重要な経営戦略のひとつとして位置づけ、以下のとおり中期的な取り組みテーマを設定しております。
① 目指す企業文化・組織風土の定義と確立
② 高い事業成長率を実現するための優秀な人材の獲得・育成
③ セクショナリズムの廃止と協働関係の構築、社内のバリューチェーンの結びつき強化
また、人材の育成に関する方針として、人材マネジメント方針を掲げ積極的に人材育成に取り組んでおります。
(人材マネジメント方針)
1. 人材育成と、全社で団結できるチームワーク醸成に強い関心を払う
2. チャレンジを推奨する(失敗は学びに変える)
3. フィードバックを大切にする
4. 実績(結果)と具体的行動によってのみ評価する
5. 愛社精神を持ち、懸命に業務に取り組む人に敬意を払う
6. 視座の高いリーダー人材を育成する
7. 多様な価値観を認める
社内環境整備に関する方針につきましても、フレックスタイム制度、半日有給休暇制度、在宅勤務制度、プレミアムフライデー等の制度を設けることにより柔軟な働き方を実現し、残業時間の抑制、有給休暇の取得推奨、社内部活動等とあわせて、心身ともに充実し、従業員がその能力を存分に発揮できる環境整備に努めております。
(3)指標及び目標
当社グループにおいては、上記「(2)戦略(人的資本について)」において記載した人材の育成に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する当社の目標及び実績は次のとおりであります。
指標 |
目標( |
実績 |
|
|
|
(注)当該目標及び実績は当社単独のものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループの事業について
① 当社グループの主要事業が採用する販売形態について
当社グループの主要事業である住設・建材EC事業において販売する全ての商品は、当社グループの会員に対して、ウェブサイト、カタログ等において販売価格を明示しており、価格の透明性を確保しております。一方で、この販売形態は、相対取引の場において都度価格が決定される建築業界においては極めて異例の販売手法であり、価格が明示されることで、中間業者が介在する余地をなくし、また当社グループが関与しない取引の価格にも影響を及ぼす可能性があります。
以上のことから、当社グループの主要事業が採用する販売形態は、建築業界における商慣習と相反するものであり、このことが当社グループの事業の成長を阻害する要因となる可能性があります。
② 競合について
当社グループの主要事業と同様のビジネスモデルを採用して事業を行う会社は、当社グループ以外にも存在しておりますが、その多くが特定のジャンルの商品を取扱っており、当社グループのように、インターネット通信販売事業において住宅内装設備関係の数多くの建築資材を取扱う会社は極めて少ないと認識しております。
昨今のインターネット市場拡大により建築業界においてもEC販売参入を検討する企業の増加も考えられる中、当社グループは、当社独占販売である海外商品を中心とした商品の選定及び当社オリジナル商品の企画開発力にて競合他社との差別化を図る所存でありますが、当社グループが提供する商品よりも優れた商品や模倣商品を供給する競合会社が現れた場合、当社グループの競争力は相対的に低下することとなり、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 独占的契約について
当社グループの主要事業が取扱う輸入品のうちヨーロッパから輸入する商品については、当社グループのみが取扱う商品でありますが、これは独占販売契約、代理店契約等の書面による契約によって確保されたものではなく、現地の商慣習によるものであります。
当社は、この商慣習に従い現地の取引先からの仕入を行っておりますが、今後予測し得ない事態により、現在確保している独占状態を喪失した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 商品・サービスの品質に対する責任について
当社グループは、主要事業を中心に企画、開発、購買、販売の各段階での審査、監査等を通じて商品・サービスの品質を確保出来るよう、品質保証体制を構築しておりますが、万一、当社グループが提供する商品・サービスの品質に欠陥が生じた場合、当社グループの社会的信用は低下し、また損害賠償責任等の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システム障害について
当社グループの主要事業での事業遂行においては、ウェブサイトによる販売活動はもとより、受発注業務、会計処理など、業務の大部分においてコンピュータシステム及びそのネットワーク(以下、総称して「システム」と称します。)を活用して経営効率を高めております。
当社グループは、主要事業の事業遂行におけるシステム障害のリスクを低減するために、定期的なバックアップ、サーバーの二重化等の対策を施しておりますが、これらによりシステム障害を完全に回避することは困難であり、またインターネット回線など、当社グループが管理しない設備機器における障害の可能性も排除できないことから、万一、障害等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 商品の供給体制について
当社グループは、自らが企画した商品について、外部の取引先に製造を委託することによりオリジナル商品を供給しております。この外部の取引先は、商品の開発段階で信用力、生産能力等を確認のうえ選定を行っておりますが、何らかの事情で製造を委託した商品が供給されないこととなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)大規模災害による影響について
当社グループの在庫商品の多くは特定の物流拠点に集約しており、ここで商品の納入から検品、配送まで一貫して行っております。在庫及び物流機能を特定の地域に集中させる理由は、在庫管理及び物流に関するコストの低減を図るという経営判断に基づくものであります。
当社グループは、在庫商品の分散、在庫商品への火災保険付保を行っておりますが、地震等大規模災害により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替変動の影響について
当社における仕入取引の10.9%(当事業年度実績)は外貨建の取引であり、また一方で、海外事業の推進により、今後は外貨建の販売が増加することが見込まれるため、為替変動は当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)個人情報の管理について
当社グループは、事業活動の過程で取得した顧客情報を保有しており、かつこの顧客情報の中には個人情報も含まれております。これら顧客情報については、当社においては社内規程及び運用マニュアルなどを策定し内部管理体制を徹底するとともに、システムやセキュリティの強化などに取り組むことで厳重に管理しており、当社以外の当社グループ会社においても体制の強化を図っております。
このように、顧客情報の取扱いについては細心の注意を払っておりますが、万一、個人情報の流出などの重大なトラブルが発生した場合には、当社グループに対する社会的信用が低下し、また損害賠償請求等により、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)有利子負債への依存と金利変動の影響について
当社グループは、事業拡大のための資金を金融機関からの借入れに依存しており、当連結会計年度末における総資産に対する有利子負債依存度は、33.4%となっております。新規及び借り換え時の資金調達において金融機関等との折衝が滞り資金の調達に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの当連結会計年度末における有利子負債残高は3,129百万円となっております。現在は、当該資金を主として固定金利に基づく短期借入金等により調達しているため、一定期間においては金利変動の影響を受けないこととなりますが、新たに借り換え等を行う際、資金調達コストが変動している場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)原材料価格の上昇について
当社グループが販売する商品の多くは木材、石油、金属等の資材価格の変動の影響を受けるものであります。当社グループは年間販売予定数量の取引先への開示、大量発注等により常に仕入価格の低減に努めておりますが、資材価格の高騰などにより仕入価格の上昇が避けられない事態となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法的規制について
当社グループの主要事業は一般消費者を含めたお客様への通信販売事業であり、当社グループのカタログやウェブサイトに掲載された商品情報については、「特定商取引に関する法律」、「消費者契約法」、「不当景品類及び不当表示防止法」及び「不正競争防止法」等の規制を受けております。また、当社グループの取扱商品及び提供役務の一部に関しましては、品質等に関する問題について「製造物責任法」「建設業法及び関連法」等により規制を受けております。上記規制以外にも、海外展開による現地法令、商品輸入に関連した貿易関連法令や商品開発に係る商標権や意匠権等、産業財産権関連法令等の規制も受けております。
当社グループでは、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備、販売管理体制の構築、また適宜、顧問弁護士のアドバイスを受ける等、法的規制を遵守する管理体制を整備しておりますが、法令に違反する行為がなされた場合及び法令の改正や新たな法令の制定が行われた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)内部管理体制について
当社グループは今後、事業の拡大に応じて必要になる人員を適時に補充し、内部管理体制の一層の充実を図りますが、人員補充の遅れや優秀な人材の流出により、当社グループの業務運営に支障をきたす可能性があります。
(9)住宅事業について
住宅事業において、当社グループは建売住宅事業、注文住宅事業を展開しておりますが、物件仕入れが期待どおりに進捗しない場合や販売用不動産が長期にわたり滞留した場合、また所有不動産の時価が大幅に下落した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)固定資産の減損について
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準等に従い、不動産、ショールームの内装、設備、什器等を含む保有資産について定期的に将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失の認識・測定を行っており、固定資産の減損損失を計上することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)ストックオプション等株式報酬の提供による株式価値の希薄化について
当社グループは、取締役及び従業員の業績向上へのインセンティブを高めることを狙いとして、譲渡制限付株式報酬制度及びストックオプション制度を採用しております。今後も同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があり、その場合は、当社グループの1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
(12)投資有価証券の評価損の計上について
当社グループは、中長期的な企業価値の向上に向けて、事業の展開上必要と思われる企業への出資を行っており、今後もその可能性があります。そのような有価証券への投資においては、株価の著しい下落あるいは投資先企業の著しい業績低迷等が生じた場合、投資有価証券評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)サイバーセキュリティについて
近年、サイバー攻撃の技術はますます高度化しており、その手法も多様化しております。標的となるリスクのある当社においては、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種情報セキュリティ対策を実施しており、当社以外の当社グループ会社においてもセキュリティレベルの引き上げを図っておりますが、不正アクセスやサイバー攻撃を受け、重要なシステムの誤作動や停止、保有する機密情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜、事業活動の混乱や停滞、取引先等への補償等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)国内外の個人情報に関する新たな規制の導入について
インターネット上のプライバシー保護の観点から、OS事業者によるCookie規制、GDPR、eプライバシー規則、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)、その他海外進出国での個人情報関連法令改正強化等の国内外の個人情報に関する新たな規制の導入などを受け、規制強化がなされた場合に、インターネット広告での集客に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)決済方法とセキュリティについて
当社グループの主要事業は、商品販売の決済にクレジットカード決済を利用しておりますが、不測の事態により、利用者のクレジットカード情報が漏洩した場合、あるいは盗用されたクレジットカードが当社グループの決済に不正使用されることが増加した場合、信用低下による取引の縮小や停止、損害賠償が発生するなど当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)M&Aについて
第44期に子会社化した株式会社ベストブライトは、今後、当社グループの業績に貢献するものと見込んでおります。しかしながら、事業環境の変化等により当初の想定を下回る場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)商号変更について
当社は、2024年10月に商号を「サンワカンパニー」から「ミラタップ」へと変更いたしました。商号変更にともない、既存・潜在顧客や取引先の間で旧商号の認知が根強く残っている場合、新商号が広く浸透するまでの間にブランド認知が一時的に低下し、顧客の信頼度や取引意欲に影響を与える可能性があります。また、新商号の浸透を図るため、広告やプロモーションなどの追加的なマーケティングコストが発生し、当社の収益に一時的な影響を及ぼすリスクがあります。これらのリスクを最小限に抑えるため、新商号の認知向上およびブランドイメージの強化に取り組んでおりますが、これらの対策が十分に機能しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概況
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用が改善し、名目賃金が増加する中で、物価高による実質賃金の低
迷で弱含んだ個人消費は徐々に下げ止まり、緩やかに持ち直しているものの、コロナ禍明け後のサービス需要の
回復一巡や天候不順のマイナス影響に加え、ウクライナ情勢長期化等による世界経済の減速、日本銀行の利上げ
や物価上昇を背景とした消費者マインドの悪化、実質購買力の低下による個人消費の落ち込みといった景気下振
れ要因も多く、景気が減速するリスクも残っております。
住宅業界におきましては、新設住宅着工戸数が減少傾向となっていることに加え、資材価格や人件費の高騰に
よる建築コストの増加、2024年4月から建設業や物流業に時間外労働の上限規制が導入されたことによる人手不
足の深刻化など、引き続き厳しい事業環境が継続しております。
このような状況の中、当社グループは当連結会計年度を成長加速期の最終年度として、積極的な投資を行い、
長期ビジョン達成に向けた道筋を作ることを目指し、国内事業の収益基盤強化、海外事業の成長拡大、新事業の
創造に取り組みました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高16,123百万円(前年同期比4.0%増)、営業利益830百万円(前年同期比21.1%減)、経常利益796百万円(前年同期比23.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益635百万円(前年同期比21.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、各事業セグメントの売上高には、事業セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
イ.住設・建材EC事業
住設・建材EC事業におきましては、価格改定による購入単価の上昇と既存顧客のリピート購入増加等により
前年同期比で増収となりました。商品カテゴリ別では、引き続き洗面カテゴリが順調に伸びており、中でも、
洗面空間をすっきり見せるスリムミラーボックス≪スミス≫が順調に売り上げを伸ばし、発売開始から約2年
で売上の柱となる商品に成長いたしました。また、幅を1ミリ単位でオーダーできるシリーズが好評で、当期
におきましても、当該シリーズに新規アイテムを追加し、あらゆる空間のニーズに応えるべく品揃えを拡充し
ております。インスタグラムのフォロワー数は当連結会計年度の目標としていた17万人を突破し、ECサイトの
登録会員数も順調に増加しております。一方、今後の事業拡大に向けた人材投資やシステム投資などの費用増
加でコストは前年同期より増加していますが、売上高が想定ほど伸びなかったことで、利益面では前年同期比
で減益となりました。
以上の結果、売上高14,521百万円(前年同期比2.9%増)、セグメント利益1,511百万円(前年同期比10.1%減)となりました。
ロ.住宅事業
住宅事業におきましては、市場冷え込みの影響を受け、回転が悪くなっていた在庫を安く販売したことにより、売上高は増加しましたが、粗利額が減少し、セグメント損失となりました。一方、加盟工務店と一体となって自由設計でデザイン性の高い住宅設計を可能としていくサービス≪ASOLIE≫では、加盟工務店が当社の提供するデザインコードを利用して建築した「≪ASOLIE≫の家」の建築が進み、加盟工務店へ向けた住設・建材の売上が増加しております。
以上の結果、売上高1,609百万円(前年同期比14.7%増)、セグメント損失80百万円(前年同期はセグメント損失55百万円)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
イ.資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ254百万円増加し、9,357百万円となりました。その主な要因は、建設仮勘定の増加289百万円、棚卸資産の増加205百万円、繰延税金資産の増加108百万円を計上した一方で、現金及び預金の減少316百万円を計上したことによるものであります。
ロ.負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ266百万円減少し、5,782百万円となりました。その主な要因は、前受金の増加13百万円を計上した一方で、短期借入金の減少231百万円を計上したことによるものであります。
ハ.純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ521百万円増加し、3,574百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金の増加452百万円、新株予約権の増加55百万円を計上したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して284百万円減少し、2,042百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
イ.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は536百万円(前年同期比22.8%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益785百万円、減価償却費166百万円を計上した一方で、法人税等の支払額437百万円を計上したことによるものであります。
ロ.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は419百万円(前年同期比5.3%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出291百万円、無形固定資産の取得による支出63百万円、投資有価証券の取得による支出50百万円を計上したことによるものであります。
ハ.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は400百万円(前年同期は946百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額による支出231百万円、長期借入金の返済による支出187百万円を計上したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。
ロ.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、当社グループ全体の事業活動に占める比重が極めて低いため、記載を省略しております。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期比(%) |
住設・建材EC事業(千円) |
14,516,691 |
103.0 |
住宅事業(千円) |
1,606,448 |
115.0 |
合計(千円) |
16,123,140 |
104.0 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年10月1日 至 2024年9月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
渡辺パイプ株式会社 |
1,570,354 |
10.1 |
1,795,695 |
11.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等
(財政状態)
当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概況 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(経営成績)
当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高16,123百万円(前年同期比4.0%増)、営業利益830百万円(前年同期比21.1%減)、経常利益796百万円(前年同期比23.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益635百万円(前年同期比21.0%増)となりました。
以下に、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析いたします。
イ.売上高の分析
住設・建材EC事業において価格改定による購入単価の上昇と既存顧客のリピート購入増加を背景とした順調な成長と、加盟工務店へ向けた住設・建材の売上が増加したことにより、当連結会計年度における売上高は16,123百万円となり、前連結会計年度(15,495百万円)と比較して627百万円の増加となりました。
ロ.営業利益の分析
住設・建材EC事業において今後の事業拡大に向けた人材投資やシステム投資等の費用の増加により、当連結会計年度における営業利益は830百万円となり、前連結会計年度(1,052百万円)と比較して222百万円の減少となりました。
ハ.営業外損益の分析
当連結会計年度の営業外収益は1百万円となり、前連結会計年度(19百万円)と比較して17百万円の減少となりました。その主な内訳は、雑収入1百万円であります。
また、当連結会計年度の営業外費用は35百万円となり、前連結会計年度(34百万円)と比較して1百万円の増加となりました。その主な内訳は、支払利息18百万円、為替差損8百万円であります。
ニ.特別損益の分析
当連結会計年度の特別利益は1百万円となり、前連結会計年度(6百万円)と比較して4百万円の減少となりました。その主な内訳は、投資有価証券売却益0百万円であります。
また、当連結会計年度の特別損失は12百万円となり、前連結会計年度(172百万円)と比較して159百万円の減少となりました。その主な内訳は、投資有価証券評価損7百万円であります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、仕入代金(販売用不動産等含む。)、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するために、自己資金、当座貸越枠及びコミットメント枠を余剰に確保することで対応しております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,042百万円となっております。
③ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について
当社グループは、負債・資本のバランスとそれぞれにかかるコストを意識した経営を行う中で、事業規模を拡大し、収益性を向上させることで、中長期的に企業価値を高めることを目指しており、売上高、売上高営業利益率及び投下資本利益率(ROIC)を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における売上高は16,123百万円、売上高営業利益率は5.1%及び投下資本利益率(ROIC)は9.0%であり、引き続き当該指標の改善に努めてまいります。
④ 経営戦略の現状と見通し
今後の見通しにつきましては、個人消費は、コロナ禍明け後の需要回復一巡、実質賃金の減少継続がマイナス要因ではあるものの、春闘での高い賃上げ率が反映され、所得環境が改善するのに合わせて持ち直していくことが見込まれます。しかしながら、ウクライナ情勢長期化等による世界経済の減速、日本銀行の利上げや物価上昇を背景とした消費者マインドの悪化、実質購買力の低下による個人消費の落ち込みといった景気下振れ要因も多く、景気が減速するリスクも残っております。また、当社を取り巻く環境としても、建設業や物流業に時間外労働の上限規制が導入されたことによる人手不足の深刻化など、引き続き厳しい事業環境が継続することが考えられます。
このような状況の中、当社では引き続き、国内事業の収益基盤強化、海外事業の成長拡大、新事業の拡大、経営基盤の強化に努め、2024年10月1日の社名変更を機に一気に認知度を拡大することで、事業の拡大、投資の収益化を行い、長期ビジョンを完遂するフェーズへと入ってまいります。
住設・建材EC事業におきましては、商品開発とマーケティングを駆使したECによる事業拡大を軸に、非住宅、リフォーム・リノベーション領域の強化も進めてまいります。新社名の認知では、TVCMや交通広告といったマス広告に加え、メディアリレーションの強化による大型パブリシティの獲得などで一気に認知度を高めて当社商品の採用意向を拡大し、新規顧客の獲得を進めてまいります。商品開発においては、次のフラッグシップモデルとなる商品を発売し、将来の収益源となる商品を投入してまいります。また、住宅に限らず、あらゆる空間に対応した商品、クロスセルが生まれる新規カテゴリ商品の開発など、当社の強みを活かした商品開発を推進してまいります。海外では、引き続き各国の状況に最も適した方法で販売の基盤を作ることに加え、これまでの各国展開で得た知見や事例を他国に水平展開することで、売上の伸長を目指してまいります。
住宅事業におきましては、ポートフォリオを見直し、市場の変化に強い体質をつくることを目指してまいります。また、住宅販売におきましては、物件を都市部に集中させることで単価アップを狙い、販売スピードを上げることでキャッシュ・フローの安定につなげてまいります。≪ASOLIE≫では加盟店の増加によるネットワークの拡大、加盟店へのフォロー強化と新サービスの提供、当社商品を採用したモデルハウスの建築推進など、住設・建材EC事業とのシナジーも拡大してまいります。
社内体制につきましては、高い事業成長を実現するための人材育成と獲得を目指すほか、セクショナリズムを廃して協働関係を築き、社内のバリューチェーンの結びつきを強くすることを目指してまいります。
相手先 |
契約年月日 |
契約内容 |
岩田全可 |
2024年6月1日 |
京都ショールームの賃貸借契約 |
該当事項はありません。