独立監査人の監査報告書

 

 

 

2025年1月10日

 

株式会社アクアライン

取締役会 御中

 

 

監査法人やまぶき

   東京事務所

 

 

 

指定社員
業務執行社員

 

公認会計士

西  岡  朋  晃

 

 

 

指定社員
業務執行社員

 

公認会計士

江  口  二  郎

 

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社アクアラインの2023年3月1日から2024年2月29日までの連結会計年度の訂正後の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社アクアライン及び連結子会社の2024年2月29日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

継続企業の前提に関する重要な不確実性

 継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は過年度より継続して営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、当連結会計年度においても営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。なお、当該事象又は状況に対する対応策及び重要な不確実性が認められる理由については当該注記に記載されている。連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような重要な不確実性の影響は連結財務諸表に反映されていない。

 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。

 

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

当監査法人は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性」に記載されている事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。

 

水まわりサービス支援事業に係る加盟店等に対する売上高

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 連結財務諸表注記(セグメント情報等)【セグメント情報】に記載のとおり、当連結会計年度における水まわりサービス支援事業セグメントの売上高は2,783,271千円であり、連結損益計算書における売上高の57.4%を占めている。

 当該事業セグメントにおける売上高は、会社と契約している加盟店等に対する売上高で構成されており、各加盟店等との個別の契約ごとに取引条件が異なる。顧客から依頼を受けて加盟店等に送客した件数に基づいて売上高を認識する方法の他、一部の契約では契約条件の達成如何によって対価が確定する場合もあり、取引価格の算定に際しては、各加盟店との契約ごとの判断が求められる。

 会社は各取引を適切に処理するための内部統制を整備・運用しているが、売上高を算定する過程において、各加盟店との間で約束された取引価格の算定に誤りが生じた場合には、売上高が適切に計上されないリスクが想定される。

 水まわりサービス支援事業は、会社の主要事業に位置付けられ、当該事業に係る売上高は、会社の業績に与える影響が大きく、財務諸表利用者からの注目度も特に高いと考えられることから、当監査法人は、水まわりサービス支援事業に係る加盟店等に対する売上高が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、「監査上の主要な検討事項」に該当すると判断した。

 当監査法人は、水まわりサービス支援事業に係る加盟店等に対する売上高を検討するにあたり、主として以下の監査手続を実施した。 

上高に係る実証手続

・加盟店契約書の閲覧等により、加盟店ごとの契約内容の理解及び取引価格の算定方法が取引実態と整合していることを確かめた。

・加盟店ごとに契約内容に基づいて計上された売上高について、関連する証憑の閲覧及び再計算等を実施し、加盟店ごとに契約内容に基づいて売上高が正確に計算されていることを確かめた。

・特定の加盟店に対して直接ヒアリングを実施し、加盟店取引に係る経済的合理性の検証及び債権債務残高の確認を実施した。

・毎月の入金状況を検証した。

・期末日基準で売掛金の確認手続を実施した。

 

 

 

不適切な資金移動に関する修正処理の適切性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

連結財務諸表の【注記事項】(追加情報)に記載のとおり、水まわりサービス支援事業における加盟店との取引に対する債権債務の回収行為等について不適切な会計処理の疑義が生じたため、2024年7月5日に外部の弁護士・公認会計士を含む特別調査委員会を設置して調査を進め、2024年9月18日に特別調査委員会から調査報告書を受領した。

その結果、水まわりサービス支援事業を取り扱う特定の加盟店に対する債権債務に関する回収及び支払の一部は、経済的実態としては、株式会社アクアライン(以下「会社」という。)及び会社の代表取締役社長並びに特定の加盟店等の資金を複数の取引先を経由して移動させているのみであり、資金循環であるとの報告を受けた(以下「不適切な資金移動事案」という。)。

そのため、会社は、資金移動取引に関する売掛金、未収入金、預り金、未払金及び長期貸付金並びに差入保証金の計上あるいは消込処理を修正した。また、新たに識別した代表取締役社長からの資金移動については金融取引として認識し、長期借入金を計上するとともに、関連当事者取引として、代表取締役社長からの資金移動に関する取引金額、長期借入金等を注記するため、決算の訂正を行った。当該訂正により、当連結会計年度において開示された関連当事者との取引は、以下のとおりである(連結財務諸表【関連当事者情報】参照)。

(取引の内容及び取引金額(単位:千円))

取引の内容        取引の金額

運転資金の借入       140,000

資金の返済          24,000

(期末残高(単位:千円))

科目            期末残高

1年内返済予定の

長期借入金         116,000

 

また、上記の一連の修正により特定の加盟店に対する

金銭債権に対して追加の貸倒引当金を計上している。

会社は、不適切な資金移動事案が生じた原因として、

経営陣のコンプライアンス意識の希薄さ・役職員の適正な会計処理を実施するための会計リテラシーの低さ、相互牽制機能の不全、取引関係の不適切さ(会社と加盟店との間の馴れ合い)、経理部門・内部監査部門の機能不全等を挙げている。

会社は、これらの統制環境や統制活動、モニタリング

に関する不備は全社的な内部統制の不備であり、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当するものと判断している。

当監査法人は、以下の理由により、「不適切な資金移

動に関する修正処理の適切性」が当連結会計年度の連結財務諸表の監査において特に重要であることから、監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

(1)不適切な資金移動事案の事実関係の正確かつ網羅的な把握のために、経営者の利用する不正調査の専門家を利用したうえで、監査上慎重な判断を行使する必要があること

(2)不適切な資金移動事案に係る会計処理の訂正の検証並びに訂正監査において入手した全ての情報を踏まえた不正による重要な虚偽表示リスクの追加識別及びリスク対応手続の見直しにより、十分かつ適切な監査証拠を入手する必要があること

(3)その他関連当事者取引の未開示の存在も考慮し

て、関連当事者注記が正確かつ網羅的に作成されているかを慎重に検討する必要があること

当監査法人は、不適切な資金移動事案に関する修正

処理の適切性について、主として以下の監査手続を実施した。

 

(1)特別調査委員会の調査報告書の信頼性の評価

特別調査委員会の調査に関して、事実関係を網羅的

に把握していること、及び、調査報告書の信頼性や適合性を確かめるために以下の手続を実施した。

・特別調査委員会の適性、能力、独立性及び業務の客観性について評価した。

・特別調査委員会の行った調査の調査範囲、実施手続、調査結果の合理性の評価のため、同委員会が作成した資料の閲覧及び再実施並びに調査委員会メンバーへの質問を実施した。

 

(2)リスク評価及びリスク対応手続の見直し

・調査報告書と当監査法人が入手した他の監査証拠と

の間に不整合が生じていないかどうかを検討した。

・調査報告書における発生原因分析の評価を行った。

・訂正監査において入手した全ての情報を踏まえて、

不正による重要な虚偽表示リスクが高いと判断する不

適切な資金移動事案と類似の性質を有する非通例な取

引を抽出して不正による重要な虚偽表示がないかどう

かを検証した。

・不適切な資金移動事案について、調査結果に基づい

て、会計処理の訂正が合理的に行われているかを検討

した。

 

(3)その他関連当事者取引の未開示の存在を考慮した

関連当事者注記の検証

・不適切な資金移動事案が関連当事者注記に正確かつ

網羅的に反映されていることを確認した。

・その他関連当事者取引の未開示を踏まえた会社によ

る関連当事者取引に係る追加調査を評価し、関連当事

者注記が正確かつ網羅的に作成されているかを評価し

た。

 

 

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

その他の事項

 有価証券報告書の訂正報告書の提出理由に記載されているとおり、会社は、連結財務諸表を訂正している。なお、当監査法人は、訂正前の連結財務諸表に対して2024年5月31日に監査報告書を提出しているが、当該訂正に伴い、訂正後の連結財務諸表に対して本監査報告書を提出する。

 

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。 

 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。 

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・  連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

 

・  経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・  経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・  連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・  連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

(注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。