第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

<グループ理念>

 私たちは「安全・安心」と「価値ある商品・サービス」の提供を通じて、お客様の健康で豊かな食生活に貢献します。

<経営理念>

 ・お客様のニーズを追求し、変革を推進します。

 ・コンプライアンスを実践し、透明性の高い経営を行い、社会から信頼される企業を目指します。

 ・人を育て、働きがいのある、環境にやさしい企業を目指します。

 

 当社グループは、グループ企業間の連携を強化しつつ、それぞれの企業が得意分野の機能を強化し、消費者、取引先、株主、従業員などの利害関係者の信頼に応えていきます。

 

(2)経営環境

 わが国経済は、緩やかな回復が続くことが期待される一方、緊迫した世界情勢に加え、物価の上昇や金融資本市場の変動リスクなどに注意が必要であり、景気の先行きは不透明な状況が続くと考えられます。

 食品業界では、消費者の多様化するニーズおよび節約志向の高まりへの対応が求められております。

 

(3)中長期的な経営戦略および優先的に対処すべき課題等

 当社グループを取り巻く経営環境は、“食”の安全・安心に対する社会的要請の高まり、少子高齢化による人口構成の変化、ライフスタイルの多様化など、大きく変化しています。当社グループは、いかなる環境にも対応できる経営基盤を構築し、収益構造の強化を図るとともに、より企業価値を高め、持続的に成長する企業グループを目指します。

 食品関連事業においては、消費者のニーズを的確に捉えた商品開発、コスト上昇に対応した原価管理の徹底、生産性向上を目的とした省力化機械の導入推進や生産体制の見直しにより、国内コンビニエンスストア向け事業の拡充と収益力の強化を図ります。また、国内事業で培った商品開発力、生産技術力および品質・衛生管理力を海外事業に活用していくことで、さらなる成長に向けたグローバルな事業基盤を構築します。食材関連事業および物流関連事業においても、ビジネスチャンスを的確に捉え、強みを生かした事業拡大を図ります。

 品質管理と食品安全については、「衛生管理の徹底は他のいかなる業務よりも優先する」を合言葉に、衛生管理指導を徹底しています。わらべや日洋食品株式会社では、HACCPに沿った食品安全マネジメントシステム認証である「JFS-B」規格の適合証明を国内全工場で取得しています。また、当社にグループ全体の品質保証体制に関する管理を担う品質保証部、わらべや日洋食品株式会社に生産工場における品質管理運用に関する業務を担う品質管理部を設置しています。今後も、品質管理と食品安全の一層の強化を図ります。

 人材の活用については、従業員の処遇改善、働きやすい職場環境の提供、女性および外国人従業員のさらなる活躍推進などに努めています。また、中長期的な人材基盤の一層の強化を目的として2022年3月に多様化推進委員会を設置しています。

 コーポレート・ガバナンスの基本としては、経営の監視機能および内部統制機能の充実、コンプライアンス経営の徹底を通じて、企業価値の向上に努めることとしています。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、ROEを重要な経営指標と位置づけております。2028年2月期を最終年度とする中期経営計画において、連結ROE10%以上を目標としています。

 当連結会計年度の連結ROEは8.2%(前期比2.5ポイント改善)となりました。国内既存事業における収益力の向上、成長分野と位置づけている海外事業の拡大などにより、中長期的に目標の達成を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(サステナビリティ)

 当社グループは、グループ理念(私たちは「安全・安心」と「価値ある商品・サービス」の提供を通じて、お客様の健康で豊かな食生活に貢献します。)の下、グループの持続的な成長と共に、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指すことを基本方針としており、5つのマテリアリティを特定しました。

 

・循環型社会への貢献(脱炭素を推進し、環境負荷の低減を図り、循環型社会の実現を目指す)

・食の喜びの提供(お客様の安全・安心で多様な食生活に貢献する)

・持続可能なサプライチェーンの実現(気候変動や社会情勢変化に対応した安定的な食料の調達・供給)

・働きがい、人権と多様性の尊重(全ての人が活躍できる仕組みの確立)

・強固な事業基盤の確立(事業環境の変化に合わせた柔軟かつ迅速な対応力の強化)

 

 5つのマテリアリティは、それぞれにグループ目標(手段・KPI)を設定しており、2030年度までの目標に向けて社内各部署がマテリアリティに取り組んでまいります。

(1)気候変動への対応

 当社グループでは特定した5つのマテリアリティの一つに「循環型社会への貢献」を定めており、気候変動問題は当社グループの事業活動や社会に重大な影響を及ぼすものであると認識しています。そのため、気候変動がもたらす影響を把握するとともに、その対策を講じることにより、持続的な成長と持続可能な社会の実現に貢献できると考えています。この考えのもと、TCFD(気候関連財務情報タスクフォース)の提言に基づく「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」のフレームワークに沿って情報開示を進めています。

① ガバナンス

 当社グループでは、グループとして気候変動を含むサステナビリティ課題に対する取り組みを推進するため、2021年12月より代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しています。本委員会は年4回開催し、サステナビリティを巡る各種議論を行い、サステナビリティに関する各種方針や目標、施策などを決定しています。このうち気候変動に関しては、シナリオ分析を通じたリスクや機会の分析、CO2排出量や産業廃棄物排出量削減目標の設定、およびこれら目標の達成に向けた施策の検討、進捗管理などを行っています。本委員会における審議・決定内容は、開催の都度取締役会へ報告されます。取締役会は、気候変動をはじめサステナビリティに関する重要事項の決定を行い、サステナビリティ全体を監督しています。

 

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② 戦略

 当社グループでは、気候変動によるリスクおよび機会の特定にあたり、シナリオ分析の手法を通じた評価分析を実施しています。「国際エネルギー機関(IEA)」や「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が公表するシナリオを参考に、「4℃シナリオ」と「1.5℃シナリオ」の2つの将来世界観のもと、定量・定性の両面で影響を評価しています。なお、以下報告する分析結果については、2023年に、「わらべや日洋ホールディングス株式会社」および「わらべや日洋食品株式会社」を対象に、2030年および2050年時点の影響について評価したものです。

想定シナリオ

 

4℃シナリオ

1.5℃シナリオ

世界観

経済活動が優先され、物理的な影響が拡大すると予想される世界観

・2100年までに世界の平均気温が産業革命期以前と比較して約4℃上昇

・政府が気候変動関連の政策や規制には消極的

・慢性的な気象変化や異常気象災害などの物理的な影響が拡大

脱炭素社会実現に向けた取り組みが積極的に進められる世界観

・2100年までに世界の平均気温が産業革命期以前と比較して約1.5℃上昇

・脱炭素社会への移行を目指して政府による政策や規制が活発化

・政策や規制が強まる一方で、物理的な影響は4℃と比較すると低い

参考シナリオ

IEA WEO(2022)STEPS

IEA WEO(2019)STEPS

IPCC 第5次評価報告書 RCP 8.5

IEA WEO(2022)NZE

IEA WEO(2022)APS

IEA WEO(2019)SDS

IPCC 第5次評価報告書 RCP 2.6

 

リスク影響分析結果一覧

項目

当社グループへの影響

時間軸

影響度

分類

要因

4℃

1.5℃

移行リスク

政策・法規制

カーボンプライシング

事業活動に伴うCO2排出に対して炭素税が課され、操業コストが増加する。また、排出規制に対応するための証書やクレジットの購入コストが増加する。

中期~

再エネ/

省エネ政策

再エネ使用の増加や省エネ設備機器への更新に伴い、環境配慮への投資が拡大する。

短期~中期

プラスチック規制の強化

石油由来のプラスチック容器包装に対して規制が敷かれ、包材の購入コストや処理コストが増加する。

短期~中期

市場

エネルギー

コストの変化

再エネ電力使用割合の高まりによる電力価格の高騰や、化石燃料需要の変化に伴う価格高騰により、操業コストが増加する。

中期~長期

物理リスク

急性

異常気象の激甚化

本社や工場における直接的な被害や、サプライチェーン寸断による操業停止損失が生じる。

短期~長期

農作物が直接的な被害に遭い、調達コストが増加する。

短期~長期

慢性

平均気温上昇

主要な原材料である米は収量が増加するものの品質が低下し、海苔は収量が減少することにより、調達コストが増加する。

中期~長期

 

・時間軸の定義

短期:0~3年 中期:2030年前後 長期:2050年前後

・影響度の評価基準

大:5億円以上の影響 中:2億円以上5億円未満 小:2億円未満

 

(4℃シナリオ分析)

 4℃シナリオでは、平均気温上昇がもたらす主要な原材料の生育不良による価格上昇が、長期的に重大な財務的影響となる可能性があります。また、当社グループの一部工場では、主に台風や豪雨災害による洪水によって被害を受ける可能性があり、今後こうした異常気象の激甚化と頻発化により、保有する資産の被害や一時的な操業停止による損失が発生・拡大することが想定されます。他にも、異常気象の激甚化は原材料の生産地が被害に見舞われることで、調達コストの高騰を引き起こす可能性があります。

 

(1.5℃シナリオ分析)

 1.5℃シナリオでは、炭素税の導入による追加的コストの発生が、重大な財務的影響となる可能性があります。また、炭素税導入への対応や再エネ・省エネに関する政策の強化への対応として、再生可能エネルギーの導入や省エネ性能の高い設備への更新が考えられますが、それらの対応にはエネルギーコストおよび設備投資コストの増大が懸念されます。他にも、製品の容器包装にプラスチックを使用しているため、石油由来のプラスチック使用に対する規制の強化は包材の購入コストが増大する可能性があります。

 

 温室効果ガス排出量の削減に向けては、省エネ、創エネ、再エネ調達に取り組むことで2030年度までの基準年(2018年度)に対する50%削減および2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しています。省エネにおいては、工場の熱、電気、水の利用効率の向上や生産体制の再構築によるエネルギー消費の低減などに取り組んでおります。創エネにおいては、工場への太陽光発電設備の設置に注力しています。また、再エネ調達においては、エネルギー調達における再生エネルギー利用率向上の可能性を検討しております。

 他にもプラスチック規制への対策として、廃プラスチック消滅装置を導入し、排出量の削減を推進しています。

 気候変動によって引き起こされる被害に向けては、シミュレーションを行い、被害を最小とする対策や生産体制を構築していきます。また、気候変動の影響を大きく受ける原材料については代替品や代替の産地について調査検討していきます。

 なお、今回の分析にあたっては持株会社である「わらべや日洋ホールディングス株式会社」および食品関連事業を行う「わらべや日洋食品株式会社」の2社を対象としておりますが、順次対象範囲を拡大していく予定です。

 

③ リスク管理

 サステナビリティ委員会は、当社グループに関するシナリオ分析を通じた気候変動リスクの特定・評価を行い、リスク低減の施策を検討・推進しています。

 グループ全体のリスク管理を行っているリスクマネジメント委員会は、サステナビリティ委員会から気候変動リスクに関して共有を受け、全社的なリスク管理に組み込んでいます。

 また、取締役会はサステナビリティ委員会から気候変動リスクに対する分析結果やリスク低減を図る施策、その進捗状況について報告を受け、リスク管理が適切に行われているか監督しています。

 

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④ 指標および目標

 当社グループでは気候変動の影響を最小限に抑えるための対策として、温室効果ガスや、産業廃棄物の排出量削減が持続的な事業運営を行う上での重要課題であると認識しています。そのため、2030年度を目標とする以下の削減目標を設定しています。今後はこれらの目標達成に向け、具体的な取り組みを段階的に進めてまいります。

 

課題

目標

温室効果ガス排出量の削減

2030年度までに50%削減(2018年度比)

産業廃棄物排出量の削減

2030年度までに50%削減(2018年度比)

 ※ 「わらべや日洋ホールディングス株式会社」および「わらべや日洋食品株式会社」における数値目標です。

 

2023年度のScope1,2の実績は、以下のとおりであります。

項目

排出量(t-CO2

2018年度(基準年)

2023年度

増減率

GHG排出量

Scope1

64,514

52,519

18.5%減

Scope2

76,976

59,326

22.9%減

Scope1+2

141,490

111,845

21.0%減

 ※ 2024年2月時点に算定した、「わらべや日洋ホールディングス株式会社」および「わらべや日洋食品株式会社」の数値です。

 

(2)人的資本への対応

 当社グループでは、経営理念の一つに「人を育て、働きがいのある、環境にやさしい企業を目指します。」を掲げています。

 また、事業活動を進めていく上で、直接または間接的に人権に影響を与える可能性があることを認識し、ビジネスに関わるすべての人の人権を尊重するために「人権方針」を定めております。

① 戦略

 当社グループは、2023年に特定した5つのマテリアリティにおいて、「働きがい、人権と多様性の尊重」を掲げており、全ての人が活躍できる仕組みの確立を目指しております。

 「働きがい、人権と多様性の尊重」のマテリアリティでは下記のとおり、取り組みとKPIを設定しており、当グループの人的資本・多様性に関する持続的な成長に取り組んでおります。

 

(人的資本に関する取り組み)

・女性管理職比率の向上

・仕事と子育ての両立支援制度の拡充

・年次有給休暇取得促進策の継続的な実施

・人材育成プログラムの充実

・健康的に仕事を継続するための健康管理の意識向上

 

 当社は、多様な人材の活用を通じて会社の競争力を高めていくことを目的として多様化推進委員会を設置し、多様な人材の確保、育成、働きやすい会社づくりに取り組んでおります。

 中核人材については、新卒・中途採用によらず有能な人材を登用するようにしておりますが、女性、外国人の登用についてはいまだ不十分であると認識しており、女性の登用については、2030年度までに当社グループにおける管理職社員の女性比率を10%以上とする目標を設定しております。

 人材こそが当社の持続的な成長を支える原動力であると考え、人材の多様性確保、育成および社内環境の整備に引き続き努めてまいります。

 

② 指標および目標

 当社グループにおける人的資本の主な指標は以下のとおりであります。

指標

2023年度実績

目標(2030年度目標)

わらべや日洋ホールディングス株式会社

わらべや日洋食品

株式会社

わらべや日洋ホールディングス

株式会社

わらべや日洋食品株式会社

女性管理職比率(%)

6.5

3.4

10.0

年次有給休暇取得率(%)

74.5

79.8

80.0

 ※ 「わらべや日洋ホールディングス株式会社」および「わらべや日洋食品株式会社」における実績と数値目標です。

 

3【事業等のリスク】

 以下の記載事項は、当社グループの事業に関するリスク要因と考えられ、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えています。ただし、以下は、当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外のリスクも存在します。

 なお、文中における将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社が判断したものです。

 当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針です。

(1)特定の取引先への依存度が高いことについて

 当社グループの主な販売先は、株式会社セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン-イレブン)の加盟店および直営店であり、同社とは1978年6月以来、商品売買取引に関する契約に基づき継続的に取引を行っています。

 当社グループの連結会計年度における連結売上高のうち、セブン-イレブンへの売上高および連結売上高に対する割合は下表のとおりです。当社グループは、今後ともセブン-イレブンとの安定した取引関係を継続していく方針です。

 一方、セブン-イレブンの店舗展開、販売方針ならびに価格政策などの経営戦略が変更になった場合、同社店舗への商品納入に関して同業他社との競合が発生するなど取引関係が変化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(単位:百万円)

 

 

2021年2月期

2022年2月期

2023年2月期

2024年2月期

金額

売上比

(%)

金額

売上比

(%)

金額

売上比

(%)

金額

売上比

(%)

株式会社セブン-イレブン・ジャパンの加盟店および直営店への売上高

153,031

78.8

151,264

78.6

154,989

79.7

160,739

77.6

連結売上高

194,309

100.0

192,326

100.0

194,416

100.0

207,009

100.0

 

 

(2)事業環境について

 当社グループの中食事業は、食品スーパー、ドラッグストア、惣菜専門店、持ち帰り弁当店や事業所向け弁当宅配事業者などとの間において、価格、品質、利便性などをめぐって、競合が激化しているものと認識しています。

 当社グループは、「安全・安心」と「価値ある商品・サービス」の提供を通じて、お客様の健康で豊かな食生活に貢献し、「食」の喜びを提供していくことで、顧客満足度の向上に努めていきます。

 しかしながら、原材料価格や人件費の上昇などに伴う製造コストの増加が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)食の安全性について

 食品メーカーとして、食の安全・安心に対する社会的要請への対応は重要課題の一つであると認識しています。

 当社グループは、「衛生管理の徹底は他のいかなる業務よりも優先する」を合言葉に、業界独自のHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析重要管理点/食品製造工程の衛生管理プログラムの一つ)の手法などに基づき、食材の調達から商品の製造、配送に至るフードチェーン全体で品質・衛生管理を徹底して商品の安全性を確保する体制を構築しています。

 しかしながら、上記の取り組みにもかかわらず、当社グループの想定を超えた事象が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)法的規制等について

 当社グループの食品事業に関する主たる法的規制には、食品の規格、添加物、衛生監視、営業許可などを定めた「食品衛生法」、工場、事業場の排水規制を定めた「水質汚濁防止法」、欠陥製造物からの消費者保護を目的とした「製造物責任法(PL法)」などがあり、その遵守に万全を期しています。

 一方で、現在予期しない法的規制などが実施された場合、その対応に新たな費用が発生するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)自然災害について

 当社グループの事業拠点が所在する地域において、大規模地震などの自然災害やそれに伴う電気、水道をはじめとするライフラインの停止、物流網の遮断などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。災害発生時は人命を第一と考え、政府や自治体の発表・要請を踏まえ、事業継続マニュアルに従い対応していくこととしております。

(6)気候変動リスク

 気候変動リスクについては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(1)気候変動への対応」をご参照ください。

(7)感染症リスク

 感染症が国内および事業展開している地域で拡大した場合は、外出の制限や経済活動の停滞の影響などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、上記リスクに対して、お客様、取引先および従業員の安全を第一に、政府や自治体の発表・要請を踏まえ、事業継続マニュアルに従い対応していくこととしております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う人流増加などにより、緩やかに回復しております。一方で、緊迫した世界情勢に加え、物価の上昇や金融資本市場の変動リスクなどにより、先行き不透明な状況が続いています。

 食品業界では、原材料価格や労働コストの上昇に伴う商品価格の値上げが継続するなかで、消費者の多様化するニーズへの対応が求められています。

 このような状況下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、主力事業である食品関連事業で回復が進み、2,070億9百万円(前期比125億9千2百万円、6.5%増)となりました。

 利益面では、各セグメントで原材料価格や労働コスト上昇の影響を受けたものの、食品関連事業における売上回復効果や商品規格の見直しなどにより、営業利益は63億8千万円(前期比13億9千4百万円、28.0%増)、経常利益は68億2千4百万円(前期比21億9千5百万円、47.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は42億7千3百万円(前期比14億6千2百万円、52.0%増)となりました。

 セグメントごとの事業概況は、以下のとおりです。

 なお、当連結会計年度より、従来報告セグメントとしていた食品製造設備関連事業について、重要性が乏しくなったため、「その他」として記載する方法に変更しております。これに伴い、当連結会計年度における比較および分析は、変更後の区分に基づいております。

 

[食品関連事業]

 売上高は、新型コロナウイルス感染症による悪化影響からの回復が進み、1,806億8百万円(前期比110億5千5百万円、6.5%増)となりました。また、利益面では、原材料価格や労働コスト上昇の影響を受けたものの、売上回復効果や商品規格の見直しなどにより、営業利益は59億2千9百万円(前期比8億8千7百万円、17.6%増)となりました。

[食材関連事業]

 売上高は113億6千2百万円(前期比3千1百万円、0.3%減)とほぼ前期並みとなりました。一方、営業利益は3億2千3百万円(前期比2億3千5百万円、268.3%増)となりました。

[物流関連事業]

 売上高は128億9千5百万円(前期比6千7百万円、0.5%減)とほぼ前期並みとなりました。一方、営業利益は、共同配送事業の取扱高増加効果により、7億4百万円(前期比6千1百万円、9.6%増)となりました。

[その他]

 食品製造設備関連事業における大型案件により、売上高は21億4千3百万円(前期比16億3千5百万円、322.2%増)、営業利益は1億7千3百万円(前期は7千6百万円の営業損失)となりました。

 なお、食品製造設備関連事業につきましては、2024年2月29日に事業撤退をいたしました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末に比べて30億6千7百万円減少し、81億2千2百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は93億7千2百万円(前連結会計年度は74億3千3百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益(58億8千5百万円)、減価償却費(49億7千万円)、および法人税等の支払額(△21億3千8百万円)によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は135億4千2百万円(前連結会計年度は75億4千1百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出(△123億7千4百万円)によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の増加は8億4千5百万円(前連結会計年度は6億9千2百万円の増加)となりました。これは、長期借入れによる収入(56億7千6百万円)、リース債務の返済による支出(△18億6千2百万円)、および配当金の支払額(△19億3千6百万円)によるものです。

 

③生産、受注および販売の実績

(イ)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

食品関連事業

178,431

6.5

食材関連事業

2,019

10.9

合計

180,451

6.6

(注)1.金額は販売価格(出荷価格)をもって表示しております。

2.上記については、セグメント間の内部取引消去前の数値で表示しております。

 

(ロ)受注実績

 一部の連結子会社は、受注生産を行っておりますが、受注当日または翌日に製造・出荷の受注生産を行っておりますので、受注高および受注残高の記載は省略しております。

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

食品関連事業

180,608

6.5

食材関連事業

11,362

△0.3

物流関連事業

12,895

△0.5

 その他

2,143

322.2

合計

207,009

6.5

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より、従来報告セグメントとしていた食品製造設備関連事業について、重要性が乏しくなったため、「その他」として記載する方法に変更しております。

3.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

株式会社セブン-イレブン・ジャパンの加盟店および直営店

154,989

79.7

160,739

77.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討の内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて92億7千5百万円増加し、1,019億6千万円となりました。これは、有形固定資産が増加したことによるものです。負債は前連結会計年度末に比べて64億9千6百万円増加し、476億5千万円となりました。これは、長期借入金およびリース債務が増加したことによるものです。

 純資産については前連結会計年度末に比べて27億7千9百万円増加し、543億9百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金支払いの差引により利益剰余金が増加したことに加え、為替換算調整勘定が増加したことによるものです。

 

③当連結会計年度の経営成績の分析

(売上高)

 連結売上高は、主力事業である食品関連事業で回復が進み、2,070億9百万円(前期比125億9千2百万円、6.5%増)となりました。

(営業利益)

 営業利益は、各セグメントで原材料価格や労働コスト上昇の影響を受けたものの、食品関連事業における売上回復効果や商品規格の見直しなどにより、63億8千万円(前期比13億9千4百万円、28.0%増)となりました。

(経常利益)

 主に持分法投資損益が改善したことにより、営業外収益は9億9百万円(前期比2億3千8百万円、35.5%増)、営業外費用は4億6千4百万円(前期比5億6千3百万円、54.8%減)となりました。その結果、経常利益は68億2千4百万円(前期比21億9千5百万円、47.4%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別利益の計上はございませんでした(前期は5億円の特別利益の計上)。特別損失は、減損損失を計上したことにより、9億3千9百万円(前期比0百万円、0.1%増)となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、42億7千3百万円(前期比14億6千2百万円、52.0%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源および資金の流動性についての分析

(イ)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年

2月期

2021年

2月期

2022年

2月期

2023年

2月期

2024年

2月期

自己資本比率(%)

51.5

53.7

57.9

54.5

52.3

時価ベースの自己資本比率(%)

33.1

33.3

39.0

35.0

46.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

(年)

1.0

1.3

1.1

1.7

1.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

102.9

84.9

93.2

63.9

57.8

(注) 自己資本比率            :自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率      :株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ  :キャッシュ・フロー/利払い

※1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(ロ)資金需要および資金調達

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、製造設備の増設・更新等の設備投資によるものです。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金により充当し、必要に応じて、金融機関からの借入等による資金調達を実施しています。

 

(ハ)資金の流動性

 当社グループは、複数の金融機関との当座貸越契約を設定しております。また、当社および国内連結子会社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)を導入しております。

 

⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

商品売買取引に関する契約(約定書)

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

わらべや日洋食品株式会社

(連結子会社)

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

同社加盟店および直営店に対する商品売買取引に関する事項

1995年5月から1年間、以降自動更新

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、多様化する消費者ニーズの変化にスピーディーに対応した値ごろ感のある高品質の商品を提供できるよう、原材料から最終商品までのトータル的な商品開発を積極的に行い、食品としての「美味しさ」「安全性」について、日々研究に努めております。