(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「鋲螺(ボルト・ナット)商品」「コンクリート製品関連金物」「機械工具」の専門卸商社として、ボルト、ナットに代表される締結金物商品の販売を通じて、社会の発展に貢献する事を基本理念といたしております。また、すべての取引関係者に対し、信頼と期待に応えるよう行動基準を設け業務に取り組んでおります。
鋲螺業界における当社グループは、競争力と収益性の指標として営業利益額、成長性の指標として営業利益伸び率を重点指標としており、その向上に努めております。
当社グループは、収益向上のための本業強化と、成長のための新事業育成を中期的な経営戦略として掲げております。本業の強化は、既存物流体制の更新・改善と取扱品種の拡大、情報システムの強化を中心に実行してまいります。新事業の育成は、主に子会社であるコバックス株式会社および中正機械株式会社の育成と買収・合併・提携を実現していきたいと考えています。
インバウンド需要や消費の増加を背景に、緩やかな回復が続いていますが、資源価格や原材料価格の上昇、円安による物価高が懸念されています。さらに、中国経済の減速やウクライナ、中東情勢の長期化といった海外市場の不確実性も影響を与えており、先行きは依然として不透明な状況です。
当社グループは、市場の成熟や停滞にかかわらず、継続的に成長し、利益を拡大し続けるために、以下の課題に取り組んでまいります。
①デジタル化による取引業務効率の向上
デジタル化により自社のみならず、取引企業も含めた生産性の向上を目指します。卸売業向けECサイトである「ねじネット」の高機能化とユーザー数拡大を続けるとともに、在庫管理システム「ねじクラ」による取引先企業との情報連携も開始します。電子データによる情報交換の比率を上げることで、当社および取引先の業務負担を軽減します。他にも「引取通知」など独自の業務効率化ソフトウェアを提供することで、労働力不足に悩む取引先にも貢献していきます。
②在庫の充実と支店倉庫の活用
輸送能力不足による配送期間の延長やコスト上昇など、いわゆる「物流の2024年問題」に対応するために、全社的に在庫を20%以上拡大いたしました。今後は、全国8箇所の支店倉庫の在庫管理手順を改善し、即納比率を向上させることで、シェア拡大を図っていきます。
③柔軟な働き方の実現と優秀な人材の採用
国内の労働人口の減少、とりわけ若年者層の減少に対応するために、リモートワークや短時間の勤務形態を選択できる職種を拡大します。柔軟な働き方に対応することで、子育て世代、年配者により働きやすい職場を作るとともに、これまで以上に優秀な新卒者の採用および中途の専門職人材の採用にも注力します。同時に、性別のみならず国籍によらない採用も促進します。
④提携による事業領域の拡大
成熟市場において成長を加速するために、隣接する業界を中心に、提携やM&Aを通して事業領域の拡大や新市場への参入を行います。後継者不在の企業への支援も積極的に提案していきます。
⑤成熟企業から成長企業への変革
以上のような施策を通して、成熟企業から事業と収益を継続的に拡大する成長企業に変化を遂げ、新しい技術やサービス、考え方に沿った鋲螺業界を代表するリーダー企業になります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティに対する取り組みを経営上の重要な課題として位置付けています。この取り組みに関して、代表取締役と経営幹部から成る経営会議では、サステナビリティに関連するリスクや機会を他の経営課題と一体的に評価し、これらの監視と管理に注力しています。同時に、新たなリスクや機会に関する情報を抽出し、対応策を協議しています。
経営会議での議論の中で特に重要な事項については、取締役会に報告することになっており、監視と管理の体制が効果的に機能しているかどうかは、取締役会によって管理と監督が行われます。
① 人材育成
当社グループでは、社員の成長を通して会社が成長することを目指し、人材育成に取り組んでおります。
新入社員研修、フォローアップ研修、営業研修等の研修制度の拡充はもとより、全社員が生成系AIについてのオンライン講習を受講できる体制を整え、全社をあげてリスキリングに取り組んでおります。加えて、資格取得の試験費用の補助、報奨金支給を行う「スキルアップ奨励制度」も整え、個人の能力向上を目指しております。
② 社内環境整備
当社グループでは、社員とその家族が満足でき、やりがいと誇りを持って働ける職場をつくることを目指し、働き方の改善に取り組んでおります。
様々な社員が働きやすい職場を作るために、妊娠中、育児、介護中の社員のテレワークにも柔軟に対応する制度を整備しております。これは、急な体調不良や子供の急病などの場合、直属の上長の承認があれば当日の申請でもテレワークをすることができる制度で、テレワークの実施率は徐々に上昇しております。
加えて、子どもが3歳に達するまで取得できる育児休業のほか、小学校3年生修了まで利用できる短時間勤務制度を設けるなど、出産や育児、介護をはじめとするライフイベントに合わせて活用できる制度を、法で定める基準を上回る内容で整備しています。当社グループの女性社員の育児休業取得率は、2024年10月末現在で100%、男性社員については2024年度の対象者がいませんでしたが、2023年度育児目的育児休業取得率は37.5%となっています。これらの取り組みの結果、厚生労働省より「くるみん」認定を受けました。今後も、仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでまいります。
また、お客様からいただいたお褒めの言葉を集め、社内SNSで共有し、優秀な社員には社長から表彰を行う制度も設けています。これにより、社員のやりがいと誇りを醸成することを目指しております。
③ 環境への配慮
当社グループでは、サステナビリティに関する取組のうち環境への配慮として、会議体でのモニター使用及び配布資料の電子化、電子システムの導入による請求書のペーパーレス化、空調機器の電力使用量削減、廃棄物の削減に取り組んでおります。また、省エネルギー効果が高いLED照明の導入を行い、CO2排出量の低減にも取り組んでおります。今後も、事業活動における地球温暖化対策への貢献と環境負荷の低減を推進してまいります。
当社グループは、グループ全体のリスク管理方針及び管理体制について「リスク管理規程」を定めております。その方針に基づき、代表取締役と経営幹部から成る経営会議では、事業を取り巻く様々なリスクを未然に防止するために、相互に監視及びチェックを行っております。
また、気候変動関連や人的資本関連のリスクおよび機会の重要性が一層高まっていることを認識しており、これらについても取締役会にて適宜議論を行っております。
今後も業界の動向や社会的要請を注視しつつ、当社グループに適した管理プロセスの導入や改善を検討してまいります。
当社グループは、すべての従業員がやりがいと誇りを持って働ける職場環境と企業文化を作ることを大切にしています。これを当社の基本的な考えとして、管理職の登用等については、年齢、性別、社歴等では区別せず、全ての従業員が平等に機会を得られるような制度を整えることで、多様性を確保しております。そのため、年齢、性別、社歴等を区別した管理職の登用目標については、現在のところ定めておりません。今後につきましても、すべての従業員が成長できる機会を提供、育成し、社内環境の整備に努めていく方針です。
また、環境への配慮については、現時点において、気候変動によるリスクや収益機会が当社グループの事業活動に重大な影響を与えるとは評価しておりません。このため、環境面における具体的な指標および目標の設定には至っていない状況です。しかしながら、今後も社会的要請や環境変化を注視しつつ、環境への取り組みを強化し、持続可能な事業活動の推進に努めてまいります。
当社グループの事業に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避および発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①公共投資の減少による売上高の変動リスク
公共事業に対する依存が高いコンクリート製品関連金物部門では、公共投資の縮減が、販売競争の激化や価格の下落等を引き起こし、売上高の減少や利益率の低下といった影響を与える可能性があります。
②為替相場の変動リスク
当社グループでは中国を中心とするアジア諸国から調達している商品があり、これらの仕入れ価格は為替相場の影響を受けます。引き続き円安が進んだ場合には、仕入れ価格の上昇を通じて粗利率の低下を招き、営業利益が悪化する可能性があります。
輸入商品の仕入れ拡大により、短期的な海外への出張があります。海外の安全情報には常に注意を払い、適切な管理を実施しておりますが、国・地域により伝染病への感染やテロ等に巻き込まれる危険性が増してきております。その結果、当社グループの事業の遂行に問題が生じる可能性があります。
大規模な自然災害が発生した場合、営業拠点や物流施設などの復旧費用や事業活動の中断による機会損失、その他不測の事態に対する費用等の発生により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要や消費の増加を背景に、緩やかな回復基調を維持していますが、資源価格や原材料価格の高騰、円安による物価上昇の影響が懸念されています。また、中国経済の減速、ウクライナや中東情勢の長期化といった海外市場の変動要因も重なり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが主に関連いたします建設業界におきましては、公共投資の底堅い推移と民間設備投資の持ち直しの動きが見られましたが、建設資材価格の高止まりや、労務費をはじめとする建設コストの上昇等による影響があり、依然として厳しい経営環境が続きました。
このような状況の中で鋲螺部門におきましては、支店倉庫の在庫量とアイテム数を増加させ、全国の支店在庫を充実させることで、いわゆる「物流の2024年問題」による輸送能力不足と輸送コストの上昇に対応した供給体制を構築しました。また、ウェブ受注システム「ねじネット」に電子納品書の発行機能を追加するなど、業務のデジタル化を推進しました。さらに、従業員待遇の改善を継続し、優秀な人材の採用および確保に努めました。
コンクリート製品関連金物部門におきましては、高速道路、自衛隊基地関連、北海道新幹線、再開発関連などへの貢献により、前年度比で売上高、粗利益、営業利益が増加いたしました。
以上のことから、当社グループの当連結会計年度の売上高は22,409百万円(前年同期比3.0%増)となりました。損益面では、営業利益は905百万円(前年同期比17.2%増)、経常利益は1,240百万円(前年同期比0.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は895百万円(前年同期比5.9%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ450百万円減少し、2,181百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、20百万円(前連結会計年度は1,865百万円の資金の獲得)となりました。
支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額751百万円、法人税等の支払額466百万円、売上債権の増加額306百万円、その他の流動負債の減少額238百万円であり、収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,315百万円、減価償却費479百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、78百万円(前連結会計年度は61百万円の資金の使用)となりました。
収入の主な内訳は、有形固定資産の売却による収入227百万円、その他111百万円であり、支出の主な内訳は投資有価証券の取得による支出213百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、508百万円(前連結会計年度は634百万円の資金の使用)となりました。
支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出486百万円、自己株式の取得による支出373百万円であり、収入の主な内訳は、短期借入金の純増額500百万円であります。
当連結会計年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における仕入実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下の通りであります。
(1) 経営成績の分析
(売上高)
売上高は、22,409百万円となり、前連結会計年度に比べ652百万円(前期比3.0%)増加となりました。これは、仕入れ価格の上昇を受けて、販売価格を改正したことによります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は17,341百万円となり、前連結会計年度に比べ497百万円(前期比3.0%)増加となりました。これは、売上高の増加によるものであります。この結果、売上総利益は、5,067百万円となり、前連結会計年度に比べ155百万円(前期比3.2%)増加となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、4,162百万円となり、前連結会計年度に比べ22百万円(前期比0.5%)増加となりました。運賃が増加しましたが、その他の一般管理費の削減により微増となりました。この結果、営業利益は905百万円(前期比17.2%増加)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は414百万円となり、前連結会計年度に比べ113百万円(前期比21.5%)減少となりました。これは有価証券運用益の減少によるものであります。営業外費用は、78百万円となり、前連結会計年度に比べ17百万円(前期比29.0%)増加となりました。この結果、経常利益は1,240百万円となり、前連結会計年度に比べ1百万円(前期比0.1%)増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、895百万円となり、前連結会計年度に比べ50百万円(前期比5.9%)増加となりました。
当社グループは適切な流動性の維持、事業活動のための資金確保、および健全なバランスシートの維持を財務方針としております。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて649百万円(4.1%)増加し、16,654百万円となりました。これは、商品が751百万円、電子記録債権が425百万円それぞれ増加し、現金及び預金が450百万円、受取手形及び売掛金が119百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて341百万円(2.0%)増加し、17,025百万円となりました。これは主に、投資有価証券が時価評価等により939百万円増加し、機械装置及び運搬具が292百万円、土地が142百万円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて990百万円(3.0%)増加し、33,680百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて495百万円(4.3%)増加し、11,964百万円となりました。これは主に、短期借入金が500百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて426百万円(4.8%)減少し、8,448百万円となりました。これは主に、長期借入金が636百万円減少し、繰延税金負債が210百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて68百万円(0.3%)増加し、20,413百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて921百万円(7.5%)増加し、13,266百万円となりました。これは、利益剰余金が746百万円、その他有価証券評価差額金が521百万円それぞれ増加し、自己株式が364百万円増加したことによるものであります。
キャッシュ・フローの状況については、「(経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、固定資産への投資資金であります。運転資金の主な内容は商品仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。固定資産への投資資金の主な内容はデジタル化への投資や物流倉庫への投資であります。
資金の調達については、自己資金または、金融機関からの借入等を基本方針として調達しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。