第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、投資会社であり、さまざまな投資活動の成果により、持続的な企業成長を実現することを基本方針としております。

 

方針1 事業家色のある丁寧な投資活動

事業会社の実績を生かした「一緒に経営する」丁寧なハンズオン投資を行います。さらに、投資活動の成果を事業部門に還元し独自のコア・コンピタンスの構築を目指します。

 

方針2 対象やスキームを制約しないダイナミックな投資活動

小回りと独立系の利点を活かし、投資の規模、業種、スキームなどを限定しないフリーハンドなソーシングを行います。当社グループ自身の再編やエクイティファイナンス活用の可能性も排除せず、ダイナミックな投資活動を行います。

 

方針3 ボラティリティ・リスク許容度に配慮した投資活動

収益の安定化、財務健全性確保、手元資金の状況、その他の経営リスクに配慮し、慎重な投資姿勢を堅持します。また、期待利回りは画一的にせず、リスクや投資手法に応じ柔軟に検討します。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、企業及び不動産を投資対象とするマーチャント・バンキング事業を主とし、投資活動によるキャピタル・ゲインの追求と安定した収益基盤の構築を目指しております。

マーチャント・バンキング事業は、国内不動産の取得及び売却によるインカム・ゲイン及びキャピタル・ゲインが主な収益源となっております。今後、これに加えて、企業投資活動や不動産仲介等による手数料収益など、収益の幅を広げる取り組みを進めてまいります。

また、当社グループは、効率的な経営管理体制を目指しており、現在においてもあらゆるコストの削減などに果断かつ、継続的に取り組んでおります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、マーチャント・バンキング事業を主とした安定的な企業成長を目指すにあたり、投資業の潜在的なボラティリティを踏まえ、健全な財務基盤を維持、管理していくことが重要であると認識しております。

このため、柔軟な投資活動を行うための流動性、並びに市場リスクに耐える頑強な財務体質を確保するため、流動比率200%超、自己資本比率40%超を、重要な経営指標として位置づけております。

 

(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、日銀の金利政策変更、賃金の上昇、インバウンドの地方誘客や消費拡大などをはじめとして、日本経済が緩やかに拡大していく一方で、東欧、中近東における地政学的リスクを背景とした原材料・エネルギー価格の高騰、中国経済の減速など依然として先行き不透明な状況が続いております

そのような中、当社グループにおきましては、経営基盤の強化及び持続的な事業成長を実現するための重要課題として、以下の4つの事項を挙げ、取り組んでおります。

① 営業投資事業における収益確保と適切なリスク管理

② 新規事業の立ち上げによる収益基盤の拡大

③ 専門知識や豊富な経験を持った人材の確保・育成・組織化

④ 投資回収やファイナンスを通じた事業成長に必要な資金の確保

また、併せまして、当社全体のコンプライアンス体制、リスク管理体制の強化をさらに進め、引き続き経営の健全性確保に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループにおけるサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。なお、将来に関する事項については当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは現在のところ、サステナビリティに関する体制は推進途上にあります。持続可能の観点からサステナビリティの推進をこれまで以上に行うことで、志と自己規律を高めて法令順守・遵法精神の向上に努め、さらに徹底した対話を重ねて経営戦略の共有化を図り企業価値の向上に努めて参ります。

また、当社ガバナンスの詳細については「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通りであります。

 

コーポレートガバナンス体制 模式図

 


 

 

 

(2)戦略

①人材

 日本国内では生産年齢人口が減少し働き手が不足しつつあります。そうしたなか、当社グループでは中長期的な企業価値向上のため、ダイバシティによる個々の力の掛け合わせを重要な戦略と位置付けて、国籍、性別、年齢、学歴、職歴など様々な立場の価値観・経験を生かした組織づくりを行っております。

 

②環境

 当社は投資会社として社会性・成長性・収益性の高い分野への投資を強化しており、クリーンエネルギー活用のニーズに対応したEV(電気自動車)充電器設置事業、また、太陽光パネル設置事業など環境を意識した投資・業務提携等の展開を進めております。

 

(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 当社では従業員の定着率向上を図るため、入社より3ヶ月を経過した従業員に年に1度「シーズン休暇」と称した休日を含めた連続7日間の特別休暇を付与しております。また、入社3年を経過した従業員には「ボーナス休暇」と称した連続10日間の特別休暇を3年ごとに付与しております。これらの休暇は資格取得、自己研鑽の機会としての趣旨を含み同休暇と認定された場合、対象者には別途補助金等を支給することになっております。当期については社員数名が「貸金業務取扱主任者」試験に臨みました。

 また要介護状態にある家族がいる従業員は介護休暇を取得することができ、今後も人材育成及び社内環境設備に関して、組織の多様性を目指し努めて参ります。

 

(4)リスク管理

当社グループでは、管理すべきリスクをカテゴリーごとに以下のように識別しております。

 

Ⅰ. コンプライアンスリスク

  会社法に対する違反、金融関連法規に対する違反、税法に反する違反等。

Ⅱ. ビジネスリスク

  戦略の失敗、新しい規制、業界動向等。

Ⅲ. オペレーショナルリスク

  重要な諸改革の失敗、人的資源、機密漏洩、顧客の不満、サービスや品質の低下等。

Ⅳ. ファイナンシャルリスク

  流動性リスク、信用リスク、為替リスク等。

Ⅴ. カントリーリスク(国際的な経済取引における相手国固有のリスク)

  国・地域の戦争、内戦、革命、暴動、資産凍結等。

Ⅵ. レピュテーションリスク(風説リスク)

  真偽はともかく当社への否定的な世評が取引基盤を崩し、高い訴訟費用、収入低下等をもたらす。

Ⅶ. 保険リスク

  災害による財産損害、資産損失、従業員の雇用上の問題、健康と安全等。

 

万一、これらのリスクが発生した場合、『マーチャント・バンカーズ・グループ行動規範』に則り、役員及び従業員は行動をいたします。

 

(5)指標及び目標

 サステナビリティに関する体制は現段階では推進途上でありますが、サステナビリティへの取組みが自社にとってのリスクであり機会でもあると認識するとともに、投資家の皆様に対して広くESG投資を募るための有用な手段になると理解し、企業価値向上において必須であると認識しております。

 「(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」に記載しております「シーズン休暇」は全従業員に付与し、該当の従業員には「ボーナス休暇」を付与しました。また介護休暇に関しては、該当者がおりませんでした。

 

 

3 【事業等のリスク】

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社では、当社の経営基盤の強化及び今後の事業成長のための重要課題として、4つの事項を挙げ、取り組んでおります。これらの施策が有効に機能しない場合には、当社グループの財政状態、経営成績に影響を与える可能性があります。

以下、当社グループの事業の展開上、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるものと考えられる主な事項を記載しております。

なお、ここに記載したリスク以外にも、当社及び当社グループを取り巻く環境には様々なリスクを伴っており、今後新たなリスクが発生する可能性があります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際は見通しと乖離する可能性があります。

 

 

① 当社グループの事業を取り巻く経営環境について

(a) 株式市場の動向等による保有株式の価格変動

当社グループは、国内外の株式等を対象とした投資事業を行っており、株式市場における株価動向は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。上場株式の株価変動リスクのほか、未公開株式等についても、株式公開や売却の時期・価格に大幅な影響を及ぼす可能性があります。

また、投資対象の株式等を当該株式等の取得原価を上回る価額で株式市場等において売却できる保証はなく、期待されたキャピタル・ゲインが実現しない(キャピタル・ロスが発生する)可能性、投資資金を回収できない可能性または評価損が発生する可能性があります。

(b) 不動産市場の動向

当社グループは、国内外の不動産を対象とした投資事業を行っており、不動産市況が著しく変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

販売用不動産または不動産を投資対象とする有価証券等を取得原価を上回る価額で売却できる保証はなく、期待されたキャピタル・ゲインが実現しない(キャピタル・ロスが発生する)可能性、投資資金を回収できない可能性または評価損が発生する可能性があります。

(c) 金利の上昇

当社グループは、各エクイティ投資家による出資のほか、金融機関等からの借入により資金を調達しておりますので、将来、金利水準が上昇した場合には、資金調達コストの増加、顧客投資家の期待利回りの上昇、株式・不動産等の価格下落といった事象が生ずる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(d) 外国為替の変動

当社グループは、中国を中心とした東アジア地域向けに投資活動を行っており、外国為替相場の動向によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、この影響を回避するため、一部投資については、為替予約や外貨建て借入を利用して相場変動に対するリスク・ヘッジを行う場合があります。

(e) 国際情勢の変化

海外での事業展開におきましては、現地の法令・商習慣等に即した経営活動の実践に努めておりますが、海外における予測困難な法律又は規制の変更、政治又は経済情勢の急変、人材の採用と確保の難しさ、為替レートの変動による業績への影響、テロ・戦争その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(f)  災害等の影響
マーチャント・バンキング事業

当社グループが投資対象としている企業または不動産が所在する地域において、地震、戦争、テロ、火災等の災害が発生した場合は、当該企業または不動産の価値が毀損する可能性があります。その結果、営業投資資産の価値が毀損する可能性、投資回収の時期・価格が見込みを下回る可能性などが想定され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

マーチャント・バンキング事業

投資業の性質上、一般に、市場取引においては不特定多数の、特定の相対取引においては特定少数の競合他社が存在しており、当社グループの取引価格や取引機会に影響を与えております。とりわけ、不動産売買など、金額水準の大きな取引においては、競合他社の動向によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 当社の事業体制について

(a) 小規模組織であること

当社グループ、とりわけ中核を担う当社は、小規模の組織・体制をとっており、内部管理体制も当該組織規模に応じたものとなっております。当社グループは、より組織的な体制を整備・運用するように、今後とも外部からの採用を含めた人材育成、内部管理体制及び業務遂行体制の強化を図る所存でありますが、急激な業務拡大が生じた場合、十分な人的・組織的対応が取れない可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(b) 人材の確保について

投資業や本社部門の管理業務に従事する役職員は、相当の知識、能力、業務経験が求められるため、少数精鋭の体制を敷く中で、基幹人員の退職、休職等により、業務上の不都合が生じるリスクがあります。

当社グループでは、こうした各事業部門ごとの人材確保に関するリスクに配慮し、代替人員の確保、採用活動の充実、業務委託先の活用などの施策を実施しております。

 

 

④ 大株主の状況及び株主構成について

当社の大株主上位3名(アートポートインベスト株式会社、トータルネットワークホールディングスリミテッド、株式会社ぽると)の議決権所有割合は、当事業年度末現在で69.23%となっております。

当該大株主の議決権行使状況または株式の処分状況などは、当社のコーポレート・ガバナンスに大きな影響を与える可能性があります。

なお、当該大株主においては、各々共同保有の関係にはなく議決権を統一行使する予定はない旨、安定保有する方針である旨及び当社の経営及びコーポレート・ガバナンスを支援していく旨の意向を受けております。

 

⑤ 特有の法的規制について

当社グループが受ける規制の主なものは、マーチャント・バンキング事業においては、金融商品取引法、宅地建物取引業法に関する法律及び規制等になります。

当社グループでは、法令規則等の遵守を徹底しており、当社及び当社子会社において、適宜、免許・登録等を行って事業展開をしておりますが、今後、何らかの理由により、当社又は当社子会社のいずれかが行政処分等を受けた場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、現時点の各種規制に従って業務を遂行しておりますが、将来において各種規制が変更された場合、又は、法令等の解釈・運用によっては、当社グループに必要となる許認可の取得その他対応が十分に出来ずに、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 連結の範囲決定に関する事項

(a) 投資事業組合等の連結会計上の取扱いについて

当社グループが属する投資ファンド業界においては、2006年9月8日に「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 実務対応報告第20号)が公表されたことに伴い、当社グループは、当該実務対応報告を適用しております。現状、投資事業組合等ごとに個別に支配力及び影響力の有無を判定したうえで、子会社及び関連会社を判定し、連結の範囲を決定しております。

今後、新たな会計基準の設定や、実務指針等の公表により、投資事業組合等に関する連結範囲の決定について、当社グループが採用している方針と大きく異なる会計慣行が確立された場合には、当社グループの連結範囲決定方針においても大きな変更が生じ、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(b) 企業投資の連結会計上の取扱いについて

当社グループのマーチャント・バンキング事業における企業投資は、当該事業における営業投資であるという実態を明瞭に表示するため、営業投資目的以外の「投資有価証券」及び「有価証券」とは区別して、「営業投資有価証券」として「流動資産の部」にまとめて表示しております。また、営業投資として取得した有価証券等を売却した場合の売却損益、投資対象からの配当及び受取利息については、営業損益として計上することとしております。これは、投資先の企業を当社グループの傘下に入れ支配することを目的とせず、営業取引で投資育成を目的として株式を取得・保有し、企業価値の向上を図った後、有価証券等の売却により収益を得ることを目的にしているからであります。したがいまして、営業投資により取得した企業の株式については、当社グループの子会社、又は関連会社とはしておりません。

しかしながら、今後、新たな会計基準の設定や、実務指針等の公表により、営業投資先等に関する連結範囲の決定について、当社グループが採用している方針と大きく異なる会計慣行が確立された場合には、当社グループの連結範囲決定方針においても大きな変更が生じ、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 金融機関借入における財務制限条項について

当社グループと金融機関との間の融資契約には、財務制限条項が付されているものがあります。大幅な純資産の毀損や、業績の低迷が続いた場合などにおいて、かかる財務制限条項に抵触し、当社の資金繰りに重大な影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

前連結会計年度である2023年10月期は決算期変更に伴い、2023年4月1日から2023年10月31日までの7ヶ月を対象とした変則決算となっております。このため、当連結会計年度においては業績に関する前期比増減率は記載しておりません。

 

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(以下「当期」)における我が国経済は、日銀の金利政策変更、賃金の上昇、インバウンドの地方誘客や消費拡大などをはじめとして、日本経済が緩やかに拡大していく一方で、東欧、中近東における地政学的リスクを背景とした原材料・エネルギー価格の高騰、中国経済の減速など依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループの主要な事業領域についてみると、国内の金融・不動産市場におきましては、景気動向の影響を受けにくいことから不動産投資へのニーズは高く、稼働率、賃料水準、物件販売価格など安定した利回りを得られる投資への需要は底堅い状況が続いております。

このような経済状況のもと、当期の当社グループは、賃貸用不動産6物件の売却により売上・利益を確保する一方、中長期的な安定的収益力強化のため年間家賃収入10億円体制を維持しつつ、積極的に賃貸用不動産の取得を行い、都心のオフィスビルを含めた合計9物件(取得価格:5,371百万円)を取得いたしました。また、賃貸用不動産の取得・売却による安定的収益の強化に取り組みながら、成長性や社会性の高い企業やプロジェクトの発掘に努め、資本提携や業務提携により、投資会社としての将来性や収益性の確保に努めてまいりました。

以上の結果、当期の当社グループの業績は売上高4,446百万円となりました。賃貸用不動産9物件の取得費用224百万円やその他経費を負担し、各段階利益については、営業利益326百万円、経常利益99百万円となりました。また、オペレーション事業(株式会社ケンテン)の株式譲渡により特別利益90百万円を計上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、182百万円となりました。

報告セグメントごとの業績及び直近の状況は、次の通りであります。

 

(マーチャント・バンキング事業)

マーチャントバンキング事業は、当事業部門におきまして、主に国内外の企業及び不動産向けの投資事業を営んでおります。

当期は、賃貸用不動産9物件の取得により、当事業部門の収益の柱であります賃貸用不動産から安定的に得られる賃貸収入が増加し、更に賃貸用不動産6物件を売却した結果、売上高4,400百万円を確保し、不動産取得税等の取得経費224百万円の負担の上、セグメント利益は670百万円を確保いたしました。

 

(オペレーション事業)

オペレーション事業は、当社及び株式会社ケンテン(連結子会社)等において、ボウリング場及び服飾雑貨店の運営を行っておりましたが、2024年4月1日付で土岐グランドボウルのボウリング事業を譲渡し、同年4月30日付で連結子会社であった株式会社ケンテンの全株式を譲渡いたしました。また前期までホテルのオペレーション事業を行っていた株式会社ホテルシステム二十一(連結子会社)をMBKプロパティ株式会社に商号変更し、不動産管理運営事業を始めることから、マーチャント・バンキング事業となり、これに伴い、オペレーション事業から完全撤退いたしました。

そのため、同事業の業績は2023年11月1日から2024年4月30日までの6か月の業績となり、当期は売上高は46百万円、セグメント利益は0百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて295百万円増加し、当連結会計年度末には1,166百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは3,137百万円の収入(前連結会計年度は241百万円の支出)となりました。収支の主な内訳は、棚卸資産の減少額2,931百万円、長期前払費用の増加額142百万円、未払消費税等の増加額121百万円の計上などであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは4,968百万円の支出(前連結会計年度は3,819百万円の支出)となりました。収支の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出5,459百万円、定期預金の払戻による収入320百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入223百万円の計上などであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは2,125百万円の収入(前連結会計年度は3,800百万円の支出)となりました。収支の主な内訳は、長期借入れによる収入4,689百万円、長期借入金の返済による支出2,529百万円の計上などであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

特記事項はありません。

 

(b) 受注実績

特記事項はありません。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2023年11月1日
 至 2024年10月31日)

マーチャント・バンキング事業(千円)

4,400,497

オペレーション事業(千円)

46,244

合計

4,446,741

 

  (注) 1 決算期変更に伴い2024年10月期(2023年11月1日から2024年10月31日)と2023年10月期(2023年4月1

       日から2023年10月31日)は期間が異なるため、前年同期比は記載しておりません。

  2 事業区分の方法等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表

       注記事項(セグメント情報等)」に記載しております。

  3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の

    とおりであります。

 

相手先

前連結会計年度
(自 2023年4月1日
 至 2023年10月31日)

当連結会計年度
(自 2023年11月1日
 至 2024年10月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社エイドグループ

529,644

34.43

株式会社ファーストコード

399,779

25.99

京阪電鉄不動産株式会社

1,224,430

27.54

株式会社サンレジデンシャル

613,457

13.80

株式会社shinコーポレーション

588,223

13.23

 

 

(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

(a) 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末(以下「当期末」)の総資産は、前期末と比較して2,410百万円増加して16,375百万円となりました。総資産の主な変動要因は、現金及び預金の減少25百万円、無形固定資産の減少175百万円、有形固定資産の増加1,545百万円、販売用不動産の増加719百万円、長期前払費用の増加142百万円であります。

 

(負債の部)

当期末の負債合計は、前期末と比較して2,262百万円増加して12,198百万円となりました。主な変動要因は、長期借入金(1年内を含む)の増加2,145百万円、預り敷金・保証金(固)の増加33百万円、支払手形及び買掛金の減少9百万円であります。

 

(純資産の部)

当期末の純資産合計は、前期末と比較して148百万円増加し4,177百万円となりました。主な変動要因は、配当金の支払29百万円が親会社株主に帰属する当期純利益182百万円を下回ったことによる利益剰余金の増加148百万円であります。この結果、自己資本比率は25.5%(前連結会計年度末は28.9%)となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

2024年10月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。         (単位:百万円)

指標

2024年10月期

(計画)

2024年10月期

(実績)

増減額(B-A)

増減率

売上高

3,000

4,446

1,446

48.22%

営業利益

600

326

△273

△45.6%

経常利益

400

99

△300

△75.1%

親会社株主に帰属する当期純利益

260

182

△77

△29.8%

 

6物件の売却により売上高4,446百万円(予想数値に対して1,446百万円)と予想数値よりも上回りましたが、9物件購入に関わる取得経費が予想数値の98百万円の超過、コンプライアンス体制強化のために外部専門家に支出した費用の超過により営業利益326百万円(予想数値に対して△273百万円)となりました。

また物件取得による金融機関からの借入が増加し、それに伴う金融費用が予想数値を48百万円上回ったことや、株主優待実施に伴う費用を39百万円の計上したことにより、経常利益99百万円(予想数値に対して△300百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益182百万円(予想数値に対して△77百万円)につきましては子会社株式会社ケンテンの売却益90百万円を特別利益に計上したことにより、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は計画から下方へ変動いたしました。

 

(b) 経営成績の分析

当社グループは、積極的な賃貸用不動産の取得及び将来性の高い企業分野への投資を中心に行うことにより、安定的な収益基盤の構築に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、販売用不動産6物件を3,185百万円で売却したこと。また年間家賃収入10億円体制を維持しつつ、積極的に賃貸用不動産の取得を行った結果、都心のオフィスビルを含めて合計9物件取得いたしました。その結果、賃貸不動産等の残高は13,335百万円となり、前連結会計年度末に対し、1,953百万円増加いたしました。

当期の当社グループの業績は売上高4,446百万円となり、賃貸用不動産9物件(取得価格合計5,371百万円)の取得により、不動産取得税等の取得経費224百万円やその他経費を負担し、営業利益326百万円、経常利益99百万円となりました。

またオペレーション事業(株式会社ケンテン)の株式譲渡により特別利益90百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、182百万円となりました。

当社グループは、賃貸用不動産取得を基軸に、積極的に事業拡大に取り組んでまいります。事業拡大にあたり、当社グループは、投資会社でありますので、エクイティあるいはデッドによる資金調達が前提となります。

なお、セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況  4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(b) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、賃貸用不動産の取得資金等であります。それらの財源については、主に金融機関からの借入金となっております。運転資金については、原則、自己資金を充当するほか、第三者割当による株式発行等による調達もしております。

なお、当連結会計年度末における借入金の残高は、11,830百万円、現金及び現金同等物の残高は1,166百万円となっております。

今後も更なる成長資金を調達し、財務の健全性を維持するため、新株予約権行使又は新株発行等、エクイティによる資金調達が肝要と認識しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について将来の回収可能性がないと判断した場合は計上しておりません。また将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した場合は、将来減算一時差異について繰延税金資産を計上致します。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(投資有価証券の評価)

当社グループは、資本業務提携により保有する時価のない投資有価証券については、原価法を採用しその評価は1株当たり純資産額と取得価額とを比較して、1株当たり純資産額が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討しております。このため将来において投資先の業績動向が著しく低下した場合、投資有価証券の減損処理が必要となる可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。