当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う世界経済の急減速、インバウンド需要の急減、外出自粛による内国需要の急減を受けて大幅に悪化しており、一部では内需の持ち直しや世界経済の底入れに伴い改善傾向にあるものの、今後の先行きに関しては、新型コロナウイルス第二波の恐れが景況感を下押しし、更に悪化する可能性も見込まれる為、企業の景気や業績の先行きに対する見方は慎重化している状況にあります。
当社を取り巻く事業環境といたしましては、主要分野であるヘルスケア領域において、政府の成長戦略で掲げる新しい社会「Society5.0」の実現に向けた医療・介護分野での具体的戦略において「リアルタイムの自動健康診断などでの健康促進や病気を早期発見すること」、「生理・医療データの共有によりどこでも最適な治療を受けること」が挙げられており、また、新設されたデジタル庁の医療分野構想においても「オンライン診療の原則解禁」等も発表されており、当社主要販売商品であるクラウド型電子カルテ、医療用画像管理システムはまさに現在の政府施策に合致した商品であり、追い風の状況にあります。
全体売上高は前年比プラスとなったものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響は予想を遥かに超えるものであり、主力となるヘルスケアソリューション事業の売上の落込みが大きく、販管費を吸収することが出来ませんでした。
以上の結果、当事業年度における当社業績は、売上高1,979百万円(前年同期比5.3%増)、営業損失452百万円(前年同期は43百万円の損失)、経常損失583百万円(前年同期は692百万円の利益)、当期純損失777百万円(前年同期は243百万円の利益)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
ヘルスケアソリューション事業
ヘルスケアソリューション事業の当事業年度業績は、売上高657百万円(前年同期比48.8%減)、セグメント損失58百万円(前年同期は189百万円の利益)となりました。
当セグメントの減収赤字要因としては、新型コロナウイルス感染拡大により主要販売先である医療機関への営業活動自体が出来なかったことや、『PACS』(医療用画像管理システム)の更新延期、『i-HIS』(クラウド型電子カルテ)の商談凍結等が相次いだことから、売上高は前期比48.8%減少し、また、『i-HIS』専属人材増加による固定費増加からこれまでにない業績となりました。ただ、当事業年度後半からは徐々に医療機関への営業活動も再開されつつあり、また、新型コロナウイルス関連商品であるPCR検査試薬、PCR検査装置、抗原検査キット、抗体検査キット等の取扱いも開始し、来期業績回復に寄与していくものと思われます。
地球環境ソリューション事業
地球環境ソリューション事業の当事業年度業績は、売上高1,322百万円(前年同期比122.1%増)、セグメント損失37百万円(前年同期は36百万円の利益)となりました。
地球環境にやさしい再生可能エネルギー分野では、太陽光発電所の売却により、大幅な増収となりましたが、新規案件への人材増加による固定費増加により損失となりました。
一方GEOソリューション事業については、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア『Pix4Dmapper』は堅調に推移しております。また、地理空間情報や三次元画像処理による大型設備の保守メンテナンスや、AIを活用したソリューションサービス事業を開始するとともに、広告宣伝費等を抑えた事による費用の減少により増益となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べ343百万円減少し、945百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動の結果獲得した資金は157百万円(前期は20百万円の減少)となりました。これは、税引前当期純損失の計上771百万円、減価償却費の計上66百万円、減損損失の計上175百万円、貸倒引当金の増加147百万円、売上債権の減少595百万円、仕入債務の減少97百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動の結果獲得した資金は0百万円(前期は447百万円の獲得)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出314百万円、有形固定資産の売却による収入406百万円、無形固定資産の取得による支出35百万円、貸付けによる支出80百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動の使用した資金は500百万円(前期は6百万円の使用)となりました。これは、長期借入金による収入300百万円、長期借入金の返済による支出331百万円、割賦債務の返済による支出1,034百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入564百万円等があったことによるものです。
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 金額は実際仕入額によっております。
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当社はシステム インテグレータであり、生産設備を保有していないため、生産実績等の記載は行って
おりません。
4 セグメント間取引については、相殺消去しております。
5 地球環境ソリューション事業における著しい変動の要因は、太陽光発電設備の仕入によるものであります。
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 当会計年度における販売実績の著しい変動の要因は「(経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の概要」に記載のとおりであります。
4 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注)1 当事業年度の岩手県 医療局に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
2 相手先等については、契約上の守秘義務により開示を控えさせていただきます。
3 前事業年度の(注)2に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
4 当事業年度の(注)2に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、会計上の見積りを行ううえでの新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5[経理の状況]1[財務諸表等](1)[財務諸表][注記事項](追加情報)」をご参照ください。
製品保証引当金
当社は、製品の売上を認識する時点で、製品検収後1年間の無償保証期間における無償保証に係る費用の見積額を計上しておりますが、実際の製品の瑕疵に伴う無償保証費の発生額が見積りと異なる場合には、追加的に無償保証費の計上が必要となる可能性があります。
(2) 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照ください。
・経営指標の分析
経営指標の分析について、当社では売上高と営業利益、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標としております。当事業年度業績は、売上高1,979百万円(前年同期比5.3%増)、営業損失452百万円(前年同期は43百万円の損失)、自己資本利益率(ROE)△46.1%となりました。
ヘルスケアソリューション事業において、売上高と営業利益に関しまして前期と比較して、新型コロナウイルス感染拡大により主要販売先である医療機関への営業活動自体が出来なかったことや、『PACS』(医療用画像管理システム)の更新延期、『i-HIS』(クラウド型電子カルテ)の商談凍結等が相次いだことから、減収減益となりました。
今後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けることが予想されますが、『PACS』、『i-HIS』の商品力及び新規顧客の獲得を強化し、持続的成長のための土壌作りを進めてまいります。
地球環境ソリューション事業において、スイスのPix4D社製三次元画像処理およびオルソモザイク作成ソフトウェア『Pix4Dmapper』は、測量・建設分野でのニーズが増加していること、代理店網の拡大、また、地理空間情報や三次元画像処理により、大型設備の保守メンテナンスやAIを活用したソリューションサービス事業を開始しており、広告宣伝費等を抑えた事による費用の減少により増益基調となっております。再生可能エネルギー分野では、太陽光発電所の売却により、大幅な増収となりましたが、新規案件への人材増加による固定費増加により損失となりました。
今後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けることが予想されますが、政府の対応方針に則り、収益性を重視した事業運営を行い、コスト削減にも取り組んでまいります。
・財政状態の分析
(資産)
当事業年度末における流動資産は、1,478百万円(前事業年度末比39.3%減)となりました。これは、現金及び預金が343百万円、売掛金が595百万円減少したこと等によります。
固定資産は、594百万円(同40.1%減)となりました。これは、機械及び装置が407百万円、長期前払費用が159百万円減少した一方で、土地が112百万円、長期貸付金が147百万円増加したこと等によります。
この結果、当事業年度末における総資産は、2,073百万円(同39.5%減)となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は、285百万円(前事業年度末比38.4%減)となりました。これは、買掛金が97百万円、1年内返済予定の長期割賦未払金が79百万円減少したこと等によります。
固定負債は、78百万円(同92.6%減)となりました。これは、長期割賦未払金が954百万円減少したこと等によります。
この結果、当事業年度末における負債合計は、363百万円(同76.2%減)となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、1,709百万円(前事業年度末比10.1%減)となりました。これは、資本金が291百万円増加した一方で、資本準備金が238百万円減少したこと等によります。
キャッシュ・フローの状況については、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1 各指標の算出は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)で計算しております。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5 利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
6 2019年9月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
セグメント別の状況については、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照ください。
・資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社における資金需要の主なものは、仕入代金、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備取得資金であります。当社の資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び増資による資金調達と金融機関からの借入による資金調達となります。
また、手元流動性資金(現預金残高)は、一定額を保持する方針であり、資金の流動性は十分に確保できていると考えております。
今後の重要な支出の計画につきましては、地球環境ソリューション事業における新規案件の取得に加え、研究や開発、人材の確保にかかる費用、投資が想定されており、これらの必要資金についても、自己資金で賄いきれない部分については、長期安定的な方法により調達を行い、事業化を推進することが望ましいものと考えております。