第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第2四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 業績の状況

当第2四半期連結累計期間(2023年10月1日~2024年3月31日)におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会・経済活動の正常化が一段と進んだ状況となり、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復などで景気は緩やかな回復が続いております。一方、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクもあり、物価上昇、継続的な円安、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、主要分野であるヘルスケアソリューション事業において、政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられております。また、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを踏まえた非常時に備えたサイバーセキュリティ対策の整備医療機関の対象範囲が広がり、医療情報システムのオフライン体制の確保、「医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに基づく業務継続計画(BCP)」に対応可能な電子カルテ及び医療情報管理システムの重要性も高まっております。一方、新型コロナウイルス感染症の症状軽減傾向と感染対策の緩和に伴い、抗原検査キットやPCR検出試薬などの需要は減少し、抗原検査キット等の受注活動は縮小しています。そのため、2022年5月に医療検査事業に特化して設立された100%子会社ワン・サイエンスは、今後の本格的な事業展開が見込めないことから、同社を解散し、清算することといたしました。

地球環境ソリューション事業においては、COP26が終了した2021年11月時点で、154カ国・1地域が、2050年等の年限を区切ったカーボンニュートラルの実現を表明しており、日本国内でも2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。また、2023年11月に開催されたCOP28において、パリ協定の目標達成に向け、「化石燃料からの脱却」という文言及び「原子力3倍宣言」がCOP史上初めて成果文書に記載されており、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素エネルギー源の一つとして原子力エネルギーが重要な役割を担うという認識も高まっております。こうした環境下において、当社が手掛けるエネルギー分野への重要性は増しており、当社では、地域及び地球に優しい持続可能な環境配慮型事業創出に注力しております。原子力産業関連分野においては、2023年5月30日付『(開示事項の経過)東京電力ホールディングス株式会社の公募「多核種除去設備等で浄化処理した水からトリチウムを分離する技術」に対しての進捗状況について』にて公表しましたとおり、現在は、「フィージビリティスタディ」を、創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で進めております。国際原子力機関(IAEA)からの提言を受けて、日本政府は福島第一原子力発電所で貯蔵されているALPS処理水の海洋放出を昨夏に開始しましたが、廃炉作業は事故から30~40年の長期にわたる見通しとされております。そのため、当社も東京電力ホールディングス株式会社が進めている本技術公募に引き続き参画してまいります。

当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高1,251,341千円(前年同期比49.5%減)、営業損失230,434千円(前年同期は135,809千円の損失)、経常損失235,304千円(同151,832千円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失391,389千円(同82,445千円の損失)となりました。

 

セグメント別の概況は以下のとおりです。

 

 

ヘルスケアソリューション事業

ヘルスケアソリューション事業の当第2四半期連結累計期間は、売上高268,454千円(前年同期比71.5%減)、セグメント損失56,624千円(前年同期は5,103千円の損失)となりました。

当セグメントの業況といたしましては、メディカルシステム分野、メディカルサプライ分野を中心とした展開を行っておりますが、両分野共に、前年同期(前第2四半期連結累計期間)と比べ、売上高と利益共に大幅な減収・減益となりました。

メディカルシステム分野においては、『PACS』(医療用画像管理システム)、電子カルテ、RIS(放射線科情報システム)、統合viewer・医用文書スキャンシステム等を継続販売しております。医療機関のDX化が注目を集める中、統合viewerは一画面で患者様の情報が俯瞰できるため情報を探す手間が省け、業務の効率が上がり、医療従事者の働き方改革にも役立つシステムになります。院内に紙媒体で散見する医用文書をファイリングできる医用文書スキャンシステムは、患者様の同意書や各種検査の検査結果用紙等の医用文書にタイムスタンプを付与し原本としてデジタル保存することで膨大な紙文書の保管から解放(ペーパーレス化)を実現いたします。当四半期では、電子カルテの新規売上受注はできたものの、前年度に獲得したような大型案件が発生せず、また、各種システムに係る保守の売上も減少したことから、売上高と利益共に前年同期を大幅に下回る結果となりました。

メディカルサプライ分野では、PCR検査機器、PCR検査キット、抗原検査キット、検査・検診用のニトリルグローブやマスクなどの消耗品等を継続販売しております。当第1四半期累計期間で確保できた大型入札案件の対応は進んだものの、新型コロナウイルス感染症の症状軽減傾向と感染対策の緩和に伴い、抗原検査キットやPCR検出試薬などの需要が引き続き縮小しているため、売上高と利益共に前年同期を大幅に下回りました。

 

地球環境ソリューション事業

地球環境ソリューション事業の当第2四半期連結累計期間は、売上高982,887千円(前年同期比36.0%減)、セグメント損失1,949千円(前年同期は70,242千円の利益)となりました。

当セグメントの業況といたしましては、GEOソリューション分野、エネルギー分野、原子力産業関連分野を中心とした展開を行っておりますが、売上高と利益において、GEOソリューション分野が引き続き大きく貢献しました。

GEOソリューション分野においては、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア『PIX4Dmapper』『PIX4Dmatic』並びにスマートフォンやタブレット端末を用いた計測ツール『viDoc RTK rover』の受注が引き続き堅調に推移し、一定の利益も確保できている状況にあります。また、地理空間情報や三次元画像に高付加価値を与える新たなソリューションサービス事業に関しては、従来の取引先である測量・建築業界のみならず、森林DX化に関する新規ソフトウェアへの要望がきており、今後も成長が期待できるマーケットになります。

エネルギー分野においては、再生可能エネルギー市場の動向に注視しつつ、太陽光発電所等のセカンダリーマーケットにおいて売買活動を行っておりますが、当第2四半期連結会計期間では、当第1四半期会計期間で売上計上したような大型の太陽光発電所案件は発生しませんでした。

原子力産業関連分野のトリチウム分離除去においては、東京電力が進めている「ALPS処理水等からトリチウムを分離する技術の公募に係る第1回募集の二次評価と第2回募集の一次評価について」(p.3)に関して、創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で「フィージビリティスタディ」を継続して進めています。国際原子力機関(IAEA)からは、高い耐放射線性能と小型・軽量・省エネの特長を持つマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線CMOSセンサーカメラ2台の発注を受け、1台を耐久テストサンプルとして納品を完了しております。また、一般社団法人新生福島先端技術振興機構との間で締結した独占販売代理店契約に基づき、同一事象同時検出法を利用して、GAGG(※1)シンチレータを使用した2個の検出器による測定を行うことでトリチウムの信号とノイズを分離し、短時間で微量のトリチウムを測定することが可能なトリチウム等の連続計測器を国内外に販売することも開始しています。

 

なお、当社グループは、2024年2月22日付「第三者委員会調査及び過年度決算修正対応に伴う特別損失の計上見込みに関するお知らせ」にて公表しましたとおり、第三者委員会調査及び過年度決算修正対応に要する費用が当第2四半期連結累計期間において発生し、135,010千円を特別損失に計上することになりました。また、2024年3月26日付「中期経営計画の取り下げ及び一部事業の撤退に関するお知らせ」、にて公表しましたとおり、2022年9月期から2024年9月期までの3ヵ年とする「中期経営計画」を取り下げ、「中期経営計画」にて公表した「ヘルスケアソリューション事業:マイクロニードルプロジェクト」及び「地球環境ソリューション事業:住宅再生事業」から撤退することを決定いたしました。

 

※1 GAGGは近年新しく開発されたシンチレータ結晶で、シンチレータ結晶の中では最も発光量が高いとされている。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、1,668,572千円(前連結会計年度末比26.3%減)となりました。これは、商品が308,615千円増加したものの、現金及び預金が321,135千円、仕掛販売用不動産が578,000千円減少したこと等によります。

固定資産は、408,438千円(同0.1%増)となりました。これは、投資有価証券が229,871千円増加し、長期預け金が215,107千円減少したこと等によります。

この結果、当第2四半期連結会計期間末における総資産は、2,077,010千円(同22.3%減)となりました。

 

(負債)

当第2四半期連結会計期間末における流動負債は、788,297千円(前連結会計年度末比21.2%減)となりました。これは、仮受金が188,888千円増加したものの、買掛金が39,235千円、未払金が232,122千円、その他が115,015千円減少したこと等によります。

固定負債は、17,511千円(同13.6%減)となりました。これは、長期借入金が5,040千円、退職給付に係る負債が1,708千円減少したこと等によります。

この結果、当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、805,808千円(同21.0%減)となりました。

 

(純資産)

当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、1,271,202千円(前連結会計年度末比23.1%減)となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純損失391,389千円を計上したことによります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、554,745千円となり、前連結会計年度末に対し、271,135千円減少しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期連結累計期間において、営業活動の結果使用した資金は69,521千円(前年同期は794,494千円の獲得)となりました。これは、税金等調整前四半期純損失の計上388,391千円、棚卸資産の増加313,837千円、仕掛販売用不動産の減少578,000千円、前渡金の減少210,016千円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期連結累計期間において、投資活動の結果使用した資金は193,579千円(前年同期は214,666千円の獲得)となりました。これは、投資有価証券の取得による支出222,814千円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期連結累計期間において、財務活動の結果使用した資金は8,035千円(前年同期は82,409千円の使用)となりました。これは、長期借入金返済による支出8,035千円があったことによるものです。

 

 

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

(8) 経営成績に重要な影響を与える要因

当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。

 

(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。