1【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   ビー・エックス・ジェイ・ビー・ツー・ホールディング株式会社

所在地  東京都港区虎ノ門五丁目1番4号

 

2【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1)意見の内容

 当社は、2024年5月13日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。上記の2024年5月13日付の当社取締役会においては、下記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けが開始される際に、当社が設置した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)に対して、本特別委員会が2024年5月10日付で当社取締役会に対して提出した答申書(以下「2024年5月10日付答申書」といいます。その概要及び特別委員会の委員の構成、付与された権限及び具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、2024年5月10日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること(以下「追加諮問事項」といいます。)、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。

 当社は、「2024年5月13日付「MBOの実施予定及び応募の推奨に関するお知らせ」(以下「2024年5月13日付当社プレスリリース」といいます。)においてお知らせいたしましたとおり、公開買付者から、オーストラリアにおける競争法に基づき必要な許認可等(以下「本クリアランス」といいます。)(注1)に係る手続等に関する現地法律事務所との協議も踏まえ、本クリアランス取得までに2024年5月13日から最短で4週間程度かかる見込みであることから、2024年6月中旬頃を目途に本公開買付けを開始することを目指している旨の連絡を受けました。その後、2024年6月20日及び2024年11月8日付で公表した「株式会社アイロムグループ(証券コード2372)に対する公開買付け実施に向けた進捗状況のお知らせ」(以下、それぞれ「2024年6月20日付公開買付者プレスリリース」、「2024年11月8日付公開買付者プレスリリース」といいます。)においてお知らせいたしましたとおり、公開買付者は、同国における競争法に基づく手続及び対応に時間を要したことから、それぞれ同日時点でかかる手続対応が完了しておらず、当社はその旨の連絡を受けました。また、2024年11月8日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、公開買付者は、オーストラリア競争・消費者委員会(Australian Competition and Consumer Commission)(以下「ACCC」といいます。)の最終的な判断は2025年2月6日までに公表される予定である旨、当該当局から通知を受け、2025年2月末日までには、オーストラリアにおける競争法に基づく必要な手続及び対応が完了し、本公開買付けが開始されることを見込んでおり、当社はその旨の連絡を受けました。

 その後、当社は、公開買付者が2024年12月20日付「株式会社アイロムグループ(証券コード2372)に対する公開買付け実施に向けた進捗状況のお知らせ」(以下、「2024年12月20日付公開買付者プレスリリース」といいます。)においてお知らせいたしましたとおり、2024年12月20日に、公開買付者より、本公開買付けの決済日後11ヶ月以内に、当社が直接又は間接に保有するCMAX Clinical Research Pty Ltd(以下「CMAX」といいます。)(注2)の株式の全てを第三者へ譲渡すること等を条件に、2024年12月20日、ACCCから、本公開買付けに係る本クリアランスの取得を完了し、オーストラリアの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本公開買付けの開始の前提条件がいずれも充足されることが見込まれる、2025年1月下旬を目途に、本公開買付けを開始することを予定している旨の連絡を受けました。

 当社は、公開買付者から2024年6月中旬頃を目途に本公開買付けを開始することを目指しているとの連絡を受け、2024年6月13日から審議を再開し、2025年1月30日までに開催された計5回(約3時間)の特別委員会において、各委員に対して、公開買付者におけるクリアランスの取得状況を共有いたしました。また、本特別委員会は、当社に対して、2024年5月13日以降、本取引(下記「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義します。以下同じです。)に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」の「(ⅲ)特別委員会における判断内容」をご参照ください。)の確認等を行い、追加諮問事項について検討を行った結果、2024年5月13日以降、2025年1月30日までの事情を勘案しても2024年5月10日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年1月30日に、当社取締役会に対して、2024年5月10日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がない旨の答申書(以下「追加答申書」といいます。)を提出しました。

 その上で、当社は、本特別委員会から提出された追加答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2025年1月31日時点においても、2024年5月13日時点における当社の本公開買付けに関する判断を変更する要因はないと判断いたしました。

 以上より、当社は、2025年1月31日、会社法第370条による取締役会決議(書面決議)により、当社の取締役(取締役合計14名のうち、森氏(下記「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義します。以下同じです。)を除く利害関係を有しない取締役13名)の全員一致で、改めて、本公開買付けに対する賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。

 なお、上記の2024年5月13日付及び2025年1月31日付の当社取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む。)全員の承認」に記載の方法により決議されております。

 

(注1) オーストラリア競争法の下においては、株式取得者であるブラックストーン(下記「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義します。以下同じです。)は、ACCCに対して、本株式取得の前に、本株式取得に係る事前審査を任意で要請することができるとのことです。ブラックストーンは、本株式取得についての任意的な事前審査を、2024年4月6日付(現地時間)で非公開の形式で要請し、同要請は同日付で受理されているとのことです。その後、ACCCは、オーストラリアでCRO事業を営み、早期臨床試験(第Ⅰ相)(注3)を中心とした治験施設サービスを提供する当社グループ傘下のCMAXと、ブラックストーンが間接に投資をする、オーストラリア最大の早期臨床試験サービスプロバイザーのNucleus Network(注4)という、オーストラリアにおいて早期臨床試験サービスを提供する二社が、本取引の結果、いずれもブラックストーン傘下に入ることで、オーストラリアにおける早期臨床試験サービスの価格上昇やサービス品質の低下を招く可能性、及び、オーストラリア国内で早期臨床試験サービスを提供する他の企業が当該二社に対抗できなくなる可能性といった競争法上の懸念を示していたとのことです。ACCCは、2024年7月24日、本株式取得に係る公開審査を開始し、本取引の当事者や、同一の業界に属する競業者等へのヒアリングを行ったとのことです。その後、2024年11月8日付プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、ブラックストーンは、ACCCからは、ACCCの最終的な判断は2025年2月6日までに公表される予定である旨通知を受領したとのことです。しかし、ブラックストーンは、上記の競争法上の懸念を解消すべくACCCと協議を重ね、当社が、直接又は間接に保有するCMAXの株式を譲渡する旨の提案をACCCに対して行いました。その後、ブラックストーン及びACCCの協議の結果、ACCCから、2024年12月20日、概要、以下を条件として、本株式取得について承認する旨の決定が公表され、公開買付者は、同日、本株式取得が承認されたことが確認されたとのことです。

(a)公開買付者は、当社をして、本公開買付けの決済日後11ヶ月以内に、当社が直接又は間接に保有するCMAXの株式の全てを第三者へ譲渡させること(以下「CMAX株式譲渡」といいます。)

(b)CMAX株式譲渡について、譲渡先及び譲渡条件についてACCCの承諾を得ること

(c)公開買付者は、CMAX株式譲渡を行うことについて、政府機関又は第三者からの同意を取得し、又は譲渡先による同意の取得に協力すること

(d)譲渡先の求めに応じ、譲渡先がCMAXの事業を継続して遂行するために必要な人員(当該人員が移籍に同意している場合に限る。)を移籍させること

(e)CMAX株式譲渡のために、譲渡先の求めに応じて譲渡先との間で別途締結される技術支援契約(Technical Assistance Agreement)(注5)及び経過的供給契約(Transitional Supply Agreement)(注6)を遵守すること

なお、公開買付者が、上記の条件を満たすCMAX株式譲渡を実行できなかった場合、公開買付者は、CMAX株式譲渡を実現するためのエージェントを選任し、当該エージェントをして、CMAX株式を売却する義務を引き続き負いますが、上記条件を成就できなかったことのみを理由として、公開買付者に対して不利益となる制裁が科されることはないとのことです。また、ACCCとの間で合意した公開買付者の義務に違反したことで、CMAX株式譲渡の実行に失敗した場合には、ACCCは、オーストラリアの裁判所に命令(Court Order)を下すよう申し立てることができ、かかる命令を下されてもなお公開買付者が義務履行に応じない場合には、裁判所の裁量でかかる義務履行を確保するための措置を実行できるとのことです。もっとも、万が一、これらの措置が講じられる事態が生じたとしても、本公開買付けの成否に影響が生じることはないとのことです。

(注2) 「CMAX Clinical Research Pty Ltd」は南オーストラリア州アデレード市にある臨床試験実施施設で、1993年にRoyal Adelaide Hospital内にて創業し、IDT Australia Limitedの事業部門を経て、2016年12月に当社グループがその事業を取得し、グループ化しました。オーストラリアにおける臨床試験事業のパイオニアであり、長年にわたりオーストラリアの医薬品開発に寄与しております。

(注3) 「早期臨床試験(第Ⅰ相)」とは、医薬品の臨床開発に際し実施される目的別試験の種類であり、安全性や薬物の体内での動態等の確認を目的とする試験のことをいいます。

(注4) 「Nucleus Network」は、オーストラリア最大の第Ⅰ相臨床研究機関であり、製薬会社や医療機関向けに臨床試験のデザイン、実施、管理を支援しているとのことです。2004年の設立以来、Nucleus Networkは、中国、ヨーロッパ、日本、韓国、台湾、米国等、世界各地のバイオテクノロジー及び製薬企業向けに、1000件以上の第1相臨床試験を実施してきたとのことです。

(注5) 「技術支援契約(Technical Assistance Agreement)」とは、譲渡先の求めに応じて公開買付者が譲渡先との間で締結する、CMAXの事業の遂行のために必要な技術的支援を公開買付者が譲渡先に提供する内容の契約とのことです。

(注6) 「経過的供給契約(Transitional Supply Agreement)」とは、譲渡先の求めに応じて公開買付者が譲渡先との間で締結する、譲渡先に対するCMAXの事業の遂行のために必要な物品又は役務の提供を公開買付者が約する内容の契約とのことです。

 

(2)意見の根拠及び理由

 本「(2)意見の根拠及び理由」に記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

 

① 本公開買付けの概要

 公開買付者は、本公開買付けを通じた当社株式の取得のために2024年4月22日に設立された株式会社であり、当社株式を所有し、当社の事業活動を支配及び管理することを主たる目的としているとのことです。公開買付者の発行済株式の全ては、Blackstone Inc.(その関係会社及びその他の関連事業体を含め、以下「ブラックストーン」といいます。)が管理、助言又は運営するファンドが発行済株式の全てを間接的に保有するビー・エックス・ジェイ・ビー・ワン・ホールディング株式会社(以下「公開買付者親会社」といいます。)によって保有されているとのことです。なお、本書提出日現在、ブラックストーン、公開買付者親会社及び公開買付者は当社株式を所有していないとのことです。

 公開買付者は、2024年5月13日付「株式会社アイロムグループ(証券コード2372)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「2024年5月13日付公開買付者プレスリリース」といいます。)において公表しておりましたとおり、本クリアランスに係る手続及び対応に一定期間を要することが見込まれることから、本クリアランスの取得が完了していることその他本公開買付契約(以下に定義します。)に規定される一定の条件(注1)(以下「本前提条件」といいます。)が充足された場合(又は公開買付者により放棄された場合)、本公開買付けを速やかに実施することを決定していたとのことです。

(注1) ①森氏(以下に定義します。)による表明及び保証(注2)が重要な点において真実かつ正確であること、②森氏及び森氏資産管理会社(以下に定義します。)が本公開買付契約に基づき本公開買付けに係る公開買付期間開始日までに履行又は遵守すべき義務(注3)が重要な点において履行又は遵守されていること、③当社取締役会(取締役合計14名のうち、利害関係を有しない森氏を除く13名が参加)が、本公開買付けが実施される際に、本公開買付けに対して賛同し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見(以下「本賛同意見」といいます。)を表明することを決議及び公表し、これが撤回又は変更されていないこと、④当社グループ(下記「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」において定義します。以下同じです。)の事業、資産、負債、財務状態、経営成績、キャッシュフロー又は将来の収益計画に対する重大な悪影響が発生していないこと、⑤本公開買付けが開始されていたとするならば、本公開買付けの撤回が認められるべき事情が発生していないこと、⑥本取引(以下に定義します。)のいずれかを制限又は禁止することを求める旨のいかなる申立て、訴訟又は手続も係属しておらず、かつ、本取引のいずれかを制限又は禁止する旨のいかなる法令等又は司法・行政機関等によるいかなる命令、処分若しくは判決も存在していないこと、⑦当社に係る業務等に関する未公表の重要事実(法第166条第2項に定める事実をいいます。)又は公開買付け等事実(法第167条第2項に定める事実をいいます。)で当社が公表(法第166条第4項又は法第167条第4項に定める意味を有します。)していないものが存在しないこと、⑧公開買付者が、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び三井住友信託銀行株式会社から、本取引の実行に必要な資金の調達を約するコミットメントレターをそれぞれ受領しており、かつ当該コミットメントレターがいずれも本公開買付けの開始日までに撤回されておらず、また、本公開買付けが成立した場合、当該コミットメントレターに規定された各引受条件がいずれも充足し、当該資金調達が実行されることが合理的に見込まれること、⑨公開買付者が、Blackstone Capital Partners Asia II L.P.(以下「BXアジアファンド」といいます。)から、直接又は間接に公開買付者に対して本公開買付けの決済に用いるための資金の一部を出資することを約する旨の出資証明書を受領しており、かつ当該出資証明書が本公開買付けの開始日までに撤回されておらず、また、本公開買付けが成立した場合、当該出資証明書に規定された各引受条件がいずれも充足し、当該出資が実行されることが合理的に見込まれること、⑩本取引に関し、国内外の競争法その他の規制法上の許認可等が必要となる国又は地域において、当該許認可等が取得及び履践され、(待機期間がある場合には)待機期間が経過(排除措置命令を行わない旨の通知を受領することを含む。)しており(注4)、また、当該国又は地域の司法・行政機関等により、本取引の実行を妨げる措置又は手続がとられないことが合理的に見込まれていること、⑪本特別委員会が、当社の取締役会に対して、本賛同意見を表明することは相当である旨の答申を行い、これが撤回されていないこと、並びに⑫当社の株主により、当社の剰余金の配当議案を目的事項とする臨時株主総会の招集請求がなされていないことをいうとのことです。

(注2) 本公開買付契約に基づく森氏の表明及び保証の内容については、下記「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」の「① 本公開買付契約」をご参照ください。

(注3) 本公開買付契約に基づく森氏の義務の内容については、下記「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」の「① 本公開買付契約」をご参照ください。

(注4) 本クリアランスの取得が完了していることに加えて、日本における、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含みます。以下「独占禁止法」といいます。)に基づく、公正取引委員会からの排除措置命令の事前通知並びに独占禁止法第10条第9項に基づく報告等の要求を受けることなく措置期間及び取得禁止期間が終了した場合、又は、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。その後の改正を含みます。)上の待機期間が満了した場合を含むとのことです。

 

 その後、ブラックストーンは、本公開買付けの実施に向けて、オーストラリアにおける競争法に基づき必要な手続に関する現地法律事務所のアドバイスを得ながら、かかる手続の完了に向けて関係当局等との交渉を進めていたとのことですが、2024年6月20日付公開買付者プレスリリース及び2024年11月8日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせしていましたとおり、同国における競争法に基づく手続及び対応に時間を要したことから、それぞれ同日時点でかかる手続及び対応が完了していないとのことでした。また、2024年11月8日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、ブラックストーンは、ACCCの最終的な判断は2025年2月6日までに公表される予定である旨、当該当局から通知を受けていたとのことです。

 今般、公開買付者は、2024年12月20日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、本公開買付けの決済日後11ヶ月以内に、当社が直接又は間接に保有するCMAXの株式の全てを第三者へ譲渡すること等を条件に、2024年12月20日、ACCCから、本公開買付けに係る本クリアランスの取得を完了し、オーストラリアの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したとのことです。

 さらに、公開買付者は、公開買付者及び当社における本公開買付け開始に向けた法及び株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)における開示規制並びに実務手続上必要となる準備が整ったこと、2025年1月30日、当社から、当社取締役会が本特別委員会より、委員全員の一致の決議による追加答申書を受領したとの連絡を受けたこと、並びに、公開買付者は、2025年1月31日、その他の本前提条件がいずれも充足されたこと(本公開買付け開始時点で判断される事項については、当該時点で充足される見込みであること)を確認したことから、本公開買付けが開始可能な状態になったと判断し、当社株式を非公開化することを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを2025年2月3日より開始することとしたとのことです。なお、公開買付期間を20営業日に設定することを除き(公開買付期間を、2024年5月13日付公開買付者プレスリリースで公表した30営業日から20営業日に変更した経緯については、下記「(2)本公開買付けを実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」をご参照ください。)、2024年5月13日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしました本公開買付けの内容や条件に変更はないとのことです。

 本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注5)に該当し、当社の代表取締役社長であり筆頭株主(2024年9月30日現在)でもある森豊隆氏(所有株式数:4,779,450株(所有割合(注6):39.48%)。以下「森氏」といいます。)は、本取引成立後も引き続き当社の経営にあたることを予定しているとのことですが、本書提出日現在、本取引後の森氏の役職名については未定とのことです。

(注5) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引をいいます。

(注6) 「所有割合」とは、当社が2024年11月5日に公表した「2025年3月第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2024年9月30日現在の当社の発行済株式総数(12,338,365株)から、当社決算短信に記載された2024年9月30日現在の当社が所有する自己株式数(232,718株)を控除した株式数である12,105,647株(以下「自己株式控除後発行済株式総数」といいます。)に対する割合をいいます(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について他の取扱いを定めない限り同じです。)が、同時点以後の変動等のために、本公開買付けの開始時において入手可能な最新の情報に基づいて計算される所有割合が上記の数字と異なる可能性があります。以下同じです。

 

 本取引は、(ⅰ)本公開買付け、(ⅱ)本公開買付けの決済完了後に、森氏及びその親族の保有する資産管理会社であるAPPLeCROSS.Ltd.(以下「森氏資産管理会社」といいます。)が、応募合意株式(以下に定義します。)を応募することにより森氏が受領する対価の一部を原資として、これを公開買付者親会社に対して再出資し、公開買付者親会社の普通株式(以下「公開買付者親会社株式」といいます。)を取得する取引(以下「本再出資①」といいます。)、(ⅲ)本スクイーズアウト手続、(ⅳ)本株式譲渡及び(ⅴ)森氏資産管理会社が、本株式譲渡によって森氏が取得する、公開買付者に対する代金債権を譲り受けた上でこれを公開買付者親会社に対して再出資し、公開買付者親会社株式を取得する取引(以下「本再出資②」といい、本再出資①と併せて「本再出資」と総称します。)(注7)から構成され、最終的には、当社の株主を公開買付者のみとし、公開買付者の発行済株式の全てを公開買付者親会社が所有し、かつ、森氏資産管理会社が所有する公開買付者親会社株式に係る議決権数と、ブラックストーンが所有する公開買付者親会社株式に係る議決権数を45.0対55.0の比率にすることを企図しているとのことです。

(注7) 本再出資は、森氏が継続して当社の経営にあたることが当社グループの事業全体の発展に寄与するものであることから、公開買付者親会社への再出資を通じて本取引実行後も森氏を当社に関与させることを目的として実施されるものであり、森氏による本公開買付けへの応募の可否とは独立して検討されたものであるとのことです。また、公開買付者親会社の普通株式の1株当たりの払込金額を決定する前提となる公開買付者親会社の企業価値評価における(公開買付者親会社が公開買付者を通じて間接的に所有する)当社株式の評価は、本公開買付価格と実質的に同額とする予定であり、当該金額より低い評価額とはしないため、森氏資産管理会社による公開買付者親会社の普通株式の引受けに係る取引条件(払込金額を含みます。)は、実質的に本公開買付価格よりも有利な条件が設定されるものではないと考えられることから、公開買付者親会社の普通株式を森氏資産管理会社に割り当てる行為は、公開買付価格の均一性規制(法第27条の2第3項)の趣旨に反するものではないと考えているとのことです。

 

 本公開買付けの実施にあたり、公開買付者及び公開買付者親会社並びにBXJB Holdings (CYM) L.P.(以下「BXファンド」といいます。)(注8)は、森氏及び森氏資産管理会社との間で、2024年5月13日付で、森氏が所有する当社株式のうち、担保権が設定されていない3,124,250株(所有割合:25.81%。以下「応募合意株式」といいます。)を本公開買付けに応募し、残りの1,655,200株(所有割合:13.67%。以下「不応募合意株式」といいます。)には担保権が設定されていることから本公開買付けに応募しない旨、森氏がその親族である森利恵氏(825,000株、所有割合:6.82%)及び森龍介氏(75,000株、所有割合:0.62%)をして本公開買付けに応募させるよう努力する旨、不応募合意株式に設定されている担保権を解除する旨、並びに本スクイーズアウト手続、本再出資①、本株式譲渡、及び本再出資②について定める契約(以下「本公開買付契約」といいます。)を締結しているとのことです。また、公開買付者は、公開買付者親会社及びBXファンドとともに、2025年1月31日付で、森氏及び森氏資産管理会社との間で、本公開買付契約の一部を変更し、上記のとおり、公開買付期間を30営業日から20営業日に変更する旨を合意しているとのことです。本公開買付契約の詳細については、下記「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」の「① 本公開買付契約」をご参照ください。

(注8) BXJB Holdings (CYM) L.P.は、ブラックストーンが管理、助言又は運営するファンドが発行済株式の全てを間接的に保有する、ケイマン諸島法に基づき設立されたエグゼンプテッド・リミテッド・パートナーシップとのことです。

 

 本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を6,415,200株(注9)(所有割合52.99%)に設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(6,415,200株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、本公開買付けは当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び不応募合意株式を除きます。)を取得することを企図しているため、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全ての買付け等を行うとのことです。なお、買付予定数の下限(6,415,200株)は、自己株式控除後発行済株式総数に係る議決権の数(121,056個)に3分の2を乗じた数(80,704個。小数点以下を切り上げ。)に単元株式数(100株)を乗じた株式数(8,070,400株)から、不応募合意株式(1,655,200株)を控除した株式数(6,415,200株)としているとのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、公開買付者が、本公開買付けにおいて、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本公開買付けの成立後、当社に対して、当社の株主を公開買付者及び森氏のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを要請する予定であるところ、本スクイーズアウト手続として会社法第180条に基づく当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされることから、本取引を確実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者及び森氏が当社の総株主の議決権数の3分の2以上に係る当社株式を所有することとなるようにするためとのことです。

(注9) 買付予定数の下限は、2025年1月31日時点の情報に依拠する暫定的な数であり、同時点以後の当社が所有する自己株式数の変動等により、本公開買付けにおける実際の買付予定数の下限が上記の数字と異なる可能性があります。本公開買付けの開始前に、本公開買付けの開始時点において入手可能な最新の情報を踏まえ、最終的な買付予定数の下限を決定する予定とのことです。

 

 公開買付者は、本取引の一環として、不応募合意株式に設定された担保権の消滅及び本スクイーズアウト手続の完了後、法第24条第1項但し書に基づき当社が内閣総理大臣から有価証券報告書を提出する義務の中断申請に係る承認を受けた後に、森氏が、公開買付者に対して、本株式併合の結果、森氏が本スクイーズアウト手続の完了直後に所有する当社株式の全てから1株に満たない端数に相当する株式を控除した当社株式を譲渡すること(以下「本株式譲渡」といいます。)(注10)を予定しているとのことです。

(注10) 本公開買付契約においては、本株式譲渡により公開買付者が森氏から取得する当社株式の譲渡価格の総額は、不応募合意株式の数(1,655,200株(所有割合:13.67%))に2,800円を乗じて得られる金額から本スクイーズアウト手続において会社法第180条に基づき行うことを予定している当社株式の併合に関連して会社法第235条第1項に基づき森氏に交付される端数代金(もしあれば)を控除して得られる金額とすることが合意されているとのことです。

 

 また、公開買付者は、本取引の実行後に、当社を吸収合併消滅会社、公開買付者を吸収合併存続会社とする吸収合併(以下「本合併」といいます。)を行うことを予定しているとのことですが、本合併の具体的な日程等の詳細については本書提出日現在未定とのことです。

 

 公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、本公開買付けを含む本取引に要する資金を、公開買付者親会社から受けた出資、並びに株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び三井住友信託銀行株式会社からの借入れ(以下「本銀行融資」といいます。)により賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済開始日の前営業日までに本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。本銀行融資に関する融資条件の詳細については、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び三井住友信託銀行株式会社と別途協議の上、融資契約において定めることとされているとのことです。なお、本銀行融資においては、公開買付者が本取引により取得する当社株式が担保に供されるほか、本スクイーズアウト手続の完了後は、当社の一定の資産等が担保に供される予定とのことです。

 

 また、本取引を図で表示すると、大要、以下のとおりとのことです。

 

(ⅰ)本公開買付けの実行前(現状)

 本書提出日現在において、当社の代表取締役社長かつ筆頭株主である森氏が、当社株式のうち4,779,450株(所有割合:39.48%)、その他の当社株式をその他の少数株主が所有しているとのことです。

0100010_001.png

 

(ⅱ)本公開買付けの実施後

 公開買付者は、当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び不応募合意株式を除きます。)の全てを対象に本公開買付けを実施し、本公開買付けの下限(6,415,200株)を充たす応募がなされ、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けの決済を行うとのことです。

 なお、公開買付者は、BXアジアファンドから、BXファンド及び公開買付者親会社を経由して、直接又は間接に、16,900,000,000円を限度として公開買付者に対して出資又は融資の方法により資金提供を受けることを予定しているほか、本公開買付けが成立した場合、本公開買付けに係る決済等に要する資金として、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行及び三井住友信託銀行株式会社から、それぞれ6,000,000千円、4,500,000千円及び4,500,000千円を上限として借入れを行うことを予定しているとのことです。

0100010_002.png

 

(ⅲ)本再出資①

 本公開買付けの決済完了後に、森氏資産管理会社は、応募合意株式を応募することにより森氏が受領する対価の一部を原資として、これを公開買付者親会社に対して再出資し、公開買付者親会社の普通株式を取得する予定とのことです。

0100010_003.png

 

(ⅳ)本スクイーズアウト手続の実施

 公開買付者は、本公開買付けにおいて当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、当社に対して本スクイーズアウト手続の実施を要請し、当社の株主を公開買付者及び森氏のみとするための手続を実施するとのことです。

0100010_004.png

 

(ⅴ)本株式譲渡

 公開買付者は、本取引の一環として、不応募合意株式に設定された担保権の消滅及び本スクイーズアウト手続の完了後、法第24条第1項但し書に基づき当社が内閣総理大臣から有価証券報告書を提出する義務の中断申請に係る承認を受けた後に、森氏が、公開買付者に対して、本株式併合の結果、森氏が本スクイーズアウト手続の完了直後に所有する当社株式から1株に満たない端数に相当する株式を控除した当社株式を譲渡することを予定しているとのことです。

0100010_005.png

 

(ⅵ)本再出資②

 森氏資産管理会社が、本株式譲渡によって森氏が取得する、公開買付者に対する代金債権を譲り受けた上でこれを公開買付者親会社に対して再出資し、公開買付者親会社株式を取得する取引を予定しているとのことです。本再出資②後の森氏資産管理会社が所有する公開買付者親会社株式に係る議決権数と、ブラックストーンが所有する公開買付者親会社株式に係る議決権数を45.0対55.0の比率にすること(注11)を予定しているとのことです。

(注11) 本株主間契約(下記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅱ)本公開買付け後の経営方針」において定義します。)上、BXファンドに限らず、ブラックストーンに該当するファンド等の保有する議決権数を含めて上記議決権比率とすることと規定されているとのことですが、本再出資②直後においては、BXファンド及び森氏資産管理会社のみが公開買付者親会社の株主となる予定であるため、下記スキーム図ではBXファンドのみ表示しているとのことです。

0100010_006.png

 

② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針

(ⅰ)本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程

 ブラックストーンは1985年に設立され、世界最大規模を誇るオルタナティブ投資運用会社とのことです。ブラックストーンは2024年3月31日時点でエクイティ総額約159兆円(注:1ドル=150円、以下同様です。)の資産を運用しており、ブラックストーンの投資運営事業にはプライベート・エクイティ・ファンド、不動産ファンド、ヘッジファンドソリューション、クレジット関連投資、クローズドエンド型ミューチュアル・ファンドが含まれているとのことです。本取引の出資主体となるプライベート・エクイティ・ファンドは、グローバルに約20兆円を126のポートフォリオ企業にて運用しているとのことです。また、ブラックストーンのプライベート・エクイティチームは東京、シンガポール、ムンバイ、上海、シドニー、ソウルのアジア6拠点を含むグローバルにオフィスを構え、地域ファンド(北米、欧州、アジア、日本等)に分割されず、一つのチームとして活動することで、緊密なグローバル連携が可能となっているとのことです。ブラックストーンはヘルスケアを最注力領域の一つとして定め、グローバルな規模・ネットワークを活かし、当該領域において実績を構築してきたとのことです。また、日本国内では、2007年に東京オフィスを開設して以来、2024年4月12日時点までに事業投資及び不動産投資の分野で累計2兆円を超える投資を実施しているとのことです。2019年3月のあゆみ製薬株式会社(以下「あゆみ製薬」といいます。)への資本参加、2021年3月の武田コンシューマーヘルスケア株式会社(現アリナミン製薬株式会社。以下「アリナミン製薬」といいます。)の買収に表されるように、ヘルスケア領域の企業への投資は日本チームの注力テーマとなっているとのことです。また、賃貸マンション投資を行うロンドン上場企業Japan Residential Investment Companyの買収やオーストラリア上場企業Astro Japan Property Groupの日本の不動産ポートフォリオの買収、日本での商業施設投資を行うシンガポール上場企業Croesus Retail Trustの買収等、大型かつ上場会社の非公開化案件が多数含まれる点にも特徴があるとのことです。既述のあゆみ製薬及びアリナミン製薬への投資事例に加え、2020年7月の大和ハウス工業株式会社との物流分野における協業開始と物流施設の取得、2020年11月の株式会社三越伊勢丹不動産の買収、2021年10月の近鉄グループホールディングス株式会社所有のホテルポートフォリオ(8物件)の買収、2024年1月のソニー銀行株式会社とのソニーペイメントサービス株式会社の買収等、国内事業会社とのパートナーシップ構築にも積極的に取り組んでいるとのことです。

 

 当社は、1997年4月に、東京都千代田区神田駿河台において治験施設支援事業(以下「SMO事業」といいます。下記Aで詳述します。)を目的に株式会社アイロムとして設立され、2006年10月に当社の主力事業のひとつであるSMO事業を新設分割によって当社が新たに設立した連結子会社である株式会社アイロムに承継することで、持株会社体制への移行を実現させると同時に当社は「株式会社アイロムホールディングス」に商号変更しました。その後、2015年7月にグループ事業の推進及びグループ企業各社の管理機能を担うことを明らかにするため、当社は「株式会社アイロムグループ」に商号変更し現在に至ります。

 

 また、当社株式は、2003年10月に株式会社ジャスダック証券取引所に上場し、2005年1月に東京証券取引所市場第一部への上場を経て、現在は、2022年4月に行われた東京証券取引所の市場区分見直しに伴い東京証券取引所プライム市場に上場しております。

 本書提出日現在、当社のグループは、当社、連結子会社22社、及び関連会社1社(以下「当社グループ」といいます。)で構成されております。当社グループは、「憂いなき未来のために。」をブランドプロミスに掲げ、より良い医療環境実現のため、医療関連分野における総合的な医療サポート企業として、全ての人々が健康であり続けることによる持続可能な社会の実現を目指し、グループ各社・各事業間のシナジーにより生み出される総合力を強みに事業のサステナビリティの向上を図り、医療の発展への更なる貢献と、それを通じた人々の健康と生活の質の向上に取り組み、下記「A)SMO事業」乃至「E)創薬事業」の様々な事業を展開しております。

 

 当社グループにおける主要セグメントの各事業内容は次のとおりです。

 

A)SMO事業

 「SMO」とは、Site Management Organizationの略語であり、一般に「治験施設支援機関」と訳され、臨床試験(注12)の実施に係る業務の一部を実施医療機関から受託し、代行支援を行う機関をいいます。当社グループでは臨床試験を実施する医療機関において、臨床試験が円滑に進むようにCRC(注13)が医師や医療スタッフ、患者さんに対する支援を行っております。CRO(注14)事業との連携により、医薬品等に関する臨床試験計画の立案、医療機関及び治験責任医師の選定段階から関与し、第Ⅰ相から第Ⅳ相(注15)にいたる臨床試験の実施に係る支援業務を包括的に受託しております。臨床試験は、倫理性、科学性及び信頼性の確保が必要であることから、GCP(Good Clinical Practice、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)、治験実施計画書(Protocol)(注16)及びSOP(Standard Operating Procedure、標準業務手順書)等の厳格なルールに基づいて行っております。

(注12) 「臨床試験」とは、医薬品の開発の過程において、人に対し薬の効果や安全性を調べるために行う試験をいいます。

(注13) 「CRC」とは、Clinical Research Coordinatorの略語であり、一般に「治験コーディネーター」と訳されます。治験実施医療機関において治験が適正かつ円滑に実施できるよう支援するスタッフのことをいいます。

(注14) 「CRO」とは、Contract Research Organizationの略語であり、一般に「開発業務受託機関」と訳されます。製薬企業等から医薬品・医療機器の開発段階での臨床試験や市販後臨床試験等の実施に係る業務の一部又は全部を受託し、代行支援を行う機関をいいます。

(注15) 医薬品の臨床開発に際し実施される目的別試験の種類であり、安全性や薬物の体内での動態等の確認を目的とする試験(第Ⅰ相)、患者における治療効果の探索を主要な目的とする探索的試験(第Ⅱ相)、治療上の利益を証明又は確認することを主要な目的とする検証的試験(第Ⅲ相)、医薬品承認後に治療的使用により有効性と安全性にかかわるさらなる情報収集を目的とした試験(第Ⅳ相)の段階に区分されます。

(注16) 「治験実施計画書」とは、治験を実施するにあたり、治験実施医療機関及び製薬企業等の治験依頼者が遵守しなければならない要件事項(治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察等)を記載した文書のことをいいます。

 

B)CRO事業

 日本及びオーストラリアにて保有する臨床試験実施施設において、早期臨床試験を実施し、国内外の製薬企業等のグローバル開発を支援しております。また、国内において、企業主導の臨床試験支援を行うとともに、大学や研究機関等のアカデミアを中心に再生医療等製品や難治性疾患等の医師主導治験・臨床研究の支援を行っております。

 

C)先端医療事業

 高性能かつ安全性の高いベクター技術(注17)を用いて、ワクチンや遺伝子治療製剤の開発及びiPS細胞(注18)関連技術等を基盤とした再生医療領域における研究開発と事業化を行うとともに、医薬品製造受託機関として、臨床用ベクター・遺伝子治療製剤・再生医療等製品等の受託製造を行っております。また、先端医療技術を活用した化粧品等の製品開発、製造販売及び受託製造等のサービスの提供を行っております。

(注17) 「ベクター」とは、遺伝子を効果的に標的細胞内へ導入する働きを持つ物質のことをいい、「ベクター技術」とは、当該ベクターを生成する技術のことをいいます。

(注18) 「iPS細胞」とは、induced pluripotent stem cellの略語であり、一般的に「人工多能性幹細胞」と訳されます。体細胞に特定の遺伝子を導入することにより樹立される、ヒト等の動物のあらゆる組織、細胞に分化する能力を持つ幹細胞のことをいいます。

 

D)メディカルサポート事業

 クリニックモール(注19)の設置及び賃貸等やそれに付随する業務、医業コンサルティング等、医業経営を全般的かつ包括的に支援する事業、並びに一般医薬品、医薬部外品等の販売を行うEC事業(Electronic Commerce、電子商取引)を主として行っております。

(注19) 「クリニックモール」とは、同一フロア内に診療科目の異なるクリニックが集まった複合型医療施設のことをいいます。

 

E)創薬事業

 国内外の製薬企業等とのライセンス契約等に基づき、有効性の高い重要なバイオシミラー(注20)等の医薬品の共同開発を行っております。

(注20) 「バイオシミラー」とは、国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオ医薬品と同等ないしは同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者により開発される医薬品のことをいいます。

 

 当社グループを取り巻く事業環境は日進月歩で変化し、再生医療をはじめとした新技術の開発の増加及びグローバル化、開発期間の短縮化、並びに開発手法の変化等により、臨床試験に対するニーズも多様化しています。「ドラック・ラグ(注21)」や「ドラック・ロス(注22)」といった問題も顕在化しており、日本の医薬品開発環境における課題の解決や激しい環境変化に対する迅速かつ適切な対応が求められております。具体的には、医薬品の開発はがんや難治性疾患等の疾患分野の開発が増加しており、そのような疾患の治療法として遺伝子治療や再生医療等の医薬品開発が進められております。加えて、難治性疾患領域や再生医療等の医薬品開発は、早い段階から患者さんを含めた臨床試験を実施する傾向があり、早期臨床試験実施施設ではより高い品質や多面にわたる役割が求められております。さらに、医薬品開発における創薬技術は、低分子医薬品からバイオ医薬品や遺伝子治療、再生医療等に多様化しており、バイオ医薬品市場の拡大や遺伝子治療製剤の開発、iPS細胞を用いた臨床試験が進められております。

(注21) 「ドラッグ・ラグ」とは、欧米諸国で使える治療薬が、日本において遅れて開発または承認されることをいいます。

(注22) 「ドラッグ・ロス」とは、欧米諸国で使える治療薬が、日本では開発または承認されず使えない状況のことをいいます。

 

 このような経営環境の下、当社グループは、創業以来の中核事業であるSMO事業及びCRO事業の拡大を推進するとともに、グループ戦略として、SMO事業及びCRO事業で創出される資金を原資として、先端医療事業及び創薬事業における医薬品や先端医療技術の開発、メディカルサポート事業のノウハウを活かした設備投資等を行うことで、各事業の事業基盤を強化し、多様化・高度化する市場の要求に応えることができる製品・サービスの品質向上及び研究開発力の強化を実現しております。具体的には、SMO事業において、専門医療センターや大学病院等の基幹病院との提携を拡大し、あらゆる疾患領域の試験の受託が可能な体制を構築するとともに、がんや難治性疾患等の試験と比較して1試験あたりの規模が大きい、生活習慣病等のプライマリー領域の試験の受託も推進しております。CRO事業においても、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設において、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の早期段階の医薬品開発の支援を行うことに加え、受託業務の拡大や統計解析分野の強化に継続的に取り組んでおり、医師主導治験をはじめとする複数の新規試験を受託することで事業基盤の強化を図っております。先端医療事業及び創薬事業では、上記グループ戦略に基づきSMO事業及びCRO事業で創出される資金を原資として、ワクチンやバイオシミラー等の研究開発を推進しております。また、先端医療事業において、iPS細胞作製キット「CytoTune-iPS」(注23)のライセンス事業が拡大しており、複数の企業と新規ライセンス契約を締結するとともに、締結済のライセンス契約に基づく当該技術の再実施権が行使されるなど、ライセンス事業により基盤技術であるセンダイウイルスベクター(注24)を用いた新たな事業機会の創出に取り組んでおります。

(注23) 「iPS細胞作製キット『CytoTune-iPS』」とは、京都大学の山中伸弥教授のiPS細胞作製に関わる因子と、当社グループのセンダイウイルスベクター技術を融合させて開発したiPS細胞誘導キットのことをいいます。

(注24) 「センダイウイルスベクター」とは、当社が独自に開発したベクターです。RNAを骨格としており、臨床研究や動物実験を通じ安全性の高さが確認されている他、遺伝子治療製剤や再生医療分野での利用に高い信頼性と実績を有しております。

 

 一方で森氏は、上記のような大きく変化する経営環境の中で、当社グループを取り巻く医薬品・医療機器等の開発業界はグローバル化や開発期間の短縮化が進むとともに、開発手法の変化により、臨床試験に対するニーズの多様化が続いている中で、医療機関におけるSMO事業の需要は拡大しており、SMO事業においては人材の確保が課題になっていると考え、また、希少疾患やがん領域において難易度の高い治験が増加していくことが見込まれ、人材教育についても引き続き今後の重要課題となるものと予想しているとのことです。CRO事業においても同様のトレンドを背景として伝統的な業態からの改革を求められる局面に差し掛かっていると理解していたとのことです。

 そのような状況に加え、米国主導での医薬品開発が主流となり、グローバル大手製薬企業も医薬品開発の地として日本への関与を強めている中で、森氏は、当社グループの更なる企業価値向上のためには競争力のあるグローバルな体制を構築し、案件を獲得していくことが重要であると考えていたとのことです。具体的にはSMO事業を基盤とし、SMO事業で培ったノウハウを生かして国内外にサービスを提供するハイブリッド型総合臨床開発支援をCRO事業で推進し、国内外のCRO事業の買収を通じたグローバルな事業基盤拡大を通じた成長を実現し、海外、特にアジアにおけるヘルスケアプラットフォームに進化することで、当社グループの企業価値向上に繋がると考えているとのことです。

 かかる考えの下、森氏は当社グループの企業価値を向上させる手法の選択肢として、当社グループがこれまで実行・検討してきた事業変革の更なる加速と、長期的・持続的な事業改革を可能とすべく、独力で当社グループの企業価値を向上させる手法のみならず、戦略的パートナーとの提携により当社グループの企業価値を向上させる手法の可能性についても2021年9月上旬頃から模索し始めたとのことです。

 森氏が、戦略的パートナーとの提携を含む外部の経営資源のいかなる活用方法があるのかを含めて様々な戦略的オプションを検討している中、かねてより日本国内の投資先について調査・検討を行っていたブラックストーンは、大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)を介して森氏との間で2022年1月下旬に面談の機会を得て、当社グループの経営施策について幅広に意見交換を行ったとのことです。この面談において、ブラックストーンは、ブラックストーンによる投資先企業に対する一般的な経営支援の概要、ブラックストーンのグローバル及び日本における医薬・製薬業界への投資実績に関して説明を行うとともに、森氏と当社グループの経営戦略に対する初期的な方向性について、意見交換を行ったとのことです。

 その後、森氏は、ブラックストーンが当社グループの事業に深い知見を有していることを認識し、引き続き意見交換を行うことが有用であると判断したことから、ブラックストーンとの間で、当社グループの経営施策の方向性及び非公開化を含めた様々な資本政策についての協議を継続する方針とし、森氏とブラックストーンは、2022年1月下旬から2024年2月下旬にかけて、当社グループが属する医薬品・製薬業界の事業環境、当該環境を踏まえた経営施策の方向性、ブラックストーンが実施する当社グループへの経営支援として想定される内容及び最適な資本構成について、複数回にわたる意見交換を実施してきたとのことです。

 当該協議の中で、森氏は、今後も当社グループの既存事業を成長させつつ、事業を多角化するためには、より一層の外部支援が重要であるというブラックストーンとの共通の見解を持ち、世界中にネットワークを有し、国内外で医薬品・製薬事業における多彩な投資実績を有するブラックストーンを高く評価したとのことです。ブラックストーンのグローバルかつ他業界にわたる知見・経験・ネットワークを活用することで、質の高い人材獲得・育成が可能となり、また、競合他社やグローバル大手企業に対抗できる競争力のあるグローバルな経営体制の構築にも繋がり、グローバル規模のヘルスケアプラットフォームへの進化の実現が可能となると考え、加えて、ブラックストーンのメンバーからの高いコミットメントも感じられたため、2024年2月下旬、ブラックストーンが当社グループの信頼できる最適なパートナーであると判断するに至ったとのことです。

 なお、森氏は、ブラックストーンとの協議と並行して、2022年1月下旬から2022年8月上旬に大和証券を介して他のプライベート・エクイティ・ファンド複数社とも複数回にわたって面談を行い、当社グループの経営政策の方向性及び非公開化を含めた資本政策について提案を受けたものの、当該提案の内容、当社グループ事業への理解度及びこれまでの投資実績を総合的に勘案し、当社グループの今後の事業を成長させるためのサポートを受けるパートナーとしては、ヘルスケア領域を最注力領域の一つと定め、企業への投資のみならず、医薬品の研究開発段階に資金を提供する世界最大級のライフサイエンスファンド(以下「BXLS」といいます。)を有するブラックストーンがより適切であると判断したとのことです。

 一方で、ブラックストーンは、当社グループが、SMO業界の黎明期より医療・製薬業界の根幹を成す臨床試験において20年以上にわたり医療機関を支援した歴史を有し、国内でトップ水準の事業基盤が構築されていること、業界をリードする技術開発力を有していること、及び医療現場の最前線で医師・看護師への価値提供にこだわり続ける企業文化が根付いていること等を高く評価していた中で、当社グループが今後中長期的なさらなる成長、企業価値向上を実現するためには、海外事業の拡大やM&Aによる非連続的な成長を含む各種施策が必要であり、一連の施策を迅速に実行していくためには社内の経営資源に限定せず、社外からの人材や経営ノウハウを活用することが有益であると考え、当社グループが非公開化してブラックストーンをパートナーとし、ブラックストーンが有する知見やネットワークを活用して経営改革を推進することで、例えば最適なリソース配置や営業戦略の高度化によるSMO事業の更なる拡大や、ブラックストーンのネットワークを活かしたCRO受託機会の拡大等にも繋がり、当社グループ単独では成し得ない当社グループの新たな成長が実現でき、より事業規模の大きなヘルスケアサービスプラットフォームへの進化にも期待ができると考えたとのことです。ブラックストーンは、具体的には以下のような価値提供が可能であると考えているとのことです。

 

(a)当社グループの継続的な成長に向けた支援

 ブラックストーンは、当社グループが属する業界においては、がんや希少疾患といった難易度の高い治験が増加する中で、治験の複雑化、症例数の少ない小規模試験の増加及び被験者リクルーティングの難化が進んでおり、それに伴い、患者を効率よく集められる国際共同治験が増加し、求められる人材の量・質の多様化が進んでいると認識しているとのことです。ブラックストーンは、今後も国際共同治験の増加が見込まれる中、効率的な案件獲得が重要であると考えており、ブラックストーンのヘルスケア領域における深い知見や国内外のネットワークを活用し、当社グループのSMO事業及びCRO事業に対してグローバルで競争力のある営業体制の構築を推進し、長期的及び持続的な成長を実現するための支援を行う方針とのことです。

 具体的には、ブラックストーンは、BXLSを傘下に持ち、BXLSを通じて上市前の後期臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相)の医薬品に対して開発資金を提供しており、豊富な経験、ネットワークを有しているとのことですが、がん領域の治験は国際共同治験が主である中で、効率的な案件獲得のために、がんや希少疾患を含む幅広いBXLS投資案件の当社グループへの紹介や、BXLSの人的リソース、ネットワークを活用した顧客開拓並びにブラックストーンの投資先との事業提携の検討に取り組む方針とのことです。

 

(b)M&Aによる非連続な成長機会の探索

 ブラックストーンは、森氏との協議を通じて、国際共同治験の比率が高まり、グローバル大手CROも日本への関与を強めている中で、当社グループの今後の中長期的な成長、企業価値向上の実現のためには、国内外でのM&Aによる非連続な成長が必要であると認識しているとのことです。ブラックストーンは、当社グループがグローバル大手CROに対抗できるよう、ブラックストーンのグローバルでのM&Aの経験やネットワークを活かし、日本のみならず海外での買収機会の探索から買収の実行支援にわたるワンストップのM&A支援をする方針とのことです。

 

(c)組織力強化に向けた取組み

 上記(a)や(b)を実現するために、ブラックストーンは、当社グループの組織力強化に向けた取組みを推進するとのことです。具体的には、データアナリティクス(注25)を活用し、AIによって退職リスクが高いと判定された社員に対して配置換え等の離職防止対策を行うことで、離職率低下に繋げていくことを考えているとのことです。また、ブラックストーンのネットワークを活用した外部の経営人材の招聘や外部アドバイザーの活用も推進することで、当社の事業領域における専門性、事業経験や潜在顧客ネットワークを拡張し、更なる成長に繋げていく方針とのことです。加えて、当社グループの成長を後押しし、経営参画へのモチベーションの向上を促す観点から、業績及び企業価値の成長に見合ったインセンティブ・プランの構築を検討しているとのことです。なお、本書提出日現在においてインセンティブ・プランの具体的な内容は未定とのことです。

 上記の施策を通じて、ブラックストーンは、当社グループの組織力をさらに強化する方針とのことです。

 

(注25) 「データアナリティクス」とは、統計学、機械学習、予測モデリング等の手法やツールを駆使してデータの調査、変換、分析を行い、トレンドやパターンを特定することで重要なインサイトを明らかにし、意思決定の高度化を図るためのプロセスのことをいうとのことです。

 

 ブラックストーンは、2024年2月下旬、ブラックストーン、公開買付者、公開買付者親会社、森氏及び当社(以下、これらを総称して「公開買付関係者等」といいます。)から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして大和証券を、公開買付関係者等から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所をそれぞれ選任し、2024年2月27日に、当社に対して、ブラックストーンが公開買付者となり、公開買付けを通じて当社株式の非公開化を行うことについて初期的な意向を表明するとともに、今後の正式な提案に向けて必要な情報の提供を受けるためのデュー・ディリジェンスの実施協力を依頼する提案書(以下「初期提案書」といいます。)を提出し、同日、当社から、必要な体制を構築した上で、提案内容を検討する旨及びデュー・ディリジェンスに協力する旨の連絡を受領したとのことです。なお、初期提案書において、ブラックストーンは、ブラックストーンに加えて森氏が公開買付者となるいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)となる可能性も含めて検討している旨にも言及したとのことです。

 その後、ブラックストーンは、2024年3月上旬から当社に関するデュー・ディリジェンスを開始し、当社の事業及び財務の状況を総合的に分析し、検討を進め、森氏だけでなく、当社との間でも本公開買付けの具体化に向けた協議を重ねたとのことです。

 ブラックストーンと森氏が当社グループの経営施策の方向性及び非公開化を含めた様々な資本政策についての協議をする中で、ブラックストーンは森氏の経営の能力や経験を高く評価し、ブラックストーンと森氏は、ブラックストーンのヘルスケア領域における深い知見、実績、幅広いネットワークに裏付けられる支援を受けつつ、森氏がこれまでと同様、経営陣としてだけでなく株主として引き続き当社グループの経営を主導する立場となるマネジメント・バイアウト(MBO)が、当社グループの事業の安定的な継続、さらには当社グループの中長期的かつ持続的成長と企業価値の向上のために最も有効な手段であるとの共通認識を有するに至ったとのことです。そこで、森氏及びブラックストーンは、2024年3月25日に、当社に対して、森氏及びブラックストーンが出資する買収目的会社が公開買付者となり、公開買付けを通じて当社株式の非公開化を行うことについて、意向を表明する意向表明書を提出し、同日、当社から、提案内容を検討する旨の連絡を受領したとのことです。

 その後、ブラックストーンは、2024年4月中旬まで当社に関するデュー・ディリジェンスを実施し、かかるデュー・ディリジェンスの結果を踏まえて、森氏と協議し、森氏及びブラックストーンは2024年4月17日に、当社に対して、本公開買付価格を1株当たり2,400円(2024年4月16日の東京証券取引所プライム市場における当社株価の終値1,802円に対して33.19%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、2024年4月16日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,861円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じです。)に対して28.96%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,896円に対して26.58%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,902円に対して26.18%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を当社に行ったとのことです。その後、森氏及びブラックストーンは、当社から、2024年4月19日、本公開買付価格として提案した2,400円は当社の事業内容や財務情報等を踏まえて検討した本源的価値との関係において不十分であること、類似する事例におけるプレミアム水準を下回っていること等を理由とした本公開買付価格の引上げ要請に加え、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定を検討することを求める旨の回答書を受領したとのことです。当社からのかかる要請を受けて、森氏及びブラックストーンは、2024年5月1日に、当社に対して、本公開買付価格を2,700円(2024年4月30日の東京証券取引所プライム市場における当社株価の終値1,812円に対して49.01%、2024年4月30日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,814円に対して48.84%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,858円に対して45.32%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,912円に対して41.21%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案に加え、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定は、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性があること、公開買付者及び当社において、特別委員会の設置及び法施行令に定められた20営業日を上回る30営業日以上の公開買付期間の設定を含む十分な他の公正性担保措置が実施されること(なお、下記に記載のとおり、本公開買付けでは、公開買付期間を20営業日としているとのことです。)で、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、本公開買付けにおいては買付予定数の下限をマジョリティ・オブ・マイノリティ条件となる株式数には設定しない予定であること、また、本公開買付けの決済開始日前を基準日とする配当(2024年3月期期末配当を含みます。)が実施されないことを前提としている旨回答したとのことです。その後、当社から、2024年5月2日、本公開買付価格として提案した2,700円は当社の第三者算定機関である株式会社KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。選定の経緯については下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」をご参照ください。)による算定結果と比較して当社の少数株主にとって十分なものとは評価できないこと、本公開買付けの決済開始日前を基準日とする配当(2024年3月期期末配当を含みます。)は実施されないことを前提としていること及びマジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定を行わないことを考慮すると、当社の一般株主が長期的に当社株式を保有し、事業計画の達成を通じて享受することが見込まれる本源的価値をより一層考慮し、本公開買付価格の引上げの検討を要請する旨の回答書を受領したとのことです。当社からのかかる要請を受けて、森氏及びブラックストーンは、2024年5月7日に、当社に対して、本公開買付価格を2,800円(2024年5月2日の東京証券取引所プライム市場における当社株価の終値1,813円に対して54.44%、2024年5月2日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,811円に対して54.61%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,848円に対して51.52%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,915円に対して46.21%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案に加え、本公開買付価格として提案した2,800円は当社のスタンドアローンを上回る成長の実現を加味したものであること、従来予定されていた期末配当を考慮しても、当社株主に対して公正な価格による売却価格を提供するものであり、最終の検討結果としてこれ以上の本公開買付価格の引き上げは困難である旨回答したとのことです。その後、当社から、2024年5月9日、本公開買付価格として提案した2,800円は当社の本源的価値は一定程度評価されており、また、足許の当社の市場株価に対するプレミアム水準という観点においても、類似取引事例と比較して一般的な水準であると認識するものの、当社の本源的価値が最大限評価されていない可能性があると懸念されることから、当社の考える当社の本源的価値に対する認識を説明するとともに、森氏及びブラックストーンが考える当社の本源的価値に対する認識の説明を要請することに加え、その他未提案の事項があれば提案を求める旨の回答を受領したとのことです。当社からのかかる要請を受けて、森氏及びブラックストーンは、2024年5月10日に、当社に対して、当社事業計画の各セグメントへの見立てについての考えを説明するとともに、更なる提案価格の引き上げは困難であること、また、本公開買付けについては、本クリアランスの取得が完了している必要があるものの、本クリアランスに係る手続及び対応に一定期間を要することが見込まれることから、本公開買付けは本クリアランスの取得完了後、速やかに実施することを予定している旨回答したとのことです。

 その後、当社から、2024年5月10日、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で当社取締役会決議を経てなされるという前提の下、現時点における当社の意見として本公開買付価格を2,800円とすることを受諾する旨の回答書を受領したとのことです。

 以上の協議及び交渉を経て、公開買付者は、2024年5月13日、本クリアランスの取得が完了していること等の本前提条件が充足されたこと(又は公開買付者により放棄されたこと)を条件として、本取引の一環として、本公開買付価格を2,800円として本公開買付けを実施することを決定し、同日付で2024年5月13日付公開買付者プレスリリースを公表いたしました。その後、当社は2024年11月6日に第28期半期報告書を提出しておりますが、その内容を踏まえても、公開買付者として、当社の企業価値に重大な影響を与える事象はないと考え、本公開買付価格を変更せず本公開買付けを開始することとしたとのことです。

 また、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、オーストラリアの競争法に基づく本クリアランスの取得は、本公開買付けの決済日後11ヶ月以内にCMAXの株式を譲渡すること等を条件としておりますが、公開買付者としましては、本公開買付価格は、CMAXを含む当社グループとブラックストーンのシナジーを織り込んだ価格にはなっておらず、CMAXの株式を公正であると考えられる条件で第三者に売却することを想定した場合に公開買付価格に与える影響はないと考えたことから、本公開買付価格を変更する必要はないと判断したとのことです。

 加えて、公開買付者は、2024年5月13日付公開買付者プレスリリースでは、本公開買付けの公開買付期間について原則として30営業日とする旨公表していたところ、これを20営業日としておりますが、本公開買付価格を含む一連の取引条件が公表された後、本公開買付けの開始までの期間が約8ヶ月に亘るため、当社の一般株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会が確保されているとともに、対抗的買収提案者による買収提案の機会が確保されているものと考えているとのことです。なお、公開買付期間を20営業日に設定することを除き、2024年5月13日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしました本公開買付けの内容や条件に変更はないとのことです。

 公開買付者は、2024年12月20日、ACCCから、本公開買付けに係る本クリアランスの取得を完了し、オーストラリアの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したため、上記のような、2024年5月13日付公開買付者プレスリリース公表後における、本公開買付けの取引条件に係る公開買付者の検討状況を踏まえ、2024年12月20日、森氏に対して、本公開買付価格は変更せず、2024年5月13日付公開買付者プレスリリースでは、公開買付期間については30営業日とする旨公表していたところ、20営業日として本公開買付けを開始する旨の意向を口頭で伝達し、森氏は、公開買付者の本公開買付けに係る上記の意向に同意したとのことです。さらに、公開買付者は、同日、対象者に対しても、上記の意向を書面にて伝達したとのことです。

 その後、森氏(森氏資産管理会社としての立場を含みます。)及び公開買付者は、本特別委員会から面談要請を受け、2025年1月16日、本特別委員会と面談を実施し、森氏及び公開買付者は、本公開買付けに係る本クリアランスの取得に至るまでのACCCとの交渉の経緯、本公開買付価格を変更せず本公開買付けを開始すること及び公開買付期間を20営業日に設定することに関して、本特別委員会と質疑応答を行ったとのことです。

 以上の協議及び検討を踏まえ、公開買付者は、公開買付者及び当社における本公開買付け開始に向けた法及び東京証券取引所における開示規制並びに実務手続上必要となる準備が整ったこと、2025年1月30日、当社から、当社が設置した本特別委員会が、委員全員の一致の決議により、当社取締役会に対して、本特別委員会が追加答申書を提出したとの連絡を受けたこと、並びに、公開買付者は、2025年1月31日、その他の本前提条件がいずれも充足されたこと(本公開買付け開始時点で判断される事項については、当該時点で充足される見込みであること)を確認したことから、本公開買付けが開始可能な状態になったと判断し、本取引の一環として、本公開買付けを2025年2月3日より開始することとしたとのことです。

 

(ⅱ)本公開買付け後の経営方針

 公開買付者は、本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、森氏資産管理会社は、本再出資により公開買付者親会社の株式の一部を取得し、森氏は本公開買付け終了後も継続して当社グループの経営にあたることを予定しており、上記「(ⅰ)本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営施策を推進する予定とのことです。本公開買付け実施後の当社の役員構成を含む経営体制の詳細については、本取引の完了後、当社と協議しながら決定していく予定とのことですが、BXファンド、森氏及び森氏資産管理会社は、2024年5月13日付で、本合併、本取引後の公開買付者親会社、公開買付者及び当社の運営並びに公開買付者親会社株式の取扱いに関する内容を含む株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を締結し、本取引完了後の当社の取締役の員数を5名(代表取締役社長は2名)とし、そのうちBXファンドが3名(代表取締役社長1名を含みます。)、森氏及び森氏資産管理会社が2名(代表取締役社長1名を含みます。)をそれぞれ指名することに合意しているとのことです。

 本株主間契約の詳細につきましては、下記「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」の「② 本株主間契約」をご参照ください。

 また、公開買付者は、本取引及び本再出資の実行後に、本合併を行うことを予定しているとのことですが、その時期については、本書提出日現在、未定とのことです。なお、公開買付者は、当社の役員を含む現状の経営体制を維持する方針であり、本取引後も引き続き職務を遂行していただくことを予定しているとのことですが、公開買付者と森氏以外の当社の取締役との間には、本取引後の役員就任やその処遇について何らの合意も行っておらず、本取引後の具体的な役員の処遇は本書提出日現在未定とのことです。

 ブラックストーンとしては、ブラックストーンが国内外で有するヘルスケアネットワーク及び各種経営支援リソースを結集し、当社グループの成長を支援する予定とのことです。

 

(ⅲ)オーストラリア競争法上のクリアランス取得の際にACCCと合意した措置の実施

 公開買付者は、当社をして、本株式取得に関して、ACCCから競争法上のクリアランスを取得する過程でACCCとの間で合意した措置を実施するため、本公開買付けの決済日後11ヶ月以内に、当社が直接又は間接に保有するCMAXの株式の全てを第三者に譲渡させるとのことです。

 

③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

 当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2024年2月27日にブラックストーンから本取引に関する協議・交渉の申入れを受けるとともに、同日に初期提案書の提出を受けました。当社は同日に本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨を回答し、本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われる可能性も含めて検討している旨にも言及されていたことから構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本取引の公正性を担保すべく、2024年3月11日に公開買付関係者等及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所を、公開買付関係者等から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてKPMGをそれぞれ選任いたしました。

 また、本取引については、森氏と、当社又は当社の一般株主との間に構造的な利益相反が存在することを踏まえ、本取引の是非や取引条件の妥当性についての検討及び判断が行われる過程全般にわたってその公正性を担保する観点から、当社は、2024年3月11日に、初期提案書に記載された本取引の提案を検討するための特別委員会を設置いたしました。

 上記体制の下、当社は、初期提案書に記載された本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、また、本特別委員会との間で事前に交渉方針を相談・検討するとともに、公開買付者から本取引の条件についての提案を受けたときに具体的な提案金額や提案理由に関する意見や指示を受ける等、交渉上重要な局面における本特別委員会による意見、指示、要請等を受けて、シティユーワ法律事務所及びKPMGの助言を受けながら、森氏及びブラックストーンとの間で複数回に亘る協議を重ねた上で本取引の妥当性について検討してまいりました。

 具体的には、当社は、森氏及びブラックストーンから、2024年4月17日に、本公開買付価格を1株当たり2,400円とする旨の提案を受けた後、2024年4月19日、森氏及びブラックストーンに対して、本特別委員会の意見も踏まえた上で、シティユーワ法律事務所及びKPMGからの助言も受けながら検討した結果、本公開買付価格として提案された2,400円は当社の事業内容や財務情報等を踏まえた当社株式の本源的価値との関係において極めて不十分な価格であること、近時の他のMBO事例におけるプレミアム水準との比較においても十分な水準ではないことから、本公開買付価格の引上げに加え、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することを要請いたしました。その後、森氏及びブラックストーンから、2024年5月1日に、当社に対して、本公開買付価格を2,700円とする提案に加え、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定は、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性があること、公開買付者及び当社において、特別委員会の設置及び法令に定められた20営業日を上回る30営業日以上の公開買付期間の設定を含む十分な他の公正性担保措置が実施されること(なお、本公開買付けにおいては、最終的に公開買付期間が20営業日と設定されていますが、その点に関する本特別委員会の検討内容については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」の「(ⅲ)特別委員会における判断内容」をご参照ください。)で、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、本公開買付けにおいては買付予定数の下限をマジョリティ・オブ・マイノリティ条件となる株式数には設定しない予定であること、また、本公開買付けの決済開始日前を基準日とする配当(2024年3月期期末配当を含みます。)が実施されないことを前提としている旨の回答を受けました。当社は、KPMGから受けた当社株式の株式価値に係る試算結果の報告内容及び本特別委員会の意見を踏まえた上で、2024年5月2日に、森氏及びブラックストーンに対して、本公開買付価格として提案された2,700円は依然として当社の少数株主にとって十分なものとは評価できず、加えてマジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定を行わない場合においては、より高い本公開買付価格を含めた取引条件を当社の少数株主に提示することが本公開買付けの成立の安定性を担保するものであるとして、本公開買付価格の引上げを再度要請いたしました。そして、森氏及びブラックストーンから、2024年5月7日に、当社に対して、本公開買付価格を2,800円とする提案に加え、最終の検討結果としてこれ以上の本公開買付価格の引上げは困難である旨の回答を受けました。当社は、シティユーワ法律事務所及びKPMGからの助言及び本特別委員会の意見を踏まえた上で、2024年5月9日に、森氏及びブラックストーンに対して、本公開買付価格として提案された2,800円は、当社の本源的価値は一定程度評価されており、また、足許の当社の市場株価に対するプレミアム水準という観点においても、類似取引事例と比較して一般的な水準であると認識するものの、当社が考える本源的価値が最大限評価されていない可能性があると懸念していることから、当社が考える当社の本源的価値に対する認識を説明するとともに、森氏及びブラックストーンが考える当社の本源的価値に対する認識の説明を要請することに加え、その他未提案の事項があれば提案を求める旨を要請いたしました。当社からのかかる要請を受けて、森氏及びブラックストーンから、2024年5月10日に、森氏及びブラックストーンが考える当社事業計画の各セグメントへの見立てについての考えを受けるとともに、当社の将来性や事業の成長性に対して疑いはなく、当社が2024年5月9日に当社から説明した当社の本源的価値に対する認識も理解した上での提案であることからも更なる提案価格の引上げは困難であるため、本公開買付価格を2,800円に維持するという提案に加えて、本公開買付けについては、本クリアランスの取得が完了している必要があるものの、本クリアランスに係る手続及び対応に一定期間を要することが見込まれることから、本公開買付けは本クリアランスの取得完了後、速やかに実施することを予定している旨回答を受けました。その後、森氏及びブラックストーンに対して、2024年5月10日、最終的な意思決定は本特別委員会の答申を踏まえた上で2024年5月13日付の当社取締役会決議を経てなされるという前提の下、同日時点における当社の意見として本公開買付価格を2,800円とする旨の提案を受諾する旨を回答いたしました。

 さらに、当社は、リーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2024年5月10日付答申書の提出を受けました。

 その上で、当社は、シティユーワ法律事務所から受けた法的助言及びKPMGから2024年5月10日付で取得した本株式価値算定書(下記「(3)算定に関する事項」の「(ⅰ)当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係」において定義します。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2024年5月10日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。当社としては、本「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社グループを取り巻く事業環境は日々変化し、再生医療をはじめとした新技術の開発の増加及びグローバル化、開発期間の短縮化、並びに開発手法の変化等により、臨床試験に対するニーズも多様化しており、また、「ドラッグ・ラグ」や「ドラッグ・ロス」といった問題も顕在化しており、日本の医薬品開発環境における課題の解決や激しい環境変化に対して、迅速かつ適切な対応が求められていると認識しております。このような経営環境の下、当社グループは、具体的に以下のように経営課題を捉えた上で、各経営課題に対する施策に取り組んでおります。

 

(a)収益力の向上

 当社グループは、新しい医薬品・医療技術の発展に貢献すべく、遺伝子治療や再生医療といった先端医療分野における自社開発や受託製造、開発支援等に注力しておりますが、先端医療事業及び創薬事業において安定した収益を確保するには相応の時間がかかるものであり、SMO事業・CRO事業・メディカルサポート事業での、収益力の向上が課題であると考えております。これについては、SMO事業において、開発ニーズの高い領域をターゲットに案件の獲得に努めるとともに、支援内容に応じた適切な受託単価の設定や人的資源の適正配置により収益及び利益の向上を図っております。CRO事業においては、海外及び国内における早期臨床試験の受託拡大に努めるとともに、アカデミアや再生医療等製品の新規臨床試験の受託を拡大するための取組みを強化しております。また、メディカルサポート事業において、クリニックモール事業における運営施設の収益性の向上を図っております。先端医療事業においては、iPS細胞作製キットの販売やiPS細胞を作製する技術の特許実施許諾に関わるライセンス事業の推進による収益確保に加え、iPS細胞培養上清液を原料に用いた化粧品の販売及び一般用医薬品、医薬部外品等の販売を行うEC事業により、収益及び利益の拡大を図っております。さらに、当社グループの優れた遺伝子導入技術を用いた遺伝子治療製剤や遺伝子編集技術など、新たな医薬品・再生医療等製品の創出に努めるとともに、主要パイプラインの早期ライセンスアウトを目指しております。

 

(b)資金調達

 当社グループでは、人材の確保や研究開発等のための継続的な投資を行っております。これらの投資は今後の成長のために必要なものと考えており、製薬企業等との共同研究による開発資金の確保や金融機関・資本市場等を通じた資金調達の可能性を必要に応じて検討しております。

 

(c)内部管理体制の整備

 当社グループは従来から、取締役に対する監督機能の強化並びに経営の透明性の向上等、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおり、意思決定の透明性・迅速性を高めるべく内部管理体制の整備を行っております。また、当社グループはM&A等により業容拡大を図っており、新たにグループ化した関係会社等と理念やビジョン等を共有し、人材・組織・インフラ等の統合を含む実質的な経営統合を早期に実現することが重要と考えております。そのような中、関係会社等の業務の適正を確保するため、関係会社管理規程を定めております。さらに、定期的に業務、業績及びその他重要な事項に関する報告を求めるとともに、業務又は業績に重要な影響を及ぼし得る事項については、当社の事前承認を必要とする体制を確保することで、関係会社等の経営内容を的確に把握し、管理する内部環境整備に努めております。

 

(d)業務品質の確保

 医薬品開発を取り巻く環境は日進月歩で変化し、再生医療をはじめとした新技術の開発の増加や開発のグローバル化、開発期間の短縮化、並びに開発手法の変化等により、臨床試験に対するニーズも多様化し、そのような変化に伴い、倫理性・科学性・信頼性等の品質に係る関連法規制も複雑化・厳格化していると考えております。当社グループでは、創業以来、品質を確保するためのプロセス構築と管理を重視しており、プロセスを可視化し、常に検証・改善するとともに、グループ内の業務手順を統一することで、高いレベルでの品質の標準化と迅速な試験実施支援に努めております。

 

(e)人材の確保

 SMO事業におけるCRC・SMA(注26)やCRO事業におけるCRA(注27)・DM(注28)、先端医療事業における研究開発・ベクター製造・細胞培養加工等の人材等、各事業の成長に適した人材の確保が必要であり、当社グループでは、人材の採用及び人材育成を重要な課題と考えて取り組んでおります。

(注26) 「SMA」とは、Site Management Associateの略語であり、一般に「治験事務局担当者」と訳されます。SMOにおいて、治験に関する事務的な業務を全面的に支援する業務を行うスタッフのことをいいます。

(注27) 「CRA」とは、Clinical Research Associateの略語であり、一般に「臨床開発モニター」と訳されます。CROにおいて、医薬品開発のための臨床試験及び臨床研究が適切に実施されているかを監視する業務を行うスタッフのことをいいます。

(注28) 「DM」とは、Data Managerの略語であり、一般に「データマネージャー」と訳されます。CROにおいて、臨床試験及び臨床研究に係るデータの品質管理業務を行うスタッフのことをいいます。

 

 そして、公開買付者は、協議・交渉の過程において「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社について、今後中長期的な企業価値向上の実現のためには、海外事業の拡大やM&Aによる非連続的な成長を含む各種施策を通じた競争力のあるグローバルな体制の構築が必要であると認識しており、ブラックストーンが有する知見やネットワークを活用して経営改革を推進することで、最適なリソース配置や営業戦略の高度化によるSMO事業の更なる拡大や、ブラックストーンのネットワークを活かしたCRO受託機会の拡大等にも繋がり、当社グループ単独では成し得ない当社グループの新たな成長が実現でき、より事業規模の大きなヘルスケアサービスプラットフォームへの進化にも期待ができると考えていることを当社に対して伝達し、当社としても、これらの施策は、当社が認識する経営課題に対する取組みの加速及び当社の中長期的な更なる企業価値向上のために積極的に推進していくべき施策であると認識しております。

 上記を踏まえ、当社は、本取引が当社グループの中長期的な企業価値向上に資するものと判断いたしました。

 なお、当社が当社株式の非公開化を行った場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた社会的な信用や知名度の向上による優れた人材の確保及び取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられます。

 しかしながら、当社の現在の財務状況や昨今の間接金融における低金利環境等に鑑みると、今後数年間においてはエクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は見込まれません。加えて、当社の社会的な信用力及び知名度の向上による優れた人材の確保及び取引先の拡大等は事業活動を通じて獲得される部分もあること、また、当社が非公開化することにより、人材確保に影響が生じることは考え得るものの、当社がこれまで培ってきたブランド力・知名度により、当社の非公開化が人材確保に与える影響は大きくないと考えられること、更に、コーポレートガバナンス・コード等への対応のために増加を続けていた上場維持費用や金融商品取引法上の開示及び監査対応に係るリソース及び費用、IR関連費用等株主対応に関する経営資源を他の経営課題の解決に振り分けることが可能になる等の理由から、非公開化のデメリットは限定的であると考えております。

 そのため、当社は、2024年5月13日開催の取締役会において、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。

 当社は、このような協議・検討の過程において、本公開買付価格が、(a)下記「(3)算定に関する事項」に記載されているKPMGによる当社株式の算定結果のうち、市場株価平均法に基づく算定結果のレンジの上限を上回っており、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの範囲内であること、(b)本公開買付けの公表日の前営業日である2024年5月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株価の終値1,850円に対して51.35%、過去1ヶ月間の終値単純平均値1,811円に対して54.61%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,837円に対して52.42%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,912円に対して46.44%のプレミアムがそれぞれ加算されており、近時の他のMBO事例(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保にむけて―」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2024年4月15日までに公開買付けが成立した非公開化を目的としたMBO案件の事例、56件(公開買付け未実施・不成立の事例及び対象会社の賛同又は応募推奨がない事例は除外))におけるプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値に対して42.44%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して45.18%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して45.52%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して48.57%。小数点以下第三位を四捨五入。)を上回っていることから、合理的なプレミアムが付された価格であると評価できること、(c)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が取られていること等、一般株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)本公開買付価格が、上記利益相反を解消するための措置が取られた上で、当社と森氏及びブラックストーンとの間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、より具体的には、KPMGによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や、シティユーワ法律事務所による本取引に関する意思決定の過程及び方法その他の留意点についての法的助言等を踏まえ、かつ、本特別委員会による意見、指示、要請等を受けた上で森氏及びブラックストーンとの間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として、当初提示額(1株2,400円)よりも、1株当たり400円(16.7%)(小数点以下第二位を四捨五入)引き上げられた価格で提案された価格であること、(e)本公開買付価格が、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した2024年5月10日付答申書においても妥当であると判断されていることから、当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の一般株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。

 以上より、当社は、本取引が当社の企業価値向上に資するものであり、かつ本公開買付価格を含む本取引に係る諸条件が妥当なものであると判断したため、2024年5月13日開催の取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

 また、上記の2024年5月13日付の取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、当社が設置した本特別委員会に対して、本特別委員会が当社取締役会に対して提出した2024年5月10日付答申書の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、2024年5月10日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議いたしました。

 その後、公開買付者は、本公開買付けの実施に向けて、オーストラリアにおける競争法に基づき必要な手続に関する現地法律事務所のアドバイスを得ながら、かかる手続の完了に向けて関係当局等との交渉を進めていたとのことですが、2024年6月20日付当社プレスリリース及び2024年11月8日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせしていましたとおり、それぞれ同日時点でかかる手続及び対応が完了していないとのことでした。また、2024年11月8日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、公開買付者は、ACCCの最終的な判断は2025年2月6日までに公表される予定である旨、当該当局から通知を受けていたとのことです。

 その後、当社は、2024年12月20日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、2024年12月20日に、公開買付者より、本公開買付けの決済日後11ヶ月以内に、当社が直接又は間接に保有するCMAXの株式の全てを第三者へ譲渡すること等を条件に、2024年12月20日、ACCCから、本公開買付けに係る本クリアランスの取得を完了し、オーストラリアの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本公開買付けの開始の前提条件がいずれも充足されることが見込まれる、2025年1月下旬を目途に、本公開買付けを開始することを予定している旨の連絡を受けました。

 当社は、公開買付者が2024年6月中旬頃を目途に本公開買付けを開始することを目指していたことを受け、2024年6月13日から審議を再開し、2025年1月31日までに開催された計5回(時約3時間)の特別委員会において、各委員に対して、クリアランスの取得状況等を共有しました。本特別委員会は、改めて、当社に対して、2024年5月13日以降、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」の「(ⅲ)特別委員会における判断内容」をご参照ください。)の確認等を行い、追加諮問事項について検討を行った結果、2024年5月13日以降、2025年1月30日までの事情を勘案しても2024年5月10日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年1月30日に、当社取締役会に対して、2024年5月10日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がない旨の追加答申書を提出いたしました。

 その上で、当社は、本特別委員会から提出された追加答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、本書提出日現在においても、2024年5月13日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断いたしました。

 以上より、当社は、2025年1月31日、会社法第370条による取締役会決議(書面決議)により、当社の取締役(取締役合計14名のうち、森氏を除く利害関係を有しない取締役13名)の全員一致で、改めて、本公開買付けに対する賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議をいたしました。上記の2024年5月13日付及び2025年1月31日付の当社取締役会の決議の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む。)全員の承認」をご参照ください。

 なお、森氏は、本公開買付け成立後も継続して当社の経営にあたる予定であり、公開買付者に対して直接又は間接に出資することを検討しているとのことから、本取引に関して当社との間で利益相反関係が存在するため、特別利害関係取締役として、上記の2024年5月13日付及び2025年1月31日付の取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。

 

(3)算定に関する事項

(ⅰ)当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

 当社は、本公開買付けを含む本取引に関する意見表明を行うにあたり、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付関係者等から独立した第三者算定機関として、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるKPMGに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年5月10日付で、株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)を取得しました。なお、KPMGは、公開買付関係者等の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るKPMGに対する報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりKPMGを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

 本特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないことから、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。

 

② 当社株式に係る算定の概要

 KPMGは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価平均法及び将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF法を用いてそれぞれ株式価値の算定を行い、当社はKPMGから2024年5月10日付で本株式価値算定書を取得しました。なお、当社は、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、KPMGから本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。上記の各手法において算定された当社株式1株当たりの価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

 

市場株価平均法:1,811円から1,912円

DCF法   :2,506円から3,339円

 

 市場株価平均法では、本公開買付けに関する当社取締役会決議の前営業日にあたる2024年5月10日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値1,850円、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値1,811円、基準日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値1,837円及び基準日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値1,912円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を1,811円から1,912円までと算定しております。

 DCF法では、当社の2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業計画(以下「本事業計画」といいます。なお、森氏は本事業計画の作成に一切関与しておりません。)における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として当社が2025年3月期より将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、事業リスクを考慮した適切な割引率で現在価値に割り引いて当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を2,506円から3,339円と算定しております。なお、割引率には加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital:WACC)を使用しております。加重平均資本コストは、資本資産価格モデル(Capital Asset Pricing Model:CAPM)により見積もった資本コストと、節税効果控除後の予想調達金利により見積もった負債コストを、当社及び類似上場会社の情報により見積もられた株主資本構成比率で加重平均することにより計算しており、8.5%~9.5%を採用しております。また、継続価値の算定にあたっては、永久成長率法を採用し、永久成長率法では成長率を0.4%~1.4%としております。

 KPMGがDCF法による算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。

 本事業計画には、対前年度比較において大幅な増益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年3月期において、2024年3月期に見込んでおりましたSMO事業における一部の大型案件の受注が2025年3月期に後ろ倒しとなったことから、営業利益及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。また2027年3月期において、2026年3月期までは既存設備の維持更新投資のみではなく、先端医療事業において製造設備等の大規模な設備投資を予定している一方で、2027年3月期以降は主に既存設備の維持更新投資のみを予定していることから、設備投資額の減少に伴うフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。さらに2028年3月期において、創薬事業における新製品の開発完了及び上市に伴うパイプラインの拡充により、営業利益及びフリー・キャッシュ・フローの大幅な増加を見込んでおります。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該財務予測には加味しておりません。

(単位:百万円)

 

 

2025年3月期

2026年3月期

2027年3月期

2028年3月期

2029年3月期

売上高

20,765

22,197

24,436

27,282

29,042

営業利益

2,669

3,429

3,598

5,254

6,208

EBITDA

3,903

4,700

4,923

6,579

7,533

フリー・キャッシュ・フロー

1,093

1,234

2,511

3,885

4,801

 

 KPMGは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、森氏を除く当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。但し、KPMGは、算定の基礎とした当社の本事業計画について、複数回、当社と質疑応答を行い、その作成経緯及び当社の現状を把握した上で、それらに不合理な点がないかという観点から、当社の本事業計画の合理性を確認しております。また、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認しております。

 

(ⅱ)公開買付者による算定方法

 公開買付者は、本公開買付価格を決定するに際して、当社が公表している財務情報等の資料、当社に対して2024年3月上旬から2024年4月上旬にかけて実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえ、当社の事業及び財務の状況を多面的・総合的に分析いたしました。また、公開買付者は、当社株式が金融商品取引所を通じて取引されていることに鑑みて、本公開買付け実施についての公表日(2024年5月13日)の前営業日である2024年5月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値(1,850円)並びに過去1ヶ月間、過去3ヶ月間及び過去6ヶ月間の終値の単純平均値(1,811円、1,837円及び1,912円)の推移を参考にいたしました。なお、当社による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けの成立の見通しを総合的に勘案し、かつ当社との協議及び交渉を経て本公開買付価格を決定していることから、第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンは取得しておりません。

 本公開買付価格2,800円は、本公開買付けの公表日の前営業日である2024年5月10日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値1,850円に対して51.35%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,811円に対して54.61%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,837円に対して52.42%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,912円に対して46.44%、本書提出日の前営業日である2025年1月31日の終値2,786円に対して0.50%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となります。

 

(4)上場廃止となる見込み及びその事由

 当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しておりますので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。

 

(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

 公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び不応募合意株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法による本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。

 公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、当社に対し、本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを要請する予定とのことです。なお、公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を可能な限り早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始日後の近接する日が本臨時株主総会の基準日となるように、当社に対して公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定とのことです。当社は、公開買付者からかかる要請を受けた場合には、かかる要請に応じる予定です。本臨時株主総会の開催時期は、本書提出日現在、2025年4月から5月を予定しているとのことです。なお、公開買付者及び森氏は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

 本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び森氏を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定です。

 なお、本株式併合の割合は、本書提出日現在未定ですが、公開買付者及び森氏のみが当社株式(当社が所有する自己株式を除きます。)の全てを所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び森氏を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう要請する予定とのことです。本株式併合に関する具体的な手続については、公開買付者と当社との間で協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。

 本株式併合に関連する当社の一般株主の権利保護を目的とした規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様(公開買付者、森氏及び当社を除きます。)は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。

 上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募しなかった当社の株主の皆様(公開買付者、森氏及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主の皆様は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 上記手続については、関係法令の改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、森氏及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該当社の株主の皆様に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。

 以上に関する具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。

 なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認ください。

 

(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

 公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBО)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の①乃至⑥の措置を実施しております。

 なお、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあると考え、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定しておりませんが、公開買付者としては、公開買付者及び当社において以下の措置を講じていることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。

 

 また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

 

① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 上記「(3)算定に関する事項」に記載のとおり、当社は、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会における意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付関係者等及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてKPMGに当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年5月10日付で本株式価値算定書を取得しております。なお、KPMGは、公開買付関係者等の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るKPMGに対する報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりKPMGを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。また本特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないこと及び本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。

 

② 当社における独立した法律事務所からの助言

 当社は、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付関係者等から独立したリーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所を選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。なお、シティユーワ法律事務所は、公開買付関係者等の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。また、シティユーワ法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。本特別委員会は、当社が選任したリーガル・アドバイザーにつき、独立性及び専門性に問題がないこと及び本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。

 

③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得

(ⅰ)特別委員会の設置等の経緯

 当社は、本公開買付けを含む本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当するものであり、構造的な利益相反の問題が存在するために、当社の一般株主の皆様の保護を目的として、本取引における本公開買付価格の公正性の担保、本取引の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の観点から本取引の公正性を担保する措置の一つとして、意思決定の恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性のある意思決定過程を確立するため、公開買付関係者等及び当社から独立し、高度の識見を有すると考えている前田豊司氏(当社社外取締役)、小駒皆子氏(当社社外取締役)、佐々木秀次氏(当社社外取締役監査等委員)、髙橋壮志氏(当社社外取締役監査等委員)の4名によって構成される本特別委員会を設置することを、2024年3月11日の取締役会において決議いたしました。当社は当初からこの4名を本特別委員会の委員として選任しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また当社は、取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含む。)、(b)本取引の条件の公正性・妥当性、(c)本取引に係る手続の公正性、(d)当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明すること及び当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非、及び(e)当社取締役会における本取引についての決定が、当社の少数株主にとって不利益なものではないか(以下、総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申を当社に提出することを嘱託いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会を、当社取締役会から独立した合議体として位置づけ、当社取締役会は、本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が当社取締役会に対し、本公開買付けに賛同すべきでない、当社の株主に対する応募推奨をすべきでないと判断した場合には、当社取締役会は、これに従って、前者の場合は本公開買付けへの賛同意見の表明は行わないこと、後者の場合は当社の株主に対する応募推奨を行わないこととすることを決議しております。さらに、本特別委員会に対しては、(ⅰ)必要に応じて取引条件等について提案者と交渉を行う(当社及びそのアドバイザーを通じた間接的な交渉を含む。)権限、(ⅱ)当社の費用負担のもと、特別委員会のアドバイザーを選任する権限(当社の取締役会がその選定を追認した当社法務アドバイザーとしてのシティユーワ法律事務所及び当社ファイナンシャル・アドバイザー兼第三者評価機関としてのKPMGを事後的に承認する権限を含む。)、(ⅲ)当社の役職員から本取引の検討及び判断に必要な情報を受領する権限を付与することを決議しております。

 なお、本特別委員会の各委員に対しては、固定報酬が支払われることとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。

 

(ⅱ)特別委員会における検討等の経緯

 本特別委員会は、2024年3月14日より2024年5月10日までの間に合計8回開催され、本諮問事項についての協議及び検討を行いました。

 具体的には、本特別委員会は、まず、2024年3月14日、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてのKPMG、並びにリーガル・アドバイザーとしてのシティユーワ法律事務所について、公開買付関係者等及び当社からの独立性及び専門性に問題がないことを確認し、それぞれを当社のアドバイザーと選任することを承認しております。また、本特別委員会は、必要に応じて当社のアドバイザー等から専門的助言を得ることとし、本特別委員会として独自にアドバイザー等を選任しないことを確認しております。さらに、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制についても、当社から説明を受けた上で、独立性の観点から問題がない旨も確認しております。

 その上で、本特別委員会は、シティユーワ法律事務所から、特別委員会の設置が求められる背景、特別委員会の役割等についての説明を受け、本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する意思決定にあたっての留意事項等についての法的助言を踏まえ、本取引における手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。

 また、本特別委員会は、当社から、当社の経営環境・経営課題、これに対する森氏及びブラックストーンの提案する本取引及び施策の意義、有効性等について確認し、質疑応答を行っております。また、公開買付者及び当社より提出された各検討資料その他必要な情報・資料等の収集及び検討を行うとともに、森氏及びブラックストーンに対して書面で質問し、回答を受けた上で、KPMG及びシティユーワ法律事務所と共に、森氏及びブラックストーンとの面談によるヒアリング調査を行っております。これらによって、当社の経営環境・経営課題及びこれに対する森氏及びブラックストーンの認識の確認、本取引の内容、背景、意義・目的、本取引後に検討している施策の内容、本取引及び当該施策が当社の企業価値に与える影響、公開買付者及び当社が意思決定をするに至る経緯・検討経緯の妥当性その他本取引に関連する事項について、説明を受けるとともに、本取引の目的や背景、本取引を行うことを必要と考える理由、本取引実施後の経営体制及び実施予定の施策等について質疑応答を行いました。

 さらに、本特別委員会は、当社の本事業計画について、公開買付関係者等から独立した者によって作成されていることを確認するとともに、当社から重要な前提条件について説明を受け、最終的な本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について確認し、承認しております。その上で、KPMGから、当社株式の本株式価値算定書について説明を受け、当該価値算定の前提等に関するヒアリング調査をしました。

 また、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2024年4月17日に公開買付者から本公開買付価格を1株当たり2,400円とする提案を受領して以降、森氏及びブラックストーンと当社との間における本取引の条件に係る協議・交渉において、当社から本特別委員会に対して、その経緯及び内容等について適示に報告を行った上で、本特別委員会は、KPMGによる当社株式の株式価値の算定結果、公開買付者との交渉方針等を踏まえた助言、並びにシティユーワ法律事務所からの本取引における手続の公正性を確保するための対応等についての法的助言を踏まえて、本公開買付価格についての検討を行い、交渉方針を当社に伝達する等、森氏及びブラックストーンとの交渉過程に積極的に関与しております。

 さらに、本特別委員会は、シティユーワ法律事務所から、複数回、当社が公表又は提出予定の本公開買付けに係るプレスリリース及び意見表明報告書の各ドラフト、並びに公開買付者が提出予定の本公開買付けに係る公開買付届出書のドラフトの内容について説明を受け、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。

 

(ⅲ)特別委員会における判断内容

 本特別委員会は、以上のような経緯の下、本諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の2024年5月10日付答申書を提出いたしました。

 

(a)答申内容

① 本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は正当かつ合理的なものと認められると考える。

② 本公開買付けにおける本公開買付価格を含む本取引の条件の公正性及び妥当性は確保されていると考える。

③ 本公開買付けを含む本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への配慮がなされていると認められると考える。

④ 上記①から③を踏まえると、当社取締役会が、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することは相当であると考える。

⑤ 上記①から③を踏まえると、当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をすることは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考える。また、本公開買付け後に予定されている当社株式を非公開化することを目的とする株式併合を決定することは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考える。

 

(b)答申の理由

 以下の点より、本特別委員会は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであり、本公開買付けを含む本取引の目的は合理的と認められると判断するに至った。

① 上記「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」及び「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社グループは、収益力の向上、資金調達、内部管理体制の整備、業務品質の確保及び人材の確保といった経営課題を有しているところ、本取引の目的は、今後中長期的な企業価値向上の実現のために、海外事業の拡大やM&Aによる非連続的な成長を含む各種施策を通じた競争力のあるグローバルな体制の構築が必要であることから、ブラックストーンが有する知見やネットワークを活用して経営改革を推進することで、最適なリソース配置や営業戦略の高度化によるSMO事業の更なる拡大や、ブラックストーンのネットワークを活かしたCRO受託機会の拡大等、当社グループ単独では成し得ない当社グループの新たな成長を実現させ、より事業規模の大きなヘルスケアサービスプラットフォームに進化させることにあるが、本特別委員会としても、当社が認識する当社を取り巻く経営環境及び経営課題に不合理的な点はなく、本取引の目的には合理性があるものと思料する。

② 上記「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けを実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」及び「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社、ブラックストーン及び森氏は、本取引に伴う当社グループの継続的な成長に向けた支援、M&Aによる非連続な成長機会の探索及び組織力強化に向けた取組みといった企業価値の向上のための施策等に関して、複数回にわたり両社の間で協議を行い、また、本特別委員会においても、本取引に伴い当社に生じる企業価値の向上について、当社取締役副社長松島正明、当社取締役副社長渡辺潔及び取締役小島修一から説明を受けるとともに、本特別委員会において、上記の説明者に対して、具体的な内容や効果、その実現可能性等に関して質疑応答等を行ったものの、その内容は合理的な内容であったことから、本特別委員会は、当社並びに森氏及びブラックストーンが両社間の協議の結果想定する当社の企業価値の向上のための施策については、その内容は合理的な内容であり、本取引により一定の企業価値の向上が見込まれるものと考える。

 

 以下の点より、本特別委員会は、本公開買付価格を含む本取引の条件の公正性及び妥当性は確保されていると判断するに至った。

① 株式価値算定書の算定手法である市場株価平均法及びDCF法は、現在の実務に照らして一般的、合理的な手法であると考えられ、その選定にあたり恣意性は認められず、DCF法においては、その算定内容も現在の実務に照らして妥当なものであると考えられること、当該DCF法の算定の基礎とした当社の本事業計画について、当社からその内容及び作成経緯等について説明を受け、その作成目的、作成手続及びその内容について、特に不合理な点がないと考えられること、及び、本公開買付価格は、市場価格から見れば相応のプレミアムが付されていると評価でき、また、KPMGによる市場株価平均法による算定結果の上限値を超え、かつDCF法による算定結果のレンジの範囲内にあることから、合理性を有する。

② 森氏及びブラックストーンとの交渉は、本特別委員会において決定された交渉方針の下で、その指示に従って行われ、かかる交渉の結果として当初提案から16.7%(400円)(小数点以下第二位を四捨五入)の価格の引き上げを実現した。

③ 本取引の方法に不合理な点は認められない。

 

 以下の点より、本特別委員会は、本取引において、公正な手続を通じた当社の少数株主の利益への十分な配慮はなされていると判断するに至った。

① 当社取締役会は、公開買付者、公開買付者親会社、ブラックストーン及び森氏から独立した本特別委員会を設置している。

② 当社は、公開買付者、公開買付者親会社、ブラックストーン及び森氏から独立したリーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所並びにファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるKPMGから助言を受けている。

③ 本特別委員会は、当社が選任したリーガル・アドバイザー並びにファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから専門的助言を受けている。

④ 当社はKPMGから本株式価値算定書を取得している。

⑤ 森氏が本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、特別利害関係人として、本取引に係る取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、かつ、当社の立場で本取引の協議及び交渉に一切参加していない。

⑥ 利益相反のおそれのある当社代表取締役社長の森氏を本取引に係る取引条件に関する協議・交渉過程及び当社株式の価値算定の基礎となる当社の本事業計画の作成過程に関与させない体制を構築している。

⑦ 公開買付期間が法令に定められた最短期間(20営業日)よりも長期(30営業日)に設定されるとともに、当社は公開買付者との間で、本取引の公表後において、当社が公開買付者以外の者(対抗的買収提案者)と接触することを制限するような合意は一切行なっておらず、いわゆる間接的マーケット・チェックが行われていると認められる。

⑧ 本取引については強圧性の問題が生じないように配慮の上、スクイーズアウト手続の適法性も確保されているといえる。

 

 その後、2024年6月20日付公開買付者プレスリリース及び2024年11月8日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせしていましたとおり、同国における競争法に基づく手続及び対応に時間を要したことから、それぞれ同日時点でかかる手続及び対応が完了していないとのことでした。また、2024年11月8日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、ブラックストーンは、ACCCの最終的な判断は2025年2月6日までに公表される予定である旨、当該当局から通知を受けていたとのことです。

 その後、当社は、2024年12月20日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、2024年12月20日に、公開買付者より、本公開買付けの決済日後11ヶ月以内に、当社が直接又は間接に保有するCMAXの株式の全てを第三者へ譲渡すること等を条件に、2024年12月20日、ACCCから、本公開買付けに係る本クリアランスの取得を完了し、オーストラリアの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本公開買付けの開始の前提条件がいずれも充足されることが見込まれる、2025年1月下旬を目途に、本公開買付けを開始することを予定している旨の連絡を受けました。

 本特別委員会は、当社に対して、2024年5月13日以降、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、追加諮問事項について検討を行った結果、2024年5月13日以降、2025年1月30日までの事情を勘案しても2024年5月10日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年1月30日に、当社取締役会に対して、2024年5月10日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がない旨の追加答申書を提出いたしました。当該追加答申書の内容は以下のとおりです。

 

(a)答申内容

 当社取締役会に対して、2024年5月13日以降、2025年1月30日までの事情を勘案しても2024年5月10日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことから、同日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更はない。

 

(b)答申の理由

 本特別委員会は、以下のとおり、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係等の確認をし、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的には正当性・合理性が認められ、当社の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の公正性・妥当性及び手続の公正性も認められると判断するに至った。

 

① CMAX株式譲渡によって、CMAXが当社の子会社でなくなったとしても、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付け実施するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」及び「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、ブラックストーンのヘルスケア領域における深い知見や国内外のネットワークを活用し、当社グループのSMO事業及びCRO事業に対してグローバルで競争力のある営業体制の構築を推進することが可能であり、M&Aによる非連続な成長機会の探索及び組織力強化に向けた取組みを実現できることから、本取引が企業価値の向上に資するものであることに変わりがないこと

② 2024年5月13日以降、本公開買付けに係る公開買付価格2,800円を上回る株価の推移は生じていないこと

③ 本公開買付けに係る公開買付期間について、2024年5月10日付答申書では「公開買付期間が法令に定められた最短期間(20営業日)よりも長期(30営業日)に設定されるとともに、当社は公開買付者との間で、本取引の公表後において、当社が公開買付者以外の者(対抗的買収提案者)と接触することを制限するような合意は一切行なっておらず、いわゆる間接的マーケット・チェックが行われていると認められる。」と判断したところ、本公開買付けに係る公開買付期間を30営業日から20営業日に変更したとしても、法令に定められた最短期間である20営業日と同じ期間であるものの、2024年5月13日付で本公開買付けを公表してから本公開買付けを開始するまで、8ヶ月以上(本クリアランスの取得の公表から1ヶ月以上)経過し、本公開買付けの開始まで比較的長期間が確保されており、当社株主による本公開買付けへの応募への適切な判断機会及び公開買付者以外の対抗的買収提案者による買収提案の機会が十分に確保されていると考えられること、並びに、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意をしていないことから、本公開買付けを含む本取引において、公正な手続を通じた当社の一般株主の利益への十分な配慮や間接的なマーケット・チェックが行われていると考えられること

 

④ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む。)全員の承認

 当社は、KPMGより取得した本株式価値算定書、シティユーワ法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本特別委員会(本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、上記「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)から提出を受けた2024年5月10日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引の諸条件について慎重に検討を行いました。

 その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2024年5月13日開催の取締役会において、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値向上に資するものであるとともに、本株式価値算定書の算定結果及び本公開買付価格のプレミアム水準、公開買付者との交渉過程並びに本公開買付価格の決定プロセス等に照らし、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを、審議及び決議に参加した当社の利害関係を有しない取締役(取締役合計14名のうち、森氏を除く取締役13名)の全員一致で決議いたしました。

 上記の2024年5月13日付取締役会においては、当社の代表取締役社長である森氏は、当社の筆頭株主であり、かつ本再出資が予定されていることから、本取引において特別の利害関係を有しており、当社との間で利益が相反する可能性があることから、本取引の検討に関する議題の審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場においてブラックストーンとの協議及び交渉には一切参加しておりません。

 また、上記の2024年5月13日付の取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、当社が設置した本特別委員会に対して、本特別委員会が2024年5月10日付で当社取締役会に対して提出した2024年5月10日付答申書の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、2024年5月10日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。その後、2024年6月20日付公開買付者プレスリリース及び2024年11月8日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせしていましたとおり、同国における競争法に基づく手続及び対応に時間を要したことから、それぞれ同日時点でかかる手続及び対応が完了していないとのことでした。また、2024年11月8日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、ブラックストーンは、ACCCの最終的な判断は2025年2月6日までに公表される予定である旨、当該当局から通知を受けていたとのことです。

 その後、当社は、2024年12月20日付公開買付者プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、2024年12月20日に、公開買付者より、本公開買付けの決済日後11ヶ月以内に、当社が直接又は間接に保有するCMAXの株式の全てを第三者へ譲渡すること等を条件に、2024年12月20日、ACCCから、本公開買付けに係る本クリアランスの取得を完了し、オーストラリアの競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本公開買付けの開始の前提条件がいずれも充足されることが見込まれる、2025年1月下旬を目途に、本公開買付けを開始することを予定している旨の連絡を受けました。

 本特別委員会は、改めて、当社に対して、2024年5月13日以降、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、追加諮問事項について検討を行った結果、2024年5月13日以降、2025年1月30日までの事情を勘案しても2024年5月10日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年1月30日に、当社取締役会に対して、2024年5月10日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がない旨の追加答申書を提出いたしました。

 その上で、当社は、本特別委員会から提出された追加答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2025年1月31日現在においても、2024年5月13日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断いたしました。

 以上より、当社は、2025年1月31日、会社法第370条による取締役会決議(書面決議)により、当社の利害関係を有しない取締役(取締役合計14名のうち、森氏を除く取締役13名)の全員一致で、改めて、本公開買付けに対する賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。

 

⑤ 当社における独立した検討体制の構築

 当社は構造的な利益相反の問題を排除する観点から、公開買付関係者等から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、森氏は、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあるため、本取引に関する取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付関係者等との協議及び交渉にも一切参加しておりません。本取引に関する検討、交渉及び判断を行う当社の検討体制は、全て公開買付関係者等から独立性の認められる役職員のみで構成することとし、本書提出日に至るまでかかる取扱いを継続しております。

 公開買付者に対して提示し、かつ、KPMGが当社株式の株式価値の算定において基礎とする本事業計画は、公開買付者から独立した者によって作成されており、最終的な本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について本特別委員会の確認を受け、その承認を受けています。

 また、かかる取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制、具体的には本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する役職員の範囲及びその職務(当社の株式価値の評価の基礎となる本事業計画の作成等高い独立性が求められる職務を含みます。)はシティユーワ法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ております。

 

⑥ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

 公開買付者は、公開買付期間について、20営業日としているものの、本公開買付価格を含む一連の取引条件が公表された後、本公開買付けの開始までの期間が約8ヶ月に亘るため、当社の一般株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会が確保されているとともに、当社株式について公開買付者以外の者(以下、「対抗的買収提案者」といいます。)による買収提案の機会が確保されていると考えているとのことです。

 また、公開買付者及び当社の間において、当社による対抗的買収提案者との接触等を過度に制限するような内容の合意は一切行っていないとのことです。このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。

 

(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項

① 本公開買付契約

 公開買付者は、公開買付者親会社及びBXファンドとともに、2024年5月13日付で、森氏及び森氏資産管理会社との間で、本取引に関し、以下の内容を含む本公開買付契約を締結しているとのことです(注1)。また、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、公開買付者親会社及びBXファンドとともに、2025年1月31日付で、森氏及び森氏資産管理会社との間で、本公開買付契約の一部を変更し、公開買付期間を30営業日から20営業日に変更する旨を合意しているとのことです。なお、本公開買付契約及び下記②本株主間契約以外に、公開買付者と森氏及び森氏資産管理会社との間で本公開買付けに関する合意は存在せず、本公開買付けに応募することにより得られる金銭以外に、本公開買付けに関して公開買付者から森氏及び森氏資産管理会社に対して供される対価は存在しないとのことです。

 

(ⅰ)森氏が所有する当社株式のうち応募合意株式(3,124,250株、所有割合:25.80%)について本公開買付けへ応募すること

(ⅱ)森氏が所有する当社株式のうち不応募合意株式(1,655,200株、所有割合:13.67%)について本公開買付けに応募しないこと

(ⅲ)森氏がその親族である森利恵氏(825,000株、所有割合:6.81%)及び森龍介氏(75,000株、所有割合:0.62%)をして本公開買付けに応募させるよう努力すること

(ⅳ)本公開買付け、本再出資①、本スクイーズアウト手続、本株式譲渡、本再出資②で構成される本取引を実施することにより、当社株式を非公開化した上で、当社を公開買付者親会社及び公開買付者の完全子会社とし、かつ、BXファンド及び森氏資産管理会社が議決権比率55.0対45.0でそれぞれ公開買付者親会社の株主となること

(ⅴ)森氏が、本公開買付けに係る決済開始日の2営業日後の日までに、不応募合意株式に設定されている担保権の被担保債務を全額完済し、かかる担保権を消滅させること

 

(注1) 本公開買付契約において、公開買付者、公開買付者親会社及びBXファンドは、(ⅰ)適法な設立、有効な存続及び権利能力、(ⅱ)本公開買付契約の締結及び履行の手続の完全な履行、(ⅲ)本公開買付契約の強制執行可能性、(ⅳ)本公開買付契約の締結及び履行の法令等の違反の不存在、(ⅴ)本公開買付契約の締結及び履行に係る許認可等の取得・履践等、(ⅵ)倒産原因の不存在、並びに(ⅶ)反社会的勢力との関係の不存在について表明及び保証を行っているとのことです。また、森氏及び森氏資産管理会社は、(ⅰ)本公開買付契約を適法かつ有効に締結し、これを履行するために必要な権限及び権能並びに行為能力を有すること、(ⅱ)本公開買付契約の強制執行可能性、(ⅲ)本公開買付契約の締結及び履行の法令等の違反の不存在、(ⅳ)本公開買付契約の締結及び履行に係る許認可等の取得・履践等、(ⅴ)当社株式及び森氏資産管理会社の発行済株式に対する権利に関する事項、(ⅵ)倒産原因の不存在、(ⅶ)腐敗防止関連法令の遵守、並びに(ⅷ)反社会的勢力との関係の不存在について、表明及び保証を行っているとのことです。また、森氏及び森氏資産管理会社は、当社グループについて、(ⅰ)適法な設立、有効な存続及び権利能力、(ⅱ)本公開買付契約の締結及び履行の法令等の違反の不存在、(ⅲ)本公開買付契約の締結及び履行に係る許認可等の取得・履践等、(ⅳ)倒産原因の不存在、(ⅴ)反社会的勢力との関係の不存在、(ⅵ)当社株式に対する権利に関する事項、(ⅶ)当社グループに属する子会社及び関連会社、(ⅷ)法令違反・訴訟等の不存在、(ⅸ)未公表の重要事実の不存在、並びに(ⅹ)腐敗防止関連法令の遵守について、表明及び保証を行っているとのことです。

 

② 本株主間契約

 BXファンドは、2024年5月13日付で、森氏及び森氏資産管理会社との間で、本取引後の公開買付者親会社、公開買付者及び当社の運営並びに公開買付者親会社株式の取扱いに関して、以下の内容を含む本株主間契約を締結しているとのことです(注2)。

 

(ⅰ)公開買付者親会社及び公開買付者(本合併の効力発生日以降は公開買付者を除きます。)の取締役の員数は1名とし、BXファンドが指名する。

(ⅱ)本取引完了後における当社の取締役の員数を5名(代表取締役社長は2名)とし、そのうち森氏及び森氏資産管理会社が2名(代表取締役社長1名を含みます。)を指名し、BXファンドが3名(代表取締役社長1名を含みます。)を指名する。

(ⅲ)本取引完了後における当社の監査役の員数を3名以内とし、いずれもBXファンドが指名する。

(ⅳ)森氏資産管理会社は、その保有する公開買付者親会社株式の全部又は一部について、BXファンドの事前の書面による承諾がない限り、直接又は間接的に譲渡、承継、担保権の設定その他の処分を行うことはできない。

(ⅴ)BXファンドは、第三者(以下「本株式譲受人」といいます。)に対して、保有する公開買付者親会社株式の全部又は一部(但し、総議決権数の10%超となる株式の譲渡の場合に限ります。)の譲渡を行おうとする場合、森氏資産管理会社が保有する公開買付者親会社株式の全部又は一部を、本株式譲受人又はBXファンドが指定する他の第三者に対して、BXファンドが売却する条件と同一の条件で売却するよう森氏資産管理会社に対して請求できる。

(ⅵ)森氏資産管理会社は、BXファンドが本株式譲受人に対して、保有する公開買付者親会社株式の全部の譲渡を行おうとする場合、森氏資産管理会社が保有する公開買付者親会社株式の全部又は一部を、BXファンドが本株式譲受人に対して売却する条件と同一の条件で本株式譲受人に対して売却することをBXファンドに請求することができる。

 

(注2) 本株主間契約において、BXファンドは、(ⅰ)適法な設立、有効な存続及び権利能力、(ⅱ)本株主間契約の締結及び履行の手続の完全な履行、(ⅲ)本株主間契約の強制執行可能性、(ⅳ)本株主間契約の締結及び履行の法令等の違反の不存在、(ⅴ)本株主間契約の締結及び履行に係る許認可等の取得・履践等、(ⅵ)倒産原因の不存在、並びに(ⅷ)反社会的勢力との関係の不存在について表明及び保証を行っております。また、森氏及び森氏資産管理会社は、(ⅰ)森氏資産管理会社にあっては適法な設立、有効な存続及び権利能力、(ⅱ)本株主間契約の締結及び履行の手続の完全な履行(森氏にあっては、本株主間契約を適法かつ有効に締結し、これを履行するために必要な権限及び権能並びに行為能力を有すること)、(ⅲ)本株主間契約の強制執行可能性、(ⅳ)本株主間契約の締結及び履行の法令等の違反の不存在、(ⅴ)本株主間契約の締結及び履行に係る許認可等の取得・履践等、(ⅵ)森氏及び森氏の親族の有する森氏資産管理会社の発行済株式に対する権利に関する事項、(ⅶ)倒産原因の不存在、(ⅷ)腐敗防止関連法令の遵守、(ⅸ)反社会的勢力との関係の不存在、並びに(ⅹ)森氏、森氏資産管理会社、当社、森氏の指名する取締役、森氏資産管理会社若しくは当社の取締役、森氏資産管理会社の株主又は持分権者におけるデフォルト事由の不存在について、表明及び保証を行っているとのことです。

 

(8)その他

① 「剰余金の配当(無配)に関するお知らせ」の公表

 当社は、2025年1月31日付で当社取締役会において、2025年3月期の配当予想を修正し、2025年3月期の期末配当を行わないことを決議しております。詳細については、当社の公表内容をご参照ください。

 

4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

氏名

役職名

所有株式数(株)

議決権の数(個)

森 豊隆

代表取締役社長

4,779,450

47,794

松島 正明

取締役副社長

16,000

160

渡辺 潔

取締役副社長

3,100

31

小島 修一

専務取締役

4,800

48

朱 亜峰

取締役副社長

44,351

443

原 寿哉

取締役副社長

16,600

166

犬飼 広明

専務取締役

9,700

97

蜷川 なおみ

取締役

5,760

57

河口 勝彦

取締役

1,100

11

山内 泰具

取締役

17,760

177

菅原 明彦

取締役

前田 豊司

取締役

小駒 皆子

取締役

桑原 秀次

取締役(監査等委員)

7,920

79

佐々木 秀次

取締役(監査等委員)

髙橋 壮志

取締役(監査等委員)

 (注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。

 (注2) 前田豊司、小駒皆子、佐々木秀次及び髙橋壮志は、社外取締役です。

 

5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

 該当事項はありません。

 

6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

 該当事項はありません。

 

7【公開買付者に対する質問】

 該当事項はありません。

 

8【公開買付期間の延長請求】

 該当事項はありません。

 

以 上