1【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   合同会社麻生東水ホールディングス

所在地  東京都千代田区丸の内三丁目2番3号

 

2【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1)本公開買付けに関する意見の内容

 当社は、2025年2月4日開催の当社の取締役会において、本公開買付けに関して、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「②本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様のご判断に委ねることを決議いたしました。

 なお、当社の取締役会決議は、本公開買付けを含む本取引(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に定義します。以下同じです。)を経て、公開買付者が当社を完全子会社化すること及び当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)が上場廃止となる可能性があることを前提として行われたものです。また、当社は、上記取締役会において、本公開買付けにおける応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)以上となり、本スクイーズアウト手続(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に定義します。以下同じです。)を実施することを試みることとなった場合には、当社が2024年6月25日に公表いたしました「上場維持基準の適合に向けた計画書」(以下「2024年6月25日付計画書」といいます。)を撤回することを決議しております。なお、本公開買付けに係る決済の開始日は当社の2025年3月期に係る期末配当金の基準日である2025年3月31日より前の2025年3月28日が予定されており、本公開買付けに応募した株主の皆様は2025年3月期に係る期末配当金を受領する権利を有しない一方、本スクイーズアウト手続により金銭を交付される株主の皆様は2025年3月期に係る期末配当金を受領する権利を有することとなることから、本公開買付けに応募した株主の皆様と本スクイーズアウト手続により金銭を交付される株主の皆様との間での対価の平等性を確保するために、本公開買付けの結果、本スクイーズアウト手続を行うこととなった場合には、2025年3月期の配当予想を修正し、2025年3月期の期末配当を行わないことを予定しております。

 

 また、上記の取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性等を担保するための措置」の「④当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。

 

(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由

 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

 

① 本公開買付けの概要

 公開買付者は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社株式を取得及び所有することを主な目的として、株式会社麻生(以下「麻生」といい、公開買付者と併せて「公開買付者ら」といいます。)の出資(設立時及び本書提出日現在において出資比率100%)により2020年8月4日に設立された合同会社とのことです。公開買付者は、本書提出日現在、当社株式1,529,602株(所有割合(注):38.45%)を所有しており、当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社に該当するとのことです。なお、本書提出日現在、麻生は、当社株式を所有していないとのことです。

(注) 「所有割合」とは、当社が2024年11月12日付で提出した「第77期半期報告書」(以下「当社半期報告書」といいます。)に記載された2024年9月30日現在の当社株式の発行済株式総数(4,026,000株)から、当社半期報告書に記載された2024年9月30日現在の当社が所有する自己株式数(47,706株。なお、従業員インセンティブ・プラン「株式給付信託(J-ESOP)」及び業績連動型株式報酬制度「株式給付信託(BBT)」の信託財産として拠出している株式数(53,100株)は、自己株式数に含まれておりません。)を控除した株式数(3,978,294株、以下「本基準株式数」といいます。)に占める割合(なお、小数点以下第三位を四捨五入しております。)です。以下同じです。

 公開買付者は、2020年11月19日に公表した公開買付けの実施により当社を麻生グループ(以下に定義します。以下同じです。)の持分法適用会社とした後も、当社との資本関係の強化を目的に市場内で当社株式の取得を進めておりましたが、今般、特定の当社の少数株主が当社株式の売却を検討している旨の意向の伝達を受けたことを契機として、公開買付けによる当社株式の追加取得の検討を開始し、かかる検討の結果、麻生グループと当社の資本関係をより一層強化することを目的として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。

 公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限及び下限を設定していないとのことです。これは、下記「② 本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」の「(i)本公開買付けの背景等」に記載のとおり、公開買付者らは、本公開買付けにおいて、当社株式の追加取得による資本関係の更なる強化を目的としているところ、公開買付者らとしては、投資先の経営は、投資先に対する持分の保有比率にかかわらず、投資先の経営陣に委ねることを原則的な投資方針としており、当社についても、本公開買付けの結果にかかわらず、本公開買付け後の経営はこれまでと同様に原則として当社の経営陣に委ねる方針であることから、本公開買付けを通じて特定の比率まで保有比率を高めることが必須であるとは考えていない一方で、本公開買付けを通じて当社株式を更に追加取得することができれば、当該追加取得した当社株式の比率に応じた資本関係の強化が可能となり、買付予定数の上限及び下限を付さなければ、本公開買付けに応募された全ての株式を取得できることから、本公開買付けにおいて上限及び下限を設定しないこととしているとのことです。具体的には、公開買付者らは、本公開買付けの結果にかかわらず、本公開買付け後の経営はこれまでと同様に原則として当社の経営陣に委ねる方針であることから、特定の所有割合に達して初めて実現可能となるシナジーがあるとは考えていないものの、下記「②本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」の「(i)本公開買付けの背景等」に記載する各種施策の実現のしやすさなどは所有割合の増加の程度に比例する面もあると考えており、本公開買付けにより買い付ける当社株式の数にかかわらず、本公開買付けにより当社株式を追加取得して、公開買付者らと当社との資本関係を更に強化することには意義があるものと考えているとのことです。また、本公開買付けにより取得する当社株式の数に応じて、例えば、本公開買付け後の公開買付者らの所有割合が過半数に至った場合には、当社を公開買付者らの連結子会社とし、公開買付者らの連結会計に当社を取り込むことによる財務的なメリットが見込まれ、本公開買付け後の公開買付者らの所有割合が過半数に満たない場合や、過半数から100%の間となる場合にも、本公開買付けにより追加取得した当社株式の数に応じた配当の受領等の財務的なメリットが見込まれると考えているとのことです。さらに、公開買付者らとしては、下記「② 本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」の「(i)本公開買付けの背景等」に記載のとおり、当社株式の流通株式比率が2024年3月31日時点で24.0%であり、東京証券取引所スタンダード市場における上場維持基準のうち流通株式比率の基準である25%以上を下回っており、流通株式比率について2025年3月31日時点においても上場維持基準を充たしていない場合は、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入り、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、2026年10月1日に上場廃止となる可能性がありますが、本公開買付けを実施する場合には、買付予定数の上限及び下限を設定しないことで、当社株式の売却を希望する全ての少数株主の皆様に対して合理的な価格で確実な売却機会を提供することができると考えているとのことです。これは、麻生グループは、「地域社会への貢献」をグループ全体のミッションとして掲げており、投資方針についても、自らの投資収益の最大化のみを追求するのではなく、関係者にとっても公正な取引となることを心掛けているところ、本公開買付けの実施についても、自らの収益の最大化だけを考えれば、例えば、上場廃止が間近に迫った時期により低い価格で公開買付けを実施することも考えられますが、当社の株主の皆様にご納得いただける形で株式の追加取得を行うことで公正な取引を実施したいと考え、当社の株主の皆様に合理的な価格で確実な売却機会を提供することが適切と考えたためであるとのことです。そのため、公開買付者は、本公開買付けに応募された当社株式(以下「応募株券等」といいます。)の全ての買付け等を行うとのことです。

 公開買付者は、応募株券等の総数が、本公開買付け後において公開買付者が保有する当社の議決権数が、本基準株式数に係る議決権数(39,782個)の3分の2となる数(26,522個、小数点以下を切り上げ)(注1)に、当社における過去の議決権行使状況を踏まえると、議案の内容にかかわらず議決権行使を行わない株主が一定程度存在することから、本臨時株主総会(以下に定義します。以下同じです。)における株式併合の議案についても議決権行使を行わない株主が一定程度存在するとの前提の下、当社における直近3事業年度に係る定時株主総会の議決権行使率の最高値89.57%(注2)を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)以上となった場合、すなわち、応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)以上となった場合(注3)には、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者のみとし、当社を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といい、本公開買付けと併せて「本取引」といいます。)を実施することを試みることを予定しているとのことです。これは、公開買付者らは、上記のとおり、当社株式の追加取得による資本関係の更なる強化を目的として本公開買付けを実施するものであり、当社株式の非公開化を目的とするものではありませんが、当社株式が2026年10月1日をもって上場廃止となる可能性がある状況を踏まえると、本公開買付けの結果、本スクイーズアウト手続を可決することが可能であると合理的に見込まれる数(845,998株(所有割合:21.27%))以上の当社株式の応募がなされたにもかかわらず、上場維持基準に抵触したまま当社株式の上場を維持することは少数株主の皆様にとって必ずしも望ましくなく、本公開買付価格(下記「②本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」の「(i)本公開買付けの背景等」に定義します。以下同じです。)と同額で本スクイーズアウト手続を実施することが当社の少数株主の皆様の利益に資すると考えたためであるとのことです。

(注1) 議決権の3分の2に設定しているのは、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の株式併合の手続を実施するためには、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第309条第2項に規定する、当社の株主総会における特別決議が要件とされるためです。

(注2) 当社が2024年6月26日に提出した第76期有価証券報告書によれば、2024年6月26日開催の第76回定時株主総会の基準日における議決権の数は39,600個でしたが、2024年6月28日付の臨時報告書によれば、実際に行使された議決権の数は全議案平均35,468個(小数点以下を四捨五入しております。)であり、行使された議決権は議決権の数全体に対して89.57%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、議決権行使率の計算について他に取扱いを定めない限り同じです。)に相当します。同様に議決権行使率を算定すると第75回定時株主総会は89.43%、第74回定時株主総会は89.35%となり、当社の直近3期の定時株主総会における議決権行使率の最大値は89.57%となります。株式併合に係る議案の成立に必要な議決権の数を検討するに際しては、当社の直近の株主総会における議決権行使比率が参考になると考えられるところ、単年の実績のみを参考値とすることについては必ずしも十分ではないという考え方もあり得ることから、保守的に直近3年間の議決権行使比率の最大値を使用することとしたとのことです。

(注3) 当該株式数は、本基準株式数に係る議決権数(39,782個)の3分の2となる議決権数(26,522個、小数点以下を切り上げ)に当社の直近3事業年度における議決権行使率の最高値89.57%を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)に当社株式1単元(100株)を乗じた株式数(2,375,600株)から、公開買付者が本書提出日現在において所有する当社株式数(1,529,602株)を控除した株式数です。

 また、応募株券等の総数が上記株式数(845,998株(所有割合:21.27%))以上となった場合には、当社株式が2026年10月1日をもって上場廃止となる可能性がある状況を踏まえ、本スクイーズアウト手続に係る議案を当社の株主総会に上程するよう、当社に対して要請することを予定しているとのことです。なお、公開買付者は、現時点で、当社の株主総会において当該議案が否決された場合に当社株式を追加取得する予定はないとのことです。

本公開買付けの結果、応募株券等の総数が上記株式数(845,998株(所有割合:21.27%))未満となった場合には、当社の株主の皆様としては、当社株式が上場維持基準に抵触している状況においても、本公開買付価格での売却を望まず、引き続き当面の間は当社株式の上場維持を望むものであると考えられることから、当該株主の皆様の意思を尊重し、本スクイーズアウト手続は実施しない予定であるとのことです。なお、本公開買付け後、本スクイーズアウト手続を実施しない場合も、上記のとおり、当社株式の流通株式比率が2024年3月31日時点で24.0%であり、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準のうち流通株式比率の基準である25%以上を下回っている状況であるため、流通株式比率について2025年3月31日時点においても上場維持基準を充たしていない場合は、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入り、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、2026年10月1日に上場廃止となります。仮に当社株式が2026年10月1日に上場廃止となった場合でも、公開買付者らとしては当社株式を継続保有する方針に変わりはないとのことです。また、公開買付者らは、現時点で、上場廃止後に当社株式の追加取得を行う予定はないとのことです。

公開買付者は、公開買付者の完全親会社である麻生より本公開買付けに係る決済の開始日の1営業日前(同日を含みます。)までに、借入れとして本公開買付けにおける買付資金及びその付随費用等を調達する予定であるとのことです。

 

② 本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由

 公開買付者らが本公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程、当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由、並びに本公開買付け後の経営方針は、以下のとおりです。

 

(ⅰ)本公開買付けの背景等

 公開買付者(設立当時の商号は合同会社ASTSホールディングス)は、当社株式を取得及び所有することを主な目的として、麻生の出資(出資比率100%)により2020年8月4日に設立され、2021年2月9日に現在の商号である合同会社麻生東水ホールディングスへの商号変更を経て、本書提出日現在、麻生がその発行済持分の全てを所有しているとのことです。麻生は、公開買付者を含む連結子会社90社、持分法適用会社22社(2024年9月30日時点)を含む企業グループ(以下「麻生グループ」といいます。)を形成しているとのことです。麻生グループは、明治5年(1872年)に創業者である麻生太吉が目尾御用炭山を採掘、石炭産業に着手したことにより、麻生商店を先駆けとして創業し、戦前は石炭事業を主たる事業とすると同時に、大正7年(1918年)に麻生商店の職員また地域の住民への医療の拡充を地域に代わり担う目的をもって飯塚病院を開設したとのことです。昭和8年(1933年)には国内の産炭事業が国際的な価格競争力を失う中で、福岡県田川地区でセメント事業を開始し、昭和14年(1939年)には飯塚で現在の専門学校事業に繋がる、麻生塾を設立したとのことです。このように、時代と共にさまざまな分野に事業領域を拡大してきたとのことです。本書提出日現在、麻生グループは、各種セメント及び生コンクリート等の製造販売を手掛けるセメント事業、病院経営に関するコンサルティング及び診療材料等の共同販売等を手掛ける医療関連事業、情報処理業及びソフトウェア開発等を手掛ける情報・ソフト事業、建設業及び土木業等を手掛ける建設土木事業等を中心とした幅広い分野に事業を展開しているとのことです。

一方、当社の前身は、1935年築地市場の開設とともに創設された東京魚市場株式会社であり、同社は戦時中に国家総動員法に基づく統制会社令による統制会社に統合され、また戦後は同令の廃止にともない東京水産物株式会社と名称変更されました。その後GHQによる指導の下、旧魚類統制会社としての閉鎖機関に指定を受けましたが、安定的な食糧供給という公共性と重要性のため農林省から再編成の示達を受け、1948年3月その業務と役職員を継承する形で資本金7百万円をもって当社が設立されました。その後当社は、1950年4月、水産物統制の撤廃に伴い、中央卸売市場法の定める水産物卸売人としての許可を受け、また、2020年6月21日からは改正卸売市場法とこれに伴う改正東京都中央卸売市場条例の定める市場開設者である東京都による施設の使用許可を受け、現在に至っております。また、当社の発行する株式については、株式公開以前には株式の大半が市場業者によって所有され、僅かに生産者やその他の水産関係者にその所有が限られていたものを、一般社会に株式を広く公開して経営に参加して貰い、より明朗公正なガラス張りの堅実な経営に徹していくとの経営判断のもと、当時の東京証券取引所において1955年10月1日から店頭公開売買が開始され、翌1956年9月10日に当時の東京証券取引所に上場いたしました。その後、2022年4月4日に東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からスタンダード市場に移行し、現在に至っております。当社の関係会社は、本書提出日現在で国内10社、海外2社(連結子会社は国内5社、海外2社)の合計12社(同7社)で企業集団(以下、当社及び当社の関係会社を総称して「当社グループ」といいます。)を形成しており、「消費者の皆様の豊かで魅力的な食生活を第一義に考え、その満足度向上に貢献する」ことを社会的使命・存在意義(ミッション)と定め、「ワンランク上の対応ができる水産物流通企業」を目指すことをビジョンとして水産物卸売事業、冷蔵倉庫及びその関連事業、不動産事業と3つの事業を展開しており、そのうち水産物卸売事業は主力事業で、豊洲市場の卸売業者として東京都より施設使用許可を受け、国内全域、そして世界各地から集荷した生鮮・冷凍魚介類及び水産加工品を、仲卸業者や売買参加者等に販売しています。東京都中央卸売市場における水産物取引の中核として、生産者と消費者の間に立って、水産物の安定的・効率的な流通を図るという社会インフラとしての重要な機能を担っております。また、主力事業である水産物卸売事業に関連又は附帯する事業として、冷蔵倉庫及びその関連事業は、水産物を中心とした各種冷凍・冷蔵品の保管及び水産物の製造加工に携わっているほか、水産物卸売市場の開設等に係る不動産事業を行っております。

当社は、東京都中央卸売市場が公表している2023年の市場統計情報によると、豊洲市場における水産物取扱高のシェア約20%を占め、同市場内卸売業者7社中2位となっております。麻生は、麻生グループの投資対象として、当社が水産物卸売業者として有する国内外における商品仕入れネットワークや、日本において食に関わる産業に中期的に関与することに対する意義に魅力を感じ、2017年より有価証券投資として市場内取引にて当社株式の取得を開始し、2017年に当社株式3,400株(当時の所有割合(注):0.09%)を取得したのち、2018年1月から2019年1月にかけて市場内で当社株式61,000株(当時の所有割合:1.53%)を追加取得し、64,400株(当時の所有割合:1.62%)を所有するに至ったとのことです。その後、当社が、①地方の水揚げ地での生産加工基地建設による商材確保と品質改善、②海外での冷凍倉庫建設による海外輸出拠点の構築といった新規事業の遂行のための業務面での支援、及び中長期的な当社株式の所有を通じて、短期的な業績の変化に左右されない企業価値の向上に賛同する安定株主としての資本面の支援の両面を満たすパートナーを模索していた中で、麻生は、2020年6月上旬に三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」といいます。)から当社を紹介されたことがきっかけとなり、同年6月下旬に資本業務提携契約に関する当社との協議を開始し、当社との間で、資本業務提携契約の内容、公開買付けや第三者割当増資による資本業務提携の実現の方法、資本業務提携により取得する当社株式の数等に関して複数回の協議を行い、また2020年7月下旬から10月下旬にかけてデュー・ディリジェンスを実施するなど資本業務提携の可能性について検討を重ねた結果、同年10月下旬に、麻生グループ及び当社間の資本関係を強化して協働関係を構築することが両社の企業価値の向上に資すると判断し、公開買付者は当社の上場維持を前提として2020年11月9日に「東都水産株式会社普通株式(証券コード8038)に対する公開買付けの開始及び資本業務提携契約の締結に関するお知らせ」のとおり、当社の普通株式に対する公開買付けの実施と当社との資本業務提携契約の締結を行うことを公表いたしました。かかる公開買付けの結果、公開買付者は、麻生が保有していた64,400株(当時の所有割合:1.62%)を含む当社の普通株式1,453,902株(当時の所有割合:36.53%)の買付けを行い、当社は麻生グループの持分法適用会社となりました。それ以降も、公開買付者は、麻生グループと当社との資本関係をより強固にすることを目的として、市場内で当社株式の取得を進めてきた結果、本書提出日現在、当社株式1,529,602株(所有割合:38.45%)を所有しているとのことです。

(注) 「当時の所有割合」とは、当社が2020年11月9日に公表した2021年3月期第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(以下「当社2021年3月期第2四半期決算短信」といいます。)に記載された2020年9月30日現在の当社の発行済株式総数(4,026,000株)から、当社2021年3月期第2四半期決算短信に記載された2020年9月30日現在の当社が所有する自己株式数(46,420株。なお、従業員インセンティブ・プラン「株式給付信託(J-ESOP)」の信託財産として拠出していた株式数(44,700株)は、自己株式数に含まれておりません。)を控除した株式数(3,979,580株)に占める割合(なお、小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。

 2020年11月10日に開始した公開買付け及び資本業務提携の締結以降、麻生グループと当社は、麻生グループ傘下の各社が参加する交流の場等でセメント業界や土木建設業界をはじめとする麻生グループ傘下の各社が属する業界の動向や状況、更に企業価値向上に向けた各社の取り組みについて共有してきました。それにより、各社は、それぞれが属している事業分野や地域などに囚われない、幅広い分野における経済情勢に関する知見や、海外の教育機関と連携した海外人材の受け入れなどの企業価値向上に向けた施策に関する知見を獲得しています。このような業界横断的な協業を通して、麻生グループと当社は双方の事業基盤を強化してまいりました。

 当社の主力事業である水産物卸売事業を取り巻く環境につきましては、少子高齢化の進行や国内人口の減少、ライフスタイルの変化等により魚食が減少する状況にあり、さらに、海水温の上昇による水産資源への影響やそれに伴う漁獲規制、生産者の高齢化や漁業就労者数の減少、市場外流通や市場間競争の激化、海外での魚食普及による調達コストの上昇から、取扱数量が伸び悩む傾向が恒常化し、厳しい事業環境にあります。また、トラックドライバーの年間時間外労働時間の上限が制限される、「物流の2024年問題」(注)を受け、物流費の増加による利益の減少、荷物の入荷遅延に伴う鮮度への影響、トラックの配車・配送ルートの変更により経費効率を求める出荷者からの要請で市場休業日明け等、特定の日に荷物が集中することによる集荷販売計画の見直し等、水産物流通を取り巻く環境も大きく変化しております。さらに、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が5類に引き下げられて以降、社会活動も徐々に正常化し、訪日外国人の増加によるインバウンド需要も持ち直したことから、高単価商材をメインとして扱う外食、観光需要は堅調に推移したものの、内食需要については、食料品価格やエネルギー価格等、円安に伴う様々な分野での値上げが続いていることによる生活防衛意識の高まりから、消費者の節約志向が強まったことで、減退傾向になったものと想定していることから、厳しい状況に直面していると判断しております。当社はこのような厳しい経営環境の中、引き続き諸経費全般の増加抑制に努めるとともに、多様なニーズに対応するための商品調達力の強化や、新規取引先や新しい販路の開拓及び既存得意先への拡販に努め、グループ会社間の連携強化、人材採用の積極化、「東都水産グループサステナビリティ基本方針」に則ったESG経営の推進等、更なる収益構造の改革・経営基盤の強化を図ってまいりました。なお、当社は、2022年4月に実施された東京証券取引所の市場区分の見直しに関して、スタンダード市場を選択する申請書を提出いたしましたが、その移行基準日である2021年6月30日時点において、同市場の上場維持基準のうち流通株式比率(25%以上)について基準を充たしておりませんでした。当社は2021年12月21日に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を提出し、上場維持基準の適合に向けた取り組みを進め、2023年3月31日時点において、計画書に基づく取り組み及び事業法人等に区分される一部株主様の当社株式の保有目的の変更の結果、同市場の全ての上場維持基準に適合していることを確認いたしました。しかしながら、2024年3月31日時点において、当社株式の流通株式比率は24.0%であり、再び東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準のうち流通株式比率の基準である25%以上を下回り、1%程度の流通株主への株主分布改善が求められる状況となったため、2024年6月25日付計画書を提出いたしました。当社株式については、上記のとおり2024年3月31日時点における流通株式比率が東京証券取引所のスタンダード市場の上場維持基準に適合していない状況にあり、当社は、2024年6月25日付計画書にも記載したとおり、大株主である事業法人に対して当社株式の売却の要請を行うほか、株主還元を充実することで流通株式比率の改善に取り組んでまいりますが、流通株式比率について2025年3月31日時点においても上場維持基準を充たしていない場合は、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入り、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、2026年10月1日をもって上場廃止となります。なお、下記「(4)上場廃止となる見込みの有無及びその事由」に記載のとおり、当社は、2025年2月4日開催の当社取締役会において、本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を行うこととなった場合には、2024年6月25日付計画書を撤回することを決議しております。

(注) 「物流の2024年問題」とは、働き方改革関連法によって、2024年4月に、自動車運転業務に対して、時間外労働時間の年間960時間の上限規制が適用されることに伴い発生するドライバー不足を含む諸問題のことをいいます。

 このような状況において、公開買付者らは、2020年11月10日に開始した公開買付けにより当社を麻生グループの持分法適用会社とした後も、麻生グループ及び当社間の協働関係をより強化することが両社の企業価値の向上に資するとの考えの下、当社との更なる資本関係の強化について検討を継続しており、公開買付者は当社との資本関係の強化を目的として2023年2月から2024年10月にかけて市場内で当社株式の取得を進めてきたとのことです。また、公開買付者らは、2024年10月15日、当社から、特定の当社の株主が当社株式の売却を検討している旨の意向の説明を受けたとのことです。公開買付者らは、上記のとおり、従前より資本関係の強化を目的として市場内で当社株式の取得を進めていたため、当該株主の意向を契機として、2024年10月中旬に、従前より継続していた市場内買付けによる当社株式の取得を通じた当社との更なる資本関係の強化は、当社株式の流通株式数や出来高が限定的であることから相応の時間を要すると見込まれる一方で、市場株価に一定のプレミアムを付した価格で本公開買付けを実施することで、透明性の高い方法で迅速に当社との更なる資本関係の強化を図ることができる可能性があると考えるに至ったとのことです。そして、上記「①本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者らは、投資先の経営は、投資先に対する持分の保有比率にかかわらず、投資先の経営陣に委ねることを原則的な投資方針としており、当社についても、本公開買付けの結果にかかわらず、本公開買付け後の経営はこれまでと同様に原則として当社の経営陣に委ねる方針であることから、本公開買付けを通じて特定の比率まで保有比率を高めることが必須はない一方で、本公開買付けを通じて当社株式を更に追加取得することができれば、当該追加取得した当社株式の比率に応じた資本関係の強化が可能となり、買付予定数の上限及び下限を付さなければ、本公開買付けに応募された全ての株式を取得できることから、買付予定数の上限及び下限を設定しない前提で本公開買付けの実施を検討することとしたとのことです。

 また、公開買付者らは、当社の流通株式比率が上場維持基準に抵触していることにより、今後上場維持が困難となる可能性がある中、本公開買付けを実施する場合には、買付予定数の上限及び下限を設定しないことで、当社株式が上場廃止に近づく過程で発生し得る株価の下落等のリスクの負担が、麻生グループを含めた当社の株主全体に及ぶことを回避しつつ、当社株式の売却を希望する全ての少数株主の皆様に対して合理的な価格で確実な売却機会を提供することができると考えたとのことです。これは、麻生グループは、「地域社会への貢献」をグループ全体のミッションとして掲げており、投資方針についても、自らの投資収益の最大化のみを追求するのではなく、関係者にとっても公正な取引となることを心掛けているところ、本公開買付けの実施についても、自らの収益の最大化だけを考えれば、例えば、上場廃止が間近に迫った時期により低い価格で公開買付けを実施することも考えられますが、当社の株主の皆様にご納得いただける形で株式の追加取得を行うことで公正な取引を実施したいと考え、当社の株主の皆様に合理的な価格で確実な売却機会を提供することが適切と考えたためであるとのことです。かかる考えのもと、公開買付者らは2024年10月中旬より本公開買付けの具体的な検討を開始したとのことです。公開買付者らは、本公開買付けの具体的な協議・検討を開始することを踏まえ、2024年10月中旬に、公開買付者ら及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所(本書提出日現在は森・濱田松本法律事務所外国法共同事業)を、2024年11月下旬に公開買付者ら及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして三菱UFJモルガン・スタンレー証券を選任したとのことです。その後、公開買付者らは2024年11月1日に当社に口頭で当社株式の公開買付けを通じた追加取得に関する提案を行い、同日に当社より本公開買付けの実施に向けた具体的な検討・協議を開始することを了承する回答を受けたため、同日から当社と本公開買付けに向けた具体的な協議・検討を開始したとのことです。その後、麻生は、2024年12月10日に当社に対して、想定取引ストラクチャー及び想定スケジュールを記載した意向表明書を提出し、また、2024年12月27日には本特別委員会(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性等を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に定義します。以下同じです。)によるヒアリングにおいて、本公開買付けの目的、本公開買付けにおける上限及び下限の設定に関する考え方並びに本公開買付け後の経営方針及び施策の内容等について説明を行い、当社との間で本公開買付け実施の可能性について協議・検討を続けてきたとのことです。

 その結果、公開買付者らは、下記の施策を通じて、当社との事業基盤の強化や収益力向上が可能となり、その結果として当社の持続的な成長が見込めると判断するに至ったとのことです。なお、下記の施策は本公開買付けにより取得する当社株式の数や本スクイーズアウト手続の有無にかかわらず実施する予定とのことです。

 

(a)九州地区における当社の事業基盤の確保

 麻生グループの有する九州地区での営業基盤やネットワーク、各種セメント及び生コンクリート等の製造販売を手掛けるセメント事業、病院経営に関するコンサルティング及び診療材料等の共同販売等を手掛ける医療関連事業、情報処理業及びソフトウェア開発等を手掛ける情報・ソフト事業、建設業及び土木業等を手掛ける建設土木事業等の、麻生グループが事業を展開する幅広い分野での事業基盤等のリソースを新規取引先のマッチングや既存取引先との関係強化、事業用地が必要となった際の探索などで活用することによる、生産加工基地建設候補地の一つである九州地方における事業開始時の支援やビジネス機会の創出等の支援

(b)当社の新規投資事業の支援

 当社のような食品に関わる分野に限らず、2022年7月19日に連結子会社化した土木建設を主な事業とする大豊建設株式会社や、2024年5月17日に連結子会社化した石炭の輸入販売を主な事業とする住石ホールディングス株式会社など、幅広い業種や事業分野への投資を行ってきた麻生グループの経験を活かした当社が将来において新規投資事業を検討及び実行する際の支援

(c)当社の海外事業の拡大への支援

 近年の漁獲量減少や肉食文化の普及による魚食離れ、更に人口の減少に伴い縮小が予想される日本国内の水産物卸売市場のみならず、今後新たに当社グループが海外に向けて事業を拡大する際には、近年水産物市場が拡大傾向にあるアジア、欧州、米国などの様々な地域において、麻生グループが有する各地域の有力な企業グループとのコネクションを活用した支援

(d)当社の人材育成に対する支援

 社会のグローバル化が急激に進み、当社の事業領域である水産物卸売事業を含めた様々な事業が、否応なく海外との関わりが深まる中で、麻生グループがグループ会社に対して行っている英語教育及び国際対応力を備えた人材育成を目的とした海外の留学生との交流等の様々な取り組みへの当社グループの従業員の参加並びに、麻生グループにおける様々な業種職種の社員同士の交流や教育ノウハウの共有等を通じて、当社の従業員が事業分野や日本国内の状況に囚われず、より国際的で多角的な視点を獲得できるような育成への支援

(e)当社の人材確保に対する支援

 人口の減少や少子高齢化を背景として、今後ますます深刻化が進むと考えられる日本の労働人口の減少、その結果として多くの事業者が課題とする人材不足への対応として、麻生グループの事業の中心である九州を中心とした採用活動や、麻生グループとして行う広報活動での協力等により、当社の事業の中心である関東近郊だけではなく地方を含めた広域での人材確保支援

(f)市場動向に関する知見の共有

 生産者から最終消費者までの水産物におけるバリューチェーンにおいて、当社から見てより最終消費者に近い立場となる、麻生グループ傘下の小売事業会社が有している最終消費者の市場動向の共有による、当社としてより市場のニーズを捉えた事業戦略の推進への支援

 

 また、創業以来、セメント事業や医療関連事業等、生活に深くかかわる社会基盤を支える事業を展開してきた麻生グループとしても、水産物の安定供給を通じて消費者の健康的で安全な食生活の支援を行うことにより消費者の生活を支え、麻生グループが手掛ける社会基盤を支える事業と近しい性質を有する水産物卸売事業を展開する当社と業界横断的な協業に取り組むことが、麻生グループ及び当社の企業価値向上に資すると考えたとのことです。他方で、長年の事業活動や社会活動を通じて、当社の業界におけるブランド力や知名度は既に浸透しており、従業員や取引先を含めた多数のステークホルダーとの信頼関係も構築できていると認識していることから、本公開買付け及び本公開買付けを通じた麻生グループとの資本関係の強化によるデメリットはないものと考えているとのことです。そして、公開買付者らは、2025年1月中旬、今後、麻生グループ及び当社の間の資本関係をさらに強固なものとし、両社の一体的な事業活動を円滑に推進することを通して、より幅広く業界横断的な協業を深化させ事業環境等の変化に対応することが、麻生グループ及び当社の持続的成長や企業価値最大化を実現する最善の選択であると判断したとのことです。なお、麻生グループにおいては、本公開買付けの結果にかかわらず、本公開買付け後の経営はこれまでと同様に原則として当社の経営陣に委ねる方針であることから、当社株式の保有比率と本公開買付け後における施策は必ずしも連動するものではなく、両社の置かれた状況を踏まえて適切かつ実施可能な範囲で実施していくとのことであり、当社の役員及び役職者に対して導入することを検討しているインセンティブ・プランを除いて、本公開買付けにより取得する当社株式の数や本スクイーズアウト手続の有無にかかわらず実施する予定であるとのことです。

 以上より、公開買付者らは、麻生グループと当社との資本関係をより一層強固なものとし、麻生グループと当社の更なる収益力の拡大ひいては企業価値の向上を図ることを目的に、本公開買付けを実施することが合理的であると考えるに至ったとのことです。また、公開買付者らとしては、投資先の経営は、投資先に対する持分の保有比率にかかわらず、投資先の経営陣に委ねることを原則的な投資方針としており、当社についても、本公開買付けの結果にかかわらず、本公開買付け後の経営はこれまでと同様に原則として当社の経営陣に委ねる方針であることから、本公開買付けを通じて特定の比率まで保有比率を高めることが必須であるとは考えていない一方で、本公開買付けを通じて当社株式を更に追加取得することができれば、当該追加取得した当社株式の比率に応じた資本関係の強化が可能となり、買付予定数の上限及び下限を付さなければ、本公開買付けに応募された全ての株式を取得できることから、本公開買付けにおいて上限及び下限を設定しないこととしたとのことです。具体的には、公開買付者らは、上記のとおり、本公開買付けの結果にかかわらず、本公開買付け後の経営はこれまでと同様に原則として当社の経営陣に委ねる方針であることから、特定の所有割合に達して初めて実現可能となるシナジーがあるとは考えていないものの、上記に記載する各種施策の実現のしやすさなどは所有割合の増加の程度に比例する面もあると考えており、本公開買付けにより買い付ける当社株式の数にかかわらず、本公開買付けにより当社株式を追加取得して、公開買付者らと当社との資本関係を更に強化することには意義があるものと考えているとのことです。また、本公開買付けにより取得する当社株式の数に応じて、例えば、本公開買付け後の公開買付者らの所有割合が過半数に至った場合には、当社を公開買付者らの連結子会社とし、公開買付者らの連結会計に当社を取り込むことによる財務的なメリットが見込まれ、本公開買付け後の公開買付者らの所有割合が過半数に満たない場合や、過半数から100%の間となる場合にも、本公開買付けにより追加取得した当社株式の数に応じた配当の受領等の財務的なメリットが見込まれると考えているとのことです。

 さらに、公開買付者らは、本公開買付けは当社の非公開化を目的とするものではないものの、2024年6月25日付計画書に記載のとおり、当社株式の流通株式比率が2024年3月31日時点で24.0%であり、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準のうち流通株式比率の基準である25%以上を下回っている状況にあることにより、本公開買付けの結果やその後の当社株式の市場における取引の状況によっては、2026年10月1日に上場廃止となる可能性がある中で、本公開買付けを実施する場合には、買付予定数の上限及び下限は付さないことで、当社株式の売却を希望する全ての当社の株主の皆様に対して、市場株価に一定のプレミアムを付した価格で当社株式を確実に売却する機会を提供することができると考えるに至ったとのことです。なお、公開買付けの実施時期については、今後当社株式の上場廃止の蓋然性がさらに高まり、上場廃止時期が近づく中で当社株式の市場株価が下落することも考えられ、そのような状況下において公開買付けを実施するという選択肢も考えられますが、当社の株主にとっては、現時点の当社株式の株価水準を基準とした合理的な経済条件での売却機会が提供されることがより望ましく、また、上場廃止がより近接した時期に公開買付けを実施する場合と比較して公開買付けの強圧性の問題も小さいものと考え、このタイミングで本公開買付けを実施することとしたとのことです。また、公開買付者らとしては、(i)上記のとおり、応募株券等の総数が、本公開買付け後において公開買付者が保有する当社の議決権数が本基準株式数に係る議決権数(39,782個)の3分の2となる数(26,522個、小数点以下を切り上げ)に、当社における過去の議決権行使状況を踏まえると、議案の内容にかかわらず議決権行使を行わない株主が一定程度存在することから、本臨時株主総会における株式併合の議案についても議決権行使を行わない株主が一定程度存在するとの前提の下、当社における直近3事業年度に係る定時株主総会の議決権行使率の最高値89.57%を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)以上となった場合には、本スクイーズアウト手続を実施することを試みることを予定しており、(ii)下記「②本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」の「(iii)本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、公開買付者は、上場維持となった場合の経営方針を決定の上これを開示していることや、本公開買付け後においても、麻生グループと当社との重要な取引に際しては、東京証券取引所の上場規則等に従い、適切な少数株主保護を図ることを企図していること等から、強圧性の問題についても十分な手当てがなされているものと考えているとのことです。

 かかる検討の結果、公開買付者らは、本公開買付けを実施することが当社と麻生グループの企業価値向上と麻生グループを含めた当社の株主、従業員、当社及び麻生グループの取引先を含めた全てのステークホルダーの利益に資するとの判断に至ったことから、2025年1月14日、当社に対して、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を当社の2025年3月期の期末配当を行わないことを前提として7,000円(提案実施日の前営業日である同月10日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,720円に対して22.38%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,566)円(小数点以下を四捨五入しております。以下、終値単純平均値及び終値単純平均株価の計算において同じです。)に対して25.76%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,634円に対して24.25%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値6,115円に対して14.47%のプレミアムとなる水準)とする旨の提案を行ったとのことです。これに対して、2025年1月17日、当社及び本特別委員会からは、当該本公開買付価格は、スクイーズアウト手続が予定されている公開買付け事例におけるプレミアム水準も一定程度参照すべきと考えられるところ、かかるプレミアム水準に比して一般株主の利益に対して配慮がなされたものとは到底言えないことを理由に、本公開買付価格の引き上げの要請を受けたことに加え、当社の2025年3月期の期末配当を行わないことは応諾できない旨の回答を受領したとのことです。これに対して、2025年1月21日、公開買付者らは、本公開買付価格を当社の2025年3月期の期末配当を行わないことを前提として7,200円(提案実施日の前営業日である同月20日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,640円に対して27.66%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,653円に対して27.37%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,597円に対して28.64%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値6,066円に対して18.69%のプレミアムとなる水準)とする旨の提案を行ったとのことです。これに対して、2025年1月23日、当社及び本特別委員会からは、当該本公開買付価格は、スクイーズアウト手続が予定されている公開買付け事例におけるプレミアム水準も一定程度参照すべきと考えられるところ、かかるプレミアム水準に比して一般株主の利益に対して配慮がなされたものとは言えないことを理由に、再度の本公開買付価格の引き上げの要請を受けたことに加え、当社の2025年3月期の期末配当を行わないことは応諾できない旨の回答を受領したとのことです。これに対して、2025年1月27日、公開買付者らは、本公開買付価格を当社の2025年3月期の期末配当を行わないことを前提として7,400円(提案実施日の前営業日である同月24日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,560円に対して33.09%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,647円に対して31.04%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,572円に対して32.81%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値6,025円に対して22.82%のプレミアムとなる水準)とすることに加え、本公開買付けの結果を踏まえて、本スクイーズアウト手続を実施しない場合には、2025年3月期の期末配当の予定を復活することを当社において公表いただくことの提案を行ったとのことです。これに対して、2025年1月28日、当社及び本特別委員会からは、当該本公開買付価格は、スクイーズアウト手続が予定されている公開買付け事例におけるプレミアム水準も一定程度参照すべきと考えられるところ、かかるプレミアム水準に比して一般株主の利益に対して満足な配慮がなされたものとは言えないことを理由に、再度の本公開買付価格の引き上げの要請を受けたことに加え、2025年3月期の期末配当の実施有無をスクイーズアウト手続の実施有無にかからせることの実現可能性に関する説明を求める旨の回答を受領したとのことです。これに対して、2025年1月30日、公開買付者らは、本公開買付価格を当社の2025年3月期の期末配当を行わないことを前提として7,500円(提案実施日の前営業日である同月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,680円に対して32.04%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,666円に対して32.37%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,566円に対して34.75%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値5,990円に対して25.21%のプレミアムとなる水準)とし、本公開買付価格は、これ以上の引き上げは出来ない最終提案であることに加え、当社の2025年3月期の期末配当については、本公開買付けの終了後、その結果を踏まえ、可能な限り当社の2025年3月期の期末配当の権利確定日前である2025年3月28日までに本スクイーズアウト手続の実施有無に関する方針を決める予定であり、スクイーズアウトをしない場合に当社の2025年3月期の期末配当を復活することは実務上可能であるという認識である旨の説明及び提案を行ったとのことです。これに対して、当社及び本特別委員会からは、2025年1月31日、2025年3月期の期末配当の実施有無をスクイーズアウト手続の実施有無にかからせることの実現可能性については引き続き確認する必要があるものの、当該本公開買付価格は、スクイーズアウト手続が予定されている公開買付け事例におけるプレミアム水準も一定程度参照すべきと考えられるところ、かかるプレミアム水準に比して一般株主の利益に対して一定の配慮がなされたものと考えられることを理由に、2025年3月期の期末配当の実施有無をスクイーズアウト手続の実施有無にかからせることが実現可能であることを前提として、応諾可能な価格である旨の回答を受領したとのことです。その後、公開買付者ら及び当社は、2025年2月3日、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー並びに当社のリーガル・アドバイザーの間で、2025年3月期の当社の期末配当の取扱いについて協議を行い、本公開買付けの結果によっては、当社の上場が維持される場合も想定されることから、本公開買付けの開始時点においては、当社において2025年3月期の期末配当を行わない旨の決議はせず、本公開買付けが成立し、かつ、本公開買付け後において公開買付者が保有する当社の議決権数が本基準株式数に係る議決権数(39,782個)の3分の2となる数(26,522個、小数点以下を切り上げ)に当社における直近3事業年度に係る定時株主総会の議決権行使率の最高値89.57%を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)以上となり、本スクイーズアウト手続を実施することを試みることとなった場合に限り、2025年3月末の期末配当を行わない旨の決議をすることにより、2025年3月期の期末配当の実施有無を本スクイーズアウト手続の実施有無にかからせることが実現可能であることを確認したとのことです。これに対して、当社及び本特別委員会からは、2025年2月3日、①当社において2025年3月期における期末配当金に係る予想を維持し、②本公開買付けにおける応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)以上となったときは、③当社において速やかに2025年3月期における期末配当金につき無配とする旨を決議し公表するという対応を行うこと、及び、④上記①から③の方針を前提としても上記の提案価格(7,500円)に変更がないことを前提に、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は一定の合理性があり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して一定の合理的なプレミアムを付した価格及び合理的な諸条件により当社株式の売却の機会を提供するものであるとの結論に至った旨の回答を受領したとのことです。

 

 以上の当社との協議・交渉を踏まえ、公開買付者は、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、2025年2月4日開催の取締役会において、本公開買付けを実施することを決議したとのことです。

 なお、本公開買付けは当社の非公開化を目的とするものではないものの、当社株式が2026年10月1日をもって上場廃止となる可能性がある状況を踏まえ、公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を所有するに至らなかった場合で、応募株券等の総数が、本公開買付け後において公開買付者が保有する当社の議決権数が本基準株式数に係る議決権数(39,782個)の3分の2となる数(26,522個、小数点以下を切り上げ)に、当社における過去の議決権行使状況を踏まえると、議案の内容にかかわらず議決権行使を行わない株主が一定程度存在することから、本臨時株主総会における株式併合の議案についても議決権行使を行わない株主が一定程度存在するとの前提の下、当社における直近3事業年度に係る定時株主総会の議決権行使率の最高値89.57%を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)以上となった場合には、「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社の株主を公開買付者のみとし、当社を公開買付者の完全子会社とするための本スクイーズアウト手続を実施することを試みることを予定しているとのことです。

 

 公開買付者は、当社の株主総会において当該議案が否決された場合には、現時点で当社株式の追加取得の予定はないとのことです。

 本公開買付けの結果、応募株券等の総数が上記株式数(845,998株(所有割合:21.27%))を下回った場合には、当社の株主の皆様としては、当社株式が上場維持基準に抵触している状況においても、引き続き当面の間は当社株式の上場維持を望むものであると考えられることから、当該株主の皆様の意思を尊重し、本スクイーズアウト手続は実施しない予定であるとのことです。なお、本公開買付け後、本スクイーズアウト手続を実施しない場合も、上記のとおり、当社株式の流通株式比率が2024年3月31日時点で24.0%であり、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準のうち流通株式比率の基準である25%以上を下回っている状況にあるため、流通株式比率について2025年3月31日時点においても上場維持基準を充たしていない場合は、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入り、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、2026年10月1日に上場廃止となります。仮に当社株式が2026年10月1日に上場廃止となった場合でも、公開買付者らとしては当社株式を継続保有する方針に変わりはないとのことです。また、公開買付者らは、現時点で上場廃止後に当社株式の追加取得を行う予定はないとのことです。

 

(ⅱ)当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

 当社は、2024年11月1日に、公開買付者らとの面談において、公開買付者らから本公開買付けに係る提案を受けたことを契機として、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性等を担保するための措置」の「①当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」及び「②当社における独立した法律事務所からの助言」に記載のとおり、本公開買付価格の妥当性及び本取引に係る手続の公正性その他本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付者ら及び当社から独立した第三者算定機関としてトラスティーズ・アドバイザリー株式会社(以下「トラスティーズ」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所を2024年12月2日付で選任するとともに、第三者算定機関であるトラスティーズに対し、当社株式の株式価値算定書の提出を依頼しました。また、リーガル・アドバイザーであるニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所の法的助言を受け、当社は、本取引に関する提案を検討するために、特別委員会(当該特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性等を担保するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)を設置しております。

 当社は、リーガル・アドバイザーであるニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所から、本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点等について法的助言を受け、これらを踏まえ、本公開買付けの是非及び取引条件の妥当性について慎重に検討を行ってまいりました。

 当社は、2024年11月1日に、公開買付者らから口頭で本公開買付けを通じた当社株式の追加取得に係る提案を受け、同日に公開買付者らに対して本公開買付けの実施に向けた具体的な検討・協議を開始することを了承する旨を回答した後、同日から、公開買付者らとの間において、本公開買付けに向けた具体的な協議・検討を開始いたしました。その後、当社は、2024年12月10日に麻生から想定取引ストラクチャー及び想定スケジュールを記載した意向表明書を受領し、また、2024年12月27日には本特別委員会によるヒアリングにおいて、麻生から本公開買付けの目的、本公開買付けにおける上限及び下限の設定に関する考え方並びに本公開買付け後の経営方針及び施策の内容等について説明を受け、公開買付者らとの間で本公開買付け実施の可能性について協議・検討を続けてまいりました。そして、公開買付者らから、2025年1月14日、当社の2025年3月期の期末配当を行わないことを前提として本公開買付価格を7,000円(提案実施日の前営業日である同月10日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,720円に対して22.38%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,566円に対して25.76%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,634円に対して24.25%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値6,115円に対して14.47%のプレミアムとなる水準)とする旨の提案を受けました。これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年1月17日、当該本公開買付価格は、本公開買付けにおいて、定量的・定性的両面でシナジーが見込まれる中、本公開買付けにより実現するシナジーをおよそ適切に反映しているとは言い難いこと、また、スクイーズアウト手続が予定されている公開買付け事例におけるプレミアム水準も一定程度参照すべきと考えられるところ、かかるプレミアム水準に比して一般株主の利益に対して配慮がなされたものとは到底言えないことを理由に、本公開買付価格の引き上げの要請を行うことに加え、当社の2025年3月期の期末配当を行わないことは、本公開買付けの成立後も当社株式の上場が維持される可能性もあることを踏まえると、本公開買付けに応募した株主のみが当社の2025年3月期の期末配当を織り込んだ経済的利益を享受する形となり、強圧性を助長することに繋がりかねないため、応諾できない旨の回答を行いました。これに対して、公開買付者らから、2025年1月21日、当社の2025年3月期の期末配当を行わないことを前提として本公開買付価格を7,200円(提案実施日の前営業日である同月20日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,640円に対して27.66%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,653円に対して27.37%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,597円に対して28.64%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値6,066円に対して18.69%のプレミアムとなる水準)とする旨の提案を受けました。これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年1月23日、当該本公開買付価格は、本公開買付けにおいて、定量的・定性的両面でシナジーが見込まれる中、本公開買付けにより実現するシナジーを適切に反映された水準には未だ達していないこと、また、スクイーズアウト手続が予定されている公開買付け事例におけるプレミアム水準も一定程度参照すべきと考えられるところ、かかるプレミアム水準に比して一般株主の利益に対して配慮がなされたものとは言えないことを理由に、再度の本公開買付価格の引き上げの要請を行うことに加え、当社の2025年3月期の期末配当を行わないことは、本公開買付けの成立後も当社株式の上場が維持される可能性もあることを踏まえると、本公開買付けに応募した株主のみが当社の2025年3月期の期末配当を織り込んだ経済的利益を享受する形となり、強圧性を助長することに繋がりかねないため、応諾できず、当社の2025年3月期の期末配当に関する提案を行う場合には強圧性の懸念が生じないように十分に検討されたい旨の回答を行いました。これに対して、公開買付者らから、2025年1月27日、当社の2025年3月期の期末配当を行わないことを前提として本公開買付価格を7,400円(提案実施日の前営業日である同月24日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,560円に対して33.09%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,647円に対して31.04%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,572円に対して32.81%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値6,025円に対して22.82%のプレミアムとなる水準)とすることに加え、本公開買付けの結果を踏まえて、本スクイーズアウト手続を実施しない場合には、2025年3月期の期末配当の予定を復活することを当社において公表することの提案を受けました。これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年1月28日、当該本公開買付価格は、本公開買付けにおいて、定量的・定性的両面でシナジーが見込まれる中、本公開買付けにより実現するシナジーが十分に反映された水準に達しているとは言い難いこと、スクイーズアウト手続が予定されている公開買付け事例におけるプレミアム水準も一定程度参照すべきと考えられるところ、かかるプレミアム水準に比して一般株主の利益に対して満足な配慮がなされたものとは言えないことを理由に、再度の本公開買付価格の引き上げの要請を行うことに加え、2025年3月期の期末配当の実施有無をスクイーズアウト手続の実施有無にかからせることの実現可能性に関する説明を求める旨の回答を行いました。これに対して、公開買付者らから、2025年1月30日、当社の2025年3月期の期末配当を行わないことを前提として本公開買付価格を7,500円(提案実施日の前営業日である同月29日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値5,680円に対して32.04%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,666円に対して32.37%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,566円に対して34.75%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値5,990円に対して25.21%のプレミアムとなる水準)とし、本公開買付価格は、これ以上の引き上げは出来ない最終提案であることに加え、当社の2025年3月期の期末配当については、本公開買付けの終了後、その結果を踏まえ、可能な限り当社の2025年3月期の期末配当の権利確定日前である2025年3月28日までにスクイーズアウト手続の実施有無に関する方針を決める予定であり、スクイーズアウトをしない場合に当社の2025年3月期の期末配当を復活することはスケジュール上可能であるという認識である旨の説明及び提案を受けました。これに対して、当社及び本特別委員会は、2025年1月31日、2025年3月期の期末配当の実施有無をスクイーズアウト手続の実施有無にかからせることの実現可能性については引き続き確認する必要があるものの、当該本公開買付価格は、スクイーズアウト手続が予定されている公開買付け事例におけるプレミアム水準も一定程度参照すべきと考えられるところ、かかるプレミアム水準に比して一般株主の利益に対して一定の配慮がなされたものと考えられることを理由に、2025年3月期の期末配当の実施有無をスクイーズアウト手続の実施有無にかからせることが実現可能であることを前提として、応諾可能な価格である旨の回答を行いました。その後、公開買付者ら及び当社は、2025年2月3日、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー並びに当社のリーガル・アドバイザーの間で、2025年3月期の当社の期末配当の取扱いについて協議を行い、本公開買付けの結果によっては、当社の上場が維持される場合も想定されることから、本公開買付けの開始時点においては、当社において2025年3月期の期末配当を行わない旨の決議はせず、本公開買付けが成立し、かつ、本公開買付け後において公開買付者が保有する当社の議決権数が本基準株式数に係る議決権数(39,782個)の3分の2となる数(26,522個、小数点以下を切り上げ)に当社における直近3事業年度に係る定時株主総会の議決権行使率の最高値89.57%を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)以上となり、本スクイーズアウト手続を実施することを試みることとなった場合に限り、2025年3月末の期末配当を行わない旨の決議をすることにより、2025年3月期の期末配当の実施有無をスクイーズアウト手続の実施有無にかからせることが実現可能であることを確認しました。そして、当社及び本特別委員会は、2025年2月3日、本公開買付けに係る決済の開始日は当社の2025年3月期に係る期末配当金の基準日である2025年3月31日より前の2025年3月28日が予定されており、本公開買付けに応募した株主の皆様は2025年3月期に係る期末配当金を受領する権利を有しない一方、本スクイーズアウト手続により金銭を交付される株主の皆様は2025年3月期に係る期末配当金を受領する権利を有することとなるところ、本スクイーズアウト手続を実施することを試みることとなった場合には期末配当を行わないとすることによって、本公開買付けに応募した株主の皆様と本スクイーズアウト手続により金銭を交付される株主の皆様との間での対価の平等性をすることが可能となることから、①当社において2025年3月期における期末配当金に係る予想を維持し、②本公開買付けにおける応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)以上となったときは、③当社において速やかに2025年3月期における期末配当金につき無配とする旨を決議し公表するという対応を行うこと、及び、④上記①から③の方針を前提としても本公開買付価格を7,500円とする提案に変更がないことを前提に、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は一定の合理性があり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して一定の合理的なプレミアムを付した価格及び合理的な諸条件により当社株式の売却の機会を提供するものであるとの結論に至った旨を回答しました。

 以上の経緯の下で、当社は、特別委員会から2025年2月4日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性等を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、リーガル・アドバイザーであるニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言並びに第三者算定機関であるトラスティーズから2025年2月3日付で取得した当社株式に係る株式価値算定書の内容を踏まえた上で、特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関する諸条件について、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本取引における本公開買付価格その他の条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。

 その結果、当社は、本取引が実行された場合には、当社が上場維持となるか否かにかかわりなく、公開買付者との連携強化が図られることにより、麻生グループの有する九州地区での事業基盤やネットワーク、その他幅広い分野での事業基盤のリソースを活用することによる、生産加工基地建設候補地の一つである九州地方における事業開始時の支援やビジネス機会の創出、当社の新規投資事業への麻生グループの投資経験を活かしたサポート及び人材育成・確保のサポートを含めた施策等の実施によるシナジーを実現することができると認識しております。このようなシナジーを実現するためには、上記「本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」に記載の水産業における事業環境の変化を踏まえると、公開買付者及び当社の関係が深化させることで相互に意思決定の緊密化・迅速化を図ることが、当社の中長期的な企業価値の向上が見込まれる最善の選択であるとの結論に至りました。なお、本取引が実行されることによるディスシナジーは存在しないものと認識しております。仮に、本取引により当社が非公開化した場合には、そのデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなる他、上場会社として享受してきた社会的な信用力及び知名度、並びにそれらによる優れた人材の確保及び新規取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられますが、当社は直近30年間で株式市場での資金調達は行っておらず、当社の現在の財務状況に鑑みると、今後数年間においてもエクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は見込んでいないこと、また、当社は東京証券取引所に70年近く株式を上場し、世界一の公設卸売市場で厳格な行政管理の下、戦後まもなくから安定的経営を続けており、既に十分な社会的信用を有していることからすれば、そのデメリットは限定的と考えております。

 また、(ⅰ)本公開買付価格が下記「(3)算定に関する事項」に記載されているトラスティーズによる当社株式に係る株式価値算定結果のうち、市場株価分析法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、また、類似公開会社比準法の算定レンジの上限に迫り、DCF法に基づく算定結果のレンジの中央値を上回るものであり、さらに当社株式の2000年以降の株価の場中の最高値である7,440円を上回るものであること、(ⅱ)本公開買付けの公表日の前営業日である2025年2月3日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の普通取引終値の5,390円に対して39.15%(小数点以下第三位四捨五入。以下、本項の%の数値において同じ。)、直近1ヶ月間の普通取引終値の単純平均値5,619円(小数点以下四捨五入。以下終値の単純平均値の計算において同じです。)に対して33.48%、直近3ヶ月間の普通取引終値の単純平均値5,553円に対して35.06%、直近6ヶ月間の普通取引終値の単純平均値5,953円に対して25.99%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっており、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針(以下「公正M&A指針」といいます。)」を公表した2019年6月28日以降2025年1月10日までに公表された非公開化案件(MBO案件、不成立案件、ディスカウント案件除く。以下同じ。)192件におけるプレミアム水準の中央値は、公表日の前営業日の終値に対して40.67%、公表前営業日から過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して41.45%、公表前営業日から過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して42.14%、公表前営業日から過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して42.92%となっており、本公開買付価格のプレミアム水準は、非公開化案件のものと比較するとそのプレミアム水準の中央値を下回るものではあるものの、プレミアムは個別案件の多様な要因によって変動することに加えて、本公開買付けは当社の非公開化が実現されない可能性も想定されることからすれば、非公開化案件のプレミアム水準との単純比較のみに依拠して当否を判断することは必ずしも適切ではないこと、(ⅲ)当社株式の流通株式比率は、2024年3月31日時点で24.0%であり、東京証券取引所スタンダード市場における上場維持基準のうち流通株式比率の基準である25%以上に適合しておらず、流通株式比率について2025年3月31日時点においても上場維持基準を充たしていない場合は、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入り、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、2026年10月1日に上場廃止となる状況にあるが、当社株式の2024年の全取引日における1日あたりの平均出来高は、1,011株(小数点以下を切り捨て)であり、極めて流動性が低くなっていることから市場での売却が必ずしも容易とは言い難いこと、(ⅳ)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性等を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られており、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(ⅴ)上記公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られた上で、当社と公開買付者の間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われ、より具体的にはトラスティーズによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や特別委員会との協議、ニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言等を踏まえながら、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として提案された価格であること、加えて、本公開買付価格は、2025年1月30日、公開買付者らから当社の2025年3月期の期末配当を行わないことを前提として提案されたものであったところ、2025年2月3日、公開買付者らから、本公開買付けにおける応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)以上となった場合は本スクイーズアウト手続を実施し、応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)未満となった場合には本スクイーズアウト手続を実施しないとする方針及び応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)以上となり本スクイーズアウト手続を実施する場合には、当社における2025年3月期に係る期末配当金の予想を変更し無配当とすることで2025年3月期の期末配当の実施有無をスクイーズアウト手続の実施有無にかからせることが実現可能であり、その方針を前提としても本公開買付価格を7,500円とする提案に変更がないとの説明を受け、①当社において2025年3月期における期末配当金に係る予想を維持し、②本公開買付けにおける応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)以上となったときは、③当社において速やかに2025年3月期における期末配当金につき無配とする旨を決議し公表するという対応を行うことにより、本公開買付けに応募した株主の皆様と本スクイーズアウト手続により金銭を交付される株主の皆様との間での対価の平等性をすることが可能となることなどを踏まえ、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は一定の合理性があり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して一定の合理的なプレミアムを付した価格及び合理的な諸条件により当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。当社は、本公開買付価格の検討にあたっては、市場株価法に加え、類似公開会社比準法、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためのDCF法による分析結果を勘案して検討した結果、本スクイーズアウト手続が行われるか否かを問わず、2024年6月25日付計画書に記載した取組みを進めて当社株式の上場を維持する又は改善期間内に上場廃止基準への該当性の回避が出来ず上場廃止となるよりも、当社株式にプレミアムを付けて売却する機会を提供することが、当社の株主にとって利益が大きく、一定の合理性があるものと判断しております。一方で、本公開買付けには買付予定数に下限が設定されておらず、本公開買付け後も引き続き当社株式の上場が維持される可能性があることから、当社は、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様の意思を尊重するべきであると考え、当社の株主の皆様のご判断に委ねる旨を決議しました。

 以上より、当社は、2025年2月4日開催の取締役会において、公開買付者らが、流通株式比率の改善による上場維持よりも、麻生グループとしての資本関係のより一層の強化を優先したい意向であること等を踏まえ、本スクイーズアウト手続の実施有無を問わず、当社株式の売却を希望する全ての当社の少数株主の皆様に対して合理的な価格で確実な売却機会を提供することが可能な本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、一方で、本公開買付けには買付予定数に下限が設定されておらず、本公開買付け後も引き続き当社株式の上場が維持される可能性があることから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様の意思を尊重するべきであると考え、当社の株主の皆様のご判断に委ねることを決議いたしました。

 なお、上記当社の取締役会における決議の方法は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性等を担保するための措置」の「④当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載のとおりです。

 

(ⅲ)本公開買付け後の経営方針

 麻生グループは、本公開買付け後も、当社の現在の経営体制や事業運営方針を尊重する予定とのことです。麻生グループは、当社株式の上場を維持される場合も含めて、事業、顧客、株主のバランスを取りながら、麻生グループ及び当社との間の連携を強化し、協働関係の深化による両社の中長期的な成長を重視して、企業価値の最大化を図っていくとのことです。なお、麻生グループから当社への役員の派遣については、麻生グループとして現時点で具体的に想定している事項はありませんが、本公開買付け後に当社とも協議の上で検討していく予定とのことです。また、本スクイーズアウト手続を実施しない場合には、本公開買付け後に公開買付者が保有する当社の議決権数に応じて、麻生グループと当社との重要な取引等に際しては、東京証券取引所の上場規則等に従い、適切な少数株主保護を図ることを企図しており、具体的には、公開買付者らが本公開買付けにより当社の支配株主に該当することとなった場合には、当社において、当該取引が当社の少数株主にとって不利益なものでないことに関し、公開買付者らとの間に利害関係を有しない者による意見を入手した上で、必要かつ十分な適時開示を行うこと等を予定しているとのことです。なお、麻生グループは、本公開買付けの結果を踏まえ、本スクイーズアウト手続を実施することとなった場合には、当社の非公開化後に、当社の役員及び役職者に対して、当社株式等と紐づいたインセンティブ・プランを導入することを検討しているとのことです。インセンティブ・プランの導入を通して、役員及び役職員の当社におけるオーナーシップや経営の一体感、株主目線での企業価値創造を図ることは、当社の更なる企業価値向上の一助となると考えているとのことですが、本書提出日現在、当社の役職員との間では、インセンティブ・プランに関する協議は実施しておらず、具体的な内容は、本スクイーズアウト手続の完了後、当社とも協議の上で決定する予定とのことです。また、麻生グループにおいては、本公開買付けの結果にかかわらず、本公開買付け後の経営はこれまでと同様に原則として当社の経営陣に委ねる方針であることから、当社株式の保有比率と本公開買付け後における施策は必ずしも連動するものではなく、両社の置かれた状況を踏まえて適切かつ実施可能な範囲で実施していくとのことであり、当社の役員及び役職者に対して導入することを検討しているインセンティブ・プランを除いて、本公開買付けにより取得する当社株式の数や本スクイーズアウト手続の有無にかかわらず実施する予定であるとのことです。

 

(3)算定に関する事項

① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者らとの関係

 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、当社及び公開買付者らから独立した第三者算定機関であるトラスティーズに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年2月3日付で株式価値算定書を取得いたしました。トラスティーズは、当社及び公開買付者らの関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るトラスティーズの報酬には、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、2024年12月5日開催の第1回の会合において、トラスティーズの独立性に特段の問題がないことを確認した上で、当社の第三者算定機関として選任することを承認しております。

 

(ⅱ)算定の概要

 トラスティーズは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており市場株価が存在することから市場株価法を、当社と比較的類似する事業を手がける上場会社が複数存在することから類似公開会社比準法を、将来の事業活動の状況を評価に反映するためディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)を採用して当社株式の株式価値の算定を行いました。なお、当社は、公開買付者及び当社において、少数株主の利益に配慮して、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性等を担保するための措置」に記載した本公開買付けの公正性を担保するための各種措置を実施していることから、フェアネス・オピニオンの取得は不要と判断しており、トラスティーズからフェアネス・オピニオンを取得しておりません。

上記手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

市場株価法 :5,390~5,953円

類似公開会社比準法 :6,574~7,516円

DCF法  :6,061~7,975円

 市場株価法では、2025年2月3日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における基準日終値5,390円、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均5,619円(小数点以下四捨五入、以下、終値単純平均値の計算について同様です。)、基準日までの直近3ヶ月間の終値単純平均5,553円及び基準日までの直近6ヶ月間の終値単純平均5,953円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は、5,390円から5,953円までと算定しています。

 類似公開会社比準法では、当社と比較的類似する事業を手がける複数の上場企業の市場株価と収益等を示す財務指標との比較を通じて、当社株式の株式価値を分析し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を6,574円から7,516円までと算定しているとのことです。

 DCF法では、当社の2025年3月期から2028年3月期を対象とする事業計画における収益や投資計画、2025年3月期半期までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素等を前提として、当社が2025年3月期半期以降創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を6,061円から7,975円までと算定しています。なお、当該DCF法の算定の基礎となる事業計画については大幅な増減益を見込んでいませんが、大幅なフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいる事業年度が含まれています。2026年3月期のフリー・キャッシュ・フローは、2025年3月期(6ヶ月間)の運転資本増減が異なる月末の残高対比によって算出されていること、及び2026年3月期に不動産の建替に伴う一過性の設備投資を見込んでいることから、大幅な減少(前事業年度対比47.2%減の1,896百万円)を見込んでおり、2027年3月期のフリー・キャッシュ・フローは当該一過性の設備投資の影響が除かれることから大幅な増加(前事業年度対比34.7%増の2,554百万円)を見込んでいます。また、本公開買付けが実行されることにより実現することが期待されるシナジー効果につきましては、現時点においては具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画には、反映しておりません。

(注)トラスティーズは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。トラスティーズの算定は、2024年9月30日までの上記情報を反映したものであります。

 

② 公開買付者における算定方法

 公開買付者は、本公開買付価格を決定するに際して、当社が公表している有価証券報告書及び決算短信に記載の財務情報等の資料等を踏まえ、当社の事業及び財務の状況を多面的・総合的に分析したとのことです。また、公開買付者は、当社株式が金融商品取引所を通じて取引されていることに鑑みて、本公開買付け実施についての公表日(2025年2月4日)の前営業日である2025年2月3日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値(5,390円)並びに過去1ヶ月間、過去3ヶ月間、及び過去6ヶ月間の終値単純平均値(5,619円、5,553円及び5,953円)の推移を参考にしたとのことです。さらに、当社による本公開買付けへの賛同の可否及び当社の株主の皆様にとっての合理的な売却機会となり得るかを総合的に勘案し、かつ当社との協議・交渉を経て本公開買付価格を決定していることから、第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンは取得していないとのことです。

 なお、本公開買付価格7,500円は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年2月3日の当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値5,390円に対して39.15%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,619円に対して33.48%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値5,553円に対して35.06%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値5,953円に対して25.99%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。

 

(4)上場廃止となる見込みの有無及びその事由

 本書提出日現在、当社株式は、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの終了時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けにより公開買付者が所有するに至る当社株式の所有割合によっては、公開買付者は、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本公開買付け後において公開買付者が保有する当社の議決権数が本基準株式数に係る議決権数(39,782個)の3分の2となる数(26,522個)に当社における直近3事業年度に係る定時株主総会の議決権行使率の最高値89.57%を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)以上となった場合、すなわち、応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)以上となった場合には、公開買付者は、スクイーズアウト手続を実施することを試みることを予定しているとのことですので、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所において取引することはできません。

 なお、2024年3月31日時点において、当社株式の流通株式比率は24.0%であり、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準のうち流通株式比率の基準である25%以上を下回り、1%程度の流通株主への株主分布改善が求められる状況となったため、2024年6月25日に2024年6月25日付計画書を提出しております。当社株式については、上記のとおり2024年3月31日時点における流通株式比率が東京証券取引所のスタンダード市場の上場維持基準に適合していない状況にあるため、当社は、2024年6月25日付計画書にも記載したとおり、公開買付者を含む大株主である事業法人に対して当社株式の売却その他の適合に向けた流通株式比率の改善への協力の要請を行っておりますが、公開買付者らは、流通株式比率の改善による上場維持よりも、麻生グループとしての資本関係のより一層の強化を優先したい意向であること等を踏まえ、当社は、当社株式の売却を希望する全ての少数株主の皆様に対して合理的な価格で確実な売却機会を提供することが可能な本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、一方で、本公開買付けには買付予定数に下限が設定されておらず、本公開買付け後も引き続き当社株式の上場が維持される可能性があることから、本公開買付けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様の意思を尊重するべきであると考え、当社の株主の皆様のご判断に委ねることを決議いたしました。そして、上記のとおり、本公開買付けにおける応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)以上となった場合には、公開買付者は、スクイーズアウト手続を実施することを試みることを予定しているとのことであり、その場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となるため、2025年2月4日開催の当社取締役会において、本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を行うこととなった場合には、2024年6月25日付計画書を撤回することを決議いたしました。他方、本公開買付けにおける応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)未満となった場合には、公開買付者は本スクイーズアウト手続を実施しない予定とのことであり、その場合には当社株式の上場が維持されることになるため、当社は、2024年6月25日付計画書にも記載したとおり、大株主である事業法人に対して当社株式の売却の要請を行うほか、株主還元を充実することで引き続き流通株式比率の改善に取り組んでまいります。しかしながら、流通株式比率について2025年3月31日時点においても上場維持基準を充たしていない場合は、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入り、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、2026年10月1日をもって上場廃止となります。

 

(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

 公開買付者は、本公開買付けに際して当社株式の非公開化を目的とするものではありませんが、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を所有するに至らなかった場合で、本公開買付け後において公開買付者が保有する当社の議決権数が本基準株式数に係る議決権数(39,782個)の3分の2となる数(26,522個、小数点以下を切り上げ)に当社における直近3事業年度に係る定時株主総会の議決権行使率の最高値89.57%を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)以上となった場合には、当社株式が2026年10月1日をもって上場廃止となる可能性がある状況を踏まえ、本公開買付けの実施後、以下の方法により、当社の株主を公開買付者のみとするための本スクイーズアウト手続を行うことを試みることを予定しているとのことです。

 なお、本公開買付けの結果、公開買付者が保有する当社の議決権数が本基準株式数に係る議決権数の3分の2となる数(26,522個、小数点以下を切り上げ)に当社における直近3事業年度に係る定時株主総会の議決権行使率の最高値89.57%を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)を下回った場合には、当社の株主の皆様としては、当社株式が上場維持基準に抵触している状況においても、本公開買付価格での売却を望まず、引き続き当面の間は当社株式の上場維持を望むものであると考えられることから、その意思を尊重し、本スクイーズアウト手続は実施しない予定であるとのことです。

 

① 株式売渡請求

 公開買付者は、本公開買付けの実施により、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となった場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(但し、公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定であるとのことです。

株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して株式売渡請求の承認を求める予定であるとのことです。当社が取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承認を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主からその所有する当社株式の全部を取得するとのことです。その場合、公開買付者は、売渡株主の所有していた当社株式の対価として、各売渡株主に対して本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。

 なお、当社は、公開買付者から株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社取締役会においてかかる株式売渡請求を承認する予定です。

 株式売渡請求に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 

② 株式併合

 公開買付者は、本公開買付けの実施により公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の90%未満となる場合で、公開買付者が保有する当社の議決権数が本基準株式数に係る議決権数の3分の2となる数(26,522個、小数点以下を切り上げ)に当社における直近3事業年度に係る定時株主総会の議決権行使率の最高値89.57%を乗じた数(23,756個、小数点以下を切り上げ)以上となった場合には、会社法第180条に基づき、当社株式の併合を行うこと(以下「株式併合」といいます。)及び株式併合の効力発生を条件として単元未満株式の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定であるとのことです。なお、本書提出日現在、本臨時株主総会の開催日は、2025年5月下旬頃を予定しております。

 本臨時株主総会において株式併合に係る議案についてご承認をいただいた場合には、当社の株主の皆様は、株式併合がその効力が生ずる日において、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、当該端数の株式を所有する株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになるとのことです。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。なお、株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社の株主が公開買付者のみとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう当社に要請する予定とのことです。なお、当社は公開買付者から株式併合をしようとする旨及び株式併合の効力発生を条件として単元未満株式の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを含む本臨時株主総会の要請を受けた場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。

 株式併合に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対し、自己の所有する当社株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、株式併合に反対する当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 なお、本臨時株主総会において株式併合に係る議案が承認されない場合、公開買付者において現時点で当社株式の追加取得の予定はないとのことです。

 上記①及び②の各手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況等によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(但し、公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主の皆様に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ないとのことです。また、本公開買付けへの応募又は上記各手続における税務上の取扱いについては、株主の皆様において自らの責任において税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性等を担保するための措置

 本書提出日現在において、当社は公開買付者らの子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当しませんが、公開買付者は当社の筆頭株主であることに鑑み、本公開買付価格の公正性を担保し、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除の観点から、以下のような措置を実施いたしました。なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 上記「(3)算定に関する事項」の「①当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。

 

② 当社における独立した法律事務所からの助言

 当社は、本公開買付けに関する当社取締役会の意思決定の過程等における透明性及び合理性を確保するため、当社及び公開買付者らから独立したリーガル・アドバイザーであるニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所を選任し、両法律事務所から、本公開買付けに関する当社取締役会の意思決定の方法及び過程について必要な法的助言を受けております。なお、ニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所の報酬には、本取引の成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、2024年12月5日開催の第1回の会合において、ニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所の独立性に問題がないことを確認しております。

 

③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得

 当社は、本公開買付に対する意見表明を行うにあたり、その恣意性を排除し、意思決定の過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、委員としての適格性を有することを確認した上で、特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ、適正な規模を以て特別委員会を構成するべく、2024年12月2日、本取引の成否に関して一般株主とは異なる重要な利害関係を有していない渡邉雅之氏(独立社外取締役、弁護士)及び森井じゅん氏(独立社外監査役、公認会計士・税理士)並びに野中泰弘氏(外部有識者、公認会計士)の3名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置しました。なお、当社は、当社には渡邉雅之氏及び森井じゅん氏以外にも複数の社外取締役及び社外監査役がいるものの、各社外取締役及び社外監査役が有する専門性等を考慮の上、公認会計士として培われた専門的な知識及び長年の業務経験による高い識見を有する外部有識者である野中泰弘氏を特別委員として選任することが適切と考えたことから、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。

 また、本特別委員会の委員の互選により、本特別委員会の委員長として渡邉雅之氏が選定されております。なお、本特別委員会の委員の報酬は、答申内容にかかわらず支給される固定金額のみとしており、本取引の成立等を条件とする成功報酬は採用しておりません。

 そして、当社は、本特別委員会に対し(ⅰ)本取引の目的が、当社の企業価値向上に資するものとして合理的かつ正当であるか否か、(ⅱ)本取引を前提とした本公開買付けにおける公開買付価格その他の条件の妥当性、(ⅲ)本取引に至る交渉過程等の手続の公正性、(ⅳ)上記を踏まえ、本公開買付けを含む本取引が当社一般株主にとって不利益でないか否か(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)を諮問しました。

なお、当社取締役会は、本取引に関する決定を行うに際して本特別委員会の意見を最大限尊重しなければならないことを併せて決議しております。

 本特別委員会は、2024年12月2日から2025年2月3日までの間に合計11回にわたって開催されたほか、各会日間においても電子メールを通じて報告・情報共有及び審議を行いました。具体的な審議状況としては、本特別委員会は、①当社に対して、当社の事業環境及び経営課題、本取引により期待されるメリット・シナジー、本取引により想定されるデメリット・ディスシナジー等についてインタビュー形式により質疑応答を実施し、②公開買付者に対して、本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてインタビュー形式により質疑応答を実施しております。

 また、本特別委員会は、公開買付者及び当社より提出された各検討資料その他必要な情報・資料等の収集及び検討を行うとともに、当社、当社のリーガル・アドバイザーであるニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所から、本公開買付けを含む本取引の背景、内容、意義・目的、各アドバイザーの独立性、利害関係者からの不当な干渉の有無、当社の状況や当社が意思決定をするに至る経緯・検討経緯の妥当性、開示の適正性その他本取引に関連する事項について説明を受けるとともに、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、当社役職員から当社の事業計画について説明を受け、質疑応答を行った上で事業計画の合理性について確認を行いました。

 本特別委員会は、公開買付者からより高い価格を引き出すために、相互に独立した第三者間のM&Aで行われる一般的な交渉プロセスに即して十分な交渉を実施することを含む交渉方針について審議・検討するとともに、2025年1月14日に公開買付者より公開買付価格を1株当たり7,000円とする、第1回提案を受領して以降、本特別委員会が公開買付者らから公開買付価格に関する提案を受領する都度、ニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所から受けた法務的見地からの助言も踏まえて公開買付者らに対する交渉方針を審議・検討し、公開買付価格に関する公開買付者との間の交渉過程に実質的に関与いたしました。その結果、公開買付者らから、同月30日に公開買付価格を1株当たり7,500円という最終的な提案を受けるに至りました。

 本特別委員会は、このような経緯の下、本諮問事項について審議の上、2025年2月4日、当社取締役会に対し、大要以下の内容の答申書を提出しております。

 

(ⅰ)答申内容

(a) 本取引の目的は、当社の企業価値向上に資するものとして合理的かつ正当であると考えられる。

(b) 本取引を前提とした本公開買付けにおける公開買付価格その他の条件は妥当であると考えられる。

(c) 本取引に至る交渉過程等の手続は公正であると考えられる。

(d) 上記(a)から(c)を踏まえ、本公開買付けを含む本取引が当社一般株主にとって不利益ではないと考えられる。

 

(ⅱ)答申の理由

(a)本取引の目的が、当社の企業価値向上に資するものとして合理的かつ正当であるか否か

 当社より説明を受けた本取引の目的は、魚食の減少、海水温の上昇による水産資源への影響、市場外流通及び市場間競争の激化、海外での魚食普及による調達コストの上昇、物流費の増加、入荷遅延に伴う鮮度の低下、集荷販売計画の見直しなど、外部環境が大きく変化している水産物卸売市場業界において、当社の経営陣と一致する認識と価値観を共有する公開買付者らが、本取引を通じてさらに当社との関係を深めることで、当社及び公開買付者らの企業価値の向上を図ることにある。その具体的な内容として当社から説明された施策及びシナジーは、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「②本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)本公開買付けの背景等」記載の公開買付者が本取引を実行する背景において考える施策及びシナジーと齟齬がなく、一定の合理性があると考えられる。

 また、上記のとおり、当社株式の流通株式比率が2024年3月31日時点で24.0%であり、東京証券取引所スタンダード市場における上場維持基準のうち流通株式比率の基準である25%以上を下回っている状況であるため、流通株式比率について2025年3月31日時点においても上場維持基準を充たしていない場合は、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入り、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、2026年10月1日に上場廃止となるところ、2024年の全取引日における1日あたりの平均出来高は、1,011株(小数点以下を切り捨て)であり、流動性が極めて低い状況にある。

 仮に、本取引により当社が非公開化した場合に想定されるデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなる他、上場会社として享受してきた社会的な信用力及び知名度、並びにそれらによる優れた人材の確保及び新規取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられるが、当社は直近30年間で株式市場での資金調達は行っておらず、当社の現在の財務状況に鑑みると、今後数年間においてもエクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は見込んでおらず、また、当社は東京証券取引所に70年近く株式を上場し、世界一の公設卸売市場で厳格な行政管理の下、戦後まもなくから安定的経営を続けており、既に十分な社会的信用を有していることからすれば、当社はそのデメリットは限定的で、本取引によるメリットがそれを上回ると判断している。本特別委員会としても本取引により想定されるデメリット・ディスシナジーに対する当社の認識には合理性が認められると考えられる。

以上を総合的に考慮すると、本取引の目的は、当社の企業価値向上に資するものとして合理的かつ正当であると考えられる。

(b)本取引を前提とした本公開買付けにおける公開買付価格その他の条件の妥当性

(ア)当社の第三者算定機関であるトラスティーズの株式価値評価に用いられた評価手法の選定に特段不合理な点は見受けられない。トラスティーズのDCF法で採用された事業計画は、内容及び作成経緯について、特に当社の一般株主の利益の観点から不合理な点は認められない。また、DCF法による算定過程についても、特段の不合理な点は認められず、特に少数株主の利益を毀損し得る方向での調整等はされていないものと認められる。そのため、トラスティーズによるDCF法に基づく算出結果は一定の合理性を有するものと考えられる。その他トラスティーズの市場株価法及び類似公開会社比準法による株式価値算定においても特段不合理な点は認められず、一定の合理性を有するものと判断する。

(イ)本公開買付価格(7,500円)は、本公開買付けの公表日の前日である2025年2月3日を基準日として、当社株式の基準日の終値、直近1ヶ月間の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対して、それぞれ39.15%(基準日)、33.48%(直近1ヶ月間)、35.06%(直近3ヶ月間)及び25.99%(直近6ヶ月間)のプレミアムが付された価格であり、トラスティーズの市場株価法の算定レンジの上限を上回り、類似公開会社比準法の算定レンジの上限に迫り、かつ、DCF法の算定レンジの中央値を上回るものである。本公開買付けは結果的に当社株式が非公開化となる可能性もあるため、非公開化案件のプレミアム水準も一定程度参照すべきであるところ、経済産業省が公正M&A指針を公表した2019年6月28日以降2025年1月10日までに公表された非公開化案件(MBO案件、不成立案件、ディスカウント案件除く。)192件におけるプレミアム水準の中央値は、公表日の前営業日の終値に対して40.67%、公表前営業日から過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して41.45%、公表前営業日から過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して42.14%、公表前営業日から過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して42.92%となっており、本公開買付価格のプレミアム水準は、同種事例と比較すると必ずしも高い水準にあるとまではいえないが、プレミアムは個別案件の多様な要因によって変動するため、同種案件との単純比較のみに依拠して当否を判断することは適切ではない。

(ウ)当社株式の流通株式比率は、2024年3月31日時点で24.0%であり、東京証券取引所スタンダード市場における上場維持基準のうち流通株式比率の基準である25%以上に適合しておらず、当該状態が継続した場合、流通株式比率について2025年3月31日時点においても上場維持基準を充たしていない場合は、2026年3月31日まで1年間の改善期間に入り、当該改善期間内に上場維持基準へ適合できなかったときには、2026年10月1日に上場廃止となる状況にあるが、当社株式の2024年の全取引日における1日あたりの平均出来高は、1,011株(小数点以下を切り捨て)であり、極めて流動性が低くなっている。そして、本公開買付価格は当社の2000年以降の株価の場中の最高値である7,440円を上回るものである。これらのことは、本公開買付価格は当社の少数株主に合理的な売却機会を提供するものであることを推認させる。

(エ)公開買付者の要請により、当社は、2025年3月期における当社期末配当について、本公開買付けの結果、本スクイーズアウト手続を行うこととなった場合には、2025年3月期の配当予想を修正し、2025年3月期の期末配当を行わないこととしているが、本公開買付けに応募した株主と本スクイーズアウト手続により金銭を交付される株主との間で対価の平等性が担保されるとともに、当社一般株主への強圧性を助長することにもならないと考えられることから合理性が認められる。

(オ)上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続の方法等からすると、本公開買付けの結果、応募株券等の総数が845,998株(所有割合:21.27%)を下回る場合には、公開買付者は本スクイーズアウト手続を実施しない予定である。この場合には、公開買付者は、当社株式を部分買付けすることになるため、強圧性が問題となり得る。もっとも、公開買付者らは、当社株式の追加取得による資本関係の更なる強化を目的として本公開買付けを実施するものであり、当社株式の非公開化を目的とするものではないが、当社株式が2026年10月1日をもって上場廃止となる可能性がある状況を踏まえると、本公開買付けの結果、本スクイーズアウト手続を可決することが可能な数の当社株式の応募がなされたにもかかわらず、上場維持基準に抵触したまま当社株式の上場を維持することは少数株主にとって必ずしも望ましくなく、本公開買付価格と同額で本スクイーズアウト手続を実施することが当社の少数株主の利益に資すると考えたとのことである。かかる公開買付者らの説明には合理性があり、当社株式についての流動性が極めて低いことに鑑みると、本スクイーズアウト手続は、スクイーズアウトの手続として一定の合理性があると認められる。

(カ)本公開買付けが買付予定数の下限が設定されていないことから、部分買付けとなる可能性があるが、本公開買付価格について少数株主保護の観点から妥当と考えられること(上記(イ)参照)、本スクイーズアウト手続は少数株主保護のため一定の合理性が認められること(上記(オ)参照)、当社株主の流動性が極めて低いことに鑑みると当社の少数株主の利益に配慮したものであると認められる。さらに、当社株式は、現在、東京証券取引所スタンダード市場における上場維持基準のうち流通株式比率の基準に適合しておらず、当該状態が継続した場合、2026年10月1日に上場廃止となる可能性があること等の諸事情に鑑みると、本公開買付けは買付予定数に下限が設定されておらず、部分買付けとなる可能性のあるものであるが、当社少数株主の利益に資するものと考えられる。

(キ)下記(c)に記載のとおり、本公開買付価格を含む本取引の条件は、かかる公正な手続を経た上で決定されたものであることが認められる。

以上のとおり、本取引を前提とした本公開買付けにおける公開買付価格その他の条件は妥当であると考えられる。

(c)本取引に至る交渉過程等の手続の公正性

(ア)本特別委員会は、本特別委員会の答申内容を最大限尊重することを当社取締役会においてあらかじめ決定した上で設置され、公開買付者と自ら交渉を行うことができる権限のほか、公開買付者との交渉を当社の社内関係者やアドバイザー等が行う場合でも、適時にその状況の報告を受け、本取引の条件に関する交渉について意見を述べ、当社取締役会に対して指示や要請を行うことができること等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与えることができる権限が付与され、下記(ウ)に記載のとおり交渉過程に実質的に関与したこと、また、当社のアドバイザーを信頼できると判断した場合には当社のアドバイザーの専門的な助言を受けられる権限が付与され、本特別委員会はニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所、トラスティーズを各者へのヒアリングを通じて、いずれも独立性に問題がないことを確認し、信頼できると判断した上、本特別委員会としても専門的助言を求めたこと、(イ)当社は、独立した第三者算定機関であるトラスティーズに株式価値の算定を依頼し、提出された株式価値算定書を踏まえて検討をしており、また、公開買付者及び当社から独立したニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所をリーガル・アドバイザーに選任した上で、これらのアドバイザーから本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けていること、(ウ)当社は、本公開買付価格に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき、本特別委員会に適時に報告を行い、交渉の方針等について協議を行い、本特別委員会の意見を受領する等して、本特別委員会の交渉過程への実質的な関与の下で交渉を行い、その結果、公開買付者から当初の提案よりも公開買付価格を引き上げる提案がなされており、かかる交渉過程に関して、当社の一般株主の利益に配慮すべき観点から特段不合理な点は認められないこと、(エ)本取引に係る協議、検討及び交渉の過程において、公開買付者ら及び当社からの独立性に疑義がある者が当社の意思決定に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められないこと、(オ)公開買付者は、本公開買付けにおける買付期間を法令に定められた最短期間の20営業日よりも長期の30営業日としており、当社の株主において、本公開買付けに対する応募について適切な判断の時間と機会を確保していること、(カ)法令や東京証券取引所の適示開示規制に沿った開示により、当社の一般株主に対して相当な情報が開示されることが予定されていること等を考慮すると、本取引に至る交渉過程等の手続の公正性が認められると判断する。

(d)上記(a)から(c)を踏まえ、本公開買付けを含む本取引が当社一般株主にとって不利益でないか否か

上記(a)から(c)までの検討結果のとおり、(a)本取引は当社の企業価値の向上に資するものとして合理的かつ正当であると考えられ、(b)本取引を前提とした本公開買付けにおける公開買付価格その他の条件は妥当であると考えられ、(c)本取引に至る交渉過程等の手続は公正であると考えられ、また、検討事項以外の点において本取引が当社の少数株主にとって不利益なものであると考えるべき特段の事情は認められないため、本公開買付けを含む本取引が当社一般株主にとって不利益ではないと考えられる。

 

④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見

 当社は、2025年2月4日開催の取締役会において、当社取締役9名(うち3名は社外取締役)の全員一致により、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「②本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募するか否かについては、当社の株主の皆様のご判断に委ねることを決議いたしました。また、上記の当社取締役会において、当社監査役3名(うち2名は社外監査役)全員が出席し、上記決議に異議がない旨の意見を述べております。

 なお、当社は、下記の施策を通じて、当社の事業基盤の強化や収益力向上が可能となり、その結果として本公開買付けが今後の当社の更なる成長・発展と企業価値・株主価値の一層の向上に資するとの認識に至っております。また、麻生グループにおいては、本公開買付けの結果にかかわらず、本公開買付け後の経営はこれまでと同様に原則として当社の経営陣に委ねる方針であることから、当社株式の保有比率と本公開買付け後における施策は必ずしも連動するものではなく、両社の置かれた状況を踏まえて適切かつ実施可能な範囲で実施していくとのことであり、当社の役員及び役職者に対して導入することを検討しているインセンティブ・プランを除いて、本公開買付けにより取得する当社株式の数や本スクイーズアウト手続の有無にかかわらず実施する予定であるとのことです。したがって、当社株式の上場が維持される場合と本スクイーズアウト手続が実施される場合において、下記の施策を通じた当社の事業基盤の強化や収益力向上の程度は大きく異なるものではないと考えております。

 

(ⅰ)九州地区における当社の事業基盤の確保

 麻生グループの有する九州地区での営業基盤やネットワーク、各種セメント及び生コンクリート等の製造販売を手掛けるセメント事業、病院経営に関するコンサルティング及び診療材料等の共同販売等を手掛ける医療関連事業、情報処理業及びソフトウェア開発等を手掛ける情報・ソフト事業、建設業及び土木業等を手掛ける建設土木事業等の、麻生グループが事業を展開する幅広い分野での事業基盤等のリソースを新規取引先のマッチングや既存取引先との関係強化、事業用地が必要となった際の探索などで活用することによる、生産加工基地建設候補地の一つである九州地方における事業開始時の支援やビジネス機会の創出等の支援

(ⅱ)当社の新規投資事業の支援

 当社のような食品に関わる分野に限らず、2022年7月19日に連結子会社化した土木建設を主な事業とする大豊建設株式会社や、2024年5月17日に連結子会社化した石炭の輸入販売を主な事業とする住石ホールディングス株式会社など、幅広い業種や事業分野への投資を行ってきた麻生グループの経験を活かした当社が将来において新規投資事業を検討及び実行する際の支援

(ⅲ)当社の海外事業の拡大への支援

 近年の漁獲量減少や肉食文化の普及による魚食離れ、更に人口の減少に伴い縮小が予想される日本国内の水産物卸売市場のみならず、今後新たに当社グループが海外に向けて事業を拡大する際には、近年水産物市場が拡大傾向にあるアジア、欧州、米国などの様々な地域において、麻生グループが有する各地域の有力な企業グループとのコネクションを活用した支援

(ⅳ)当社の人材育成に対する支援

 社会のグローバル化が急激に進み、当社の事業領域である水産物卸売事業を含めた様々な事業が、否応なく海外との関わりが深まる中で、麻生グループがグループ会社に対して行っている英語教育及び国際対応力を備えた人材育成を目的とした海外の留学生との交流等の様々な取り組みへの当社グループの従業員の参加並びに、麻生グループにおける様々な業種職種の社員同士の交流や教育ノウハウの共有等を通じて、当社の従業員が事業分野や日本国内の状況に囚われず、より国際的で多角的な視点を獲得できるような育成への支援

(ⅴ)当社の人材確保に対する支援

 人口の減少や少子高齢化を背景として、今後ますます深刻化が進むと考えられる日本の労働人口の減少、その結果として多くの事業者が課題とする人材不足への対応として、麻生グループの事業の中心である九州を中心とした採用活動や、麻生グループとして行う広報活動での協力等により、当社の事業の中心である関東近郊だけではなく地方を含めた広域での人材確保支援

(ⅵ)市場動向に関する知見の共有

 生産者から最終消費者までの水産物におけるバリューチェーンにおいて、当社から見てより最終消費者に近い立場となる、麻生グループ傘下の小売事業会社が有している最終消費者の市場動向の共有による、当社としてより市場のニーズを捉えた事業戦略の推進への支援

 

 当社は、本取引が実行された場合には、当社が上場維持となるか否かにかかわりなく、公開買付者との連携強化が図られることにより、麻生グループの有する九州地区での事業基盤やネットワーク、その他幅広い分野での事業基盤のリソースを活用することによる、生産加工基地建設候補地の一つである九州地方における事業開始時の支援やビジネス機会の創出、当社の新規投資事業への麻生グループの投資経験を活かしたサポート及び人材育成・確保のサポートを含めた施策等の実施によるシナジーを実現することができると認識しております。このようなシナジーを実現するためには、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「②本公開買付けに関する意思決定の過程及び理由」に記載の水産業における事業環境の変化を踏まえると、公開買付者及び当社の関係を深化させることで相互に意思決定の緊密化・迅速化を図ることが、当社の中長期的な企業価値の向上が見込まれる最善の選択であるとの結論に至りました。なお、当社は、本公開買付けの結果、スクイーズアウト手続を行うこととなった場合のデメリットについても検討しましたが、本取引が実行されることによるディスシナジーは存在しないものと認識しております。仮に、本取引により当社株式が上場廃止となる場合には、そのデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなる他、上場会社として享受してきた社会的な信用力及び知名度、並びにそれらによる優れた人材の確保及び新規取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられますが、当社は直近30年間で株式市場での資金調達は行っておらず、当社の現在の財務状況に鑑みると、今後数年間においてもエクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は見込んでおらず、また、当社は東京証券取引所に70年近く株式を上場し、世界一の公設卸売市場で厳格な行政管理の下、戦後まもなくから安定的経営を続けており、既に十分な社会的信用を有していることからすれば、そのデメリットは限定的であると考えております。

 そして、当社は、以上のような当社の企業価値・株主価値の向上に関する検討、公開買付者の意向、公開買付者ら及び当社から独立したリーガル・アドバイザーであるニューポート法律事務所及び長島・大野・常松法律事務所からの助言並びに同じく独立した第三者算定機関であるトラスティーズからの株式価値算定書を踏まえた上で、2025年2月4日開催の当社取締役会において、本公開買付けの諸条件、並びに麻生グループ及び当社の関係が深化することで期待できるビジネス機会創出も含めた多様なシナジー等を総合的に考慮し、慎重な協議及び検討を行った結果、本公開買付けが今後の当社の更なる成長・発展と企業価値・株主価値の一層の向上に資すると判断し、本公開買付けに関して、賛同する旨の決議をしました。また、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は一定の合理性があり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して一定の合理的なプレミアムを付した価格及び合理的な諸条件により当社株式の売却の機会を提供するものである旨を、併せて決議しました。また、本公開買付けに係る決済の開始日は当社の2025年3月期に係る期末配当金の基準日である2025年3月31日(月曜日)より前の2025年3月28日(金曜日)が予定されており、本公開買付けに応募した株主の皆様は2025年3月期に係る期末配当金を受領する権利を有しない一方、本スクイーズアウト手続により金銭を交付される株主の皆様は2025年3月期に係る期末配当金を受領する権利を有することとなることから、2025年2月4日開催の当社取締役会において、本公開買付けに応募した株主の皆様と本スクイーズアウト手続により金銭を交付される株主の皆様との間での対価の平等性を確保するために、本公開買付けの結果、本スクイーズアウト手続を行うこととなった場合には、2025年3月期の配当予想を修正し、2025年3月期の期末配当を行わない予定であることを確認しました。

 なお、当社の取締役及び監査役は全員、本公開買付けに関して利害関係を有しておりません。

 

⑤ 公開買付者における本公開買付価格の適正性を担保する客観的状況の確保

 公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日としております。このように、公開買付者は、公開買付期間を当該法定の最短期間に比べて比較的長期に設定することで、当社の株主の皆様において、本公開買付けに対する応募について適切な判断の時間と機会を確保しているとのことです。また、公開買付者は、当社との間で、本公開買付けと並行して、当社が当社株式について対抗的買収提案者と接触することを禁止する条項を含むいかなる合意も行っておりません。

 

(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項

 該当事項はありません。

 

4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

氏名

役名

職名

所有株式数(株)

議決権数(個)

長谷 幸一郎

取締役会長

久我 勝二

代表取締役社長

営業統括本部長兼事業開発統括本部長

1,200

12

江原 恒

取締役

総務部門担当

2,000

20

細野 雅夫

取締役

総務部門担当

800

8

田中 浩

取締役

経理部担任

300

3

齋藤 準

取締役

営業本部長兼大物部・リテールサポート室担任

200

2

佐藤 隆治

取締役

古賀 善敏

取締役

渡邉 雅之

取締役

杉山 智秋

常勤監査役

200

2

吉田 正彦

監査役

森井 じゅん

監査役

 

 

4,700

47

 (注1) 役名、職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。

 (注2) 佐藤隆治氏、古賀善敏氏及び渡邉雅之氏は、会社法第2条第15号に定める社外取締役であります。

 (注3) 吉田正彦氏及び森井じゅん氏は、会社法第2条第16号に定める社外監査役であります。

 

5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

 該当事項はありません。

 

6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

 該当事項はありません。

 

7【公開買付者に対する質問】

 該当事項はありません。

 

8【公開買付期間の延長請求】

 該当事項はありません。

 

以 上