第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド需要の回復や雇用及び所得環境の改善により個人消費に持ち直しの動きがみられたほか、好調な企業業績を背景に企業の設備投資も底堅く推移しており、緩やかな景気回復が続きました。その一方で、長期化するウクライナ情勢やアメリカの通商政策の動向、各国の物価上昇や為替相場の変動など世界経済に多くの不安定要素があることから、国内景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような状況のなか、当社グループでは、2018年の創業100周年を機に、企業メッセージ「前田工繊は混ぜる会社です」を掲げております。このメッセージで示すとおり、グループの持つあらゆる経営資源を「混ぜる」ことでイノベーションを起こし、持続的成長を遂げていく考えです。

 

また、当社グループの成長戦略の具体策として、2019年11月に中長期ビジョンである『グローバルビジョン∞』を公表いたしました。この実現に向けた施策として「①既存事業の強化と新規事業進出」「②M&A活用による事業領域拡大」「③グローバルネットワーク拡充」「④ESG+H(※2024年6月期より追加)」を掲げております。

これら施策を遂行するため、既存事業については、生産能力の増強や付加価値の高い製品・工法の研究開発を目的とした設備投資を積極的に行っております。また、既存の事業領域の枠に捉われず、新規事業分野にも積極的に取り組むため、M&Aの実践を継続するとともに、これまでのM&Aで培った実績とノウハウを活用しながら、事業シナジーの創出を目指した投資育成事業も推進しております。さらに、国内外の技術や販売ネットワークを活用し、グローバルに展開していくことで、当社グループ製品の市場拡大を目指しております。

2023年8月に公表した新中期経営計画グローバルビジョン∞「PARTⅡ」(2024年6月期~2027年6月期)では、最終年度となる2027年6月期には、売上高700億円、営業利益120億円を実現する見通しです。

 

(単位:百万円)

 

2023年6月期

(実績)

2024年6月期

(実績)

2025年6月期

(計画)

2027年6月期

(計画)

売上高

50,204

55,833

62,000

70,000

営業利益

8,493

10,736

12,000

12,000

EBITDA

11,682

14,106

15,300

15,000

親会社株主に帰属する

当期純利益

5,258

7,979

8,400

8,000

 

PARTⅡでは、当社グループ事業における成長分野への投資として、4か年で約150億円の設備投資を計画しており、旺盛な需要に対応した生産能力の増強や、生産ラインの自動化・省力化を進めております。M&Aについては、4か年で約200億円の投資枠を設定し、既存事業とのシナジーや事業領域の拡大を狙った案件をターゲットに成長を加速させてまいります。また、当社グループ事業のグローバル展開として、2027年6月期の当社グループにおける海外売上比率を30%まで引き上げることを目標としております。

さらに、人的資本への投資を強化し、継続的な賃上げや教育研修制度の充実化を図るほか、健康経営の推進にも積極的に取り組むことで、社員エンゲージメント向上を目指してまいります。

 

このように、当社グループは、モノづくりを通じて、「私たちは 独自の知恵と技術で 持続可能な地球 そして安心・安全で豊かな社会を創るために 貢献してまいります。」という経営理念を実践し、さらに世の中から必要とされる企業となるよう努力してまいります。

なお、2025年6月期通期連結業績予想については、2024年8月9日に公表した内容を修正しております。

 

当中間連結会計期間の売上高は32,530百万円(前年同期比14.4%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は7,152百万円(同26.3%増)、経常利益は7,224百万円(同32.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は4,939百万円(同31.3%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(ソーシャルインフラ事業)

当社の公共工事事業においては、一部納入遅れが生じていた盛土補強材の販売が回復し、河川護岸材、海洋土木製品、景観資材の販売も堅調に推移した結果、売上・利益ともに前年同期を上回る水準で好調に推移しました。不織布事業では、スパンボンド(連続長繊維不織布)の自動車資材向け販売が回復傾向にあるほか、医療・衛生資材の受注が堅調に推移し、売上・利益とも前年同期比で増加しました。

獣害対策製品、園芸用ハウス、農業資材を取り扱う子会社の未来のアグリ株式会社においては、獣害対策製品の受注は堅調に推移したものの、園芸用ハウスや酪農用製品などの農業資材の受注が伸び悩んだことにより、売上・利益とも前年同期並みとなりました。また、天幕や帆布生地製品を取り扱う子会社の未来テクノ株式会社では、一部大型案件で納入遅れが生じたものの、防衛省向け製品の販売が回復したほか、海洋土木製品の販売が堅調に推移したことから、売上・利益とも前年同期を上回る結果となりました。海外子会社であるMAEDA KOSEN VIETNAM CO., LTD.においては、取扱製品の拡充により安定した受注を確保できたことから、売上・利益とも好調に推移しました。

当事業の売上高は18,770百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益は4,418百万円(同8.8%増)となりました。

 

(インダストリーインフラ事業)

自動車用鍛造ホイールを製造・販売する子会社のBBSジャパン株式会社においては、国内及び海外ともに製品の販売が堅調に推移し、同社のドイツ子会社BBS Motorsport GmbHの業績も好調に推移した結果、前年同期と比べ売上・利益ともに堅調に推移しました。

精密機器製造用ワイピングクロス、衣料・各種産業資材用の丸編製品を製造・加工・販売する子会社の未来コーセン株式会社においては、電力料や仕入れ価格の高騰によるコスト増加の影響があったものの、ワイピングクロスの売上が回復傾向にあることから、売上・利益とも好調に推移しました。

当事業の売上高は13,759百万円(前年同期比25.3%増)、営業利益は3,399百万円(同61.3%増)となりました。

 

② 財政状態

(資産)

当中間連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,284百万円増加し84,528百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べて4,730百万円増加いたしました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が353百万円、仕掛品が223百万円それぞれ減少したものの、電子記録債権が3,106百万円、現金及び預金が2,172百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比べて445百万円減少いたしました。これは主に、有形固定資産が499百万円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ192百万円増加し17,913百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べて572百万円増加いたしました。これは主に、賞与引当金が768百万円、電子記録債務が220百万円それぞれ減少したものの、未払法人税等が721百万円、未払金が566百万円、支払手形及び買掛金が256百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末と比べて379百万円減少いたしました。これは主に、退職給付に係る負債が110百万円増加したものの、リース債務が333百万円、長期借入金が191百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,092百万円増加し66,614百万円となりました。これは主に、利益剰余金が4,191百万円増加したことによるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,172百万円増加(前期末比10.1%増)し、23,593百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られたキャッシュ・フローは4,519百万円(前年同期は4,981百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益7,224百万円、減価償却費1,648百万円等の収入と、売上債権の増加額2,351百万円、法人税等の支払額1,260百万円等の支出によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用したキャッシュ・フローは1,091百万円(前年同期は1,036百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入319百万円等と、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出819百万円、有形固定資産の取得による支出746百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用したキャッシュ・フローは1,255百万円(前年同期は2,264百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額747百万円、リース債務の返済による支出317百万円等によるものであります。

 

(3) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、269百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因

当中間連結会計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当中間連結会計期間において、当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。