独立監査人の監査報告書

 

 

 

2025年2月14日

 

株式会社ナ・デックス

取締役会 御中

 

 

有限責任監査法人 トーマツ

 

 

名古屋事務所

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

神  野  敦  生

 

 

 

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社ナ・デックスの2021年5月1日から2022年4月30日までの連結会計年度の訂正後の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社ナ・デックス及び連結子会社の2022年4月30日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

不正取引への対応

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

株式会社ナ・デックス(以下「会社」という。)は、2024年11月に仕入先からの問合わせにより不正な疑いのある取引の存在を認識した。

会社は当該取引について事実関係の確認を社内調査により進めた結果、元業務委託社員が架空の商品を対象とする循環取引等を行っていた疑惑が判明した。

これを受け、会社は外部の弁護士及び公認会計士を含む特別調査委員会を設置し、当該循環取引等の全容の解明、類似事案の有無、連結財務諸表等への影響等について調査を行い、2025年2月14日付で特別調査委員会から調査報告書を受領した。

特別調査委員会による調査の結果、当該元業務委託社員による正規の商品取引に偽装して仕入れた物品を個人的に領得した行為(領得行為)、架空の商品を対象とする循環取引、領得行為又は循環取引により発生した架空原価を実態のある正規取引の中に混入させる行為(付替行為)等の不正な取引が行われていたことが判明した。

会社は、当該取引により不正に計上された売上高、売上原価、棚卸資産及びその他の科目(以下、売上高等)の修正が必要であると判断し、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を2025年2月14日に提出している。

当該取引により不正に計上された売上高等の修正にあたっては、その事実関係を確認し、不正取引の手口や動機・機会等の発生原因の分析を行った上で、不正取引の時期や範囲、類似した取引の有無、連結財務諸表等への影響等を検討する必要がある。これらの検討を行うためには、不正調査や税務・法務に関する専門的な知識及び慎重な判断が必要である。

以上より、当監査法人は、当該不正取引への対応が監査上の主要な検討事項であると判断した。

当監査法人は、当該不正取引への対応にあたり、当監査法人が属するネットワークファームの不正調査の専門家を関与させ、主に以下の手続を実施した。

(1)特別調査委員会の調査結果の検討

● 会社が設置した特別調査委員会について、メンバーの能力及び客観性を評価した。

● 特別調査委員会と調査手法、事実関係の認識及び調査の結論についてコミュニケーションを行った。

● 本事案の事実関係を把握するために、特別調査委員会が実施した関係者及び関係する取引先に対するヒアリング議事録、調査資料及び関連証憑を閲覧した。

● 関係者へのデジタル・フォレンジック調査について、調査対象の適切性、キーワードの妥当性、検出された重要事項とその対応結果を評価した。

● 会社の経営者及び監査役に調査報告書の内容についてヒアリングを実施した。

● 類似した取引の有無を確かめるために実施された特別調査委員会の調査結果について、以下の観点から評価を行うとともに、連結財務諸表への影響額を検討した。

・当該不正取引と類似する事象が発生していないと特別調査委員会が判断した根拠について、調査資料や分析結果を閲覧した。

・会社の従業員及び仕入先を対象としたアンケート調査の内容や対象の網羅性、回答内容に対する調査結果について評価した。

(2) 当該不正取引により計上された売上高等の検討

● 当該不正取引が正確かつ網羅的に把握されていることを確かめるため、会社が不正取引として集計した結果と、会社が関係する取引先から入手した会社との取引に関する記録等を突合した。

● 当該不正取引と関連する拠点における売上及び仕入取引、もしくは当該不正取引と関係する取引先との売上及び仕入取引のうち、上記手続で不正取引と特定されたもの以外の取引について、その事実を示す根拠資料との突合をサンプリングにより実施した。

(3) 連結財務諸表の修正に関する検討

● 特別調査委員会による調査結果に基づき、必要な会計処理が行われていることを検証した。

● 会社が実施した会計処理のうち、税務に関連する項目については、当監査法人が属するネットワークファームの税務専門家を関与させ評価を行った。

 

 

 

のれん及び顧客関係資産の評価

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

株式会社ナ・デックスは、2019年11月にタマリ工業株式を3,261,731千円で取得しており、取得原価の一部をのれん及び顧客関係資産に配分している。当連結会計年度の連結貸借対照表の固定資産に株式会社タマリ工業及びその子会社に関するのれんを1,265,176千円、顧客関係資産を628,194千円計上している。

経営者は当該のれん等に関し、のれんやのれん以外の無形資産に配分された金額が相対的に多額である場合として、減損の兆候を識別している。それぞれの事業の割引前将来キャッシュ・フローの総額が、のれんを含む、より大きな単位での資産グループ合計の帳簿価額を下回る場合には減損損失の認識が必要になる。

将来キャッシュ・フローは、株式会社タマリ工業の経営者又はその子会社の経営者により承認され、その上で株式会社ナ・デックスの経営者により承認された事業計画を基礎とし、将来の不確実性を考慮して見積っている。将来キャッシュ・フローには将来の売上の予測や利益率の予測、その他の費用の予測などの不確実性を伴う重要な会計上の見積りが含まれており、受注獲得予測、売上の成長率、変動費率及び固定費の発生状況などに仮定を用いており、それらが合理的でない場合、減損損失の計上の要否にかかる判断を誤る可能性がある。

以上より、当監査法人は、将来キャッシュ・フローの見積りについて、経営者による主観的な判断を伴い、不確実性が高い領域として、監査上の主要な検討事項であると判断した。

当監査法人は、減損の兆候が生じている資産グループごとの将来キャッシュ・フローの見積りの合理性を検討するにあたり、主として以下の手続を実施した。

事業計画及び将来キャッシュ・フローの見積りに関する内部統制について、所定の過程を経た上で作成され、承認されていることを経営者への質問及びその回答を裏付ける資料を閲覧し、その内部統制の整備及び運用状況を評価した。

将来キャッシュ・フローの見積りの合理性に関して、承認された事業計画との整合性を検討の上、経営者が使用した重要な仮定の合理性を検討した。

具体的には、売上高や利益率の予測について、経営者及び事業計画策定責任者へ予測の根拠を質問するとともに、その重要な仮定である受注獲得予測については、期末時点での受注残高との整合性を検討し、売上の成長率については、主要な得意先の販売の状況に関する利用可能な外部データと比較し、過年度の売上実績からの変化について検討した。

また、変動費率、固定費については、予測根拠を経営者及び事業計画策定責任者へ質問するとともに、過年度実績からの変化について検討した。

 

 

その他の事項

有価証券報告書の訂正報告書の提出理由に記載されているとおり、会社は、連結財務諸表を訂正している。なお、当監査法人は、訂正前の連結財務諸表に対して2022年7月26日に監査報告書を提出しているが、当該訂正に伴い、訂正後の連結財務諸表に対して本監査報告書を提出する。

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書の訂正報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の訂正後の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

(注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。