第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの異常な変動または、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当中間連結会計期間(2024年7月1日から2024年12月31日まで)におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、景気は緩やかに回復しました。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、 緩やかな回復が続くことが期待されますが、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、米国の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

当社グループを取り巻く経営環境は、コンサルティング事業においては、国内市場では国土強靭化に向けた公共事業予算が確保され、防衛関連事業は予算の増加に伴い、良好な市場環境が期待されます。海外市場では円借款を含めたODA事業は過去最大規模の予算となり、民間資本によるインフラ開発のニーズも高まる一方で、インフレ・円安によるコスト上昇の懸念があります。都市空間事業では、持続可能なまちづくりへの要請が高まり、また新興国においては都市基盤整備等による高効率な都市整備需要が旺盛です。エネルギー事業では、2050年カーボンニュートラル目標に向け、再生可能エネルギーの主力電源化、その変動を吸収する蓄電等が推進され、脱炭素のトレンドは長期に続く一方、様々な企業の新規参入による競争も見込まれます。

こうした市場環境のもと、当社グループは「ID&Eグローバル戦略2030」の第2ステップとなる2024年7月から2027年6月までを展開期と位置付け、基本方針を「主力3事業の持続的成長と事業間の共創による事業領域の拡大」とする中期経営計画「Building Growth 2027」に基づく3つの展開策を実行しています。

1つ目の展開策「成長に向けた改革」では、収益性向上に向け、主力3事業におけるポートフォリオマネジメントを推進します。2つ目の展開策「マトリクス経営の展開」では、地域ごとの3事業間の共創により事業領域を拡大します。3つ目の展開策「人財・技術の進化」では、人財育成、先端技術開発、品質管理強化によるID&Eブランド・クオリティの体現に取り組みます。

以上の結果、当社グループの当中間連結会計期間の業績は、受注高は主にエネルギー事業が好調で前年同期比2.7%増の67,674百万円、売上収益はコンサルティング事業および都市空間事業が好調に推移し前年同期比6.2%増の72,025百万円となりました。営業利益は、資本参加先の株式上場に伴う評価損の影響で前年同期比50.9%減の1,063百万円となりました。親会社の所有者に帰属する中間損失は、為替差損により1,179百万円(前年同期は313百万円の利益)となりました。

当社グループのセグメント別業績は次のとおりです。

 

 

[コンサルティング事業]

コンサルティング事業では、日本工営株式会社(以下「日本工営」という。)を中心に、国内市場では主に道路事業・防衛事業等でシェア拡大に、海外市場では稼働率の向上や生産構造の見直しによる収益性向上に取り組みました。また、国内外ともに民間事業の拡大やAI・自動設計の活用による生産性向上に取り組みました。

以上の結果、受注高は前年同期比11.1%増の37,883百万円、売上収益は前年同期比9.4%増の37,318百万円、営業損失は前年同期に有価証券評価益を約6億円計上した一方で、今期は有価証券評価損を約16億円計上したことにより、1,416百万円(前年同期は701百万円の利益)となりました。

 

[都市空間事業]

都市空間事業においては、日本工営都市空間株式会社(以下「日本工営都市空間」という。)が生産体制の強化とコスト構造の見直しによる経営基盤強化に、BDP HOLDINGS LIMITEDおよびその子会社(以下「BDP社」という。)がグループ各社との協業等によるAPAC展開の強化と北米における事業拡大に取り組みました。

以上の結果、受注高は前年同期にBDP社で大型受注があった反動で前年同期比27.7%減の16,522百万円、売上収益は日本工営都市空間・BDP社ともに好調で前年同期比6.1%増の20,314百万円、営業利益は前年同期比79.2%増の240百万円となりました。

 

[エネルギー事業]

エネルギー事業においては、日本工営エナジーソリューションズ株式会社を中心に、蓄電池を中心としたエネルギーマネジメント事業の拡大と水力発電関連部門の集約による製造事業の付加価値向上に取り組みました。

以上の結果、受注高は大型のマイクログリッド関連事業の受注および製造部門におけるシステム関連・水力発電に関連する事業の好調により前年同期比48.5%増の12,952百万円、売上収益は前年同期比2.1%減の13,727百万円、営業利益は欧州事業の収益化により前年同期比70.9%増の2,203百万円となりました。

 

② 財政状態の状況

当中間連結会計期間末における資産合計は、220,586百万円となり、前連結会計年度末と比較して14,200百万円の増加となりました。これは、契約資産21,327百万円の増加等があったことが主な要因です。
 負債合計は、130,756百万円となり、前連結会計年度末と比較して18,468百万円の増加となりました。これは、借入金25,423百万円の増加等があったことが主な要因です。
 資本合計は、89,829百万円となり、前連結会計年度末と比較して4,268百万円の減少となりました。これは、利益剰余金3,813百万円の減少等があったことが主な要因です。
 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は39.3%となり前連結会計年度末と比較して4.8ポイント低下しました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間の現金及び現金同等物は、20,170百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,072百万円減少しました。当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの状況と、前年同期に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前中間損失13百万円に減価償却費等の非資金項目や営業活動に係る債権・債務の加減を行った結果、24,939百万円の支出となり、前年同期に比べ1,786百万円の支出の増加となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権の回収が進んだほか、消費税の支払増加等の要因によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形資産の取得等を行った結果、465百万円の支出となり、前年同期に比べ2,777百万円の支出の減少となりました。これは主に、有形固定資産及び投資不動産の取得による支出が減少したことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の借入れや返済等を行った結果、21,394百万円の収入となり、前年同期に比べ5,222百万円の増加となりました。これは主に、借入れによる収入の増加が支出の増加を上回ったことによるものです。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

  当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は533百万円です。
 なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年11月19日開催の取締役会において、東京海上ホールディングス株式会社(以下「公開買付者」という。)による当社の普通株式(以下「当社株式」という。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)に関し、賛同の意見を表明をするとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨を決議しました。なお、当社の取締役会決議は、公開買付者が本公開買付けおよびその後の一連の手続を経て、当社を完全子会社化することを企図していることおよび当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。