第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生として、当社グループは、太陽光パネルの大手メーカーより、合理的な使用料及び逸失利益等に対する損害賠償並びに特許権侵害行為の差止請求(以下、「訴訟内容」という。)を受けました。

このため、今後訴訟内容に関するリスクがありますが、訴訟の目的額が未確定であるため、現時点ではその具体的な影響を見積もることは困難です。

また、本件訴訟に関しては、既に米国の特許専門の法律事務所と原告の主張および請求内容の詳細な分析を進めるとともに、当社グループの正当性を主張するための具体的な対応を協議しています。

(ご参考)2024年12月19日開示「当社及び当社子会社7社に対する訴訟の提起に関するお知らせ」

 

また、当社グループは、エチオピア連邦民主共和国(以下、「エチオピア」という。)において、太陽パネルの主要部材であるセルの新工場の建設に着手しました。

同工場は、当社グループにとりまして、エチオピアでの最初の事業展開となります。今後、同国の政治情勢、経済・金融情勢、法規則、税制・関税、自然災害、その他のリスクの発生により、事業計画が影響される可能性があります。

当社グループとしては、同国のリスク動向を注視し、適切なリスクコントロールに取り組んでまいります。

(ご参考)2024年10月15日開示「当社子会社による新工場建設に関するお知らせ」

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 経営成績に関する説明

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しとインバウンド消費の拡大に支えられ、回復基調を維持しました。一方、為替相場の円安、原材料価格の高騰、エネルギー価格の高止まりなど、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。

再生可能エネルギー市場においては、国内では、日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言の下、2030年度に温室効果ガス排出を2013年度比46%削減するとの目標が設定されています。国際的には、2024年に開催された国連気候変動枠組条約(COP29)及び米国のインフレ抑制法(IRA)による気候変動対応など、脱炭素化社会の実現への取り組みは進展しており、再生可能エネルギー市場は、中長期的な成長が見込まれています。

米国ではインフレ抑制法などにより、米国内での投資が活発化し、「Made in USA」の動きが進んでいましたが、今後の共和党政権下におけるエネルギー政策動向による当社グループ事業への影響を注視しています。

当社グループの主力事業である太陽光パネル製造事業においては、世界的に需要は旺盛であるものの、太陽光関連製品の供給過剰から市況が低迷しています。市況改善には時間を要するものと見込まれます。主要な販売先である米国市場では、アンチダンピング関税及び相殺関税の賦課に関する仮決定が米国政府より、ベトナム国のVietnam Sunergy Joint Stock Company(以下、「VSUN」という。)に下されています。なお、最終決定は2025年央までに下される見通しです。このような経営環境に対応し、インド及びOEMによる米国顧客向けの新たな販売戦略が功を奏し、一定の改善が出始めました。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は45,613百万円(前年同期比58.0%減)、営業利益は3,161百万円(前年同期比68.6%減)、経常利益は3,289百万円(前年同期比68.7%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は348百万円(前年同期比90.4%減)となりました。なお、当中間連結会計期間において、為替が円安で推移した事により、為替差益を672百万円計上したほか、太陽光パネル製造事業におけるベトナム子会社での固定資産除却損270百万円及び追徴金135百万円計上したことにより、特別損失を414百万円計上しております。

 

太陽光パネル製造事業は、ベトナム国のVSUNが当社グループの収益を牽引してきました。当社グループは、太陽光パネルの上流工程となるセルを製造するTOYO SOLAR Company Limited(以下、「TOYO SOLAR」という。)を傘下におくTOYO Co.,Ltd.(以下、「TOYO」という。)とインゴット・ウエハ及びパネルを製造するVSUNグループ*5の緊密な連携により、グローバル・サプライチェーンの拡充に取り組んでいます。

TOYOグループ*6はエチオピア連邦民主共和国シダマ州アワサ市において、セルの新工場の建設中であり(2025年3月に竣工予定)、今後米国テキサス州に建設中の太陽光パネルの新工場(2025年3月に竣工予定)への製品供給を行っていきます。そして、第3四半期以降、米国市場において太陽光パネル関連製品の安定した供給体制を構築し、同国内での太陽光パネル製造事業の拡大に取り組みます。

グリーンエネルギー事業では、太陽光発電所及び関連設備にかかる部材販売(フロー型ビジネス)を拡大するとともに、保有太陽光発電所の管理強化等による収益性向上に取り組むことにより(ストック型ビジネス)、安定した事業基盤の構築に取り組んでいます。

 

 

(文中注釈)

*5 VSUNグループとは、連結子会社のVSUNを筆頭として、VSUN傘下のパネル・ウエハ及びインゴットを製造販売する子会社などを含め、総称したものです。

*6 TOYOグループとは、連結子会社のTOYOを筆頭として、TOYO傘下のセル及びパネルを製造販売する子会社などを含め、総称したものです。

セグメント毎の経営成績については、次の通りです。

 

1.太陽光パネル製造事業

当中間連結会計期間においては、売上高40,954百万円(前年同期比60.7%減)、セグメント利益3,295百万円(前年同期比67.3%減)となりました。

売上高は、主要な販売先である米国向け販売が太陽光パネル関連製品に対する輸入関税免除措置の終了に加えて、アンチダンピング関税及び相殺関税の先行きの不透明感により受注が減少し、前年同期比減収減益となりました。第1四半期比では太陽光パネル製造事業の収益は改善基調となっております。当社グループは、太陽光パネル及びセルに関し、引き続き米国市場を重視しつつも、欧州やインドを始めとするアジア市場など販売先を多角化することにより、事業の安定化に取り組みました。米国向け販売の低迷によりベトナム工場の稼働率が低下のため、操業コストの削減等に取り組んでおります。

 

2.グリーンエネルギー事業

当中間連結会計期間においては、太陽光発電所の販売及び部材に係る物販1,952百万円、売電及びO&M収入2,239百万円を計上し、売上高4,191百万円(前年同期比6.2%増)、事業の選択と集中における発電所ポートフォリオの入れ替えによる一時的なフロー型ビジネスの収益低下等により、セグメント利益291百万円(前年同期比54.2%減)となりました。

当社グループでは、WWB株式会社(以下、「WWB」という。)及び株式会社バローズを主体に、太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS(パワーコンディショナ)、産業用及び住宅用蓄電池等の太陽光発電設備に係る部材販売をフロー型ビジネスとして行いつつ、売電収入を原資とする安定収入体制の構築のため、完工後も発電所を継続して保有・管理するストック型ビジネスを推進しています。

フロー型ビジネスにおいては、販売数量増加を目指した国内の小売量販店をチャネルとする販売体制の構築が増収に貢献しました。ストック型ビジネスにおいては、自社の開発能力を活用した優良発電プロジェクトの開発に取組み、発電所開発・建設を進め、事業基盤の拡充に取り組んでいます。

更に、積極的な海外展開に取り組むほか、将来の社会的な課題として懸念されている太陽光パネルの廃棄問題に対する取組みとして、PV Repower株式会社を中心に太陽光パネルのリユース事業を展開しております。また、北海道地区において、電力の需給調整や停電時などに備えて、安定的な電力供給を可能とする系統蓄電池事業に参入しており、今期において、同地区2件目となる案件への補助金交付が決定しております。

 

3.その他

当中間連結会計期間においては、売上高467百万円(前年同期比39.1%増)、セグメント損失8百万円(前年同期はセグメント損失268百万円)となりました。

なお、今期において、WWBはEV電動トップリフター及びEV充電ステーション*7を神戸の港湾運送大手顧客に対し、国内では業界初となる納入をしました。 今後、これらの商品を販売する事により、顧客の荷役作業現場の生産性向上を実現し、環境負荷の低減を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

 

その他の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、IT事業、光触媒事業及び建機販売事業などを含んでおります。なお、IT事業及び光触媒事業については、当中間連結会計期間より、報告セグメントから除外しています。

 

(文中注釈)

*7 EV電動トップリフター及びEV充電ステーションとは、WWBが取り扱う、中国SANY Groupの子会社である三一海洋重工有限公司製の港湾荷役作業向けの電動式リフター及び充電システムのことです。顧客の導入メリットとして、環境負荷の低減、運転手の作業環境改善及び外来トラックの待機時間の短縮等があります。

 

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

当中間連結会計期間末における流動資産は85,004百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,192百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が6,730百万円減少、商品及び製品が2,722百万円減少した一方で、売掛金が6,224百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は56,728百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,246百万円減少いたしました。これは機械装置及び運搬具が7,531百万円減少したこと等によるものであります。本件減少は、当中間連結会計期間末において連結対象外としているエチオピア国に設立したTOYO SOLAR MANUFACTURING ONE MEMBER PLCへ売却したことが主要因です。

この結果、総資産は、141,733百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,440百万円減少いたしました。

(負債)

当中間連結会計期間末における流動負債は75,309百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,952百万円減少いたしました。これは主に買掛金が5,104百万円減少、輸出関税に係る引当金が1,093百万円百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は22,376百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,103百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が2,093百万円百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、97,685百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,055百万円減少いたしました。

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産合計は44,048百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,615百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する中間純利益348百万円によるもの等であります。

この結果、自己資本比率は17.0%(前連結会計年度末は15.8%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は30,425百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,627百万円減少しました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの分析は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動に使用した資金は、5,191百万円であります(前年同期は16,727百万円の収入)。主な内容として、税金等調整前中間純利益3,058百万円、減価償却費3,695百万円を計上したほか、運転資金項目として、棚卸資産の減少により4,045百万円それぞれ資金が増加する一方、売上債権の増加により6,078百万円、仕入債務の減少により3,363百万円、前渡金の増加により2,012百万円それぞれ資金が減少しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に獲得した資金は、97百万円であります(前年同期は8,667百万円の支出)。主な内容は、太陽光発電所の開発・保有やVSUN等での設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出2,569百万円、預け金の預入による支出2,862百万円の一方、預け金の回収による収入5,335百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用した資金は、876百万円であります(前年同期は2,437百万円の収入)。主な内容は、短期借入金の返済による支出23,419百万円、長期借入金の返済による支出1,531百万円等があった一方、短期借入れによる収入24,677百万円があったことによるものです。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は34百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 従業員数

当中間連結会計期間において、当社グループは業務の効率化を行うため、太陽光パネル製造事業を大幅に縮小しました。これに伴い、太陽光パネル製造事業の従業員数は1,064名(前連結会計年度比△470名)であります。

なお、従業員数は就業人員数であります。

 

(7) 主要な設備

当連結会計期間において、当中間連結会計期間末において連結対象外としているエチオピア国に設立したTOYO SOLAR MANUFACTURING ONE MEMBER PLCにて、当連結会計期間において次のとおり設備の新設しております。

会社名

セグメントの名称

設備の内容

投資金額(百万円)

資金調達

方法

完了年月

生産能力

TOYO SOLAR MANUFACTURING ONE MEMBER PLC

太陽光パネル製造事業

太陽光セルの製造

4,211

自己資金

2025年3月頃

2ギガワット

 

(注)現時点で投資途上であり、最終的な投資金額は60百万USドル(約90億円)を予定しています。

 

(8) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

再生可能エネルギー業界においては、固定価格買取制度(FIT)の見直しが続いていますが、国内エネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源としての役割が期待され、脱炭素化への取り組みを強化する国の方向性が示されていることから、事業分野として今後も拡大していくものと考えられます。当社グループが推進するグリーンエネルギー事業は、ESG投資への関心の高まりや世界的潮流となっているSDGsの趣旨に沿った事業であります。今後も、自社保有に基づく安定収益を確保する収益構造の転換を進め、上場企業としての持続的成長を図っていく方針です。

 

3 【経営上の重要な契約等】

1.パートナーシップ契約の締結

当社の連結子会社のTOYO Solar LLCは、米国で太陽光パネル事業を展開するSolar Plus Technology Inc.(以下、「Solar Plus」という)との間で2024年11月にパートナーシップ契約を締結しました。本パートナーシップ契約に基づき、Solar Plusが保有するSolar Plus Technology Texas LLC(現 TOYO Solar Texas LLC)の出資持分100%を取得しました。

 

2.相互資金供給枠の解除

当社は、持分法適用関連会社の明治機械株式会社との間で一時的な余剰資金を供給し合う資金供給枠を相互に設定する契約を締結していましたが、2024年12月13日付けで本相互資金供給枠について解除しました。

(1)契約締結先   明治機械株式会社

(2)資金供給枠   800百万円

(3)資金用途     事業性資金

(4)期間         1年以内

(5)金利         市場実績並みの水準