当社は、2025年2月14日開催の当社取締役会において、当社の普通株式(以下、「当社株式」といいます。)の併合(以下、「本株式併合」といいます。)を目的とする、2025年4月10日開催予定の臨時株主総会(以下、「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
1.株式併合の目的
(1)株式併合の概要
今般、当社は、当社の株主を、当社の主要株主であり筆頭株主であるMUCC商事株式会社(以下、「MUCC商事」といいます。)、当社の主要株主かつ当社の代表取締役社長である村山典子氏の資産管理会社である日本スパンクリート機械株式会社(以下、「日本スパンクリート機械」といいます。)、村山典子氏及び村山典子氏の親族である村山知子氏(以下、MUCC商事、日本スパンクリート機械、村山典子氏及び村山知子氏を総称して「残存株主ら」といい、日本スパンクリート機械、村山典子氏及び村山知子氏を総称して「創業家株主ら」といいます。)のみとし、当社株式を非公開化するための手続として本株式併合を実施し、その後、当社の株主を創業家株主らのみにすることを企図して、MUCC商事の保有株式の全てについて当社が自己株式取得(以下、「本自己株式取得」といい、本株式併合及び本自己株式取得を総称して「本非公開化手続」といいます。)を実施する予定です。なお、当社の代表取締役社長である村山典子氏は、本非公開化手続後も継続して当社の経営にあたることを予定しております。
本株式併合により、当社の株主は残存株主らのみとなり、残存株主ら以外の株主の皆様の保有する株式の数は、全て1株未満の端数となる予定です。本株式併合により生ずる1株未満の端数については、会社法(2005年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第2項の準用する同法第234条第2項及び第4項の規定に基づき、裁判所の許可を得た上で、当社が買い取ることを予定しており、その買取りに係る代金を端数が生じた株主の皆様に対して交付する予定です。この場合の買取価格につきましては、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、本株式併合の効力発生日の前日である2025年5月12日の最終の当社の株主名簿において残存株主ら以外の株主の皆様が保有する当社株式の数(以下、「基準株式数」といいます。)に460円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。詳しくは、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」をご参照ください。
なお、村山典子氏によれば、残存株主ら及び日鉄SGワイヤ株式会社(以下、総称して「賛同株主ら」といいます。本書提出日現在における当社株式の合計所有株式数3,987,800株、合計所有割合(注)53.71%)は、本臨時株主総会において本株式併合に係る議案に賛同する予定であるとのことです。また、当社は、MUCC商事との間で、本非公開化手続を通じて、MUCC商事に対して、MUCC商事が所有する当社株式の数(1,187,600株)に460円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるよう、本自己株式取得における取得価格を定めることを合意しております。
(注)「所有割合」とは、当社が2025年2月14日付で公表した「2025年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」に記載された2024年12月31日現在の当社の発行済株式総数(9,332,400株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(1,907,761株)を除いた株式数(7,424,639株)に占める割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載において同じとします。
以下、創業家株主らに関する記載については、村山典子氏から受けた説明に基づいております。
(2)本株式併合を実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本株式併合後の経営方針
①本株式併合の背景等
当社は、1963年3月に東京都北区にてスパンクリート製造株式会社として設立され、翌年1964年2月には宇都宮工場(第一工場)を一部完成し、営業を開始いたしました。1991年2月には、商号を株式会社スパンクリートコーポレーションに変更し、1991年9月に社団法人日本証券業協会(以下、「日本証券業協会」といいます。)に株式を登録した後、2004年12月に日本証券業協会への店頭登録を取消しジャスダック証券取引所に株式を上場いたしました。そして、各証券取引所の統合に伴い、2010年4月に大阪証券取引所JASDAQに上場し、2013年7月、更なる証券取引所の統合に伴い株式会社東京証券取引所(以下、「東京証券取引所」といいます。)JASDAQ(スタンダード)に上場し、その後、2022年4月の東京証券取引所の市場再編を経て東京証券取引所スタンダード市場(以下、「スタンダード市場」といいます。)に上場しております。
当社は、当社の連結子会社としてプレキャスト事業を営んでおりました岩瀬プレキャスト株式会社が2024年5月15日付で破産手続開始決定がなされたことに伴い、現在は、当社のみで事業を運営しており、「コンクリート部材である高品質の穴あきPC板(製品名スパンクリート)を提供し続けることによって建設事業の進歩と合理化に寄与すると同時に、お客さまにご満足頂き、かつ、自己の企業価値を高め広く社会に貢献する企業グループを目指します。」を企業理念とし、主力であるスパンクリート事業に加えて、不動産事業を展開しております。
スパンクリート事業では、建築用床・壁・屋根の材料として建設業に広く採用されておりますスパンクリートを主要な製品として、その製造・販売の事業を運営しております。スパンクリートは、縦方向に数個の中空孔をもち、PC鋼線によってプレストレスを与えられたコンクリート板であり、耐久性能、断熱性能、遮音性能及び耐火性能で優れた特性を有していることに加えて、工場での量産も可能であり、プレハブ化による工期の短縮や工事の省力化に貢献できることから、当社創業以来、オフィスビル、マンション、鉄道駅、運河遊歩道、土留め壁等様々な建設工事において採用実績を蓄積してまいりました。他方で、特に近年は、原材料価格・エネルギー価格の上昇によるコスト増加の一方で他社製品との激しい価格競争が続いており、2020年3月期より2024年3月期まで5期連続でセグメント損失を計上する等、業績の低迷が続いております。
不動産事業では、都心に位置するオフィスビル3棟をはじめとした不動産賃貸業に取り組んでおり、同事業は安定的な収益基盤として当社業績に継続して貢献してきましたが、スパンクリート事業でのセグメント損失を打ち返すには至っておりません。
このように、主力のスパンクリート事業が厳しい状況にあることを踏まえ、当社全体としての業績回復を目指し、当社としてもこれまでに様々な取り組みを実施してきましたが、目立った成果は得られていないものと考えております。例えば、スパンクリート事業においては、Mスラブ(補強鉄筋入り床パネル)といった付加価値の高い戦略製品の開発、相対的に採算の良好な鉄道関連や流通倉庫等の壁板拡販等、過去において、様々な施策を実行してきましたが、原材料価格・エネルギー価格の上昇によるコスト増加を打ち返せる水準へ販売価格の改定が進まず、当初期待した成果を得ることができませんでした。また、上記のプレキャスト事業は、新たな収益基盤の創出を目指して、プレキャスト製品の試験的な製造を開始した2018年11月より、段階的にプレキャストコンクリート市場へ新規参入した取り組みでしたが、収益化の見込みが立たず、約3年で事業撤退するに至っております。
今後においても、スパンクリート事業については厳しい事業環境が続くことが予想される一方で、不動産事業によるスパンクリート事業のセグメント損失の打ち返しに期待するのも限界があると考えており、当社全体としては、将来に亘って安定的かつ継続的に利益を創造する状態からは程遠く、予断を許さない経営環境にあるものと考えております。
かかる状況下、当社の2024年3月期の連結業績は、売上高2,035百万円(前年同期比10.3%減)、営業損失323百万円(前年同期は営業損失511百万円)、経常損失305百万円(前年同期は経常損失504百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失301百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失548百万円)となりました。セグメントごとの経営成績としては、スパンクリート事業は売上高1,353百万円(前年同期比14.4%減)、セグメント損失345百万円(前年同期はセグメント損失295百万円)、不動産事業は売上高218百万円(前年同期比6.3%減)、セグメント利益112百万円(前年同期比2.6%減)、プレキャスト事業は売上高463百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント損失90百万円(前年同期はセグメント損失331百万円)となり、不動産事業は安定的な収益を維持したものの、スパンクリート事業は業績の低迷が続き、プレキャスト事業は事業収益化の目途が立たず、赤字が継続することとなりました。なお、プレキャスト事業については、上記のとおり、2025年3月期に入り事業撤退しております。
2025年3月期第3四半期の個別業績は、売上高1,080百万円、営業損失208百万円、経常損失200百万円、純損失248百万円となり、引き続き厳しい状況が続いております。セグメントごとの経営成績としては、スパンクリート事業は売上高902百万円、セグメント損失287百万円、不動産事業は売上高178百万円、セグメント利益79百万円となりました。
2025年3月期通期の個別業績予想については、売上高1,353百万円、営業損失493百万円、経常損失490百万円、当期純損失539百万円としており、依然として、黒字化の見込みが立たない状況が続く見込みとなっております。
②村山典子氏による本株式併合の提案の経緯・目的
村山典子氏は、上記のような極めて厳しい経営環境の下、そのような経営環境を克服し、当社事業の競争優位を取り戻し、事業を存続させ、中長期的な企業価値の向上を目指すためには、抜本的な取り組みが急務であると考えているとのことです。具体的には、以下のような施策を実施することが必要と考えているとのことです。
(i)スパンクリートの生産ラインを生かした、新製品の開発
当社は創業以来、スパンクリートの製造・販売に特化してきましたが、スパンクリート成型機を活用した多様な新スパンクリート製品のラインナップを提示できない、スパンクリート需要の減退期に余剰生産能力を新製品製造に生かせず固定コストを回収できない、といった構造的な問題を抱えていると考えているとのことです。
新スパンクリート製品としては、コンクリートと木の共栄を目指して研究開発を進めておりました木目を生かした木の温もりとスパンクリートを融合した新製品「木(もく)スパンクリート」の積極的な顧客展開、また、このようなコンクリートと他素材の掛け合わせによる新製品、さらには、カーボンニュートラルを実現する新配合等の展開を検討しているとのことです。これらは、サステナビリティの観点からも注目度が高いと考えており、一定の需要が期待できると考えているとのことです。
また、スパンクリート製品の他に、新たなコンクリート製品等の研究開発の強化を検討しているとのことです。村山典子氏は、当社としては既存のスパンクリート事業と販売面・製造面の両面でシナジーがある新規事業に取り組むべきと考えており、宇都宮工場における生産能力についてスパンクリート生産と両立可能であり、かつ既存のスパンクリート製品と競合しないコンクリート製品を新たに開発することによって、限界的な製品ラインナップや余剰生産能力の一時的な発生といった構造的な問題を解決し、収益機会の極大化を図りたいと考えているとのことです。村山典子氏としては、こうした投資によって、当社の中長期的な企業価値を向上させることができると考えているとのことですが、当社は上場会社であり、短期的な業績を重視しなくてはならないがために、このような投資を十分に実施できなかった場合、当社の中長期的な成長機会を失いかねない可能性を危惧しているとのことです。
(ii)コスト競争力強化を目的とした、宇都宮工場への効率化投資
宇都宮工場は、当社創業以来スパンクリートを製造する主力製造拠点である一方で、1964年2月の第一工場の一部完成から60年超を経過しており、老朽化が進んでおります。村山典子氏は、老朽化に伴う品質、不良率、リードタイム等の問題に対しては、設備点検等を定期的に実施し、設備更新投資計画を立て計画に基づき実行することによって、一定程度対応できている認識とのことですが、効率的な生産体制構築に向けた、抜本的な見直しについては永年断行することができず、結果として、高コスト体質が継続し、他社製品との激しい価格競争に打ち勝つ価格競争力を発揮できない状況が続いていると考えているとのことです。特に、近年においては、従前、当社が競争優位性を有した高層マンション等向け床材についても、価格競争力を失い、失注案件が増加しており、危機的な状況に陥っていると認識しているとのことです。
村山典子氏としては、宇都宮工場における生産工程を徹底的に見直し、効率化投資を大胆に実行することで、品質・歩留まり率の向上、リードタイムの短縮化を実現し、中長期的には、これら取り組みの結果として省人化も実現し、ムダがなく効率的な製造現場を確立することによって、現在の高コスト体質からの脱却を図りたいと考えているとのことです。具体的には、取引先からのオーダーに対して、必要最低限の在庫水準にてタイムリーかつ的確に対応できる生産体制を築くべく、各種データのクラウド化による関係当事者間の情報管理の一元化や、画像解析やAIを活用した品質管理システムの導入を検討しているとのことです。これらは、人口減少・高齢化等による人材不足へのプロアクティブな対応としての意義も認められると考えているとのことです。村山典子氏としては、このような取り組みは、多額の投資を伴い、一定期間、業績悪化を伴うものだと考えているとのことですが、当社の中長期的な企業価値の向上を目指す上では、必要不可欠な取り組みだと考えているとのことです。
(iii)所有不動産のリノベーション投資
現在、当社は、不動産事業として、オフィスビル3棟をはじめとした賃貸物件を複数所有しております。村山典子氏は、オフィスビル3棟は、それぞれ東京都文京区、中央区、千代田区に立地しており、立地競争力は一定程度認められるものの、うち2物件については築年数が30年超と老朽化が進んでいる一方で、最低限の維持更新投資の実施のみに留まっており、物件価値向上の余地があると認識しているとのことです。また、これらオフィスビル3棟以外の一部の不動産につきましても、最有効使用の観点から物件価値向上の余地があるものと認識しているとのことです。
村山典子氏としては、安定的な収益基盤である不動産事業の維持及び収益極大化を目指すべく、各物件に対して大胆なリノベーション投資や最有効使用へ向けた投資を実施することで、テナント魅力度を向上させ、賃料単価の増額による収益性向上や物件価値のバリューアップを目指したいと考えているとのことです。また、村山典子氏としては、当社は、上場会社として短期的な業績を重視して、このような投資を実行できなかったことが、不動産事業の有するポテンシャルを最大限に発揮できていない原因と考えているとのことです。上記のような投資は、一時的には利益の圧迫要因となることは想定されるものの、当社の中長期的な企業価値を向上させることができると考えているとのことです。
以上のように、村山典子氏は、当社が、将来に亘って事業を存続させ、更なる成長を目指すためには上記の各施策を早急に実施する必要があると考えている一方で、当社株式を上場させたままこれらの各施策を実施することは、当社の業績悪化リスクを当社の株主の皆様に負担させることにつながりかねず、当社が上場維持したまま各施策を推進することに限界があると考えるようになったとのことです。
また、村山典子氏は、当社の上場以降、当社は知名度の向上による優れた人材の確保、社会的な信用力の向上等、上場企業として様々なメリットを享受してきたものの、こうした知名度や社会的な信用力の向上等については株式の上場以外の方法によっても実現可能であること、現在の財務状況等から、当面は借入による資金調達によって必要資金を賄い、エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は見込んでいないこと、当社株式の上場を維持するために必要なコスト(有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する人的負担、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する金銭的負担、内部統制関連コスト)を踏まえると、今後も継続して当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあると考えているとのことです。
さらに、当社は2024年6月28日に公表した「上場維持基準の適合に向けた計画書」において、スタンダード市場の上場維持基準の一つである「流通株式時価総額」について、10億円が当該基準となっているところ、2024年3月31日時点で、当社は6.8億円と当該基準に適合しておらず、2026年3月末日までに上場維持基準に適合すべく、各種取り組みについて公表しております。村山典子氏としては、当社が未だ業績回復の見通しが立っていないこと、上記(i)~(iii)のような企業価値向上のための抜本的な施策を講じる場合にも短期的に更なる業績悪化を伴う可能性があること及び当社株式のスタンダード市場における流動性が乏しく非流通株式の市場放出及び新株発行等の流通株式比率を向上させるための実効性のある対策をとることが困難であること等に鑑みると、上記「流通株式時価総額」基準への抵触により、経過措置を経て上場廃止となる可能性があり、結果として将来的に当社の株主の皆様において当社株式の売買の機会が奪われてしまう事態が生じる可能性があると考えているとのことです。
以上のような検討を経て、村山典子氏は、当社が上記施策を実施するにあたっては、当社株式を非公開化することが、当社の株主の皆様に対して発生する可能性がある上記悪影響を回避しつつ、中長期的な視点から抜本的かつ機動的な経営戦略を迅速かつ果敢に実践するために最も適切な手段であるという結論に至り、2024年12月5日、当社に本株式併合の実施に向けた提案を行ったとのことです。
③当社における本株式併合を付議することを決議するに至った意思決定過程及び理由
上記「①本株式併合の背景等」に記載のとおり、極めて厳しい経営環境の下、当社事業の競争優位を取り戻し、事業を存続させ、中長期的な企業価値の向上を目指すため、当社は、2023年1月下旬より、戦略的パートナーとなり得る企業との間で企業価値の最大化に資する資本政策や抜本的な事業構造改革による成長戦略の可能性について初期的な議論を開始いたしました。そして当社は、2024年7月中旬、当社株式の非公開化に係る取引に関心を持つ複数の事業会社(以下、「買手候補先」といいます。)より当社株式の非公開化等に係る取引に関する初期的な提案を受領しました。これを受けて、当社は、当社の企業価値ひいては株主の利益を確保し又は向上させるかという観点から慎重に検討及び協議を行ってまいりました。そして、検討の結果、2024年9月下旬、入札プロセスによる買手候補先との協議及び交渉を進める方針といたしました。
当社は、上記取引を当社の少数株主の利益に最大限配慮して進めるべく、上記取引に係る諸条件と手続の妥当性、公平性等を慎重に検討する観点から、2024年9月下旬、当社及び買手候補先から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任しました。その後、TMI総合法律事務所からの助言を踏まえ、2024年11月中旬、買手候補先、及び、当社株式の非公開化について初期的な検討を進めていた村山典子氏を対象として第一次入札プロセスを開始いたしました。
その後、2024年12月上旬に、当社は、第一次入札プロセスへ参加した買手候補先より第一次意向表明書を受領し、また、2024年12月5日、上記「②村山典子氏による本株式併合の提案の経緯・目的」に記載のとおり、村山典子氏から、公開買付けを前置しない株式併合により当社株式を非公開化すること、本株式併合に係る端数処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額(以下、「本件端数処理交付見込額」といいます。)を460円(2024年12月4日の終値203円に対して126.60%のプレミアム(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)。)とすることを内容とする非公開化提案書を受領いたしました。当社は、当社株式の非公開化取引の目的、当社株式の非公開化取引後の経営方針及び想定される当社とのシナジー効果、提示された当社株式の希望取得価格等について、慎重に検討及び協議の上、本最終選定プロセス(以下に定義します。以下同じです。)に参加を打診する複数先(村山典子氏を含みます。以下、個別に又は総称して、「本最終選定プロセス候補先」といいます。)を決定しました。
また、当社は、当社及び本最終選定プロセス候補先から独立した立場で当社の企業価値の向上及び当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本最終選定プロセス候補者先による提案に係る検討、交渉及び判断するための体制を整備いたしました。具体的には、当社取締役会は、2024年12月12日に、当社の社外取締役及び社外監査役から構成される特別委員会(以下、「本特別委員会」といいます。)を設置し、本特別委員会自ら本最終選定プロセス候補先及びその関係者と協議・交渉する権限を付与するとともに、当社株式の非公開化に係る取引に関する決定を行うに際して本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が当社株式の非公開化に係る取引について妥当でないと判断した場合には、当社株式の非公開化に係る取引を行う旨の意思決定を行わないことを決議いたしました(本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における特別委員会の設置」をご参照ください。)。また、本特別委員会は、株式価値算定を提供役務に含む複数の企業から見積りを取得し、案件実績及び費用を比較検討した上で、当社及び本最終選定プロセス候補先から独立した本特別委員会独自の第三者算定機関として株式会社ストリーム(以下、「ストリーム」といいます。)を2024年12月下旬に選任しております。
その後、本特別委員会は、本最終選定プロセス候補先へのヒアリングを実施いたしました。村山典子氏に対しては、提案書の記載について、(ⅰ)本株式併合の背景・目的・意義、(ⅱ)本株式併合後の経営方針、(ⅲ)本株式併合のスキーム内容・条件等に関する質問書を送付し、2025年1月上旬、村山典子氏から、上記質問に対し、大要、(ⅰ)非公開化後の各施策を実施し、中長期的な収益改善を実現することが、中長期的な企業価値の向上を実現するうえで最良の選択肢と考えていること、(ⅱ)機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制の構築を検討していくこと、(ⅲ)村山典子氏、村山知子氏及び村山典子氏の資産管理会社である日本スパンクリート機械の合計で当社の議決権の29.54%を保有しており、また当社と良好な関係にある取引先等株主の協力が見込めることを踏まえると、株主総会における株式併合に係る議案について議決権を行使する株主の3分の2超の賛成が見込まれることから、スクイーズアウトを実施するために公開買付けを前置する必要は必ずしもないと判断しており、また、仮に公開買付けを前置する場合、アドバイザー費用等の公開買付けに係る諸費用の負担が生じるところ、これらのコストを考慮すると、公開買付けを前置する場合、少数株主に分配可能な金額が公開買付けを前置せずに株式併合を実施する場合に比べて限定的となり得ると考えているとの回答を受けました。
その後、2025年1月17日に、当社は、村山典子氏から当社株式1株当たりの本件端数処理交付見込額を460円(2025年1月16日の終値213円に対して115.96%のプレミアム。)とすることを内容とする最終提案書の提出を受けました。
当社は、当社株式の非公開化取引の目的・意義、当社株式の非公開化取引後の経営方針、提示された当社株式の価格等について、本特別委員会からの意見も踏まえながら、慎重に検討及び協議した結果、村山典子氏の提案内容が当社の企業価値向上に資すると判断され、また、当社は、公開買付けを前置せずに本株式併合を実施する手法については、(i)残存株主らを含む賛同株主らが当社の総議決権の53.73%を保有しており、加えて持株会等の当社関係者や過去より議決権を行使いただいており、当社と良好な関係にある株主の協力が見込めること、当社の過去の株主総会における議決権行使状況(当社の直近3期の各定時株主総会の議案ごとの議決権行使比率は75.17%から79.55%の範囲内で推移)等を踏まえると、本臨時株主総会における本株式併合に係る議案について議決権を行使する株主の3分の2超の賛成が見込まれることから、本株式併合を実施するために公開買付けを前置する必要は必ずしもなく、(ii)また、仮に公開買付けを前置する場合には、公開買付代理人への報酬を含む公開買付けに係るアドバイザー費用等が発生するところ、これらのコストを考慮すると、公開買付けを前置する場合、少数株主に分配可能な金額が公開買付けを前置せずに株式併合を実施する場合に比べて限定的となり得る上、公開買付期間を含む追加的な時間が必要になるが、公開買付けを前置しない場合これらが不要となり、より低コストかつ短期間で当社株式の非公開化が可能となること、(iii)少数株主の皆様が本株式併合に係る端数処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額に不満があるとして本株式併合に反対する場合には、法令上、一定の要件の下で株式買取請求権が認められており、少数株主の皆様は公正な株式買取価格の決定を求めて裁判所に申立てを行うことができる等、少数株主の皆様の利益保護に資する制度が設けられていること等から、不合理とはいえないとの考えに至り、かつ村山典子氏以外の本最終選定プロセス候補先からの最終提案書の提出がなかったため、2025年1月23日付で、村山典子氏を最終候補先として選定する結論に至りました。
また、村山典子氏からの最終提案書に対して、当社から交渉権限を付与されている本特別委員会は、2025年1月24日に、村山典子氏に対して、当該提案に係る金額は少数株主への配慮を示した水準と考えられるものの、少数株主の皆様に十分に納得いただける金額とするため、本件端数処理交付見込額を492円に引き上げることを要請しました。その後、本特別委員会は、2025年1月31日に、村山典子氏から、本件端数処理交付見込額の引き上げについては、本株式併合後の経営施策にも大きく影響を及ぼし得るため、困難である旨の返答を受領しました。これを受け、2025年2月10日、本特別委員会は、村山典子氏に対して、本件端数処理交付見込額を460円とすることに応諾する旨の回答を行い、合意いたしました。
その後、本特別委員会はストリームから2025年2月13日付で株式価値算定書及び当社の株主にとって財務的な観点から見て妥当である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)(以下、「本フェアネス・オピニオン」といいます。)の提出を受け、当社に対して、2025年2月13日付で答申書(以下、「本答申書」といいます。)を提出しました(本答申書の概要等については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における特別委員会の設置」をご参照ください。)。その上で、当社は、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた法的助言、及び本特別委員会が独自に選任した第三者算定機関であるストリームから本特別委員会に提出された株式価値算定書及び本フェアネス・オピニオンの内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本株式併合により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本件端数処理交付見込額その他の条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行い、以下の結論に達しました。
当社の主力であるスパンクリート事業では、特に近年は、原材料価格・エネルギー価格の上昇によるコスト増加の一方で他社製品との激しい価格競争が続いており、2020年3月期より2024年3月期まで5期連続でセグメント損失を計上する等、業績の低迷が続いており、非常に厳しい状況に直面しております。また、不動産事業では、都心に位置するオフィスビル3棟をはじめとした不動産賃貸業に取り組んでおり、同事業は安定的な収益基盤として当社業績に継続して貢献してきましたが、スパンクリート事業でのセグメント損失を打ち返すには至っておりません。
当社では、このような環境認識を踏まえ、様々な施策に取り組んでまいりましたが、上記の環境下では、今後、現状の延長線上で一段の飛躍は難しいと考えており、安定的かつ継続的に当社の企業価値を向上させるためには、上場会社である当社において求められる短期的な利益確保を重視する既存の戦略を推進するのではなく、中長期的な成長を阻害するあらゆる要因を検証し直し、新たな戦略を採用・推進することが必要であると考えております。そして、村山典子氏は、当社の業績の回復、収益の向上を図ることとして、新製品の開発、宇都宮工場への効率化投資及び所有不動産のリノベーション投資といった施策を挙げておりますが、当社といたしましても、当該施策は、現状を打破するために、積極的に推進していくべき施策であり、かかる施策の実施には機動的かつ柔軟な経営体制の構築が望ましいと認識しております。
しかしながら、当該施策の実施にあたっては、相応の先行投資が必要となり、短期的には利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化をもたらすリスクがあり、また必ずしも成功が保証されたものではないため、当社株式の上場を維持したままこれらの施策を実行した場合には、当社の株主の皆様に対して多大なる悪影響を与えてしまう可能性は否定できません。また、当社株式の上場を維持した状態では、当社株式の株価への悪影響を回避するために、これまでと同様、短期的な業績や利益確保を重視する戦略を取らざるを得ない状況に置かれ、中長期的な企業価値の向上を十分に追求できないおそれもあると考えております。
これらを踏まえ、当社としては、短期的には利益水準の低下を招くリスクを認識しながらも、中長期的な視点から当該施策を推進するためには、株主と経営者が一体となって、迅速かつ果敢に意思決定できる経営体制を構築することが必要であると考えています。加えて、当社株式の非公開化を行った場合には、上場維持コストを削減することができ、経営資源の更なる有効活用を図ることも可能になると考えております。
なお、当社株式の非公開化を行った場合には、株式市場からの資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた知名度や信用力に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかしながら、現在の財務状況等から、当面は借入による資金調達によって必要資金を賄い、エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は見込まれず、今後も継続して株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあります。加えて、当社は、創業以来の事業活動の中で、主力製品であるスパンクリートをはじめとしたコンクリート部材の製造・販売を通して知名度や信用力を十分に獲得してきたものと考えておりますので、非公開化により当社の知名度や信用力が下落することは考えにくいと判断しております。したがって、当社取締役会は、株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。
以上を踏まえ、当社取締役会は、本株式併合により当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものであると判断いたしました。
また、本件端数処理交付見込額である460円は、(a)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(2).当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠等」の「(ⅱ)算定に関する事項」に記載されているストリームによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定の結果のレンジの上限値を上回るものであり、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下、「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの上限値に近い金額であること、(b)本株式併合の公表日(2025年2月14日)の前営業日である2025年2月13日のスタンダード市場における当社株式の終値431円に対して6.73%、2025年2月13日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値338円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して36.09%、過去3ヶ月間の終値単純平均値253円に対して81.82%、過去6ヶ月間の終値単純平均値232円に対して98.28%のプレミアムが加算されており、過去の類似取引事例(以下、「本類似事例」といいます。)におけるプレミアム水準(注)との比較において、公表日の前営業日の終値及び公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において下回りますが、公表日の前営業日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において上回る状況となっています。この点、当社株式については、2025年1月22日から本株式併合の公表日(2025年2月14日)の前営業日までの16営業日において急激な出来高の増加と株価上昇(具体的には、当該16営業日のスタンダード市場における当社株式の終値単純平均値は383円、出来高平均値は728,175株、また、2025年1月21日のスタンダード市場における終値、並びに2025年1月21日から過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値は順に219円、206円、205円、210円、出来高平均値は順に15,400株、66,759株、22,268株、14,288株となっています。)がみられますが、当社株式は、市場において継続的に取引されているものの、日々の出来高は多くないため、一定規模の注文がなされる場合には、市場株価に大きな変動が生じ得るところ、(ⅰ)当社株式における当該16営業日の出来高が通常の平均的な出来高から大きく増加していること、(ⅱ)当該16営業日において当社による適時開示及び任意開示はなく、少なくとも当社の特定の公表を反映しての株価の変動ではないことを踏まえると、当該16営業日における当社株式の株価の上昇は一過性のものである可能性を否定できないことから、ある程度長期間の終値の平均値等に対するプレミアム水準をも十分に考慮する方が適切であると考えられ、本件端数処理交付見込額の公表日(2025年2月14日)の前営業日である2025年2月13日の終値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約41%程度下回り、また、公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約14%程度下回るものの、(ア)公表日の前営業日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約29%程度、また、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約46%程度も上回ること、及び、(イ)上記の急激な株価上昇が発生した2025年1月22日の前営業日である同月21日の終値(219円)との比較した場合の本件端数処理交付見込額のプレミアム水準(110.05%)は、本類似事例における公表日の前営業日の終値のプレミアム水準を約62%程度も上回り、2025年1月21日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値206円と比較した場合の本件端数処理交付見込額のプレミアム水準(123.30%)は、本類似事例における公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準を約73%程度も上回ること等に鑑みると、本件端数処理交付見込額に付されたプレミアムは、本類似事例との比較においても合理的な水準であると認められ、相応のプレミアムが付された価格であると評価できること、(c)「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、本最終選定プロセスにおいて村山典子氏から提示された価格を更に引き上げるため、本特別委員会及び村山典子氏の間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉を行っており、本件端数処理交付見込額は、その上で決定された価格であること、(e)当社が本特別委員会から2025年2月13日付で取得した本答申書においても、本件端数処理交付見込額を含む本株式併合の取引条件は妥当であり、当社の少数株主にとって不利益なものではない旨判断されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本件端数処理交付見込額及び本株式併合に係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であると判断いたしました。
(注)経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2025年2月13日までに公表されたマネジメント・バイアウト(MBO)による非公開化を目的とした公開買付けの成立事例(市場株価からディスカウントされた公開買付価格で実施された事例を除きます。)合計73件における、公表日前営業日の終値、並びに過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアムの平均値は、順に47.56%、49.76%、52.47%、51.96%となっています。
なお、本件端数処理交付見込額は、当社の2024年12月31日現在の簿価純資産額である5,218百万円を当社の2024年12月31日現在の自己株式控除後の発行済株式数(7,424,639株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額である703円(本件端数処理交付見込額は当該金額との比較で35%(小数点以下を四捨五入しています。)のディスカウント)を下回っておりますが、仮に当社が清算する場合においては、原材料や商品在庫、機械設備等の一括処分時に一定の価値毀損が予想されること、また、本社オフィス及び宇都宮工場の閉鎖に伴うコスト(原状回復費用や解体工事費、土壌汚染対策工事費等)、従業員に対する割増退職金及び弁護士費用等の追加コストが発生すること等を考慮すると、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、相当程度の毀損が見込まれます。また、純資産額は、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではないと考えております。
以上より、当社は2025年2月14日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(当社の代表取締役社長である村山典子氏及び当社の主要株主かつ村山典子氏の資産管理会社である日本スパンクリート機械の代表取締役である坪井哲明氏を除いた取締役2名)の全員一致での賛同により、本株式併合を本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。
なお、当社の取締役のうち、本株式併合に関して当社と構造的な利益相反状態にある代表取締役社長の村山典子氏及び当社の主要株主かつ村山典子氏の資産管理会社である日本スパンクリート機械の代表取締役であり、本株式併合に関して当社と構造的な利益相反状態が生じるおそれがある坪井哲明氏は、特別利害関係人として、当該取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において、本株式併合における取引関係者(村山典子氏及び坪井哲明氏自身を含みますが、これに限られません。)との間で本株式併合の取引条件等に関する協議・交渉にも一切参加しておりません。なお、上記決議について、取締役会の定数要件を満たしていないと評価される可能性を踏まえ、取締役会決議の有効性を担保する観点から、村山典子氏及び坪井哲明氏のうち、坪井哲明氏を加えた取締役3名にて審議の上、改めて当該議案について採決を行い全員一致での賛同により決議をいたしました。
④本株式併合後の経営方針
村山典子氏は、本株式併合の効力発生後も継続して、当社の代表取締役社長として経営にあたることを予定しており、上記「③当社における本株式併合を付議することを決議するに至った意思決定過程及び理由」に記載の新製品の開発、宇都宮工場への効率化投資及び所有不動産のリノベーション投資といった施策を推進するとのことですが、各施策については当社の担当部門と協議・調整の上、適切な時期に実施する予定とのことです。なお、創業家株主らと当社のその他の取締役との間では、本株式併合後の役員就任について何らの合意も行っておりませんが、本株式併合後の当社の役員構成を含む経営体制の詳細については、本株式併合の効力発生後、当社と協議しながら決定していく予定とのことです。また、本株式併合後の当社の従業員については、原則として現在の処遇を維持することを予定しているとのことです。
2.本株式併合の割合
当社株式について、1,096,100株を1株に併合いたします。
3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
上記「1. 株式併合の目的」の「(1)株式併合の概要」に記載のとおり、本株式併合により、当社の株主は残存株主らのみとなり、残存株主ら以外の株主の皆様の保有する当社株式の数は、1株未満の端数となる予定です。
当該1株未満の端数に相当する数の株式については、当社株式が2025年5月9日をもって上場廃止となり、市場株価のない株式となる予定であることから、競売によって買付人が現れる可能性が期待できないこと等を踏まえ、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項及び同条第4項の規定に基づき、裁判所の許可を得た上で、当社が買い取ることを予定しており、その買取りに係る代金を、1株未満の端数が生じた株主の皆様に対して交付する予定です。
この場合の買取価格につきましては、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、基準株式数に460円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。但し、裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合等においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合もあり得ます。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠等
(i)端数処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額の根拠及び理由
①親会社等がある場合における当該親会社等以外の当社の株主の利益を害さないように留意した事項
当社には親会社その他の支配株主は存在しないものの、残存株主らが合計で3,379,800株(所有割合45.52%)の当社株式を保有しており、本株式併合には、構造的な利益相反の問題が存し得ることから、当社は、1株未満の端数が生じる場合の処理の方法並びに当該処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額の公正性の担保、本株式併合の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除、及び利益相反の回避の観点から、本株式併合の公正性を担保し、残存株主ら以外の株主の皆様の利益を害さないよう、下記「(3)本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」記載の措置を講じております。
②端数処理の方法に関する事項
(a)会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由
上記「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」をご参照ください。
(b)売却に係る株式を買い取る者となると見込まれる者の氏名又は名称
株式会社スパンクリートコーポレーション
(c)当該者が売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法及び当該方法の相当性
当社は、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払のための資金に相当する額を金融機関からの借入れにより賄うことを予定しております。また、当社において、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払に影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も認識しておりません。したがって、当社は、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払のための資金を確保する方法については相当であると判断しております。
(d)売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み
当社は、2025年5月下旬を目途に、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所に対して、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式を当社が買い取ることについて許可を求める申立てを行うことを予定しております。当社は、当該裁判所の許可を得て、2025年6月下旬を目途に、当該当社株式を買い取り、その後、当該売却により得られた代金を株主の皆様に交付するために必要な準備を行った上で、2025年8月の中旬から下旬を目途に、当該代金を株主の皆様に対して交付することを見込んでおります。当社は、本株式併合の効力発生日から売却に係る一連の手続に要する期間を考慮し、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われ、また、当該売却代金の株主への交付が行われるものと判断しております。
③端数処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の相当性に関する事項
上記の「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」に記載のとおり、本件端数処理交付見込額は、各株主の皆様の基準株式数に460円を乗じた金額となる予定です。
本件端数処理交付見込額については、上記「1.株式併合の目的」の「(2)本株式併合を実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本株式併合後の経営方針」の「③当社における本株式併合を付議することを決議するに至った意思決定過程及び理由」のとおり、(a)下記「(ⅱ)算定に関する事項」に記載されているストリームによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定の結果のレンジの上限値を上回るものであり、かつ、DCF法による算定結果のレンジの上限値に近い金額であること、(b)本株式併合の公表日(2025年2月14日)の前営業日である2025年2月13日のスタンダード市場における当社株式の終値431円に対して6.73%、2025年2月13日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値338円に対して36.09%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値253円に対して81.82%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値232円に対して98.28%のプレミアムが加算されており、本類似事例におけるプレミアム水準(注)との比較において、公表日の前営業日の終値及び公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において下回りますが、公表日の前営業日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において上回る状況となっています。この点、当社株式については、2025年1月22日から本株式併合の公表日(2025年2月14日)の前営業日までの16営業日において急激な出来高の増加と株価上昇(具体的には、当該16営業日のスタンダード市場における当社株式の終値単純平均値は383円、出来高平均値は728,175株、また、2025年1月21日のスタンダード市場におけるの終値、並びに2025年1月21日から過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値は順に219円、206円、205円、210円、出来高平均値は順に15,400株、66,759株、22,268株、14,288株となっています。)がみられますが、当社株式は、市場において継続的に取引されているものの、日々の出来高は多くないため、一定規模の注文がなされる場合には、市場株価に大きな変動が生じ得るところ、(ⅰ)当社株式における当該16営業日の出来高が通常の平均的な出来高から大きく増加していること、(ⅱ)当該16営業日において当社による適時開示及び任意開示はなく、少なくとも当社の特定の公表を反映しての株価の変動ではないことを踏まえると、当該16営業日における当社株式の株価の上昇は一過性のものである可能性を否定できないことから、ある程度長期間の終値の平均値等に対するプレミアム水準をも十分に考慮する方が適切であると考えられ、本件端数処理交付見込額の公表日(2025年2月14日)の前営業日である2025年2月13日の終値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約41%程度下回り、また、公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約14%程度下回るものの、(ア)公表日の前営業日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約29%程度、また、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約46%程度も上回ること、及び、(イ)上記の急激な株価上昇が発生した2025年1月22日の前営業日である同月21日の終値(219円)と比較した場合の本件端数処理交付見込額のプレミアム水準(110.05%)は、本類似事例における公表日の前営業日の終値のプレミアム水準を約62%程度も上回り、2025年1月21日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値206円と比較した場合の本件端数処理交付見込額のプレミアム水準(123.30%)は、本類似事例における公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準を約73%程度も上回っていること等に鑑みると、本件端数処理交付見込額に付されたプレミアムは、本類似事例との比較においても合理的な水準であると認められ、相応のプレミアムが付された価格であると評価できること、(c)下記「(3)本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、本最終選定プロセスにおいて村山典子氏から提示された価格を更に引き上げるため、本特別委員会及び村山典子氏の間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉を行っており、本件端数処理交付見込額は、その上で決定された価格であること、(e)当社が本特別委員会から2025年2月13日付で取得した本答申書においても、本件端数処理交付見込額を含む本株式併合の取引条件は妥当であり、当社の少数株主にとって不利益なものではない旨判断されていること等を踏まえ、当社取締役会は、本件端数処理交付見込額及び本株式併合に係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であると判断いたしました。
(注)経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2025年2月13日までに公表されたマネジメント・バイアウト(MBO)による非公開化を目的とした公開買付けの成立事例(市場株価からディスカウントされた公開買付価格で実施された事例を除きます。)合計73件における、公表日前営業日の終値、並びに過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値それぞれに対するプレミアムの平均値は、順に47.56%、49.76%、52.47%、51.96%となっています。
なお、本件端数処理交付見込額は、当社の2024年12月31日現在の簿価純資産額である5,218百万円を当社の2024年12月31日現在の自己株式控除後の発行済株式数(7,424,639株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額である703円(本件端数処理交付見込額は当該金額との比較で35%(小数点以下を四捨五入しています。)のディスカウント)を下回っておりますが、仮に当社が清算する場合においては、原材料や商品在庫、機械設備等の一括処分時に一定の価値毀損が予想されること、また、本社オフィス及び宇都宮工場の閉鎖に伴うコスト(原状回復費用や解体工事費、土壌汚染対策工事費等)、従業員に対する割増退職金及び弁護士費用等の追加コストが発生すること等を考慮すると、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、相当程度の毀損が見込まれます。また、純資産額は、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではないと考えております。
以上のことから、当社は、本件端数処理交付見込額について、相当と判断しております。
④当社において最終事業年度の末日後に生じた重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象
当社は、2025年2月14日開催の取締役会において、2025年5月12日付で自己株式1,907,795株(2025年2月14日時点で当社が所有する自己株式の全部に相当)を消却することを決議いたしました。なお、当該自己株式の消却は、本臨時株主総会において、本株式併合に関する議案が原案どおり承認可決されることを条件としており、消却後の当社の発行済株式総数は、7,424,605株となります。
(ii)算定に関する事項
①算定機関の名称並びに上場会社及び創業家株主らとの関係
本特別委員会は、本株式併合に伴う本件端数処理交付見込額の決定に関する意思決定の過程における公正性を担保するため、当社及び創業家株主らから独立した第三者算定機関であり、かつ関連当事者に該当しないストリームに当社の株式価値の算定を依頼し、2025年2月13日付で、ストリームより当該算定結果に関する株式価値算定書及び本フェアネス・オピニオンを取得いたしました。なお、本株式併合に係るストリームの報酬は、本株式併合の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本株式併合の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
②算定の概要
ストリームは、当社株式がスタンダード市場に上場しており市場株価が存在することから市場株価法を用い、また、当社の将来の事業活動の状況を評価に反映させる目的からDCF法を用いて、当社株式の株式価値の算定を行いました。上記各手法を用いて算定された当社の普通株式1株当たりの価値の範囲は、以下のとおりです。
市場株価法 : 232円から431円
DCF法 : 376円から466円
市場株価法では、基準日を2025年2月13日として、スタンダード市場における当社株式の基準日終値431円、直近1ヶ月間の終値単純平均値338円、直近3ヶ月間の終値単純平均値253円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値232円を基に、当社株式の1株当たりの価値を232円から431円までと算定しております。
DCF法では、不動産事業については主として鑑定評価額に依拠しつつ、個々の物件の時価を積算することにより評価し、スパンクリート事業については当社がストリームに提供した当社の2025年3月期から2032年3月期までのスパンクリート事業に関する事業計画、当社の2025年3月期第2四半期における財務情報、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期第3四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの価値を376円から466円までと算定しております。なお、割引率は4.5%から7.3%を採用しており、また、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率は0.5%から1.5%として算定しております。
ストリームがDCF法の算定の前提とした当社のスパンクリート事業に関する事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、当該事業計画においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2027年3月期において、一部製品の受注増加による売上高の増加を主因に営業利益が前事業年度比193百万円、EBITDAが192百万円増加することが見込まれております。2028年3月期には、一部製品において、大型受注を想定していることに伴う売上増加を主因に営業利益、EBITDAともに前事業年度比174百万円増加することが見込まれております。2029年3月期において、前事業年度に引き続き一部製品について大型受注を想定していることに伴う売上増加を主因に営業利益が前事業年度比73百万円増加、EBITDAが前事業年度比72百万円増加すること、これらの要因に加え、前事業年度比設備投資金額が減少したことから、フリー・キャッシュ・フローは前事業年度比438百万円増加することが見込まれております。2030年3月期において、一部製品における売上高の減少や人員増加による原価の増加を主因に営業利益が前事業年度比129百万円、EBITDAが前事業年度比130百万円減少することが見込まれており、また、売上高の減少に伴って運転資本が減少することから、フリー・キャッシュ・フローは前事業年度比で74百万円の増加することが見込まれております
本株式併合の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため以下の財務予測には加味しておりません。
(単位:百万円)
|
2025年 3月期 (6ヶ月) |
2026年 3月期
|
2027年 3月期
|
2028年 3月期
|
2029年 3月期
|
2030年 3月期
|
2031年 3月期
|
2032年 3月期
|
売上高 |
621 |
1,387 |
1,798 |
2,316 |
2,433 |
2,113 |
2,559 |
2,683 |
営業利益 |
-357 |
-485 |
-292 |
-118 |
-45 |
-174 |
-13 |
24 |
EBITDA |
-355 |
-480 |
-288 |
-114 |
-42 |
-172 |
-6 |
36 |
フリー・キャッシュ・フロー |
-479 |
-533 |
-511 |
-563 |
-125 |
-51 |
-258 |
-59 |
ストリームは、本特別委員会への株式価値算定書の提出に際して、当社から提供を受けた情報、一般に公開された情報等を使用し、それらの資料、情報等が全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、当社の財務予測については、創業家株主らから独立した当社の事業計画作成者により当該時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。
なお、ストリームは、株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報、一般に公開された情報等を使用し、それらの資料、情報等が全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。
また、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)に関して、独自の評価又は鑑定を行っておらず、倒産、支払停止又はそれらに類似する事項に関する適用法令の下での当社の信用力についての評価も行っておりません。また、本特別委員会が取得した不動産鑑定書を除き、これらに関していかなる評価書や鑑定書の提出も受けておりません。
また、ストリームは、本特別委員会からの依頼に基づき、本件端数処理交付見込額が、一定の条件(注)のもとに、当社の株主にとって財務的な観点から見て妥当である旨の意見書(本フェアネス・オピニオン)を、2025年2月13日付で本特別委員会に対して提供しております。
(注)本フェアネス・オピニオンは、上記の市場株価法・DCF法による株式価値算定結果に照らして、本件端数処理交付見込額である1株当たり460円が、当社の株主にとって財務的な観点から見て公正であることを意見表明するものです。なお、上記のとおり、DCF法の算定の前提とした当社の事業計画に基づく財務予測において、本株式併合の実行により実現することが期待されるシナジー効果については加味されておりません。
ストリームは、公開されている情報、当社より提供を受けた情報等を本フェアネス・オピニオンにおける意見表明にあたり、正確かつ完全なものとして採用しており、その正確性及び完全性につき独自の検証は行っておりません。また、ストリームは、当社の事業計画作成者がこれらの情報を重要な点で不正確又は誤解を招くものとする事実又は状況を認識していないことを前提としております。当社の事業計画については、当社の事業計画作成者によって現時点で入手可能な最善の見積り及び判断に基づき、合理的に準備、作成されていることを前提としております。ストリームは、当社の事業計画作成者が作成した事業計画の実現可能性について独自に検証は行わず、これらの事業計画に依拠しており、その内容及び基礎となる仮定に関して何らの意見を表明するものではありません。
本フェアネス・オピニオンにおける意見表明は、本フェアネス・オピニオンの日付までに入手可能な情報に基づいており、入手した情報を重大な誤りとする事実があった場合、又は今後の状況の変化により本フェアネス・オピニオンで表明される意見に影響を及ぼす可能性があります。ストリームは、当社の資産・負債(偶発債務を含む。)について独自に評価・鑑定を行っておりません。ストリームは、当社の資産又は施設の物理的検査を行う義務を負っておらず、また、破産手続、会社更生手続、民事再生手続、会社法の特別清算その他の倒産処理手続に適用される法律に基づいて当社の支払能力又は公正価値を評価しておりません。
本フェアネス・オピニオンの作成にあたってストリームが当社に要求した情報のうち、当社から情報の提供又は開示を受けられず、その他の方法によってもストリームが評価の基礎として使用できなかったものについては、ストリームは、当社の同意のもとで、ストリームが合理的かつ適切と考える仮定を用いております。ストリームのかかる仮定が重要な点において事実と異なることが明らかになった場合に、それが当社の将来の財務状況にどのような影響を及ぼすかについて、ストリームは独自の検証を行っておりません。
ストリームは、本株式併合が重要な条件の変更を伴うことなく適時に完了すること、当社又は本株式併合で想定される利益に悪影響を与える可能性のある遅延、制限又は条件が課されずに必要な政府及び規制当局の承認又は同意を得ることができること、またかかる承認及び同意の内容が、本件端数処理交付見込額に影響を及ぼさないことを前提としており、独自の検証を行っておりません。また、当社は、本件端数処理交付見込額に重大な影響を及ぼす契約書、合意書その他の文書を過去に取り交わしておらず、また、将来も取り交わさないことを前提としております。ストリームは、当社より提供又は開示を受けた情報のほか、本件端数処理交付見込額に重大な影響を及ぼす偶発債務又は簿外債務は存在しないことを、当社に確認の上、前提としております。
本フェアネス・オピニオンは、本株式併合の承認の是非について、本特別委員会に対して助言することを意図するものではなく、またかかる助言を構成するものでもありません。更に、本フェアネス・オピニオンは、本株式併合について、当社が利用又は実行できる可能性のある他の戦略又は取引と比較した場合の相対的な利点、あるいは当社が本株式併合を実行又は継続するにあたっての基礎となる事業決定について、意見又は見解を表明するものではありません。また、本フェアネス・オピニオンは、本株式併合又はそれに関連する事項に関し、株主の議決権行使や行動について、いかなる意見や提言を表明するものでもありません。ストリームは、当社の株式が本株式併合完了前に取引される価格、又は取引されるべき価格に関して意見を表明するものではありません。
ストリームの意見は、本フェアネス・オピニオンの日付時点で有効な財務、経済、市場その他の条件、及びストリームが入手可能な情報に基づいております。本フェアネス・オピニオンの日付以降に発生した事実は、本フェアネス・オピニオンの意見及びそれを準備する際に使用した仮定に影響を及ぼす場合がありますが、ストリームは本フェアネス・オピニオンを更新、改訂又は再確認する義務を負わないものとします。
(3)本株式併合の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
村山典子氏及びその資産管理会社である日本スパンクリート機械は当社の総議決権の23.16%(村山典子氏の親族である村山知子氏の保有分を加算すると29.54%)を保有する大株主であり、また、村山典子氏は当社の代表取締役であることから、当社は、本株式併合に係る意思決定に際して村山典子氏の影響を受ける可能性があり、その場合には本株式併合の是非を決定するにあたり当社取締役会と当社の一般株主との間に利益相反が生じる可能性が否定できないことから、本株式併合に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、以下の措置を講じております。
①独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
上記「(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠等」の「(ⅱ)算定に関する事項」に記載のとおり、本特別委員会は、本株式併合に関する意思決定の過程における公正性を担保するため、当社及び創業家株主らから独立した第三者算定機関として独自に起用したストリームから株式価値算定書及び本フェアネス・オピニオンを取得しています。当該株式価値算定書及び本フェアネス・オピニオンの概要については、上記「(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠等」の「(ⅱ)算定に関する事項」の「②算定の概要」をご参照ください。
なお、ストリームは、当社及び創業家株主らの関連当事者には該当せず、本株式併合に関して記載すべき重要な利害関係を有していません。また、本株式併合に係るストリームの報酬は、本株式併合の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本株式併合の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
②当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本株式併合に係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、当社及び創業家株主らから独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、同事務所から、本株式併合に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。なお、TMI総合法律事務所は、当社及び創業家株主らの関連当事者には該当せず、本株式併合に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本株式併合に係るTMI総合法律事務所の報酬は、本株式併合の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本株式併合の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
③当社における特別委員会の設置
第一次入札プロセスにおける村山典子氏以外の本最終選定プロセス候補先の提案は、当社株式の非公開化を前提とする公開買付け及び公開買付け成立後のスクイーズアウト手続を想定しており、当該公開買付けの完了後に本最終選定プロセス候補先が当社の支配株主に該当することが想定されることから、当該スクイーズアウト手続は東京証券取引所の規則において定められる「支配株主との重要な取引等」に該当すること、当該スクイーズアウト手続の対価は公開買付けの買付価格と同額になる可能性が高いこと、また、村山典子氏及びその資産管理会社である日本スパンクリート機械は当社の総議決権の23.16%(村山典子氏の親族である村山知子氏の保有分を加算すると29.54%)を保有する大株主であり、また、村山典子氏は当社の代表取締役であることから、その構造上、当社取締役会は、本最終選定プロセスに係る意思決定及び村山典子氏が最終候補者に選定された場合の当社株式の非公開化取引に係る意思決定に際して村山典子氏の影響を受ける可能性があり、その場合には当社株式の非公開化取引の是非を決定するにあたり当社取締役会と当社の一般株主との間に利益相反が生じる可能性が否定できないことから、当社は、本株式併合並びに最終候補者を選定するプロセス(以下、「本最終選定プロセス」といいます。)を含む当社株式の非公開化取引全体の実施等に関する当社の意思決定に係る手続の公正性を担保することを目的として、2024年12月12日、当社及び本最終選定プロセス候補先から独立した、当社の社外取締役及び社外監査役から構成される本特別委員会(本特別委員会の委員としては、当社の独立役員であり社外取締役である蒲野宏之氏(弁護士 蒲野綜合法律事務所)、当社の独立役員であり社外監査役である一瀬茂雄氏、鈴木誠氏(公認会計士 鈴木誠公認会計士・税理士事務所)及び山田浩二氏を選定しております。)を設置しました。なお、当社及び本最終選定プロセス候補先からの独立性を考慮した上で、蒲野宏之氏は、当社の社外取締役であり、当社の事業に一定の知見を有していること、また、弁護士資格を有していることから、特別委員会の委員として当社の事業に知見を持ちつつ、法律分野の専門性を活かして適切に諮問事項の検討等を行うことが可能であること、一瀬茂雄氏、鈴木誠氏及び山田浩二氏は、当社の社外監査役であり、当社の事業に一定の知見を有しており、鈴木誠氏は公認会計士資格を有していることから、特別委員会の委員として当社の事業に知見を持ちつつ、会計分野の専門性を活かして適切に諮問事項の検討等を行うことが可能であることから、特別委員会の委員として適切であると判断しました。また、当社は、当初からこの4名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。更に、本特別委員会の委員の報酬は、答申内容にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、当社株式の非公開化に係る取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていません。なお、当社取締役会は、当社株式の非公開化に係る取引に関する決定を行うに際して本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が当社株式の非公開化に係る取引について妥当でないと判断した場合には、当社株式の非公開化に係る取引を行う旨の意思決定を行わないことを併せて決議しました。また、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(i)当社の費用負担の下、当社株式の非公開化に係る取引に係る調査を行うことができる権限、(ii)本特別委員会自ら取引関係者及びその他の関係者と協議・交渉する権限、(iii)当社の費用負担の下、本特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができる権限、及び(iv)当社株式の非公開化に係る取引に係る当社のアドバイザーを指名し、又は変更を求めることができるほか、当社のアドバイザーに対して必要な指示を行うことができる権限等を与えることを決定しました。
そして、当社は、本特別委員会に対し、本株式併合について、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し又は向上させるかの観点から検討し、当社の取締役会において本株式併合を承認するべきか否かについて、取締役会に提言又は勧告を行うこと(①本株式併合の目的の合理性、②本株式併合の取引条件の妥当性、③本株式併合の手続の公正性、④上記①乃至③その他の事項を踏まえ、当社取締役会が本株式併合の実施を決定することが少数株主に不利益か否か以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)についての提言又は勧告を含む。)を2024年12月12日に委嘱しました。
これを受けて、本特別委員会は、2024年12月18日開催の初回の本特別委員会において、TMI総合法律事務所について、その専門性及び独立性を確認の上、当社株式の非公開化に係る取引に関する当社のリーガル・アドバイザーとして承認するとともに、本特別委員会としてもTMI総合法律事務所から必要な助言を受けることができることを確認しました。また、本特別委員会は、当社株式の非公開化に係る取引の是非及び条件の妥当性を検討するにあたり、その透明性・合理性を確保するため、当社及び本最終選定プロセス候補先から独立し、かつ関連当事者に該当しないストリームを本特別委員会独自の第三者算定機関に選任しました。
本特別委員会は、2024年12月18日より2025年2月13日まで合計8回開催されたほか、2025年2月13日まで、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行いました。具体的には、本特別委員会は、当社から事業環境、経営課題等に関する説明を受け、本最終選定プロセス候補先からも、当該提案に至った経緯及び理由、目的、提案のストラクチャーや諸条件等について書面による質疑応答を行いました。また、村山典子氏を最終候補先として選定することとした当社の判断の合理性を確認しました。更に、本株式併合における本件端数処理交付見込額の評価を行うにあたり、その公正性を担保すべく、自ら、当社及び本最終選定プロセス候補先から独立した第三者算定機関であり、かつ関連当事者に該当しないストリームに当社の株式価値の算定を依頼し、2025年2月13日付で、ストリームより当該算定結果に関する株式価値算定書及び本フェアネス・オピニオンを取得するとともに、ストリームから当社株式の株式価値の算定方法及び結果に関して、質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、事業計画作成者に対して、事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受け、質疑応答を行った上で、事業計画に一定の合理性があることを確認し、当該事業計画を承認しました。これらの内容を踏まえ、本特別委員会は、ストリームの算定結果を参考に、かつTMI総合法律事務所と議論を重ね、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行いました。また、本特別委員会は、当社の代表取締役社長である村山典子氏との間で本件端数処理交付見込額を含む本株式併合の諸条件について交渉を実施し、その結果についても本諮問事項の協議・検討において踏まえております。
本特別委員会は、このように本諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、2025年2月13日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しました。
(a)本株式併合の目的の合理性に関する事項について
(ア) 本株式併合の目的等
本特別委員会は、本株式併合の目的及び本株式併合により向上することが見込まれる当社の企業価値の具体的内容等について、当社の関係部門及び村山典子氏に対する質疑を通じ、詳細な検証を実施した。即ち、現在当社の置かれた経営環境の中、村山典子氏がいかなる企業価値向上の施策案を構想し、それがどの程度具体的で実践的か、それを実現に移すために本株式併合を実施する必要性はあるのか、本株式併合の実施が当社の事業上どのようなメリットをもたらし、他方でデメリットの有無、程度はどのように想定されるか等を含めて、総合的に検証を行った。当該検証結果の概要は以下のとおりである。
・ 当社は、主力であるスパンクリート事業に加えて、不動産事業を展開している。
・ スパンクリート事業では、建築用床・壁・屋根の材料として建設業に広く採用されているスパンクリートを主要な製品として、その製造・販売の事業を運営している。スパンクリートは、縦方向に数個の中空孔をもち、PC鋼線によってプレストレスを与えられたコンクリート板であり、耐久性能、断熱性能、遮音性能及び耐火性能で優れた特性を有していることに加えて、工場での量産も可能であり、プレハブ化による工期の短縮や工事の省力化に貢献できることから、当社創業以来、オフィスビル、マンション、鉄道駅、運河遊歩道、土留め壁等様々な建設工事において採用実績を蓄積してきた。他方で、特に近年は、原材料価格・エネルギー価格の上昇によるコスト増加の一方で他社製品との激しい価格競争が続いており、2020年3月期より2024年3月期まで5期連続でセグメント損失を計上する等、業績の低迷が続いている。
・ 不動産事業では、都心に位置するオフィスビル3棟をはじめとした不動産賃貸業に取り組んでおり、同事業は安定的な収益基盤として当社業績に継続して貢献してきたが、スパンクリート事業でのセグメント損失を打ち返すには至っていない。
・ このように、主力のスパンクリート事業が厳しい状況にあることを踏まえ、当社全体としての業績回復を目指し、当社としてもこれまでに様々な取り組みを実施してきたが、目立った成果は得られていないものと考えられる。例えば、スパンクリート事業においては、Mスラブ(補強鉄筋入り床パネル)といった付加価値の高い戦略製品の開発、相対的に採算の良好な鉄道関連や流通倉庫等の壁板拡販等、過去において、様々な施策を実行してきたが、原材料価格・エネルギー価格の上昇によるコスト増加を打ち返せる水準へ販売価格の改定が進まず、当初期待した成果を得ることができなかった。また、プレキャスト事業は、新たな収益基盤の創出を目指して、プレキャスト製品の試験的な製造を開始した2018年11月より、段階的にプレキャストコンクリート市場へ新規参入した取り組みであったが、収益化の見込みが立たず、約3年で事業撤退するに至っている。
・ 今後においても、スパンクリート事業については厳しい事業環境が続くことが予想される一方で、不動産事業によるスパンクリート事業のセグメント損失の打ち返しに期待するのも限界があると考えており、当社全体としては、将来に亘って安定的かつ継続的に利益を創造する状態からは程遠く、予断を許さない経営環境にあるものと考えられる。
・ 当社では、このような環境認識を踏まえ、様々な施策に取り組んできたが、上記の環境下では、今後、現状の延長線上で一段の飛躍は難しいと考えられ、安定的かつ継続的に当社の企業価値を向上させるためには、上場会社である当社において求められる短期的な利益確保を重視する既存の戦略を推進するのではなく、中長期的な成長を阻害するあらゆる要因を検証し直し、新たな戦略を採用・推進することが必要であると考えられる。そして、村山典子氏は、当社の業績の回復、収益の向上を図る方法として、新製品の開発、宇都宮工場への効率化投資及び所有不動産のリノベーション投資といった施策を挙げているが、当該施策は、現状を打破するために、積極的に推進していくべき施策であり、かかる施策の実施には機動的かつ柔軟な経営体制の構築が望ましいと考えられる。
・ しかしながら、当該施策の実施にあたっては、相応の先行投資が必要となり、短期的には利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化をもたらすリスクがあり、また必ずしも成功が保証されたものではないため、当社株式の上場を維持したままこれらの施策を実行した場合には、当社の株主の皆様に対して多大なる悪影響を与えてしまう可能性は否定できない。また、当社株式の上場を維持した状態では、当社株式の株価への悪影響を回避するために、これまでと同様、短期的な業績や利益確保を重視する戦略を取らざるを得ない状況に置かれ、中長期的な企業価値の向上を十分に追求できないおそれもあると考えられる。
・ これらを踏まえ、短期的には利益水準の低下を招くリスクを認識しながらも、中長期的な視点から当該施策を推進するためには、株主と経営者が一体となって、迅速かつ果敢に意思決定できる経営体制を構築することが必要であると考えられる。加えて、当社株式の非公開化を行った場合には、上場維持コストを削減することができ、経営資源の更なる有効活用を図ることも可能になると考えられる。
・ なお、当社株式の非公開化を行った場合には、株式市場からの資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた知名度や信用力に影響を及ぼす可能性が考えられる。しかしながら、現在の財務状況等から、当面は借入による資金調達によって必要資金を賄い、エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は見込まれず、今後も継続して株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にある。加えて、当社は、創業以来の事業活動の中で、主力製品であるスパンクリートをはじめとしたコンクリート部材の製造・販売を通して知名度や信用力を十分に獲得してきたものと考えられるため、非公開化により当社の知名度や信用力が下落することは想定しにくいと考えられる。
(イ) 小括
以上を踏まえ、本特別委員会は、本株式併合の目的は合理的であると判断するに至った。
(b)本株式併合の取引条件の妥当性に関する事項について
(ア) ストリームによる株式価値算定書及びフェアネス・オピニオン
本特別委員会が、当社及び創業家株主らから独立した第三者算定機関であり、かつ関連当事者に該当しない第三者算定機関であるストリームから取得した株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると232円から431円、DCF法によると376円から466円、とされているところ、本件端数処理交付見込額は、市場株価法による算定レンジの上限値を上回るものであり、かつ、DCF法による算定結果のレンジの上限値に近い金額である。
そして、本特別委員会は、ストリームから株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、ストリームに対して評価手法の選択理由、割引率の算定根拠、永久成長率の算定根拠、当社が所有する不動産の価値の反映方法、当社の非事業性資産等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
また、本特別委員会は、当社からDCF法による算定の基礎となる当社の事業計画の内容について詳細な説明を受けるとともに、当社に対して事業計画作成のプロセス、各費目の内訳等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、不合理な点は認められなかった。
加えて、本件端数処理交付見込額(460円)は、本株式併合の公表日(2025年2月14日)の前営業日である2025年2月13日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日の当社株式の終値431円に対して6.73%、2025年2月13日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値338円に対して36.09%、過去3ヶ月間の終値単純平均値253円に対して81.82%、過去6ヶ月間の終値単純平均値232円に対して98.28%のプレミアムが加算されており、本類似事例におけるプレミアムの水準との比較において、公表日の前営業日の終値及び公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において下回るが、公表日の前営業日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において上回る。この点、当社株式については、2025年1月22日から本株式併合の公表日(2025年2月14日)の前営業日までの16営業日において急激な出来高の増加と株価上昇(具体的には、当該16営業日のスタンダード市場における当社株式の終値単純平均値は383円、出来高平均値は728,175株、また、2025年1月21日のスタンダード市場における終値、並びに2025年1月21日から過去1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値は順に219円、206円、205円、210円、出来高平均値は順に15,400株、66,759株、22,268株、14,288株となっている。)がみられるが、当社株式は、市場において継続的に取引されているものの、日々の出来高は多くないため、一定規模の注文がなされる場合には、市場株価に大きな変動が生じ得るところ、(ⅰ)当社株式における当該16営業日の出来高が通常の平均的な出来高から大きく増加していること、(ⅱ)当該16営業日において当社による適時開示及び任意開示はなく、少なくとも当社の特定の公表を反映しての株価の変動ではないことを踏まえると、当該16営業日における当社株式の株価の上昇は一過性のものである可能性を否定できない。そのため、ある程度長期間の終値の平均値等に対するプレミアム水準をも十分に考慮する方が適切であると考えられ、本件端数処理交付見込額の公表日(2025年2月14日)の前営業日である2025年2月13日の終値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約41%程度下回り、公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約14%程度下回るものの、(ア)公表日の前営業日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において約29%程度上回り、直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、本類似事例におけるプレミアム水準との比較において、約46%程度も上回ること、及び、(イ)上記の急激な株価上昇が発生した2025年1月22日の前営業日である同月21日の終値(219円)と比較した場合の本件端数処理交付見込額のプレミアム水準(110.05%)は、本類似事例における公表日の前営業日の終値のプレミアム水準を約62%程度も上回り、2025年1月21日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値206円と比較した場合の本件端数処理交付見込額のプレミアム水準(123.30%)は、本類似事例における公表日の前営業日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準を約73%程度も上回っていること等に鑑みると、本件端数処理交付見込額に付されたプレミアムは、本類似事例との比較においても合理的な水準であると認められ、相応のプレミアムが付された価格であると評価できる。
(イ) 交渉過程の手続の公正性
下記「(c)本株式併合の手続の公正性に関する事項について」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められる。また、本件端数処理交付見込額は、本最終選定プロセスにおいて提示されたものであり、競争環境にある中で村山典子氏から提示された価格であることが認められる。加えて、本特別委員会は、そのような競争環境にある中で村山典子氏から提示された価格を更に引き上げるため、村山典子氏との間で、独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉を行っており、本件端数処理交付見込額は、その上で決定された価格であることが認められる。
(ウ) 当社の純資産額を踏まえた検討
本件端数処理交付見込額は、当社の2024年12月31日現在の簿価純資産額である5,219百万円を当社の2024年12月31日現在の自己株式控除後の発行済株式数(7,424,639株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額である703円(本件端数処理交付見込額は当該金額との比較で35%(小数点以下を四捨五入。)のディスカウント)を下回っているが、仮に当社が清算する場合においては、原材料や商品在庫、機械設備等の一括処分時に一定の価値毀損が予想されること、また、本社オフィス及び宇都宮工場の閉鎖に伴うコスト(原状回復費用や解体工事費、土壌汚染対策工事費等)、従業員に対する割増退職金及び弁護士費用等の追加コストが発生すること等を考慮すると、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、相当程度の毀損が見込まれる。また、純資産額は、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではない。
(エ) 公開買付けを前置せずに本株式併合を行うこと
本特別委員会は、村山典子氏に対して、本件において公開買付けを前置せずに本株式併合を行う理由について質疑を行ったところ、村山典子氏から、賛同株主らの合計で当社の議決権の53.71%を保有しており、また賛同株主らが、本臨時株主総会において本株式併合に係る議案に賛同する予定であること、その他、持株会等の当社関係者や当社と良好な関係にある株主の協力が見込めること等を踏まえると、当社の直近3期の各定時株主総会の議案ごとの議決権行使比率は75.17%から79.55%の範囲内で推移しており、本臨時株主総会における議決権行使比率がかかる水準から大きく上昇することは具体的に見込まれていないことを加味すれば、本臨時株主総会における株式併合に係る議案について議決権を行使する株主の3分の2超の賛成が見込まれることから、スクイーズアウトを実施するために公開買付けを前置する必要は必ずしもないと判断しており、また、仮に公開買付けを前置する場合、アドバイザー費用等の公開買付けに係る諸費用の負担が生じるところ、これらのコストを考慮すると、公開買付けを前置する場合、少数株主に分配可能な金額が公開買付けを前置せずに株式併合を実施する場合に比べて限定的となり得ると考えている旨の回答を得た。村山典子氏による上記回答に不合理な点は認められない。
また、本件においては公開買付けを前置しないものの、本株式併合においては、株主が本株式併合に反対する場合(本件端数処理交付見込額に不満がある場合)には、法令上、一定の要件のもとで株式買取請求が認められており、買取価格について当事者間の協議が調わない場合には、株主は株式の価格の決定を求めて裁判所に申立てを行うことができることが認められている。
(オ) MUCC商事からの自己株式取得価格
本株式併合の効力発生後、MUCC商事から自己株式取得を行うことが予定されているところ、当社は、MUCC商事との間で、MUCC商事に対して、MUCC商事が所有する当社株式の数(1,187,600株)に460円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるよう、自己株式取得における取得価格を定めることを合意する予定であり、MUCC商事とその他の当社の一般株主との間で不平等は生じない。
(カ) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、公開買付けを前置せずに本株式併合を行うことを含め、本株式併合の取引条件は妥当であると判断するに至った。
(c)本株式併合の手続の公正性に関する事項について
村山典子氏及びその資産管理会社である日本スパンクリート機械は当社の総議決権の23.16%(村山典子氏の親族である村山知子氏の保有分を加算すると29.54%)を保有する大株主であり、また、村山典子氏は当社の代表取締役であることから、当社は、本株式併合に係る意思決定に際して村山典子氏の影響を受ける可能性があり、その場合には本株式併合の是非を決定するにあたり当社取締役会と当社の一般株主との間に利益相反が生じる可能性が否定できないことから、本株式併合に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、以下の措置を講じている。
(ア) 当社による検討方法
当社が本株式併合について検討するにあたっては、当社及び創業家株主らから独立したリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所及び第三者算定機関であるストリームから助言・意見等を得ながら、当社の企業価値及び株主共同の利益向上の観点から、本株式併合の条件の妥当性及び本株式併合の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。
また、本特別委員会は、TMI総合法律事務所独立性及び専門性に問題がないことを確認し、当社のリーガル・アドバイザーとして承認している。また、本特別委員会は、ストリームの独立性及び専門性に問題がないことを確認し、本特別委員会独自の第三者算定機関として起用することを決定している。
(イ) 第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
本特別委員会は、2025年2月13日付でストリームから当社株式に係る株式価値算定書及び本件端数処理交付見込額は当社株主にとって財務的見地から妥当である旨のフェアネス・オピニオンを取得している。
(ウ) 本特別委員会による協議・交渉
本特別委員会は、本件端数処理交付見込額について自ら村山典子氏との間で真摯な価格交渉を実施した。具体的には、本件端数処理交付見込額は、本最終選定プロセスにおいて提示されたものであり、競争環境にある中で村山典子氏から提案された価格であることが認められるが、本特別委員会は、2025年1月24日に、村山典子氏に対して、当該提案に係る金額は少数株主への配慮を示した水準と考えられるものの、少数株主の皆様に十分に納得いただける金額とするため、本件端数処理交付見込額を492円に引き上げることを要請した。その後、本特別委員会は、2025年1月31日に、村山典子氏から、本件端数処理交付見込額の引き上げについては、本株式併合後の経営施策にも大きく影響を及ぼし得るため、困難である旨の返答を受領した。このような交渉を経て、本特別委員会は、本件端数処理交付見込額を460円とすることに合意している。
(エ) 本株式併合の交渉過程及び意思決定過程における特別利害関係人の不関与等
本株式併合に関して、当社と構造的な利益相反状態にある代表取締役社長の村山典子氏及び当社の主要株主かつ村山典子氏の資産管理会社である日本スパンクリート機械の代表取締役である坪井哲明氏は、これまでの本株式併合に関する取締役会における審議及び決議には参加していない。また、両名は、本株式併合を本臨時株主総会へ付議するかどうかに関する取締役会の審議及び決議には参加しない予定である。加えて、両名は、当社の立場において、本株式併合における取引関係者(村山典子氏及び坪井哲明氏自身を含むが、これらに限られない。)との間で本株式併合の取引条件等に関する協議・交渉に一切参加していない。なお、上記取締役会決議について、取締役会の定数要件を満たしていないと評価される可能性を踏まえ、取締役会決議の有効性を担保する観点から、村山典子氏及び坪井哲明氏のうち、坪井哲明氏を加えた取締役3名にて改めて審議の上、当該議案について採決を行い全員一致により決議する予定である。
その他、本株式併合に係る協議、検討及び交渉の過程で、村山典子氏その他の本株式併合に特別な利害関係を有する者が交渉過程及び意思決定過程に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。
(オ) マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)条件
本株式併合において、当社は、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を本株式併合成立の条件とはしていないものの、本株式併合においては、当社の少数株主の利益に十分な配慮をすべく他に適切な公正性担保措置が実施されていると考えられることから、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる。
(カ) 本特別委員会の位置づけ
当社は、本特別委員会を当社取締役会から独立した合議体として位置付け、本株式併合に係る決定を行うに際して本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本株式併合について妥当でないと判断した場合には、本株式併合を行う旨の意思決定を行わないこととしている。また、当社は、本特別委員会に対して、村山典子氏その他の取引関係者との間で本株式併合の取引条件等に関する協議・交渉を行う権限を付与している。
(キ) 本最終選定プロセスの実施
本株式併合は、複数の最終選定プロセス候補先との間で提案内容に関する協議を行った上で、本最終選定プロセスにおいて唯一当社に対して最終提案書を提出した村山典子氏との間で実施されるものである。また、村山典子氏以外の最終選定プロセス候補先は、創業家株主らの意向を踏まえたうえでの自らの提案する非公開化提案の実現可能性も考慮した結果、最終提案書を提出しなかったものであって、本最終選定プロセスに関して透明性や公正性を疑わせるような事情を見いだすことはできない。
(ク) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本株式併合においては適切な公正性担保措置が講じられており、本株式併合に係る手続は公正であると判断するに至った。
(d)当社の取締役会が本株式併合の実施を決定することが少数株主に不利益か否か
上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ慎重に検討した結果、当社の取締役会が本株式併合の実施を決定することは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと判断するに至った。
④当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見
当社は、本特別委員会がストリームより取得した株式価値算定書及び本フェアネス・オピニオン、TMI総合法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本特別委員会(本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、上記「③当社における特別委員会の設置」をご参照ください。)から提出を受けた本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本株式併合の諸条件について慎重に検討しました。
その結果、上記「1.株式併合の目的」の「(2)本株式併合を実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本株式併合後の経営方針」の「③当社における本株式併合を付議することを決議するに至った意思決定過程及び理由」に記載のとおり、当社取締役会は、本株式併合について、(ⅰ)本株式併合により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、(ⅱ)本件端数処理交付見込額及び本株式併合に係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であると判断し、2025年2月14日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(当社の代表取締役社長である村山典子氏及び当社の主要株主かつ村山典子氏の資産管理会社である日本スパンクリート機械の代表取締役である坪井哲明氏を除いた取締役2名)の全員一致の賛同で、本臨時株主総会に本株式併合を付議する旨を決議いたしました。
なお、当社の取締役のうち、本株式併合に関して当社と構造的な利益相反状態にある代表取締役社長の村山典子氏及び当社の主要株主かつ村山典子氏の資産管理会社である日本スパンクリート機械の代表取締役であり、本株式併合に関して当社と構造的な利益相反状態が生じるおそれがある坪井哲明氏は、特別利害関係人として、当該取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において、本株式併合における取引関係者(村山典子氏及び坪井哲明氏自身を含みますが、これらに限られません。)との間で本株式併合の取引条件等に関する協議・交渉にも一切参加しておりません。なお、上記決議について、取締役会の定数要件を満たしていないと評価される可能性を踏まえ、取締役会決議の有効性を担保する観点から、村山典子氏及び坪井哲明氏のうち、坪井哲明氏を加えた取締役3名にて審議の上、改めて当該議案について採決を行い全員一致での賛同により決議をいたしました。
また、上記取締役会においては、当社の監査役3名全員が上記決議に異議がない旨の意見を述べております。
4.本株式併合の効力が生ずる日
2025年5月13日
以 上