名称 JICC-04株式会社
所在地 東京都港区虎ノ門一丁目3番1号
普通株式
(1)本公開買付けに関する意見の内容
当社は、2023年12月12日開催の取締役会において、下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本取引(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義されます。以下同じです。)に関して、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、これに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しておりました。
そして、今般、当社は、公開買付者から、国内外(日本並びに中国、韓国及びベトナム)の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了し、本取引基本契約書(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」において定義されます。以下同じです。)に規定された前提条件(注1)(以下「本公開買付前提条件」といいます。)のうち本クリアランス取得が完了した旨の本公開買付前提条件を充足したことから、その他の本公開買付けの公表日に充足されるべき本公開買付前提条件が充足又は放棄される(注2)ことを前提として、2025年2月18日を公開買付開始日として本公開買付けを開始することを予定している旨の連絡を2025年1月22日に受け、当社特別委員会から提出された追加答申書(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」において定義されます。)の内容を最大限尊重しながら、当社の業績や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討した結果、2025年2月17日現在においても、本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したことから、2025年2月17日開催の取締役会(以下、2023年12月12日開催の取締役会と併せて「両取締役会」といいます。)において、改めて本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
上記の両取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認」に記載の方法により決議されております。
(注1) 本取引基本契約書においては、本公開買付前提条件として、①株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)の定めるコーポレートガバナンス・コードに基づき2022年6月17日に設置された常設の当社特別委員会(下記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」において定義します。)が、当社の取締役会に対し、本取引に賛同し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明を行うことは相当である旨の答申を行い、かつ、当該答申が変更又は撤回されていないこと、②当社の取締役会により、利害関係のない取締役全員の一致をもって、本公開買付けに賛同し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明に係る決議がなされ、これが法令等に従って公表されており、かつ、かかる意見表明が変更又は撤回されておらず、これと矛盾する決議も行われていないこと、③本取引を制限又は禁止する司法・行政機関等の判断等がなされておらず、かつ、そのおそれもないこと、④本取引基本契約書に基づく富士通株式会社(以下「富士通」といいます。)の義務(注3)がいずれも重要な点において履行又は遵守されており、かつ、本取引基本契約書に基づく富士通の表明及び保証(注4)について重大な悪影響(注5)を及ぼす違反が存在していないこと(但し、富士通は、事前に当該不履行、不遵守又は違反を治癒する機会を与えられるものとし、合理的な期間内に治癒された場合は、上記条件は充足されたものとみなす。)、⑤本クリアランス取得(注6)が完了していること、⑥当社から、本公開買付開始日の前営業日において、当社が当該日に公表する本公開買付けを含む本取引に関する事項を除き、法第166条第2項に定める当社に係る業務等に関する重要事実(同法第166条第4項に従い公表されているものを除く。)が存在しない旨の確認が書面により得られていること、⑦公開買付者又はその親会社による本取引に係る資金調達を目的とする借入(メザニン借入を含む。)に係る貸付人となる金融機関につき、決済不能事由(注7)が生じていないこと、⑧公開買付者及び当社の間の本取引基本契約書締結日付「公開買付けに係る覚書」(以下「本覚書」といいます。)が有効に存続していること、並びに、本覚書に基づく当社の義務がいずれも重要な点において履行又は遵守されていること(但し、当該義務の違反が重大な悪影響を及ぼすものでない限り、充足されたものとみなす。)、⑨本取引基本契約書締結日以降、本公開買付けが開始されていたとするならば、同法第27条の11第1項但書の定めに従い、本公開買付けの撤回等が認められるべき事情(但し、令第14条第1項第3号に定められる事実に限る。)が当社に生じていないこと(但し、当該事情が重大な悪影響を及ぼすものでない限り、充足されたものとみなす。)、及び、⑩当社の株主総会において、本取引基本契約書締結日以降の日に実施される剰余金の配当に関する議案が承認されていないことが定められているとのことです。なお、本公開買付けの開始前に対抗提案がなされた場合、公開買付者は、富士通が当該対抗提案に応じない意思を書面により誓約したとき又は公開買付者が公開買付価格(普通株式1株につき、5,920円。以下「本公開買付価格」といいます。)を対抗提案に係る取得対価を上回る金額に変更し、かつ、本自己株式取得価格(以下において定義します。以下同じです。)を税効果を考慮して対抗提案に係る取得対価を実質的に上回る金額に変更する行為をとったときを除き、本公開買付けを開始する義務を負わないものとされているとのことです。また、本取引基本契約書には契約終了事由(注8)が定められており、本取引基本契約書が終了した場合には、公開買付者は本公開買付けを開始する義務を負わないことになるとのことです。なお、本取引基本契約書の詳細については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 取引基本契約書」をご参照ください。
(注2) 本取引基本契約書においては、公開買付者はその裁量により、本公開買付前提条件の全て又は一部を放棄できることが定められているとのことです。
(注3) 本取引基本契約書に基づく富士通の義務の内容については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 取引基本契約書」をご参照ください。
(注4) 本取引基本契約書に基づく富士通の表明及び保証の内容については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 取引基本契約書」をご参照ください。
(注5) 当社及びその子会社総体としての事業、財務状態、資産、負債、経営成績、キャッシュ・フロー若しくは本取引の実行への重大な悪影響又はこれらの具体的なおそれをいいます。
(注6) 日本、中国、韓国及びベトナムの競争法令等に基づく許認可等(関連する法令等により要求される国、地方公共団体その他の公的機関及び行政機関による許可、認可、免許、承認、同意、登録、届出その他これらに類する行為又は手続をいいます。以下同じとします。)の取得(当局からの異議なく、適用ある待機期間が満了することを含みます。)をいいます。
(注7) 決済不能事由とは、公開買付者又はその親会社による本取引に係る資金調達を目的とする借入に係る貸付人となる金融機関(株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)、株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)、株式会社八十二銀行(以下「八十二銀行」といいます。)及び株式会社あおぞら銀行(以下「あおぞら銀行」といいます。)を指します。)につき、(i)天災、戦争若しくはテロの勃発、(ii)電気、通信若しくは各種決済システムの不通若しくは障害、(iii)東京インターバンク市場において発生した円資金貸借取引を行い得ない事由、及び、(iv)その他上記(i)乃至(iii)に準じる当該金融機関の責によらない事由のうち、これにより当該資金調達の決済が客観的に不可能となったと当該金融機関が客観的かつ合理的に判断するものをいいます。
(注8) 本取引基本契約書の契約終了事由については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 取引基本契約書」をご参照ください。
(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由
本「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、当社の株券等を取得及び所有し、本公開買付け成立後に、当社の事業活動を支配及び管理することを主たる事業として2023年9月29日に設立された株式会社であるとのことです。本書提出日現在、株式会社産業革新投資機構(以下「JIC」といいます。)の完全子会社であるJICキャピタル株式会社(以下「JICC」といいます。)が運用するJIC PE共同投資ファンド1号投資事業有限責任組合(以下「JIC PE共同投資ファンド1号」といいます。)が、公開買付者の発行済株式の全てを所有しているとのことです。また、公開買付者においては、本公開買付けの成立後、当社の株主を公開買付者のみとし、東京証券取引所プライム市場に上場している当社株式を非公開化することを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の実行に必要となる資金への充当を目的として、本公開買付けの決済時までの期間において、公開買付者による本JICCファンド(JIC PEファンド1号投資事業有限責任組合(以下「JIC PEファンド1号」といいます。)、JIC PE共同投資ファンド1号、並びに、JIC PEファンド1号、JIC PE共同投資ファンド1号及び八十二サステナビリティ1号投資事業有限責任組合(無限責任組合員:八十二インベストメント株式会社。以下「八十二インベストメント」といいます。)が有限責任組合員として出資する予定の八十二-JICC投資事業有限責任組合をいいます。以下同じです。)、大日本印刷株式会社(以下「DNP」といいます。)、及び三井化学株式会社(以下「三井化学」といいます。)(以下、本JICCファンド、DNP、三井化学を「JICC連合」と総称します。)を割当先とする普通株式の第三者割当による出資(以下「本出資(普通株式)」といいます。)のための手続、並びに公開買付者によるDNP及び三井化学を割当先とする優先株式(無議決権株式であり、かつ普通株式への転換権が付されていない種類株式となります。)の第三者割当増資(以下「本出資(優先株式)」といい、本出資(普通株式)と併せて、「本出資」と総称します。)のための手続が行われることが予定されているとのことです。JIC、JICC連合及び公開買付者は、本書提出日現在、当社株式を所有していないとのことです。本出資後、本JICCファンドは公開買付者の普通株式の80.00%、DNPは15.00%、また三井化学は5.00%を、それぞれ所有する予定とのことです。
公開買付者が2023年12月12日に公表した「新光電気工業株式会社(証券コード:6967)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(その後の訂正を含み、以下「2023年12月12日付公開買付者プレスリリース」といいます。)によれば、公開買付者は、同日付で、富士通との間で取引基本契約書(以下「本取引基本契約書」といいます。本取引基本契約書の詳細については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 取引基本契約書」をご参照ください。)を締結し、本公開買付前提条件(但し、本公開買付けの開始日において充足されるべきものを除きます。)が充足され又は公開買付者の裁量により放棄されていることを条件として、本取引の一環として、国内外の競争法並びに国外の投資規制法令等に基づく必要な手続及び対応に一定期間を要することから、当該手続及び対応が完了することその他、本公開買付前提条件(但し、本公開買付けの開始日において充足されるべきものを除きます。)が充足された日(又は公開買付者の裁量により放棄された日)(但し、これらの日において対抗提案(下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」において定義します。以下同じです。)が行われている場合には、富士通による公開買付者に対する本公開買付価格及び本自己株式取得価格の変更に関する協議の申入れの日から起算して20営業日を経過する日又は富士通が当該対抗提案に応じない意思を書面により誓約した日のいずれか早い方の日)から10営業日以内の日で、公開買付者が富士通と協議の上決定する日(以下「本公開買付開始日」といいます。)に、当社株式(但し、富士通が所有する当社株式(所有株式数:67,587,024株、所有割合(注9):50.02%。以下「本富士通保有株式」といいます。)及び当社が所有する自己株式を除きます。)の全てを対象とする本公開買付けを実施することを決定していたとのことです。
(注9) 「所有割合」とは、当社が2025年1月31日に公表した「2025年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(以下「当社第3四半期決算短信」といいます。)に記載された2024年12月31日現在の当社の発行済株式総数(135,171,942株)から、同日現在当社が所有する自己株式数(54,550株)を控除した株式数(135,117,392株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入)をいいます。以下、所有割合の計算において同じとします。
公開買付者は、本公開買付けの実施に向けて、上記手続及び対応を進めていたとのことですが、公開買付者が2024年8月26日付で公表した「JICC-04株式会社による新光電気工業株式会社(証券コード:6967)に対する公開買付け実施に向けた進捗状況等のお知らせ」(以下「2024年8月26日付公開買付者プレスリリース」といいます。)によれば、同日時点で、日本、韓国、ベトナム及び中国の競争法に基づく必要な手続及び対応のうち、ベトナム及び中国においてかかる手続及び対応が完了していなかったとのことです。その後、公開買付者は、ベトナム国家競争委員会から、本公開買付けによる当社株式の取得(以下「本株式取得」といいます。)を承認することを決定する旨の2024年11月20日付の通知を受領し、ベトナムの競争法に基づく手続が完了したことを確認したとのことです。また、中国の競争法に基づく本株式取得に係る事前届出については、中華人民共和国国家市場監督管理総局(以下「中国国家市場監督管理総局」といいます。)から本株式取得を承認することを決定する旨の2024年12月27日付の通知を受領し、中国の競争法に基づく手続が完了したことを確認したとのことです。
そして、公開買付者は、2025年2月17日までに、以下のとおり、その他の本公開買付前提条件がいずれも充足されたことを確認したことから、同日、本公開買付けを2025年2月18日より開始することを決定したとのことです。
① 公開買付者は、当社より、2025年2月17日時点において、当社特別委員会が、当社の取締役会に対して、本取引に賛同し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明を行うことは相当である旨の答申を行い、かつ、当該答申が変更又は撤回されていない旨の報告を受け、上記の本公開買付前提条件①の充足を確認したとのことです。
② 公開買付者は、当社より、2025年2月17日時点において、当社の取締役会により、利害関係のない取締役全員の一致をもって、本公開買付けに賛同し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明に係る決議がなされ、これが本プレスリリースによって公表される予定であり、かつ、かかる意見表明が変更又は撤回されておらず、これと矛盾する決議も行われていない旨の報告を受け、その後、本プレスリリースの公表をもって、上記の本公開買付前提条件②の充足を確認したとのことです。
③ 公開買付者は、当社より、2025年2月17日時点において、本取引を制限又は禁止する司法・行政機関等の判断等がなされておらず、かつ、そのおそれもない旨の報告を受け、また、かかる判断等及びそのおそれを認識していないことから、上記の本公開買付前提条件③の充足を確認したとのことです。
④ 公開買付者は、富士通より、本取引基本契約書に基づく富士通の義務がいずれも重要な点において履行又は遵守されており、かつ、本取引基本契約書に基づく富士通の表明及び保証について重大な悪影響を及ぼす違反が存在していない旨の報告を受け、また、かかる義務の履行又は遵守を確認し、かかる表明及び保証の違反の存在を認識していないことから、上記の本公開買付前提条件④の充足を確認したとのことです。
⑤ 上記のとおり、2025年2月17日までに、本クリアランス取得が完了し、公開買付者は、上記の本公開買付前提条件⑤の充足を確認したとのことです。
⑥ 公開買付者は、当社から、2025年2月17日時点において、当社が当該日に公表する本公開買付けを含む本取引に関する事項を除き、法第166条第2項に定める当社に係る業務等に関する重要事実(法第166条第4項に従い公表されているものを除く。)が存在しない旨の書面を受領し、上記の本公開買付前提条件⑥の充足を確認したとのことです。
⑦ 公開買付者は、公開買付者による本取引に係る資金調達を目的とする借入に係る貸付人となる金融機関から、2025年2月17日時点において、決済不能事由が生じている旨の報告を受けておらず、また、かかる決済不能事由の発生を認識していないことから、上記の本公開買付前提条件⑦の充足を確認したとのことです。
⑧ 公開買付者は、当社から、本覚書が有効に存続していること及び本覚書に基づく当社の義務がいずれも重要な点において履行又は遵守されている旨の報告を受け、また、かかる本覚書の終了又は義務の不履行若しくは不遵守を認識していないことから、上記の本公開買付け前提条件⑧の充足を確認したとのことです。
⑨ 公開買付者は、当社から、本取引基本契約書締結日以降、本公開買付けが開始されていたとするならば、法第27条の11第1項但書の定めに従い、本公開買付けの撤回等が認められるべき事情(但し、令第14条第1項第3号に定められる事実で、重大な悪影響を及ぼすものに限る。)が当社に生じていない旨の報告を受け、上記の本公開買付前提条件⑨の充足を確認したとのことです。
⑩ 公開買付者は、当社から、当社の株主総会において、本取引基本契約書締結日以降の日に実施される剰余金の配当に関する議案が承認されていない旨の報告を受け、上記の本公開買付前提条件⑩の充足を確認したとのことです。
なお、2023年12月12日付公開買付者プレスリリースにおいて記載された本公開買付けの内容や条件に変更はないとのことです。
本取引は、①公開買付者による本公開買付け、②公開買付者が本公開買付けにより当社株式の全て(但し、富士通が所有する本富士通保有株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合に、当社の株主を公開買付者と富士通のみとするために当社が行う本株式併合(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」において定義されます。以下同じです。)による手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)、③本株式併合の効力発生を条件として、当社が実施する富士通が所有する本富士通保有株式の取得(以下「本自己株式取得」といいます。)を実行するための資金及び分配可能額を確保することを目的とする、(i)公開買付者による当社に対する資金提供(公開買付者を引受人とする第三者割当増資及び当社に対する貸付けによることを予定しているとのことです。以下「本資金提供」といいます。)、及び(ii)当社における、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含み、以下「会社法」といいます。)第447条第1項及び第448条第1項に基づく当社の資本金、資本準備金及び利益準備金の額の減少(以下「本減資等」といいます。(注10))、並びに④本自己株式取得から構成され、最終的に、公開買付者が当社を完全子会社化することを企図しているとのことです。なお、本株式併合の詳細については、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。
(注10) 本減資等においては、当社は、減少する資本金及び資本準備金の一部又は全額をその他資本剰余金に、また、減少する利益準備金の全額を繰越利益剰余金に、それぞれ振り替える予定です。
なお、本公開買付けに際し、公開買付者は、2023年12月12日付で、富士通との間で、本取引基本契約書を締結しており、①富士通が、その所有する本富士通保有株式全てについて本公開買付けに応募しないこと、②本自己株式取得に応じてその所有する本富士通保有株式の全てを売却すること等を合意しているとのことです。本取引基本契約書の詳細については、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 取引基本契約書」をご参照ください。
公開買付者は、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(22,491,200株(注11)、所有割合:16.65%)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。これは、本取引は、当社株式の非公開化を目的としているところ、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本株式併合の手続を実施するには、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされていること、また、富士通との間で本富士通保有株式について本公開買付けに応募しない旨及び本公開買付けが成立した場合には本スクイーズアウト手続に関する各議案に賛成する旨を合意していることを踏まえ、本取引を実施するために必要な株数を下限として設定したものとのことです。他方、本取引は、当社株式の非公開化を目的としているとのことですので、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(22,491,200株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
(注11) 買付予定数の下限(22,491,200株)は、当社第3四半期決算短信に記載された2024年12月31日現在の当社の発行済株式総数(135,171,942株)から、同日現在当社が所有する自己株式数(54,550株)を控除した株式数(135,117,392株)に係る議決権数である1,351,173個に3分の2を乗じた数(900,782個)から、本富士通保有株式(67,587,024株)に係る議決権数(675,870個)を控除した数(224,912個)に100を乗じた株式数(22,491,200株)であるとのことです。
本取引を図で表示すると大要以下のとおりとなるとのことです。
本公開買付け実施前(現状)
本書提出日現在において、富士通が当社株式67,587,024株(所有割合:50.02%)、その他の株主(当社を除きます。)が残りの67,530,368株(所有割合:49.98%)を所有しております。
公開買付者による本公開買付け
公開買付者は、当社株式の全て(但し、富士通が所有する本富士通保有株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を対象として、本公開買付けを実施するとのことです。
*本JICCファンドには、八十二インベストメントが有限責任組合員として出資する予定の八十二-JICC投資事業有限責任組合も含まれるとのことです。以下同じです。
公開買付者による株式併合を用いた本スクイーズアウト手続
本公開買付けの成立後、公開買付者が、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、富士通が所有する本富士通保有株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、公開買付者は、当社に対して、本株式併合を実施するよう要請し、当社の株主を公開買付者及び富士通のみとするための手続を実施する予定とのことです。
本自己株式取得に係る資金及び分配可能額の確保を目的とした本資金提供及び本減資等
当社株式の上場廃止、本株式併合の効力発生後に、本自己株式取得に必要な資金及び分配可能額を確保するために、公開買付者から当社に対し本資金提供を実施し、また、当社において、本減資等を実施する予定とのことです。
当社による富士通からの本自己株式取得
本減資等の完了後、当社において、本資金提供及び本減資等により確保した資金及び分配可能額を活用し、富士通が所有する本富士通保有株式の全てを取得するための本自己株式取得を実施することを予定しているとのことです。
本自己株式取得は、本株式併合後、有価証券報告書提出義務免除承認前に実施する可能性があるとのことですが、当社株式の上場廃止後に実施するものとのことであり、上場廃止後の株式は自社株公開買付け(法第27条の22の2)の対象となる「上場株券等」(法第24条の6第1項、令第4条の3)に該当しないため、本自己株式取得に際し自社株公開買付けは実施しない予定とのことです。
本取引後
本取引後、公開買付者は当社の発行済株式総数(当社が所有する自己株式数を除きます。)の全てを所有する予定とのことです。
公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を本出資により、その他の本取引に係る決済に要する資金を、本出資、並びに、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、八十二銀行及びあおぞら銀行からの借入(以下「本銀行融資」といいます。)により、それぞれ賄うことを予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日までに、本出資を受けることを予定しているとのことです。本銀行融資に係る融資条件の詳細は、各行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとされているとのことですが、本銀行融資に係る融資契約では、本JICCファンドが所有することとなる公開買付者の発行済株式(公開買付者の発行済株式の80%)の全部及び公開買付者が本公開買付けにより取得する当社株式等の一定の資産等が担保に供されることが予定されているとのことです。なお、本銀行融資に係る担保に供される予定である資産等のうち、当社及び当社の連結子会社が保有する資産等については本スクイーズアウト手続の完了後に担保に供されることが予定されているとのことです。
また、本自己株式取得は、当社の分配可能額の範囲内で行われますが、公開買付者は、本株式併合後に、本自己株式取得に要する資金及び当社の保有する現預金やその事業運営に要する現預金の水準等を勘案し、本株式併合後に本資金提供の実施を予定しているとのことです。なお、本公開買付価格及び本自己株式取得における自己株式取得の対価(株式併合前1株当たり。以下「本自己株式取得価格」といいます。)の算出においては、(i)本自己株式取得価格にて本自己株式取得が行われた場合の富士通の税引後手取り額として計算される金額が、(ii)仮に富士通が本公開買付価格で本公開買付けに応じた場合に得られる手取り金額と同等となる金額を基準としているとのことです。そのため、富士通が、当社の少数株主の皆様に比して利益を得るものではないとのことです。
② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針
(i)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景及び目的
(a)当社を取り巻く経営環境等
当社は、1946年2月に家庭用電球のリサイクルを主な事業とする合資会社長野家庭電器再生所として創業し、その後事業拡大のため、同年9月に新光電気工業株式会社に改組、改称いたしました。そして当社は、1957年には富士通の資本参加をもとに半導体分野への新たな事業展開を図り、進歩を続けるエレクトロニクス産業において半導体パッケージのリーディングカンパニーを自負する企業として幅広い半導体実装技術に基づく製品の開発・製造・販売を行ってまいりました。すなわち、本書提出日現在、当社及び子会社9社(以下「当社グループ」といいます。)で構成される当社グループは、開発・設計から出荷に至る一貫生産体制により、それぞれ世界トップクラスのシェアを有するフリップチップタイプパッケージ(注12)、プラスチックBGA基板(注13)、リードフレーム(注14)等のさまざまな半導体パッケージの開発・製造及び販売、ICの組立・販売並びに半導体製造装置用セラミック静電チャック(注15)の開発・製造及び販売を主要な事業としております。また、当社株式は、1984年12月に東京証券取引所市場第二部へ上場、1996年9月に市場第一部へ指定替え、その後の東京証券取引所の再編を経て、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しております。
当社グループは、中長期的な成長が見込まれるエレクトロニクス産業にあって、半導体の進化を支え、半導体の優れた機能を人々の生活へと繋ぐテクノロジーをもとに、世界中の人々の暮らしを豊かに彩るものづくりに取り組むとともに、お客様のニーズを起点とする優れた製品を開発・製造・販売することによって、「限りなき発展」を目指しております。また、このような「技術力」、「発展性」とともに、「国際性」、「温かさ」を企業理念として掲げ、世界各国のお客様と取引を行い、各地に拠点を展開するグローバル企業として国際社会での共存共栄を念頭に置き、多様な人材の能力を結集し、社員一人ひとりの成長を実現できる環境づくりに努め、「人と地球環境の温かさ」を考えた経営姿勢で事業を推進することにより、社会の健全な発展に寄与し、輝かしい未来の創造に貢献することを目指しております。
(注12) フリップチップタイプパッケージは、パソコンやサーバーのCPUをはじめ高性能半導体に主に使用されている半導体パッケージで、微細な配線パターンや多層構造、優れた電気特性等により、半導体の高速化・高密度化のニーズに対応しています。
(注13) プラスチックBGA基板は、スマートフォン向け半導体メモリー及び自動車向けマイクロコントロールユニット(MCU)などに主に使用されている半導体パッケージで、微細な配線パターンや多層構造等により、半導体の小型化・薄型化・高密度化のニーズに対応しています。
(注14) リードフレームは、スマホやパソコン、自動車、家電をはじめ幅広い用途に採用されており、当社では精密な金型を用いたプレス加工並びにエッチング加工によって、さまざまなリードフレームを提供しています。
(注15) セラミック静電チャックは、半導体製造装置のエッチング装置などに使用されている部品で、静電気を用いてシリコンウエハーを吸着・固定する役割を担っており、半導体製造装置の高性能化のニーズに対応しています。
第5世代移動通信システム(5G)の普及や、ビッグデータ、AI、IoTなどの活用の広がりによるDXの進展が、経済や社会の仕組みに変化をもたらし、これまでとは次元の異なるイノベーションを生み出す可能性を秘めており、半導体は、その可能性を実現するキーテクノロジーとして革新を続けていくことが期待されるとともに、戦略的な観点からもその重要性がさらに高まる状況にあります。また、自動運転、EV(電気自動車)等の技術開発が加速する自動車市場や人々の健康を支える医療分野など、半導体は、今後も市場を拡大することが見込まれています。加えて、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを加速し、GX(Green Transformation)の実現に不可欠なテクノロジーの進化を支えるキーデバイスとして、半導体のニーズはさらに高度化・多様化することが想定されます。一方、これまで、半導体の製造プロセスにおいて、ウェハー上に回路パターンを形成する前工程における微細化の進展が半導体の性能向上を主導してまいりましたが、半導体のさらなる高機能化・多機能化のニーズに対応するため、近年、後工程にあたるパッケージングプロセスの重要性が高まっています。特に、当社が主な事業内容とする半導体パッケージは、パソコンやサーバーのCPU等の高性能半導体に使用されているフリップチップタイプパッケージをはじめ、半導体の一層の高機能化・高速化と省電力対応に欠くことのできない中核製品として半導体産業におけるニーズを高め、注目を集めています。
このような産業にあって、当社グループは、これまで培ってきた多様かつ最先端の半導体実装技術をベースに、業界有数の製品シェアを有する各種半導体パッケージをはじめとして、高い競争力を持つ製品の開発とものづくりの革新に努め、お客様にとって、機能・性能、コスト、品質全てにおいて価値の高い製品・サービスを提供することにより、お客様の成功を支え、自らの発展・成長を目指しております。また、当社グループは、キャッシュ・フローを重視し、常に利益を創出できる強固な経営基盤の確立に努め、かつコーポレート・ガバナンスの充実を図るとともに、「成長分野への重点的展開」、「強固な生産体制の構築」、「SHINKO Wayの推進」に重点をおいた経営戦略を展開しております。
今後の経済環境は、米国においては、堅調な雇用・所得環境を背景に個人消費が底堅く推移し、また、日本では、社会経済活動の正常化に伴い、緩やかな回復が見込まれるものの、エネルギー、原材料価格等の高騰に加え、ロシア・ウクライナ紛争の長期化及び世界的なインフレ進行、欧米各国の金融引き締め、中国経済の減速等による景気後退が懸念されるなど、世界経済及び日本経済は、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
半導体業界におきましては、世界的な景気減速やコロナ特需の反動等を背景とするパソコンやスマートフォン等の需要減退や在庫調整の長期化及び半導体輸出規制の影響等により、厳しい市場環境となることが想定されます。一方で、5Gの普及、AI・IoTの活用拡大、DXの進展等による社会・経済のデジタル化によって、今後も半導体は用途を広げ、需要は中長期的に拡大することが見込まれ、一層の高機能化・高性能化のニーズがさらに高まることが想定されます。また、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速する中で、再生可能エネルギーへの転換や省エネルギーの推進をはじめとするGXの実現を支えるキーテクノロジーとして半導体の重要性が高まるとともに、高度化・多様化する市場のニーズや需要動向の変化に対し、迅速かつ柔軟に対応し得る開発・生産体制を構築することを要するなど、世界規模での競争が一段と激化することが予想されます。
このような厳しい環境下にあって、当社グループといたしましては、全社において一層の生産性向上、コストダウン等の取り組みを強化するとともに、積極的な受注活動を展開することにより、売上確保を図っております。また、高い成長が見込まれる市場に向け継続的・重点的に設備投資を実施し、生産能力の増強による売上の拡大を従前より図ってまいりましたが、引き続き、成長市場向けの設備投資・技術開発を着実に実行し、今後の発展を目指しております。半導体の一層の高機能化・高速化や省電力化等のニーズに対応するフリップチップタイプパッケージについては、当社6ケ所目の生産拠点として、2023年12月に竣工した千曲工場(長野県千曲市)の整備に注力するなど、サーバー向け等の先端半導体市場の拡大を踏まえ、生産体制強化及び顧客基盤の拡充に取り組んでおります。加えて、中長期的に大きな成長が予想されるハイパフォーマンスコンピューティング市場のニーズに対応することを目的に、当社が開発したi-THOP®(integrated Thin film High density Organic Package:アイソップ)をはじめとする次世代フリップチップタイプパッケージの千曲工場における新たな設備投資を計画しており、この計画は、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(経済安全保障推進法)に基づく「供給確保計画」に認定されております。セラミック静電チャックについては、半導体製造装置市場の拡大に伴い、その基幹部品として継続的な需要伸長が想定されることから、高丘工場(長野県中野市)新棟の整備等により、量産体制の拡充を図っております。このほか、新井工場(新潟県妙高市)におきまして、半導体メモリーの高速化・大容量化に対応するプラスチックBGA基板の生産能力増強を図るべく、着工した新棟建設を推進するなど、半導体の高性能化に寄与する当社製品の更なる市場拡大を目指しております。
また、厳しい事業環境において、収益基盤の一層の強化を図るべく、開発・設計から生産に至る全ての段階において品質を造り込み、優れた製品を安定的に供給することができる生産体制の確立に努めるとともに、市場の動向を的確に捉え、これまで培ってまいりました多様な半導体実装技術をもとに、高い競争力を持つ新製品の開発や商品化に注力しております。
上記のような当社を取り巻く経営環境の中で、当社製品・テクノロジーの中長期的な市場拡大の可能性を的確に捉え、「限りなき発展」を目指す上で、市場ニーズを先取りする技術開発や機動的な設備投資の実行がますます重要となり、加えてそれらに要する資金規模も大型化することが想定され、厳しさを増す競争環境において、これまで以上に意思決定のスピードアップや資金調達手段の多様化並びに当社事業推進において根幹となる人的資本の拡充など、当社の持続的な企業価値向上を実現する方策について、少数株主の皆様の利益に配慮しつつ、資本構成のあり方を含めたさまざまな検討を進めてまいりました。
(b)公開買付者と当社及び富士通との協議、公開買付者による意思決定の過程等
JICCは、2018年9月に、産業競争力強化法に基づき、オープンイノベーション(注16)を通じた産業競争力の強化と民間投資の拡大という政策目的の実現に寄与するべく発足した投資会社であるJICの完全子会社であり、オープンイノベーションによる企業の成長と競争力強化のための資金供給を通じて民間投資を促進するとともに、投資人材の育成等を行い、我が国の次世代産業を支えるリスクマネーの好循環創出を目的に設立されたとのことです。大規模・長期・中立的なリスクマネー供給を通じて、国内産業の国際競争力強化に向けた事業再編の促進、Society 5.0(注17)の実現に向けた新規事業・新産業の創造、デジタルトランスフォーメーション(DX)(注18)促進をはじめとした次世代社会基盤の構築、社会的課題の解決、民間資金の呼び水といった政策目標と収益目標の両立をミッションとしているとのことです。かかる理念の下で設立されたJICCとしては、当社が現在の資本構成に制限されることなく、また短期的な業績変動に動じることなく、非公開化した上で企業価値の向上を目指すこと、並びにこれをもって当社の事業が対面する半導体業界の国際競争力強化に向けた民間資金獲得の契機に繋げることを本取引の主たる目的としているとのことです。
(注16) 「オープンイノベーション」とは、組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすことをいうとのことです。
(注17) 「Society 5.0」とは、2016年1月22日に閣議決定された第5期科学技術基本計画において提唱された我が国が目指すべき未来社会の姿であり、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会をいうとのことです。
(注18) 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することをいうとのことです。
JICCは2020年9月の設立以来、JICグループ(JIC並びにその子会社及び関連会社の総称を意味します。)内における、バイアウト投資(注19)・ラージグロース投資(注20)を担うファンドとして、投資機会を検討してきたとのことです。具体的には、JICCは、2023年10月に日立Astemo株式会社への資本参加を完了しており、JICCの資本参加を通じて、JICCが有する自動車業界を含む豊富な投資・支援実績を踏まえた知見や情報ネットワークの提供を行うことにより、競争優位性のあるソフトウェア開発力を生かしながら、先進分野への投資を加速させ、持続的な成長の実現を支援していくとのことです。
(注19) 「バイアウト投資」とは、国内外企業の再編・統合を通じて、産業構造の改革及び国際競争力強化を目指す投資戦略をいいます。
(注20) 「ラージグロース投資」とは、国内外の高成長企業への出資により、当該企業の国際競争力強化を目指す投資戦略をいいます。
また、JICCは、半導体材料領域において、2023年6月26日に、JSR株式会社(以下「JSR」といいます。)の公開買付けを通じた非公開化を行う方針を公表し、2024年6月25日に、当該非公開化を完了しております。JICCは、かかるJSRの非公開化を通じて、JSRのパートナーとして、政府系ファンドという中立性を生かしながら国内半導体材料業界における円滑な業界再編や統合に向けた支援を行うとともに、JSRの短期的な業績変動にとらわれない構造改革を推進することで企業価値向上の実現を支援していくとのことです。
これに加えて、JICCには、JICが全株式を所有し、JICCと同様のミッションを掲げる株式会社INCJ(以下「INCJ」といいます。)にて投資経験を有する人員も複数参画しており、国内外の幅広い官民ネットワークに加え、上記のとおり、近接領域における投資実績や国内業界再編案件、大規模かつ複雑な案件の遂行を通じて知見を蓄積してきたとのことです。
半導体領域における投資事例として、INCJでは、2012年に三菱電機株式会社、株式会社日立製作所及び日本電気株式会社の各半導体事業が前身のルネサスエレクトロニクス株式会社(以下「ルネサス」といいます。)への投資を実行しているとのことです。当該投資は、世界最高水準の技術力を誇るルネサスに対し、変化の激しい半導体業界を生き抜くための強靭な収益構造構築のための改革及び成長投資の推進の支援を行い、我が国の半導体産業の国際的競争力の回復及び強化を目指すことを企図したものとのことです。投資実行後には、ルネサスは、新たな株主構成の下でガバナンスを整備するとともに、生産・事業・人員施策を含む構造改革の着実な実行により、確実に利益を出せる体質に変革を遂げたとのことです。さらに、ルネサスは、2017年以降Intersil Corporation、Integrated Device Technology, Inc及びDialog Semiconductor Plcといった半導体企業を買収し、製品ラインナップ・顧客ベースを拡充することでグローバル半導体メーカーとして成長を加速させることに成功しているとのことです。
DNPグループは、企業理念に「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを掲げて、持続可能なより良い社会、より心豊かな暮らしを実現するために、長期的視点に基づいて事業活動を展開しているとのことです。DNPグループ独自の「P&I」(印刷と情報:Printing & Information)の強みを活かし、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値の創出に取り組んでいるとのことです。DNPグループでは、2023年4月に策定した2023-2025年度の中期経営計画において、情報社会を支える半導体関連を注力事業領域の一つとして位置付け、半導体部材の「フォトマスク」を提供しているとのことです。また半導体関連事業における次世代の成長をけん引する新規事業として先端半導体の実装部材である「TGVガラスコア基板」を開発しているとのことです。
三井化学は、1997年10月1日をもって三井化学の前身である三井石油化学工業株式会社と三井東圧化学株式会社とが対等合併して発足した会社であり、その淵源は、1933年4月に、三井東圧化学株式会社の前身である東洋高圧工業株式会社が福岡県大牟田市で硫安工業の操業を開始したことに始まるとのことです。1955年7月に三井グループ8社により設立された三井石油化学工業は、1962年10月、東京証券取引所市場第二部及び大阪証券取引所市場第二部に上場し、1965年2月に東京証券取引所市場第一部及び大阪証券取引所第一部に指定(大阪証券取引所第一部については、2003年12月に上場廃止)されているとのことです。なお、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、本書提出日現在は東京証券取引所プライム市場に上場しているとのことです。また、三井化学及び三井化学の連結子会社127社、ジョイント・オペレーション(共同支配事業)4社並びに関連会社及びジョイント・ベンチャー(共同支配企業)25社(2024年12月31日現在)(以下「三井化学グループ」といいます。)は、(i)「ライフ&ヘルスケア・ソリューション」、(ii)「モビリティソリューション」、(iii)「ICTソリューション」、(iv)「ベーシック&グリーン・マテリアルズ」の4事業領域を主な事業とし、長期経営計画「VISION 2030」に基づき、(i)(ii)(iii)の3事業を成長領域と捉えて、高成長・高収益のグローバルスペシャリティケミカル事業とすることを目指しているとのことです。(iii)の「ICTソリューション」事業には、「半導体・実装ソリューション」、「イメージングソリューション」、「電池材料ソリューション」、「コンバーティングソリューション」の4つの事業領域を設定し、ユニークな事業の創造・拡大を図る戦略により三井化学グループの第3の柱への成長を図るとのことです。
上記「(a)当社を取り巻く経営環境等」に記載の経営環境の下において、当社は、企業価値の向上に向けた様々な経営戦略の検討を進める中、2021年9月、富士通より、本富士通保有株式の全部又は一部を売却したい旨の意向を受け、本富士通保有株式の具体的な売却方法について、2022年1月から、富士通との間で協議を開始しました。その後、富士通は、売却先となり得る複数の潜在的な候補者と面談を実施するとともに、富士通グループからのカーブアウトの方法及び潜在的な候補者との資本業務提携等様々な選択肢を検討しました。その間、富士通と当社との間では断続的に協議は行われていたものの、具体的な交渉は行われず、協議は進展しませんでしたが、その後、当社は、2022年6月に富士通から具体的な提案を受けたことから、2022年7月より、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」といいます。)を財務アドバイザー及び第三者算定機関として、SMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を財務アドバイザーとして、西村あさひ法律事務所(現:西村あさひ法律事務所・外国法共同事業。以下「西村あさひ法律事務所」といいます。)を法務アドバイザーとしてそれぞれ選任しております。
その上で、当社は、2022年7月から2023年3月にかけて実施した富士通との協議を踏まえ、富士通グループのみならず少数株主の皆様の利益が最大化されると同時に、当社グループの企業価値の更なる向上が実現されるよう、上場維持を含む様々な選択肢を慎重に検討いたしました。その結果、当社は、当社事業に強い関心を示すと考えられる複数の候補者を対象とした、本富士通保有株式の全部売却による当社の資本政策についての入札手続(以下「本入札プロセス」といいます。)を実施することが当社及び当社の株主の皆様にとって望ましいとの判断に至りました。かかる判断に基づき、当社及び富士通は、2023年3月下旬より、事業上のシナジーに照らして当社との協業に関心があると想定される事業会社や本邦市場で十分な投資実績を有する投資ファンドを含めた潜在的な売却先に打診し、本入札プロセスへの参加に関心を有した事業会社1社や投資ファンド8社(JICCを含みます。)に対して第一次入札プロセスを開始いたしました。
JICCは、以前から富士通との面談を通じて、当社を含む様々な投資機会について継続的に意見交換をしてきましたが、上記第一次入札プロセスの一環として、富士通の財務アドバイザーである野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)から同入札プロセスへの参加に関する打診を受け、当該プロセスへの参加に至ったとのことです。
当該打診を受け、JICCは、当社より提供を受けた当社の事業にかかる見通し、経営方針等の情報に基づく初期的な検討を行い、2023年5月12日に、中長期的な視点で企業価値の向上を図るべく、当社株式の公開買付け及びスクイーズアウト手続を通じた当社株式の非公開化を提案する法的拘束力を持たない意向表明書(以下「初期意向表明書」といいます。)を提出したとのことです。
そして、当社及び富士通は、同年5月下旬、JICCを含む複数の候補者が当社による富士通からの自己株式取得を含む取引手法を前提とした意向表明書を提出したことから、内容について慎重に検討を行い、第二次入札プロセスへの参加を打診するJICCを含む4社の投資ファンドを選定いたしました。その後、同年6月下旬より、第二次入札プロセスを開始し、候補者による当社に対するデュー・ディリジェンスを経て、同年9月にJICCから法的拘束力のない提案を受領し、同年10月に他の候補者1社から法的拘束力のない提案を書面で受領し、同年11月にJICCから法的拘束力のある最終提案を書面で受領しましたが、当該他の候補者1社からは法的拘束力のある最終提案の提出がなされなかったため、各候補者の提案内容を総合的に検討した結果、同月下旬、JICC及び他の候補者の中から、取引価格、取引確実性、取引迅速性を主要な判断軸として、JICCを最終買付候補者として選定し、JICCと本自己株式取得を含む本取引の実施に向けた協議及び検討を開始いたしました。
JICCは、初期意向表明書提出後、2023年6月下旬に、富士通の財務アドバイザーである野村證券及び当社の財務アドバイザーである三菱UFJモルガン・スタンレー証券より、第一次入札プロセスの通過及び第二次入札プロセスへの参加意向確認に関する連絡を受けたとのことです。また、JICCは、DNP及び三井化学それぞれとの間で、本入札プロセスが開始される前から、当社以外も含めた企業に対する新たな投資機会における共同検討に関して情報交換を行っていたとのことです。その一環として、当社についても潜在的な投資機会の一つとして認識し情報交換を行っていたところ、2023年6月1日の富士通子会社売却に係るBloombergによる観測記事の掲載を踏まえ、協働して本取引を実施することに関する具体的な協議を開始したとのことです。そして、第二次入札プロセスにおいて本取引を検討するに際して、同年6月下旬に当社及び富士通に対して、JICCとDNP及び三井化学との本取引における協働を申し出、承認する旨の連絡を受けたことを踏まえ、本取引における資金調達の蓋然性をさらに高めること、並びにDNP及び三井化学の知見を活用することによる当社の企業価値の最大化を図り、ステークホルダーの更なる理解を得るため、DNP及び三井化学と協働して第二次入札プロセスへ参加することにつき検討を開始し、同年7月下旬から9月中旬にかけてDNP及び三井化学と協働して当社のデュー・ディリジェンスを行い、当社の事業内容及び当社を取り巻く経営環境、成長戦略、経営課題等に対する理解を深めると同時に、会計、税務、法務、環境などの分野に関して確認を行ったとのことです。デュー・ディリジェンスを進める中、JICC、DNP及び三井化学は、本取引が、当社が世界をリードし続けるための貴重な協働の機会であるとの認識を確認し、以下のとおり、当社にとってJICC、DNP及び三井化学のコンソーシアムである公開買付者が最適なパートナーであると確信するに至ったとのことです。すなわち、政府系ファンドとして大規模・長期・中立的なリスクマネーを供給できるJICCが主導して当社を非公開化することにより、不確実な経済環境が続く中にあっても、短期的な業績変動に動じず、中長期的な観点で企業価値の向上に資する取組みを推進していくことができると考えているとのことです。JICCは、当社を取り巻く事業環境は、市場ニーズを先取りする技術開発や機動的な設備投資の実行がますます重要となり、加えてそれらに要する資金規模も大型化することが想定されるため、短期的な業績変動にとらわれない中長期的な観点での取り組みや意思決定の迅速化を、当社の非公開化を通じて実現することが特に重要と考えているとのことです。また、DNPにおいては、長年培った微細加工技術、精密塗工技術及び材料開発技術と当社が有する半導体パッケージ関連技術を組み合わせることで、当社の目指す次世代半導体ビジネスに貢献すること、また、三井化学においては、当社の半導体パッケージ基板技術と三井化学の材料技術を連携させることで、当社の次世代半導体パッケージ基板の分野における市場競争力の強化・維持、及び顧客へのソリューション提案力の強化を図ることができると考えているとのことです。そして、JICC、DNP及び三井化学それぞれが、上記を一体となって取り組むことにより、当社の中長期的な企業価値に大きく貢献することができると考えているとのことです。
なお、JICCは、当社の非公開化による重大なデメリットは特に存在しないものと考えているとのことです。具体的には、当社の富士通グループからの離脱による影響として、富士通グループに属することによる信用力の喪失、及び富士通による業務支援の喪失が考えられますが、前者に関しては日本政府系ファンドであるJICC並びに日本における大手企業であるDNP及び三井化学が当社の株主となることで、当社の非公開化後も当社の信用力を補完することができると考えており、後者に関しては、当社の非公開化後に外部への委託等を行うことで代替可能であるため、富士通グループからの離脱に伴う重大なデメリットは存在しないものと考えているとのことです。
また、JICCは、2023年8月下旬、公開買付けにおける資金調達先候補として協議していた八十二銀行より、当社をメインバンクの1行として長年にわたり支援してきた実績を活かし、リスクマネーの供給を通じて当社の成長を支えることで中長期的な企業価値向上をより多面的に支援し、ひいては長野県内における地域活性化にも貢献する観点で、グループ会社の八十二インベストメントを通じても本取引への協働に加わりたい旨の打診を受け、また、2023年9月上旬、八十二インベストメントが協働に加わることにつき当社及び富士通よりこれを認める旨の連絡を受けたことを踏まえ、2023年9月下旬、八十二インベストメントにおいても当社へのデュー・ディリジェンスを行った結果、八十二インベストメントは、本JICCファンドに対し、八十二サステナビリティ1号投資事業有限責任組合を通じて有限責任組合員として出資を行うこととしたとのことです。
JICCは、我が国の先端半導体の開発における中心的な役割を担う1社と考えられる当社の非公開化を実現することで、当社の各事業における本来の潜在成長力を最大限引き出し、ひいてはグローバルでもトップ水準にある当社の技術を維持・進化させながら、更なる日本の産業振興につなげる道筋を作りたいと考えているとのことです。具体的には、JICCは、当社が今後、経済産業省が構想する半導体製造基盤強化の観点でも技術革新を支える部品・素材企業として重要な位置に付けられると考えているとのことです。
5Gの普及、AI・IoTの活用拡大、DXの進展等による社会・経済のデジタル化によって、今後も半導体は用途を広げ、需要は中長期的に拡大することが見込まれ、一層の高機能化・高性能化のニーズがさらに高まることが想定される一方、迅速かつ柔軟に対応し得る開発・生産体制の構築を要するなど、世界規模での競争が一段と激化することが予想されているとのことです。
こうした背景の下、本公開買付けを通し、当社が短期的な業績に動じず、中長期的な観点で企業価値向上に資する取組を推進できるよう、JICCはDNP、三井化学、また八十二インベストメントと共に当社の非公開化を図り、当社がこれまで培った多様な半導体実装技術をもとに、チップレット技術や光電融合技術といった先進半導体パッケージ分野の事業化を強力に支援していくことができると考えているとのことです。
それにより、当社の事業、技術は、半導体プロセスの微細化競争及び3次元実装を中心とした先端領域の技術開発、また光電融合技術等の次世代半導体技術を他国に先んじて実用化することに大きく貢献することができるものと考えているとのことです。
このように、JICC、DNP及び三井化学により構成されるJICC連合は、関連業界での豊富な投資経験に基づく知見の提供や、投資先各企業の紹介、技術提携等を通じ、当社とその株主の皆様、経営陣、その他ステークホルダーの利益を共に最大化することが可能であると考えているとのことです。
上記の検討を踏まえ、JICCは、2023年9月15日に、富士通及び当社に対し、本公開買付価格について、当社株式1株当たり6,000円、本自己株式取得価格について、当社株式1株当たり4,320円とする法的拘束力のない提案を書面で行ったとのことです(当社株式1株当たり6,000円の本公開買付価格の提案は、当該提案がなされた2023年9月15日の前営業日である2023年9月14日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値6,015円に対して0.25%(小数点以下第三位を四捨五入しているとのことです。以下、プレミアム・ディスカウント率の計算において同じとのことです。)のディスカウント、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,907円(小数点以下を四捨五入しているとのことです。以下終値単純平均値の計算において同じとのことです。)に対して1.57%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値5,818円に対して3.13%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値5,107円に対して17.49%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)。
その後、JICCは、同年9月21日に富士通より本公開買付価格及び本自己株式取得価格の引き上げに関する検討を依頼されたことを受け、同年9月26日に、富士通及び当社に対し、本公開買付価格について、当社株式1株当たり6,100円、本自己株式取得価格について、当社株式1株当たり4,391円に引き上げる法的拘束力のない提案を書面で行ったとのことです(当社株式1株当たり6,100円の本公開買付価格の提案は、当該提案がなされた2023年9月26日の前営業日である2023年9月25日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値5,895円に対して3.48%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,923円に対して2.99%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値5,843円に対して4.40%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値5,213円に対して17.02%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)。この時点では、公開買付者は、本取引のための必要資金の調達方法のうち、普通株式による出資及び無議決権優先株式による出資について各出資者からのコミットメントレターの取得が未了であったことに加え、シニアローンについて金融機関からのコミットメントレターの取得も未了な状態であったとのことです。
その後、同年10月18日、当社はJICCに対し、2024年3月期第3四半期以降の業績の最新の見通しに関する説明(以下「2023年10月18日業績説明」といいます。)を行いました。2023年10月18日業績説明において、当社は、最新の市況に基づき、当社の業績回復時期が当初見通しより遅れており、2024年3月期の売上高を下方修正した旨の説明を行いました。JICCは、当該説明の内容を踏まえ、富士通との間で提案内容や本公開買付価格及び本自己株式取得価格に関する継続的な協議・交渉を重ねた結果、当社が創出可能なキャッシュ・フローが特に短期において減少したこと、その結果将来のアップサイドへの当社の追加投資余力が下がったと判断したとのことです。そこで、JICCは、同年11月7日に、富士通に対し、最終提案提出に先んじて、本公開買付価格について、当社株式1株当たり5,700円に引き下げることを提案したとのことです(当社株式1株当たり5,700円の本公開買付価格の提案は、当該提案がなされた2023年11月7日の前営業日である2023年11月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値5,345円に対して6.64%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,436円に対して4.86%のプレミアム、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値5,715円に対して0.26%のディスカウント、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値5,555円に対して2.61%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)。その後、JICCは、富士通から、同年11月7日に、本公開買付価格の引き上げに関する検討を依頼されたことを受けて、同年11月7日、富士通に対し、本公開買付価格について、JICCとして考える適正な範囲内の価格として当社株式1株当たり5,900円に引き上げる提案を行ったとのことです(当社株式1株当たり5,900円の本公開買付価格の提案は、当該提案がなされた2023年11月7日の前営業日である2023年11月6日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値5,345円に対して10.38%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,436円に対して8.54%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値5,715円に対して3.24%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値5,555円に対して6.21%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)。また、その後、富士通は、JICCに対し、同年11月8日に、本公開買付価格の引き上げに関する再検討を依頼したとのことであり、JICCは、当該依頼を受け、同年11月8日、富士通に対し、本公開買付価格について、JICCとして考える適正な範囲内の価格として、当社株式1株当たり5,910円に引き上げる提案を行ったとのことです(当社株式1株当たり5,910円の本公開買付価格の提案は、当該提案がなされた2023年11月8日の前営業日である2023年11月7日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値5,057円に対して16.87%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,417円に対して9.10%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値5,700円に対して3.68%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値5,552円に対して6.45%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)。
その後、JICCは、同年11月11日に、富士通及び当社に対し、本公開買付価格について、当社株式1株当たり5,910円、本自己株式取得価格について、当社株式1株当たり4,211円とする法的拘束力のない提案を書面で行ったとのことです(当社株式1株当たり5,910円の本公開買付価格の提案は、当該提案がなされた2023年11月11日の前営業日である2023年11月10日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値5,327円に対して10.94%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,382円に対して9.81%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値5,673円に対して4.18%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値5,580円に対して5.91%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)。当社は、当該提案内容について検討した当社特別委員会の意見を踏まえて、同年11月16日、JICCに対し、本公開買付価格が当社の少数株主の利益確保の観点で十分な水準であると結論づけることはできないとの理由で、本公開買付価格の引き上げを要請しましたが、JICCは、同年11月20日に、改めて、富士通及び当社に対し、本公開買付価格について、当社株式1株当たり5,910円、本自己株式取得価格について、当社株式1株当たり4,211.1円とする法的拘束力のある最終提案(以下「最終提案」といいます。)を書面で行ったとのことです(当社株式1株当たり5,910円の本公開買付価格の提案は、当該提案がなされた2023年11月20日の前営業日である2023年11月17日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値5,465円に対して8.14%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,314円に対して11.22%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値5,645円に対して4.69%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値5,623円に対して5.10%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)。最終提案の提出に当たり、JICCにおいては、本取引のための必要資金の調達方法のうち、普通株式による出資及び無議決権優先株式による出資について各出資者(JICC、DNP、三井化学及び八十二インベストメント)からのコミットメントレターの取得、並びにシニアローンについて金融機関(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、八十二銀行及びあおぞら銀行)からのコミットメントレターの取得が完了していたとのことです。当社は、最終提案の提案内容について検討した当社特別委員会の意見を踏まえ、同年11月21日、JICCに対し、当社事業の中長期の見通しが変わらないことも踏まえれば、価格の引き下げは望ましくなく、また、本公開買付価格が当社の少数株主の利益確保の観点で十分な水準であると結論づけることはできないとの理由で、本公開買付価格の引き上げを改めて要請しましたが、JICCは、直近の半導体市況などを踏まえた総合的な判断により本公開買付価格の見直しの必要はないと判断したとのことです。
その後、JICC、富士通及び当社は、最終提案の提出以降、最終提案の内容や本公開買付価格及び本自己株式取得価格に関する継続的な協議・交渉を重ねる中で、JICCは、当社特別委員会より、2023年11月27日に、公開買付者が提示した当社株式1株当たり5,910円の公開買付価格の基礎となる考え及び根拠並びに最終提案に係る本公開買付価格及び本自己株式取得価格が同年9月26日付の提案内容より引き下げられた理由に関する質問を書面で受領したとのことです。当該質問を受け、JICCは、2023年11月30日に、当社が開示した財務情報等の資料、JICCが当社に対して2023年7月下旬から9月中旬にかけて実施したデュー・ディリジェンスの結果等に基づき、当社の事業及び財務の状況を多面的・総合的に分析の上、当該分析を反映した財務モデルの作成を行い、JICCとして必要とする投資リターンが確保できる公開買付価格を算出した旨及び2023年10月18日業績説明と2023年10月26日に行われた第2四半期の決算発表に加え、直近の半導体市況や金利動向等のマクロ環境の不確実性を踏まえた総合的な判断により本公開買付価格及び本自己株式取得価格を引き下げた旨の回答を当社特別委員会に対し書面で送付したとのことです。
また、2023年11月28日に、JICCは、富士通より、本公開買付価格の引き上げについての要求を書面で受領したとのことです。加えて、同年12月4日に、当社は、JICCに対し、本公開買付価格の引き上げを要請する旨の当社及び当社特別委員会の見解を書面で送付しました。当該書面においては、公開買付価格の基礎となる考え及び根拠並びに価格引き下げの理由に関するJICCからの回答内容を検討した当社特別委員会の意見を踏まえて、当社及び当社特別委員会が意思決定に際し重視する当社の本源的価値の前提となる、当社の中長期的な事業の見通しは変わっていないこと及び半導体市場の回復がずれ込む見通しとなったことを踏まえて2024年3月期の業績予想の見直しを行いましたが、かかる半導体市況の回復のずれ込みによって当社の本源的価値に本質的な影響はないこと並びに公表日前営業日を基準とするプレミアムについても相当程度勘案をする必要があると考えられるところ、現在の本公開買付価格5,910円を前提とするプレミアム水準では、本公開買付け成立の蓋然性について懸念があること等を理由に、本公開買付価格の引き上げを要請する旨を記載しました。
その後、同月5日に、JICCは、当社特別委員会より、中長期的な事業の見通しは変わっていないにもかかわらず、本公開買付価格を引き下げた理由及び同年9月26日から最終提案を提出した同年11月20日までの短期間において半導体市況や金利動向等のマクロ環境の見立てが変化したのか等に関する再質問を書面で受領したとのことです。
こちらを受け、同月6日に、JICCは、当社に対し、本公開買付価格5,910円を維持する旨の回答を書面で送付したとのことです。当該書面において、JICCは、当社の第2四半期の決算実績及び通期業績予想の修正とともに、当該下方修正により成長投資等が後ろ倒しになるリスク、半導体市況の回復の遅れ及びボラティリティや不透明な金利動向、不安定な世界情勢による潜在的な地政学リスク等のマクロ環境の観点並びに憶測報道等がなされた案件におけるプレミアムの考え方等を理由に価格引き下げは妥当であり、本公開買付価格5,910円を維持する旨を回答したとのことです。
また、同月7日、JICCは、当社特別委員会に対して、再質問への回答として、上記のマクロ環境の観点から、価格の引き下げは妥当である旨回答したとのことです。
その後、同月8日、JICCは、当社より、本公開買付価格の引き上げを要請する旨の当社及び当社特別委員会の見解を書面で再度受領したとのことです。当該書面においては、JICCからの回答内容を検討した当社特別委員会の意見を踏まえて、JICCが主張するマクロ経済状況の短期的な変化による当社の本源的価値への本質的な影響はないことや現在の本公開買付価格5,910円を前提とするプレミアム水準では、本公開買付け成立の蓋然性について懸念があること等を理由に、本公開買付価格の引き上げを要請する旨を記載しました。
こちらを受け、同月10日、JICCは、当社に対し、本公開買付価格5,910円を維持する旨の回答を書面で送付したとのことです。当該書面において、JICCは、中長期的な事業見通しに加え、短期的な事業見通しの悪化に伴う将来のアップサイドへの影響、半導体市況の見通しやマクロ経済状況といったマクロ要因等、総合的な判断に基づき、引き続き本公開買付価格5,910円を維持する旨を回答したとのことです。
その後、JICCは、当社及び富士通より、JICCからの回答内容を検討した当社特別委員会の意見を踏まえて、同月12日、JICCからのこれまでの回答内容には一定の合理性が認められるものの、当社の少数株主利益を十分に確保出来ていると結論付けることが依然難しいこと等を理由に、本公開買付価格の引き上げを要請する旨の当社、当社特別委員会及び富士通の見解を口頭で再度受領したとのことです。
これらの当社、当社特別委員会及び富士通からの要請を受け、JICCは、同月12日、当社及び富士通に対し、度重なる当社特別委員会、当社及び富士通の要請を受けたことを理由に、当社の本源的価値評価の範囲内の価格としつつ本公開買付け成立の蓋然性をより高めるため、本公開買付価格について、当社株式1株当たり5,920円、本自己株式取得価格について、当社株式1株当たり4,218.1円とする旨の提案を書面で送付したとのことです。その後、JICCは、同月12日、当社及び富士通より、JICCの当該提案に合意する旨の回答を書面で受領したとのことです。
その後、公開買付者は、本公開買付けの実施に向けて、国内外の競争法等に基づく必要な手続及び対応を進めていたとのことですが、2024年8月26日付公開買付者プレスリリースによれば、同日時点で、日本、韓国、ベトナム及び中国の競争法に基づく必要な手続及び対応のうち、ベトナム及び中国においてかかる手続及び対応が完了していなかったとのことです。その後、公開買付者は、ベトナム国家競争委員会から、本株式取得を承認することを決定する旨の2024年11月20日付の通知を受領し、ベトナムの競争法に基づく手続が完了したことを確認したとのことです。また、中国の競争法に基づく本株式取得に係る事前届出については、中国国家市場監督管理総局から本株式取得を承認することを決定する旨の2024年12月27日付の通知を受領し、中国の競争法に基づく手続が完了したことを確認したとのことです。そして、公開買付者は、上記「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、その他の本公開買付前提条件についても、いずれも充足されたことを確認したことから、本公開買付けを2025年2月18日より開始することとしたとのことです。
本公開買付価格5,920円は、当該提案がなされた2023年12月12日の前営業日である2023年12月11日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値5,240円に対して12.98%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,377円に対して10.10%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,502円に対して7.60%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値5,658円に対して4.63%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。また、本公開買付価格は、富士通グループの再編期待に伴う当社株価変動のきっかけとなった、2023年6月1日の富士通子会社売却に係るBloombergによる観測記事掲載の前営業日の終値4,980円に対して18.88%、同日までの過去1ヶ月の終値単純平均値4,519円に対して31.00%、同過去3ヶ月の終値単純平均値4,094円に対して44.60%、同過去6ヶ月の終値単純平均値3,898円に対して51.87%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。
なお、当該提案では、富士通において、法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを踏まえ、当社の少数株主の皆様への配分をより多くすることで、公開買付価格の最大化と株主間の公平性を両立させることができるとの考えの下、本公開買付価格及び本自己株式取得価格を設定した上で、本取引のスキームを提示しているとのことです。また、かかる本公開買付価格及び本自己株式取得価格の算出においては、(i)本自己株式取得価格にて本自己株式取得が行われた場合の富士通の税引後手取り額として計算される金額が、(ii)仮に富士通が本公開買付価格で本公開買付けに応じた場合に得られる手取り金額と同等となる金額を基準としているとのことです。そのため、富士通が、当社の少数株主の皆様に比して利益を得るものではないとのことです。
(ii)本公開買付け後の経営方針
上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、本スクイーズアウト手続により、当社の株主を富士通及び公開買付者のみとすることを企図しているとのことです。そして、本スクイーズアウト手続の完了後、富士通がその時点で所有する全ての当社株式に対して当社が本自己株式取得を行うことで、当社株式(自己株式を除きます。)の100%を公開買付者が所有することとなるとのことです。
本取引の完了後、JICCは、当社の各事業における本来の潜在成長力を最大限引き出し、ひいてはグローバルでもトップ水準にある当社の技術を維持・進化させながら、更なる日本の産業振興につなげる道筋を作りたいと考えているとのことです。具体的には、当社は半導体製造基盤強化の観点でも技術革新を支える部品・素材企業として重要な位置に付けられ、その事業及び技術は、(i)半導体プロセスの三次元実装を中心とした先端領域の技術開発、(ii)光電融合技術等の次世代半導体技術の実用化に大きく貢献することができるものと考えているとのことです。加えて、JICCは、当社の役職員とともに、今まで当社が築き上げてきた確固たる事業基盤を活かしつつ、JICCと同様のミッションを掲げるINCJにて投資経験を有する人員も複数参画していることから、INCJにおける半導体・電子部品業界への豊富な投資実績を通じて得た知見・ネットワークを活かすことで、当社の更なる事業成長及び企業価値の向上を目指していくとのことです。その上で、JICCは、本取引を通じて当社の事業成長及び企業価値の向上が実現した後は、当社株式の再上場を行うことを基本方針としているとのことです。
また、JICCによれば、当社においては、技術力・ものづくり・発展性・国際性・温かさといった当社の企業理念、質素倹約・現場主義といった創業者精神に基づいて、その事業が展開されているとのことです。本取引の完了後は、これらの企業理念及び創業者精神を第一に尊重しつつも、これらに加え、DNPの「DNPグループは、人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」という企業理念、及び、三井化学の「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する。」という経営ビジョンをも踏まえ、当社の事業運営を支援することで、当社においてより一層の国際社会・地域社会への貢献が可能となる非連続的な成長を目指していくとのことです。当社とJICC、DNP及び三井化学の持つ強みの組み合わせにより、社会に対して新たな価値を提供できるよう、パートナーシップを進めていく所存とのことです。
公開買付者は、本取引の完了後、経営の効率化を図るために、当社を監査等委員会設置会社から監査役会設置会社に移行する予定であり、当社の取締役及び監査役は、下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「③ 株主間契約」に記載のとおり、JICCファンド及びDNPがそれぞれ指名することを予定しているとのことですが、その具体的な候補者等については、現時点では未定であり、今後当社と協議の上で決定する予定とのことです。
なお、公開買付者は、本取引が完了した後も当面の間、当社が本取引の完了時点において雇用する従業員を、引き続き雇用し雇用水準を維持することに努める予定であり、当社の役職員に対してストックオプション等のインセンティブ・プランの導入を予定しており、公開買付者及び当社の役職員が一丸となって、当社の長期的な企業価値の向上を図る体制を構築する予定とのことです。また、公開買付者は、本取引後も、当社の重要な顧客及び取引先との取引関係を尊重していくとのことです。
③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、当社は、上記「① 当社を取り巻く経営環境等」に記載の経営環境の下において、企業価値の向上に向けた様々な経営戦略の検討を進める中、2021年9月、富士通より、同社が所有する当社株式の全部又は一部を売却したい旨の意向を受け、本富士通保有株式の具体的な売却方法について、2022年1月から、富士通との間で協議を開始し、その後、富士通は、売却先となり得る複数の潜在的な候補者と面談を実施するとともに、富士通グループからのカーブアウトの方法及び潜在的な候補者との資本業務提携等様々な選択肢を検討しました。その間、富士通と当社との間では断続的に協議は行われていたものの、具体的な交渉は行われず、協議は進展しませんでしたが、その後、当社は、2022年6月に富士通から具体的な提案を受けたことから、2022年7月より、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を財務アドバイザー及び第三者算定機関として、SMBC日興証券を財務アドバイザーとして、西村あさひ法律事務所を法務アドバイザーとしてそれぞれ選任しました。その上で、当社は、2022年7月から2023年3月にかけて実施した富士通との協議を踏まえ、富士通グループのみならず少数株主の皆様の利益が最大化されると同時に、当社の企業価値の更なる向上が実現されるよう、当社の資本政策に係る様々な選択肢を慎重に検討した結果、本入札プロセスの実施が当社及び当社の株主の皆様にとって望ましいとの判断に至り、本入札プロセスを開始いたしました。具体的には、2023年3月下旬より、第一次入札プロセス及び第二次入札プロセスで構成される本入札プロセスを開始し、当社及び富士通は、複数の候補者を対象とするデュー・ディリジェンス及び各候補者との協議を含む入札手続を経て、同年9月にJICCから法的拘束力のない提案を受領し、同年10月に他の候補者1社から法的拘束力のない提案を書面で受領し、同年11月にJICCから法的拘束力のある最終提案を書面で受領しましたが、当該他の候補者1社からは法的拘束力のある最終提案の提出がなされなかったため、各候補者の提案内容を総合的に検討した結果、同月下旬、JICC及び他の候補者の中から、取引価格、取引確実性、取引迅速性を主要な判断軸として、JICCを最終買付候補者として選定し、JICCと本自己株式取得を含む本取引の実施に向けた協議及び検討を開始いたしました。
具体的には、JICCは、同年9月26日に、富士通及び当社に対し、本公開買付価格について、当社株式1株当たり6,100円、本自己株式取得価格について、当社株式1株当たり4,391円に引き上げる法的拘束力のない提案を書面で行ったとのことです。
その後、同年10月18日に、当社はJICCに対し、2023年10月18日業績説明を行いました。2023年10月18日業績説明において、当社は、最新の市況に基づき、当社の業績回復時期が当初見通しより遅れており、2024年3月期の売上高を下方修正した旨の説明を行いました。
その後、JICCは、同年11月11日に、富士通及び当社に対し、本公開買付価格について、当社株式1株当たり5,910円、本自己株式取得価格について、当社株式1株当たり4,211円とする法的拘束力のない提案を書面で行ったとのことです。当社は、当該提案内容について検討した当社特別委員会の意見を踏まえて、同年11月16日、JICCに対し、本公開買付価格が当社の少数株主の利益確保の観点で十分な水準であると結論づけることはできないとの理由で、本公開買付価格の引き上げを要請しましたが、JICCは、富士通及び当社に対し、同年11月20日に、改めて、本公開買付価格について、当社株式1株当たり5,910円、本自己株式取得価格について、当社株式1株当たり4,211.1円とする法的拘束力のある最終提案を書面で行ったとのことです。
JICC、富士通及び当社は、JICCによる2023年11月20日付の最終提案の提出以降、最終提案の内容や本公開買付価格及び本自己株式取得価格に関する継続的な協議・交渉を重ねる中で、当社は、最終提案の提案内容について検討した当社特別委員会の意見を踏まえ、同年11月21日、JICCに対し、当社事業の中長期の見通しが変わらないことも踏まえれば、価格の引き下げは望ましくなく、また、本公開買付価格が当社少数株主の利益確保の観点で十分な水準であると結論づけることはできないとの理由で、本公開買付価格の引き上げを改めて要請しましたが、JICCより、本公開買付価格の見直しの必要はないと判断したとの連絡を受けました。
JICCは、当社特別委員会より、2023年11月27日に、公開買付価格の基礎となる考え及び根拠並びに価格引き下げの理由に関する質問を書面で受領し、2023年11月30日に回答を当社特別委員会に対し書面で送付したとのことです。また、JICCは、富士通からは、2023年11月28日に、本公開買付価格の引き上げについての要求を書面で受領したとのことですが、当社は、JICCに対し、公開買付価格の基礎となる考え及び根拠並びに価格引き下げの理由に関するJICCからの回答内容を検討した当社特別委員会の意見を踏まえて、2023年12月4日、当社及び当社特別委員会が意思決定に際し重視する当社の本源的価値の前提となる、当社の中長期的な事業の見通しは変わっていないこと及び現在の本公開買付価格5,910円を前提とするプレミアム水準では、本公開買付け成立の蓋然性について懸念があること等を理由に、本公開買付価格の引き上げを要請する旨の当社及び当社特別委員会の見解を書面で送付し、さらに、JICCは、当社特別委員会より、2023年12月5日に、中長期的な事業の見通しは変わっていないにもかかわらず、本公開買付価格を引き下げた理由及び同年9月26日から最終提案を提出した同年11月20日までの短期間において半導体市況や金利動向等のマクロ環境の見立てが変化したのか等に関する再質問を書面で受領したとのことですが、JICCは、同年12月6日、当社の第2四半期の決算実績及び通期業績予想の修正とともに、半導体市況のボラティリティや不透明な金利動向、不安定な世界情勢による潜在的な地政学リスク等のマクロ環境の観点並びに憶測報道等がなされた案件におけるプレミアムの考え方等を理由に価格引き下げは妥当であり、本公開買付価格5,910円を維持する旨の回答を書面で送付し、また、同月7日、当社特別委員会に対して、再質問への回答として、上記のマクロ環境の観点から、価格の引き下げは妥当である旨回答したとのことです。
その後、当社は、JICCに対し、JICCからの回答内容を検討した当社特別委員会の意見を踏まえて、同月8日、JICCが主張するマクロ経済状況の短期的な変化による当社の本源的価値への本質的な影響はないことや現在の本公開買付価格5,910円を前提とするプレミアム水準では、本公開買付け成立の蓋然性について懸念があること等を理由に、本公開買付価格の引き上げを要請する旨の当社及び当社特別委員会の見解を書面で再度送付しました。JICCは、同月10日、当社に対し、中長期的な事業見通しに加え、短期的な事業見通しの悪化に伴う将来のアップサイドへの影響、半導体市況の見通しやマクロ経済状況といったマクロ要因等、総合的な判断に基づき、引き続き本公開買付価格5,910円を維持する旨の回答を書面で送付したとのことです。その後、JICCは、当社及び富士通より、JICCからの回答内容を検討した当社特別委員会の意見を踏まえて、同月12日、JICCからのこれまでの回答内容には一定の合理性が認められるものの、当社の少数株主利益を十分に確保出来ていると結論付けることが依然難しいこと等を理由に、本公開買付価格の引き上げを要請する旨の当社、当社特別委員会及び富士通の見解を口頭で再度受領したとのことです。
同月12日、JICCは、当社及び富士通に対し、度重なる当社特別委員会、当社及び富士通の要請を受けたことを理由に、当社の本源的価値評価の範囲内の価格としつつ本公開買付け成立の蓋然性をより高めるため、本公開買付価格について、当社株式1株当たり5,920円、本自己株式取得価格について、当社株式1株当たり4,218.1円とする旨の提案を書面で送付したとのことです。当該提案を踏まえ、当社及び富士通は、同月12日、JICCに対し、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、JICCの当該提案に合意する旨の回答を書面で送付しました。
当社は、富士通と当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があることを踏まえ、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本取引及び本入札プロセスにおける候補者選定過程に関する当社の意思決定の恣意性を排除し、企業価値の向上及び少数株主の利益を図る立場から、本取引の目的の正当性・合理性、本取引に係る手続の公正性、及び本取引に係る取引条件の公正性・妥当性等について検討及び判断を行うことを目的として、第一次入札プロセスが開始された直後の2023年4月14日に、東京証券取引所の定めるコーポレートガバナンス・コードに基づき2022年6月17日に設置された常設の特別委員会(以下「当社特別委員会」といいます。)に対し、本取引における手続の公正性等について諮問しております(委員の構成その他具体的な諮問事項等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。これに加えて、当社は下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の各措置を講じた上で、財務アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券から取得した株式価値算定書の内容、法務アドバイザーである西村あさひ法律事務所から取得した法的助言を踏まえ、当社特別委員会から2023年12月12日に提出された答申書(以下「2023年12月12日付答申書」といいます。)の内容を最大限尊重し、本公開買付けに対して取締役会が賛同意見を表明すること及び株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非、本取引を行うことは少数株主にとって不利益ではないか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
すなわち、当社は、本入札プロセスを実施した上で、株式価値評価額、公開買付価格、取引のストラクチャー、資金調達力・資金調達の前提条件、企業価値向上に向けた施策を含む本取引実施後の経営戦略及びその支援体制、従業員の処遇及びガバナンス体制等の経営方針等の諸条件、競争法その他の適用法令に基づくクリアランス取得等の手続の確実性並びに少数株主の皆様の利益の最大化等の観点から、第二次入札プロセスに参加したJICCを含む各候補者からの提案内容を総合的に検討しました。その結果、2023年12月12日にJICCから提示された最終提案のみが法的拘束力を有する提案として提出されたものであり、また提示された株式価値評価額及び公開買付価格が5,920円であったことも踏まえて、当社が「限りなき発展」を目指すためのパートナーとして、企業価値向上に向けた施策を含む本取引実施後の経営戦略及びその支援体制の提案内容からも公開買付者が最善であり、また、市況環境変化の激しい半導体産業にあって、当社製品・テクノロジーの中長期的な市場拡大の可能性を的確に捉え、機動的かつ柔軟な経営判断を行うことが重要との認識に基づき、成長市場向けの設備投資・技術開発を重点的に展開する当社の事業方針を基本的に支持し、政府系ファンドとして短期的な業績変動に動じず、中長期的な観点で企業価値の向上に資する取組みを推進していくことが可能なJICCを中心に構成される公開買付者をパートナーとして本取引を実行し、これまで以上の意思決定のスピードアップをはかり、当社事業推進において根幹となる人的資本の拡充などの施策を進めることが今後の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。あわせて、将来的に、DNP・三井化学が有する優れた固有技術と当社の半導体パッケージ関連技術を組み合わせ、当社の目指す次世代半導体ビジネスの推進や次世代製品における市場競争力の強化等に取り組むことで、当社の中長期的な企業価値に大きく貢献することができると考えております。
以上より、当社は、本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであると判断しました。
また、本公開買付価格(5,920円)について、以下の点等を踏まえ、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断しました。
(a)上記のとおり、JICCの提示した株式価値評価額及び公開買付価格のみが法的拘束力を有する提案として提出されたものであり、本公開買付価格が5,920円であったこと
(b)下記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の三菱UFJモルガン・スタンレー証券による当社株式の価値の算定結果のうち、本公開買付価格は、市場株価分析による算定結果のレンジの上限を超えており、類似企業比較分析による中点を超えていること、ディスカウンテッド・キャッシュフロー分析(以下「DCF分析」といいます。)による算定結果のレンジの中央値に近接していること
(c)当社株価変動のきっかけとなった2023年6月1日の富士通子会社売却に係るBloombergによる観測記事掲載の前営業日である同年5月31日の終値4,980円に対して18.88%、過去1ヶ月(2023年5月1日から同年5月31日)の終値単純平均値4,519円に対して31.00%、過去3ヶ月(2023年3月1日から同年5月31日)の終値単純平均値4,094円に対して44.60%、過去6ヶ月(2022年12月1日から2023年5月31日)の終値単純平均値3,898円に対して51.87%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となっており、かつ、本公開買付け実施についての公表日の前営業日である2023年12月11日の東京証券取引所における当社株式の終値5,240円に対して12.98%、過去1ヶ月間の終値単純平均値5,377円に対して10.10%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,502円に対して7.60%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値5,658円に対して4.63%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となっており、当該観測記事掲載及びその後の複数回の憶測報道により本取引に関する期待値等の影響を相当程度受けたものであるという見方も不合理ではない状況において、当該観測記事掲載前の株価を基準にした場合には、経済産業省による「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」の公表日である2019年6月28日以降の上場企業の非公開化を目的とした他の公開買付けの事例185件におけるプレミアムの水準との比較において、十分に合理性が認められるものであること(注21)。なお、直前の株価変動の影響を受けやすい基準日終値及び基準日直近1ヶ月の終値単純平均値については相対的に低くなっている一方で、より中長期的な株価動向を反映した基準日直近3ヶ月及び基準日直近6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム水準は相対的に高い水準となっていること。当社株価は、当該観測記事掲載の前営業日である2023年5月31日(以下「当基準日」といいます。)から6ヶ月前である2022年12月1日から当基準日まで25.60%の上昇をしているが、当該上昇率25.60%のうち95.10%を当基準日から2ヶ月前である2023年4月3日から当基準日までの上昇(上昇率24.34%)が占めており、当基準日から遡って2ヶ月以内の上昇が特に顕著であったことが確認できること。そのような急速な上昇は、当社による情報開示等の内容を踏まえても、合理的な説明は困難と考えられる中、当社株価の変動状況等を考慮すると、市場株価に対するプレミアムの水準については、当基準日及び直近1ヶ月の終値単純平均値に照らして判断するよりも、より長期間の平均値を考慮して考えるのが適切であると判断することは不合理とは言えず、当基準日直近3ヶ月又は当基準日直近6ヶ月の終値単純平均値に照らして、本公開買付価格のプレミアム水準について、十分に合理性が認められるものであると判断できること
(d)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための各措置が講じられており、少数株主の利益への配慮等がなされていると認められること
(注21) 当該事例について、公表日の前営業日を基準日として計算されるプレミアムの平均値は、同日終値に対して41.46%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して44.89%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して47.05%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して47.57%であり、かかるプレミアムの中央値は、同日終値に対して38.74%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して40.46%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.05%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して44.59%です。
以上より、当社は、2023年12月12日開催の取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが実施された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
なお、2023年12月12日時点で、本公開買付けは、本公開買付前提条件(但し、本公開買付けの開始日において充足されるべきものを除きます。)が充足された日(又は公開買付者により放棄された日)(但し、これらの日において対抗提案が行われている場合には、富士通による公開買付者に対する本公開買付価格及び本自己株式取得価格の変更に関する協議の申入れの日から起算して20営業日を経過する日又は富士通が当該対抗提案に応じない意思を書面により誓約した日のいずれか早い方の日)から10営業日以内の日で、別途公開買付者が当社に事前に通知する日に開始される予定であり、同日時点において、公開買付者は、国内外の競争法並びに国外の投資規制法令等に基づく必要な当該手続等に関する現地法律事務所との協議も踏まえ、2024年8月下旬を目途に本公開買付けを開始することを目指していたとのことですが、国外の競争当局及び投資規制法令等を所管する当局における手続等に要する期間を正確に予想することは困難であったとのことです(詳細については、上記「① 本公開買付けの概要」をご参照ください。)。
このような事情を踏まえ、当社は、上記取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、当社特別委員会に対して、当社特別委員会が2023年12月12日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること(以下「追加諮問事項」といいます。)、及びかかる当社特別委員会の意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議いたしました。
その後、今般、当社は、公開買付者から2025年1月22日に、国内外(日本並びに中国、韓国及びベトナム)の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了し、本公開買付前提条件のうち本クリアランス取得が完了した旨の本公開買付前提条件を充足したことから、その他の本公開買付けの公表日に充足されるべき本公開買付前提条件が充足又は放棄されることを前提として、2025年2月18日を公開買付開始日として本公開買付けを開始することを予定している旨の連絡を受けたことから、当社は、2025年2月17日に開催された当社特別委員会において、各委員に対して、当社及び公開買付者の状況等の情報を報告いたしました。また、後記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、当社特別委員会は、2023年12月12日以降、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、追加諮問事項について慎重に検討した結果、2023年12月12日以降、2025年2月17日までの事情を勘案しても、2023年12月12日付答申書の答申の内容について、いずれも変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年2月17日付で、当社の取締役会に対し、2023年12月12日付答申書の意見に変更がない旨の追加答申書(以下「追加答申書」といいます。)を提出いたしました。当社は、当社特別委員会から提出された追加答申書の内容を最大限尊重しながら、当社の業績や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討した結果、2025年2月17日現在においても、本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したことから、2025年2月17日開催の取締役会において、改めて本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
なお、当社の両取締役会の決議の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認」をご参照ください。
(3)算定に関する事項
① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(i)第三者算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、公正性を担保するための措置として、公開買付者、富士通及び当社から独立した当社の財務アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券を選任し、財務的見地から助言を受けるとともに、当社の株式価値の算定を依頼し、2023年12月12日付で、下記(ii)に記載の前提条件その他一定の条件の下で、株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)を取得いたしました。
当社取締役会は、2023年12月12日開催の取締役会から2025年2月17日時点までの状況を考慮しても、本取引の公表後、当社の2025年3月期通期連結業績予想について2024年10月25日付及び2025年1月31日付で下方修正を行うなど、足元では半導体市況低迷継続の影響を受けているものの、半導体は、超高速大容量通信を実現する情報通信基盤の進化やAI、IoTの急速な利用拡大等を背景とするDXの進展をもたらし、社会及び経済の成長を支えるキーテクノロジーとして、中長期的には引き続き堅調な需要が見込まれると考えられることから、当社を取り巻く事業環境についても、中長期的な事業見通しにも特段の変化はなく、本株式価値算定書に影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えられること、これらを踏まえて本株式価値算定書の内容を変更する必要はないとの見方に十分な合理性が認められる旨の三菱UFJモルガン・スタンレー証券の説明に不合理な点は見られないこと、及び、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、当社特別委員会が本株式価値算定書の内容の変更及び更新等を要請する必要はないと判断していることも踏まえ、本株式価値算定書の内容の変更及び更新等は不要であると判断しております。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、公開買付者、富士通及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJ銀行と同じ三菱UFJフィナンシャル・グループの一員であり、三菱UFJ銀行は、当社に対して通常の銀行取引の一環として融資取引を行っており、また、本取引に係る決済資金を公開買付者に融資する予定でありますが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によれば、法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、財務アドバイザーである三菱UFJモルガン・スタンレー証券と三菱UFJ銀行の間、及びそれぞれの社内において、弊害防止措置として、当社に関する情報について厳格に管理する情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ、実施していることから、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJ銀行の判断に影響を受けることなく財務アドバイザーとしての役務を提供しており、三菱UFJ銀行の貸付人の地位とは独立した立場で当社の株式価値の算定を行っているとのことです。当社は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券と三菱UFJ銀行の間、及びそれぞれの社内における情報管理において厳格な情報管理体制が構築されていること、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が過去の同種取引の第三者算定機関としての実績を有していること等を踏まえ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を公開買付者及び当社から独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。
また、本取引に係る三菱UFJモルガン・スタンレー証券の報酬は、本公開買付けを含む本取引の公表及び本スクイーズアウト手続の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれておりますが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案すれば、本公開買付けを含む本取引の公表及び本スクイーズアウト手続の完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断しております。
なお、当社は、公開買付者及び当社において、少数株主の利益に配慮して、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載した本公開買付けの公正性を担保するための各種措置を実施していることから、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
(ii)算定の概要
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており市場株価が存在することから市場株価分析を、当社と比較可能な上場類似会社が複数存在し、上場類似会社の市場価値との比較において株式価値の類推が可能であることから類似企業比較分析を、将来の事業活動の状況に基づき本源的価値を反映するためDCF分析を用いて当社株式の価値算定を行っております。
上記各手法を用いて算出された当社1株当たりの価値の範囲は、以下のとおりです。
市場株価分析 :5,240円~5,658円
類似企業比較分析:5,238円~6,220円
DCF分析 :5,077円~6,780円
市場株価分析では、2023年12月11日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値5,240円、基準日から直近1ヶ月間の終値単純平均値5,377円、直近3ヶ月の終値単純平均値5,502円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値5,658円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を5,240円~5,658円と算定しております。
類似企業比較分析では、当社と比較的類似する事業を営む上場類似会社の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて当社株式の株式価値を分析し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を5,238円~6,220円と算定しております。
DCF分析では、当社の2024年3月期から2028年3月期までの事業計画、直近までの業績動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮した2024年3月期以降の当社の将来の収益予測に基づき、当社が将来生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り戻して算定される事業価値に、当社が保有する余剰現預金を含む現金同等物等の価値を加算するなど財務上の一定の調整を行って、企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を5,077円~6,780円と算定しております。
なお、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、当社の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公表された情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社により現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。なお、当該財務予測については、当社特別委員会において質疑応答を行うとともに、その内容や前提条件等の合理性を確認しております。また、当社に関しての資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の算定は、2023年12月11日までの上記情報を反映したものです。
また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券がDCF分析による算定の前提とした当社の事業計画においては、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2023年の半導体市場はマイナス成長が予想されていたなど、足許の半導体業界は厳しい市場環境となることが想定されますが、一方で、半導体市場は中長期的に拡大することが見込まれております。
当社においては、従前より高い成長が見込まれる市場向けに継続的・重点的に設備投資を実施しており、今後も、高性能半導体向けフリップチップタイプパッケージについては新たな生産拠点として2023年12月に竣工した千曲工場(長野県千曲市)の整備を推進し、セラミック静電チャックについては高丘工場(長野県中野市)において2023年に竣工した新棟の整備等により量産体制の拡充を図り、また、先端メモリー向けプラスチックBGA基板については新井工場(新潟県妙高市)において着工した新棟建設を推進するなど、成長市場向けに生産能力の増強を図るとともに、顧客基盤の拡充にも取り組んでおります。当社が作成した事業計画における2024年3月期の連結営業利益約350億円については半導体市況低迷により対前年度比で約50%減の大幅な減益が見込まれていたものの、上記の取り組みに加え全社における生産性向上やコストダウンのさらなる強化等を背景に、2025年3月期の連結営業利益約520億円については、対前年度比で約50%増の大幅な増益を見込んでおり、また、2027年3月期の連結営業利益約870億円については、対前年度比で約40%増の大幅な増益を見込んでおります。また、DCF分析に使用した連結フリー・キャッシュ・フローは上記増減益及び当社の設備投資の影響に伴い、各事業年度において大幅な増減が見込まれます。具体的には、上記増減益及び当社の設備投資等に伴う大幅な増減として2024年3月期は約-360億円で前年度対比で約880億円減、2025年3月期は約-40億円で前年度対比で約320億円増、2026年3月期は約380億円で前年度対比で約420億円増、2027年3月期は680億円で前年度対比で約300億円増、2028年3月期は約420億円で前年度対比で約260億円減が見込まれます。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画には加味されておりません。
② 公開買付者による算定方法
JICCは、本公開買付価格を決定するにあたり、当社が開示している財務情報等の資料、当社に対して2023年7月下旬から同年9月中旬にかけて実施したデュー・ディリジェンスの結果等に基づき、当社の事業及び財務の状況を多面的・総合的に分析の上、当該分析を反映した財務モデルの作成を行い、JICCとして必要とする投資リターンが確保できる公開買付価格を算出したとのことです。また、JICCは、当社株式が金融商品取引所を通じて取引されていることに鑑みて、当社の企業価値についての株式市場による評価額を確認する観点から、本公開買付けの開始予定の公表日(2023年12月12日)の前営業日である2023年12月11日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値(5,240円)並びに直近1ヶ月(2023年11月13日から2023年12月11日まで)、直近3ヶ月(2023年9月12日から2023年12月11日まで)及び直近6ヶ月(2023年6月12日から2023年12月11日まで)の終値単純平均値(5,377円、5,502円及び5,658円)の推移を参考にしたとのことです。同様に、富士通グループの再編期待に伴う当社株価変動のきっかけとなった、2023年6月1日の富士通子会社売却に係るBloombergによる観測記事掲載の前営業日である2023年5月31日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値(4,980円)並びに直近1ヶ月(2023年5月1日から2023年5月31日まで)、直近3ヶ月(2023年3月1日から2023年5月31日まで)及び直近6ヶ月(2022年12月1日から2023年5月31日まで)の終値単純平均値(4,519円、4,094円及び3,898円)の推移も参考にしているとのことです。
なお、JICCは、上記の諸要素を総合的に考慮し、価格を決定していることから、第三者算定機関からの株式価値算定書の取得はしていないとのことです。
本公開買付価格である5,920円は、本公開買付けの開始予定の公表日の前営業日である2023年12月11日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値5,240円に対して12.98%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値5,377円に対して10.10%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値5,502円に対して7.60%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値5,658円に対して4.63%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。また、2023年6月1日の富士通子会社売却に係るBloombergによる観測記事掲載の前営業日である2023年5月31日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,980円に対して18.88%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値4,519円に対して31.00%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値4,094円に対して44.60%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値3,898円に対して51.87%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。
さらに、本公開買付価格である5,920円は、本書提出日の前営業日である2025年2月17日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値5,868円に対して0.89%のプレミアムを加えた価格となるとのことです。
また、上記の算定の経緯として、JICCは、上記の各事項に加え、当社による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けの成立の見通しを総合的に勘案し、当社との協議及び交渉を踏まえて、2023年12月12日に本公開買付価格を5,920円とすることを決定したとのことです。なお、JICCは、上記の諸要素を考慮し、当社との協議及び交渉を経て本公開買付価格を決定していること、また、JICC及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置(具体的には、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 入札手続の実施」乃至「⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置」に記載の各措置)を実施し、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンは取得していないとのことです。
(4)上場廃止となる見込み及びその理由
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場されていますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、当社株式は所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付け成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続を実施した場合には、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、当社株式は所定の手続を経て上場廃止になります。なお、当社株式が上場廃止となった場合は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。
上場廃止を目的とする理由及び少数株主への影響及びそれに対する考え方については、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」及び下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。
(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにおいて公開買付者が当社株式の全て(但し、富士通が所有する本富士通保有株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの決済の完了後、当社に対し、(i)会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び(ii)本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを要請するとのことです。また、公開買付者は、当社グループの企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を可能な限り早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始日後、それと近接する日を本臨時株主総会の基準日とすることができるように、当社に対して、本公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定とのことです。なお、公開買付者及び富士通は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。本臨時株主総会において本株式併合の議案が承認された場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会において承認された株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。この場合、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切捨てられます。以下同じとします。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになるとのことです。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てが行われる予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在未定ですが、公開買付者と富士通が当社株式の全てを所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、富士通及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるよう決定される予定とのことです。当社は、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。また、本臨時株主総会を開催する場合、2025年5月中旬頃を目途に開催する予定ですが、その具体的な手続及び実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、速やかに公表する予定です。
なお、上記に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、当社の株主は、当社に対して自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められているとのことです。この方法による1株当たりの買取価格については、最終的に裁判所が判断することになるとのことです。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ないとのことです。
上記の手続については、関係法令についての当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又はそれと概ね同等の効果を有するその他の方法に変更する可能性があるとのことです。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(公開買付者、富士通及び当社を除きます。)に対しては最終的に金銭を交付する方法により、当社を完全子会社化することを予定しているとのことです。この場合に当該当社の各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定とのことです。
以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者が当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。なお、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
公開買付者が本公開買付けの実施を決定した2023年12月12日現在及び本書提出日現在のいずれにおいても、当社は公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当いたしません。また、本公開買付けは、公開買付者が当社の役員である公開買付けや公開買付者が当社の役員の依頼に基づき公開買付けを行う者であって当社の役員と利益を共通にする者である公開買付けに該当せず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)取引にも該当いたしません。
もっとも、公開買付者及び当社は、本取引は、当社の支配株主(親会社)である富士通からの提案を契機とする取引であり、富士通と当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性もあることを踏まえ、本公開買付価格の公正性を担保し利益相反を回避する観点から、以下の措置を実施いたしました。
なお、公開買付者は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社親会社である富士通が当社株式を67,587,024株(所有割合:50.02%)所有しているところ、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(majority of minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けにおける買付予定数の下限が高くなり、本公開買付けの成立を不安定にし、応募する少数株主の利益に資さない可能性が認められることを踏まえ、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(majority of minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、公開買付者及び当社において以下の措置を講じていることから、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。
また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 入札手続の実施
上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、当社及び富士通は、2023年3月下旬より、事業上のシナジーに照らして当社との協業に関心があると想定される事業会社や本邦市場で十分な投資実績を有する投資ファンドを含めた潜在的な売却先に打診し、本入札プロセスへの参加に関心を有した事業会社1社や投資ファンド8社に対して第一次入札プロセスを開始し、同年5月下旬、JICCを含む複数の候補者が当社による富士通からの自己株式取得を含む取引手法を前提とした意向表明書を提出したことから、内容について慎重に検討を行い、第二次入札プロセスへの参加を打診するJICCを含む4社の投資ファンドを選定しました。その後、同年6月下旬より、第二次入札プロセスを開始し、候補者による当社に対する同年9月中旬までのデュー・ディリジェンスを経て、同年9月にJICCから法的拘束力のない提案を受領し、同年10月に他の候補者1社から法的拘束力のない提案を書面で受領し、同年11月にJICCから法的拘束力のある最終提案を書面で受領しましたが、当該他の候補者1社からは法的拘束力のある最終提案の提出がなされなかったため、各候補者の提案内容を総合的に検討した結果、同月下旬、JICC及び他の候補者の中から、取引価格、取引確実性、取引迅速性を主要な判断軸として、JICCを最終買付候補者として選定し、JICCと本自己株式取得を含む本取引の実施に向けた協議及び検討を開始しました。その後、JICC、富士通及び当社は、継続的に協議・交渉を重ねた結果、当社は、2023年12月12日にJICCから提示された最終提案のみが法的拘束力を有する提案として提出されたものであり、また提示された株式価値評価額及び公開買付価格が5,920円であったことも踏まえて、当社が「限りなき発展」を目指すためのパートナーとして、企業価値向上に向けた施策を含む本取引実施後の経営戦略及びその支援体制の提案内容からも公開買付者が最善であり、また、市況環境変化の激しい半導体産業にあって、当社製品・テクノロジーの中長期的な市場拡大の可能性を的確に捉え、機動的かつ柔軟な経営判断を行うことが重要との認識に基づき、成長市場向けの設備投資・技術開発を重点的に展開する当社の事業方針を基本的に支持し、政府系ファンドとして短期的な業績変動に動じず、中長期的な観点で企業価値の向上に資する取組みを推進していくことが可能なJICCを中心に構成される公開買付者をパートナーとして本取引を実行し、これまで以上の意思決定のスピードアップをはかり、当社事業推進において根幹となる人的資本の拡充などの施策を進めることが今後の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。あわせて、DNP、三井化学が有する優れた固有技術と当社の半導体パッケージ関連技術を組み合わせることで、当社の目指す次世代半導体ビジネスの推進や次世代製品における市場競争力の強化等に取り組むことで、当社の中長期的な企業価値に大きく貢献することができると考えております。
以上を踏まえ、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであったことから、当社は、JICCが提案した提案と比べて、当社の株主にとってより有利な条件を提示する候補先は存在しないと判断しました。
② 当社における独立した特別委員会からの答申書の取得
当社取締役会は、第一次入札プロセスが開始された直後の2023年4月14日、本公開買付けが当社株式を非公開化することを目的とする本取引の一環として行われること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益相反を回避することを目的として、公開買付者及び当社並びに本取引の成否のいずれからも独立した、新美潤氏(当社社外取締役)、荒木泉子氏(当社社外取締役監査等委員)、小林邦一氏(当社社外取締役監査等委員)の3名から構成される、東京証券取引所の定めるコーポレートガバナンス・コードに基づく常設の当社特別委員会に対し、(i)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、(ii)本取引における手続の公正性、(iii)本取引に係る条件の公正性・妥当性、(iv)本公開買付けに対して当社の取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非、(v)当社が本取引を行うこと(本公開買付けに対して当社の取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)は当社の少数株主にとって不利益ではないか(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、本諮問事項についての答申書を当社に提出することを委託いたしました。なお、当社特別委員会は、本取引を契機とせずに、東京証券取引所の定めるコーポレートガバナンス・コード(補充原則4-8③)に基づき、支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議し、取締役会に答申することを目的として2022年6月17日に常設の特別委員会として設置されており、当社特別委員会の設置以降、各委員を変更した事実はありません。また、各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容に関わらず固定額の報酬を支払うものとしております。
なお、当社は、当社取締役会における本取引に関する意思決定については、当社特別委員会の意見を最大限尊重して行うものとし、当社特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引に賛同しないものとすること(本公開買付けに賛同しないことを含みます。)を併せて決議しております。また、当社取締役会は当社特別委員会に対し、当社特別委員会が必要と認めるときは、当社の費用負担の下、独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任する権限、及び当社が当社特別委員会に対して本取引に関する交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うことなどにより、本取引の取引条件に関する交渉過程に実質的に関与する権限を与えることを決定しております。もっとも、当社特別委員会は、当社の財務アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券、財務アドバイザーであるSMBC日興証券並びに法務アドバイザーである西村あさひ法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、独自にアドバイザーを選任する権限を行使しておりません。
当社特別委員会は2023年4月14日から2023年12月12日までに、合計13回開催したほか、情報収集を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。
具体的には、当社特別委員会は、まず、当社の財務アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券、当社の財務アドバイザーであるSMBC日興証券、及び当社の法務アドバイザーである西村あさひ法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任を承認しました。
なお、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、公開買付者、富士通及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有していないとのことです。また、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJ銀行と同じ三菱UFJフィナンシャル・グループの一員であり、三菱UFJ銀行は、当社に対して通常の銀行取引の一環として融資取引を行っており、また、本取引にかかる決済資金を公開買付者に融資する予定であるものの、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によれば、法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、財務アドバイザーである三菱UFJモルガン・スタンレー証券と三菱UFJ銀行の間、及びそれぞれの社内において、弊害防止措置として、当社に関する情報について厳格に管理する情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ、実施していることから、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJ銀行の判断に影響を受けることなく財務アドバイザーとしての役務を提供しており、三菱UFJ銀行の貸付人の地位とは独立した立場で当社の株式価値の算定を行っているとのことです。上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、当社は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券と三菱UFJ銀行の間、及びそれぞれの社内における情報管理において厳格な情報管理体制が構築されていること、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が過去の同種取引の第三者算定機関としての実績を有していること等を踏まえ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を公開買付者及び当社から独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関として選任しました。
また、SMBC日興証券は、公開買付者、当社及び富士通の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。なお、SMBC日興証券は、三井住友銀行と同じ三井住友フィナンシャルグループの一員であるとのことですが、当社は、SMBC日興証券の財務アドバイザーとしての実績に鑑み、かつ、弊害防止措置としてSMBC日興証券における財務アドバイザリー業務を提供する部署とその他の部署及び株式会社三井住友銀行との間で所定の情報遮断実施が講じられていること、当社とSMBC日興証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているため、財務アドバイザーとしての独立性が確保されていること、SMBC日興証券は公開買付者、当社及び富士通の関連当事者へは該当しないことを踏まえた上で、SMBC日興証券を財務アドバイザーとして選任しました。本取引に係るSMBC日興証券の報酬は本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりますが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案の上、上記の報酬体系によりSMBC日興証券を当社の財務アドバイザーとして選任しました。
当社特別委員会は、このような経緯の下、上記の各説明、各アドバイザーからの助言その他の検討資料を前提として、本諮問事項について慎重に審議及び検討を重ねた結果、2023年12月12日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、本諮問事項につき大要以下を内容とする2023年12月12日付答申書を提出しております。
(i)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)
当社は、当社を取り巻く経営環境の中で、当社製品・テクノロジーの中長期的な市場拡大の可能性を的確に捉え、「限りなき発展」を目指す上で、市場ニーズを先取りする技術開発や機動的な設備投資の実行がますます重要となり、加えてそれらに要する資金規模も大型化することが想定され、厳しさを増す競争環境において、これまで以上に意思決定のスピードアップや当社の事業推進において根幹となる人的資本の拡充などにより企業価値の向上を目指すことができると考えているところ、成長市場向けの設備投資・技術開発を重点的に展開する当社の事業方針を基本的に支持し、政府系ファンドとして短期的な業績変動に動じず、中長期的な観点で企業価値の向上に資する取組みを推進していくことが可能なJICCを中心に構成される公開買付者をパートナーとして本取引を実行し、これまで以上の意思決定のスピードアップをはかり、当社事業推進において根幹となる人的資本の拡充などの施策を進めることが今後の企業価値の向上に資するとの結論に至った。あわせて、DNP、三井化学が有する優れた固有技術と当社の半導体パッケージ関連技術を組み合わせることで、当社の目指す次世代半導体ビジネスの推進や次世代製品における市場競争力の強化等に取り組むことで、当社の中長期的な企業価値に大きく貢献することができると考えている。富士通や当社経営陣等がその地位を利用して一般株主(東京証券取引所有価証券上場規程第441条の2における「少数株主」と同義である。以下同じ。)の犠牲のもとに自己又は第三者の利益を図るものとは認められず、当社グループを持続的に発展させ収益を改善させることに繋がり、当社グループの企業価値を向上させるものといえることから合理性が認められる。
また、JICCが想定する成長戦略及び企業価値向上策は、いずれも実現可能性を疑わせる不合理な点はなく、これまで以上の意思決定のスピードアップや人的資本の拡充に資すると考えられることから、合理性がある。また、その他、JICCの説明する経営方針に不合理な点は見受けられない。
以上を踏まえ、本取引は当社の企業価値向上に資するものであると考えられる。
一方で、本取引が当社の企業価値向上に悪影響を与える可能性があり得る事項として、①富士通との資本関係が解消されることによる影響、②非公開化することの影響、③当社の債務等の負担による影響、④JICC連合が当社の株主となることに伴う既存の顧客・取引先への影響が想定されるものの、いずれについても適切な対処及び解決策を講じることができるものと認められるため、当社の企業価値に重大な悪影響を与えるものではないと評価できる。
以上のとおり、本取引は、当社の企業価値の向上に資する可能性が認められ、その目的は正当性・合理性を有すると考えられる。
(ii)本取引に係る手続の公正性
本取引では、以下の各種の公正性担保措置が履践されていること等からすると、本取引に係る手続は公正なものであると考えられる。
本取引においては、(a)独立した特別委員会が、第一次入札プロセスにおける候補者の初期的な取引条件提示の段階から本取引への関与を開始しており、アドバイザー等の選任・承認権限や本取引の取引条件等の交渉過程に実質的に関与する権限が付与された上、当社は特別委員会の答申内容を最大限尊重して本取引に係る意思決定を行うものと当社取締役会において決議されているところ、特別委員会はこれらの権限を行使して、本入札プロセスの実施方法を含めたプロセス全体における候補者及び富士通との間の本取引の取引条件に関する交渉過程等に実質的に関与したことが認められ、かつ、特別委員会の設置及び諮問の時期、委員構成、特別委員会の設置及び諮問・委員選定のプロセス、アドバイザー等の選任、情報の取得、報酬、当社の社内検討体制等についても特段の問題は認められないこと、(b)当社は、当社、富士通、JICC連合、公開買付者及び候補者から独立した法務アドバイザーとして西村あさひ法律事務所を選任し、各種の法的助言を受けていること、(c)当社は、当社、富士通、JICC連合、公開買付者及び候補者から独立した財務アドバイザー及び第三者評価機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券に対して、当社の株式価値の算定を依頼し、2023年12月12日付で本株式価値算定書を取得していること、(d)特別委員会が実質的に関与した上で、富士通及び当社による本入札プロセスが実施されており、本入札プロセスは適切な配慮がなされた上でマーケット・チェックが実施されたものと評価することができること、(e)本公開買付けにおいては、本公開買付期間は20営業日に設定されているところ、本公開買付けはいわゆる予告型公開買付けであり、一連の取引条件が公表された後、本公開買付けの開始まで比較的長期の期間が確保されており、当該公表後の期間も考慮すると、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保していると評価することができると考えられること、(f)本覚書において、本意見(下記「(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 公開買付けに係る覚書」において定義される。)を維持する義務及び競合取引について当社が第三者との合意、合意に向けた申込み、申込みの誘引、承諾、協議、交渉、勧誘又は情報提供等を行うことを制限する条項が定められているが、本覚書上、当社は、本意見を変更せず維持すること又は本意見と矛盾する決議若しくは競合取引(一定の場合における当該競合取引に関する提案に係る協議又は情報提供を含む。)を行わないことがその取締役の善管注意義務に違反すると合理的に判断する場合には、公開買付者に事前にその内容及び理由を説明し、対応について公開買付者と誠実に協議を行うものとされており、また、当社は、公開買付者との間で誠実に協議をしてもなお、当社が本意見を変更せず維持すること又は本意見と矛盾する決議若しくは競合取引を行わないことが、当社の取締役の善管注意義務に違反すると客観的かつ合理的に認められる場合には、本意見を撤回若しくは変更し、又は、本意見と矛盾する決議若しくは競合取引を行うことができるものとされていることに鑑みれば、買収提案の具体性、目的の正当性及び実現可能性に照らして「真摯な買収提案」がされた場合には当社の取締役会において真摯な検討を行わないことが当社の取締役の善管注意義務に違反すると客観的かつ合理的に認められ、本意見を撤回若しくは変更し、又は、本意見と矛盾する決議若しくは競合取引を行うことができる余地があり、また、上記条項は当社、富士通及びJICC連合が相当の時間とコストをかけて本入札プロセスを実施してきたことを踏まえると本取引の安定性を高めることにも一定程度寄与することから、直ちに対抗的な買収提案を不当に制約するものではないと評価できること、(g)一般株主に対する強圧性を生じさせないような配慮がなされていること等からすると、本取引に係る手続は公正なものであると考えられる。
なお、本取引においては、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)条件が設定されていないものの、①親会社である富士通が当社株式を67,587,024株(所有割合:50.02%)所有しており、マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)条件を設定すると、本公開買付けにおける買付予定数の下限が高くなり、本公開買付けの成立を不安定にし、寧ろ応募する一般株主の利益に資さない可能性が認められること、②上記のとおり公正性担保措置が講じられていること、③下記(iii)のとおり本取引に係る取引条件は公正・妥当であると考えられること等に鑑みると、マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)条件を設定しないことが、本取引の手続の公正性を損なわせるものとはいえないと判断する。
(iii)本取引に係る条件の公正性・妥当性
本取引の取引条件は、当社及び富士通が実施した本入札プロセスの結果として合意されたものであり、本入札プロセスにおいては、当社特別委員会の要請に基づき、JICCによる法的拘束力を有する最終提案の提出後も当社、富士通及びJICC間での複数回にわたる価格交渉が行われた上で合意されたものであるから、本取引の取引条件に関する協議・交渉の過程は、独立した当事者間の交渉と認められる公正なものであり、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が行われることを目指した合理的な努力が行われる状況が確保されていたものと判断する。また、本株式価値算定書によれば、当社株式1株当たりの価値の範囲は、市場株価分析で5,240円から5,658円、類似企業比較分析で5,238円から6,220円、DCF分析で5,077円から6,780円と算定されているところ、本公開買付価格5,920円は、本市場株価分析による算定結果のレンジの上限を超えており、類似企業比較分析による中点を超えていること、DCF分析による算定結果のレンジの中央値に近接しているといえる。
2023年12月12日付答申書作成日の前営業日を基準とした市場株価に対するプレミアムの水準については、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の過去の類似事例におけるプレミアム水準と比べると必ずしも高い水準とはいえないが、この点に関しては、当社の市場株価の変動のきっかけとして富士通子会社売却に係る観測記事掲載の憶測報道があったことを考慮すると上記プレミアム率の計算に係る期間の株価は、当該憶測報道及びその後の複数回の憶測報道による富士通保有株式の売却に係る期待等の影響を一定程度受けたものであるという見方も不合理なものとはいえない。そして、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の過去の類似事例におけるプレミアム水準との比較において、当社株価の変動状況等を考慮すると、かかる憶測報道日の前営業日である2023年5月31日の基準日及び直近1ヶ月の終値単純平均値に照らして判断するよりも、より長期間の平均値を考慮して考えるのが適切であると判断することは不合理とは言えず、当該基準日直近3ヶ月又は当該基準日直近6ヶ月の終値単純平均値に照らして、本公開買付価格のプレミアム水準について、十分に合理性が認められるものである。
また、本取引においては、本公開買付け後に本株式併合の実施が予定されているところ、本株式併合においては、一般株主が本公開買付けに応募するか否かに当たって、仮に応募しなかった場合に、不利に取り扱われることが予想される状況には陥らないような配慮がなされていると認められる。さらに、本取引においては、本株式併合の実行後に本自己株式取得の実施が予定されており、本自己株式取得価格は、4,218.1円とされており、かかる本公開買付けと本自己株式取得を組み合わせたスキームを採用することで、富士通が本公開買付けにより当社株式を売却する場合と比較して一般株主が応募する本公開買付けの公開買付価格を高額に設定することができるとともに、富士通が享受する税務メリットを一般株主に対して公平に分配していると評価することもできることから、一般株主にとって不利益になることはなく、本自己株式取得を伴うスキームとする取引条件が公正性・妥当性を欠くとは認められない。加えて、公開買付者による資金調達が当社の財務状況に重大な悪影響を及ぼすものでない。
以上より、当社の企業価値は適正に評価されており、また、本公開買付価格、本株式併合において本公開買付けに応募しなかった当社の株主に対して交付される対価の額を含めて、本取引に係る取引条件は適正に設定されていると評価できることから、本取引の条件は、公正・妥当であると考えられる。
(iv)本公開買付けに対して当社の取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非
上記(i)乃至(iii)のとおり、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当性・合理性を有するから、本公開買付けに対して当社取締役会が賛同意見を表明することは妥当であると考えられる。
また、本取引に係る手続の公正性も確保され、本取引の取引条件には公正性・妥当性が認められることから、本公開買付けへの応募を推奨することは妥当であると考えられる。
但し、本公開買付けについては、その公表から開始までに相応の期間を要することが想定されており、例えば、本公開買付けの開始までの期間において市場株価が本公開買付価格を上回る事態が生じる等の変動が起きた場合、別途の考慮を要する可能性はあり得る。そのため、当社特別委員会の諮問事項(iv)に対する答申は、2023年12月12日付答申書作成日時点の状況を前提としたものである。
(v)当社が本取引を行うこと(本公開買付けに対して当社の取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)は当社の一般株主にとって不利益ではないか
上記(i)乃至(iv)のとおり、本公開買付けにより当社の一般株主に適正な価格で当社株式を売却できる機会を提供することが、現時点における株主の利益を配慮した上での最善の選択であるとの結論に至ったものであり、本取引の目的は正当性・合理性を有し、本取引に係る手続の公正性も確保されており、また本取引の取引条件は公正性・妥当性が認められるから、本取引を行うこと(本公開買付けに対して当社取締役会が賛同意見を表明すること、及び本公開買付けへの応募を推奨することの決定を含む。)は当社の一般株主にとって不利益なものでないと考えられる。
その後、2025年1月14日に開催された当社特別委員会において、当社は、公開買付者における国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応の進捗状況等を各委員に対して報告し、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(i)第三者算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係」に記載のとおり、本株式価値算定書の内容を変更する必要はないとの見方に十分な合理性が認められる旨を各委員に対して説明いたしました。
そして、今般、当社は、公開買付者から2025年1月22日に、国内外(日本並びに中国、韓国及びベトナム)の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了し、本公開買付前提条件のうち本クリアランス取得が完了した旨の本公開買付前提条件を充足したことから、その他の本公開買付けの公表日において充足されるべき本公開買付前提条件が充足又は放棄されることを前提として、2025年2月18日を公開買付開始日として本公開買付けを開始することを予定している旨の連絡を受けたことから、当社は、2025年2月17日に開催された当社特別委員会において、各委員に対して、当社及び公開買付者の状況等の情報を報告いたしました。当社特別委員会は、2023年12月12日以降、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、当該諮問事項について慎重に検討した結果、2023年12月12日以降、2025年2月17日までの事情を勘案しても、2023年12月12日付答申書の答申の内容について、いずれも変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2025年2月17日付で、当社取締役会に対して、2023年12月12日付答申書における意見に変更がない旨の追加答申書を提出いたしました。なお、当社特別委員会は、追加で、2025年1月14日より同年2月17日までの間に合計2回、合計約1時間にわたり開催され、追加諮問事項に関する審議及び検討を行いました。
なお、当社特別委員会は、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(i)第三者算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係」に記載のとおり、本株式価値算定書の内容を変更する必要はないとの見方に十分な合理性が認められる旨の三菱UFJモルガン・スタンレー証券の説明に不合理な点は見られないこと、2023年12月12日以降重大な事象は生じておらず、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が株式価値算定の前提とした事業計画について、当社が追加答申書作成日までに変更を加えていないことは不合理ではないと評価し得ること、当社グループや業界を取り巻く事業環境にも特段の変化はないと考えられることから、本株式価値算定書の内容の変更及び更新等を要請する必要はないと判断しております。
③ 当社における独立した法務アドバイザーからの助言の取得
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定の公正性、透明性及び客観性を確保するため、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(b)公開買付者と当社及び富士通との協議、公開買付者による意思決定の過程等」に記載のとおり、公開買付者、富士通及び当社から独立した法務アドバイザーとして西村あさひ法律事務所を選任し、同事務所より、本取引に関する意思決定過程、意思決定方法その他の本取引に関する意思決定にあたっての留意点について、必要な法的助言を受けております。なお、西村あさひ法律事務所は、公開買付者、富士通及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。また、西村あさひ法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
④ 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、公正性を担保するための措置として、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(b)公開買付者と当社及び富士通との協議、公開買付者による意思決定の過程等」に記載のとおり、公開買付者、富士通及び当社から独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関として三菱UFJモルガン・スタンレー証券を選任し、財務的見地から助言を受けるとともに、当社の株式価値の算定を依頼し、2023年12月12日付で上記に記載の前提条件その他一定の条件の下で、本株式価値算定書を取得いたしました。本株式価値算定書の概要については上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
なお、当社取締役会は、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(i)第三者算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係」に記載のとおり、2023年12月12日開催の取締役会から2025年2月17日時点までの状況を考慮しても、本取引の公表後、当社の2025年3月期通期連結業績予想について2024年10月25日付及び2025年1月31日付で下方修正を行うなど、足元では半導体市況低迷継続の影響を受けているものの、半導体は、超高速大容量通信を実現する情報通信基盤の進化やAI、IoTの急速な利用拡大等を背景とするDXの進展をもたらし、社会及び経済の成長を支えるキーテクノロジーとして、中長期的には引き続き堅調な需要が見込まれると考えられることから、当社を取り巻く事業環境についても、中長期的な事業見通しにも特段の変化はなく、本株式価値算定書に影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えられること、これらを踏まえて本株式価値算定書の内容を変更する必要はないとの見方に十分な合理性が認められる旨の三菱UFJモルガン・スタンレー証券の説明に不合理な点は見られないこと、及び、上記「② 当社における独立した特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、当社特別委員会が本株式価値算定書の内容の変更及び更新等を要請する必要はないと判断していることも踏まえ、本株式価値算定書の内容の変更及び更新等は不要であると判断しております。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、公開買付者、富士通及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認
当社取締役会は、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、西村あさひ法律事務所から受けた法的助言、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から受けた財務的見地からの助言及び本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、2023年12月12日付答申書において示された当社特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討いたしました。
その結果、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当なものであり、本公開買付けは当社の少数株主の皆様に対して合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2023年12月12日開催の当社取締役会において、当社の取締役8名のうち、下記の牧野恭久氏を除く審議及び決議に参加した当社の取締役7名全員一致で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。また、上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けは、2023年12月12日時点で、本公開買付前提条件(但し、本公開買付けの開始日において充足されるべきものを除きます。)が充足された日(又は公開買付者により放棄された日)(但し、これらの日において対抗提案が行われている場合には、富士通による公開買付者に対する本公開買付価格及び本自己株式取得価格の変更に関する協議の申入れの日から起算して20営業日を経過する日又は富士通が当該対抗提案に応じない意思を書面により誓約した日のいずれか早い方の日)から10営業日以内の日で、別途公開買付者が当社に事前に通知する日に、速やかに開始される予定であり、同日時点で、公開買付者は、国内外の競争法並びに国外の投資規制法令等に基づく必要な手続及び対応に関する現地法律事務所との協議も踏まえ、2024年8月下旬を目途に本公開買付けを開始することを目指していたとのことですが、国外の競争当局及び対内直接投資を所管する当局における手続等に要する期間を正確に予想することは困難であったとのことを踏まえ、当社は、上記取締役会において、本公開買付けが開始される際に、当社特別委員会に対して、当社特別委員会が2023年12月12日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる当社特別委員会の意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。
そして、今般、当社は、公開買付者から2025年1月22日に、国内外(日本並びに中国、韓国及びベトナム)の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了し、本公開買付前提条件のうち本クリアランス取得が完了した旨の本公開買付前提条件を充足したことから、その他の本公開買付けの公表日において充足されるべき本公開買付前提条件が充足又は放棄されることを前提として、2025年2月18日を公開買付開始日として本公開買付けを開始することを予定している旨の連絡を受けたため、当社特別委員会から提出された追加答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討した結果、2025年2月17日現在においても、本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したことから、2025年2月17日開催の取締役会において、改めて本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
また、当社の取締役会は、上記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」の「(i)第三者算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係」に記載のとおり、2023年12月12日開催の取締役会から2025年2月17日時点までの状況を考慮しても、本取引の公表後、当社の2025年3月期通期連結業績予想について2024年10月25日付及び2025年1月31日付で下方修正を行うなど、足元では半導体市況低迷継続の影響を受けているものの、半導体は、超高速大容量通信を実現する情報通信基盤の進化やAI、IoTの急速な利用拡大等を背景とするDXの進展をもたらし、社会及び経済の成長を支えるキーテクノロジーとして、中長期的には引き続き堅調な需要が見込まれると考えられることから、当社を取り巻く事業環境についても、中長期的な事業見通しにも特段の変化はなく、本株式価値算定書に影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えられること、これらを踏まえて本株式価値算定書の内容を変更する必要はないとの見方に十分な合理性が認められる旨の三菱UFJモルガン・スタンレー証券の説明に不合理な点は見られないこと、及び、上記「② 当社における独立した特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、当社特別委員会が本株式価値算定書の内容の変更及び更新等を要請する必要はないと判断していることも踏まえ、本株式価値算定書の内容の変更及び更新等は不要であると判断しております。
なお、当社の取締役のうち、牧野恭久氏は、富士通の出身者であり、富士通在籍時より2年しか経過していなかったことを踏まえ、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保するため、上記の両取締役会における審議及び決議を含む、本取引に関連した当社取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。また、牧野恭久氏は、当社の取締役を2024年6月26日開催の当社定時株主総会の終結の時をもって任期満了により退任しております。一方、藤田正美氏は、富士通の出身者であり、過去に富士通代表取締役副社長及び富士通完全子会社である株式会社富士通マーケティング(現 富士通 Japan株式会社)(以下「富士通マーケティング」といいます。)の代表取締役社長並びに2018年3月末日まで富士通の顧問及び2019年3月末日まで富士通マーケティングの顧問をそれぞれ務めていたものの、富士通在籍時から6年以上が経過し、また、富士通マーケティングを離籍してからも5年以上が経過しており、富士通の意思決定に関与することができないことはもちろんのこと、それ以降富士通及び富士通マーケティングとの間で当社と利益相反が生じるような関係は一切存在せず富士通との関係性は希薄化したと考えられること等から、上記の両取締役会における審議及び決議を含む、本取引に関連した当社取締役会の審議及び決議に参加しており、当社の立場において本取引に係る公開買付者との協議及び交渉にも参加しております。また、小澤隆史氏は、富士通の出身者であるものの、富士通在籍時から約20年以上が経過しており、本取引において富士通の意思決定に関与することができないことはもちろんのこと、それ以降富士通との間で当社と利益相反が生じるような関係は一切存在せず富士通との関係性は希薄化したと考えられることから、上記の両取締役会における審議及び決議を含む、本取引に関連した当社取締役会の審議及び決議に参加しており、当社の立場において本取引に係る公開買付者との協議及び交渉にも参加しております。
⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者によれば、本公開買付けの買付期間は、法令に定められた最短期間である20営業日に設定されているものの、本公開買付けはいわゆる事前公表型公開買付けであり、本公開買付価格を含む一連の取引条件が公表された後、本公開買付けの開始まで比較的長期間が確保されているとのことです。また、公開買付者は、当社との間において、当社による対抗的買収提案者との接触等を過度に制限するような内容の合意を行っておりません。そのため、公開買付者は、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保し、また、対抗的買収提案者による買収提案の機会を確保しているものと考えているとのことです。
(7)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項
① 取引基本契約書
上記「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けに際し、公開買付者は、2023年12月12日付で、富士通との間で、本取引に関し、本取引基本契約書を締結しているとのことです。本取引基本契約書において、富士通は、富士通が所有する本富士通保有株式について、本公開買付けに応募しないこと、及び、本公開買付けと競合、矛盾若しくは抵触し、若しくはその実行を困難にする又はそれらのおそれのある取引(以下「競合取引」といいます。)を行わず、また、競合取引に係る第三者との合意、合意に向けた申込み、申込みの誘引、承諾、協議、交渉、勧誘又は情報提供を行わないこと、また、本取引基本契約書締結時点において競合取引に関する協議又は交渉がなされている場合には、速やかにこれを中止することを合意しているとのことです。但し、富士通が当該合意に違反することなく、公開買付者以外の第三者から競合取引の提案を受けた場合において、当該提案が本公開買付期間の末日までに、本公開買付価格を一定割合以上上回る金額に相当する額を取得対価とする取引により、買付予定数の上限を設定しない当社の普通株式全てを取得する旨の公開買付け(以下「対抗提案」といいます。)となることが合理的に見込まれる真摯な提案であると富士通が合理的に判断した場合には、富士通は、当該第三者との間において必要最小限の範囲において当該提案に係る協議又は情報提供を行うことができるものとされているとのことです。なお、富士通は、本取引基本契約書締結日から本公開買付期間の末日までの間、自ら又は当社が競合取引に係る書面による提案を受けた場合、直ちに、公開買付者に対し、その旨及び当該提案の内容を通知するとともに、公開買付者の要請に基づき、当該競合取引に係る協議及び交渉の進捗状況について公開買付者と合理的な範囲で協議するものとされているとのことです。
また、富士通は、本公開買付期間の末日までに、富士通が協議又は情報提供を行うことができる上記第三者から対抗提案が開始された場合には、公開買付者に対して、本公開買付価格及び本自己株式取得価格の変更について協議を申し入れることができ、かかる協議を踏まえても、公開買付者が当該申入れの日から起算して20営業日を経過する日又は本公開買付期間の末日のうちいずれか早い方の日までに本公開買付価格を対抗提案に係る取得対価を上回る金額に変更し、かつ、本自己株式取得価格を対抗提案に係る取得対価と税効果を考慮して実質的に上回る金額に変更する行為をとらないときには、富士通は、本取引基本契約書に定める自らの義務の違反がない場合に限り、本富士通保有株式の全てを対抗提案に応じることができることとされているとのことです。なお、本公開買付けの開始前に対抗提案がなされた場合、公開買付者は、富士通が当該対抗提案に応じない意思を書面により誓約したとき又は公開買付者が上記行為をとったときを除き、本公開買付けを開始する義務を負わないものとされているとのことです。
また、本取引基本契約書においては、本公開買付け開始の前提条件(上記「(1)本公開買付けに関する意見の内容」に記載の「本公開買付前提条件」)、公開買付者及び富士通による表明保証事項(注1)、富士通の義務(注2)、公開買付者の義務(注3)、及び契約終了事由(注4)が定められているとのことです。
(注1) 本取引基本契約書において、公開買付者は、(i)設立、存続及び本取引基本契約書の締結及び履行に必要な権能の存在、(ii)本取引基本契約書の有効性及び強制執行可能性、(iii)本クリアランス取得を除く本取引基本契約書の締結及び履行に必要な許認可等の取得又は履践、並びに本取引基本契約書の締結及び履行に必要な手続の履践、(iv)本取引基本契約書の締結及び履行についての法令等との抵触の不存在、(v)倒産手続の不存在、(vi)反社会的勢力に該当しないこと及び反社会的勢力との関係の不存在、並びに、(vii)本公開買付けの決済を行うために必要となる資金の十分性及び当該資金の確保に係る合理的な見込みの存在について表明及び保証を行っているとのことです。また、本取引基本契約書において、富士通は、(i)設立、存続及び本取引基本契約書の締結及び履行に必要な権能の存在、(ii)本取引基本契約書の有効性及び強制執行可能性、(iii)本取引基本契約書の締結及び履行に必要な許認可等の取得又は履践、並びに本取引基本契約書の締結及び履行に必要な手続の履践、(iv)本取引基本契約書の締結及び履行についての法令等との抵触の不存在、(v)倒産手続の不存在、(vi)反社会的勢力に該当しないこと及び反社会的勢力との関係の不存在、(vii)本富士通保有株式の適法かつ有効な保有等に関する事項、(viii)当社の株式に関する事項、(ix)2021年4月1日以降に提出された当社の有価証券報告書等の正確性、並びに(x)デュー・ディリジェンスにおいて開示された情報の正確性について表明及び保証を行っているとのことです。
(注2) 本取引基本契約書において、富士通は、大要、(i)本富士通保有株式について本公開買付けに応募せず、また譲渡等を行わない義務、(ii)本スクイーズアウト手続の実施に関する義務、(iii)当社において本資金提供及び本減資等を実施させる義務、(iv)本自己株式取得の実施に係る義務、(v)本公開買付前提条件充足のための協力及び努力義務、(vi)自己の表明保証違反、義務違反又は本公開買付前提条件の不充足の可能性が判明した場合の公開買付者への通知義務、(vii)本取引の迅速な実行のための協力及び努力義務、(viii)当社グループが富士通及びその子会社から提供を受けている業務の移行手続支援に必要な期間の継続に関する誠実協議義務、(ix)当社グループの保有及び使用する一定の特許権に関する義務、(x)当社の健康保険制度及び退職年金制度に係る一定の対応を講じる義務、(xi)本自己株式取得日以降一定期間における競業避止義務、(xii)本取引基本契約書締結日以降一定期間における当社グループの役職員に対する勧誘禁止義務、(xiii)公開買付者による資金調達への協力義務、(xiv)本クリアランス取得への協力義務、(xv)自己の表明保証違反又は義務違反があった場合における補償義務、(xvi)秘密保持義務、(xvii)自らに発生する公租公課及び費用の負担義務、及び、(xviii)契約上の権利義務の譲渡禁止義務を負担しているとのことです。
(注3) 本取引基本契約書において、公開買付者は、大要、(i)本公開買付前提条件が充足された日以降、本公開買付けを開始する義務、(ii)本クリアランス取得のために法令等に基づき必要となる全ての行為を行い本クリアランス取得を完了することに係る努力義務、(iii)本スクイーズアウト手続の実施に関する義務、(iv)当社において本資金提供及び本減資等を実施させる義務、(v)本自己株式取得の実施に係る義務、(vi)本公開買付前提条件充足のための協力及び努力義務、(vii)富士通の事前の書面による承諾なく本覚書を変更しない義務、(viii)富士通の事前の書面による承諾なく本取引に起因又は関連する富士通の負担に関して司法行政機関等との間の連絡を行わない義務、(ix)自己の表明保証違反、義務違反又は本公開買付前提条件の不充足の可能性が判明した場合の富士通への通知義務、(x)本取引の迅速な実行のための協力及び努力義務、(xi)当社の健康保険制度及び退職年金制度に係る一定の対応を講じる義務、(xii)本取引基本契約書締結日以降一定期間における当社グループの役職員に対する勧誘禁止義務、(xiii)自己の表明保証違反又は義務違反があった場合における補償義務、(xiv)秘密保持義務、(xv)自らに発生する公租公課及び費用の負担義務、(xvi)契約上の権利義務の譲渡禁止義務、及び、(xvii)コミットメントレターの有効期限の延長又は新たなコミットメントレターの締結に係る努力義務(注4参照)を負担しているとのことです。
(注4) 本取引基本契約書において、公開買付者及び富士通は、(i)相手方当事者につき、本取引の実行に重大な悪影響を及ぼす表明保証の違反があった場合、(ii)相手方当事者につき、本取引基本契約書上の義務に重要な点において不履行又は不遵守があった場合において、当該不履行又は不遵守を是正するよう書面により求めたにもかかわらず、合理的な期間内にこれが治癒されなかった場合、(iii)相手方当事者につき、倒産手続の開始の申立てがなされた場合、(iv)自らの責めに帰すべき事由によらずに2024年9月末日(但し、本取引実行のために必要な公開買付者の金融機関からの借入に係るコミットメントレターの有効期限が同日以降の日に延長された場合又はこれに代わる金融機関との新たなコミットメントレターが締結された場合は、当該延長された有効期限日又は新たなコミットメントレターの有効期限日)までに本公開買付けが開始されない場合(なお、公開買付者は、かかるコミットメントレターの有効期限の延長又は新たなコミットメントレターの締結のために合理的な最大限の努力を行うものとし、また、当該コミットメントレターの有効期限の延長又は新たなコミットメントレターの締結について金融機関と協議を開始した場合には、金融機関との協議の状況の情報を富士通に提供し、また、当該コミットメントレターの有効期限の延長又は新たなコミットメントレターの締結が困難となる具体的なおそれを認識した場合には、公開買付者における検討内容や金融機関との交渉状況を含め、速やかに富士通に通知し、公開買付者が解除権を行使する前に、対応について真摯に富士通と協議するものとされております。なお、JICCは富士通に対し、大要JICCがこれらの事項につき約束する旨の書面を、2023年12月12日付で提出しているとのことです。(注5))、(v)自らの責めに帰すべき事由によらずに2025年6月末日までに本公開買付けが開始されない場合、(vi)公開買付者について、議決権の行使又は契約上の権利の行使を通じて公開買付者を直接又は間接に実質的に支配する者の変更その他の支配権の変更があった場合には、本公開買付期間の末日までに限り、相手方当事者に対して書面で通知することにより、本取引基本契約書を解除することができるものとされているとのことです。また、本取引基本契約書において、(i)公開買付者が、法その他適用ある法令等に従い、適法に本公開買付けを撤回した場合、(ii)対抗提案に係る公開買付けが開始され、富士通が対抗提案に応じることができることとなり、富士通が対抗提案に応ずることを公表した場合、(iii)本公開買付けに係る応募株券等の数の合計が買付予定数の下限に満たなかった場合のいずれかに該当する事由が生じた場合には、本取引基本契約書は自動的に終了するものとされているとのことです。
(注5) 公開買付者は、2024年9月30日付で、既存のコミットメントレターに代わる金融機関との新たなコミットメントレターを締結しており、その有効期限は、2025年6月末日までとされているとのことです。
② 公開買付けに係る覚書
本公開買付けに際し、公開買付者及び当社は、2023年12月12日付で本取引に関し、本覚書を締結しております。本覚書においては、当社の義務(注6)、公開買付者の義務(注7)及び契約終了事由(注9)が定められております。
(注6) 本覚書において、当社は、大要、(i)本公開買付けに賛同し、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見(以下「本意見」といいます。)の表明に係る決議を行い、かつこれを維持する義務、及び、競合取引を行わない義務(注8)、(ii)本取引の実施に必要な手続の履践及び協力義務、(iii)本クリアランス取得への協力義務、(iv)通常の業務の範囲内で業務を遂行する義務、(v)本公開買付期間末日の最終時点における預金口座の残高を一定額以上とする努力義務、(vi)当社グループにおける許認可等の維持及び法令等の遵守義務、(vii)公開買付者に対する当社グループの情報及び役職員へのアクセス付与義務、(viii)公開買付者による資金調達への協力義務、(ix)反社会的勢力との不関与等及び反社会的行為を行わないことに関する義務、(x)一定の取引先からの本取引に関する承諾取得に係る努力義務、(xi)一定の取引先に対する本取引に関する通知義務、(xii)新光電気労働組合に対する本取引に係る説明等の義務、(xiii)当社の役員持株会及び従業員持株会又はその会員による本公開買付けへの応募に係る協力義務、(xiv)自己の義務違反があった場合における補償義務、(xv)秘密保持義務、(xvi)自らに発生する公租公課及び費用の負担義務、及び、(xvii)契約上の権利義務の譲渡禁止義務を負担しています。
(注7) 本覚書において、公開買付者は、(i)本取引の完了後も当面の間、原則として当社グループの従業員に係る雇用継続及び雇用条件維持に係る努力を行う義務、(ii)本取引の完了後も当分の間、当社の商号変更に係る定款変更を提案しない義務、(iii)当社の重要な顧客及び取引先との取引関係の尊重義務、(iv)当社の創業者精神及び企業理念等の尊重に係る義務、(v)本クリアランス取得の完了に係る努力義務、(vi)反社会的勢力との不関与等及び反社会的行為を行わないことに関する義務、(vii)自己の義務違反があった場合における補償義務、(viii)秘密保持義務、(ix)自らに発生する公租公課及び費用の負担義務、及び、(x)契約上の権利義務の譲渡禁止義務を負担しています。
(注8) 本覚書において、本意見の維持に関する条項及び競合取引について当社が第三者との合意、合意に向けた申込み、申込みの誘引、承諾、協議、交渉、勧誘又は情報提供等を行うことを制限する条項が定められておりますが、本覚書上、当社は、本意見を変更せず維持すること又は本意見と矛盾する決議若しくは競合取引(一定の場合における当該競合取引に関する提案に係る協議又は情報提供を含みます。)を行わないことがその取締役の善管注意義務に違反すると合理的に判断する場合には、公開買付者に事前にその内容及び理由を説明し、対応について公開買付者と誠実に協議を行うものとされております。また、当社は、公開買付者との間で誠実に協議をしてもなお、当社が本意見を変更せず維持すること又は本意見と矛盾する決議若しくは競合取引を行わないことが、当社の取締役の善管注意義務に違反すると客観的かつ合理的に認められる場合には、本意見を撤回若しくは変更し、又は、本意見と矛盾する決議若しくは競合取引を行うことができるものとされております。
(注9) 本覚書において、本取引基本契約書が終了した場合には、本覚書は自動的に終了するものとされております。
③ 株主間契約
本公開買付けに際し、本JICCファンド、DNP及び三井化学は、2025年2月17日付で、以下の内容を含む株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を締結し、公開買付者及び当社の運営並びに株式の取扱い等に関する事項について合意しているとのことです。なお、本株主間契約のうち、当社に関する事項は、当社株式の譲渡禁止など、一部の条項を除き、本自己株式取得が完了した時点以降に適用されることとされているとのことです。
(i)当社のガバナンス等に関する事項
・当社の取締役の総数は6名とし、本JICCファンドが5名、DNPが1名を指名すること
・当社の代表取締役は1名とし、本JICCファンドが指名すること
・当社の監査役の総数は3名とし、本JICCファンドが指名すること
・当社の定款の変更、自己株式の取得、解散又は清算、及び、スクイーズアウト等の重要事項に関するDNP及び三井化学の事前承諾
(ii)当社の事業運営に関する事項
・JICC、DNP及び三井化学が公開買付者及び当社に対して追加出資や保証等を行う義務がないこと
・当社グループの事業運営の成功に向けて最大限努力すること
・各共同投資家と当社グループの事業上の連携(各共同投資家・当社間の半導体事業における次世代技術の開発・展開を含む相互の強みを活かした業務提携を含む。)に関する協議及びかかる提携に係る契約締結への協力を行うこと
(iii)当社株式の処分等に関する事項
・当社が株式等を発行等する場合、本JICCファンド、DNP及び三井化学はその議決権比率に応じて新株引受権を有すること
・当社株式に係る一定期間の譲渡等の禁止等
氏名 |
役職名 |
所有株式数(株) |
議決権の数(個) |
藤田 正美 |
代表取締役会長 |
16,183 |
161 |
倉嶋 進 |
代表取締役社長 |
18,183 |
181 |
伊藤 明彦 |
取締役 専務執行役員 法務・コンプライアンス・知的財産・資材調達・環境管理部門担当、経理本部長 |
9,077 |
90 |
小澤 隆史 |
取締役 常務執行役員 開発部門担当、アセンブリ事業部長 兼 営業統括部長 |
18,962 |
189 |
新美 潤 |
社外取締役 |
0 |
0 |
平林 利康 |
取締役 常勤監査等委員 |
3,300 |
33 |
荒木 泉子 |
社外取締役 監査等委員 |
0 |
0 |
小林 邦一 |
社外取締役 監査等委員 |
0 |
0 |
計 |
- |
65,705 |
654 |
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。
(注2) 所有株式数及び議決権の数には、譲渡制限付株式報酬として付与された当社の譲渡制限付株式を含んでおります。
該当事項はありません。
以 上