当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
なお、重要事象等は存在しておりません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間(以下、当期)の日本経済は、一部に足踏みが見られましたが、緩やかな回復が続きました。個人消費は物価高の影響などがありましたが、持ち直しとなり、設備投資は生産性向上の実現に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)投資などが堅調に推移しました。また、製造業の生産活動では自動車工業に台風などの影響が見られました。世界経済はインフレ緩和で利上げの影響が薄れ、緩やかなペースの成長が続きました。
日本の株式市場は、値動きの荒い展開を余儀なくされました。日経平均株価は4月19日の安値3万7,068円を底として、下値を切り上げながら上昇しましたが、6月中旬からは上昇ピッチが速まりました。米利下げ期待から米国の主要株価指数が最高値を更新する中、海外投資による日本株への資金流入もあり、7月11日に日経平均株価は4万2,224円の最高値を付けました。しかし、最高値更新は一時的で、米ハイテク株安や円高もあり国内半導体関連株が大きく値を崩す中、7月31日の金融政策決定会合で日銀が市場の想定外だった追加利上げを決めたことを受けて円高ドル安が加速、さらに7月の米雇用統計で米景気後退懸念が台頭し、8月5日に日経平均株価は3万1,458円と、2023年10月31日以来の安値まで急落しました。しかし、その後は、米経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が再び高まったことや日銀による早期の追加利上げ観測が後退したことなどから市場にも落ち着きが戻り、日経平均株価は3万7,919円で当期末を迎えました。
外国為替市場で、対ドルの円相場は期初1ドル=151円台でしたが、円安傾向が続き、7月3日には1ドル=162円と約37年半ぶりの円安ドル高を付けました。しかし、その後は政府・日銀による為替介入に加えて、日米金利差縮小が意識され、円高に転換し、当期末は1ドル=143円台半ばで終えました。
高い成長可能性を有する企業向けの市場である東証グロース市場で、東証グロース市場指数は7月17日に890まで上昇しました。その後は急落となりましたが、8月5日の628を底として反発に転じ、当期末は831で終えました。東証グロース市場250指数も8月5日の485が底値となり、652で当期末を迎えました。
当期における東証プライム市場の一日平均売買代金は5兆718億円、スタンダード市場の一日平均売買代金は1,411億円、グロース市場の一日平均売買代金は1,315億円となりました。
当社は、このような環境下、お客様本位の「ストック型ビジネスモデル」の構築を目指し、中期経営計画「3・D」の目標である預り資産3兆円への拡大をするため、ファンドラップと投資信託によるストック型資産の増加に取り組んでおります。
この「ストック型ビジネスモデル」への転換の進捗度合を計る最適指標であるコストカバー率(投資信託の信託報酬やラップフィー等のいわゆる安定収益の販管費に対する比率)は、72.5%(前年同期は57.9%)となりました。
ストック型資産の中核となります いちよしファンドラップ「ドリーム・コレクション(愛称:ドリコレ)」につきましては、お客様の保守的な資産の中長期運用商品としてのニーズが引き続き拡がっており、当期末の残高は2,998億円(前年同期末比31.5%増)となりました。また、本年9月より、いちよしファンドラップ専用 次世代承継サービスとして「ドリコレ・パス」の申込受入れを開始いたしました。運用資産を換金することなく資産承継ができる、まだ国内では珍しいファンドラップの資産承継サービスであり、世代を超えた資産形成をサポートして参ります。
また、投資信託(ラップを除く)につきましては、「いちよし日本好配当株&Jリートファンド(愛称:明日葉(あしたば))」や「いちよし・グローバル株式ファンド(愛称:いちばん星)」等、お客様のニーズに即した提案に努めて参りました。
「いちばん星」に続くノーロード・ファンド(購入時手数料無し)、お客様ニーズがある分配型の新商品として本年6月に取扱いを開始いたしました「いちよし・グローバル好配当戦略ファンド(愛称:ミズナラ)」につきましても投資信託の預り資産拡大に大きく寄与しております。
当期末の投資信託の残高は、7,853億円(前年同期末比7.1%増加)となりました。
グループのいちよしアセットマネジメントにおきましては、運用資産残高が引き続き増加し、当期末の運用資産残高は5,675億円(前年同期末比21.2%増)となりました。
株式につきましては、低金利環境、インフレの下で安定性と配当に注目した資産株のご提案に加え、当社グループの強みであるリサーチ力を生かした中小型成長企業への投資のご提案をするなど、引き続きお客様の中長期における資産形成としての株式投資をお勧めして参りました。
以上の結果、当社グループの純営業収益は97億6百万円(前年同期比6.1%増)となりました。また、販売費・一般管理費は81億81百万円(同3.3%増)となり、差し引き営業利益は15億24百万円(同24.5%増)となりました。
なお、当期末の預り資産は、2兆2,400億円(前期末比1.0%減)となりました。
主な内訳につきましては以下のとおりです。
① 受入手数料
受入手数料の合計は94億88百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
委託手数料:
株券の委託手数料は22億91百万円(前年同期比12.9%減)となりました。
このうち、中小型株式(東証スタンダード、東証グロース、名古屋メイン、名古屋ネクスト)の委託手数料は2億37百万円(同32.4%減)となり、株券委託手数料に占める中小型株式の割合は10.4%となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料:
投資信託に係る手数料が9億18百万円(前年同期比33.1%減)となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料の合計は9億23百万円(同33.4%減)となりました。
その他の受入手数料:
その他の受入手数料は、当社の受益証券残高に係る信託報酬が23億8百万円(前年同期比10.4%増)、ファンドラップに係るフィー等が23億60百万円(同63.9%増)、これに いちよしアセットマネジメントの運用に係る信託報酬12億61百万円(同19.7%増)等を加え、合計62億23百万円(同27.8%増)となりました。
以上の結果、安定収益の受入手数料に占める割合は、62.5%(前年同期は51.4%)となりました。
② トレーディング損益
株券等のトレーディング損益は、18百万円(前年同期比59.2%減)の利益となりました。債券・為替等のトレーディング損益は、7百万円(同21.7%減)の利益となりました。その結果、トレーディング損益合計は25百万円(同52.6%減)の利益となりました。
③ 金融収支
金融収益は、85百万円(前年同期比0.2%増)、金融費用は、19百万円(同6.9%減)となり、差し引き金融収支は66百万円(同2.5%増)となりました。
以上の結果、当期の純営業収益は97億6百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
④ 販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、人件費の増加等により、81億81百万円(前年同期比3.3%増)となりました。
⑤ 営業外損益
営業外収益が、投資有価証券配当金15百万円、投資事業組合運用益27百万円等で58百万円となり、差し引き58百万円(前年同期比477.8%増)の利益となりました。
以上の結果、当期の経常利益は15億82百万円(前年同期比28.2%増)となりました。
⑥ 特別損益
投資有価証券売却益等で差し引き1百万円(前年同期比97.1%減)の利益となりました。
これらにより、税金等調整前中間純利益は15億83百万円(前年同期比23.5%増)となりました。これに法人税、住民税及び事業税5億75百万円及び法人税等調整額32百万円を加減算した結果、親会社株主に帰属する中間純利益は10億41百万円(同21.9%増)となりました。
(2)財政状態の状況
① 資産
前期末に比べて62億61百万円(13.4%)増加し、529億9百万円となりました。これは、現金・預金が70億30百万円増加したこと等によるものです。
② 負債
前期末に比べて57億88百万円(32.8%)増加し、234億27百万円となりました。これは、預り金が55億21百万円増加したこと等によるものです。
③ 純資産
前期末に比べて4億73百万円(1.6%)増加し、294億81百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する中間純利益10億41百万円を計上した一方で、配当金の支払い5億75百万円があったこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は55.7%(前期末は62.1%)となりました。
なお、当社の自己資本規制比率は513.9%(前期末は518.0%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益15億83百万円を計上、預り金及び受入保証金の増加による54億72百万円の増加等により、77億79百万円(前年同期比30億75百万円の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出等により、△1億88百万円(同5百万円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額5億73百万円等により、△5億80百万円(同12百万円の減少)となりました。
以上により、中間期末における現金及び現金同等物残高は、前期末残高に比べ、70億11百万円増加し、245億6百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)主要な設備
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等は行われておりません。