文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、国内のデジタルマーケティングソリューション領域で No.1 を目指し、企業と消費者のエンゲージメントを高めて幸福な購買体験を実現するための取り組みを進めております。
この方針のもと、「株主」「顧客」「社員」等全てのステークホルダーの視点に立った経営を行い、当社グループの企業価値の最大化を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、適時・適確な判断による事業展開を可能にするため、目標とする経営指標は特に設けておりません。しかしながら、当社グループは、業容を拡大し、経営基盤を安定化させるため、収益率の向上を経営課題と認識しております。
(3) 経営環境
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルスに対する行動制限や経済活動の制限が緩和されたことで、個人消費に持ち直しの動きがみられました。その結果、企業業績については総じて改善傾向がみられました。一方、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰に加え、欧米中央銀行の利上げによる円相場の急落や物価の急速な上昇等、景気の先行きは依然不透明な状況が続いております。
このような環境の下において、非接触型ソリューション需要の高まりにより当社が関連する国内BtoCのEC市場は拡大傾向にあり、「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によりますと、令和3年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は20.7兆円(前年19.3兆円、前々年19.4兆円、前年比7.35%増)に拡大、令和2年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は372.7兆円(前年334.9兆円、前々年353.0兆円、前年比11.3%増)に拡大しており、令和3年における日本国内のBtoC-EC及びBtoB-EC市場規模は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が強まる前の令和元年における市場規模を超えたと評価されております。
また、EC化率はBtoC-ECで8.78%(前年比0.7ポイント増)、BtoB-ECで35.6%(前年比2.1ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展していることからも、当社に関連するCX・DXソリューション市場も拡大すると見込まれております。
CX改善サービスについては、前連結会計年度より連結子会社となったZETA株式会社の事業が好調に推移したため、大きく伸長しました。同社が有する「ZETA CX」ソリューションは、顧客が運営する「ECサイト」の検索エンジンの性能を高め、利用するユーザーの購買体験や意欲を高めることに貢献するサービスを行っております。本サービスはライセンス販売を主としており、ソリューション提供後は継続して使用いただく傾向が強いため、安定的な収益が見込まれます。当サービスは、ZETAが手掛ける「ZETA CX」シリーズとして、導入件数はネット通販売上高トップ100社のうち28社に及び、導入先への流通総額は3兆円にも及びます。
ネット広告サービスについては、今後適用が予定されているサードパーティCookie規制への不安やクライアントの広告戦略見直しによる影響により減少いたしました。
また、米国のクラウドプラットフォーム「Yext Knowledge Engine」を使用し、顧客の企業情報(新商品や新規店舗の開店情報等)を正確に管理、最適化してユーザーに発信するDKMサービスを行っております。本サービスはそれを利用するユーザーが新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりによる外出規制により使用割合が減少したため全体として需要は低調に推移しておりますが、新型コロナウイルス感染症の広がりが収束傾向に向かい、ユーザーの行動規制が緩和されれば需要が伸長するものと思われます。当社グループにおいても業績の推移は低調ではありますが、既存の大手顧客からの新規受注もいただき始めたため、業績は前連結会計年度と比べ上回りました。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループの事業の一つであるネット広告サービスにおいては、サードパーティーCookieの規制動向を受け、今期におけるネット広告サービスは前期実績を下回っております。この減少傾向は来期以降も続くものと思われ、当社グループでは、ネット広告サービスからは撤退を致しました。
一方で、当社のもう一つの事業であるCX改善サービスにおいては、既存製品の販売が順調に推移していることに加えて、新製品の引き合いも増えているなど、売上高、利益ともここまで好調に推移しており、また今後さらなる成長が見込まれます。
そこで当社グループでは、成長性の高いCX改善サービスに経営資源を集中させ、更なる新サービスの投入、有力クライアントへの複数サービス導入、提携やM&Aによる事業領域の拡大、AIなど先端技術の活用及び知的財産戦略の加速する体制を整備し、更なる成長と発展を目指してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが、今後も持続的に成長して企業価値を高めるために対処すべき課題として認識している事項は、以下の通りであります。
① サービスに関する課題
a. 適切な事業領域の選択
ネット広告サービスに代わり、CX改善サービスに経営資源を集中投下し継続的な成長を目指すとともに、自社サービスの展開も視野に入れ規模の拡大を目指していくことが必要です。
b. データの管理と活用
当社グループは、膨大な行動履歴を集積し、これを元に各種パーソナライズの実現及び広告の配信の最適化等のサービスの提供を行っております。また、新しく当社グループに加わったZETAは膨大な検索履歴やレビューデータを有しております。今後より一層の需要が見込まれるこれらの有用なデータをどう管理し、またどのようなテクノロジーを活用して有用な推論を行い、企業のサービスの向上に貢献できるかが重要となってきます。
c. 検索履歴やレビューデータの活用に関する投資
ECサイト等ではユーザーによるクチコミやスタッフの投稿などのUGCの活用が加速するとともに、単なる購買の場だけでなくメディアとしての役割が高まりつつあり、こうしたUGCデータを集合知として活用していくことは、今後のECサイト等におけるCX向上にとっては必須と考えられています。
またCookie規制の動向などにより今後リターゲティング広告が難しくなることが予測されるため、サイトとしてのオーガニックな流入を高めていくことはこれまで以上に重要な課題となってきます。当社グループでは今後、リテールメディアテックをはじめとする技術革新や新規サービスを創出するため、なお一層のテクノロジーの進化について取り組んでいきます。
② 組織能力等に関する課題
a. マーケティング
デジタルマーケティングソリューションを提供していく上で、重要となるのが当社グループ自体のマーケティングです。当社グループ自体のマーケティングを積極的に行うことで収益力を向上させ、それによって得られた超過収益をさらに投資していくことで、正の事業成長のスパイラルを獲得することが、より良いサービス・ソリューションの提供を行う上でも必要不可欠です。
b. 優秀な人材の確保
適切な事業領域の選択、競争力の高い製品・サービスの開発・提供、効率の良いマーケティングの実践等を行う上では、優秀な人材候補を確保し続けることは最重要な経営課題の一つです。
当社の企業風土を固定せず、当社グループにおける社員全員の価値を最大化できるような企業へと、経営陣も含めた企業文化の最適化を追求しつづけ、常により良い組織へと変貌をし続けることが、変化の激しいデジタルマーケティング事業領域においては重要であると考えます。
人材採用においては、採用時点のスキルだけではなく将来獲得すると思われるスキルを重視し、当社グループ全体における教育・育成の質を向上していく予定です。
c. 経営管理体制の構築
当社グループが継続的に成長をコントロールし、顧客に対して安定してサービスを提供し続けていくためには、継続的な内部統制の整備、強化に取り組んでいくことも必要と考えております。当社グループは、サイジニアをコーポレート機能に特化し、ZETA、デクワスを事業会社として、また株式会社サイジニアアドバンスド研究所をR&D会社として、各事業・各サービスに応じて運営することで組織強化・効率化を図っております。
今後も組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように内部統制の整備、強化、見直しを行っていく方針であります。
当社グループは、デジタルマーケティングソリューション事業を通じて、企業と消費者の幸福な購買体験の実現に向けて、サステナビリティを巡る課題に対応するための各種取組みを実施しております。
当社グループは、監査役会設置会社であり、会社の機関として株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置しております。取締役会の経営監督機能の客観性及び中立性を高めるために、一般株主と利益相反のおそれのない独立社外取締役を1名選任しており、より一層の充実を図るために第18期定時株主総会において更にもう1名の社外取締役を選任しております。また監査役は、内部監査部門と必要に応じ随時、情報・意見交換を行うことにより相互連携を図っており、会計監査人及び取締役と定期的な意見交換を実施し、適切、適正な監査を行うことでコーポレート・ガバナンスの充実を推進しております。
その他にも、法令違反・不正行為・ハラスメント行為に対して、当社グループに従事する役員及び従業員が通報できるグループ内部通報窓口を設置しており、通報窓口は社内「コンプライアンス委員会事務局」、「常勤監査役」及び社外「外部の法律事務所の弁護士」としております。通報手段は、「電話」「電子メール」「チャット」「FAX」「郵便」「面談」の複数を設けることで利便性を確保し、また通報者保護も周知しております。なお、内部通報については、定期的に取締役会に報告し、取り組みのモニタリングを行っております。
(2)戦略
当社グループは、事業領域の選択や製品・サービスの開発・提供、マーケティングの実践などにおいて、優秀な人材の確保と育成が重要であると考えております。そのため、新卒採用、中途採用を問わず、積極的に採用活動を展開しております。また、当社グループに共通かつ公平な人事評価制度を構築し、業績や貢献度に応じた評価を行っております。
人材育成に関しては、基本オペレーションの教育を丁寧に行い、少人数のユニット制度でグループ間連携を促進し、課題解決や事業推進を効率的に進めるように取り組んでおります。さらに、英語教育や各職種の専門知識習得のための研修などを通じて、人材の多様性とスキルアップを図っております。
当社グループは、リスク管理を経営上の重要な活動と認識しており、各種のリスクに対応すべく、コンプライアンス規程、リスク管理規程を定めるとともに、その適正な運用に努めております。詳細につきましては、「
当社グループは、上記「(2)戦略」に記載のとおり、新卒採用者、中途採用者の積極採用や人事評価制度の統一等の取り組みを進めておりますが、現時点で具体的な指標は設定しておりません。今後、取締役会において人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の策定に向けた議論を行い、指標及び目標の開示を検討してまいります。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因には、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日時点において、当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に係るリスクについて
① EC市場について
近年、非接触型ソリューション需要の高まりにより当社が関連する国内BtoCのEC市場は拡大傾向にあり、「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によりますと、令和3年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は20.7兆円(前年19.3兆円、前々年19.4兆円、前年比7.35%増)に拡大、令和2年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は372.7兆円(前年339.4兆円、前々年353.0兆円、前年比11.3%増)に拡大しております。
しかしながら、インターネットの普及に伴う環境整備やその利用に関する新たな規制の導入、技術革新、その他予期せぬ要因等により、EC市場における業界環境が変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② アドテクノロジー業界について
インターネット広告市場では、広告の表示方法や販売手法など広告の効果を向上させるための様々な取組みや技術の導入が行われております。当社グループでは今後成長が期待できるリテールメディアにおけるリスティング広告に取り組みを始めております。インターネット広告は変化のスピードが早いため、今後新たに有望な広告の市場及びテクノロジーが登場した場合には、そうした変化に対応が必要となる可能性があります。
③ 業界における技術革新について
インターネット関連分野における技術革新は著しく進展しております。インターネットを利用して事業を運営している会社は、常に業界動向、技術革新、顧客ニーズの変化等に即座に対応する必要があります。技術革新によるスマートフォンやタブレットの急速な普及のようにユーザーの利用環境が変化することも予想され、当社グループがこのような環境変化への対応に時間を要した場合には、競争力の低下を招き、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 法的規制について
現時点において、当社グループの提供するサービスに関連して、事業継続に重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しております。しかし、インターネットの利用者及び事業者を規制対象とする法令、行政指導、その他の規制等が制定された場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 競合サービスについて
当社グループは、国内BtoCのEC市場を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては、多くの企業が事業展開していることもあり、競合サービスが増加する可能性があります。今後、十分な差別化や機能向上等が行えなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営体制に係るリスクについて
① 特定人物への依存及び人材確保に係るリスクについて
当社グループでは、事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、人材採用と人材育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難になった場合や、人材が外部に流出した場合には、当社グループの業務に支障をきたすおそれがあります。また当社グループでは、代表取締役を含む役員、幹部社員等の専門的な知識、技術、経験を有している従業員が、各部門の経営、業務執行について重要な役割を果たしており、特定の分野についてはこれらの人物のノウハウに依存している面があります。このため当社グループでは、特定の人物に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織及び技術スタッフの強化を図っておりますが、これらの役職員が何らかの理由で退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制について
当社グループは、今後の事業展開や成長を支えるためにも内部管理体制のより一層の充実を図っていく予定であります。
今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針ではありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的な対応ができなかった場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ オペレーションリスクについて
当社グループの各サービスでは、顧客企業の商品マスタや物件情報等を日々取り扱っており、煩雑で件数も膨大になります。それに付随する、オペレーション上のミスが発生する可能性があります。当社グループでは、ミスの軽減を図るため、システムでの管理により、業務基盤の整備を進めておりますが、事務処理における事故・不正等が起きた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報セキュリティー管理について
当社グループは、当社グループサービスの提供にあたり会員情報や銀行口座の情報等の個人情報を取得及び利用しておりません。しかしながら、取引データの管理や、グループ内における顧客企業等の情報及び個人情報についてもその取扱いには細心の注意を払い、法令を遵守するほか入退室管理、ハードウェアやネットワーク管理について最大限の取組みを行っております。しかしながら、以上のような当社グループの努力にもかかわらず、万一、外部からの不正アクセスなどにより情報の外部流出等が発生した場合には、当社グループへの損害賠償の請求や当社グループの社会的信用の失墜等によって、当社グループの事業や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 知的財産権について
当社グループは、当社グループの提供するサービスの基礎をなす技術やビジネスモデルについて、特許権を出願し取得するとともに、各種の商標を登録しております。しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。一方で、当社グループの事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社グループに対する訴訟やクレーム等が発生し、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 設備及びネットワークの安定性について
インターネットは重要な社会基盤として社会全般に浸透してきており、そのネットワークは継続的に拡大を続けております。そのため、当社グループの設備及びネットワークは24時間稼動、年中無休での運用が求められております。当社グループは、「ZETA CX」ソリューションサービスを提供し、また成果の集計管理をシステムを通じて提供しております。システムに支障が生じることは、サービス全般の停止を意味するため、設備及びネットワークの監視や冗長化、定期的なデータのバックアップなど、障害の発生防止に努めております。
しかしながら、地震、火事などの災害のほか、コンピュータウイルスやハッカーなどの行為、ハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミスによるもの、その他予期せぬ重大な事象の発生により、万一、当社グループの設備又はネットワークが利用できなくなった場合には、サービス停止に伴う信用の低下を引き起こし、顧客の解約はもちろん今後の新規顧客の獲得に影響が生じることが考えられ、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他
① ストック・オプションによる株式価値の希薄化について
当社は、役職員の業績向上に対する意欲や士気を高めるため、ストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は58,260株であり、発行済株式総数の0.9%に相当しております。これらのストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。
② 税務上の繰越欠損金について
当社グループには、本書提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。
そうした場合、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
③ M&Aによる減損損失の計上について
当社グループは、自社で行う新規事業の開発に加えて、M&A及び他社との業務提携を通じて、新規事業の開発・育成及び既存事業の拡大を推進しております。新規事業を開始するにあたっては、相応の先行投資を必要としたり、当該事業に固有のリスク要因が発生する場合があります。また、M&A及び他社との業務提携にあたっては、期待通りの効果を生まず戦略目的を達成できない場合や、実行後に未認識の債務やレピュテーションリスクが顕在化する場合があります。さらに、景気の後退や為替の著しい変動、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等によりM&Aで取得した企業の収益性が当初計画より著しく低下した場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。
これらの場合には、当社グループが戦略上意図した新規事業の開発・育成及び既存事業の拡大を実現することができず、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルスに対する行動制限や経済活動の制限が緩和されたことで、個人消費に持ち直しの動きがみられました。その結果、企業業績については総じて改善傾向がみられました。一方、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰に加え、欧米中央銀行の利上げによる円相場の急落や物価の急速な上昇等、景気の先行きは依然不透明な状況が続いております。
このような環境の下において、非接触型ソリューション需要の高まりにより当社が関連する国内BtoCのEC市場は拡大傾向にあり、「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によりますと、令和3年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は20.7兆円(前年19.3兆円、前々年19.4兆円、前年比7.35%増)に拡大、令和2年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は372.7兆円(前年339.4兆円、前々年353.0兆円、前年比11.3%増)に拡大しており、令和3年における日本国内のBtoC-EC及びBtoB-EC市場規模は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が強まる前の令和元年における市場規模を超えたと評価されております。
また、EC化率はBtoC-ECで8.78%(前年比0.7ポイント増)、BtoB-ECで35.6%(前年比2.1ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展していることからも、当社に関連するCX・DXソリューション市場も拡大すると見込まれております。
こうした中、当社グループの当連結会計年度の売上高については、「CX改善サービス」(※)は前連結会計年度より連結子会社となったZETA株式会社(以下「ZETA」という。)の事業が好調に推移したため、1,322,100千円(前年同期比19.2%増)と大きく伸長しました。一方で「ネット広告サービス」は、今後適用が予定されているサードパーティCookie規制への不安やクライアントの広告戦略見直しによる影響により909,590千円(前年同期比37.6%減)と減少いたしました。
その結果、当連結会計年度における売上高は2,239,371千円(前年同期比13.7%減)、営業利益は182,476千円(前年同期比49.8%減)、経常利益は178,109千円(前年同期比49.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は108,933千円(前年同期は1,146,458千円の損失)となりました。ZETAは例年第1四半期が費用先行期であり、前期において第1四半期は81,444千円の営業損失でありました。前連結会計年度はZETAの業績を第2四半期期首から連結しております。
なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。主なサービス別の概況は次のとおりです。
※ 当グループのリソースを集中し効率的に事業の推進を図るため、第1四半期連結会計期間よりサービス区分の見直しを行いました。その結果、「CX改善サービス」と「OMO推進事業」を統合し「CX改善サービス」としております。当該統合は名称のみであり、その内容に与える影響はありません。
①ネット広告サービス
当サービスは、主に当社及び連結子会社のデクワス(以下「デクワス」という。)が手掛けています。
当連結会計年度の業績は、今後適用が予定されているサードパーティCookie規制を見据えたクライアントの広告戦略見直しによる影響により前連結会計年度を大きく下回り、909,590千円(前年同期比37.6%減)となりました。
②CX改善サービス
当サービスは、ZETAが手掛ける「ZETA CX」シリーズとして、導入件数はネット通販売上高トップ100社のうち28社に及び、導入先への流通総額は3兆円にも及びます。
その結果、売上高は1,322,100千円(前年同期比19.2%増)となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,239,371千円となり、前連結会計年度に比べ356,625千円減少しました。これは主に会計処理を再検討した結果並びに連結子会社のデクワス株式会社におけるネット広告サービスの売上高比率が低下したことによるものです。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は1,143,911千円となり、前連結会計年度に比べ333,029千円減少しました。これは主に売上高減少に伴う広告枠費や業務委託費の減少によるものであります。
この結果、売上総利益は1,095,460千円(前連結会計年度比2.1%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は912,983千円となり、前連結会計年度に比べ157,653千円増加しました。これは主に人件費及び広告宣伝費、業務委託費の増加によるものであります。
この結果、営業利益は182,476千円(前連結会計年度比49.8%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は8,940千円となりました。これは主に債務勘定整理益によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は13,308千円となりました。これは主に借入金や社債の支払利息によるものであります。
この結果、経常利益は178,109千円(前連結会計年度比49.8%減)となりました。
(特別利益、特別損失及び当期純損益)
当連結会計年度の特別利益は428千円となりました。これは固定資産売却益によるものであります。
当連結会計年度の特別損失は16,087千円となりました。これは主にシステム障害対応費用によるものであります。
また法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は53,516千円となり、これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は108,933千円(前連結会計年度は1,146,458千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(2) 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末より646,611千円減少し、1,610,777千円となりました。その主な内訳は、主に現金及び預金が582,433千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末より91,339千円減少し、736,664千円となりました。その主な内訳は、主に顧客関連資産が84,500千円減少したことによるものであります。
(繰延資産)
当連結会計年度末における繰延資産は、前連結会計年度末より6,595千円増加し、14,925千円となりました。その主な内訳は、主に当社及びZETAの社債発行費の増加によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末より29,182千円増加し、711,078千円となりました。その主な内訳は、主に1年内償還予定の社債が110,000千円増加したことや、買掛金が54,449千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は前連結会計年度末より109,750千円増加し、1,001,498千円となりました。その主な内訳は、主に社債が282,000千円増加したことや、繰延税金負債が90,959千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末より870,288千円減少し、649,790千円となりました。その主な内訳は、主に利益剰余金が1,193,817千円増加したことや、資本剰余金が1,073,697千円減少したこと、自己株式が996,798千円増加(純資産としては減少)したことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末より582,433千円減少の1,166,870千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、94,709千円(前連結会計年度は283,258千円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益162,450千円があった一方で、法人税等の支払額98,403千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、14,871千円(前連結会計年度は22,368千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が15,089千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、662,270千円(前連結会計年度は114,617千円の収入)となりました。主な要因は、社債の発行による収入539,872千円があった一方で、自己株式の取得による支出が996,798千円、長期借入金の返済による支出が114,156千円、社債の償還による支出が158,000千円あったことによるものであります。
(4) 生産、受注及び販売の状況
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要につきましては、更なる事業拡大に向けて、集客体制の強化や商品開発のための投資を行っていく想定であります。これらの資金需要は内部留保で補うことを原則としながら、中長期における資金需要並びに金利動向等を注視したうえで必要に応じて機動的に資金調達を行い、財務の健全性を維持する方針です。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
(注)1.当連結会計年度よりサービス区分の見直しを行いました。その結果「CX改善サービス」と「OMO推進サービス」を統合し「CX改善サービス」としております。
2.上表の「CX改善サービス」の前年同期比の算出方法につきましては、分母を前年の「CX改善サービス」と「OMO推進サービス」の合計として算出しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当社の連結子会社であるデクワス株式会社(以下「デクワス」という)は、2023年6月26日に開催の取締役会決議に基づき、2023年7月1日をもって、株式会社ジーニーに対して、デクワスのネット広告サービス事業を譲渡いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」(重要な後発事象)をご参照ください。
当社グループでは、設立以来、人工知能技術に関する研究を行い、その研究成果を当社グループのサービスにおいて活用・実用化してまいりましたが、同分野において更なる技術革新や新規サービスを創出するため技術の開発を進めております。
当連結会計年度における研究開発費は、