第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、1984年の創立以来、社名に表す「イメージ(画像)」に強いこだわりを持ちながら、各々の時代において最先端の製品やサービスを社会に提供してまいりましたが、抜本的な経営改革を目指すミッションとして、「人の健康と地球環境」の分野において、IT 医療と再生可能エネルギー及び環境事業を通じ、お客様の迅速かつ的確な「意思決定」「意志伝達」を支援することで、健康的な長寿社会とクリーンなエネルギー社会の創造に貢献してまいります。そして我々は、お客様及び国内外のパートナーにとって当社グループが目的を達成するための「存在価値」は何かを常に問い続けてまいります。

当社グループは、常にパートナーとともに顧客本位の観点から何が最適かを考え、お客様からの多種多様な要望に対してクオリティの高いサービスを提供し、顧客満足度を最大化すること、そして強固な信頼関係を構築してまいります。

 

(2)経営環境

当社は、健康的な長寿社会とクリーンなエネルギー社会の創造に貢献することを「経営の基本方針」としてあげており、「ヘルスケアソリューション事業」「地球環境ソリューション事業」の2つの事業を主たる業務として推進しております。それぞれの事業における経営環境は、以下のとおりであります。

 

ヘルスケアソリューション事業

政府・総務省が推進する医療ICT政策や、新設されたデジタル庁の医療分野構想における「オンライン診療の原則解禁」等の実現において、当社主要販売商品であるクラウド型電子カルテ、医療用画像管理システムは必須アイテムとなっております。また、昨今ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)等の医療機関へのサイバー攻撃の脅威が増す中、カルテ情報や医療用画像のバックアップをクラウドVNAでお預かりする事で、サイバー攻撃等があった時に早期に医療再開するなど、益々、医療情報クラウドサービスの需要が高まっております。一方、新型コロナウイルスの感染症法上の分類は5月から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたことにより、抗原検査キット等の受注活動は縮小傾向が更に進んでいくことが予想されます。

 

地球環境ソリューション事業

2021年4月現在、125カ国・1地域が、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しており、日本国内でも2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。こうした環境下において、当社が手掛けるGEOソリューション分野、ESG分野への重要性は増しております。また、原子力関連分野においては、国際原子力機関(IAEA)からの提言を受けて、日本政府は福島第一原子力発電所で貯蔵されているALPS処理水の海洋放出を今夏に開始しましたが、廃炉作業は事故から30~40年の長期にわたる見通しとされております。そのため、当社が提供する原子力関連の最先端技術を擁する製品群のニーズも引き続き高まってくるものと思われます。

 

(3)目標とする経営指標

当社におきましては、売上高と営業利益の継続的な拡大及びROEの向上を目標としております。

 

(4)中長期的な経営戦略

当社グループを取り巻く環境が刻々と変化していく状況の中、上記ミッションを達成するために、以下の5つを経営改革の柱として推進してまいります。

① 長期にわたる業績低迷に決別し「攻めの経営」を敢行する

変化し続ける医療分野及び地球環境分野に常にアンテナを張り巡らせ、業績低迷した状況を打破し将来を考えた経営戦略を策定し構築してまいります。

 

② 新規事業の創出による収益基盤の早期確立を目指す

新たな関連事業を発掘、創出することで、事業領域拡大に向けた取組みを強化してまいります。

③ M&A・業務提携により外部リソースを積極的に取り込む

関連事業のM&Aを積極的に活用して、グループ企業経営の拡大を模索してまいります。

④ 既存事業の再構築及び新たな付加価値の創出を図る

時代の変化にアンテナを張り巡らせ、当社グループの形骸化されつつあるサービスの定期的な見直し、それに替わる新たなサービスの創出、付加価値向上に向けた取り組みを常に取り組んでまいります。

⑤ 結果にこだわる経営姿勢で定量目標を達成する

新たな取組みに対しては、短期的な経営目標数値を策定し、常に結果にこだわった経営指標を検討してまいります。長期的な計画となる取組みに対しては、効率性を重視した経営姿勢を基準とした経営指標を検討してまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 安定利益確保の体制構築

従来のヘルスケアソリューション事業において、競合他社との価格競争による売上総利益額の減少が課題であるとしております。これまでの主軸である電子カルテ事業、周辺システム等を医療機関の幅広い部門に導入し、導入後も保守サービス等による安定的な収益を確保していくビジネスモデルは、競合激化により既に変革期にあることを踏まえ、これからの事業拡大に向けた取組みとして、医療機関のニーズが高いシステム領域を絞り、採算重視の効率的な営業活動による販路拡大が推進していくことを目指してまいります。加えて、メディカルサプライ分野の販売において、消耗品の取扱い品目を増やし、安定的な調達体制及び販売体制を構築してまいります。

地球環境ソリューション事業のGEOソリューション分野では、売上高の減少による売上総利益額の減少が課題としております。Pix4D社製スマートフォン計測システムが国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されたことを踏まえ、今後においては地理空間情報に関連した独創的で新規性のある商品やサービス事業を構築してまいります。

一方、販売管理費等コストについては、採算性、効率性を最重要課題として、費用の内容を徹底的に再検証することで、大幅なコスト削減を実施し、安定的な黒字を継続的に計上できるよう注力してまいります。

② キャッシュ・フロー経営の徹底と財務体質の強化

当社グループは、販売効率や売上総利益率改善のために商品構成の最適化と在庫管理精度の向上が課題としております。一定の流動性のある在庫を確保しつつ販売回転率を向上させたキャッシュ・フロー経営の徹底を図ってまいりましたが、適正な在庫管理については継続課題としております。また、売上債権の管理についても未回収売掛金の増加による、貸倒引当金の引き当てが増加したことを課題としております。これらについて、これまでの業務プロセスの見直しによる在庫管理の最適化及び売上債権の管理強化を進めてまいります。また、不必要な支出を削減し、支出プロセスの効率化を図るとともに、将来の投資につきましても、長期的な投資については、投資案件の内容を十分に精査し、慎重に対応していくと同時に、短期的な投資については収益貢献できる案件を選別して投資をしていくことで収益性の高い事業へリソースを集中させ、グループの企業価値最大化に向けた取り組みも実施してまいります。

③ 新規事業の創出による収益基盤の早期確立

当社グループでは、ヘルスケアソリューション事業と地球環境ソリューション事業を軸として事業を展開しておりますが、現時点の当社グループの既存事業及び既存商材のみでは、今後の売上を拡大するには限界がある状況であり、現在の取引先の販路を用いるなどした上で、新たな事業領域に進出することが必要と想定しております。このような状況において、事業内容の多様化を視野に入れ、ビジネスチャンスのある新たな事業領域に速やかに進出するため、関連事業のM&Aを積極的に活用する等して、グループ企業経営の拡大を模索してまいります。

④ 内部管理体制の強化

当社グループは業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、当社グループといたしましては、コーポレート部門の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。内部統制ならびにコーポレート・ガバナンスの強化は、顧客や社会から信頼される企業として重要な経営課題であると認識し、より一層の体制整備に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

基本方針

当社グループは、地域に存在するエネルギー資源の普及への投資を通じて地域経済の活性化及び発展に貢献するとともに、科学技術の飛躍的進歩や社会構造の変化によるヘルスケア産業を取り巻く環境変化に順応し、高品質な医療機器や医療サービスの安定的な供給を実現させることで、中長期的な安定収益の達成と企業価値の最大化を目指しています。また、企業の経済活動において環境・社会・ガバナンス(ESG)の各課題に取り組むことが重要であると考え、「サステナビリティ基本方針」を策定し、日々の業務において実践しております。

 

環境に対する取り組み:当社グループは、再生可能エネルギー及びヘルスケア産業が地球環境及び周辺の自然生態系に与える正負の影響について認識し、エネルギー設備の運営及び医療機器や医療サービスにおいてのその影響を常に考慮し、地球環境への貢献及び環境負荷低減のための施策に取り組んでいきます。

 

社会に対する取り組み:当社グループは、事業活動を通じ、エネルギー事業及びヘルスケア事業に関わる様々なステークホルダーに配慮し、求められる社会的責任を果たしていきます。本方針の実践に向けて、それぞれのステークホルダーとの間に良好な関係を構築し、積極的に連携・協力していくことに努めます。

 

ガバナンスに対する取り組み:当社グループは、すべての業務活動において関連する法令・諸規則を遵守し、倫理的な事業活動を推進します。また、ESGに関連するリスクの適切な管理を実践します。株主やステークホルダーとの信頼関係も重視し、公平・平等性の確保のために迅速かつ透明性のある情報開示を進め、財務情報のみならずESGに関する非財務情報に関しても積極的な開示に努めます。

 

詳細はこちらをご覧ください。

https://www.imageone.co.jp/sustainability/

 

ガバナンス

社会課題の顕在化やステークホルダーの価値観の変容を背景に、サステナビリティ経営の重要性が増しています。当社グループにおいても、持続可能な社会の実現に向けた責任を強く意識し、サステナビリティを事業戦略の中心に据え、関連するリスクと機会の適切な監視・管理を推進しています。サステナビリティに関する情報に関しては管理部が収集・分析し、取締役会に報告しています。取締役会は、市場の動向やリスクを踏まえてこれらの情報を基に現行目標の評価を行い、修正や調整が必要な場合、適切な対策を行うこととしております。

 

リスク管理

当社グループは、「事業等のリスク」に関する重要事項の審議とリスク発生時の対応策を検討するため、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会は、全社的なリスク管理を行い、様々なリスク要素を特定・評価し、その影響を最小化して企業価値を維持・向上するための方針を立案・実行します。サステナビリティリスクも対象に含まれ、例えば気象・災害リスクや感染症等の影響は、経済・社会に影響を及ぼし、当社グループ事業にも直接的な影響を及ぼす可能性があるため、「事業等のリスク」の一環として位置づけて管理しております。全てのリスク管理活動の実施状況は取締役会に報告され、定期的に監視されています。

 

戦略(人的資本について)

当社グループが人的資本戦略で重要視しているのは、性別や国籍、採用形態に関わらず、適正と能力に応じた適切な人材活用です。そのため、女性や外国人、中途採用者など、多様な人材の獲得と、能力や経験を重視する人物本位の人材登用を推進しております。さらに、各人が自身の能力を最大限に発揮できるような職場環境整備も進めています。既に上級管理職として活躍している女性もおりますが、女性の採用・登用に関しては、積極的な採用を継続し、更なる育成強化を通して、女性が一層活躍する機会も拡大する予定です。また、個々人が能力を最大限に発揮できるよう、キャリアアップ推進のための人事及び研修制度も進めていく方針です。

 

指標及び目標

戦略(人的資本について)において記載した、人材の多様性を尊重した採用及び登用、社内環境整備に関する取り組みについて、当社グループでは、採用目標の設定や登用に対する達成度の把握といった具体的な取り組みが行われているものの、当連結会計年度末現在においては、指標による目標管理を行っていません。これら指標による目標管理は、今後の課題の特定及び抽出、方針の策定を基に行ってまいります。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開、経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクを以下に記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績の変動について

当社グループは、市場動向を予測し経営計画を立てておりますが、想定を超える国及び地方自治体の予算縮小に伴う発注の抑制や、景況の変化に伴う民間企業や医療機関の設備投資削減があった場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、新商品のアイディア、新商品の開発、販売戦略の検討、販売拡大の環境づくり等を行うことでリスク分散を図っております。

 

(2) 業界動向及び競合等について

当社グループの主要事業であるヘルスケアソリューション事業のうち、メディカルシステム分野は、情報技術の影響を強く受ける分野であるため、当社の想定を超える新技術の開発、新方式の採用、新製品の出現、もしくは競合会社の台頭等により、当社グループ取扱商品の陳腐化や市場価値の低下を招き、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

メディカルシステム分野においては、新商品のアイディア、新商品の開発、販売戦略の検討、バージョンアップ等を行うことでリスク分散を図っております。

また、同事業のメディカルサプライ分野は、医療用グローブ、PCR検出試薬、抗原検査キット等は大小さまざまなメーカー、商社が激しい競争を行っております。当社グループが即応できないサービスを提供する競合先が現れ、当社グループの提供するサービスの価値が極端に魅力を失った場合に業績に影響を及ぼす可能性があります。

メディカルサプライ分野においては、品揃えの拡充や即納体制をはじめとして競合他社との差別化に努めております。

地球環境ソリューション事業のうち、GEOソリューション分野においては、日本国内代理店として三次元画像処理ソフトウェアや計測機器販売と長年培った独自の知見による補正とコンサルティングサービスを付加し、大型設備の保守メンテナンス及び各種ソリューションをサービスとして提供しておりますが、類似したサービスを提供する競合他社が存在するため、価格競争やサービスレベルの要求等が激化し当社グループが対応できない場合は、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、主要仕入先及び主要販売先との情報共有を強化し、協力体制を構築することにより、既存商品に限らず、新たな商品とサービスの開発を進めるなどし、競合他社からの脅威回避に努めております。

 

(3) 製品に関するクレームについて

当社グループが開発・販売を行うソフトウェア、システム及び商品については、欠陥等の不具合を回避し、早期発見するための管理体制をとっております。しかしながら、万が一不具合などの問題を回避できずユーザー等に損害を与えた場合は、損害賠償請求等の解決にあたり多大な費用と時間を要し、当社グループの信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、顧客からの問合せに対する対応状況や履歴を管理台帳で共有しており、早期に解決し問題を回避出来るよう努めております。

 

 

(4) 情報管理に関するリスクについて

当社グループは販売、導入及び保守業務等の事業活動において、お客様の機密情報に触れる機会や、お客様が保有する個人情報を一時的にお預かりすることがあります。当社は、2010年にISO/IEC27001の情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得し、情報管理体制の維持向上を継続的、組織的に進めております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入や従業員の過誤等による重要データの漏洩やコンピュータープログラムの不正改ざん、もしくはシステム・ネットワーク障害や自然災害によるサービス提供の中断等が発生した場合には、損害賠償請求により、当社の信用や事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、システムの定期的な保守、バックアップシステムの構築、外部からの不正アクセス防止対策等により、システムへの障害発生・情報漏洩などのリスクを低減し、事業継続性の向上を図っております。

 

(5) 診療報酬の改定について

当社グループのヘルスケアソリューション事業においては、政府方針により2年に1度行われる診療報酬改定の際に診療報酬が引き下げられた場合には、医療機関の収益を圧迫し、投資意欲を低下させることにより、当事業やその業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、新商品のアイディア、開発、販売戦略、販売拡大の環境づくり等を行うことでリスク分散を図っております。

 

(6) 特許権などの知的財産権の侵害について

当社グループは自社製品及びその技術に関する知的財産権の重要性を認識し、その保護を図る方針です。また、他者の知的財産権を侵害しないよう十分に注意を払っておりますが、万が一他者の知的財産権を侵害したと認定され、損害賠償を求められた場合には、法的紛争解決に多大な費用を要する可能性があり、当社グループの信用や事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、外部専門家の活用など、知的財産権の権利取得または権利侵害の防止に努めております。

 

(7) 国のエネルギー政策について

当社グループで展開する再生可能エネルギー分野に関して、国のエネルギー政策が変更され、電力の固定価格買取制度における買取価格の引き下げや、買取年数の短縮等が生じた場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、政策や制度の変更に関する動向等の情報収集を適宜行い、現在の状況及び今後の状況を判断しながら、事業計画を進めるように努めております。

 

(8) 開発リスクについて

当社グループで展開する再生可能エネルギー分野に関して、発電所の開発において、開発規模によっては、森林法、環境法等の法令や条例の規制を受け、その申請手続も複雑かつ多岐にわたると共に、許認可がおりるまでの期間が長引く場合があり、この結果、用地確保から発電所建設に至るまでの期間が予想以上に長引いたり、途中で当該案件の開発を断念せざるを得ない状況が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、政策や制度の変更に関する動向等の情報収集を適宜行い、現在の状況及び今後の状況を判断しながら、事業計画を進めるように努めております。

 

(9) 気象・災害リスクについて

当社グループで展開する再生可能エネルギー分野に関して、発電所の発電量は、気象条件により左右されるほか、設備の劣化や天災・火災等の事故により、想定した発電量と実際の発電量との間に予期せぬ乖離が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、自然災害による損害に備えるため、損害保険加入により、事故費用の補填、売電収入補償、迅速な対応を含めた現場ごとの対策を講じております。

 

 

(10) 調達・物流に関するリスク

当社グループでは、事業活動に必要なコンピューター・サーバー・その他半導体を搭載する機器と医療用サプライ品等を国内外から調達しております。半導体需要の高まりや感染症の拡大や戦争・紛争の勃発、その他不測の事態の発生により、それら仕入コスト及び調達に係る配送コストが著しく上昇し、さらには、仕入や配送そのものが不可能となって当社製品出荷が停滞・停止することにより、当社の経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、仕入先の分散化、安定的な調達体制の構築を進めております。

 

(11)取扱製品の使用期限管理について

医療機器や医薬品をはじめとして、当社グループで取扱う製品の一部には、製造元により使用期限が設定されています。万が一、当社グループの人為的要因やトラブルにより使用期限を経過した製品が流通し重大な健康被害が生じた場合には、医療機器販売業等に係る許認可等の取り消し、当社グループへの信頼低下などにより販売活動へ影響が生じる可能性や、患者様・医療機関等への補償、使用期限管理体制の改善・強化等のために多額の費用が生じる可能性があり、これにより当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、このような事態を回避するため、定期的な実地棚卸の実施その他運用の徹底・検証により使用期限管理体制の改善・強化に取り組んでおります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和され持ち直しの動きが見られたものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、主要分野であるヘルスケアソリューション事業において、政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられており、また、2021年9月に新設されたデジタル庁の医療分野構想においても「オンライン診療の原則解禁」等も発表されております。これらの実現の為には当社主要販売商品であるクラウド型電子カルテ、医療用画像管理システムは必須アイテムとなっております。一方、新型コロナウイルスの感染症法上の分類は5月から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたことにより、抗原検査キット等の受注活動は縮小傾向にあります。

地球環境ソリューション事業においては、2021年4月現在、125カ国・1地域が、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しており、日本国内でも2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。こうした環境下において、当社が手掛けるGEOソリューション分野、ESG分野への重要性は増しており、当社では、地域及び地球に優しい持続可能な環境配慮型事業創出に注力しております。

原子力関連分野においては、東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東京電力」)が2022年3月10日に公開した「ALPS処理水等からトリチウムを分離する技術の公募に係る第1回募集の二次評価と第2回募集の一次評価について」(p.3)に当社は参加しておりますが、東京電力から「フィージビリティスタディ」を当社と開始する連絡を受けたため、今後は「フィージビリティスタディ」が本格的に進んでいくことが想定されます。国際原子力機関(IAEA)からの提言を受けて、日本政府は福島第一原子力発電所で貯蔵されているALPS処理水の海洋放出を昨夏に開始しましたが、廃炉作業は事故から30~40年の長期にわたる見通しとされております。そのため、当社も東京電力が進めている本案件に引き続き参画してまいります。

当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高2,975,323千円(前年同期比9.9%減)、営業損失685,047千円(前年同期は301,091千円の損失)、経常損失712,618千円(前年同期は356,347千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失647,889千円(前年同期は508,370千円の損失)となりました。

 

セグメント別の概況は以下のとおりです。

 

ヘルスケアソリューション事業

ヘルスケアソリューション事業の当連結会計年度業績は、売上高1,341,545千円(前年同期比51.5%減)、セグメント損失265,188千円(前年同期は162,331千円の利益)となりました。

当セグメントの業況といたしましては、メディカルサプライ分野が引き続き当社グループ売上全体に占める割合が大きい傾向にあり、一定の売上高と利益は確保することはできたものの、新型コロナウイルス感染症の改善と感染対策の緩和に伴い、抗原検査キットやPCR検出試薬などの需要が縮小し、当初予算を大幅に下回る結果となりました。

メディカルシステム分野においては、『PACS』(医療用画像管理システム)及び電子カルテに関して、一定の売上計上を行うことができました。電子カルテは、今後も収益性を重視した事業継続のため、株式会社ヴェリタス(以下、「ヴェリタス」)に『i-HIS』(クラウド型電子カルテ)事業資産の一部(開発・設置作業等)を譲渡し、当社自身は販売活動に更に注力する方針とし、案件成約時にヴェリタスから顧客紹介料として受注額の一部を受領する商流に変更しております。一方、医療機関のDX化が注目を集める中、当社主力商品であるRIS(放射線科情報システム)、統合viewer・医用文書スキャンシステムについては継続販売しております。統合viewerは一画面で患者様の情報が俯瞰できるため情報を探す手間が省け、業務の効率が上がり、医療従事者の働き方改革にも役立つシステムになります。院内に紙媒体で散見する医用文書をファイリングできる医用文書スキャンシステムは、患者様の同意書や各種検査の検査結果用紙等の医用文書にタイムスタンプを付与し原本としてデジタル保存することで膨大な紙文書の保管から解放(ペーパーレス化)を実現いたします。

新たな取組として2022年5月に設立された株式会社ワン・サイエンスは、新型コロナウイルスによるPCR検査の需要見込みから、PCR関連商品の販売だけでなく受託検査機関としての業務提供も目指して事業を開始しました。しかし、設立当初の予想に反してPCR検査需要が縮小したことから、事業全体が低調な結果となりました。

シーメンスヘルスケア株式会社との業務提携による、CT装置と生化学・免疫装置を同時搭載した移動型医療ソリューション(Advanced Mobility Solution)「Medical-ConneX(メディカル・コネクス)(シーメンスヘルスケア株式会社登録商標)」も、今年度から本格的に事業活動を開始していたものの、販売計画の遅延などにより売上計上ができない結果となりました。以上の要因により、売上高は当初の業績予想を大幅に下回る結果となりました。

 

地球環境ソリューション事業

地球環境ソリューション事業の当連結会計年度業績は、売上高1,633,778千円(前年同期比204.8%増)、セグメント利益3,619千円(前年同期は115,495千円の損失)となりました。

当セグメントの業況といたしましては、GEOソリューション分野、ESG・エネルギー分野、原子力関連分野を中心とした展開を継続しております。

GEOソリューション分野においては、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア『PIX4Dmapper』 『PIX4Dmatic』並びにスマートフォンやタブレット端末を用いた計測ツール『viDoc RTK rover』の受注が堅調に推移し、一定の利益も確保できている状況にあります。また、地理空間情報や三次元画像に高付加価値を与える新たなソリューションサービス事業に関しては、従来の取引先である測量・建築業界以外からも多種多様な業界から要望がきており、今後も成長が期待できるマーケットになります。

ESG・エネルギー分野においては、引き続き再生可能エネルギー市場の動向に注視しつつ、太陽光発電所等のセカンダリーマーケットにおいて売買活動を行っている他、太陽光発電関連製品の販売も開始しております。また、再生バッテリーを事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする環境配慮型の事業を行っていますが、当該事業については、連結財務諸表「注記事項(連結貸借対照表関係) 4 偶発債務」に記載のとおり、2024年1月15日に受領した第三者委員会の調査報告書における調査結果を踏まえ、実体のない可能性がある業務についての売上及び売上原価の取消を行っております。

原子力関連分野のトリチウム分離技術においては、創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同でプレパイロット装置を使った実験により東京電力の技術公募の次のステップとなる原発構外での小規模実証試験に用いる実装装置の開発を進めております。また、国際原子力機関(IAEA)からは、高い耐放射線性能と小型・軽量・省エネの特長を持つマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線カメラ2台を耐久テストサンプルとして受注を受け、2023年7月7日にIAEAラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長を迎え、受注セレモニーを開催しました。ALPS処理水の安心・安全を確保するためには、トリチウムの連続計測器が必要であると考えておりましたが、トリチウム等の連続計測器の開発に成功した新生福島先端技術振興機構と独占販売代理店契約を締結し、同社が持つ先端技術を国内外に提供することも開始いたしました。

 

 

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、2,265,521千円(前連結会計年度末比18.6%増)となりました。これは、現金及び預金が245,478千円、仕掛販売用不動産が443,350千円、前渡金が235,527千円増加し、売掛金が281,265千円、商品が291,820千円減少したこと等によります。

固定資産は、573,029千円(同56.4%減)となりました。これは、長期預け金が238,885千円増加し、機械及び装置703,927千円、ソフトウェア仮勘定が9,740千円、差入保証金が141,592千円、その他の関係会社有価証券が117,343千円減少したこと等によります。

この結果、当連結会計年度における総資産は、2,838,551千円(同12.0%減)となりました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、999,903千円(前連結会計年度末比38.0%増)となりました。これは、未払金が189,828千円、仮受金が257,073千円、賞与引当金が21,056千円、その他が66,846千円増加し、買掛金が210,165千円、短期借入金が50,000千円、減少したこと等によります。

固定負債は、20,278千円(同42.4%減)となりました。これは、長期借入金が13,075千円減少したこと等によります。

この結果、当連結会計年度末における負債合計は、1,020,182千円(同34.3%増)となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、1,818,368千円(前連結会計年度末比26.3%減)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失647,889千円を計上したこと等によります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ195,478千円増加し825,881千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動の結果獲得した資金は、39,113千円(前期は318,284千円の使用)となりました。これは、税金等調整前当期純損失の計上640,665千円、仕掛販売用不動産の増加578,000千円、仕入債務の減少210,165千円、長期預け金の増加238,885千円、棚卸資産の減少385,162千円、販売用不動産の減少768,599千円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動の結果獲得した資金は、247,384千円(前期は984,280千円の使用)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出34,700千円、定期預金の預入による支出50,000千円、関係会社の清算による収入112,095千円、保証金の回収による収入152,342千円、長期貸付けによる支出35,279千円、長期貸付金の回収による収入37,279千円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は、91,019千円(前期は297,713千円の獲得)となりました。これは、短期借入金の減少額50,000千円、長期借入金の返済による支出17,220千円等があったことによるものです。

 

なお、ヘルスケアソリューション事業は、メディカルシステム分野及びメディカルサプライ分野を主軸に今後も展開してまいります。

メディカルシステム分野では、引き続き既存顧客の保守・販売展開を進めてまいります。主力である『PACS』(医療用画像管理システム)及び電子カルテなどのメディカルシステム開発及び販売に加えて、RIS(放射線科情報システム)、統合viewer・医用文書スキャンシステムを継続販売してまいります。昨今ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)等による医療機関へのサイバー攻撃の脅威が増す中、カルテ情報や医療用画像のバックアップをクラウドVNAでお預かりする事で、サイバー攻撃等があった時に早期に医療再開が可能になるなど、益々、医療情報クラウドサービスの需要が高まっております。このような環境の中で、当社は、これまでに医療業界で培った経験をもとに、医療機関の業務全体の効率化が図れるような医療情報システム全般の提案から選定、導入、そして安定稼働まで、トータルサポートの推進を今後も継続してまいります。

メディカルサプライ分野は、新型コロナウイルス感染症の改善と感染対策の緩和に伴い、抗原検査キットやPCR検出試薬等の従来商材の見直しを行うとともに、感染症対策以外の新規商材の取扱いを検討してまいります。

また、シーメンスヘルスケア株式会社との業務提携により開始した、CT装置と生化学・免疫装置を同時搭載した移動型医療ソリューション(Advanced Mobility Solution)「Medical-ConneX(メディカル・コネクス)(シーメンスヘルスケア株式会社登録商標)」の事業展開も推進し、災害医療、離島僻地医療等の社会課題解決を目指してまいります。

地球環境ソリューション事業につきましては、GEOソリューション分野、ESG分野、原子力関連分野を主軸に今後も展開してまいります。

GEOソリューション分野については、建設・土木・測量分野で多くの導入実績のあるPix4D社製ソフトウェア『PIX4Dmapper』は堅調な販売実績となっております。また、同社の次世代の画像処理ソフトウェア『PIX4Dmatic』と、スマートフォンやタブレット端末を用いたモバイル計測ソリューションが、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されたことにより、導入実績が増加をしていることから、建設DXの推進にともない、今後更なる導入が期待されます。さらにPix4D社製ソフトウェアと親和性の高いAIを用いた森林計測ソフトウェアの新規取り扱いを開始するなど、地理空間情報に関連した独創的で新規性のある商品やサービス事業を引き続き拡大してまいります。

ESG・エネルギー分野は、再生可能エネルギーに対する太陽光発電所等のセカンダリーマーケットでの売買活動を今期も推進してまいります。

原子力関連分野のトリチウム分離技術においては、日本国内における東京電力ホールディングス株式会社より依頼されている「フィージビリティスタディ」に取り組んでおりますが、この技術の普及により、福島原発のALPS処理水だけでなく、世界の重水炉等で大量に発生するトリチウムの回収と再利用を目指していきます。また、国際原子力機関(IAEA)からテストサンプルとして受注された高い耐放射線性能と小型・軽量・省エネの特長を持つマッハコーポレーション株式会社製の耐放射線カメラと、新生福島先端技術振興機構が開発に成功したトリチウム等の連続計測器も、国内外に提供していきます。トリチウム分離技術、耐放射線カメラ、トリチウム計測器等の原子力関連技術製品の販売を推進し、原子力関連及び海外事業の拡大を今後も進めてまいります。

 

 

(3) 仕入、受注及び販売の状況

① 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

 至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

ヘルスケアソリューション事業

(千円)

681,401

28.7

地球環境ソリューション事業

(千円)

1,434,550

295.4

合計

(千円)

2,115,951

73.9

 

(注) 1  金額は実際仕入額によっております。

2  当社はシステム インテグレータであり、生産設備を保有していないため、生産実績等の記載は行っておりません。

3 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ヘルスケアソリューション事業

1,099,775

38.4

114,810

32.2

地球環境ソリューション事業

1,501,422

766.1

31,109

726.0

合計

2,601,198

84.9

145,920

40.4

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

 至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

ヘルスケアソリューション事業

(千円)

1,341,545

48.5

地球環境ソリューション事業

(千円)

1,633,778

304.8

合計

(千円)

2,975,323

90.1

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社トータル・プランニング

368,740

11.17

RBソーラーアーク合同会社

686,092

22.3

RBソーラーディタ合同会社

620,000

20.1

 

(注)1  当連結会計年度の株式会社トータル・プランニングに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。

2 前連結会計年度のRBソーラーアーク合同会社及びRBソーラーディタ合同会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

・財政状態及び経営成績の分析

財政状態及び経営成績の分析については、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照ください。

 

・経営指標の分析

経営指標の分析について、当社グループでは売上高と営業利益、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標としております。当連結会計年度業績は、売上高2,975,323千円(前年同期比9.9%減)、営業損失685,047千円(前年同期は301,091千円の損失)、自己資本利益率(ROE)△30.6%となりました。

売上高については、既存の事業の売上に加え、医療用グローブ、PCR検査試薬、抗原検査キット等のメディカルサプライ分野の受注活動強化により、大幅に売上を獲得することができました。それに伴って売上総利益も大きく獲得できております。一方で販売費及び一般管理費においては、営業コストの増加、販売管理コストの増加等により営業利益を確保することは出来ず営業損失を計上することとなりました。

 

・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況については、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2021年9月

2022年9月

2023年9月

自己資本比率(%)

89.7

75.7

63.2

時価ベースの自己資本比率(%)

308.0

253.4

239.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

74.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

35.7

 

(注)1 各指標の算出は以下の算式を使用しております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

2 2022年9月期及び2023年9月期の指標につきましては、それぞれ連結ベースの財務数値により、2021年9月期につきましては、単体ベースの財務数値により算出しております。

 3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)で計算しております。

 4 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

5 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 6 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

7 2021年9月期及び2022年9月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

・セグメント別の状況

セグメント別の状況については、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照ください。

 

・資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループにおける資金需要の主なものは、仕入代金、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び新規事業の立ち上げやM&A費用等であります。当社グループの資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び増資による資金調達と金融機関からの借入による資金調達となります。

また、手元流動性資金(現預金残高)は、一定額を保持する方針であり、資金の流動性は十分に確保できていると考えております。

今後の重要な支出の計画につきましては、地球環境ソリューション事業においては新規案件の取得に加え、研究や開発、人材の確保にかかる費用、投資が想定されており、これらの必要資金についても、自己資金で賄いきれない部分については、長期安定的な方法により調達を行い、事業化を推進することが望ましいものと考えております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(業務提携やその他の契約)

契約先

契約締結日

契約期間

契約の内容

EBM Technologies,Inc. (台湾)

2001年
7月1日

DICOM に準拠した医療画像保管・配信・表示システム(PACS)の国内独占代理店契約

EBM Technologies,Inc. (台湾)

2015年

5月12日

国内PACS市場での競争力確保を目的として業務提携

株式会社ユニ・ロット

2019年
4月5日

再生可能エネルギー分野に係わる業務提携契約

合同会社開発74号

2019年

9月20日

太陽光発電事業に関する匿名組合に関する契約

株式会社ユニ・ロット

2019年

11月27日

鹿児島県に所在する風力発電所に係わる権利等譲渡契約

創イノベーション株式会社

2020年

1月21日

 

株式交換による経営統合に関する基本合意書契約(注)1

慶応義塾大学

創イノベーション株式会社

2021年

7月8日

2024年3月31日

まで(注)2

ハイドレート生成原理を利用した水同位体分離の研究の契約

一般財団法人

日本病院経営革新機構

2022年

1月26日

自 2022年1月26日

至 2024年1月25日

1年間の自動更新あり

検診・検査用ニトリルグローブの販売支援に関する業務提携契約

シーメンスヘルスケア株式会社

2022年

1月31日

移動型医療ソリューション「Medical-ConneX」の普及拡販に関する基本合意書

一般社団法人全国介護事業者連盟

2022年

2月10日

自 2022年2月10日

至 2024年2月9日

1年間の自動更新あり

新型コロナウイルス抗原検査キットの販売支援に関する業務提携契約

Long Corridor Alpha Opportunities Master fund 及び

MAP246 Segregated Portfolio

2022年

9月12日

総数引受契約並びに第11回及び第12回新株予約総数権引受契約

東京電力ホールディングス株式会社

2023年

1月27日

2025年12月31日まで

フィージビリティスタディのために開示される情報についての守秘義務契約

Aristagora VC Israel GP L.P.

2023年

1月31日

ファンドへの出資契約

一般社団法人

新生福島先端技術振興機構

2023年

6月22日

トリチウム及び主要8核種の連続計測器の独占販売代理店契約

 

(注)1 創イノベーション株式会社との間で締結した、クリーンなエネルギー社会の創造及び地方創生への取組みを加速することを目的とした経営統合に関する基本合意書に関し、株式交換契約の承認取締役会及び締結を2022年3月と予定していましたが、株式交換の諸条件について引き続き両社で協議するため、株式交換契約の承認取締役会及び締結予定を2024年3月に変更しております。

2 慶応義塾大学及び創イノベーション株式会社との3者間によるハイドレート生成原理を利用した水同位体分離の研究の契約は、研究の精度を高めるため、契約終了期間を2024年3月31日まで延長とする契約を2023年3月14日に締結しております。

 

 

(資産等譲渡契約)

当社は、2023年1月24日開催の取締役会において、電子カルテ事業の一部資産を、株式会社ヴェリタス(本社:東京都中央区)に譲渡することを決議いたしました。

 

当該契約の主な内容は、以下のとおりです。

(1)譲渡の理由

採算重視を目指した電子カルテ事業を今後も継続していくため、事業資産の一部(開発・設置作業等)を譲渡することといたしました。今後の電子カルテ事業の展開については、当社は販売活動に専念し、案件成約時にヴェリタスから顧客紹介料として受注額の一部を受領する商流に変更する方針です。

 

(2)譲渡対象資産  ソフトウェア使用許諾権利等、システム保守契約権利等

(3)譲渡価格    55百万円

 

(4)譲渡先の概要

(1)名       称

株式会社ヴェリタス

(2)所   在   地

東京都中央区銀座4丁目2番2号第1弥生ビルディング6階

(3)代表者の役職・氏名

代表取締役 吉越 匡子

(4)事   業   内   容

コンピュータのシステム、ソフトウェア、ハードウェア及び周辺機器の設計、開発、製造、輸出入、販売、操作及び保守業務等

(5)資     本     金

5,500万円

(6)設 立 年 月 日

2022年8月3日

(7)大株主及び持株比率

加藤茂俊 91.98%、株式会社YY 4.0%、株式会社エフエヌエム 4.0%、株式会社イメージワン 0.02%

(8)上場会社と当該会社との間の関係

資 本 関 係

当社は当該会社の株式を保有しております。

人 的 関 係

該当事項はありません。

取 引 関 係

該当事項はありません。

関連当事者への該当状況

該当事項はありません。

 

 

(5)日程

取締役会決議日

2023年1月24日

契約締結日

2023年1月24日

権利譲渡日

2023年4月28日

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、主に地球環境ソリューション事業における原子力関連分野のトリチウム分離技術におけるプレパイロット装置を使った実験であり、当連結会計年度における当該研究開発活動に関わる費用の総額は15,941千円であります。