当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社経営の基本方針
当社グループは、「アウトソーシングの力で企業変革を支援し、社会課題を解決する」という企業理念に掲げ、事業活動を通じて社会課題を解決するソーシャルビジネスを推進することで、新たな社会的価値を創造し、社会にとって必要不可欠な存在となることを目指しています。経営面では、ポートフォリオ経営を基本方針として、社会貢献性及び付加価値の高い事業を異なる事業領域で複数展開することで、いかなる外部環境の変化にも負けない企業体を目指しています。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2025年1月14日発表の中期経営計画にて、2029年11月期の売上収益360億円、営業利益45億円を経営の数値目標としています。また、継続的な企業価値の向上と、それを通じた株主還元に積極的に取り組むこととしており、連結配当性向30%以上とすることを目指しています。
(3)中長期的な経営戦略
当社グループでは、次の10年の成長を見据えた新たな事業戦略を進めてまいります。人材アウトソーシングサービスの事業環境が大きく変化する中で、グループとしてより一層の成長を実現していくためには、主力3事業を軸とした更なる発展と新規事業の創出が不可欠だと考えます。中期経営計画達成に向けた重点戦略は以下のとおりとなります。
[戦略Ⅰ]主力事業を軸としたオーガニック成長の継続
高い成長性と競争力を兼ね備える「障がい者雇用支援」、「サステナビリティ支援」、「地方創生支援」を注力事業領域と定め、グループの成長を牽引していきます。また、人材アウトソーシングサービスについては、主力のコールセンター派遣は、AIやDXの加速により需要が縮小する可能性が高いことから、高付加価値化による差別化を図ることで、競争優位性を高めていきます。
[戦略Ⅱ]グループシナジーによる企業価値の向上
各事業が持つ強みや顧客基盤を最大限に活用し、新たな事業機会を創出することで、さらなる成長を目指します。特に障がい者雇用支援サービス、環境経営支援サービス、広域行政BPOサービスにおいては、優良な顧客マーケットに対し、新サービスを積極的に展開することで事業領域の拡大を進めます。また、その他の既存事業においても、グループ間の連携強化により、営業の最大化を図ります。
[戦略Ⅲ]AI/DX活用による収益性向上、経営効率の向上
AIやDXの積極活用を全社的に推進してまいります。バックオフィス業務については、デジタル化・自動化を積極的に進めていくことで、大幅な業務改善とコスト削減に取り組みます。営業面においても、AIの活用により、営業戦略の策定、顧客分析、営業プロセスを革新し、より効率的かつ効果的な営業活動を実現します。
[戦略Ⅳ]次世代を担う多様な人材の育成
「社員の成長が会社の成長につながる」という方針の下、多様な個性を尊重し、それぞれの能力を最大限に発揮できる環境を整備することで、社員一人ひとりがいきいきと活躍し、共通の価値観のもとで共に成長できる組織を目指します。また、グループ経営を担う中核人材の育成にも注力し、変化を恐れず、積極的に挑戦できるリーダー人材を育成することで、持続的な成長と発展を支えていきます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
現状と今後の経営環境を踏まえ、以下、当社グループが中長期観点から対処すべき課題は以下のとおりです。
① 既存事業の継続的な発展
持続的な成長を実現するには強固な収益基盤を構築することが重要であると考えています。その根幹となる既存事業では、継続的な改善および高付加価値化によって競争優位性を高めることで、安定収益の確保を目指します。また、各事業が持つ強みや顧客基盤を活用し、派生事業の開発を進めることで収益構造の多角化に取り組み、さらなる成長を目指します。
② 特定事業への依存度の軽減
当社グループの営業利益の構成比は、障がい者雇用支援サービスと人材派遣サービスの2事業で79%を占めています。環境変化などにより主力事業の収益が悪化した場合には、業績に大きな影響を与える可能性があることから、新たな収益の柱の構築が必要であると認識しています。具体的には、市場拡大が期待できる広域行政BPOサービスや環境経営支援サービスなど新たな事業領域での成長を目指していきます。
③ 優秀な人材の確保
当社グループのビジョンに共鳴する優秀な人材を採用し、組織体制を強化していくことが、持続的な成長のためには必要だと考えています。社会課題を敏感に察知し、主体的に解決に取り組むことができる人材を採用するために、社会的意義のある事業をより一層推進していきます。また、優秀な人材が、高い意欲を持って長期的に活躍できるよう、キャリアチャレンジ制度やカンパニー制など、社員の挑戦を後押しする制度の導入や、従業員持株会の奨励金付与率100%や健康経営の推進などを通して、従業員が安心して働ける環境整備に取り組んでいます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
■サステナビリティ方針
当社グループは「アウトソーシングの力で企業変革を支援し、社会課題を解決する」をミッションに掲げています。私たちは、地球市民として真摯に社会課題および環境課題に向き合い、事業活動を通じて当社グループらしい付加価値を創造することで、その解決に取り組んでいきます。
また、ステークホルダーと対話・協働を通じて価値創造プロセスを継続的に循環させていくことで、当社グループの持続的な企業価値向上を図り、社会の持続的な発展に貢献していきます。
(1)サステナビリティ全般
① ガバナンス
当社グループでは、社会の持続的発展への貢献と中長期的な企業価値の向上を目的に、社長室・子会社担当取締役を委員長としたサステナビリティ推進委員会を設置しています。サステナビリティ推進委員会では、半期ごとにサステナビリティに係る経営課題の共有及び施策の立案、目標の設定等に関する協議を行い、それらの進捗管理を行っています。委員会での協議内容は代表取締役に随時報告されるほか、取締役会において進捗に対する監督を行っており、必要に応じて審議および対応の指示を行っています。
また、代表取締役社長をCHO(最高健康責任者)として配置し、従業員の健康管理を経営的視点から考え、戦略的に各種施策を実践していく体制を整備しています。
[サステナビリティ推進体制] |
[健康経営推進体制] |
|
|
② リスク及び機会
サステナビリティ関連の重要なリスクに関しては、サステナビリティ推進委員会にて、その特定と評価が行われます。特定されたリスクと機会は同推進委員会にて、種別を問わず企業としての優先度及び社会の重要性の2つの観点から統合的に優先順位を評価・検討し、取締役会に報告または審議のうえでマテリアリティ(重要課題)として確定しています。確定したマテリアリティについては、取締役会が現在の対応状況の進捗確認や見直し等を行い、適切にリスクを管理することで、全社的なリスク管理体制の維持、向上を図っています。
また、リスクの管理に当たっては、社会情勢や市場環境等の情報を収集・分析して事業に関わるリスクの早期発見を行うとともに、リスク発現時には迅速かつ的確な対応をするために、リスク管理委員会を半期ごとに開催しています。影響が大きいと想定されるリスクについては、同推進委員会と連携が図られ、リスクの未然防止と影響緩和のための施策検討が行われます。
一方、「
(2)気候変動
① 戦略
当社グループにおける気候変動起因のリスク及び機会の特定に当たっては、サステナビリティ推進委員会にて、シナリオ分析の手法を通じて、気候変動に関する重要リスク・重要機会の洗い出しと、それらが及ぼす具体的な財務的影響額の評価から実施しています。2022年2月に実施したシナリオ分析では、以下のとおり2050年までのカーボンニュートラル達成がなされる前提と、地球温暖化が最も深刻化する2パターンのシナリオを策定し、その前提に基づく考察を実施することで、レジリエンス性の強化を図っています。
分析対象としては、当社グループにおいて特に気候変動による影響を被ると推察される、障がい者雇用コンサルティング事業(=株式会社エスプールプラス)、及び物流アウトソーシング事業(=株式会社エスプールロジスティクス)の2事業領域を中心に、2030年時点でのグループ全体における影響を考察しています。
シナリオ分析を踏まえた事業への財務的影響については、定性的な分析、並びに試算が可能な項目に関しては数理モデルを定め試算を行い、2030年時点に想定される収益への影響を項目別に評価を実施しています。特定したリスク及び機会は以下の表のとおりです。
※時間軸の考え方:短期=1年~3年 中期=3年~10年 長期=10年~
※財務影響評価の考え方:大=1億円以上 中=1億円未満 小=影響軽微もしくは無し
全社的な影響として、物理的リスクについては、洪水など風水災害に因る被害が想定されます。特に、被災時の営業停止損失が主に農園・物流拠点で発生し、財務を圧迫することが想定されます。脱炭素化への移行による影響としては、カーボンプライシング制度による追加支出とエネルギーコストの増加が懸念されます。特に、グループ全体を通して共通の主要エネルギーである電力については、気温上昇による空調使用量の増加や再生可能エネルギー発電への転換による電力価格高騰により支出増加に繋がることが想定されます。一方で、脱炭素化に向けて産業界及び官公庁では脱炭素化施策が種々検討され、行政サービスへの適用や企業の情報開示がより進むことが想定されますが、当社が展開する自治体向け脱炭素支援サービスや、株式会社エスプールブルードットグリーンが展開する環境経営支援サービスについて需要増加が見込まれます。
現在当社グループでは環境方針として事業サービスを通じた環境への貢献を掲げており、機会獲得に向けては株式会社エスプールブルードットグリーンを軸にした環境領域での積極的な事業展開を進めています。また、自治体向けの脱炭素移行支援サービスの提供も拡大し、自治体のGHG排出量の算定や削減を支援することで、ゼロカーボンシティの実現を促進しています。物理的なリスクへの対応としては、特に物理的影響が懸念される株式会社エスプールプラスでは、災害の影響を受けにくく節水型の屋内農園拠点の展開を進めています。移行リスク対策としては子会社個別に脱炭素化の検討を進めており、株式会社エスプールロジスティクスでは「再エネ100宣言 RE Action」に参加し、主要拠点でFIT非化石証書を活用し再生可能エネルギーを導入しています。
② 指標及び目標
当社グループは、温室効果ガス排出量に関する目標として、2050年までに、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量(注)を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」目標、及び中間目標を策定しています。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
(注)事業活動に伴う温室効果ガスの排出量は、Scope1、Scope2の合計を示しています。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
[GHG排出量削減目標]
指標 |
目標(2021年11月期対比) |
Scope1+2のGHG排出量 |
2030年までに40%削減 2050年までにカーボンニュートラル |
再生可能エネルギー由来の電力調達割合 |
2030年までにグループの事業活動で消費する電力の100%調達 |
[GHG排出量実績]
|
2022年11月期 |
2023年11月期 |
2024年11月期 |
Scope1+2のGHG排出量実績[t-CO2] |
|
|
6,787.87 |
再生可能エネルギー由来の電力調達割合(%) |
10.45 |
15.02 |
9.36 |
(注)排出量は当社および国内連結子会社を対象に算出しています。なお、2024年11月期の実績値においては、第三者認証取得後、
(3)人的資本
① 戦略
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進」「従業員のウェルビーイングの推進」「企業価値を高める人材の育成」の3つです。
「DE&Iの推進」については、女性活躍推進法や障害者雇用促進法等の各種法令に従い、従業員の特性や制約条件に合わせた業務の提供を行うとともに、全従業員の活動が顧客企業や社会への貢献に繋がるよう、専門部署(人材開発課D&I推進グループ)を設置し、キャリア相談やハラスメント相談を随時できる体制を整備し、従業員の成長を阻害する要因の排除に努めております。また、治療、看護、介護、育児、不妊治療に対する「両立支援」の制度を充実化させ、従業員のキャリアの停止を極力避けるための制度を整備しております。
「従業員のウェルビーイングの推進」については、代表取締役社長をCHO(最高健康責任者)として配置し、従業員の健康管理を経営的視点から考え、戦略的に各種施策を実践していく体制を整備しております。また、健康経営戦略を実行する専門部署として「保健室」を設置し、従業員の健康増進とプレゼンティーズム/アブセンティーズムへの対策を行うとともに、従業員が自身の健康について気軽に相談できる環境を整備しております。
「企業価値を高める人材の育成」については、グループ全体の方針と各子会社の個別方針をBSC(バランス・スコアカード)に従って決定し、事業の推進と従業員のキャリア形成を同時に達成できるための取り組みを行っております。また、企業風土醸成や従業員の働きやすい環境整備を促進するために、グループ人事本部に各社専任のHRBP(ヒューマンリソースビジネスパートナー)担当者を配置し、グループ方針遂行のガバナンス強化を実現しつつ各社個別の戦略の実現を推進させる体制を整備するとともに、階層別研修をグループ横断で実施し、次世代の経営を担う人材の輩出に努めております。
② 指標及び目標
当社グループでは、上記「①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。なお、当社グループにおいては、当社及び各連結子会社において事業モデルが異なることから、その特徴を加味した当社及び各連結子会社単体での指標及び目標も併せて策定しております。
(a)連結
指標 |
目標( |
実績(当連結会計年度)(%) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
(注)目標及び実績は、当社および国内連結子会社を対象に算出しており、事業範囲の99.8%をカバーしています。
(b)単体
名 称 |
指標 |
目標(2025年11月期)(%) |
実績(当連結会計年度)(%) |
株式会社エスプール |
管理職に占める女性労働者の割合 |
30.0 |
30.0 |
男性労働者の育児休業取得率 |
100.0 |
66.7 |
|
労働者の男女の賃金の差異 |
70.0 |
70.3 |
|
株式会社エスプールヒューマンソリューションズ |
管理職に占める女性労働者の割合 |
50.0 |
39.1 |
男性労働者の育児休業取得率 |
100.0 |
60.0 |
|
労働者の男女の賃金の差異 |
90.0 |
89.2 |
|
株式会社エスプールロジスティクス |
管理職に占める女性労働者の割合 |
30.0 |
19.1 |
男性労働者の育児休業取得率 |
100.0 |
- |
|
労働者の男女の賃金の差異 |
90.0 |
100.6 |
|
株式会社エスプールプラス |
管理職に占める女性労働者の割合 |
30.0 |
10.0 |
男性労働者の育児休業取得率 |
100.0 |
33.3 |
|
労働者の男女の賃金の差異 |
90.0 |
78.1 |
|
株式会社エスプール セールスサポート |
管理職に占める女性労働者の割合 |
30.0 |
38.5 |
男性労働者の育児休業取得率 |
100.0 |
- |
|
労働者の男女の賃金の差異 |
90.0 |
81.4 |
|
株式会社エスプールリンク |
管理職に占める女性労働者の割合 |
50.0 |
46.2 |
男性労働者の育児休業取得率 |
100.0 |
- |
|
労働者の男女の賃金の差異 |
70.0 |
63.6 |
|
株式会社エスプールブルードットグリーン |
管理職に占める女性労働者の割合 |
30.0 |
9.1 |
男性労働者の育児休業取得率 |
100.0 |
100.0 |
|
労働者の男女の賃金の差異 |
80.0 |
75.3 |
|
株式会社エスプールグローカル |
管理職に占める女性労働者の割合 |
30.0 |
20.0 |
男性労働者の育児休業取得率 |
100.0 |
66.7 |
|
労働者の男女の賃金の差異 |
70.0 |
68.2 |
(注)「-」は集計対象となる従業員がいないことを示しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を、慎重に検討した上で行われる必要があります。また、以下の記載は当社グループの事業もしくは当社株式への投資に関するリスクを完全に網羅するものではありませんので、その点ご注意ください。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業の許認可について
人材派遣サービスは、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)に基づく労働者派遣事業として、厚生労働大臣の許可を受けています。労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行う事業主が、派遣元事業主としての欠格事由に該当したり、労働者派遣法もしくは職業安定法の規定またはこれらの規定に基づく命令処分に違反したりする場合には、事業の許可を取り消され、または事業の全部もしくは一部の停止を命じられる旨を定めております。
また、職業安定法に基づく有料職業紹介についても、労働者派遣法と同様の取り扱いがあります。有料職業紹介事業者としての欠格事由に該当したり、当該許可の取消事由に該当したりした場合には、同様の措置がとられる旨を定めています。
当社グループでは、許可を取得している会社ごとに担当部署を配置して、日々の業務における法令遵守のための社内フローの整備や、その遵守状況のチェック体制を整えて法令リスク管理に努めております。しかしながら、万一、将来何らかの理由により法令違反に該当し、事業許可取り消しや当該業務の全部または一部の停止の命令を受けた場合には、業績に影響を与える可能性があります。
② 法的規制について
当社グループの行う事業に適用のある労働基準法、労働安全衛生法、労働者派遣法、職業安定法、労働者災害補償保険法、健康保険法及び厚生年金保険法、個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)その他関連法令は、労働市場を取り巻く社会情勢の変化に応じて、今後も改正や解釈の変更等が想定されます。今後何らかの制度変更が行われた場合、当社グループが行う事業についても、影響を受ける可能性があります。
③ 社会保険・雇用保険について
当社グループは、業務実施にあたる派遣スタッフについて、健康保険法、厚生年金保険法の範囲内で当社グループにて定めた運用方針に基づき、契約形態及び勤務実績に応じて、社会保険(健康保険及び厚生年金保険)や雇用保険に加入させる取り扱いを行っております。
当社グループでは関係法令を遵守しておりますが、今後関係法令やその解釈の変更が行われた場合並びに所轄官庁の判断により指摘を受けた場合、業績に影響を与える可能性があります。
また、今後、関連法令の改正や社会情勢の変化等により、当社グループの社会保険負担額や雇用保険負担額が増加する可能性があり、この場合には業績に影響を与える可能性があります。
④ 障害者雇用促進法について
当社グループの提供する障がい者雇用支援サービスは、障がい者雇用に積極的に取り組む企業に向けて、雇用の各場面における課題解決を支援するソリューションを提供するものであります。当該サービスの需要は、障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)が規定する企業の障がい者の雇用義務に係る法定雇用率に一定の影響を受けます。障害者雇用促進法が規定する障がい者の雇用に関する法定雇用率は引き上げる方向で継続的に見直しがなされることとなっておりますが、今後の法改正によって雇用義務が緩和されたり、雇用義務そのものがなくなったりした場合には、事業運営に重大な影響を与える可能性があります。
⑤ 障がい者雇用支援サービスのビジネスモデルについて
当社グループの提供する障がい者雇用支援サービスは、知的障がい者の就労機会の創出と経済的自立の支援を目指して独自に開発したビジネスモデルです。そのため、当社グループでは事業主管部門と法務部門が連携し、関連諸法規の遵守に万全の態勢で臨んでおりますが、法律の改正、新たな規制、行政指導等によって事業活動が制限される可能性があります。
また、当社グループでは社会課題の解決という高い理念のもとに、法令違反等が生じないよう細心の注意を払って事業活動を行っております。しかし、競合他社の模倣等により、何らかの理由で当社グループのビジネスモデルの評判が損なわれる可能性、または当社グループに対する好ましくない風評が立つ可能性があります。
これらの場合には、計画どおりに事業運営を行うことができず、業績に重大な影響を与える可能性があります。
⑥ 障がい者雇用支援サービスの運営する農園について
当社グループの提供する障がい者雇用支援サービスにおいては、障がい者を雇用しようとする企業向けの貸農園を運営しております。農園には屋外型と屋内型の2種類があり、外注する工事の発注や進捗管理を担当する専門部署を配置するなど、設備の構築・保守には万全を期して運営しております。しかし、台風や地震などの災害や、人為的なミス、事故、設備上の問題、または第三者による不法行為、あるいはその他運営上のトラブル等が発生した場合、これらに起因して農園の運営に支障が出る可能性があります。
その場合、信頼性や企業イメージが低下して顧客の維持・獲得が困難になり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑦ 個人情報の管理について
当社グループは、事業を行う上で、派遣スタッフ等の個人情報を保有し、基幹業務システムにて一括管理しております。これらの個人情報の取り扱いについては、個人情報の保護に関する規程を定め、万全の管理体制を施し、個人情報保護法その他関連法令の遵守に努めております。また、不正アクセス、破壊及び改ざんに対して、基幹業務システムのセキュリティ投資を積極的に行い、厳正な対策を講じています。
また、当社グループの各事業に従事する社員や、派遣先のコールセンター等で就業する派遣スタッフは、顧客管理下の個人情報や営業機密に触れる機会があります。当社グループでは、顧客の営業機密管理及び漏洩防止のため、全ての社員・派遣スタッフに対して、採用時に守秘義務に関する誓約書を取り付けます。また、集合研修やオンライン研修を通じて定期的に教育・研修を行い、情報の取り扱いの重要性の啓蒙に努めております。
以上のような対策を講じても、個人情報の漏洩や不正使用などの事態が生じた場合、当社グループのイメージの悪化等により、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
⑧ 事業投資について
当社グループは、環境変化に対応するために、同業または関連する事業分野の企業または事業の買収や投資を積極的に検討・実行しています。企業買収や事業投資の際には、事前のデューデリジェンス等により経営状況や市場動向を調査した上で慎重に進めるとともに、当社グループに合流した後においても、既存の子会社と同様にグループ間の情報共有や営業網の共有等を通じて業績を向上させていくよう努めております。しかしながら、社内外の要因により必ずしも見込みどおりに進むとは限らず、買収資産の毀損や収益性の低下によって、のれんや固定資産の減損、関係会社株式評価損等により、業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 大規模な自然災害及び感染症等の影響について
当社グループは、全国に事業拠点を有しており、自然災害や新型感染症等が発生した場合、事業活動に支障が生じる可能性があります。特に、障がい者雇用支援サービスにおいては、運営する農園設備が、台風や地震、大雪や豪雨、竜巻等の自然災害による被害が生じ、長期にわたり農園の稼働が困難になった場合には、業績に影響を与える可能性があります。
⑩ 情報システム障害について
当社グループでは、事業管理活動の多くをコンピュータシステム及びネットワーク網に依存しております。当社グループでは、コンピュータシステムの障害に備えるため、バックアップサーバーの設置を行っています。また地震等の災害に備えるため、外部のデータセンターに運営を委託しています。しかしながら、予期せぬトラブル等によりコンピュータシステムが停止した場合、あるいは、ネットワーク網に障害が発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。
⑪ 人材の確保について
[社員]
当社グループの持続的な成長のためには、優秀な人材の確保・育成が不可欠です。このため、独自の採用イベントやインターンシップの実施、多様なキャリアパスの提供や福利厚生の充実化など、魅力的な職場環境づくりに努めています。また、階層別研修やジョブローテーションといった育成プログラムも充実させ、社員の成長を支援しています。健康経営の推進など、働きやすい環境づくりにも力を入れており、社員の定着率向上にも貢献しています。しかしながら、これらの施策が十分な成果を上げられず、人材確保が計画通りに進まない場合は、事業展開に遅延が生じる可能性があります。
[派遣スタッフ]
派遣スタッフの確保に関しても、事業拡大には欠かせない要素です。募集拠点の拡充やWEB面接システムの導入など、採用方法の多様化を図り、より多くの求職者にアプローチしています。しかし、これらの施策が十分な効果を発揮できず派遣スタッフを確保できない場合は、業務遂行に支障が生じる可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境の改善や、インバウンド需要の増加などにより緩やかな回復基調で推移しました。一方で、原材料及びエネルギー価格の高騰や円安による物価高、地政学的リスクの高まり、金融市場の不安定化など、先行きは依然として不透明な状況が続いています。
このような状況下、当社グループは、社会的価値と経済的価値創出の両立を経営の基本方針として、社会貢献性が高く、付加価値の高い事業を複数展開するポートフォリオ経営を推進してまいりました。その中でも優良な顧客基盤を有し、高い成長が期待できる「障がい者雇用支援サービス」、「環境経営支援サービス」、「広域行政BPOサービス」を重点注力分野と定め事業拡大に注力しています。
ビジネスソリューション事業においては、ロジスティクスアウトソーシングサービスを除き、ほぼ全ての事業で増収増益となりました。特に障がい者雇用支援サービス、環境経営支援サービス、広域行政BPOサービスの主力3事業が堅調に推移し、業績を牽引しました。一方、人材派遣サービスを主力とする人材ソリューション事業については、減収減益となりましたが、当第4四半期には、コールセンター業務に需要回復の兆しが見られ、売上が底打ちしてきました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は25,554百万円(前連結会計年度比0.9%減)、営業利益は2,783百万円(前連結会計年度比0.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,099百万円(前連結会計年度比21.4%増)となりました。
当連結会計年度のセグメント業績(セグメント間内部取引消去前)は以下のとおりであります。
(ビジネスソリューション事業)
[事業概要]
ビジネスソリューション事業では、シニアや障がい者など潜在労働力の活用を支援するサービスや、企業の業務の一部を受託するアウトソーシングサービスを提供しています。前者においては、株式会社エスプールプラスが、障がい者の就労に適した農園を企業に貸し出し、主に知的障がい者の採用・教育から定着までを支援するサービスを行っています。株式会社エスプールでは、様々な経験やノウハウを有するシニアを企業の経営課題や業務課題の解決に役立てるサービスを提供しています。
後者のアウトソーシングサービスでは、株式会社エスプールロジスティクスが、通販商品の発送を代行する物流サービスを行っています。株式会社エスプールリンクは、アルバイトやパートの採用業務を代行するサービスを提供しており、株式会社エスプールセールスサポートでは、対面型の会員獲得業務や販売促進業務を行っています。株式会社エスプールブルードットグリーンは、温室効果ガス(GHG)排出量の算定や環境情報の開示に関するコンサルティング、カーボンオフセット仲介など、企業の環境経営を支援するサービスを提供しています。株式会社エスプールグローカルでは、複数の自治体の行政業務を一括で受託する広域行政BPOサービスを行っています。
[当連結会計年度の経営成績]
障がい者雇用支援サービスは、2024年4月の法定雇用率の引き上げ以降、企業からの引き合いが強い状況が続いており、営業活動は好調に推移しました。障がい者の採用・教育の遅れにより、設備販売の一部が翌期にずれ込んだものの、設備販売の値上げや人材紹介の上振れにより、売上・利益ともに計画を上回りました。広域行政BPOサービスについては、定額減税に関連した業務が大きく伸びたことで、通期の売上は前年を超え、利益面も大幅に改善しました。環境経営支援サービスは、コンサルティングサービスの納品が集中したことにより、当第4四半期に売上が続伸しました。企業向けサービスの受注増に加え、新たに開始した自治体向けサービスも順調に立ち上がったことで、大幅な増収増益となりました。その他サービスでは、採用支援サービスが生産性の向上等により利益面を中心に堅調な伸びとなりました。セールスサポートサービスは、全国の主要都市に拠点を開設したことで、大規模キャンペーンの受託が進み、売上が大きく増加しました。一方、ロジスティクスアウトソーシングサービスは、物流センターの運営代行業務からの撤退などの影響により減収減益となりました。
その結果、当連結会計年度の売上収益は15,016百万円(前連結会計年度比19.6%増)、営業利益は3,699百万円(前連結会計年度比21.7%増)となりました。
(人材ソリューション事業)
[事業概要]
人材ソリューション事業は、人材派遣サービスを主力とする株式会社エスプールヒューマンソリューションズが提供するサービスで、コールセンター等のオフィスサポート業務とスマートフォンや家電製品等の店頭販売支援業務、ホテル業など接客業務に関する人材サービスを展開しています。サービスの特徴は、フィールドコンサルタント(FC)と呼ばれる同社の従業員と派遣スタッフをチームで派遣する「グループ型派遣」の形態を採用している点になります。派遣先に常駐するFCが派遣スタッフを現場で手厚くフォローすることで、未経験者を短期間で育成できるだけでなく定着率の向上にもつながり、顧客満足度の向上とシェア拡大につながっています。
[当連結会計年度の経営成績]
主力のコールセンター向けの人材派遣サービスにおいては、新型コロナウイルス感染症関連の売上減少に加え、新規案件の需要が非常に弱かったため、大幅な減収減益となりました。販売支援業務については、人材の不足感が強いインバウンド関連の業務に注力しましたが、採用条件が厳しく、派遣スタッフの稼働を計画通り伸ばすことができませんでした。コールセンター業務、販売支援業務ともに厳しい状況が続きましたが、当第4四半期には、コールセンター業務に需要回復の兆しが見られ、売上の底打ち感がでてきました。また、需要拡大が続く建設業領域の人材派遣サービスが開始となりました。
その結果、当連結会計年度の売上収益は10,620百万円(前連結会計年度比20.2%減)、営業利益は867百万円(前連結会計年度比31.5%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物は435百万円増加し、3,814百万円となりました。各活動によるキャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比973百万円増加の5,071百万円の収入(前連結会計年度は4,097百万円の収入)となりました。これは、税引前利益が2,569百万円であったのに加え、減価償却費及び償却費が3,394百万円、営業債権及びその他の債権の増加が1,037百万円、及び法人所得税の支払額が816百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比1,178百万円減少の3,393百万円の支出(前連結会計年度は4,572百万円の支出)となりました。これは、主に株式会社エスプールプラスの新農園建設等による有形固定資産の取得による支出3,264百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,242百万円の支出(前連結会計年度は640百万円の収入)となりました。収入及び支出の内訳は、短期借入金の追加借入による収入700百万円、長期借入金の追加借入による収入2,000百万円、長期借入金の返済965百万円、リース負債の返済による支出2,189百万円、配当金の支払額787百万円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社グループは、主に人材派遣・業務請負を中心とした人材関連アウトソーシング事業を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
(b)受注実績
生産実績と同様の理由により、記載しておりません。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
ビジネスソリューション事業 |
15,016 |
119.6 |
人材ソリューション事業 |
10,620 |
79.8 |
調整額 |
△81 |
- |
合計 |
25,554 |
99.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項の全ての財務情報は、本書に記載している連結財務諸表及び財務諸表に基づいております。また、本項に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要性がある会計方針並びに重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
② 財政状態
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末から1,652百万円増加し、8,777百万円となりました。ビジネスソリューション事業の売上収益が増加したことにより営業債権及びその他の債権が1,037百万円増加しております。
当連結会計年度末の非流動資産は、前連結会計年度末から4,682百万円増加し、30,937百万円となりました。障がい者雇用支援サービス拡大のため、株式会社エスプールプラスにて、新規農園の建設や既存農園の増設をしており、有形固定資産が2,087百万円、使用権資産が2,404百万円増加しております。
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末から2,366百万円増加し、11,527百万円となりました。短期借入金の追加借入及び1年内返済予定の長期借入金の振替により借入金(流動)が1,099百万円増加しております。
当連結会計年度末の非流動負債は、前連結会計年度末から2,636百万円増加し、18,360百万円となりました。新規農園の開設等による土地及び建物の賃貸によりリース負債(非流動)が2,068百万円増加しております。
当連結会計年度末の資本は、親会社の所有者に帰属する当期利益により2,099百万円増加し、一方、第24期期末配当により790百万円減少し、9,826百万円となりました。
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
親会社所有者帰属持分比率 |
25.5% |
24.8% |
有利子負債自己資本比率 |
233.1% |
244.0% |
③ 経営成績
当連結会計年度における売上収益は25,554百万円(前連結会計年度比229百万円減)、売上総利益は9,454百万円(前連結会計年度比546百万円増)、販売費及び一般管理費は6,709百万円(前連結会計年度比485百万円増)、営業利益は2,783百万円(前連結会計年度比6百万円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,099百万円(前連結会計年度比369百万円増)となっております。
イ 売上収益
事業別の外部顧客に対する売上収益の増減は以下のとおりです。
|
前連結会計年度(百万円) |
構成比(%) |
当連結会計年度(百万円) |
構成比(%) |
増減 (百万円) |
前連結会計年度比(%) |
ビジネスソリューション事業 |
12,502 |
48.5 |
14,966 |
58.6 |
2,463 |
119.7 |
人材ソリューション事業 |
13,281 |
51.5 |
10,588 |
41.4 |
△2,692 |
79.7 |
合計 |
25,784 |
100.0 |
25,554 |
100.0 |
△229 |
99.1 |
ビジネスソリューション事業は、12期連続の二桁増収となりました。障がい者雇用支援サービスは、2024年4月の法定雇用率の引き上げ以降、企業からの引き合いが強い状況が続いており、営業活動は好調に推移しました。障がい者の採用の遅れにより、設備販売の一部が翌期にずれ込んだものの、設備販売の値上げや人材紹介の上振れの効果により、売上・利益ともに計画を上回りました。広域行政BPOサービスについては、定額減税に関連した業務がピークを迎え、当第4四半期も順調に推移し、通期の売上は前年を超え、利益面も大幅に改善しました。環境経営支援サービスは、コンサルティングサービスの納品が集中したことで、当第4四半期は売上が伸長しました。企業向けサービスの受注増に加えて、新たに開始した自治体向けサービスも順調に立ち上がり、大幅な増収増益となりました。その他サービスでは、採用支援サービスは、生産性の向上などにより、利益面を中心に堅調な伸びとなりました。セールスサポートサービスは、全国の主要都市に拠点を開設したことで、大規模キャンペーンの受託が進み、売上が大きく増加しました。一方、ロジスティクスアウトソーシングサービスは、物流センターの運営代行業務からの撤退などの影響により減収減益となりました。
人材ソリューション事業は、大幅な減収となりました。主力のコールセンター向けの人材派遣サービスにおいては、新型コロナウイルス感染症関連の売上減少に加えて、新規案件の需要が非常に弱く、売上が大きく落ち込みました。販売支援業務については、人材の不足感が強いインバウンド関連の業務に注力しましたが、採用条件が厳しく伸び悩む結果となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度比229百万円減の25,554百万円となりました。
ロ 売上総利益率
売上総利益率は、利益率の高いビジネスソリューションが順調に伸びたことで、前連結会計年度から2.5ポイント増加し37.0%となりました。セグメント別では、ビジネスソリューション事業の売上総利益率は50.0%、人材ソリューション事業の売上総利益率は19.2%となりました。
ハ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から485百万円増加し、6,709百万円となりました。主な費目別の内訳は以下のとおりです。
|
前連結会計年度 (百万円) |
売上に対する比率(%) |
当連結会計年度 (百万円) |
売上に対する比率(%) |
前連結会計年度比 (%) |
従業員給付費用 |
3,358 |
13.0 |
3,733 |
14.6 |
111.2 |
減価償却費及び償却費 |
842 |
3.3 |
1,061 |
4.2 |
126.0 |
登録スタッフ募集費 |
255 |
1.0 |
224 |
0.9 |
87.8 |
地代家賃・賃借料 |
261 |
1.0 |
228 |
0.9 |
87.4 |
その他 |
1,506 |
5.8 |
1,462 |
5.7 |
97.1 |
合計 |
6,223 |
24.1 |
6,709 |
26.3 |
107.8 |
前連結会計年度と比較して、販売費及び一般管理費は485百万円増加しておりますが、その主な要因は、事業拡大に向けた人員の積極的な採用であります。従業員給付費用の増加だけで375百万円と増加額の約77%を占めます。その他、事業の拡大に伴った拠点の拡大移転・新設により減価償却費及び償却費が増加しております。事業別の販売費及び一般管理費の内訳は以下のとおりです。
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
前連結会計年度比 (%) |
ビジネスソリューション事業 |
3,359 |
3,802 |
113.2 |
人材ソリューション事業 |
1,309 |
1,167 |
89.1 |
調整額 |
1,555 |
1,739 |
111.9 |
合計 |
6,223 |
6,709 |
107.8 |
その他の損益項目では、採用支援サービス及び広域行政BPOサービスに係る助成金64百万円をその他の収益に、固定資産除却損30百万円をその他の費用に、それぞれ計上しております。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度比6百万円増の2,783百万円となりました。
ニ 金融収益及び費用
金融費用項目には、支払利息205百万円を計上しております。
ホ 次期の見通し
各セグメントにおける2025年11月期の事業戦略は、以下のとおりとなります。
① ビジネスソリューション事業
障がい者雇用支援サービスについては、前年の法定雇用率の引き上げに伴い、引き続き高い需要が見込まれます。そのような中、2025年11月期は、従来の3大都市圏での農園展開により、これまで通りの成長を見込んでいますが、将来のさらなる成長を目指し、農園サービスの全国展開に向けた準備を進めてまいります。「わーくはぴねす農園」を2026年から順次7大都市圏へ拡大するとともに、地方都市での展開も視野に入れ、小規模農園モデルの開発にも着手していきます。広域行政BPOサービスにおいては、前期同様に下期偏重の計画となりますが、国策に関連する業務の見込み案件は前期より増加しています。取引実績のある自治体を中心に営業を強化することで、これらの案件を確実に受注できるよう努めてまいります。また、並行して安定収益の基盤となる広域行政業務の積み上げにも注力していきます。環境経営支援サービスは、企業向けのコンサルティングを中心とした拡大を計画しています。新規顧客の獲得と既存顧客の継続率向上を両輪として、シェア拡大に積極的に取り組むとともに、サービスメニューの拡充により顧客の深耕を図ることで、業界トップを目指していきます。その他のサービスでは、採用支援サービスおよびセールスサポートサービスは前期同様の成長を見込んでいますが、ロジスティクスアウトソーシングサービスは、センター運営の改善に時間を要しており、当面は苦戦が続く見通しです。
② 人材ソリューション事業
コールセンター向けの人材派遣サービスは、売上回復を目指し、シェア拡大に取り組んでまいります。顧客目線でのサービス強化に取り組むことで、他社との差別化を図り、選ばれる人材派遣会社を目指します。具体的には、サービスの特徴である派遣先に常駐する社員(フィールドコンサルタント)のコンサルティング機能を強化し、専門性を高めていきます。また、派遣スタッフのフォローにも注力し、定着率を向上させることで、顧客企業の生産性向上に寄与してまいります。また、新たに開始した建設業領域の人材派遣サービスの拡大に向け、体制の強化を図り、早期の立ち上げを目指してまいります。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローは5,071百万円の収入(前連結会計年度は4,097百万円の収入)となりました。税引前利益が2,569百万円であったのに加え、減価償却費及び償却費が3,394百万円、営業債権及びその他の債権の増加が1,037百万円、及び法人所得税の支払額が816百万円発生した結果、営業活動によるキャッシュ・フローの収入は前連結会計年度に比べて973百万円増加することとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは3,393百万円の支出(前連結会計年度は4,572百万円の支出)となりました。これは、拡大が続く障がい者雇用支援サービスを中心に、積極的に実施した設備投資等に伴う有形固定資産の取得による支出3,264百万円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,242百万円の支出(前連結会計年度は640百万円の収入)となりました。
これは、短期借入金の追加借入による収入700百万円、長期借入金の追加借入による収入2,000百万円、長期借入金の返済965百万円、リース負債の返済による支出2,189百万円、配当金の支払額787百万円によるものです。
当連結会計年度末時点での現金及び現金同等物の残高は3,814百万円であります。今後も、障がい者雇用支援サービスを中心として当連結会計年度以上の投資を予定しております。中期的には現状の利益率が維持できれば、営業キャッシュ・フローの収入によって投資活動によるキャッシュ・フローによる支出を賄えるものと考えておりますが、短期的には営業活動によるキャッシュ・フローの収入が投資活動によるキャッシュ・フローの支出を下回ることもあるものと思われます。しかし、コミットメントライン契約の借入未実行残高も含め、本報告書提出日現在ではこの投資活動を含めた事業遂行に必要な流動性が確保されていると考えております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、事業投資資金と経常運転資金の2つであります。事業投資資金には、障がい者雇用支援サービスのための農園建設資金、事業買収に係る資金、拠点開設や移転・増床のための資金及びサーバーやソフトウエア等のIT関連投資資金があります。これらのうち、前者の事業投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金及び長期借入金による調達を基本とし、状況に応じて銀行からの短期借入金にて対応する等柔軟な調達を行っております。一方、後者の経常運転資金については、自己資金を基本としつつ必要に応じて銀行からの短期借入金により調達しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は24,004百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,814百万円となっております。
株主還元につきましては、事業投資資金(成長投資)及び経常運転資金(手許現金)を優先させた上で、連結配当性向を30%以上とすることを目標として、安定的な株主還元に努めてまいります。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために収益性を重視しております。その指標としましては、連結売上営業利益率10%以上の継続的な維持を目指しています。
当連結会計年度における連結売上高営業利益率は、前連結会計年度から0.1ポイント改善して10.9%であり、引き続き当該指標の維持・改善に邁進していく所存でございます。
該当事項はありません。
該当事項はありません。